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JP6086428B2 - Srモータの固定子および回転子の設計方法、srモータの固定子および回転子の製造方法 - Google Patents
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JP6086428B2 - Srモータの固定子および回転子の設計方法、srモータの固定子および回転子の製造方法 - Google Patents

Srモータの固定子および回転子の設計方法、srモータの固定子および回転子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、SRモータ(Switched Reluctance Motor)に関し、特に固定子および回転子の設計方法、SRモータの固定子および回転子の製造方法に関する。
SRモータは、回転子コアが突極構造で回転子には永久磁石や巻線がなく、機械的に堅牢で高温での運転が安定している等の利点があるため、近年は電気自動車やハイブリッド自動車のモータとして注目されつつある。また、SRモータは、レアアースを用いないため安価である点も大きな特徴である。しかし、ブラシレス直流モータに比べてモータ効率が低いため実用化が遅れている。
SRモータのモータ効率を改善する技術として、低鉄損材料を用いることを前提としたコア形状の設計が行われている(非特許文献1参照)。しかし、コア形状の設計で対象としている設計パラメータが基本的なものに限定されており、コア形状の軸方向変化は考慮していないので、SRモータの潜在能力が引き出せているとは言い難い。
圧粉鉄心を用いて固定子・回転子コアのティースに重なりを持たせる構造が検討されているが、圧粉鉄心を前提としているので、機械的強度不足や磁化特性の悪さなど圧粉鉄心固有の問題があり、実用化には至っていない(非特許文献2参照)。
電気機器の一般材料であるけい素鋼板を使用し、軸方向にコア形状を変化させ、モータ効率を向上させる設計例が特許文献1に開示されている。
この特許文献1に開示されたモータの製造方法では、固定子・回転子コアの形状を軸方向に変化させることは、設計できたとしても、従来のけい素鋼板を打ち抜く金型技術では、製造が極めて困難であった。
このような問題に対し、特許文献2には、コアのティースを打ち抜く刃をスライドすることによりコア形状を軸方向に変化することのできる金型技術が開示されている。
特開2005−348553号公報 特許第4578460号公報(特開2008−67588号公報)
鈴木貴紀ら、「高効率スイッチトリラクタンスモータの開発」、電気学会論文誌D、126巻4号、2006年 小笠原悟司、竹本真紹ら、「レアアースを使わない新構造の50kWハイブリッド自動車用フェライト磁石モータを開発」、[online]平成22年9月29日、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、国立大学法人北海道大学、[平成24年12月19日検索]、インターネット<URL:http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_0005A.html>
上述したように、SRモータのモータ効率は、固定子・回転子のコア形状だけでなく適用される制御方法によっても変化する。SRモータは、数学モデルが確立している誘導機や同期機とは異なって制御方法が確立しておらず、設計パラメータがモータ効率に与える影響が明らかになっていないので、固定子コア、回転子コアの設計指針が立て難い。
本発明は、SRモータの効率を向上することのできるSRモータの固定子および回転子の設計方法、SRモータの固定子および回転子の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明のSRモータの回転子および固定子の設計方法は、
