JP6083640B2 - 永久磁石埋込型モータ - Google Patents
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Description
図1は本発明の一実施例であるIPMモータ1の構造を説明するための正面図であり、図2は図1に示すIPMモータ1のA−A断面の構造を示す断面図である。図1および図2を用いて本発明の一実施例であるIPMモータ1の構造および動作、効果を説明する。この実施例は内転型モータの例であり、積層鋼板で形成された固定子100の内側に前記固定子同様の積層鋼板で形成された回転子150が設けられている。また本実施例では、回転子150は、回転シャフトを備え前記回転シャフトを機械的に支持する構造のモータではなく、磁気力により回転子150を回転可能に支持する構成を備えている。
しかし、本発明は回転子150が機械的軸受けにより支持されるモータに適用しても、同様な効果が期待できる。すなわち本発明の基本的な作用や動作は機械的軸受けを有するモータであっても同じである。回転子150を機械的な軸受けにより支持するモータや磁気的に支持するモータのどちらにも本発明が適用できるが、これらを代表して回転子150を磁気的に支持する構造のモータを用いて説明する。
固定子100は、回転子150の外周に等間隔に配置された12個のティース110を有している。各ティース110およびティース110をつなぐ固定子コアー102は、それぞれ積層鋼板を打ち抜いて作られており、各ティース110に固定子巻線120が巻回されている。本実施例のIPMモータは3相12スロットのモータであり、回転子150は4極である。もちろんこれらスロット数や回転子150の磁極数は一例であり、これに限られるものではない。またこの実施例では固定子巻線120は集中巻であるが、分布巻でも本発明を適用することができ、同様に大きな効果を得ることができる。本発明の基本的な原理や作用および効果は集中巻であっても分布巻であっても同じであり、これらを代表して集中巻の例で以下説明する。
一方、回転子150を磁気力ではなく機械的な軸受けで保持する場合には、補助ティース114は不要であり、さらに径方向制御巻線132や回転軸方向制御巻線134、傾斜制御巻線136も不要となるため固定子構造は簡単になるが軸受けの磨耗を考慮しなければならず、機械的寿命或いは機械部品のメンテナンスを考慮する必要がある。
図3は、回転子150を図2に示すZ軸に垂直な面で切った状態の断面図である。回転子150は4極の構造であり、各磁極を磁極Aや磁極B、磁極C、磁極Dで示す。磁極は、回転子鉄心152に貫通して埋め込まれた長方形状の4個の主永久磁石162により形成される。図3においてのみ特別に4個の主永久磁石162を主永久磁石162A、主永久磁石162B、主永久磁石162C、主永久磁石162D、として記載する。これら主永久磁石162は基本動作が同じであり、他の図では主永久磁石162A〜主永久磁石162Dをそれぞれ単に主永久磁石162として記載する。磁極Aや磁極Cではこれらの磁極を形成するための主永久磁石162Aや主永久磁石162Cは、固定子100の側である外周側がN極で回転子150の中心側がSとなるように磁化されている。また磁極Bや磁極Dではこれらを形成するための主永久磁石162Bや主永久磁石162Dは、逆方向である固定子側すなわち外周側がS極で、回転子150の中心側がN極となるように磁化されている。すなわち回転子150の回転方向に於いて、磁極毎に埋設されている主永久磁石162の磁化方向が反転するように主永久磁石162が磁化されている。回転子150の磁極が4極より多くなった場合も同様であり、回転子150の回転方向に於いて、磁極毎に主永久磁石162の磁化方向が反転するように主永久磁石162が磁化されている。
