JP6098043B2 - 太陽電池モジュール用の封止材シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
前記架橋処理後の封止材シートのゲル分率が0%以上10%以下である(12)に記載の封止材シートの製造方法。
密着強度測定方法:15mm幅にカットした封止材シートを、ガラス板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)上に密着させて150℃、18分で、真空加熱ラミネータで処理を行い、前記ガラス板上に密着している封止材シートを、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行い密着強度を測定する。
本発明に用いられる封止材組成物は、主剤樹脂としてのオレフィン系樹脂と、シランカップリング剤とを必須成分として含有する。オレフィン系樹脂については、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を用いることができるが、中でも、密度0.850g/cm3以上0.910g/cm3以下の低密度ポリエチレンを好ましく用いることができる。以下においては、主剤樹脂として上記の低密度ポリエチレンを用いた実施形態について説明する。又、密着性向上剤として、以下に詳細を説明する通り、SP値が所定の範囲にあるシランカップリング剤を用いる。以下、上記必須成分について説明した後、その他の樹脂、その他の成分について説明する。
本発明においては、好ましくは密度0.850g/cm3以上0.910g/cm3以下、より好ましくは、密度0.850g/cm3以上0.900g/cm3以下の低密度ポリエチレン(LDPE)を用いることができる。又、更に好ましくは直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることができる。直鎖低密度ポリエチレンはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、本発明においては、その密度が0.850g/cm3以上0.900g/cm3以下の範囲内、好ましくは0.860g/cm3以上0.890g/cm3以下の範囲内、より好ましくは0.870g/cm3以上0.885g/cm3以下の範囲である。この範囲であれば、シート加工性を維持しつつ良好な柔軟性と透明性を付与することができる。
本発明においては、公知のラジカル重合開始剤を架橋剤として用いてもよい。ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐パーオキシ)ヘキシン‐3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス‐3,5,5‐トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o‐メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t‐ブチルパーオキシアセテート、t‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、t‐ブチルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシオクトエート、t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルパーオキシフタレート、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン‐3、t‐ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物、又は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4‐ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジクミルパーオキサイド、といったシラノール縮合触媒等を挙げることができる。
本発明においては炭素−炭素二重結合及び/又はエポキシ基を有する多官能モノマーを架橋助剤として用いてもよい。より好ましくは、多官能モノマーの官能基がアリル基、(メタ)アクリレート基、ビニル基であるものが用いられる。これによって適度な架橋反応を促進させるとともに、本発明においてはこの架橋助剤が低密度ポリエチレンの結晶性を低下させ透明性を維持する。
本発明においては、ラジカル重合開始剤となる上記の架橋助剤と、それをクエンチするラジカル吸収剤とを併用することにより、架橋の程度を調整してゲル分率を更に細かく調整することができる。このようなラジカル吸収剤としては、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤や、ヒンダードアミン系の耐候安定化等が例示できる。架橋温度付近でのラジカル吸収能力が高い、ヒンダードフェノール系のラジカル吸収剤が好ましい。ラジカル吸収剤の使用量は、組成物中に0.01質量%以上3質量%以下含まれることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下の範囲である。この範囲内であれば適度に架橋反応を抑制してゲル分率を調整できる。
封止材組成物には、SP値が所定の範囲にあるシランカップリング剤を添加する。SP値を所定の範囲に限定することにより、低密度ポリエチレンに対する相溶性を適切に調整することができ、それにより、電離放射線の照射による架橋処理を経た本発明の封止材シートに裏面保護シートとの間の好ましい密着性を付与することができる。尚、本発明におけるSP値とは、Fedorsによる蒸発エネルギーとモル体積より求める方法によって計算されるSP値を意味する。
封止材組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、本発明の封止材組成物から作製された封止材に耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ封止材組成物中に0.001質量%以上5質量%以下の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、封止材組成物に対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
本発明の封止材シートは、上記の封止材組成物を、その融点を超える温度で溶融成形するシート化工程によって、シート状又はフィルム状の予備封止材シートを得て、その後、電離放射線による架橋処理工程を経て、本発明の太陽電池モジュール用の封止材シートとなる。尚、本発明におけるシート状とはフィルム状も含む意味であり両者に差はない。
上記封止材組成物の溶融成形は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、即ち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行われる。
上記のシート化工程後の予備封止材シートに対して、電離放射線による架橋処理を施す架橋処理工程を、シート化工程の終了後、且つ、封止材を他の部材と一体化する太陽電池モジュール一体化工程の開始前に行う。この架橋工程によってゲル分率が0%以上10%以下、好ましくは0%以上2%以下となる封止材シートとする。架橋処理はシート化工程に続いて連続的にインラインで行われてもよく、オフラインで行われてもよい。
