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JP6079846B2 - インクジェット記録用インクセット、及びこれを用いた記録方法 - Google Patents
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インクジェット記録用インクセット、及びこれを用いた記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット記録用インクセット、及びこれを用いた記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、インク小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。近年のインクジェット記録技術の革新的な進歩により、これまで銀塩写真やオフセット印刷によってのみ実現されてきた高精細印刷の分野にまでインクジェット記録方法が用いられるようになっている。それに伴い、銀塩写真やオフセット印刷の分野で用いられてきた印画紙やアート紙等に匹敵する高光沢性の記録媒体、いわゆる専用紙をインクジェット記録に使用して、銀塩写真並の光沢感を有する画像を実現できるインクジェット記録用のインクが開発されている。また、普通紙を用いた場合であっても、銀塩写真並の画質を実現できるインクジェット記録用のインクが開発されている。
例えば、高品質の画像を実現するために、カラーインクと共に、着色剤を含まないクリアインクを記録媒体に付着させて記録を行うことが提案されている。例えば、特許文献1には、着色剤を含むカラーインクにより画像を形成し、その画像上にクリアインクを付着させることが提案されている。
ところで、近年、デジタルデータからの画像形成技術が普及したことに伴い、特に印刷分野では、デスクトップパブリッシング(DTP)が普及しつつある。DTPにより印刷を行う場合であっても、実際の記録物との光沢感や色感を確認するために、事前に色校正用プルーフを作製することが行われている。このプルーフの出力に、インクジェット記録方式を適用することが行われており、DTPにおいては記録物の色再現、安定性再現が求められることから、記録媒体として、通常、インクジェット記録用の専用紙が使用されている。
インクジェット記録用の専用紙は、印刷本紙に実際に印刷した出力物と光沢感や色感が同じになるように作製されている。このように、印刷本紙の種類に応じて専用紙の材質が適宜調整されているが、多種多様の印刷本紙に全て対応した専用紙を作製するのは製造コストの上昇を招く。そこで、色校正用途においては、専用紙よりも印刷本紙にインクジェット記録を行いたいとの要望がある。また専用紙を用いずに、直接印刷本紙にインクジェット記録を行ったものを最終校正見本とできれば、校正にかかるコストを大幅に低減できると考えられる。また、印刷分野で広く使用されている、ポリエチレン樹脂やポリエステル樹脂に無機フィラー等を混合してフィルム化した合成紙は、リサイクル性に優れ、環境に優しい材料として近年注目されている。
印刷本紙は、その表面に油性インクを受容するための塗工層が設けられた塗工紙であるが、塗工層のインク吸収能力が乏しいという特徴を有する。そのため、インクジェット記録に一般的に用いられている水性の顔料インクを使用すると、記録媒体(印刷本紙)へのインクの浸透性が低く、画像に滲みや凝集むらが生じる場合がある。
上記の問題に対し、例えば、特許文献2には、界面活性剤としてポリシロキサン化合物を用い、溶解助剤として1,2−ヘキサンジオール等のアルカンジオールを添加することにより、滲みが改善され、かつ専用紙に対する光沢性にも優れる顔料系インクが開示されている。
また、特許文献3には、吸水性の低い記録媒体において印刷斑のない高品質な記録物を得ることができる、着色剤と、水と、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性の1,2−アルカンジオールと、ジアルキレングリコールと、界面活性剤とを含むカラーインクが提案されている。また、特許文献4には、定着性に優れ、かつ印刷斑のない高品質な記録物を得ることができる、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性アルコールと、水と、ポリマー微粒子とを少なくとも含んでなり、かつ着色剤を含まないクリアインクが提案されている。しかしながら、各種記録媒体、とりわけ合成紙や印刷本紙などの非吸水性または低吸水性記録媒体においても、定着性に優れるインクについては、未だ希求されているといえる。
特開2003−335058号公報 特開2005−194500号公報 特開2009−209338号公報 特開2009−297924号公報
しかしながら、特許文献3に記載のカラーインクでは、着色剤を含むため、インク膜強度が低く、かつ定着性を付与する樹脂含有量が少ないため、耐擦性が弱い。そのため、特許文献4に記載の、定着樹脂や滑り剤を添加したクリアインクにより、印刷本紙上においても耐擦性向上を付与できる。しかし、前記カラーインクおよびクリアインクの定着性および滑り性では、記録物表面の擦れはほぼ目立たないものの、非印字面へ記録物表面のインクが転写してしまうという課題があった。
さらに、表面に画像が形成された記録物を何枚も積み重ねた場合、記録物同士が摩擦し合うことで、第1の記録物上のインク成分が、これと接触する第2の記録物に転写する場合がある。また、仮に上記課題が起きない場合であっても、複数の記録物の裁断やパンチ穴を開ける場合には、複数の記録物に高い圧力がかかることにより、裁断面やパンチ穴面にインク成分が転写するという課題が新たに発生している。
本発明者らは、今般、特定のインクセットにより、各種記録媒体、とりわけ合成紙や印刷本紙などの非吸水性または低吸水性の記録媒体においても、定着性に優れ、前記の望まない転写が抑制された記録物を得ることにある。前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
(適用例1)カラーインクと、クリアインクと、を含むインクジェット記録用インクセットであって、前記カラーインクは、第1のポリウレタン樹脂と、第1のポリマー微粒子と、を含み、前記クリアインクは、第2のポリウレタン樹脂と、第2のポリマー微粒子と、を含み、かつ、前記第1のポリウレタン樹脂に対する前記第2のポリウレタン樹脂の質量比が2〜4であり、前記第1のポリマー微粒子に対する前記第2のポリマー微粒子の質量比が1〜3である、インクジェット記録用インクセット。
(適用例2)前記第1及び第2のポリウレタン樹脂の合計質量が、4.5〜13.5であり、前記第1及び第2のポリマー微粒子の合計質量が、3〜6である、適用例1に記載のインクジェット記録用インクセット。
(適用例3)前記第1又は第2のポリマー微粒子の少なくともいずれかが、ポリオレフィンである、適用例1又は2に記載のインクジェット記録用インクセット。
(適用例4)前記第1又は第2のウレタン樹脂の少なくともいずれかのTgが50℃以下である適用例1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクセット。
(適用例5)前記カラーインク及び前記クリアインクが、さらに、炭素数7以上のアルカンジオールを含む、適用例1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクセット。
(適用例6)前記カラーインク及び前記クリアインクが、さらに、炭素数6以下のアルコールを含み、前記炭素数6以下のアルコールは、アルカンジオール、アルカントリオール及びアルキレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、適用例1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクセット。
(適用例7)前記カラーインク及び前記クリアインクが、さらに、ポリオルガノシロキサン系界面活性剤を含む、適用例1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクセット。
(適用例8)適用例1〜7のいずれか一項に記載のインクセットを用いる記録方法であって、前記カラーインクを記録媒体に付着させた後に、前記クリアインクを前記記録媒体に付着させる、記録方法。
本発明によれば、各種記録媒体、とりわけ合成紙や印刷本紙などの非吸水性または低吸水性の記録媒体においても、定着性に優れ、かつ光沢性や発色性に優れる記録物を得ることができ、かつ経過後の印字安定性にも優れる。
