以下、本発明の一実施形態を図1〜図44に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのレーザプリンタ1000の概略構成が示されている。
このレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電装置1031、現像装置1032、転写装置1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、定着装置1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060などを備えている。なお、これらは、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
プリンタ制御装置1060は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器などを有している。そして、プリンタ制御装置1060は、上位装置からの要求に応じて各部を制御するとともに、上位装置からの画像情報を光走査装置1010に送る。
感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。そして、感光体ドラム1030は、不図示の駆動機構により図1における矢印方向に回転される。
帯電装置1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。この帯電装置1031は、一例として図2(A)に示されるコロトロン型帯電装置であっても良いし、一例として図2(B)に示されるスコロトロン型帯電層とであっても良い。更に、ローラ型帯電装置であっても良い。
図1に戻り、光走査装置1010は、帯電装置1031で帯電された感光体ドラム1030の表面を、プリンタ制御装置1060からの画像情報に基づいて変調された光束により走査し、感光体ドラム1030の表面に画像情報に対応した静電潜像を形成する。ここで形成された静電潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像装置1032の方向に移動する。なお、この光走査装置1010の詳細については後述する。
トナーカートリッジ1036にはトナー(現像剤)が格納されており、該トナーは現像装置1032に供給される。
現像装置1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて静電潜像を顕像化させる。ここでトナーが付着した像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写装置1033の方向に移動する。
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、該給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚ずつ取り出す。該記録紙1040は、感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写装置1033との間隙に向けて送り出される。
転写装置1033には、感光体ドラム1030の表面のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。ここでトナー像が転写された記録紙1040は、定着装置1041に送られる。
定着装置1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナーが記録紙1040上に定着される。ここでトナーが定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次積層される。
除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。
クリーニングユニット1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電装置1031に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置1010について説明する。
この光走査装置1010は、一例として図3に示されるように、光源11、カップリングレンズ12、開口板13、シリンドリカルレンズ14、ポリゴンミラー15、走査光学系20、及び走査制御装置(図示省略)などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング(図示省略)の所定位置に組み付けられている。
なお、本明細書では、XYZ3次元直交座標系において、感光体ドラム1030の長手方向(回転軸方向)に沿った方向をY軸方向、ポリゴンミラー15の回転軸に沿った方向をZ軸方向として説明する。
また、以下では、便宜上、各光学部材において、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源11は、一例として図4に示されるように2次元配列された25個の発光部を有している。25個の発光部は、全ての発光部を副走査対応方向に延びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等しくなるように配置されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
各発光部は、面発光レーザ(VCSEL)である。すなわち、光源11は、面発光レーザアレイを有している。なお、発光部の数は、25個に限定されるものではない。
カップリングレンズ12は、光源11から射出された光の光路上に配置され、該光を略平行光とする。
開口板13は、開口部を有し、カップリングレンズ12を介した光を整形する。
シリンドリカルレンズ14は、開口板13の開口部を通過した光を、ポリゴンミラー15の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
