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JP6085504B2 - イヤホンコード - Google Patents
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本発明はイヤホンコードのテンションメンバーとして用いられる溶融異方性芳香族ポリエステル繊維において、イヤホンコードに加工した際の芯糸の断面形状を制御することにより、引張強力およびそのバラツキおいてすぐれた性能を持つイヤホンコードとその製造方法に関するものである。
イヤホンコードに代表される被覆電線のテンションメンバーに溶融異方性芳香族ポリエステル繊維を用いることは従来より行われている(例えば、特許文献1参照。)。イヤホンコードとして必要な物性としては、まず結節強力が一定以上あることと、その強力の斑が小さいことが重要であるが、従来の溶融異方性芳香族ポリエステル繊維をテンションメンバーに用いたイヤホンコードでは結節強力の平均値は一定以上あるものの、バラツキが大きいことが欠点として指摘されることがあった。
イヤホンコードの末端にあるイヤホンハウジングにおいて、多くの場合、イヤホンコードはハウジングの中で抜け防止のために結節が作られている。そしてその使用中、イヤホンがもっとも破断しやすい場所がハウジング内にある前記結節部である。従ってイヤホンコードの破断強力を評価する際、コードをハウジングに通して結節を作り、ハウジングに引っ掛けた後にハウジングを引っ張って破断強力を測定する方法が知られている。この時イヤホンコード内の芯線(テンションメンバーの芯糸の周囲に導電線を配したもの)は必ず結節部において破断するという問題点があった。
特開2010−196207号公報
イヤホンコードの破断強力において、従来の溶融異方性芳香族ポリエステル繊維をテンションメンバーに用いたイヤホンコードは破断強力の平均値は高いものの、バラツキが大きいことが指摘されていた。本発明はイヤホンコードの破断強力のバラつきについて鋭意解析した結果、イヤホンコードの断面における芯糸の断面形状が影響を及ぼしていることをつきとめた。これは芯糸が扁平であると、イヤホンコードの結節部に応力がかかった場合に均一に破断することができないためと考えている。
本発明者等は上記問題点を解決するべく鋭意検討した結果、イヤホンコードに加工する際、芯糸の溶融異方性芳香族ポリエステル繊維の断面形状を制御することにより、単糸間の膠着が少なくなり、引張強力およびそのバラツキにおいて優れた性能を有するテンションメンバーが製造できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、繊維断面の最も長い径をa、最も短い径をbとしたときに、下記式(1)で表される扁平率fが0<f<0.5となるような断面の溶融異方性芳香族ポリエステル繊維を芯糸に用いるイヤホンコードである。
f=(a−b)/a ・・・ (1)
さらに本発明は、好ましくはイヤホンコードをイヤホンハウジングに通してコード末端部に結節を作り、その結節をイヤホンハウジングに引っ掛けて作成した試験片をインストロンやオートグラフ等の万能試験機の片方にハウジングを固定し、もう片方にイヤホンコードを固定して引っ張り試験を行った際、結節破断荷重の平均値が50N以上で、最低値が50N以上、かつ結節破断荷重のバラつきがCV値で3%以下である上記のイヤホンコードである。
本発明によれば、イヤホンコードのテンションメンバーとして用いられる溶融異方性芳香族ポリエステル繊維において、イヤホンコードに加工した際の芯糸の断面形状を制御することにより、引張強力およびそのバラツキおいて優れた性能を持つイヤホンコードが得られる。
本発明のテンションメンバーに用いる溶融異方性芳香族ポリエステル繊維の溶融異方性とは溶融相において光学的異方性(液晶性)を示すことである。例えば試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過性を観察することで認定できる。本発明で用いるポリマーとしての溶融異方性芳香族ポリエステルとしては下記化1に示す反復構成単位の組み合わせからなるものが挙げられる。
Figure 0006085504
特に好ましくは下記化2に示す反復構成単位の組み合わせからなるポリマーが好ましい。さらに好ましいのは(A)及び(B)の反復構成単位(11)からなる部分が65%以上であるポリマーであり、特に(B)の成分が4〜45重量%である芳香族ポリエステルが好ましい。
Figure 0006085504