ポリオレフィンワックスを含むクリアインクを被記録面へ吐着させて形成された吐着乾燥直後の記録画像の塗膜を模式的に示す断面図である。 図1の塗膜表面に摩耗要因を付与した後の記録画像の塗膜を模式的に示す断面図である。
本発明の一実施形態にかかるインクジェット記録用インクセット、及びこれを用いた記録方法について説明する。
<定義>
本明細書において、アルカンジオールは、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよい。
また、水溶性とは、20℃での、水への溶解度(水100gに対する溶質の量)が、10.0g以上であることを意味し、難水溶性とは、水への溶解度(水100gに対する溶質の量)が、1.0g未満であることを意味する。
また、本明細書において、「非吸水性または低吸水性の記録媒体」とは、水性インクの受容層を備えていない、あるいは、水性インクの受容層が乏しい記録媒体をいう。より定量的には、非吸水性または低吸水性の記録媒体とは、記録面が、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
<インクセット>
本実施形態によるインクジェット記録用インクセット(インクセットとも称する)は、カラーインクと、クリアインクと、を含むインクジェット記録用インクセットであって、前記カラーインクは、第1のウレタン樹脂と、第1のポリマー微粒子と、を含み、前記クリアインクは、第2のウレタン樹脂と、第2のポリマー微粒子と、を含み、かつ、前記第1のウレタン樹脂に対する前記第2のウレタンの質量比が1〜3であり、前記第1のポリマー微粒子に対する前記第2のポリマー微粒子の質量比が2〜4である、インクジェット記録用インクセットである(以下、「カラーインク及びクリアインク」を単に「インクセット」という場合があり、カラーインク又はクリアインクを単に「インク」という場合がある)。このようなインクセットを用いることにより、各種記録媒体、とりわけ合成紙や印刷本紙などの非吸水性または低吸水性の記録媒体においても、定着性に優れる記録物を得ることができる。
インクの定着性は、記録画像の表面における摩擦力と、メディアとインクとの密着性に起因している。本実施形態のインクセットによれば、上記の第1及び第2のポリマー微粒子によって、記録画像の表面での摩擦力を軽減(すなわち滑り性が大きい)し、さらに上記の第1及び第2のポリウレタン樹脂によって、メディアとインクとの密着性を高めている。
さらに、本実施形態のインクセットによれば、前記第1のウレタン樹脂に対する前記第2のウレタンの質量比が1〜3であり、前記第1のポリマー微粒子に対する前記第2のポリマー微粒子の質量比が2〜4であることで、複数の記録物の裁断やパンチ穴を開ける場合における望まない転写を抑制することが可能となる。
(ポリマー微粒子)
本実施形態によるインクセットは、ポリマー微粒子が含まれる。カラーインクに含まれる第1のポリマー微粒子と、クリアインクに含まれる第2のポリマー微粒子は同一のポリマー微粒子であってもよいし、異なるポリマー微粒子であってもよい。
前記ポリマー微粒子は、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィンワックスが好ましく挙げられる。
前記ポリオレフィンワックスは、インクの被記録面への吐着により形成される膜の乾燥膜厚よりも大きい粒径を有するものであることが好ましい。インク膜よりも突出した粒子として被記録面に付着することにより、記録面に圧力がかかった際にポリオレフィンワックス粒子が自ら潰れて、インク膜最表面の滑りを良くすることができると考えられる。すなわち、クリアインクが記録媒体に付着して乾燥すると、図1に示すように、インク塗膜2からポリオレフィンワックス粒子1が突出した状態となる。この状態で、記録画像に摩耗の原因となる外的要因の影響が与えられた場合、図2に示すように、ポリオレフィンワックス粒子1の突出部分が膜表面に広がる。この広がったワックスにより記録画像が摩耗を受けにくくなり、耐擦性が発現するものと考えられる。
ポリオレフィンワックスの粒径は、定着性と経過後の印字安定性の観点では、76nm〜800nmが好ましく、とりわけ150nm以上、中でも150nm〜250nmであることが好ましい。なお、ポリオレフィンワックスの粒径とは、マイクロトラック法で測定した粒子直径(平均値)をいう。
上記ポリオレフィンワックスは、インクの被記録面へ固着した膜に粒子として残留しやすい点で、その融点若しくは環球法軟化点(JIS K 2207)が110℃以上、特に110〜150℃であることが好ましい。
また、ポリオレフィンワックスは、その針入度法硬度(JIS K 2207)が1以上であることが好ましく、より好ましくは2〜5である。
ポリオレフィンワックスとしては、インクを被記録面へ吐着させた際に形成される膜(記録画像等の塗膜)中において所定粒径の粒子の状態を保持し得る限り特に制限されるものではなく、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンまたはその誘導体から製造したワックスおよびそのコポリマー、具体的には、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリブチレン系ワックス等の単独または複数種が挙げられる。
本実施形態によるポリオレフィンワックスは、図1に示すように、記録媒体上のインク膜において、造膜せずに、存在できる。記録時の温度、乾燥時の温度、溶剤等の可塑効果を受けた後であっても、最低造膜温度(MFT)に至っていない為と考えられる。
本実施形態によるポリオレフィンワックスの最低造膜温度(MFT)の好ましい範囲は、前記理由に拘束されるものではないが、20℃以上であることが好ましく、より好ましくは60℃以上である。このような、ポリオレフィンワックスとしては、市販されているものを利用することも可能であり、その具体例として、「ケミパールW4005」(ポリエチレン系ワックス、粒径200nm〜800nm、環球法軟化点110℃、針入度法硬度3、固形分40%、三井化学社製)等のケミパールシリーズを好適に用いることができる。また、AQUACER515(ポリエチレン系ワックス、粒径100〜200nm、融点130℃、固形分30%であるビックケミージャパン(株)製)等も好適に使用することができる。なお、特開2003−201436号公報に記載されているポリオレフィンワックスも好適に使用することができる。
本実施形態のインクセットによれば、第1のポリマー微粒子に対する第2のポリマー微粒子の質量比は1〜3である。上記範囲とすることで、定着性に優れた画像を形成することができる。
前記ポリマー微粒子の含有量(固形分)は、上記の範囲を満たす限りにおいて特に限定されず、例えば、各インクの全質量に対し、0.2〜5.0質量%である。好ましい含有量は、第1のポリマー微粒子が1.0〜4.0質量%であり、第2のポリマー微粒子が1.0〜6.0質量%である。より好ましい含有量は、第1のポリマー微粒子が1.5〜3.0質量%であり、第2のポリマー微粒子が1.5〜4.5質量%である。上記範囲とすることで、定着性に優れた画像を形成することができる。
(ポリウレタン樹脂)
本実施形態によるインクセットは、ポリウレタン樹脂が含まれる。カラーインクに含まれる第1のポリウレタン樹脂と、クリアインクに含まれる第2のポリウレタン樹脂は同一のポリウレタン樹脂であってもよいし、異なるポリウレタン樹脂であってもよい。
本実施形態ではポリウレタン樹脂として、ポリカーボネート系またはポリエーテル系のアニオン性ポリウレタン樹脂を用いる。かかる構造のポリウレタン樹脂の合成には公知の方法を適用することができ、例えば、2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、2個以上の活性水素基を有する化合物と、を反応させて得ることができる。2個以上の活性水素基を有する化合物が、ポリエーテルポリオールまたはポリカーボネートポリオールである。
2個以上のイソシアネート基を有する化合物は、特に制限されないが、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の鎖状の脂肪族イソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の環状構造を有する脂肪族イソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジクロロ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネートが挙げられる。これらはその1種を単独で用いてもよく、またはそれらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
ポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、或いは、エピクロロヒドリン等の環状エーテル化合物を、活性水素原子を有する化合物を触媒とする等して、単独または2種以上を混合して開環重合する等して得られる重合体が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネートポリオールとしては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、或いは、ポリテトラメチレングリコール等のようなジオール類と、ホスゲン、ジメチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、或いは、エチレンカーボネート等の環式カーボネートとの反応生成物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ポリウレタン樹脂をアニオン性にするためには、例えば、カルボキシル基やスルホン基等を有するモノマーを導入すればよい。このようなモノマーとしては、乳酸等のモノヒドロキシカルボン酸;α,α−ジメチロール酢酸、α,α−ジメチロールプロピオン酸、α,α−ジメチロール酪酸等のジヒドロキシカルボン酸、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノー2−トルエンスルホン酸等のジアミノスルホン酸などが挙げられる。
一般的にポリウレタン樹脂の性質として、ポリウレタン樹脂の主鎖間が水素結合により緩やかに結合するため、柔軟で強靭な膜構造を形成させることが可能である。上記ポリウレタン樹脂を用いることにより、通常のインクジェット印刷を行う温度(10℃〜40℃)において流動性を維持した状態で、記録媒体上で広がるようにしながら、柔軟な膜構造を形成するため、耐擦性が向上する。また、一般に印刷用途に使われるメディア(例えば、インクジェット用専用記録用紙「OHPシート」セイコーエプソン株式会社製)は正に帯電していることが多いため、アニオン性のウレタンをインクの定着樹脂として用いることで、静電相互作用により密着性が向上する。また、ポリエーテル系またはポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、ポリエステル系ポリウレタン樹脂などに比べて、柔軟性の高い膜を形成しやすいため、耐擦性が向上する。また、ポリエーテル系またはポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、水に対して劣化しにくい性質も有するため、水性インクに用いる際に好ましい。
また、上記ポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、−10℃以下であることが特に好ましい。詳細な理由は明らかではないが、50℃以下のガラス転移温度をもつポリウレタン樹脂が記録媒体上で広がるようにしながら画像を形成するため、色材である金属化合物を記録媒体上により強固に定着させることができる。これにより、優れた耐擦性を有する画像を得ることができる。特に、ポリウレタン樹脂のガラス転移温度を0℃以下とすることにより、間欠印字特性を格段に向上させ、インクジェット記録時のノズル抜け等を抑制することができる。
そして、ポリウレタン樹脂としてポリカーボネート系またはポリエーテル系のアニオン性ポリウレタン樹脂を用いる本実施形態のインクは、乾燥とともに表面で膜化が起こり、ポリエステル系などのウレタン樹脂に比べて、柔軟性の高い膜を形成することができる。
本実施形態におけるポリウレタン樹脂としては、溶媒中に粒子状で分散されたエマルションタイプ、溶媒中に溶解した状態で存在している溶液タイプのいずれのタイプを用いてもよい。また、エマルションタイプは、その乳化方法によって強制乳化型と自己乳化型に分類することができ、本実施形態においてはいずれの型式でも用いることができるが、好ましくは自己乳化型である。自己乳化型のディスパージョンは、強制乳化型に比べ、造膜性や耐水性に優れるため、水に強い膜を表面に形成する。
本実施形態に用いられるポリウレタン樹脂としては、例えば、「タケラック(登録商標)W−6061」(三井化学社製)などの強制乳化型ポリウレタンエマルション、「レザミンD(登録商標)D−1060」(大日精化社製)、「タケラックW−6021」(三井化学社製)、「WBR−016U」(大成ファインケミカル(株)製ポリエーテル、Tg=20℃)などの自己乳化型ポリウレタンエマルションなどが挙げられる。
ポリウレタン樹脂として上記のエマルションタイプを適用した場合、ポリウレタン樹脂の平均粒子径は、好ましい50〜200nmであり、より好ましくは60〜200nmである。ポリウレタンの樹脂の平均粒子径が上記範囲にあると、インク中においてポリウレタン樹脂粒子を均一に分散させることができる。
本実施形態のインクセットによれば、第1のポリウレタン樹脂に対する第2のポリウレタン樹脂の質量比は2〜4である。上記範囲とすることで、定着性に優れた画像を形成することができる。
上記ポリウレタン樹脂の含有量(固形分)は、上記の関係を満たす限りにおいて特に限定されず、例えば、各インクの全質量に対して、1.0〜10質量%である。好ましい含有量は、第1のポリウレタン樹脂が1.0〜5.0質量%であり、第2のポリウレタン樹脂が2〜10質量%である。より好ましい含有量は、第1のポリウレタン樹脂が1.5〜4.5質量%であり、第2のポリウレタン樹脂が3〜9質量%である。上記範囲とすることで、定着性に優れた画像を形成することができる。
ポリマー微粒子に対するポリウレタン樹脂の含有質量比は、本実施形態の効果を奏する限り特に限定されるものではない。カラーインクにおいては、例えば、第1のポリマー微粒子に対する第1のポリウレタン樹脂の質量比は、0.5〜3.0とすることが好ましく、より好ましくは、1.0〜2.0である。クリアインクにおいては、例えば、第2のポリマー微粒子に対する第2のポリウレタン樹脂の質量比は、0.5〜5.0とすることが好ましく、より好ましくは、2.0〜4.0である。上記範囲とすることで、定着性に優れた画像を形成することができる。
(難水溶性のアルカンジオール)
本実施形態によるインクには、難水溶性のアルカンジオールが含まれる。
本実施形態の好ましい態様によれば、難水溶性のアルカンジオールは、片末端アルカンジオールである。また、本実施形態の好ましい態様によれば、難水溶性のアルカンジオールは、炭素数7以上のアルカンジオールが好ましく、より好ましくは炭素数7〜10のアルカンジオールである。さらに好ましくは難水溶性の1,2−アルカンジオールであり、ビーディングをより効果的に抑制できる。難水溶性の1,2−アルカンジオールとしては、例えば、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、5−メチル−1,2−ヘキサンジオール、4−メチル−1,2−ヘキサンジオール、または4,4−ジメチル−1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。これらの中でも、1,2−オクタンジオールがより好ましい。
難水溶性のアルカンジオールは、インク全体に対し、1.0〜4.0質量%含有されていることが好ましく、より好ましくは2.0〜4.0質量%である。難水溶性のアルカンジオールのインクへの含有量が上記範囲内にあることで、特に下限を下回らずあることが、印刷本紙のようなインク吸収性の低い記録媒体において、印刷斑を防止する観点から好ましい。一方、上限を超えずにあることで、難水溶性のアルカンジオールをインク中に完全に溶解しないことを防止できる。
(水溶性アルコール)
本実施形態によるインクには、特定の水溶性アルコールが含まれる。本実施形態による特定の水溶性アルコールは、難水溶性アルカンジオールを溶解させる溶解助剤として用いるものである。溶解助剤とは、例えば、20℃において凝集もしくは二相分離等の相溶性のない状態にある、1.2―オクタンジオール10質量%と、純水90質量%とからなる混合物10gに対して、前記水溶性アルコールを10g以下、後添加することによって、透明溶液もしくはコロイド分散状態に変化できるものを意味する。よって、水溶性アルコールであっても、例えば、グリセリンは該当しない。