ダクタンスを、コイル電流ごとの回転子位置を変数とし、コイル電流の大きさの変化を係数としたインダクタンス関数と、回転子位置を変数とする関数とから関数化し、
その関数の係数に変化を与えたときの固定区間励磁PWM電圧制御法を適用した際のコア形状の変化がモータ効率に与える影響について、コア形状の変化を与えながら、負荷トルクと回転数で表現される各動作点に対するモータ効率の分布を計算することで、定量的に算出し、
その算出結果に基づき、インダクタンスの最大値を増大させることで、回転子および固定子の対向・非対向位置のインダクタンス差が大きくなるようにコア形状を決定することを特徴とする。
また、本発明のSRモータの回転子および固定子の製造方法は、請求項1記載のSRモータの固定子および回転子の設計方法を用いて、固定子ヨークをコイルエンド上部まで軸方向に延長した形状、固定子・回転子の最適なティース長とテーパ形状、分割コアに適した固定子ヨークの形状、固定子・回転子ティースの軸方向の最適重なり形状となるように設計して製造することを特徴とする。
本発明においては、空間利用率を上げることを前提として、従来の設計で取り扱う固定子・回転子コアの断面形状に留まらず、固定子・回転子ティースが軸方向で交互に重なる形状や固定子ヨークのみを軸方向に延長する形状の発明を含む。
本発明によりモータ効率が向上するだけでなく、単位体積当たりの出力や発生トルクも向上する。

本発明によれば、ブラシレス直流モータに匹敵するモータ効率を得ることができ、機械的に堅牢で高温での運転が安定しているSRモータとしての特徴を活かして、電気自動車などの駆動源として利用することができる。
本発明に係るSRモータの固定子・回転子形状の最適化設計法の流れを示すフローチャートである。 インダクタンス関数表現によるSRモータモデルを示すグラフである。 6/4極標準SRモータのモータ効率を示すグラフである。 12/8極標準SRモータのモータ効率を示すグラフである。 6/4極SRモータのモータ効率の定量的評価を示すグラフである。 12/8極SRモータのモータ効率の定量的評価を示すグラフである。 インダクタンス関数の変化方法の説明図である。 固定子コアとコイルエンド空間の、従来から本発明に変更した状態の説明図である。 6/4極と12/8極のコイルエンド空間の比較表である。 6/4極コア長114mmで回転子にRを設けた例を示す半断面斜視図である。 12/8極コア長126.8mmの回転子にRを設けない例を示す半断面斜視図である。 固定子と回転子のティース長の関係を示す説明図である。 本発明によるティース幅の変更例の説明図である。 本発明によるティーステーパ角の変更例の説明図である。 6/4極の場合のコイル電流が1Aのときの回転子位置とインダクタンスの関係を示すグラフである。 6/4極の場合のコイル電流が100Aのときの回転子位置とインダクタンスの関係を示すグラフである。 12/8極の場合のコイル電流が1Aのときの回転子位置とインダクタンスの関係を示すグラフである。 12/8極の場合のコイル電流が100Aのときの回転子位置とインダクタンスの関係を示すグラフである。 標準コア形状の高負荷時の磁束分布を示すチャートである。 テーパ角を設けたコア形状の高負荷時の磁束分布を示すチャートである。 分割コア接合部の箇所を示す説明図である。 分割コア外周コア幅5mmの磁束分布を示すチャートである。 分割コア外周コア幅6mmの磁束分布を示すチャートである。 分割コアの接合面のギャップ解析モデルを示す要部拡大チャートである。 回転子ティースのテーパ角のインダクタンス落差への影響を示すグラフである。 コアバックの説明図である。 コアバック延長とインダクタンス落差の関係を示すグラフである。 コア凹凸2段の例を示す断面図である。 コア凹凸3段の例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る高効率SRモータの分割コア断面図である。 本発明の実施の形態に係る高効率SRモータの回転子断面図である。 本発明の実施の形態に係る高効率SRモータの回転子断面写真である。 