光源11とポリゴンミラー15との間の光路上に配置されている光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。
ポリゴンミラー15は、感光体ドラム1030の長手方向(回転軸方向)に直交する回転軸まわりに回転する4面鏡を有している。この4面鏡における各鏡面が偏向反射面である。ポリゴンミラー15の4面鏡は等速回転し、シリンドリカルレンズ14からの光を等角速度的に偏向する。
走査光学系20は、ポリゴンミラー15で偏向された光の光路上に配置され、一例として図5及び図6に示されるように、第1走査レンズ21、第2走査レンズ22、折り返しミラー24、同期検知用ミラー25、及び同期検知センサ26などを有している。
第1走査レンズ21は、ポリゴンミラー15で偏向された光の光路上に配置されている。
第2走査レンズ22は、第1走査レンズ21を介した光の光路上に配置されている。
折り返しミラー24は、第2走査レンズ22を介した光の光路を、感光体ドラム1030に向かう方向に折り返す。
すなわち、ポリゴンミラー15で偏向された光は、第1走査レンズ21、第2走査レンズ22、及び折り返しミラー24を介して感光体ドラム1030に照射され、感光体ドラム1030表面に光スポットを形成する。
感光体ドラム1030表面の光スポットは、ポリゴンミラー15の回転に伴って感光体ドラム1030の長手方向(Y軸方向)に沿って移動する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」であり、感光体ドラム1030の回転方向が「副走査方向」である。
同期検知用ミラー25は、折り返しミラー24で反射された書き込み開始前の光を同期検知センサ26に向かう方向(ここでは、+Y方向)に反射する。同期検知センサ26は、受光光量に応じた信号(光電変換信号)を走査制御装置に出力する。以下では、同期検知センサ26の出力信号を「同期検知信号」ともいう。
図7には、半導体レーザのIL特性が示されている。半導体レーザに供給される電流(以下では、「供給電流」と略述する)が閾値Ithまでは、光出力は非常に小さく、供給電流が閾値Ithを越えると光出力は電流値に比例して大きくなる。なお、図7における符号Iopは、点灯の際に所定の光出力P0を得るための供給電流であり、「動作電流」とも呼ばれている。また、電流値が閾値Ithの供給電流を「閾値電流Ith」ともいう。
ところで、半導体レーザの駆動方式には、無バイアス方式と有バイアス方式とがある。無バイアス方式とは、消灯時の供給電流を0にし、点灯の際に動作電流Iopを供給する方式である。また、有バイアス方式とは、1mA程度の微小な電流をバイアス電流Ibとして常時供給しておき、点灯の際に、動作電流Iopとバイアス電流Ibとの差を付加する方式である(図8参照)。この点灯の際に付加される電流は、「変調電流」や「駆動電流」と呼ばれている。
近年、電子写真方式を用いた画像形成装置では、処理速度の高速化が急速に進んでいる。閾値Ithの大きな半導体レーザを無バイアス方式で駆動する場合、動作電流Iopが該半導体レーザに供給されても、レーザ発振が可能な濃度のキャリアが生成されるまでにある程度の時間を要するため、発光遅延を生ずる。
この場合に、半導体レーザを高速でオンオフさせようとすると、所望の点灯時間に対応して動作電流を半導体レーザに供給しても、実際の点灯時間が所望の点灯時間よりも短くなるおそれがある。そこで、本実施形態では、応答特性を向上させるため、有バイアス方式を用いている。
走査制御装置は、画像処理装置(画像処理装置100という)を備えている。この画像処理装置100は、一例として図9に示されるように、画像処理ユニット101、コントローラ102、メモリ103、及び光源制御装置104などを有している。
メモリ103には、画像処理ユニット101での処理に用いられる各種データが格納されている。
画像処理ユニット101での処理について、図10を用いて説明する。図10のフローチャートは、画像処理ユニット101によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。
最初のステップS401では、プリンタ制御装置1060から画像情報が送られてきたか否かを判断する。なお、ここでは、プリンタ制御装置1060から画像情報が送られてくるまで待機する。そして、プリンタ制御装置1060から画像情報が送られてくると、ここでの判断は肯定され、ステップS403に移行する。
このステップS403では、画像情報をコントローラ102に送る。コントローラ102では、画像情報に対して回転処理、リピート処理、集約処理、圧縮伸長処理などが行われ、これらの処理結果が画像処理ユニット101に戻される。
次のステップS405では、コントローラ102から処理結果が戻されたか否かを判断する。なお、ここでは、コントローラ102から処理結果が戻されるまで待機する。そして、コントローラ102から処理結果が戻されると、ここでの判断は肯定され、ステップS407に移行する。
このステップS407では、メモリ103に予め格納されているルックアップ濃度テーブルを参照し、コントローラ102からの処理結果を濃度データに変換する。
次のステップS409では、上記濃度データに対して、フィルタを用いて平滑化処理やエッジ強調処理などの画像補正を行う。
次のステップS411では、上記画像補正されたデータに対して、メモリ103に予め格納されているルックアップ階調テーブルを参照し、階調を補正する。
次のステップS413では、上記階調が補正されたデータに対して、ディザ処理などの階調処理を行う。
次のステップS415では、上記階調処理されたデータを画像データとして光源制御装置104に出力する。そして、上記ステップS401に戻る。
なお、画像処理ユニット101は、上記処理をCPUとプログラムとによって行っても良いし、上記処理の一部あるいは全てをハードウェアによって行っても良い。
光源制御装置104は、一例として図11に示されるように、基準クロック生成回路105、画素クロック生成回路106、駆動制御装置107、及び光源駆動回路108などを有している。なお、図11における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。また、1本の矢印は、必ずしも1本の信号線を意味するものではない。