前記水溶性アルコールとしては、本実施形態の効果を奏する限り特に限定されないが、炭素数6以下のアルカンジオール、アルカントリオール、アルキレングリコールが挙げられる。具体例としては、1,2,6−ヘキサントリオール、3−メチル−1,5−ペンタントリオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、および4−メチル−1,2−ペンタンジオールからなる群から選択される一または二以上が挙げられる。
前記水溶性アルコールは、インク全体に対し、4.0〜20.0質量%含有されていることが好ましく、より好ましくは7.0〜12.0質量%であり、さらに好ましくは4.0〜10.0質量%である。水溶性アルコールのインクへの含有量が上記範囲内にあることで、特に下限を下回らずあることが、難水溶性のアルカンジオールのインク中への溶解の観点から好ましい。一方、上限を超えずにあることが、インクの初期粘度の観点から好ましく、また各種記録媒体、とりわけ合成紙や印刷本紙などの非吸水性または低吸水性の記録媒体においても、さらに定着性に優れる記録物を得ることができる。
難水溶性のアルカンジオールと水溶性アルコールとの含有量比は、1:1〜1:20であることが好ましく、より好ましくは1:1〜1:6である。この範囲とすることにより、難水溶性のアルカンジオールをインク中に安定的に溶解させることができ、ひいては吐出安定性が向上する。一方、水溶性アルコールの割合が上記範囲にあることで、特に上限を超えずにあることが、インク初期粘度の低減と凝集斑低減の両立の観点から好ましい。また、水溶性アルコールの割合が上記範囲にあることで、特に下限を下回らずあることが、難水溶性のアルカンジオールをインク中に安定的に溶解させるとの観点から好ましく、経過時の粘度変化抑制や保存安定性の維持の観点からも好ましい。
(界面活性剤)
本実施形態によるインクは、界面活性剤をさらに含むことが好ましい。記録媒体として、その表面にインクを受容するための樹脂がコーティングされたものに対して、界面活性剤を用いることにより、光沢感がより重視される写真紙等の記録媒体においても、優れた光沢を有する画像を実現することができる。とりわけ、印刷本紙のように、表面の受容層に油性インクを受容するための塗布層が設けられているような記録媒体を用いた場合であっても、色間の滲み(ブリード)を防止できるとともに、インク付着量の増加に伴い発生する光の反射光による白化を防止することができる。なお、界面活性剤の本実施形態のインクへの添加にあっては、動的表面張力が26mN/m以下となるように留意することが好ましい。動的表面張力は、例えば、バブルプレッシャー動的表面張力計BP2(KRUS社製)を用いて測定することができる。
本実施形態において用いられる界面活性剤としては、オルガノポリシロキサン系界面活性剤を好適に使用でき、記録画像を形成する際に、記録媒体表面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。オルガノポリシロキサン系界面活性剤を用いた場合、上記したような二種類のアルコール溶剤を含有するため、界面活性剤のインク中への溶解性が向上し、不溶物等の発生を抑制できるため、吐出安定性がより優れるインクを実現できる。
上記のような界面活性剤は市販されているものを用いてもよく、例えば、オルフィンPD−501(日信化学工業株式会社製)、オルフィンPD−570(日信化学工業株式会社製)、BYK−347(ビックケミー株式会社製)、BYK−348(ビックケミー株式会社製)等を用いることができる。
また、オルガノポリシロキサン系界面活性剤として、下記式(I)で表される一種または二種以上の化合物を含んでなるか、または、下記式(I)の化合物において、Rは水素原子またはメチル基を表し、aは2〜11の整数を表し、mは2〜50の整数を表し、nは1〜5の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることが好ましく、または、下記式(I)の化合物において、Rが水素原子またはメチル基であり、aが2〜13の整数であり、mは2〜50の整数であり、nは1〜5の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。
Figure 0006079846
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、aは2〜13の整数を表し、mは2〜70の整数を表し、nは1〜8の整数を表す。)
また、上記式(I)の化合物において、Rが水素原子またはメチル基であり、aが2〜13の整数であり、mは2〜50の整数であり、nは1〜8の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。あるいは、上記式(I)の化合物において、Rがメチル基であり、aが6〜18の整数であり、mが0〜4であり、nが1または2である一種または二種以上の化合物を含んでなることが好ましく、または、Rがメチル基であり、aが6〜18の整数、であり、mが0であり、nが1である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。このような特定のオルガノポリシロキサン系界面活性剤を使用することにより、記録媒体として印刷本紙に印刷した場合であっても、インクの凝集むらがより改善される。
上記式(I)の化合物においては、aが2〜5の整数であり、mが20〜40の整数であり、nが2〜4の整数である化合物、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物、または、aが6〜10の整数であり、mが10〜20の整数であり、nが4〜8の整数である化合物を用いることがより好ましい。このような化合物を使用することによって、より一層インクの凝集むらが改善できる。
また、上記式(I)の化合物においては、Rが水素原子であり、aが2〜5の整数であり、mが20〜40の整数であり、nが2〜4の整数である化合物、または、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物を用いることがさらに好ましい。このような化合物を使用することにより、さらにインクの凝集むらと滲みを改善することができる。
また、上記式(I)の化合物においては、Rがメチル基であり、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物、または、aが6〜10の整数であり、mが10〜20の整数であり、nが4〜8の整数である化合物を用いることがさらに好ましい。このような化合物を使用することにより、さらにインクの凝集むらと滲みを改善することができる。
さらに、上記式(I)の化合物においては、Rがメチル基であり、aが6〜12の整数、であり、mが0であり、nが1である化合物を用いることがさらに好ましい。このような化合物を使用することにより、さらにインクの凝集むらと滲みを改善することができる。
また、上記式(I)の化合物においては、Rが水素原子であり、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが6〜10の整数であり、mが10〜20の整数であり、nが4〜8の整数である化合物とを混合したものを用いることが最も好ましい。このような化合物を使用することにより、より一層、インクの凝集むらと滲みを改善することができる。
さらに、上記の式(I)においては、Rが水素原子であり、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが6〜18の整数であり、mが0であり、nが1である化合物とを混合したものを用いることが最も好ましい。このような化合物を使用することにより、より一層、インクの凝集むらと滲みを改善することができる。
前記ポリオルガノシロキサン系界面活性剤は、特に限定されないが、グリセリンを20質量%、1,2−ヘキサンジオールを10質量%、前記ポリオルガノシロキサン系界面活性剤を0.1質量%、および水を69.9質量%含むインクとした場合に、そのインクの1Hzの動的表面張力が26mN/m以下のものを使用することが好ましい。動的表面張力は、例えば、バブルプレッシャー動的表面張力計BP2(KRUS社製)を用いて測定することができる。
上記界面活性剤は、本実施形態によるインク中に、好ましくは0.01〜1.0質量%、より好ましくは0.05〜0.50質量%含有される。また、Rがメチル基である上記界面活性剤と、Rが水素原子である上記界面活性剤を併用した方が、インクの液滴が記録媒体に付着したとき、ドット形状の滲みが抑制されることから、より好ましい。特に、Rがメチル基である上記界面活性剤を使用する場合は、RがHである上記界面活性剤を用いた場合よりも、含有量を多くすることが、インクの凝集斑の観点から、好ましい。