隣同士の磁極片184の間で磁束が漏れて、固定子に導かれない磁束(以下漏れ磁束と記す)が生じる場合、漏れ磁束は回転トルクの発生に寄与しない。このため、隣同士の磁極片184の間の漏れ磁束を抑制することが望ましい。本実施例では、隣同士の磁極片184の間にはそれぞれ端部磁石174が設けられている。端部磁石174は漏れ磁束を低減するように、端部磁石174の磁石面が向いている磁極と同じ極性に磁化されている。磁極Aと磁極Bとの間の端部磁石174で説明すると、端部磁石174の磁極A側の面が磁極Aと同じN極となり、端部磁石174の磁極B側の面が磁極Bと同じS極となるように、端部磁石174は磁化されている。このことにより、磁極Aの磁極片184から磁極Bの磁極片184への漏れ磁束が大幅に低減される。このような磁化方法に従って全ての端部磁石174が磁化されている。なお本実施例は、端部磁石174として永久磁石を使用した、漏れ磁束を極めて少なくする理想的な構成を示している。端部磁石174の代わりに非磁性体を配置しても漏れ磁束を低減することができる。また、非磁性体の代わりに空隙にしても良い。以下非磁性体を使用した場合の前記非磁性体を空気の場合だけでなく総称して磁気空隙と記す。
固定子100の各巻線にまったく電流が供給されていない固定子100の非励磁状態での磁気吸引力に基づくトルク、すなわちコギングトルクについて次に説明する。コギングトルクはトルク脈動の要因となる。本実施例ではコギングトルクを低減するために各磁極片184に補助磁石172が設けられている。補助磁石172を用いてコギングトルクを低減する構成は、図3の構造に限定されるものではなく、補助磁石172の位置や補助磁石172の形状、さらに補助磁石172の数などに付いて色々考えられるが、代表的な例として図3に示す、2個の補助磁石172を使用した例を説明する。この補助磁石172は磁極片184から固定子100に入り込む磁束の分布あるいは固定子100から磁極片184に戻る磁束の分布を理想的な分布に近づける作用をする。望ましい磁束の分布は、ブリッジ部186の近傍の磁束密度がゼロとなり、回転方向に於ける磁極片184の中央すなわち電気角の90度の位置の磁束密度が最も高くなる、正弦波の状態である。なお磁極Aや磁極Cにおける電気角の90度の位置を軸線Cで示している。
2個の補助磁石172の配置は、図3に示す如く、各磁極片184の回転方向の中央すなわち電気角90度に対して略対象の位置になるようにしている。代表して磁極Aに付いて具体的に説明する。磁極片184の回転方向の中央すなわち電気角90度の位置に軸線Cを記載した。2個の補助磁石172は主永久磁石162に対して垂直でしかも軸線CからL1/2離れ、軸線Cに対して対称の位置に設けられている。
本実施例では補助磁石172として永久磁石を使用している。このことにより前述の如くコギングトルクを大幅に改善することができる。図4(B)で説明すると、2個の補助磁石172が有する起磁力が主永久磁石162の磁束を助ける方向の磁束を発生し、磁極片184の中央部分の磁束密度を高くする作用をしている。この作用はコギングトルクの改善に大きく貢献しているがそれだけでなく、この磁束は回転トルクを発生する磁束として作用するので、本実施例のモータが発生する回転トルクの増大に大きく貢献している。今N極である磁極Aで具体的に説明したが、図3の磁極Bや磁極Dで示すS極の磁極であっても同様であり、磁極片184の回転角における中央部の磁束密度を増大してコギングトルクを改善する作用に加え、モータが発生する回転トルクを増大する効果を奏する。
主永久磁石162はモータに回転トルクを与えるための永久磁石である。一方補助磁石172は回転子150の磁極の外周面、すなわち固定子のティース110に対向する面の回転方向の磁束の分布を改善するための永久磁石である。この考えから主永久磁石162の保持力より補助磁石172の保持力を小さくすることが1つの考え方である。なお、シミュレーションなどによる解析結果では、主永久磁石162の保持力に対して補助磁石172の保持力を0.7〜0.9程度とすることでコギングトルクを大幅に低減できるとの結果がえられた。
