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JP6094411B2 - 蓄熱装置、および蓄熱制御方法 - Google Patents
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JP6094411B2 - 蓄熱装置、および蓄熱制御方法 - Google Patents

蓄熱装置、および蓄熱制御方法 Download PDF

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Description

ここに開示される発明は、低温を蓄冷する蓄熱材を利用した蓄熱装置、およびその蓄熱材による蓄熱を開始する時期を制御するための蓄熱制御方法に関する。
特許文献1は、低温を蓄冷する蓄熱主剤を含む水溶液を蓄熱材として利用する技術を開示する。この技術は、水溶液の過冷却状態を防止するために、蓄熱主剤と結晶構造が類縁の固相材料を水溶液中に添加することによって、水溶液の凝固温度、すなわち融点を調整することを開示する。この技術では、添加剤を核として蓄熱主剤の水和物が成長してゆく。
特許第5104159号公報
従来技術の構成では、水溶液の凝固温度を調整できるが、蓄熱を開始する時期を制御することができない。過冷却が抑制されると、凝固温度において一時的に温度低下が抑制される。このため、空調装置の用途などにおいては、吹出温度の低下が抑制され、急速冷房の要求に応えられないことがある。
このような課題に対策するために凝固温度を低下させるように水溶液における蓄熱主剤の濃度を調整することが可能である。しかし、調和濃度など、蓄熱量が大きい濃度を使えなくなることがあり、凝固温度と蓄熱量との両立を図ることが困難であった。
上述の観点において、または言及されていない他の観点において、蓄熱装置、および蓄熱制御方法にはさらなる改良が求められている。
発明の目的のひとつは、改良された蓄熱装置、および蓄熱制御方法を提供することである。
発明の目的のひとつは、蓄熱を開始する時期を制御可能な蓄熱装置、および蓄熱制御方法を提供することである。
発明の目的の他のひとつは、蓄熱主剤の濃度調整だけに依存することなく水溶液の凝固温度を制御可能な蓄熱装置、および蓄熱制御方法を提供することである。
発明の目的の他のひとつは、過冷却状態にある水溶液の凝固開始の時期を制御可能とすることにより、水溶液の過冷却を許容して蓄熱前の低温を急冷などの用途に利用可能とするとともに、用途に応じた任意の時期に蓄熱を開始することが可能な蓄熱装置、および蓄熱制御方法を提供することである。
ここに開示される発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、発明の技術的範囲を限定するものではない。
発明のひとつは、蓄熱主剤を含む水溶液(32)から水和物(34)を生成させることにより蓄熱する蓄熱装置(1)において、水溶液が凝固温度以下に過冷却されている状態で、水から氷への相変化、溶液から水和物への相変化、および/または水和数変化を伴う相変化を発生させることにより、水溶液から水和物を生成させ、蓄熱を開始させる制御部(4)を備え、制御部(4)は、相変化を発生させる相変化発生部(41)を備え、相変化発生部(41)は、水溶液の中に、相変化を発生するための液相の添加物を添加する添加部(43)を備えることを特徴とする。
この構成によると、水溶液が過冷却されるから、蓄熱が開始される前に低温を利用することができる。さらに、水溶液が過冷却されている状態で、相変化を発生させることにより水和物の生成が開始され、蓄熱が開始される。よって、水溶液が過冷却状態になった後に、蓄熱を開始する時期を制御することができる。