さらに、Rがメチル基である上記界面活性剤に対して、RがHである上記界面活性剤の含有量を多くするほど、より好ましい。このようにすることで、キャストコート紙のような、インクを弾き易く、浸透速度が遅い、印刷本紙においても、インクの凝集斑と滲みを改善することができる。
本実施形態によるインクには、その他の界面活性剤、具体的には、アセチレングリコール系界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等をさらに添加しても良い。
これらのうち、アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、または3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は市販品も利用することができ、例えば、オルフィンE1010、STG、Y(商品名、日信化学社製)、サーフィノール61、104,82,465,485あるいはTG(商品名、Air Products and Chemicals Inc.製)が挙げられる。
(水、その他の成分)
本実施形態によるインクは、上記した特定のアルコール溶剤、その他の各種添加剤を含有するとともに、溶媒として水を含有する。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
また、本実施形態によるインクは、上記成分に加えて、浸透溶剤を含んでなることが好ましい。
本明細書において、浸透溶剤とは、通常のインクジェット記録用インクに用いられている浸透溶剤を意味し、例えば、グリコールエーテル類が挙げられる。
グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノールなどが挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物として用いることができる。
上記グリコールエーテル類の中でも、多価アルコールのアルキルエーテルが好ましく、特にエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルまたはトリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルが好ましい。より好ましくは、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルである。
上記浸透溶剤の添加量は適宜決定されてよいが、0.1〜30質量%程度が好ましく、より好ましくは1〜20質量%程度である。
また、本実施形態によるインクは、上記成分に加えて、記録媒体溶解剤を含んでいてもよい。
記録媒体溶解剤としては、N−メチル−2−ピロリドンなどの、ピロリドン類を好適に使用できる。上記記録媒体溶解剤の添加量は適宜決定されてよいが、0.1〜30質量%程度が好ましく、より好ましくは1〜20質量%程度である。
また、本実施形態によるインクにおいては、湿潤剤を実質的に含まないことが好ましい。湿潤剤は、インクジェットノズル等において、インクが乾燥して固化するのを防ぐ機能を有するものであるため、フィルムのインク吸収性能の低い合成紙にインクを滴下すると、インクが乾燥せず、高速印刷の際に問題となる場合がある。また、湿潤剤が含まれるインクを用いた場合、吸収されないインクが記録媒体表面に存在している状態で、次のインクが記録媒体上に付着するため、凝集斑が発生する場合がある。
そのため、本実施形態においては、このようなインク吸収性能の低い記録媒体を用いる場合に、湿潤剤を実質的に含まない方が好ましい。なお、インクジェットノズルにおいてインクが乾燥固化してしまった場合であっても、湿潤剤を含む溶液を適用することにより、固化したインクを再溶解させることができる。
特に、インク吸収性の低い合成紙等に適用する場合には、20℃において液体状態にある湿潤剤を、実質的に含まないことが好ましい。
本明細書において湿潤剤とは、通常のインクジェット記録用インクに用いられている湿潤剤を意味し、具体的には、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール等の炭素数3〜5の水溶性アルカンジオール類や、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン等である。これらの中でも、10Hz表面張力への影響の観点からは、グリセリンが好ましい。また、実質的に含まないとは、これら湿潤剤の添加量が、インクに対して1質量%未満であることを意味する。なお、上記した浸透溶剤の一部は、湿潤剤としても作用することは、当業者にとって明らかであるが、本明細書においては、上記した浸透溶剤は、湿潤剤には含まれないものとする。
本実施形態によるインクは、さらにノズルの目詰まり防止剤、防腐剤、防かび剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤などを添加することができる。
(顔料)
本実施形態のインクセットに係るカラーインクは顔料を含む。顔料は、特に限定されず、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク等のカラーインクに応じて適宜選択することが可能である。
シアンインクに含まれる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1,2,3,15:3,15:4,15:34,16,22,60;C.I.バットブルー4,60等が挙げられ、これらの一種または二種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントブルー15:3および/または15:4を用いることが好ましく、とりわけ、C.I.ピグメントブルー15:3を用いることにより、さらに良好な色相の画像を実現できる。
マゼンタインクに含まれる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5,7,12,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,112,122,123,168,184,202,209;C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられ、これらの一種または二種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントレッド122,202,209、およびC.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選ばれる一種または二種以上を用いることが好ましい。特に、γ型C.I.ピグメントバイオレット19およびC.I.ピグメントレッド202の固溶体を顔料として用いることにより、さらに良好な色相の画像を実現できる。
イエローインクに含まれる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,12,14,16,17,73,74,75,83,93,95,97,98,109,110,114,128,129,138,139,147,150,151,154,155,180,185等が挙げられ、これらの一種または二種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントイエロー74,110,128、129、および147からなる群から選ばれる一種または二種以上を用いることが好ましい。特に、C.I.ピグメントイエロー74および129を混合して用いることにより、さらに良好な色相の画像を実現できる。