端部磁石174の作用については既に簡単に説明したが、図4(B)に基づいてここで再び説明する。端部磁石174の磁極A側の面は、磁極Aと同じ極性に磁化されている。一方端部磁石174の磁極B側の面あるいは磁極D側の面は磁極Bあるいは磁極Dの極性と同じ極性に磁化されている。この構成により隣接する磁極間の漏れ磁束を大幅に低減できる。また、ブリッジ部186は主永久磁石162の漏れ磁束ではなく、端部磁石174の磁束で十分に飽和状態となるため、主永久磁石162の磁束はブリッジ部186を通らない。このようなことから漏れ磁束が大幅に低減され、回転トルクの発生に寄与する磁束が効率よくトルク発生に利用される。さらに端部磁石174の起磁力自身が回転トルクを発生する方向に作用する。
比較的小型のモータではリラクタンストルクを利用しなくても、回転子150に埋設された永久磁石に基づくトルクで十分な回転トルクを作り出すことができる。一方自動車の駆動用モータあるいはより大きなモータでは、大きな回転トルクが必要であり、このため多くの永久磁石を必要とする。モータに使用する永久磁石にはネオジムを始めとし、温度特性の改善などの理由からの色々なレアメタルを使用することとなる。このような理由から永久磁石の使用量をできるだけ抑制することが好ましく、永久磁石に基づくトルク以外にリラクタンストルクを利用して永久磁石の使用量を抑えることか行われている。本願発明はリラクタンストルクを利用したモータにも適用できる。リラクタンストルクを利用したモータへの本発明の適用例を図9および図10を用いて説明する。なお図10は図9の部分拡大図である。
他の実施例である、図9や図10に示す回転子150の断面図では、隣接する磁極間に固定子100の固定子巻線120が発生する磁束を通す磁気通路が設けられている。このため図10に示す磁束214が各磁極間を通り、各磁極間に補助磁極192が形成される。これら補助磁極192を通る固定子100の固定子巻線120が発生する磁束214の磁気回路は回転子鉄心で構成されており、磁気抵抗が非常に小さい。一方磁束214が通る磁気回路に対して電気角で90度の位相を持つ磁気回路、例えば磁束212が通る磁気回路は、磁極Aを作る主永久磁石162と磁極Bを作る主永久磁石162の2個の永久磁石を横切ることとなる。このため固定子100の固定子巻線120が発生する磁束に対しては非常に大きな磁気抵抗を有することとなる。磁束214が通る磁気回路と磁束212が通る磁気回路の磁気抵抗の差が非常に大きく、このためリラクタンストルクが発生する。このリラクタンストルクと、回転子150の磁極を作る主永久磁石162および補助磁石172により発生する磁石トルクの合成により、図9および図10に示す回転子150の回転トルクが生じる。図9や図10に示す補助磁石172は、図3および図4を使用して説明した作用および効果と同じであり、コギングトルクの低減大きな効果を奏し、また回転トルクに増大にも大きく貢献する。図9や図10に示す他の実施例は、上述のとおりリラクタンストルクを利用するモータに、本発明を適用した例である。
Claims (8)
- 固定子鉄心に巻回された複数個の固定子巻線を有し、回転磁界を発生する固定子と、
複数個の磁極を作るための複数個の主永久磁石が回転子鉄心に埋め込まれ、回転トルクを発生して回転する回転子と、を有し、
前記回転子は、前記主永久磁石を前記回転子鉄心に埋め込むことにより、前記各主永久磁石より前記固定子側に位置する前記回転子鉄心にそれぞれ磁極片を形成し、
前記回転子鉄心に埋め込まれた複数個の前記主永久磁石の前記固定子側の極性が、前記回転子の回転方向に沿って磁極毎に交互に変化しており、
前記磁極片には、さらに磁束を前記磁極片の中央部に集めるための複数個の補助永久磁石が埋め込まれ、前記複数個の補助永久磁石はそれぞれ前記主永久磁石から前記固定子方向に延びる形状を成しており、
前記複数個の補助永久磁石は、前記磁極片の回転方向に於ける中心に対して左右の方向に分けて設けられ、
前記複数個の補助永久磁石が設けられることにより前記主永久磁石は、前記複数個の補助永久磁石に挟まれた前記主永久磁石の中央部と、前記複数個の補助永久磁石の外側に位置する端部である前記複数個の補助永久磁石の左側および右側の補助永久磁石より隣接する磁極側に位置する前記主永久磁石の端部と、に分けられ、
