JP6077424B2 - 水不溶性成形体の製造方法及び水不溶性成形体 - Google Patents
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Description
[1]ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を用いて形成した原料成形体を、有機酸及び有機酸無水物の少なくともいずれかの蒸気に接触させて、前記原料成形体を水不溶化させて水不溶性成形体を形成する工程を有する水不溶性成形体の製造方法。
[2]前記ポリアニオン性多糖類が、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシメチルでんぷん、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパリン、アルギン酸、ペクチン、及びカラギーナンからなる群より選択される少なくとも一種である前記[1]に記載の水不溶性成形体の製造方法。
[3]前記有機酸が、酢酸及びプロピオン酸の少なくともいずれかであり、前記有機酸無水物が、無水酢酸及び無水プロピオン酸の少なくともいずれかである前記[1]又は[2]に記載の水不溶性成形体の製造方法。
[4]前記原料成形体の形状が、粉状、粒子状、膜状、塊状、繊維状、管状、又はスポンジ状である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の水不溶性成形体の製造方法。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法によって製造された水不溶性成形体。
[6]粉状、粒子状、膜状、塊状、繊維状、管状、又はスポンジ状である前記[5]に記載の水不溶性成形体。
[7]医療用材料、食品用材料、又は化粧品用材料である前記[5]又は[6]に記載の水不溶性成形体。
[8]前記[5]又は[6]に記載の水不溶性成形体に多価アルコール又は多価アルコール水溶液を保持させる工程を有する癒着防止材の製造方法。
[9]前記[8]に記載の製造方法によって製造された癒着防止材。
本発明の水不溶性成形体の製造方法は、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を用いて形成した原料成形体を、有機酸及び有機酸無水物の少なくともいずれかの蒸気に接触させて、原料成形体を水不溶化させて水不溶性成形体を形成する工程(水不溶化工程)を有する。以下、その詳細について説明する。
次に、本発明の癒着防止材の製造方法について説明する。本発明の癒着防止材の製造方法は、前述の水不溶性成形体に多価アルコール又は多価アルコール水溶液を保持させる工程を有する。多価アルコールの具体例としては、エチレングルコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、メチルグリセロール、ポリオキシエレングリコシド、マルチトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、還元水飴、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、ポリグリセリン、グリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができる。なかでも、グリセリン、キシリトール、ソルビトール、低分子ポリエチレングリコール等、医療分野や食品分野で使用されている多価アルコールが好適に用いられる。これらの好適に用いられる多価アルコールは、市場から入手してそのまま使用できる。グリセリン、ソルビトール等については、日本薬局方に適合したものを用いることが望ましい。グリセリンは、静脈への注射剤としても使用されるほど安全性の高い素材であるために特に好ましい。
ヒアルロン酸ナトリウム(分子量(公称値):80万、キッコーマンバイオケミファ社製)1.0gと水99.0gを混合し、ビーカー中で撹拌して均一な水溶液を得た。得られた水溶液をステンレス製バットに流し入れ、30℃で乾燥してヒアルロン酸ナトリウム膜を得た。得られたヒアルロン酸ナトリウム膜と、蒸気源としての酢酸10mLを入れたシャーレをガラス製のデシケータ内に置き、室温(25℃)で5日間放置して水不溶化処理した。なお、放置してから1日後には部分的に水不溶化しており、水不溶性の断片が形成されていることが観察された。水不溶化処理した膜をメタノール、80%メタノール水溶液、及び水の順で洗浄して水不溶性膜を得た。得られた水不溶性膜を用いて以下に示す「溶解度試験」を実施したところ、膜の原形が72時間以上保持されていた。