ブラックインクに含まれる顔料としては、例えば、ランプブラック(C.I.ピグメントブラック6)、アセチレンブラック、ファーネスブラック(C.I.ピグメントブラック7)、チャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)等の炭素類、酸化鉄顔料等の無機顔料;アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料等が挙げられるが、本実施形態においては、カーボンブラックが好ましく用いられる。カーボンブラックとして、具体的には、#2650、#2600、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#966、#960、#950、#900、#850、MCF-88、#55、#52、#47、#45、#45L、#44、#33、#32、#30、(以上、三菱化学(株)製)、SpecialBlaek4A、550、Printex95、90、85、80、75、45、40(以上、デグッサ社製)、Regal660、RmogulL、monarch1400、1300、1100、800、900(以上、キャボット社製)、Raven7000、5750、5250、3500、3500、2500ULTRA、2000、1500、1255、1200、1190ULTRA、1170、1100ULTRA、Raven5000UIII(以上、コロンビアン社製)等が挙げられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントブラック6および/またはC.I.ピグメントブラック7を用いることにより、さらに良好な色相の画像を実現できる。
本実施形態のインクセットに係るカラーインクの顔料固形分濃度は、特に制限はないが、記録画像における発色性を確保する観点から、1〜10質量%であることが好ましい。
本実施形態のインクセットに係るカラーインクは、顔料を分散させるための分散剤を含むことができる。分散剤は特に限定されるものではないが、例えば、共重合樹脂を好ましく挙げることができる。これら共重合樹脂は、顔料に吸着して分散性を向上させる。
共重合体樹脂における疎水性モノマーの具体例としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルアクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、iso−オクチルアクリレート、iso−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フエニルメタクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ノニルフェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ボルニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエンなどを挙げることができる。これらは、単独でまたは二種以上を混合して用いてもよい。
親水性モノマーの具体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などを挙げることができる。
前記疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合樹脂は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインクの保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、スチレン−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、またはスチレン−マレイン酸共重合樹脂、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、またはスチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の少なくともいずれかであることが好ましい。
前記共重合樹脂は、スチレンと、アクリル酸またはアクリル酸のエステルと、を反応して得られる重合体を含む樹脂(スチレン−アクリル酸樹脂)であってもよい。あるいは、前記共重合樹脂は、アクリル酸系水溶性樹脂であってもよい。またはこれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩であってもよい。
これら共重合樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインクの保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100質量部に対して、好ましくは10〜50質量部であり、一層好ましくは10〜35質量部である。
また、分散剤として、界面活性剤を用いてもよい。このような界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルキルスルホン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、スルホ琥珀酸エステル塩、ナフテン酸塩、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類などの陰イオン界面活性剤;脂肪酸アミン塩、第四アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウムなどの陽イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。上記した界面活性剤はインクに添加されることで、界面活性剤としての機能をも果たすことは言うまでもない。
(インクジェット記録方法)
本実施形態によるインクジェット記録方法は、インクセットとして、上記のクリアインクと、上記のカラーインクとを少なくとも用い、インクの液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うことができる。
以下、本実施形態のインクジェット記録方法の一態様として、カラーインクがシアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクである場合を例にして説明する。
インク液滴の記録媒体への付着順序としては、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、またはブラックインクのいずれかの液滴を記録媒体に付着させた後、クリアインクの液滴を記録媒体に付着させてもよく、逆にクリアインクの液滴を記録媒体に付着させた後、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、またはブラックインクのいずれかの液滴を記録媒体に付着させてもよい。さらに、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、またはブラックインクのいずれかの液滴と、クリアインクの液滴とを、実質的に同時に記録媒体に付着させてもよい。
これらの付着順序の中でも、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、またはブラックインクのいずれかの液滴を記録媒体に付着させた後、クリアインクの液滴を記録媒体に付着させること、またはイエローインク、マゼンタインク、シアンインク、またはブラックインクのいずれかの液滴と、クリアインクの液滴とを、実質的に同時に記録媒体に付着させることが好ましい。さらに好ましくは、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、またはブラックインクのいずれかの液滴を記録媒体に付着させた後、クリアインクの液滴を記録媒体に付着させることが好ましい。ここで、実質的に同時とは、プリンターの同一のヘッド内で、異なるノズル列から、同一駆動内で印刷することをいう。
本実施形態による記録方法においては、記録媒体として合成紙や印刷本紙を用いることが好ましく、とりわけ、アート紙、POD(プリントオンデマンド)用途に用いられる高画質用紙およびレーザープリンター用の専用紙において、低解像度にて印刷した場合でも、白筋やザラツキ感のない高品質な画像が実現できる。POD用途の高画質用紙としては、例えば、リコービジネスコートグロス100(リコー株式会社製)等が挙げられる。また、レーザープリンター用の専用紙としては、例えばLPCCTA4(セイコーエプソン株式会社製)等が挙げられる。
以下、実施例をより詳細に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
<インク>
下記表1および表2の組成に従い各成分を混合し、10μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、各インクセットを調製した(実施例1〜6、比較例1〜6)。下記表1および表2中の数値はインク中の含有量(質量%)を表す。
表1および表2の組成成分は以下のとおりとする。