前記左右に設けられた補助永久磁石の隣接する磁極側の面が、前記補助永久磁石により分けられた前記主永久磁石の前記端部の固定子側の面に対して、異なる極性に磁化されており、
前記左右に設けられた補助永久磁石は、回転方向に於ける前記磁極片の中央部側の面の極性が、前記磁極片の極性と同じになるように磁化されており、これにより前記主永久磁石の前記端部の磁束が前記左右の補助永久磁石を介することにより前記磁極片の中央部を通る磁気回路が形成される、
ことを特徴とする永久磁石埋込型モータ。 - 固定子鉄心に巻回された複数個の固定子巻線を有し、回転磁界を発生する固定子と、
複数個の磁極を作るための複数個の主永久磁石が回転子鉄心に埋め込まれ、回転トルクを発生して回転する回転子と、を有し、
前記回転子は、前記主永久磁石を前記回転子鉄心に埋め込むことにより、前記各主永久磁石より前記固定子側に位置する前記回転子鉄心にそれぞれ磁極片を形成し、
前記回転子鉄心に埋め込まれた複数個の前記主永久磁石の前記固定子側の極性が、前記回転子の回転方向に沿って磁極毎に交互に変化しており、
前記磁極片には、さらに磁束を磁極片の中央部に集めるための複数個の補助永久磁石が埋め込まれ、前記複数個の補助永久磁石はそれぞれ前記主永久磁石から前記固定子の方向に延びる形状を成しており、
前記複数個の補助永久磁石は前記磁極片の回転方向に於ける中心に対して左右の位置に分けて設けられ、
前記複数個の補助永久磁石を設けることにより前記磁極片は、前記複数個の補助永久磁石に挟まれた前記磁極片の中央部と、前記複数個の補助永久磁石の外側の部分である前記複数個の補助永久磁石の左側および右側の補助永久磁石より隣接する磁極側にそれぞれ位置する前記磁極片の端部と、に分けられ、
前記複数個の補助永久磁石の隣接する磁極側の面がそれぞれ、前記補助永久磁石の隣接する磁極側の前記磁極片の前記端部の磁束が前記補助永久磁石を通る方向の極性に磁化されおり、これにより前記主永久磁石の前記端部の磁束が前記左右の補助永久磁石を介することにより前記磁極片の中央部を通る磁気回路が形成される、
ことを特徴とする永久磁石埋込型モータ。 - 請求項1あるいは請求項2に記載の永久磁石埋込型モータにおいて、前記磁極片と隣接する前記磁極片との間に、磁束の漏れを低減するためのブリッジ部が形成され、前記磁極片の中央部を挟んで両側にそれぞれ配置された前記補助永久磁石の間の距離L1が、一方の前記補助永久磁石と前記一方の補助永久磁石の側の前記主永久磁石の端との間の距離L2、あるいは他方の前記補助永久磁石と前記他方の補助永久磁石の側の前記主永久磁石の端との間の距離L3、よりも長い、ことを特徴とする永久磁石埋込型モータ。
- 請求項1乃至請求項3の内の一に記載の永久磁石埋込型モータにおいて、前記補助永久磁石の保持力が、前記磁極を作るための前記主永久磁石の保持力より小さい、ことを特徴とする永久磁石埋込型モータ。
- 請求項4に記載の永久磁石埋込型モータにおいて、前記補助永久磁石の保持力が、前記磁極を作るための前記主永久磁石の保持力に対して0.75倍から0.85倍の範囲にある、ことを特徴とする永久磁石埋込型モータ。
- 請求項1乃至請求項3の内の一に記載の永久磁石埋込型モータにおいて、前記補助永久磁石の保持力が、前記磁極を作るための前記主永久磁石の保持力より大きい、ことを特徴とする永久磁石埋込型モータ。
- 請求項1乃至請求項6の内の一に記載の永久磁石埋込型モータにおいて、
前記磁極を構成する前記磁極片と隣接する前記磁極片との間に、リラクタンストルクを発生するための補助磁極が形成されている、ことを特徴とする永久磁石埋込型モータ。 - 請求項1乃至請求項7の内の一に記載の永久磁石埋込型モータにおいて、
前記固定子は、前記回転子に回転トルクを発生するための固定子巻線の他に、前記固定子に対する前記回転子の位置や傾斜を制御するための制御巻線を有し、前記回転子を磁気的に支持する、ことを特徴とする永久磁石埋込型モータ。
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