2cm角に切断した水不溶性膜を直径3.5cm、深さ1.5cmの容器に入れ、PBS緩衝液(pH6.8)5mLを加えた。この容器を37℃に調整した振盪機に入れ、10〜20rpmで振盪した。水不溶性膜の継時的な状態変化を目視観察した。
前述の実施例1と同様の手順で製造したヒアルロン酸ナトリウム膜(水不溶化していないもの)を比較例1とした。このヒアルロン酸ナトリウム膜を用いて前述の「溶解度試験」を実施したところ、膜は速やかに溶解した。
蒸気源として塩酸を用いたこと及び放置(接触)時間を3日としたこと以外は、前述の実施例1と同様にして水不溶化処理しようとしたところ、膜はぼろぼろとなって取り出すことができなかった。
蒸気源として無水酢酸を用いたこと及び放置(接触)時間を13日としたこと以外は、前述の実施例1と同様にして水不溶性膜を得た。得られた水不溶性膜を用いて前述の「溶解度試験」を実施したところ、膜の原形が72時間以上保持されていた。
蒸気源として無水プロピオン酸を用いたこと及び放置(接触)時間を10日としたこと以外は、前述の実施例1と同様にして水不溶性膜を得た。得られた水不溶性膜を用いて前述の「溶解度試験」を実施したところ、膜の原形が72時間以上保持されていた。
ヒアルロン酸ナトリウムに代えてカルボキシメチルセルロースナトリウム(商品名「セロゲンPR−S」、第一工業製薬社製、2%粘度:25〜35mPa・s)を用いたこと、及び放置(接触)時間を1日としたこと以外は、前述の実施例1と同様にして水不溶性膜を得た。得られた水不溶性膜を用いて前述の「溶解度試験」を実施したところ、膜の原形が72時間以上保持されていた。
蒸気源として無水酢酸を用いたこと及び放置(接触)時間を10日としたこと以外は、前述の実施例4と同様にして水不溶性膜を得た。得られた水不溶性膜を用いて前述の「溶解度試験」を実施したところ、膜の原形が72時間以上保持されていた。
蒸気源としてプロピオン酸を用いたこと及び放置(接触)時間を10日としたこと以外は、前述の実施例4と同様にして水不溶性膜を得た。得られた水不溶性膜を用いて前述の「溶解度試験」を実施したところ、膜の原形が72時間以上保持されていた。
ヒアルロン酸ナトリウムに代えてアルギン酸ナトリウム(和光純薬社製、1%粘度:500〜600mPa・s)を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして水不溶性膜を得た。得られた水不溶性膜を用いて前述の「溶解度試験」を実施したところ、膜の原形が72時間以上保持されていた。
ヒアルロン酸ナトリウム(分子量(公称値):80万、キッコーマンバイオケミファ社製)1.0gと水99.0gを混合し、ビーカー中で撹拌して均一な水溶液を得た。得られた水溶液をステンレス製バットに流し入れ、−30℃で凍結させた後、棚加熱温度120℃で凍結乾燥することにより、ヒアルロン酸ナトリウムからなるスポンジ状の成形体を得た。得られたスポンジ状の成形体と、蒸気源としての酢酸10mLを入れたシャーレをガラス製のデシケータ内に置き、室温(25℃)で5日間放置して水不溶化処理した。水不溶化処理した成形体をメタノール、80%メタノール水溶液、及び水の順で洗浄して水不溶性のスポンジ状成形体を得た。得られた水不溶性のスポンジ状成形体について、前述の「溶解度試験」を実施したところ、スポンジ状の原形が72時間以上保持されていた。
ヒアルロン酸ナトリウム(分子量(公称値):80万、キッコーマンバイオケミファ社製)10gを水90gに溶解させて、均一で粘稠なヒアルロン酸ナトリウム水溶液を得た。得られたヒアルロン酸ナトリウム水溶液を18ゲージ針を装着したシリンジに入れて押し出すことにより、繊維状の成形体を得た。得られた繊維状の成形体は粘度が高いため、繊維状に保持されていた。得られた繊維状の成形体と、蒸気源としての酢酸10mLを入れたシャーレをガラス製のデシケータ内に置き、室温(25℃)で5日間放置して水不溶化処理した。水不溶化処理した成形体をメタノール、80%メタノール水溶液、及び水の順で洗浄して水不溶性の繊維状成形体を得た。得られた水不溶性の繊維状成形体について、前述の「溶解度試験」を実施したところ、繊維状の原形が72時間以上保持されていた。
実施例8で製造した水不溶性のスポンジ状成形体を繭型に切り出した後、市販の化粧水を含浸させた。繭型のスポンジ状成形体は、化粧水に溶解することはなかった。また、肌への貼り付き性が高いため、目元貼付用の化粧材として使用することができた。