発明のひとつは、蓄熱主剤を含む水溶液(32)から水和物(34)を生成させることにより蓄熱する蓄熱装置(1)において、水溶液が凝固温度以下に過冷却されている状態で、水から氷への相変化、溶液から水和物への相変化、および/または水和数変化を伴う相変化を発生させることにより、水溶液から水和物を生成させ、蓄熱を開始させる制御部(4)を備え、制御部(4)は、相変化を発生させる相変化発生部(41)を備え、相変化発生部(41)は、水溶液の中に、相変化を発生するための水塊または氷塊を添加する添加部(43)と、少なくとも水塊または氷塊が融けることによって発生した水塊に超音波を与えることにより、水から氷への相変化を発生させる超音波供給部(44)とを備えることを特徴とする。
発明のひとつは、蓄熱主剤を含む水溶液(32)から水和物(34)を生成させることにより蓄熱する蓄熱方法(1)において、水溶液を凝固温度以下に過冷却する過冷却段階と、水溶液が凝固温度以下に過冷却されている状態で、水から氷への相変化、溶液から水和物への相変化、および/または水和数変化を伴う相変化を発生させることにより、水溶液から水和物を生成させ、蓄熱を開始させる相変化段階とを有し、相変化段階は、水溶液の中に、相変化を発生するための液相の添加物を添加する添加段階を含むことを特徴とする。
発明のひとつは、蓄熱主剤の水溶液(32)から水和物(34)を生成させることにより蓄熱する蓄熱制御方法(1)において、水溶液を凝固温度以下に過冷却する過冷却段階と、水溶液が凝固温度以下に過冷却されている状態で、水から氷への相変化、溶液から水和物への相変化、および/または水和数変化を伴う相変化を発生させることにより、水溶液から水和物を生成させ、蓄熱を開始させる相変化段階とを有し、相変化段階は、水溶液の中に、相変化を発生するための水塊または氷塊を添加する添加段階(43)と、少なくとも水塊または氷塊が融けることによって発生した水塊に超音波を与えることにより、水から氷への相変化を発生させる超音波供給段階とを含むことを特徴とする。
この方法によると、水溶液が過冷却されるから、蓄熱が開始される前に低温を利用することができる。さらに、水溶液が過冷却されている状態で、相変化を発生させることにより水和物の生成が開始され、蓄熱が開始される。よって、水溶液が過冷却状態になった後に、蓄熱を開始する時期を制御することができる。
発明の第1実施形態に係る蓄熱装置のブロック図である。 第1実施形態の水溶液中における状態変化を示した遷移図である。 発明の第2実施形態の水溶液中における状態変化を示した遷移図である。 実施例と比較例とを対比する表である。
以下において、図面を参照しながら、発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。また、後続の実施形態においては、先行する実施形態で説明した事項に対応する部分に百以上の位だけが異なる参照符号を付することにより対応関係を示し、重複する説明を省略する場合がある。
(第1実施形態)
図1において、蓄熱装置1は、冷凍サイクル2と、蓄熱器3と、制御部4とを有する。蓄熱装置1は、例えば、空調装置における利用空気を冷却する装置を提供する。例えば、蓄熱装置1は、冷凍サイクル2が停止した後においても、蓄熱器3に蓄えられた低温によって利用空気を冷却する。この実施形態では、低温が蓄熱器3に蓄熱されるから、蓄熱の語は、蓄冷と置き換えることができる。
冷凍サイクル2は、熱源機であって、蓄熱器3に蓄熱されるべき低温を供給する。冷凍サイクル2は、蒸発器21、圧縮機22、放熱器23、および減圧器24を備える。蒸発器21は、圧縮機22の吸入側に設けられ、内部において冷媒が蒸発することにより低温を供給する。蒸発器21は、例えば、空調装置における空気冷却器である。圧縮機22は、蒸発器21において蒸発した冷媒を吸入し、圧縮し、高圧冷媒を吐出する。放熱器23は、圧縮機22から供給される高圧冷媒を受け入れ、高圧冷媒を冷却する。減圧器24は、放熱器23において冷却された高圧冷媒を減圧し、低圧冷媒を蒸発器21に供給する。冷凍サイクル2は、例えば、圧縮機22を運転状態、または停止状態に切換えることにより、蒸発器21における低温の発生を断続可能である。
蓄熱器3は、蒸発器21と熱的に結合された容器31を有する。容器31は、蒸発器21に機械的に接触して設けることができる。容器31は、水溶液32を収容している。