溶融異方性芳香族ポリエステルの融点(MP)は260〜380℃、特に270〜350℃が好ましい。ここでいう融点とは示差走査熱量(DSC、例えばMettler社製、TA3000)で観察される主吸熱ピークのピーク温度である(JIS K7121)。具体的にはDSC(例えばMettler社製、TA3000)装置にサンプルを10〜20mgをとりアルミ製パンへ封入した後、キャリアーガスとして窒素を100cc/分流し、20℃/分で昇温したときの吸熱ピークを測定する。ポリマーの種類により上記1st Runで明確な吸熱ピークが現れない場合は、50℃/分の昇温速度で予想される流れ温度よりも50℃高い温度まで昇温し、その温度で3分間完全に溶融した後、80℃/分の速度で50℃まで冷却し、しかる後に20℃/分の昇温速度で吸熱ピークを測定するとよい。
また本発明の溶融異方性芳香族ポリエステルには本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエチレンテレフタレ−ト、変性ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリオレフィン、ポリカ−ボネ−ト、ポリアクリレ−ト、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステルエ−テルケトン、フッ素樹脂熱可塑性ポリマ−を添加しても良い。またカ−ボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤を含んでいても良い。
次に溶融異方性芳香族ポリエステル繊維の紡糸方法について述べる。本発明の全芳香族ポリエステル繊維は、常法によりポリマーを溶融紡糸して得られるが、該芳香族ポリエステルの融点よりさらに10℃以上高い紡糸温度(かつ溶融液晶を形成している温度範囲内)で、剪断速度10sec−1以上、紡糸ドラフト20以上の条件で紡糸するのが好ましい。かかる剪断速度および紡糸ドラフトで紡糸することにより、分子の配向化が進行し優れた強度等の性能を得ることができる。剪断速度(γ)は、ノズル半径をr(cm)、単孔当たりのポリマーと吐出量をQ(cm/sec)とするときr=4Q/πrで計算される。ノズル横断面が円でない場合には、横断面積と同値の面積を有する円の半径をrとする。
紡糸原糸は熱処理することにより強度、弾性率をさらに向上させることが可能である。熱処理は(Mp−80℃)〜Mpの温度条件で行うのが好ましい。本発明の溶融異方性芳香族ポリエステル繊維の融点は熱処理温度を上げるに従い上昇するので熱処理方法としては段階的に温度を上昇させながら熱処理するのが好ましい。熱処理雰囲気としては窒素、アルゴン等の不活性ガスや空気等の活性ガス、あるいはそれらを組み合わせた雰囲気等が好適に用いられる。また上記熱処理を減圧条件下で行っても何等差し支えない。
本発明における重要な点は当該溶融異方性芳香族ポリエステル繊維を芯糸としてイヤホンコードを作成した際、その断面において繊維断面の最も長い径をa、最も短い径をbとしたときに、下記式(1)で表される扁平率fが0<f<0.5となること、すなわち芯糸の扁平率が小さく、なるべく真円に近いことである。芯糸の断面が扁平になる、すなわち扁平率fが0.5以上となると、得られるイヤホンコードは引張強力が不十分なものとなる。
f=(a−b)/a ・・・ (1)
芯糸の断面が扁平になる最も大きな要因は原糸が扁平な形で膠着していることである。本来、芯糸は銅線と共に撚糸された際に真円になるが、膠着が強いと単糸が自由に動くことができずに、撚糸しても綺麗な真円を形成できなくなるのである。従って芯糸を綺麗な真円にするためには原糸をできるだけ膠着のないものとすることが好ましい。
溶融異方性芳香族ポリエステル繊維の膠着を低減させる手段としては繊維表面に無機微粒子を付与した後にする熱処理することが特開2004−107826号公報等に開示されているが、本発明の膠着回避手段としては本方法に限定されるものではない。
次にイヤホンコードの製造方法であるが、本発明においては芯線の太さ、及び被覆樹脂の素材、コードの太さなどは特に限定されるものではない。
芯線の芯糸に用いる溶融異方性芳香族ポリエステル繊維の太さも特に限定されるものではなく、必要とされる芯線の太さ、イヤホンコードの太さに合わせて選択してよい。また導電線に関しても特に限定されるものではなく、軟銅線やこれに絶縁用のエナメルを被覆、塗布してなるエナメル線を複数本用いればよい。
芯線はテンションメンバーとなる芯糸を中央に配し、その周囲を導電線で包むように芯糸と導電線を同時に撚糸することで形成されるが、導電線に軟銅線を用いてさらに複数本の芯線が必要となる場合は、それぞれの芯線を絶縁体で被覆することが必要である。