基準クロック生成回路105は、光源制御装置104全体において基準となる高周波クロック信号を生成する。
画素クロック生成回路106は、PLL(Phase Locked Loop)回路を有し、基準クロック生成回路105からの高周波クロック信号と同期検知センサ26からの同期検知信号に基づいて、画素クロック信号を生成する。この画素クロック信号は、駆動制御装置107及び光源駆動回路108に出力される。
駆動制御装置107は、画像処理ユニット101から画像データ、画素クロック生成回路106からの画素クロック信号、及び同期検知センサ26からの同期検知信号に基づいて、変調信号、発光部選択信号、書き込みタイミング信号、レベル信号などを生成し、光源駆動回路108に出力する。同期検知信号、変調信号、発光部選択信号、書き込みタイミング信号のタイミングチャートの一例が図12に示されている。
光源駆動回路108は、一例として図13に示されるように、CPU201、メモリ202、D/A変換回路203、4つのスイッチ(204、205、206、207)、4つの電流源(208、209、210、211)、及びセレクタ212などを有している。
本実施形態では、一例として図14に示されるように、オーバーシュート電流1(Iov1)及びオーバーシュート電流2(Iov2)を変調電流に付加できるようになっている。
図13に戻り、メモリ202には、CPU201にて解読可能なコードで記述されたプログラム、及びプログラムの実行に用いられる複数のデータや設定値などが格納されている。
CPU201は、メモリ202に格納されているプログラムに従って光源駆動回路108の全体の動作を制御する。
D/A変換回路203は、CPU201からのオーバーシュートレベル1設定信号をアナログ信号に変換し、オーバーシュートレベル1信号を生成する。また、D/A変換回路203は、CPU201からのオーバーシュートレベル2設定信号をアナログ信号に変換し、オーバーシュートレベル2信号を生成する。なお、各設定信号に関する情報は、メモリ202に予め格納されている。
電流源208は、変調電流の電流源である。変調電流の大きさは、駆動制御装置107からのレベル信号によって決定される。
電流源209は、オーバーシュート電流1(Iov1)の電流源である。オーバーシュート電流1の大きさは、オーバーシュートレベル1信号によって決定される。
電流源210は、オーバーシュート電流2(Iov2)の電流源である。オーバーシュート電流2の大きさは、オーバーシュートレベル2信号によって決定される。
電流源211は、バイアス電流の電流源である。
スイッチ204は、電流源208との電気的な接続をオン/オフするためのスイッチであり、変調信号によってオン/オフされる。ここでは、スイッチ204は、変調信号がハイレベルのときにオンとなり、ローレベルのときにオフとなるように設定されている。
スイッチ205は、電流源209との電気的な接続をオン/オフするためのスイッチであり、CPU201からのオーバーシュート1信号によってオン/オフされる。ここでは、スイッチ205は、オーバーシュート1信号がハイレベルのときにオンとなり、ローレベルのときにオフとなるように設定されている。
スイッチ206は、電流源210との電気的な接続をオン/オフするためのスイッチであり、CPU201からのオーバーシュート2信号によってオン/オフされる。ここでは、スイッチ206は、オーバーシュート2信号がハイレベルのときにオンとなり、ローレベルのときにオフとなるように設定されている。
スイッチ207は、電流源211との電気的な接続をオン/オフするためのスイッチであり、CPU201からのバイアス信号によってオン/オフされる。ここでは、スイッチ207は、バイアス信号がハイレベルのときにオンとなり、ローレベルのときにオフとなるように設定されている。
図15には、変調信号、オーバーシュート1信号、オーバーシュート2信号、及び光源駆動回路108から出力される電流のタイミングチャートの一例が示されている。
図13に戻り、セレクタ212は、駆動制御装置107からの発光部選択信号に基づいて、光源11における25個の発光部のなかの1つの発光部を選択する。ここで選択された発光部のみに光源駆動回路108の出力電流が供給される。
次に、静電潜像計測装置について説明する。図16には、静電潜像計測装置300の概略構成が示されている。
この静電潜像計測装置300は、荷電粒子照射系400、露光系500、試料台401、検出器402、LED403、制御系303(図16では図示省略、図18参照)、排出系(図示省略)及び駆動用電源(図示省略)などを備えている。
荷電粒子照射系400は、真空チャンバ340内に配置された、電子銃311、引き出し電極312、加速電極313、コンデンサレンズ314、ビームブランカ315、仕切り板316、可動絞り317、スティグメータ318、走査レンズ319、及び対物レンズ320を有している。なお、本明細書では、各レンズの光軸方向をc軸方向とし、c軸方向に直交する面内における互いに直交する2つの方向をa軸方向及びb軸方向として説明する。
電子銃311は、荷電粒子ビームとしての電子ビームを発生させる。
引き出し電極312は、電子銃311の−c側に配置され、電子銃311で発生された電子ビームを制御する。
加速電極313は、引き出し電極312の−c側に配置され、電子ビームのエネルギを制御する。
コンデンサレンズ314は、加速電極313の−c側に配置され、電子ビームを集束させる。
ビームブランカ315は、コンデンサレンズ314の−c側に配置され、電子ビームの照射をオン(ON)/オフ(OFF)させる。
仕切り板316は、ビームブランカ315の−c側に配置され、中央に開口を有している。
可動絞り317は、仕切り板316の−c側に配置され、仕切り板316の開口を通過した電子ビームのビーム径を調整する。
スティグメータ318は、可動絞り317の−c側に配置され、非点収差を補正する。
走査レンズ319は、スティグメータ318の−c側に配置され、スティグメータ318を介した電子ビームをab面内で偏向する。