水溶液32は、蓄熱主剤を含む水溶液である。水溶液32は、水に蓄熱主剤を溶解させることによって調製されている。水溶液32は、防錆剤などの添加剤を付加的に含むことができる。水溶液32は、調和濃度など、蓄熱量が大きい濃度近傍の濃度に調整されている。水溶液32は、凝固温度、すなわち融点以下において、蓄熱主剤と水との水和物を生成する。水溶液32の凝固温度は、水の凝固温度、すなわち大気圧下における0°Cを上回る温度である。
水溶液32の凝固温度は、蒸発器21が提供可能な低温の温度より高い温度である。空調用途に利用される場合、霜の成長による空気通路の閉塞を抑制するために、蒸発器21の温度は、大気圧下における0°Cをわずかに上回る温度、例えば3°C程度である。水溶液32の凝固温度は、10°C前後である。よって、水溶液32は、冷凍サイクル2によって過冷却されることがある。しかし、水溶液32の過冷却状態は、水の凝固温度を下回ることはない。よって、水溶液32の過冷却状態は、水の凝固温度以上において提供される。
蓄熱主剤は、第4級アルキルアンモニウム塩である。第4級アルキルアンモニウム塩の水溶液32は、凝固温度以下において第4級アルキルアンモニウム塩水和物を生成する。蓄熱主剤は、テトラブチルアンモニウムブロマイド、またはテトラブチルアンモニウムフルオリドである。
制御部4は、蓄熱を開始する時期、すなわち蓄熱を開始する時期を制御する。制御部4は、相変化発生部41と、制御装置42とを備える。
相変化発生部41は、過冷却状態にある水溶液32の中に、水和物34が成長を開始するための相変化を発生させる。相変化は、水から氷への相変化、水溶液から水和物への相変化、および/または水和物の水和数変化を伴う相変化である。図中には、相変化の一例として、水から氷への相変化によって提供された氷核33が図示されている。過冷却状態にある水溶液32中には、氷核33の生成をトリガとして水和物34が成長を開始する。相変化発生部41は、相変化を発生させるために、水溶液32に外部刺激を与える。外部刺激は、水溶液32の全体、または一部に与えられる。外部刺激は、振動、音、超音波、光、電磁波、電界、磁界、放電、部分的な温度変化、部分的な圧力変化などによって提供される。
制御装置42は、相変化発生部41を制御する。制御装置42は、蓄熱を開始するべき時期に相変化発生部41を活性化させ、水溶液32の中に相変化を発生させる。制御装置42は、水溶液32が凝固温度以下に過冷却されるまで待った後に、水溶液32が凝固温度以下に過冷却されている状態で、相変化発生部41により相変化を発生させる。これにより、相変化を起点として過冷却状態にある水溶液32内に水和物が成長する。よって、過冷却の進行が抑えられる。また、蓄熱が開始される。
制御装置42は、電子制御装置(Electronic Control Unit)である。制御装置は、少なくともひとつの演算処理装置(CPU)と、プログラムとデータとを記憶する記憶媒体としての少なくともひとつのメモリ装置(MMR)とを有する。制御装置は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納している。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。制御装置は、ひとつのコンピュータ、またはデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、制御装置によって実行されることによって、制御装置をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように制御装置を機能させる。制御装置は、多様な要素を提供する。それらの要素の少なくとも一部は、機能を実行するための手段と呼ぶことができ、別の観点では、それらの要素の少なくとも一部は、構成的なブロック、またはモジュールと呼ぶことができる。
ひとつの例において、相変化発生部41は、水溶液32内において、水から氷への相変化を発生させる手段として構成される。相変化発生部41は、水塊添加部43および超音波供給部44を備える。