スチレン−アクリル系樹脂は、分子量1600、酸価150の共重合体である。
AQUACER515は、ポリエチレン系ワックス、粒径100〜200nm、融点130℃、固形分30%であるビックケミージャパン(株)製を使用した。
スルホン酸エステル樹脂は、以下に記載のとおり調製した。
ケミパールW4005は、ポリエチレン系ワックス、粒径200nm〜800nm、環球法軟化点110℃、針入度法硬度3、固形分40%である三井化学社製を使用した。
レザミンD−1060は、自己乳化型ポリウレタンエマルション、固形分40%である大日精化社製を使用した。
オルフィンE1010は、日信化学工業(株)製を使用した。
なお、表中の界面活性剤Xは、オルガノポリシロキサン系界面活性剤であり、上記の式(I)において、Rが水素原子であり、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物からなる界面活性剤である。
また、界面活性剤Yは、オルガノポリシロキサン系界面活性剤であり、上記の式(I)において、Rがメチル基であり、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物からなる界面活性剤である。
また、界面活性剤Zは、オルガノポリシロキサン系界面活性剤であり、上記の式(I)において、Rがメチル基であり、aが6〜18の整数であり、mが0であり、nが1である化合物からなる界面活性剤である。
(スルホン酸エステル樹脂の調製)
下記の各成分を2リットルビ−カ−に仕込み、100rpmで10分間攪拌し、モノマー乳化液を得た。
エチレン性不飽和モノマー:メチルメタクリレート 348g(58部)
ブチルアクリレート 240g(40部)
アクリル酸 12g(2部)
反応性乳化剤:アクアロンKH−10の15%水溶液 30g
(第一工業製薬社製、硫酸エステル基およびポリオキシエチレン基を含有)
連鎖移動剤:2−エチルヘキシルチオグリコレート 6g
水: 450g
次に、水520gおよび上記と同様の反応性乳化剤15%水溶液90gを、2Lセパラブルフラスコに投入し、180rpmで攪拌しながら60℃に昇温し、過硫酸アンモニウム2gを仕込んで70℃へ昇温した。
この反応性乳化剤水溶液中に、重合温度75℃を維持したまま3時間かけて、上記で得られたモノマー乳化液を逐次添加して乳化重合を行った。その後、重合溶液を80℃に昇温して1時間熟成させた後、冷却した。次いで、重合溶液に10%アンモニア水溶液を添加して中和し、pHが7.3となるよう調整した。
得られたスルホン酸エステル樹脂の平均粒子径造膜温度、および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、平均粒子径が50nmであり、造膜温度は15℃であり、Mw=45,000であった。なお、平均粒子径はPhotal PAR−III(大塚電子社製)を用いて測定し、造膜温度は造膜温度試験器(理学工業社製)を用いて測定した。また、重量平均分子量は、標準ポリスチレンを検量線として、GPC装置(SC8010(GPC)、東ソー社製)を用いて測定した。測定条件は以下の通りとした。
・溶離液:テトラヒドロフラン
・カラム:G4000HXL(東ソ−社製)
・流速 :1000μL/分
・カラム温度:40℃
Figure 0006079846
Figure 0006079846
<評価>
1.インクの定着性(耐擦性)
インクジェットプリンター(PX−G930、セイコーエプソン社製)の二つのインクカートリッジにシアンインク(実施例1〜6、比較例1〜6)を充填し、プリンターの排紙側に向かって最も左の列(市販商品においてはイエローインクカートリッジ装着位置)と、その右隣の列(市販商品においてはマゼンタインクカートリッジ装着位置)に装着した。また、クリアインク(実施例1〜6、比較例1〜6)は、二つのインクカートリッジに充填し、プリンターの排紙側に向かって左から3番目の列(市販商品においてはシアンインクカートリッジ装着位置)と、その右隣の列(市販商品においてはマットブラックインクカートリッジ装着位置)に装着した。
1−1.連続印刷
印刷本紙であるOKトップコートプラス(王子製紙製)またはユーライト(日本製紙製)にシアンインクを用いて、720×720dpiの解像度、1ドット7ngのドット重量で、3.6mg/inch2でベタ印刷を行い、1分以内に続いて、シアンベタ記録物上に、クリアインクを、720×720dpiの解像度、1ドット3ngのドット重量で1.0mg/inch2でオーバーコートした後、常温で放置して乾燥させた。常温で放置乾燥させながら断続的に、学振型摩擦堅牢試験機(AB−301 COLOR FASTNESS RUBBING TESTER、TESTER SANGYO.,LTD製)を用いて荷重500g×10回の試験を行なった。試験機の摩擦紙(OKトップコートプラス)についてスキャナーで画像を取り込み、Photoshop(登録商標)で画像を2値化し転写面積率を算出した。
1−2.同時印刷
印刷本紙であるOKトップコートプラス(王子製紙製)またはユーライト(日本製紙製)に、シアンインクとクリアインクを720×720dpiの解像度、1ドット7ngのドット重量で同時に印刷した。このとき、シアンインクのインク付着量は、3.6mg/inch2であり、クリアインクのインク付着量は、1.0mg/inch2になるように記録画像ファイルを作成し、ヘッド駆動に合わせて、同時に印刷した。その後、常温で放置乾燥させながら断続的に、学振型摩擦堅牢試験機(AB−301 COLOR FASTNESS RUBBING TESTER、TESTER SANGYO.,LTD製)を用いて荷重500g×10回の試験を行なった。試験機の摩擦紙(OKトップコートプラス)についてスキャナーで画像を取り込み、Photoshopで画像を2値化し転写面積率を算出した。
上記の「1−1.連続印刷」及び「1−2.同時印刷」において得られた定転写面積率を用いて、下記の評価基準でインクの定着性を評価した。
評価基準
S:摩擦紙への転写面積率が30%未満である。
A:摩擦紙への転写面積率が30%以上50%未満である。
B:摩擦紙への転写面積率が50%以上80%未満である。
C:摩擦紙への転写面積率が80%以上95%未満である。
D:摩擦紙への転写面積率が95%以上である。
評価結果を下記表3および表4に記載する。なお、表4の「連続印刷」の「クリアインク有」とは、実施例2のシアンインク付着の1分以内に実施例2のクリアインクを付着した場合を表し、表4の「同時印刷」の「クリアインク有」とは、実施例2のシアンインク付着と同時に実施例2のクリアインクを付着した場合を表し、表4の「クリアインク無」とは、実施例2のシアンインクのみ付着した場合を表す。
Figure 0006079846
Figure 0006079846
2.インクの定着性(パンチ穴開け)
インクジェットプリンター(PX−G930、セイコーエプソン社製)の二つのインクカートリッジにシアンインク(実施例1〜6、比較例1〜6のいずれか)を充填し、プリンターの排紙側に向かって最も左の列(市販商品においてはイエローインクカートリッジ装着位置)と、その右隣の列(市販商品においてはマゼンタインクカートリッジ装着位置)に装着した。また、クリアインク(実施例1〜6、比較例1〜6のいずれか)は、二つのインクカートリッジに充填し、プリンターの排紙側に向かって左から3番目の列(市販商品においてはシアンインクカートリッジ装着位置)と、その右隣の列(市販商品においてはマットブラックインクカートリッジ装着位置)に装着した。
2−1.連続印刷
印刷本紙であるOKトップコートプラス(王子製紙製)またはユーライト(日本製紙製)の片面にシアンインクを用いて、720×720dpiの解像度、1ドット7ngのドット重量で、3.6mg/inch2でベタ印刷を行い、1分以内に続いて、シアンベタパターン上に、クリアインクを、720×720dpiの解像度、1ドット3ngのドット重量で1.0mg/inch2でオーバーコートした後、常温で2時間放置した。上記の操作を30回行い、30枚の記録物を作成し、各記録物の画像同士が接触しないように重ねたもの(記録画像がある面と記録画像がない面が接触するように重ねたもの)を評価サンプルとした。
日本工業規格(JIS;Japanese Industrial Standards)JIS S 6041で規定されている事務用穴あけ器(2穴タイプ、とじ穴の寸法;直径5.5〜6.5mm)を用いて、上記評価サンプルのパンチ穴あけ試験を荷重15.0kgで行なった。試験後、16枚目の非印字面(記録画像がない面)への、15枚目の記録画像の転写面積率を評価した。転写面積率は、スキャナーで画像を取り込み、Photoshopで画像を2値化し算出した。