対物レンズ320は、走査レンズ319の−c側に配置され、走査レンズ319を介した電子ビームを収束させる。対物レンズ320を介した電子ビームは、ビーム射出開口部321を通過して試料323の表面に照射される。
各レンズ等には、不図示の駆動用電源が接続されている。
なお、荷電粒子とは、電界や磁界の影響を受ける粒子を意味し、例えば、電子ビームに代えて、イオンビームを用いても良い。この場合は、電子銃に代えて、液体金属イオン銃などが用いられる。
試料323は、感光体であり、一例として図17(A)に示されるように、導電性支持体323a、電荷発生層(CGL)323b、及び電荷輸送層(CTL)323cを有している。
電荷発生層(CGL)323bは、電荷発生材料(CGM)を含み、導電性支持体323aの+c側の面上に形成されている。電荷輸送層(CTL)323cは、電荷発生層(CGL)323bの+c側の面上に形成されている。
試料323は、表面(+c側の面)に電荷が帯電している状態で露光されると、電荷発生層(CGL)323bの電荷発生材料(CGM)によって光が吸収され、正負両極性のチャージキャリアがそれぞれ発生する。このキャリアは、電界によって、一方は電荷輸送層(CTL)323cに、他方は導電性支持体323aに注入される(図17(B)参照)。
電荷輸送層(CTL)323cに注入されたキャリアは、電界によって電荷輸送層(CTL)323cの表面にまで移動し、表面の電荷と結合して消滅する。これにより、試料323の表面(+c側の面)に電荷分布、すなわち、静電潜像が形成される。
図16に戻り、露光系500は、上記光走査装置1010と同様に、光源、カップリングレンズ、開口板、シリンドリカルレンズ、ポリゴンミラー、走査光学系などを有している。また、この露光系500は、ポリゴンミラーの回転軸に平行な方向に関して光を走査させるための走査機構(図示省略)も有している。
露光系500から射出された光は、反射ミラー372及び窓ガラス368を介して試料323の表面に照射される。
試料323の表面における露光系500から射出される光の照射位置は、ポリゴンミラーでの偏向及び走査機構での偏向によって、c軸方向に直交する平面上の互いに直交する2つの方向に沿って変化する。このとき、ポリゴンミラーでの偏向による照射位置の変化方向は主走査方向であり、走査機構での偏向による照射位置の変化方向は副走査方向である。ここでは、a軸方向が主走査方向、b軸方向が副走査方向となるように設定されている。
このように、露光系500から射出される光によって試料323の表面を2次元的に走査することができる。すなわち、試料323の表面に2次元的な静電潜像を形成することが可能である。
ところで、露光系500は、ポリゴンミラーの駆動モータにより生じる振動や電磁波が電子ビームの軌道に影響を与えないように、真空チャンバ340の外に設けられている。これにより、測定結果に及ぼす外乱の影響を抑制することができる。
検出器402は、試料323の近傍に配置され、試料323からの2次電子を検出する。
LED403は、試料323の近傍に配置され、試料323を照明する光を射出する。このLED403は、測定後に試料323の表面に残留している電荷を消去するのに用いられる。
制御系303は、図18に示されるように、主制御装置3a、入力装置3b、表示装置3c、印刷装置3dなどを有している。
入力装置3bは、キーボード等の入力媒体を有し、作業者から入力された各種情報を主制御装置3aに通知する。
表示装置3cは、液晶ディスプレイ等の表示部を有し、主制御装置3aから指示された各種情報を表示する。
印刷装置3dは、プリンタを有し、主制御装置3aから指示された各種情報を紙などに印刷する。
主制御装置3aは、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データなどが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器などを有し、静電潜像計測装置300の各部を統括的に制御する。
主制御装置3aは、荷電粒子照射系400に対して、電子銃311、加速電極313、コンデンサレンズ314、ビームブランカ315、可動絞り317、スティグメータ318、走査レンズ319、対物レンズ320、及び排出系などを制御する。
また、主制御装置3aは、露光系500に対して、光源、及びポリゴンミラーの駆動モータなどを制御する。
さらに、主制御装置3aは、試料台401をabc3軸方向に関して駆動制御する。また、主制御装置3aは、検出器402の出力信号を取得する。
上記のように構成される静電潜像計測装置300は、不図示の除振台を介して設置されている。
次に、静電潜像計測装置300を用いて行われる静電潜像計測処理における主制御装置3aの動作について説明する。なお、試料323は、作業者によってすでに試料台401にセットされているものとする。また、真空チャンバ340内は、すでに所定の真空度に達しているものとする。
1.荷電粒子照射系400を制御して、試料323に電子ビームを照射し、試料323の表面を一様に帯電させる。
ここでは、加速電極313に印加される電圧である加速電圧|Vacc|として、試料323での2次電子放出比が1となる電圧よりも高い電圧(図19参照)が設定される。これにより、試料323では、入射電子の量が放出電子の量よりも上回るため電子が試料323に蓄積され、チャージアップを起こす。この結果、試料323の表面をマイナス電荷で一様に帯電させることができる。
加速電圧と帯電電位との間には、一定の関係(図20参照)があるため、加速電圧と照射時間を適切に設定することにより、試料323の表面に、レーザプリンタ1000における感光体ドラム1030と同様な帯電電位を形成することができる。なお、照射電流の大きいほうが、短時間で目的の帯電電位に到達することができるため、ここでは照射電流を数nAとしている。
2.静電潜像が観察できるように、試料323における入射電子量を1/100倍〜1/1000倍にする。
3.露光系500を制御して、試料323の表面を2次元的に光走査し、試料323に静電潜像を形成する。なお、露光系500は、試料323の表面に所望のビーム径及びビームプロファイルの光スポットが形成されるように調整されている。