水塊添加部43は、水溶液32の中に、水和物34の成長を開始させる相変化を発生するための液相の添加物を添加する。水塊添加部43は、水溶液32の中に、外部刺激によって水から氷への相変化を発生しやすい水塊を添加する。水塊添加部43は、水溶液32の一部分だけに水塊を供給する。水塊添加部43は、小さい水滴を供給する水滴添加部とも呼ぶことができる。水塊添加部43は、水溶液32の中に水塊を供給する供給部とも呼ぶことができる。水塊添加部43は、水溶液32の中に液相の添加物としての水を添加しているともいえる。
水塊添加部43は、水溶液32の中に、氷塊を供給することによって、水溶液32の中に氷塊が融けることにより発生した水塊を供給する。よって、水塊添加部43は氷塊添加部43とも呼ぶことができる。氷塊添加部43が供給する氷塊は、過冷却状態にあるが水の凝固温度より高温である水溶液32の中において融解し、氷核のまわりに水塊を提供する。
超音波供給部44は、水溶液32に外部刺激を与える外部刺激供給部の一例である。超音波供給部44は、水溶液32内に供給された水塊に超音波を照射する。超音波は水溶液32および水塊の中に局部的な高圧部分、および低圧部分を発生させる。この結果、水塊の中においては、水から氷への相変化が発生する。水塊添加部43が供給する氷塊は、水塊の温度を水の凝固温度の近傍に維持するために貢献する。このため、氷塊を供給することにより、水から氷への相変化が促進される。水から氷への相変化を起点として、水溶液32の中では水和物34の成長が開始される。水から氷への相変化により生成される微小な氷核33を核として水溶液32の中に水和物34が成長すると見ることもできる。この結果、過冷却の進行が抑えられ、蓄熱が開始される。
図2は水溶液32の状態の遷移を示している。まず、状態(0)に図示されるように、水塊添加部43によって水溶液32内に氷塊35が供給される。氷塊35は、水溶液32の凝固温度より低いが、水の凝固温度より高い温度の過冷却状態の中において、徐々に融解する。やがて、状態(1)に図示されるように、小さくなった氷塊35のまわりに水塊36が形成される。
次に、状態(2)に図示されるように、超音波供給部44によって、少なくとも水塊36に超音波が照射される。超音波は水塊36に高圧部分と低圧部分とを発生させる。水塊36の温度は、水塊36が氷塊35に起因するため比較的低温である。このため、超音波に起因する圧力変動によって、水塊36の中には、水から氷への相変化が発生する。この相変化によって、微小な氷核33が発生する。この相変化は、過冷却状態にある水溶液32の水和物生成を開始させる。この結果、状態(3)に図示されるように、氷核33を核として水和物が急速に成長する。これにより、蓄熱が開始される。
したがって、この実施形態では、水溶液32が過冷却されることを許容する段階の後に、水溶液32の中において水から氷への相変化を発生させる段階が実行される。これにより、過冷却状態にある水溶液32は急速に水和物を生成し、蓄熱を開始する。相変化を発生させる段階は、水溶液32の中に水塊36を供給し、この水塊36に外部刺激を与えることによって実行される。水塊36の供給は、水溶液32の中に氷塊35を供給することによって実行される。外部刺激は、超音波によって与えられる。この結果、蓄熱開始時期を制御することができる。また、蓄熱が開始される前においては、水溶液32の過冷却が許容されるから、蓄熱器3を低温にすることができる。これにより、例えば、空調における急速冷房などが可能となる。
冷凍サイクル2が起動され、運転を開始すると、制御装置42は、水溶液32が過冷却されることを許容するように、相変化発生部41を制御する。すなわち、制御装置42は、水溶液32が過冷却されるように、相変化発生部41が水溶液32中に相変化を発生させないように、相変化発生部41を制御する。これにより、水溶液32を凝固温度以下に過冷却する過冷却段階が提供される。
やがて、水溶液32が過冷却され、冷凍サイクル2が起動された後に所定の効果が得られると、制御装置42は、相変化発生部41が水溶液32中に相変化を発生させるように、相変化発生部41を制御する。すなわち、蓄熱を開始すべき時期が到来すると、制御装置42は、相変化発生部41が水溶液32中に相変化を発生させるように、相変化発生部41を制御する。すなわち、相変化を発生させることにより、水溶液32から水和物34を生成させ、蓄熱を開始させる相変化段階が提供される。