本発明の実施の形態に係る高効率SRモータの回転子コアの写真である。 本発明の実施の形態に係る高効率SRモータ回転子の分割コアの写真である。 本発明の実施の形態に係る高効率SRモータの固定子コアの写真である。 本発明の実施の形態に係る高効率SRモータの外観写真である。 6/4極SRモータの静止トルクのグラフである。 12/8極SRモータの静止トルクのグラフである。 本発明の実施の形態に係る高効率SRモータの回転数・出力電流特性を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る高効率SRモータのモータ効率・モータ出力特性を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
上述したように、スイッチトリラクタンスモータ(SRモータ)は、電気自動車(EV)用の永久磁石同期モータと比較して効率が劣っている。そこでEV用SRモータのモータ効率改善を目的としてコア形状を設計する。コア形状の設計は、有限要素法による磁場解析及び過渡シミュレーションによるモータ効率を評価することにより行う。
本実施の形態では、最初にSRモータのインダクタンス曲線がモータ効率に与える影響を過渡シミュレーションにより検討し、検討結果に基づきコア形状の設計指針を立てる。
次に設計指針に基づいて、有限要素法による磁場解析で計算されるインダクタンス曲線を評価することによりコア形状を設計する。
最後に、設計したコア形状を適用したSRモータを試作し、実機試験によりモータ効率を測定し、設計によるモータ効率の改善効果について考察する。
1.設計指針
SRモータのコア形状を最適化するためには、コア形状を変更しつつ、モータ効率を含むSRモータの特性計算を繰り返す必要がある。
有限要素法による磁場解析は多大な解析時間を要する。そのため、図1で示すフローチャートに基づいて設計を行う。
図1の、コア形状の基本設計100のブロックにおいて、インダクタンス関数表現によるSRモータモデル110と、SRモータ、機械系、インバータの角モデルを用いた過渡解析120と、速度トルク特性と運転効率130の各処理を用いた過渡シミュレーションを繰り返し、コア形状とモータ効率との関係を検討することで、コア形状の設計指針を決定する。
ブロック100でコア形状の設計指針を決定した後、ブロック200において、三次元有限要素法(FEM)による磁場解析を用いて、設計指針に適うように回転子・固定子のコア形状を設計する。
図2に、インダクタンス関数表現によるSRモータモデル110を示す。
FEM磁場解析結果は、回転子位置と相電流をパラメータとした磁束鎖交数として与えられる。磁束鎖交数を相電流で割るとインダクタンスが得られる。
最初に標準コアに対するFEM磁場解析結果を用いて、相電流ごとに回転子位置を変数とするインダクタンスの最小二乗法による近似式を導出する。この近似式は回転子位置を変数とする高次多項式であり、インダクタンス関数として用いる。
係数a(n)は相電流の大きさにより変化し、各相電流に対するFEM磁場解析結果を用いて最小二乗法により計算される。次数nは解析結果との誤差を評価して10前後の値に決定する。
インダクタンス関数L(θ)を用いて、各動作点のトルク・起磁力・磁束鎖交数を計算してテーブル化することで、標準SRモータモデルとなるトルクテーブルと起磁力テーブルが生成できる。
標準SRモータのインダクタンス関数L(θ)に対して、コア形状の変更から予想される変化を与えれば、その変化に応じたトルクテーブルと起磁力テーブルで構成されるSRモータモデルを自動的に生成できる。与える変化は回転子位置を変数とする関数k(θ)で表現される。この関数k(θ)とインダクタンス関数L(θ)と乗ずることでコア形状の変化を考慮したインダクタンス関数が得られる。
標準SRモータと同じ方法でコア形状の変化を考慮したSRモータモデルのトルクテーブルと起磁力テーブルが生成できる。