ところで、静電潜像の形成に必要な露光エネルギは、試料の感度特性によって決まるが、通常、2〜10mJ/m2程度である。なお、感度が低い試料では、必要な露光エネルギは十数mJ/m2となることもある。帯電電位や必要な露光エネルギは、試料の感光特性やプロセス条件に合わせて設定される。ここでは、レーザプリンタ1000に合わせた露光条件に設定されている。
また、画像パターンとしては、いわゆる1ドット孤立パターン、1ドット格子パターン(図21(A)参照)、2ドット孤立パターン(図21(B)参照)、2by2パターン(図21(C)参照)、ラインパターン(図21(D)参照)など様々なパターンを形成することができる。
4.荷電粒子照射系400を制御して、静電潜像が形成されている試料323表面を電子ビームで走査し、試料323から放出される2次電子を検出器402を介して検出する。このとき、走査レンズ319への走査信号と同期をとることで、各走査位置とその位置における2次電子検出量とを関連付けることができる。
5.検出器402の出力信号に基づいて、静電潜像のコントラスト像を作成する(例えば、特許第4559063号公報参照)。ここでは、試料323における帯電している部分では2次電子の検出量が多く、露光された部分では2次電子の検出量が少ないため、明暗のコントラスト像を得ることができる。そして、コントラスト像における暗の部分は、露光された部分、すなわち静電潜像の部分とみなすことができる。
試料323の表面に電荷分布があると、試料323の上方に位置する空間に、表面電荷分布に応じた電界分布が形成される。入射電子によって発生した2次電子は、この電界によって押し戻され、検出器402に到達する量が減少する。従って、電荷リーク箇所は、露光部が黒、非露光部が白となり、表面電荷分布に応じたコントラスト像を得ることができる。
図22(A)は、荷電粒子を捕獲する検出器402と、試料323との間の空間における電位分布を、等高線で説明図的に示したものである。試料323の表面は、光減衰により電位が減衰した部分を除いては負極性に一様に帯電した状態であり、検出器402には正極性の電位が与えられている。そのため、実線で示される電位等高線群においては、試料323の表面から検出器402に近づくに従い電位が高くなる。従って、試料323の、負極性に均一帯電している部分であるQ1点やQ2点で発生した2次電子el1、el2は、検出器402の正電位に引かれ、矢印G1や矢印G2で示されるように変位し、検出器402に捕獲される。
一方、図22(A)において、Q3点は光照射されて負電位が減衰した部分であり、Q3点近傍では電位等高線の配列は破線で示されるように、Q3点を中心とした半円形の波紋状に広がる。この波紋状の電位分布では、Q3点に近いほど電位が高くなっている。換言すると、Q3点の近傍で発生した2次電子el3には、矢印G3で示すように、試料323側に拘束する電気力が作用する。このため、2次電子el3は、破線の電位等高線で示されるポテンシャルの穴に捕獲され、検出器402に向かって移動することができない。
図22(B)には、上記ポテンシャルの穴が模式的に示されている。すなわち、検出器402により検出される2次電子の強度(2次電子数)は、強度の大きい部分が「静電潜像の地の部分(均一に負帯電している部分、図22(A)における点Q1やQ2に代表される部分)」に対応し、強度の小さい部分が「静電潜像の画像部(光照射された部分、図22(A)における点Q3に代表される部分)」に対応することになる。
従って、検出器402の出力から得られる電気信号を、適当なサンプリング時間でサンプリングすれば、サンプリング時刻Tをパラメータとして、表面電位分布(電位コントラスト像)V(a,b)を「サンプリングに対応した微小領域」毎に特定できる。そして、表面電位分布V(a,b)を2次元的な画像データとして構成し、これを表示装置3cの表示部を表示したり、印刷装置3dのプリンタで印刷すれば、静電潜像を可視的な画像として得ることができる。
例えば、捕獲される2次電子の強度を「明るさの強弱で表現」すれば、静電潜像の画像部分は暗く、地の部分は明るくコントラストがつき、表面電荷分布に応じた明暗像として表現(出力)することができる。もちろん、表面電位分布を知ることができれば、表面電荷分布も知ることができる。
なお、表面電荷分布や表面電位分布のプロファイルを求めることにより、静電潜像をさらに高精度に測定することが可能である。
ところで、検出器402での検出対象は、試料323からの2次電子に限定されるものではない。例えば、入射電子ビームが試料323の表面に到達する前に、試料323の表面近傍で反発された電子(以下、「1次反発電子」ともいう)を検出器402が検出しても良い(例えば、特許第4702880号公報、特許第5089865号公報、特許第5116134号公報参照)。この場合について、以下に説明する。
一例として図23に示されるように、試料台401と試料323との間に絶縁部材404と導電部材405が設け、導電部材405に±Vsubの電圧が印加されるようになっている。なお、検出器402に対向して導電板が設けられても良い。
検出器402では、1次反発電子が検出される(図24参照)。
ところで、加速電圧は正で表現することが一般的であるが、Vaccは負であり、電位ポテンシャルとして物理的意味を持たせるためには、負で表現する方が説明しやすいため、ここでは加速電圧は負(Vacc<0)と表現する。また、試料323の電位ポテンシャルをVp(<0)とする。
電位とは、単位電荷が持つ電気的な位置エネルギである。従って、入射電子は、電位0(V)では加速電圧Vaccに相当する速度で移動する。すなわち、電子の電荷量をeとし電子の質量をmとすると、電子の初速度v0は、mv0 2/2=e×|Vacc|で表される。真空中ではエネルギ保存の法則により、加速電圧の働かない領域では等速で運動し、試料323に接近するに従い、電位が高くなり、試料323の電荷によりクーロン反発の影響を受けて速度が遅くなる。従って、一般的に以下のような現象が起こる。