2−2.同時印刷
印刷本紙であるOKトップコートプラス(王子製紙製)またはユーライト(日本製紙製)に、シアンインクとクリアインクを720×720dpiの解像度、1ドット7ngのドット重量で同時に印刷した。このとき、シアンインクのインク付着量は、3.6mg/inch2であり、クリアインクのインク付着量は、1.0mg/inch2になるように記録画像ファイルを作成し、ヘッド駆動に合わせて、同時に印刷した後、常温で2時間放置した。上記の操作を30回行い、30枚の記録物を作成し、各記録物の画像同士が接触しないように重ねたもの(記録画像がある面と記録画像がない面が接触するように重ねたもの)を評価サンプルとした。
日本工業規格(JIS;Japanese Industrial Standards)JIS S 6041で規定されている事務用穴あけ器(2穴タイプ、とじ穴の寸法;直径5.5〜6.5mm)を用いて、上記評価サンプルのパンチ穴あけ試験を荷重15.0kgで行なった。試験後、16枚目の非印字面(記録画像がない面)への、15枚目の記録画像の転写面積率を評価した。転写面積率は、スキャナーで画像を取り込み、Photoshopで画像を2値化し算出した。
上記の「2−1.連続印刷」及び「2−2.同時印刷」において得られた転写面積率を用いて、下記の評価基準でインクの定着性を評価した。
評価基準
S:非印字面への転写面積率が30%未満である。
A:非印字面への転写面積率が30%以上50%未満である。
B:非印字面への転写面積率が50%以上80%未満である。
C:非印字面への転写面積率が80%以上95%未満である。
D:非印字面への転写面積率が95%以上である。
評価結果を下記表5に記載する。
Figure 0006079846
3.インクの定着性(記録方法)
インクジェットプリンター(PX−G930、セイコーエプソン社製)の二つのインクカートリッジに比較例6のシアンインクを充填し、プリンターの排紙側に向かって最も左の列(市販商品においてはイエローインクカートリッジ装着位置)と、その右隣の列(市販商品においてはマゼンタインクカートリッジ装着位置)に装着した。また、比較例6のクリアインクは、二つのインクカートリッジに充填し、プリンターの排紙側に向かって左から3番目の列(市販商品においてはシアンインクカートリッジ装着位置)と、その右隣の列(市販商品においてはマットブラックインクカートリッジ装着位置)に装着した。
3−1.連続印刷
まず、印刷本紙であるOKトップコートプラス(王子製紙製)またはユーライト(日本製紙製)にシアンインクを用いて、720×720dpiの解像度、1ドット7ngのドット重量で、3.6mg/inch2でベタ印刷を行い、1分以内に続いて、シアンベタパターン上に、クリアインクを、720×720dpiの解像度、1ドット3ngのドット重量で1.0mg/inch2〜2.5mg/inch2オーバーコートした後、常温で2時間放置した。上記の操作を30回行い、30枚の記録物を作成し、各記録物の画像同士が接触しないように重ねたもの(記録画像がある面と記録画像がない面が接触するように重ねたもの)を評価サンプルとした。
日本工業規格(JIS;Japanese Industrial Standards)JIS S 6041で規定されている事務用穴あけ器(2穴タイプ、とじ穴の寸法;直径5.5〜6.5mm)を用いて、上記評価サンプルのパンチ穴あけ試験を荷重15.0kgで行なった。試験後、16枚目の非印字面(記録画像がない面)への、15枚目の記録画像の転写面積率を評価した。転写面積率は、スキャナーで画像を取り込み、Photoshopで画像を2値化し算出した。
3−2.同時印刷
印刷本紙であるOKトップコートプラス(王子製紙製)またはユーライト(日本製紙製)に、シアンインクとクリアインクを720×720dpiの解像度、1ドット7ngのドット重量で同時に印刷した。このとき、シアンインクのインク付着量は、3.6mg/inch2であり、クリアインクのインク付着量は、1.0mg/inch2〜2.5mg/inch2になるように記録画像ファイルを作成し、ヘッド駆動に合わせて、同時に印刷した後、常温で2時間放置した。上記の操作を30回行い、30枚の記録物を作成し、各記録物の画像同士が接触しないように重ねたもの(記録画像がある面と記録画像がない面が接触するように重ねたもの)を評価サンプルとした。
日本工業規格(JIS;Japanese Industrial Standards)JIS S 6041で規定されている事務用穴あけ器(2穴タイプ、とじ穴の寸法;直径5.5〜6.5mm)を用いて、上記評価サンプルのパンチ穴あけ試験を荷重15.0kgで行なった。試験後、16枚目の非印字面(記録画像がない面)への、15枚目の記録画像の転写面積率を評価した。転写面積率は、スキャナーで画像を取り込み、Photoshopで画像を2値化し算出した。
上記の「3−1.連続印刷」及び「3−2.同時印刷」において得られた転写面積率を用いて、下記の評価基準でインクの定着性を評価した。
評価基準
S:非印字面への転写面積率が30%未満である。
A:非印字面への転写面積率が30%以上50%未満である。
B:非印字面への転写面積率が50%以上80%未満である。
C:非印字面への転写面積率が80%以上95%未満である。
D:非印字面への転写面積率が95%以上である。
評価結果を下記表6に記載する。評価には、比較例6のシアンインクとクリアインクをそれぞれ使用した。なお、表6の「クリアインク塗布量」が「0」とは、クリアインクを付着させない場合を表す。
Figure 0006079846
例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (9)

  1. カラーインクと、クリアインクと、を含むインクジェット記録用インクセットであって、
    前記カラーインクは、第1のポリウレタン樹脂と、第1のポリマー微粒子と、を含み、
    前記クリアインクは、第2のポリウレタン樹脂と、第2のポリマー微粒子と、を含み、かつ、
    前記第1のポリウレタン樹脂および前記第2のポリウレタン樹脂が、ポリカーボネート系またはポリエーテル系のアニオン性ポリウレタン樹脂であり、
    前記第1及び第2のポリマー微粒子の平均粒子径が、100nm〜800nmである、インクジェット記録用インクセット。
  2. 前記第1のポリウレタン樹脂に対する前記第2のポリウレタン樹脂の質量比が2〜4であり、
    前記第1のポリマー微粒子に対する前記第2のポリマー微粒子の質量比が1〜3である、請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
  3. 前記第1及び第2のポリウレタン樹脂の合計質量が、4.5〜13.5であり、
    前記第1及び第2のポリマー微粒子の合計質量が、3〜6である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インクセット。
  4. 前記第1又は第2のポリマー微粒子の少なくともいずれかが、ポリオレフィンである、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  5. 前記第1又は第2のウレタン樹脂の少なくともいずれかのTgが50℃以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  6. 前記カラーインク及び前記クリアインクが、さらに、炭素数7以上のアルカンジオールを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  7. 前記カラーインク及び前記クリアインクが、さらに、炭素数6以下のアルコー ルを含み、
    前記炭素数6以下のアルコールは、アルカンジオール、アルカントリオール及びアルキレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  8. 前記カラーインク及び前記クリアインクが、さらに、ポリオルガノシロキサン系界面活性剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクセットを用いる記録方法であって、
    前記カラーインクを記録媒体に付着させた後に、前記クリアインクを前記記録媒体に付着させる、記録方法。
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