図3に、6/4標準SRモータのモータ効率を示す。これは、MATLABSimulinkを用いた過渡シミュレーションにおけるモータ効率の計算結果である。計算条件として、バッテリー電圧96V、励磁開始・終了角を一定とする固定区間励磁、パルス幅変調(PWM)電圧制御により発生トルクを調整する制御系を仮定している。
図4に、同じ条件下で計算した12/8標準SRモータのモータ効率を示す。
図3と図4より負荷トルクTLと回転数Nrで表現される各動作点に対するモータ効率の分布が分かる。コア形状の変化を与えて同様なモータ効率の分布を計算することで、コア形状の変化がモータ効率に与える影響を定量的に評価することができる。
図5にインダクタンス関数の変化方法を示す。ここではコア形状を設計するための指針を得るために、実現の可能性については言及せずインダクタンスに変化を与え、モータ効率への影響を考察した。落差変化(1)はインダクタンスの最大値を増大させることで、落差変化(2)はインダクタンスの最小値を減少させることで、対向・非対向位置のインダクタンス差を大きく設計した場合を想定している。形状変化(1)はインダクタンスが後半に大きく変化するように設計した場合を想定し、形状変化(2)はインダクタンスが前半に大きく変化するように設計した場合を想定している。位相変化(1)と位相変化(2)は非対称な固定子と回転子を想定している。
図6に6/4極SRモータのモータ効率の定量的評価を示す。6/4極SRモータの標準コアの動作領域(面積)で、各形状変化の動作領域を正規化している。落差変化(1)がIに相当し、落差変化(2)がIIに相当する。形状変化(1)がIIIに相当し、形状変化(2)がIVに相当する。位相変化(1)はVに相当し、位相変化(2)はVIに相当する。各棒グラフの上に平均効率と標準コアからの上昇ポイントを示している。
図7に12/8極SRモータのモータ効率の定量的評価を示す。6/4極SRモータの標準コアの動作領域(面積)で、各形状変化の動作領域を正規化している。落差変化(1)がIに相当し、落差変化(2)がIIに相当する。形状変化(1)がIIIに相当し、形状変化(2)がIVに相当する。位相変化(1)はVに相当し、位相変化(2)はVIに相当する。各棒グラブの上に平均効率と標準コアからの上昇ポイントを示している。
6/4極SRモータと12/8極SRモータの動作領域を比較すると、12/8極SRモータの動作領域が1.5倍となっている。各形状の効率改善の効果は、6/4極SRモータと12/8極SRモータで同じような傾向であり、落差変化(1)が最も効果的で、続いて落差変化(2)と形状変化(1)が効果的である。
図5で示すインダクタンス関数の変化をSRモータモデルに適用したときのモータ効率の変化を表1に示す。落差変化(1)が最も効果的であり、続いて落差変化(2)、形状変化(1)、位相変化(1)の順で効果的であることが分かった。落差が大きくなるとインダクタンスの空間微分値が大きくなるので、SRモータのトルク発生原理から考えると効果的であるのは当然と言える。形状変化(1)と位相変化(1)が効果的なのは、励磁方法として固定区間励磁PWM電圧制御法を適用しているため、電流が平均的に分布していることが影響したためと考えられる。形状変化と位相変化については励磁方法として可変区間励磁を適用した場合についても検討する必要があるため、落差変化(1)を第一優先として設計することにする。
2.コア設計
(1)コア延長
図8に示すように固定子コアとコイルエンドには空間がある。この空間をコアで埋めてコア断面を増やせばインダクタンスが増加して効率が向上する。また6/4極から12/8極に変更することで、コイル断面積が小さくなり、コイルエンドの空間が発生するのでコアを更に延長できる。
図9に6/4標準SRモータと12/8標準SRモータのコイルエンド空間の比較を示す。6/4標準SRモータを基準とすると、12/8標準SRモータは12.8mmコイルエンド空間が大きい。このコイルエンド空間を有効利用することができれば、6/4標準SRモータよりも12/8標準SRモータの方がモータ効率改善の可能性が大きいと言える。