|Vacc|≧|Vp|のときは、入射電子の速度は減速されるものの、試料323に到達する(図25(A)参照)。一方、|Vacc|<|Vp|のときは、入射電子の速度は試料323の電位ポテンシャルの影響を受けて徐々に減速し、試料323に到達する前に速度が0となって、反対方向に進む(図25(B)参照)。
空気抵抗の無い真空中では、エネルギ保存の法則がほぼ成立する。従って、入射電子のエネルギを変えたときの、試料323表面上でのエネルギすなわちランディングエネルギがほぼ0となる条件を計測することで、試料323表面の電位を計測することができる。入射電子が試料323に到達したとき発生する2次電子と1次反発電子とでは、検出器402に到達する量が大きく異なるので、明暗のコントラストの境界より識別することができる。
なお、走査電子顕微鏡などには、反射電子の検出器があるが、この場合の反射電子とは、一般的に試料の物質との相互作用により、入射電子が後方背面に反射(散乱)され、試料表面から飛び出す電子のことを指す。反射電子のエネルギは入射電子のエネルギに匹敵する。反射電子の速度ベクトルは試料の原子番号が大きいほど大きいといわれている。反射電子は、試料の組成の違い、及び表面の凹凸などを検出するのに利用される。これに対して、1次反発電子は、試料表面の電位分布の影響を受けて、試料表面に到達する前に反転する電子のことで有り、反射電子とは全く異なるものである。
図26(A)〜図26(C)には、静電潜像を計測した結果の一例が示されている。Vthは、VaccとVsubとの差(=Vacc−Vsub)である。各走査位置(a,b)で、ランディングエネルギがほぼ0となるときのVth(a,b)から電位分布V(a,b)を求めることができる。Vth(a,b)は、電位分布V(a,b)と一意的な対応関係があり、電荷分布がなだらかであれば、Vth(a,b)は近似的に電位分布V(a,b)と等価となる。図26(A)におけるVthと静電潜像の中心からの距離との関係を示す曲線は、試料表面の電荷分布によって生じた表面電位分布の一例である。
ここでは、Vaccは−1800Vとしている。静電潜像の中心では、電位が約−600Vであり、該中心から離れるにつれて、電位がマイナス側に大きくなり、該中心から75μmを超える周辺領域の電位は約−850Vになっている。
図26(B)は、Vsub=−1150Vに設定したときの検出器402の出力を画像化した図である。このとき、Vth=−650Vである。図26(C)は、Vsub=−1100Vに設定したときの検出器402の出力を画像化した図である。このとき、Vth=−700Vである。
そこで、Vacc又はVsubを変えながら、試料表面を電子ビームで走査させ、Vth(a,b)を計測することにより、試料の表面電位情報を得ることができる。この方法を用いることにより、従来困難であった、静電潜像のプロファイルをミクロンオーダーで可視化することが可能となる。
なお、1次反発電子を検出して静電潜像のプロファイルを求める方式では、入射電子のエネルギが極端に変化するため、入射電子の軌道がずれ、その結果として、走査倍率が変化したり、歪曲収差を生じる場合がある。そこで、このような場合には、静電場の環境や電子軌道をあらかじめ計算しておき、その計算結果に基づいて検出結果を補正することにより、静電潜像のプロファイルを高精度に求めることができる。
すなわち、静電潜像計測装置300を用いて、静電潜像における電荷分布、表面電位分布、電界強度分布、及び試料表面に直交する方向に関する電界強度を、それぞれ高精度に求めることが可能である。
近年、電子写真プロセスにおいて、高画質化、高安定化の要求が高まっている。中でも、1200dpiで2ポイントあるいは3ポイントに相当する微小サイズ文字、特に白抜けとなる2ポイント反転文字あるいは3ポイント反転文字を認識できる出力画像が求められている。しかしながら、高画質な画像を出力することが困難であり、その要因は、これまで現像工程、転写工程、定着工程での劣化要因が支配的であるとされており、現像工程、転写工程、定着工程の改善を行っていたが、期待されたほどの効果は得られなかった。
白抜けとなる反転画像を画像パターンのまま出力しても、通常の画像で生じる試料垂直方向の潜像電界ベクトルが逆転するわけではなく、試料垂直方向の潜像電界ベクトルは反転画像の方が小さくなる。プリンタ制御装置1060から供給される画像パターン信号と潜像の不一致が起きている。すなわち、いくら現像工程、転写工程、定着工程を改善しても、高画質への効果が期待できないことを意味する。
そして、特に白抜け文字画像を高画質に印字するには、試料垂直方向の潜像電界ベクトルをトナーが付着しない側に大きくさせることが有効であることがわかった。電磁気学的見地からすると、白画像部の電荷量を増加させることが白部の電界ベクトルを大きくする、最も簡単な方法であるが、帯電電荷量を局所的に増加させることは困難である。そこで、顕在化させるべく白画像部の光出力パターンへの変更処理をしなくても、実質的に白画像部の電荷量を増加させたのと同等の効果をもたらすような光出力パターンを考案した。
もうひとつの課題として、特に画像処理ユニットを過ぎると、白と黒の画像パターン情報しかなく、反転文字などの情報は消滅する。このため、文字部を認識するために行われるエッジ検出などの処理は複雑であり、誤認識を生じやすい。従って、エッジ検出や文字情報認識など特別な処理を行わずに、反転文字などの画像情報に関わらず、簡単で統一的処理ができることが望ましい。
従来発明として数件あげるが、いずれも、画像処理方法が異なる上に、試料垂直方向の潜像電界ベクトルを大きくするという技術思想はない。
特開平09−247477号公報に開示されている発明は、電界の巻き込みすなわちエッジ電界に対する課題解決であり、注目している白画素自体を変更する点で技術思想が本願と異なる。また、潜像電界に触れていない。
特開平09−085982号公報に開示されている発明は、通常文字画像を想定しており、反転画像には触れていない。
特開2004−181868号公報に開示されている発明は、画像処理方法が全く異なる上に、試料垂直方向の潜像電界ベクトルを大きくするという技術思想はない。トナー、キャリア、現像手段といった誤差要因を含んだ現像条件下での技術であり、計測手段もないことから、本質的改善が望めない。