12cm×9cmのサイズに切り出した実施例1で製造した水不溶性膜を、10%グリセリン水溶液に浸漬した後、風乾して滅菌用袋に封入した。25kGyの放射線を照射して滅菌用袋ごと滅菌して癒着防止膜を得た。成犬(ビーグル犬、雌、1.5歳、体重約10kg)を全身麻酔処置後に開腹し、腹側壁表皮を3cm角に剥離した。剥離部分を覆うように癒着防止膜を配置して閉腹した。2週間後、同犬を全身麻酔処置後に開腹したところ、癒着は発生していなかった。また、犬の体内に配置(埋植)した癒着防止膜は、埋植後2週間で消失していた。これは、生体内のナトリウムイオン等によって癒着防止膜を構成するヒアルロン酸のカルボキシ基が徐々に中和され、可溶性のヒアルロン酸塩と変化して溶解し、生体内に吸収されたものと推測される。これに対して、癒着防止膜を配置することなく閉腹した犬については、剥離部分と腸に癒着が生じていることが観察された。
実施例1で製造した水不溶性膜1gを10%炭酸ナトリウム水溶液に浸漬したところ、30分後に溶解した。一方、実施例1で製造した水不溶性膜1gを水に浸漬したところ、30分経過しても溶解せず、原形を留めていた。以上より、本実施形態の水不溶性膜は、ナトリウム塩(ナトリウムイオン)存在下においてヒアルロン酸のカルボキシ基が中和され、可溶性のヒアルロン酸塩と変化して徐々に溶解することが確認された。
実施例1で製造した水不溶性膜1gを5000ユニット/mLのヒアルロニダーゼ水溶液に浸漬し、37℃に調整した振盪機に入れて10〜20rpmで振盪した。一方、実施例1で製造した水不溶性膜1gをPBS緩衝液(pH6.8)に浸漬し、37℃に調整した振盪機に入れて10〜20rpmで振盪する対照試験も行った。5日後、PBS緩衝液に浸漬した水不溶性膜は原形を留めていたが、ヒアルロニダーゼ水溶液に浸漬した水不溶性膜は完全に溶解していた。本実施形態の水不溶性膜はヒアルロン酸骨格を保持しているため、ヒアルロニダーゼによって分解されたといえる。以上より、本実施形態の水不溶性膜は、生体内に配置された場合においても、水溶性ヒアルロン酸と同様の代謝経路によって代謝されると推測される。
実施例1で製造した水不溶性膜を2cm角に切断し、直径3.5cm、深さ1.5cmの容器に入れ、PBS緩衝液(pH6.8)5mLを加えた。この容器を37℃に調整した振盪機に入れ、10〜20rpmで振盪した。その結果、3ヶ月以上経過しても膜の原形が保持されていることが判明した。
Claims (9)
- ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を用いて形成した原料成形体を、有機酸及び有機酸無水物の少なくともいずれかの蒸気に接触させて、前記原料成形体を水不溶化させて水不溶性成形体を形成する工程を有する水不溶性成形体の製造方法。
- 前記ポリアニオン性多糖類が、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシメチルでんぷん、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパリン、アルギン酸、ペクチン、及びカラギーナンからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1に記載の水不溶性成形体の製造方法。
- 前記有機酸が、酢酸及びプロピオン酸の少なくともいずれかであり、
前記有機酸無水物が、無水酢酸及び無水プロピオン酸の少なくともいずれかである請求項1又は2に記載の水不溶性成形体の製造方法。 - 前記原料成形体の形状が、粉状、粒子状、膜状、塊状、繊維状、管状、又はスポンジ状である請求項1〜3のいずれか一項に記載の水不溶性成形体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された水不溶性成形体。
- 粉状、粒子状、膜状、塊状、繊維状、管状、又はスポンジ状である請求項5に記載の水不溶性成形体。
- 医療用材料、食品用材料、又は化粧品用材料である請求項5又は6に記載の水不溶性成形体。
- 請求項5又は6に記載の水不溶性成形体に多価アルコール又は多価アルコール水溶液を保持させる工程を有する癒着防止材の製造方法。
- 請求項8に記載の製造方法によって製造された癒着防止材。
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