図10にコア長114mmで固定子・回転子ティース端をコイルエンドに沿って曲率を設けた6/4極SRモータの三次元解析モデルを示す。表2に6/4極コア長変更の効果を示す。固定子ティース端をコイルエンド形状に合わせることで、更にコア長を延長できるので対向位置のインダクタンスが増加する。また回転子ティース端を固定子ティース端の形状に合わせることで非対向位置のインダクタンスが僅かに減少するが、対向位置でのインダクタンスも減少するので、結果としてインダクタンス落差は増加しない。そこで固定子ティース端のみ曲率を設けることにする。
図11にコア長126.8mmで固定子・回転子ティース端をコイルエンドに沿って曲率を設けた12/8極SRモータの三次元解析モデルを示す。表3に12/8極コア長変更の効果を示す。
6/4極と12/8極の標準コアインダクタンス比較倍率を比較すると、12/8極の方が固定子コアを大きく延長することが可能なので、インダクタンス落差が大きく増加している。
(2)固定子・回転子ティース長の比率
図12に示すように固定子ティース長と回転子ティース長の比率を変更し、インダクタンス落差を求めた。表4−1,表4−2に、6/4極SRモータの固定子・回転子ティース長の比率変更に対する解析結果を示す。
表5−1,表5−2に、12/8極SRモータの固定子・回転子ティース長の比率変更に対する解析結果を示す。対向位置でのインダクタンスは、ティース先端位置には影響されず、どのコイル電流においても変化が無い。しかし固定子ティース長を短くし、回転子ティース長を長くすることで、非対向位置でのインダクタンスは減少するので、インダクタンス落差が増加する。これらの傾向は、6/4極と12/8極の両方に対して認められる。コイルスペースが確保できる範囲で、固定子ティース長を短く、回転子ティース長を長くした方が大きなインダクタンス落差が得られる。
(3)コアティース形状
図13に示すコアティース幅を広げた形状と、図14に示すテーパ形状のどちらがインダクタンス落差の増加に有効か検討した。使用鉄量を等しくするため、両形状の断面積を等しくしている。
図15−1、図15−2に、6/4極SRモータのコイル電流1Aの場合と100Aの場合のインダクタンス曲線を示し、表6−1,表6−2にコイル電流1Aの場合と100Aの場合のインダクタンス落差を示す。
図16−1、図16−2に、12/8極SRモータのコイル電流1Aの場合と100Aの場合のインダクタンス曲線を示し、表7−1,表7−2に、12/8極SRモータのコイル電流1Aの場合と100Aの場合のインダクタンス落差を示す。低負荷(コイル電流1A)のとき、ティース幅を広げた形状は対向位置のインダクタンスが増加し、テーパ角を設けた形状は標準と近い。高負荷(コイル電流100A)のとき、ティース幅を広げた形状は非対向位置のインダクタンスは増加し、テーパ角を設けた形状は非対向位置のインダクタンスは増加せず、対向位置でインダクタンスが増加する。また6/4極より12/8極の方がティース形状変更による効果が大きい。
図17に標準コア形状の高負荷時の磁束分布を示す。図18にテーパ角を設けたコア形状の高負荷時の磁束分布を示す。図18ではテーパ角に合わせてコイル形状を変更しているが、コイル断面積は図17と同じである。テーパ角を設けることでティースでの磁気飽和が軽減され、磁束が流れやすくなりコア全体の磁束が増加している。
(4)極数
表8に、(1)から(3)までの解析結果よりインダクタンス落差に対する改善効果をまとめた。固定子・回転子ティース長の比率とコアティース形状による改善効果は、6/4極SRモータと12/8極SRモータにおいて差が認められないが、コア延長の改善効果は12/8極SRモータの方が大きい。そこで以降は、12/8極SRモータに絞り、検討を行う。
(5)分割コア
分割コアでは、集中巻コイルをコアと独立して製作できるので、コイル占積率が改善され、銅損が低減する。しかし図19に示すように分割コア接合部の幅が狭くなるため、その周辺で磁気飽和する可能性がある。磁気飽和しない範囲でコイルスペースを広くとるために、コイル電流100Aの条件下で、分割コア接合部の幅を少しずつ狭くしていき、最適な幅を求める。表9−1、表9−2に、分割コア接合幅のインダクタンス落差への影響を示す。標準積層コアの幅より−6mm狭くするとインダクタンス落差が急激に減少している。