図1は、本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、及び裏面保護シート6が順に積層されている。又、必要に応じて適宜この他の部材を積層してもよい。本発明の太陽電池モジュールは、前面封止材層3及び背面封止材層5の少なくとも一方に、上記説明した本発明の封止材シートを使用する。
太陽電池モジュール1は、例えば、上記の透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、及び裏面保護シート6からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
以下において説明する封止材組成物原料を、封止材組成物中の含有量(質量%)が、下記表2の割合となるように混合し、それぞれ実施例、比較例の封止材シートを作成するための封止材組成物とした。
主剤樹脂1:密度0.880g/cm3、190℃でのMFRが3.5g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン。
主剤樹脂2:密度0.901g/cm3、190℃でのMFRが2.0g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン。
シラン架橋性樹脂:密度0.881g/cm3であり、190℃でのMFRが1.5g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とからなるシラン架橋性樹脂(シラン変性ポリエチレン系樹脂)をベース樹脂に混合するシラン共重合体を含有する樹脂。この樹脂の密度は0.884g/cm3、190℃でのMFRが1.5g/10分である。
シランカップリング剤マスターバッチ(MB)1:密度0.880g/cm3、190℃でのMFRが3.1g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、メタクリロキシ基含有アルコキシシランとして、メタクロリキシ系のシランカップリング剤(「KBM−503」(「信越シリコーン株式会社」製))(以下「シランカップリング剤1」とも言う)を3.0質量部含浸させたコンパウンドペレット。
シランカップリング剤マスターバッチ(MB)2:上記メタクロリキシ系のシランカップリング剤に代えて、アクリロキシ基含有アルコキシシランとしてアクリル系のシランカップリング剤(「KBM−5103」(「信越シリコーン株式会社」製))(以下「シランカップリング剤2」とも言う)を用いた他は、シランカップリング剤MB1と同じ組成のもの。
シランカップリング剤マスターバッチ(MB)3:上記メタクロリキシ系のシランカップリング剤に代えて、シランカップリング剤としてビニル系のシランカップリング剤(「KBM−1003」(「信越シリコーン株式会社」製))(以下「シランカップリング剤3」とも言う)を用いた他は、シランカップリング剤MB1と同じ組成のもの。
密度0.880g/cm3、190℃でのMFRが3.1g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.5質量部を含浸させたコンパウンドペレットを架橋剤マスターバッチ(MB)として用いた。
耐候剤として、密度0.880g/cm3のチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチ(MB)を用いた。
ガラス密着性(密着強度測定試験)
:15mm幅にカットした実施例、比較例の各封止材シートを、シボ加工を施したガラス板(縦50mm×横75mm×3.2mm)上に密着させて、150℃、18分の条件で、真空加熱ラミネータ処理を行い、それぞれの実施例、比較例について密着性評価用試料を得て、ガラス板上に密着している封止材シートを、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行いガラス密着強度を測定し、3回の測定の平均値を採用した。
へーズ値(透明性試験)
:JISK7136に沿って、株式会社村上色彩研究所 ヘーズ・透過率系HM150にて、ヘーズ(%)を測定した。
ゲル分率(%):封止材シート試料0.1gを樹脂メッシュに入れ、キシレンにて加熱還流で12時間抽出したのち、樹脂メッシュごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の重量比較を行い残留不溶分の質量%を測定しこれをゲル分率とした。
試験例1で製造した実施例2、実施例4、及び比較例2の封止材シートについて、電子線の照射量の変更による密着強度の変化を測定した。試験例1と同じ方法で電子線の照射を行い、照射量を0〜50kGyまで、逐次増加していき、試験例1と同じ方法で、照射後の密着強度を測定した。結果を図2に示す。
2 透明前面基板
3 前面封止材層
4 太陽電池素子
5 背面封止剤層
6 裏面保護シート
Claims (5)
- 密度0.850g/cm 3 以上0.910g/cm 3 以下の低密度ポリエチレンからなる主剤樹脂と、
シランカップリング剤と、を含有する封止材組成物を溶融成形した後に、電離放射線を照射して架橋処理して得られる太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法であって、
前記封止材組成物が更に架橋剤を含有し、該架橋剤の前記封止材組成物中の含有量が0.02質量%以上0.5質量%未満であり、
前記シランカップリング剤のFedorsの方法により計算されるSP値が、前記主剤樹脂のSP値よりも大きく、且つ、前記シランカップリング剤のSP値と前記主剤樹脂のSP値との差が0.3以上2.0未満である太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。 - 前記シランカップリング剤が、アクリロキシ基又はメタクリロキシ基含有アルコキシシランである請求項1に記載の封止材シートの製造方法。
- 前記シランカップリング剤の前記封止材組成物中の含有量が0.1質量%以上3質量%以下である請求項1又は2に記載の封止材シートの製造方法。
- 前記主剤樹脂が、シラン変性ポリエチレン樹脂を含有しないことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の封止材シートの製造方法。
- 下記の密着強度測定方法によって測定した前記架橋処理前の封止材シートのガラス密着強度よりも、前記架橋処理後の封止材シートの前記ガラス密着強度の方が大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の封止材シートの製造方法。
密着強度測定方法:15mm幅にカットした封止材シートを、シボ加工を施したガラス板(縦50mm×横75mm×3.2mm)上に密着させて、150℃、18分で、真空加熱ラミネータで処理を行い、前記ガラス板上に密着している封止材シートを、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行い密着強度を測定する。
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