そこで、本発明では、画像劣化要因は現像前の潜像段階で起きていることをつきとめ、それを次工程に受け渡す前の静電潜像の段階で解決することで、これまで不十分であった、微小文字画像、特に反転文字画像の高画質化を安定して実現することを可能とすることを目的とする。
試料垂直方向の潜像電界ベクトルをトナーが付着しない側に大きくさせる手段により、微小サイズの文字画像、特に白抜けとなる反転文字画像を高画質に出力させる。その際、エッジ検出や文字情報認識など特別な処理を行わずに、シンプルルールでかつ任意画像に適用できる静電潜像形成装置を提供することができる。
これにより、光スポットサイズを小さくしなくても、微小な静電潜像を形成することが可能となり、微小な光スポットサイズを作ることが難しい、光走査装置に適用しており、特に、微小サイズ文字や白抜け反転文字に対して、高解像度の画像形成装置に適する。
図27には、2ドット通常画像(図28(A)参照)、及び2ドット反転画像(図28(B)参照)について、それぞれ画像パターンのとおりに、すなわち、黒ドットを形成するタイミングでは光源にIb+Iopを供給し、白ドットを形成するタイミングでは光源にIbのみを供給して静電潜像を形成したときの、試料表面に直交する方向(ここでは、c軸方向)に関する静電潜像の電界強度(以下では、便宜上、「c軸電界強度」と略述する)と該静電潜像の中心からの距離との関係が示されている。なお、静電潜像の中心とは、画像中心に対応する静電潜像での位置をいう。
なお、試料の感光体はアゾ系であり、その膜厚は30μmである。また、帯電は500V、露光の際のレーザ光の波長は655nm、解像度は1200dpiである。そして、白ドットについては非露光とし、黒ドットについては光量100%、デューティ(Duty)100%とした。
2ドット反転画像におけるc軸電界強度は、2ドット通常画像におけるc軸電界強度に比べて、著しく小さい。このように、2ドット通常画像は、露光により静電潜像が大きく形成されているが、該2ドット通常画像が反転されても、c軸電界強度は反転しないことがわかった。すなわち、2ドット反転画像では、期待通りの出力画像を得るのは困難である。これまでは、期待通りの出力画像が得られなかったのは、現像工程、転写工程、定着工程に起因すると考えられていたが、感光体上の静電潜像が計測可能となったことで、既に、静電潜像の形成段階で不都合を生じていることが、初めて明らかになった。
そこで、本実施形態では、白ドット毎に、白ドットに隣接する黒ドットの数に着目した。なお、白ドットに隣接する黒ドットとは、+a側、−a側、+b側、及び−b側のいずれかに関して、該白ドットに接している黒ドットをいう。
例えば、図29(A)に示されるように、白ドットに隣接する黒ドットの数が4の場合、該隣接する黒ドットにフラグAをたてる(図29(B)参照)。
また、例えば、図30(A)に示されるように、白ドットに隣接する黒ドットの数が3の場合、該隣接する黒ドットにフラグBをたてる(図30(B)参照)。
また、例えば、図31(A)に示されるように、白ドットに隣接する黒ドットの数が2の場合、該隣接する黒ドットにフラグCをたてる(図31(B)参照)。なお、端部の白ドットについては、隣接する黒ドットの数が確定しないので、ここでは無視する。
また、例えば、図32(A)に示されるように、白ドットに隣接する黒ドットの数が1の場合、該隣接する黒ドットにフラグDをたてる(図32(B)参照)。
ところで、図33(A)に示されるように、1つの黒ドットが2つの白ドットに隣接する場合、一方の白ドットに着目すると該黒ドットのフラグはDであり、他方の白ドットに着目すると該黒ドットのフラグはAである(図33(B)参照)。このように、互いに異なる複数のフラグが考えられる場合は、隣接する黒ドットの数が多い方の白ドットを優先させ、該黒ドットのフラグをAとする(図33(C)参照)。
また、1つの黒ドットが3つの白ドットに隣接する場合が図34(A)に示されている。この場合、該黒ドットのフラグとしてCとDが考えられるが、隣接する黒ドットの数が多い方の白ドットを優先させ、該黒ドットのフラグをCとする(図34(C)参照)。
すなわち、白ドットに隣接する黒ドットに着目し、黒ドットに隣接する白ドットに黒ドットがいくつ隣接しているかをカウントし、その最大値(BM値とする)を抽出する。
図35に示される「画」の反転画像について、各白ドットに隣接する黒ドットのフラグが図36に示されている。また、図36の一部を拡大したものが図37に示されている。
次に、前記2ドット反転画像を、白ドットに隣接する黒ドット(図38参照)のみの露光条件を変えながら形成し、c軸電界強度と静電潜像の中心からの距離との関係を求めた。なお、光量100%、デューティ(Duty)100%をデフォルトとしている。この場合、静電潜像の中心は、2つの白ドットの境界に対応している。すなわち、静電潜像の中心付近は、白ドットに対応している。
A.露光条件1(PWM変調)
図39には、白ドットに隣接する黒ドットの露光条件のうち、図40に示されるように、デューティのみを、デフォルトに対して75%、50%、25%と変化させて2ドット反転画像の静電潜像を形成したときの、c軸電界強度と静電潜像の中心からの距離との関係が示されている。なお、デューティが100%よりも小さい露光条件では、黒ドットの点灯は、白ドットから離れたタイミングで行われるように設定されている。
静電潜像の中心でのc軸電界強度は、デフォルトのとき2.88×106V/m、デューティが75%のとき4.73×106V/m、デューティが50%のとき5.47×106V/m、デューティが25%のとき5.65×106V/mであった。
ここでは、露光条件を変えたのは白ドットに隣接する黒ドットのみであり、白ドットに対しては全く変更していないにも関わらず、白ドットのc軸電界強度は変化している。そして、デューティが小さくなるにつれて、白ドットのc軸電界強度は大きくなり、トナーが付着しにくくなっている。