図20に分割コア接合部の幅−5mmの磁束分布を示し、図21に分割コア接合部の幅−6mmの磁束分布を示す。解析で使用しているコア材料のBH曲線は磁束1.69[T]以上だと飽和状態となる。図20の丸で示している箇所の磁束はおよそ1.45[T]である。図21の丸で示している箇所の磁束は見るとおよそ1.73[T]で磁束が飽和しているのが確認できる。
そこで分割コア接合部の幅は標準で設定しているコア接合部の幅より−5mm狭くした形状とする。分割コア接合部の幅を狭くすることでコイルスペースが増加する。コイルスペースを有効利用してテーパ角を増加させることで、更に磁束の流れを改善してインダクタンス落差を増加させる。表10に示すように、テーパ角を増加させるとインダクタンス落差は増加するが、コイルスペースが狭くなりコイルが巻けなくなるので、テーパ角は6度に選定する。
(6)分割コア接合面のギャップ
図22に示すように、分割コア同士の接合面にギャップが発生すると仮定し、ギャップのインダクタンスへの影響を確認する。実際に製作される分割コアの接合部は複雑なので、簡潔に二次元解析により求めた。表11に、分割コア接合面ギャップとインダクタンスを示す。接合面ギャップが0.1mmであると急激にインダクタンスが減少して磁束の流れを妨げている。実機により分割コアを組む場合は、分割コアの接合面のギャップが発生しないように工夫する必要がある。
(7)回転子ティースのテーパ角
固定子と異なり回転子はコイルスペースを考慮せず、テーパ角を自由に設けることが可能なので、テーパ角を0度から18度まで2度毎に変更しながらインダクタンス落差を求める。図23に回転子ティースのテーパ角のインダクタンス落差への影響を示す。テーパ角6度まではインダクタンス落差が増加しているが、8度付近で飽和している。そこで回転子ティースのテーパ角は8度に選定する。
(8)コアバック
図24に示すようにコアバックを設けることによりコア接合部を含めた固定子ヨークの断面積が増加するのでインダクタンス落差が増加する。図25にコアバック延長とインダクタンス落差の関係を示す。コアバックを延長することでインダクタンス落差が増加している。標準モータと同サイズにするためコアバック延長は10mmとし、両端面で合わせて20mmとする。この段階で固定子コアのヨーク軸長は、標準コアと比較して多極化によるコア延長+30mmにコアバック延長+20mmが加わり、+50mmとなる。
(9)立体ギャップ構造
図26に示すように固定子・回転子コア間のギャップを凹凸にすることでコア間の重なり面が増えるのでインダクタンスが増加する。最初に凹凸の段数を選定する。図26は凹凸2段とした場合の形状を示し、図27は凹凸3段とした場合の形状を示す。
前記の(2)においてコアティースの先端位置変更の上限を3mmとしているので、両コア形状ともティース先端位置の変化を最大3mmとする。表12にコア凹凸段数の結果を示す。コイル電流100A時(高負荷時)で凹凸3段より凹凸2段の方インダクタンス落差が大きい。
段数が増えることで段数の最上段の幅が徐々に狭くなるので、その部分で磁束が飽和していると考えられる。
次に最適な凹凸の組み合わせと凹凸段の幅の組み合わせについて選定する。比較対象として、表13に凹凸を設けないで0段目のみ使用したコア形状と2段目のみ使用したコア形状の結果を示す。
表14に凹凸幅2mmの結果を示し、表15に凹凸幅結果4mmの結果を示し、表16に凹凸8mmの結果を示す。凹凸幅が狭い程、凹凸を多く設けることが可能であり、その分コアの重なり面を増やすことが可能なので低負荷時でのインダクタンス落差が増加する。しかし凹凸幅が狭いので高負荷時は磁気飽和の影響でインダクタンス落差が減少する。凹凸幅が広い程、凹凸の数が少なくなり凹凸の重なり面は減り、低負荷時でのインダクタンス落差の増加量は減少する。しかし凹凸幅が広いので高負荷時は磁気飽和の影響を受けない。