具体的には、水塊添加部43によって氷塊35が水溶液32の中に供給される。すなわち、相変化段階は、水溶液32の中に、相変化を発生するための液相の添加物35、36を添加する添加段階を含む。相変化段階は、水溶液32の中に外部刺激を与えることにより、相変化を発生させる外部刺激段階を含む。ここでは、超音波供給部44によって超音波が供給される。よって、相変化段階は、少なくとも水塊または氷塊が融けることによって発生した水塊に超音波を与えることにより、水から氷への相変化を発生させる超音波供給段階を含むことができる。これにより、水溶液32の中に水から氷への相変化が発生する。さらに、相変化に起因して、水溶液32中には水和物34が成長し、過冷却が解除され、蓄熱が開始される。
以上に述べた実施形態によると、水和物を生成する蓄熱主剤の水溶液が、蓄熱材として利用される。この蓄熱材の蓄熱開始温度を制御可能な装置と方法とが提供される。この装置および方法では、蓄熱主剤を含む水溶液が、凝固温度以下の温度にあるときに、蓄熱主剤を含む水溶液の中において、水から氷への相変化、溶液から水和物への相変化、または水和数変化を伴う相変化を発生させることにより水溶液の過冷却を解除させ、蓄熱の開始時期が制御できる。具体的には、第4級アルキルアンモニウム塩水和物が蓄熱のために生成され利用される。上記相変化は、水溶液の全体、水溶液の一部、または水溶液に添加された添加物において発生させられる。相変化は、水溶液の凝固温度以下の温度において、超音波、光、電場、局部温度制御などの外部刺激により発生させられる。さらに具体的には、水溶液の凝固温度以下の温度において、水溶液に、水または氷を添加し、超音波を照射することによって、水の凝固温度である0°C以上において過冷却を解除させ、蓄熱の開始時期が制御できる。
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、水塊添加部43は、水溶液32の中に氷塊35を供給する。これに代えて、水塊添加部43は、水溶液32の中に、氷に起因しない水塊を供給するように構成されてもよい。
図3の状態(1)に図示されるように、水塊添加部43は、水溶液32の中に、水塊236を供給する。状態(2)に図示されるように、超音波供給部44によって、少なくとも水塊236に超音波が照射される。超音波は水塊236に高圧部分と低圧部分とを発生させる。超音波に起因する圧力変動によって、水塊236の中には、水から氷への相変化が発生する。この相変化によって、微小な氷核33が発生する。この相変化は、過冷却状態にある水溶液32の水和物生成を開始させる。この結果、状態(3)に図示されるように、氷核33を核として水和物が急速に成長する。これにより、蓄熱が開始される。
(実施例1)
まず、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)水溶液40.8wt%を調製した。この水溶液は、融点すなわち凝固温度が11.6°Cである。水溶液は、潜熱量190J/gである。この水溶液を90mlだけ容器内に収容し、冷却した。さらに、冷却過程において、水溶液が+7.0°Cにまで過冷却された時点で、氷塊を供給するとともに、超音波を照射した。ここでは、氷塊を約10mg供給した。また、超音波の発振周波数は42kHzであり、その出力は70Wであった。
図4には、実施例1の実験を3回繰り返した結果が示されている。丸印は、氷塊の供給および超音波の照射に応答して、水和物の成長が始まり、蓄熱が開始されたことを示している。このことから、氷塊を添加して超音波照射すると、0°C以上でTBAB水溶液の過冷却状態を解除し、その時期で蓄熱を開始させることができることがわかる。