芯線の本数も特に限定されず、必要な信号線の数だけ用意されるが、一般的なイヤホンコードの場合は通常2本もしくは3本が用いられる。最後にこれらの芯線を纏めて絶縁性の樹脂で被覆することでイヤホンコードを得る。
次に得られたイヤホンコードの評価方法について説明する。インストロンやオートグラフ等の万能試験機を用いて結節破断荷重を測定することによりイヤホンコードの引張強力を評価できる。
まずイヤホンのハウジングを用意し、万能試験の一方のチャックに固定する。作成したイヤホンコードをハウジングのコードが通る穴に通し、コードの端に結節を1箇所作り、コードを引き戻して結節部がハウジングに引っかかり、抜けないことを確認する。ある程度コードを引っ張って緊張させ、その状態でもう片方のチャックにイヤホンコードを固定した後、引張試験を行い、ロードセルにて破断した際の強力を読む。本方法により、一つのコードに関して測定を20回繰り返し、破断荷重の平均値を算出する。なお、固定するためのチャック等については測定するイヤホンコードに応じて選定するのがよい。またイヤホンハウジングを固定するための治具も用いたほうが良い。
本発明のイヤホンコードは、上記測定方法で測定した、結節破断荷重の平均値が50N以上で、最低値が50N以上、かつ結節破断荷重のバラつきがCV値で3%以下であることが好ましい。結節破断荷重の平均値が50Nより低い場合、最低値が50Nより低い場合、あるいはCV値が3%より大きい場合、十分な引張強力を持つイヤホンコードが得られない問題がある。より好ましくは結節破断荷重の平均値が60N以上、最低値が55N以上、CV値が2%以下である。
以下本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
前述化2で示した構成単位(A)と(B)が73/27(mol%)である溶融異方性芳香族ポリエステル(MP:281℃)をポリマーとし、二軸押出機を用いて孔径0.1mmφ、孔数100Hノズルで300dtex/100fのヤーンを紡糸した。得られた紡糸原糸に膠着防止のための無機微粒子を塗布し、窒素雰囲気下260℃で20時間熱処理を行った。得られた繊維には激しい単糸間の膠着は認められなかった。
この溶融異方性芳香族ポリエステル繊維をテンションメンバーとして導電線と共に撚糸して芯線を作成、この芯線を2本束ねて絶縁樹脂で被覆してコード状にした。
このコードの断面における、芯糸の最も長い径をa、最も短い径をbとしたときに、前記式(1)で表される扁平率fを算出した。
得られたイヤホンコードを前述した評価方法により結節強力物性を測定した結果を表1に示した。
[実施例2]
熱処理時の窒素雰囲気温度を275℃にした以外は実施例1と同様にして得たイヤホンコードの結節強力の評価結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1の紡糸条件にて得たヤーンに対して無機微粒子を塗布することなく熱処理した以外は実施例1と同様にして得たイヤホンコードの結節強力の評価結果を表1に示した。
[比較例2]
紡糸ノズルに0.15mmφ、孔数50Hを使用して300dtex/50fのヤーンを得た後、無機微粒子を塗布することなく熱処理した以外は実施例1と同様にして得たイヤホンコードの引張強力の評価結果を表1に示した。
実施例1〜3のイヤホンコードは芯糸断面の扁平率が0.5より小さいので、イヤホンコードにした場合、十分な引張強力を有している。一方、芯糸断面の扁平率が0.5以上である比較例1〜2のイヤホンコードは結節破断荷重の最低値が50N未満であり、さらにCV値も3%より大きいので、引張強力およびそのバラツキにおいて劣るものであった。
Figure 0006085504
本発明の断面形状が制御された溶融異方性芳香族ポリエステル繊維を芯糸に用いると、引張強力およびそのバラツキおいて優れた性能を有するイヤホンコードとして有用である。

Claims (1)

  1. 繊維断面の最も長い径をa、最も短い径をbとしたときに、下記式(1)で表される扁平率fが0<f<0.5となるような断面の溶融異方性芳香族ポリエステル繊維を芯糸に用いるイヤホンコードであって、該イヤホンコードをイヤホンハウジングに通してコード末端部に結節を作り、その結節をイヤホンハウジングに引っ掛けて作成した試験片をインストロンやオートグラフ等の万能試験機の片方にハウジングを固定し、もう片方にイヤホンコードを固定して引張試験を行った際、結節破断荷重の平均値が50N以上で、最低値が50N以上、かつ結節破断荷重のバラつきがCV値で3%以下であるイヤホンコード
    f = ( a − b ) / a ・・・ ( 1 )
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