更に凹凸形状を0段→1段→2段→1段→0段としたピラミッド型と0段→2段→0段とした溝型のインダクタンス落差を比較する。ピラミッド型より溝型の方が多くの凹凸を設けることが可能なのでコアの重なり面を得られ低負荷時でのインダクタンス落差が増加する。
しかし高負荷時では磁気飽和の影響を強く受けてインダクタンス落差が減少する。バランスの良い凹凸幅4mmの溝型に選定する。
(10)ギャップ長
ギャップ長を0.5mmから0.3mmに短縮したときのインダクタンス落差の増加量を検討する。表17に固定子コア0段目のみ使用した条件でギャップ長を変更した結果を示し、表18に固定子コア2段目のみ使用した条件でギャップ長を変更した結果を示す。ギャップ長を0.2mm狭くすることでインダクタンス落差が増加する。その効果は、固定子コア0段目より固定子コア2段目のみをした場合の方が大きい。
3.高効率SRモータ
2.で述べたコア設計に基づき高効率SRモータを試作した。図28に固定子コア断面を示し、図29に回転子コア断面を示す。図30に試作した回転子コアを示す。図31に固定子コアを示す。固定子コアの製作には固定子分割コアが12個必要である。図32に完成した高効率SRモータの外観を示す。
(1)静止トルクの実機検証
実機試験により静止トルクの測定し、有限要素法磁場解析により求めた静止トルクの検証を行う。図33に6/4極SRモータの静止トルクを示す。
図34に12/8極SRモータの静止トルクを示す。3種類のコア材料で静止トルクを解析で求めたが実測の静トルクと近似した値となった。
(2)高効率SRモータの効率
表19に標準SRモータと高効率SRモータの性能表を示す。標準SRモータと高効率SRモータの特性試験結果を比較する。図35に回転数と出力電流、図36にモータ効率とモータ出力の結果を示す。
4.まとめ
SRモータのコア形状の基本設計を行い、モータ効率を向上させるための設計指針をまとめた。その設計指針に従い、磁界解析によるコア極数・形状の最適化設計を実施し、モータ効率が5%以上向上するコア極数とコア形状を決定した。決定したコア極数とコア形状のコア金型を製作することでSRモータを試作し、実機試験において5%以上のモータ効率向上を確認した。
本発明は、電動機動力を利用するシステムに適用可能であり、例えば電気自動車の駆動モータに利用することができる。

Claims (4)

  1. 有限要素法磁場解析で得られた標準SRモータの回転子位置とコイル電流に対するインダクタンスを、コイル電流ごとの回転子位置を変数とし、コイル電流の大きさの変化を係数としたインダクタンス関数と、回転子位置を変数とする関数とから関数化し、
    その関数の係数に変化を与えたときの固定区間励磁PWM電圧制御法を適用した際のコア形状の変化がモータ効率に与える影響について、コア形状の変化を与えながら、負荷トルクと回転数で表現される各動作点に対するモータ効率の分布を計算することで、定量的に算出し、
    その算出結果に基づき、インダクタンスの最大値を増大させることで、回転子および固定子の対向・非対向位置のインダクタンス差が大きくなるようにコア形状を決定することを特徴とするSRモータの固定子および回転子の設計方法。
  2. 請求項1記載のSRモータの固定子および回転子の設計方法を用いて、固定子ヨークをコイルエンド上部まで軸方向に延長した形状、固定子・回転子の最適なティース長とテーパ形状、分割コアに適した固定子ヨークの形状、固定子・回転子ティースの軸方向の最適重なり形状となるように設計して製造するSRモータの固定子および回転子の製造方法
  3. 固定子ヨークのみ固定子ティース部よりも軸方向に前後10mm程度延長する請求項2記載のSRモータの固定子および回転子の製造方法
  4. 固定子および回転子のティース軸方向で交互に4mm間隔程度で重なる形状とする請求項2記載のSRモータの固定子および回転子の製造方法
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