さらに、図4には、比較例1、比較例2、および比較例3の結果が示されている。図中において、X印は、水和物の成長が観測されず、過冷却状態が継続し蓄熱が開始されなかったことを示している。比較例1は、氷塊を約10mg供給し、超音波を照射しない場合である。比較例1では、5分経過しても過冷却状態のままで、蓄熱が開始されなかった。比較例2は、50nm以下に調製されたアルミナ微粒子を添加し、超音波を照射した場合である。比較例3は、何も添加することなく、超音波の照射だけを実行した場合である。これらの比較例においても、過冷却状態のままで、蓄熱が開始されなかった。
この実施例1と比較例1−3との対比から、水溶液32の中における相変化が水和物の成長の開始、すなわち蓄熱の開始に重要な役割を果たしていることがわかる。
(実施例2)
まず、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)水溶液8.0wt%を調製した。この水溶液は、融点すなわち凝固温度が10.9°Cである。水溶液は、潜熱量23J/gである。この水溶液を90mlだけ容器内に収容し、冷却した。さらに、冷却過程において、水溶液が+8.0°Cにまで過冷却された時点で、氷塊を供給するとともに、超音波を照射した。ここでは、氷塊を約10mg供給した。また、超音波の発振周波数は42kHzであり、その出力は70Wであった。
図4には、実施例2の実験を3回繰り返した結果が示されている。氷塊を添加して超音波照射すると、0°C以上でTBAF水溶液の過冷却状態を解除し、その時期において蓄熱を開始させることができることがわかる。
さらに、図4には、比較例4、および比較例5の結果が示されている。比較例4は、氷塊約10mgを供給し、超音波を照射しない場合である。比較例5は、何も添加することなく、超音波の照射だけを実行した場合である。これらの比較例においても、過冷却状態のままで、蓄熱が開始されなかった。
この実施例2と比較例4−5との対比から、水溶液32の中における相変化が水和物の成長の開始、すなわち蓄熱の開始に重要な役割を果たしていることがわかる。
(他の実施形態)
上記実施形態では、水から氷への相変化を発生させるための外部刺激として超音波を採用した。これに代えて、部分的な圧力変化を生じさせる手段、例えば機械的な可動部による水溶液の部分的な加圧、または減圧を利用して水から氷への相変化を発生させてもよい。また、水溶液の中において部分的な温度変化を発生させてもよい。また、上記実施形態に開示した複数の手段を組み合わせて外部刺激を与えてもよい。
発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、種々変形して実施することが可能である。発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。各実施形態は追加的な部分をもつことができる。各実施形態の部分は、省略される場合がある。実施形態の部分は、他の実施形態の部分と置き換え、または組み合わせることも可能である。上記実施形態の構造、作用、効果は、あくまで例示である。発明の技術的範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。発明のいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
1 蓄熱装置、
2 冷凍サイクル、
3 蓄熱器、
31 容器、 32 水溶液、 33 氷核、 34 水和物、
35 氷塊、 36 水塊、
4 制御部、
41 相変化発生部、 42 制御装置、
43 水(氷)塊添加部、 44 超音波供給部。

Claims (13)

  1. 蓄熱主剤を含む水溶液(32)から水和物(34)を生成させることにより蓄熱する蓄熱装置(1)において、
    前記水溶液が凝固温度以下に過冷却されている状態で、水から氷への相変化、溶液から水和物への相変化、および/または水和数変化を伴う相変化を発生させることにより、前記水溶液から水和物を生成させ、蓄熱を開始させる制御部(4)を備え
    前記制御部(4)は、
    前記相変化を発生させる相変化発生部(41)を備え、
    前記相変化発生部(41)は、
    前記水溶液の中に、前記相変化を発生するための液相の添加物を添加する添加部(43)を備えることを特徴とする蓄熱装置。
  2. 前記添加部(43)は、
    前記添加物として、水塊を供給することを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置。
  3. 前記添加部(43)は、
    前記添加物として、氷塊を供給するとともに、前記氷塊が融けることにより発生した水塊を供給することを特徴とする請求項2に記載の蓄熱装置。
  4. 蓄熱主剤を含む水溶液(32)から水和物(34)を生成させることにより蓄熱する蓄熱装置(1)において、
    前記水溶液が凝固温度以下に過冷却されている状態で、水から氷への相変化、溶液から水和物への相変化、および/または水和数変化を伴う相変化を発生させることにより、前記水溶液から水和物を生成させ、蓄熱を開始させる制御部(4)を備え
    前記制御部(4)は、
    前記相変化を発生させる相変化発生部(41)を備え、
    前記相変化発生部(41)は、
    前記水溶液の中に、前記相変化を発生するための水塊または氷塊を添加する添加部(43)と、
    少なくとも前記水塊または前記氷塊が融けることによって発生した水塊に超音波を与えることにより、水から氷への相変化を発生させる超音波供給部(44)とを備えることを特徴とする蓄熱装置。
  5. 前記制御部(4)は、
    前記水溶液が凝固温度以下に過冷却されている状態で、前記相変化発生部により前記相変化を発生させる制御装置(42)を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の蓄熱装置。
  6. 前記蓄熱主剤は、第4級アルキルアンモニウム塩であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の蓄熱装置。
  7. 前記蓄熱主剤は、テトラブチルアンモニウムブロマイド、またはテトラブチルアンモニウムフルオリドであることを特徴とする請求項6に記載の蓄熱装置。
  8. 蓄熱主剤の水溶液(32)から水和物(34)を生成させることにより蓄熱する蓄熱制御方法(1)において、
    前記水溶液を凝固温度以下に過冷却する過冷却段階と、
    前記水溶液が凝固温度以下に過冷却されている状態で、水から氷への相変化、溶液から水和物への相変化、および/または水和数変化を伴う相変化を発生させることにより、前記水溶液から水和物を生成させ、蓄熱を開始させる相変化段階とを有し、
    前記相変化段階は、前記水溶液の中に、前記相変化を発生するための液相の添加物を添加する添加段階を含むことを特徴とする蓄熱制御方法。
  9. 前記添加段階は、前記添加物として、水塊を供給することを特徴とする請求項8に記載の蓄熱制御方法。
  10. 前記添加段階は、前記添加物として、氷塊を供給するとともに、前記氷塊が融けることにより発生した水塊を供給することを特徴とする請求項9に記載の蓄熱制御方法。
  11. 蓄熱主剤の水溶液(32)から水和物(34)を生成させることにより蓄熱する蓄熱制御方法(1)において、
    前記水溶液を凝固温度以下に過冷却する過冷却段階と、
    前記水溶液が凝固温度以下に過冷却されている状態で、水から氷への相変化、溶液から水和物への相変化、および/または水和数変化を伴う相変化を発生させることにより、前記水溶液から水和物を生成させ、蓄熱を開始させる相変化段階とを有し、
    前記相変化段階は、
    前記水溶液の中に、前記相変化を発生するための水塊または氷塊を添加する添加段階(43)と、
    少なくとも前記水塊または前記氷塊が融けることによって発生した水塊に超音波を与えることにより、水から氷への相変化を発生させる超音波供給段階とを含むことを特徴とする蓄熱制御方法。
  12. 前記蓄熱主剤は、第4級アルキルアンモニウム塩であることを特徴とする請求項8から請求項11のいずれかに記載の蓄熱制御方法。
  13. 前記蓄熱主剤は、テトラブチルアンモニウムブロマイド、またはテトラブチルアンモニウムフルオリドであることを特徴とする請求項12に記載の蓄熱制御方法。
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