そこで、一例として、フラグがAの黒ドットではデューティを25%とし、フラグがBの黒ドットではデューティを50%とし、フラグがCの黒ドットではデューティを75%とし、フラグがDの黒ドットではデューティを100%とすることにより、従来よりも、白ドットが明確に表現されている出力画像を得ることができる。
この場合、フラグがAの黒ドットに隣接する白ドットのc軸電界強度(「EA」とする)と、フラグがBの黒ドットに隣接する白ドットのc軸電界強度(「EB」とする)と、フラグがCの黒ドットに隣接する白ドットのc軸電界強度(「EC」とする)と、フラグがDの黒ドットに隣接する白ドットのc軸電界強度(「ED」とする)との間には、EA≧EB≧EC≧EDの関係がある。
また、フラグがAの黒ドットではデューティを0%(非点灯)とし、フラグがBの黒ドットではデューティを25%とし、フラグがCの黒ドットではデューティを50%とし、フラグがDの黒ドットではデューティを75%としても良い。この場合であっても、EA≧EB≧EC≧EDの関係があり、従来よりも、白ドットが明確に表現されている出力画像を得ることができる。
なお、デューティの設定値は固定値でも良いが、デューティの最適な設定値は装置毎に異なるため、予め実験等により、実機にあわせた適切な値を求めるのが好ましい。
B.露光条件2(PM変調)
図41には、白ドットに隣接する黒ドットの露光条件のうち、図42に示されるように、変調電流のみを、デフォルトに対して75%、50%、25%と変化させて2ドット反転画像の静電潜像を形成したときの、c軸電界強度と静電潜像の中心からの距離との関係が示されている。
この場合も、露光条件を変えたのは白ドットに隣接する黒ドットのみであり、白ドットに対しては全く変更していないにも関わらず、白ドットのc軸電界強度は変化している。そして、変調電流Iopが小さくなるにつれて、白ドットのc軸電界強度は大きくなり、トナーが付着しにくくなっている。
そこで、一例として、フラグがAの黒ドットでは変調電流を25%とし、フラグがBの黒ドットでは変調電流を40%とし、フラグがCの黒ドットでは変調電流を60%とし、フラグがDの黒ドットでは変調電流を80%とすることにより、従来よりも、白ドットが明確に表現されている出力画像を得ることができる。この場合も、EA≧EB≧EC≧EDの関係がある。
なお、変調電流Iopの設定値は固定値でも良いが、変調電流Iopの最適な設定値は装置毎に異なるため、予め実験等により、実機にあわせた適切な値を求めるのが好ましい。
C.露光条件3(PM変調+PWM変調)
図43には、白ドットに隣接する黒ドットの露光条件のうち、図44に示されるように、点灯時間を短くして、積分光量を一定とし、光出力を変化させて2ドット反転画像の静電潜像を形成したときの、c軸電界強度と静電潜像の中心からの距離との関係が示されている。ここでは、最大の光出力を、通常露光(デフォルト)に対して、P400では400%、P200では200%、P133では133%としている。すなわち、通常の黒ベタ画像で用いる光出力(デフォルト)よりも大きい光出力で露光している。
この場合は、短い点灯時間及び強い光出力で、すなわち、時間的に集中して露光されることとなり、(1)白抜け画像部の潜像電界を立たせる/大きくできる、(2)潜像解像力が良い、(3)黒画素濃度を維持できる、という利点がある。また、積分光量が同じため、実質的に全体の画像濃度は変わらないという大きな特徴がある。さらに注目すべきは、デューティを変える方法(上記露光条件1)、及び変調電流を変える方法(上記露光条件2)に比べて、c軸電界強度の幅が狭い。これは、c軸電界強度を増加させた上に解像力が維持されていることを意味する。この方法では副作用が少ないため、画像劣化がおきにくい。その上現像γが保存され、ハーフトーン画像にも対応できる可能性が高いなど、格別の効果が期待できる。すなわち、PM変調とPWM変調を組み合わせて露光条件を調整するのがより効果的である。
本実施形態では、上記駆動制御装置107において、白ドットに隣接する黒ドットへのフラグの付加、及び該フラグに基づいた露光条件の調整が行われる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光走査装置1010では、走査制御装置において本発明の静電潜像形成方法が実施されている。また、本実施形態に係るレーザプリンタ1000では、光走査装置1010によって本発明の静電潜像形成装置が構成されている。
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置1010によると、光源11、偏向器前光学系、ポリゴンミラー15、走査光学系20、及び走査制御装置などを備えている。
走査制御装置は光源制御装置104を有し、該光源制御装置104は、基準クロック生成回路105、画素クロック生成回路106、駆動制御装置107、及び光源駆動回路108などを有している。
駆動制御装置107は、白ドットに隣接する黒ドットの数が4の場合、該隣接する黒ドットにフラグAをたて、白ドットに隣接する黒ドットの数が3の場合、該隣接する黒ドットにフラグBをたて、白ドットに隣接する黒ドットの数が2の場合、該隣接する黒ドットにフラグCをたて、白ドットに隣接する黒ドットの数が1の場合、該隣接する黒ドットにフラグDをたてる。
そして、駆動制御装置107は、EA≧EB≧EC≧EDとなるように、フラグに応じて、デューティ(点灯時間)、変調電流、及び光出力の最大値の少なくともいずれかを調整する。これにより、白ドットに対応する静電潜像のc軸電界強度を、トナーの付着を阻害する側に大きくすることができる。この場合、従来よりも、高品質の静電潜像を形成することができる。
本実施形態では、画像劣化要因は現像前の潜像段階で起きていることをつきとめ、それを次工程に受け渡す前の静電潜像段階で解決することで、これまで不十分であった、微小文字画像、特に反転文字画像を安定して高画質を実現することができる。実機環境や、周辺の画像パターンが変われば、試料垂直方向の潜像電界ベクトルの値は当然変わってくが、画像劣化の方向性と、BM値に基づくモード設定による画像改善の方向性が一致しているので、エッジ検出やオブジェクト情報などの複雑な処理を行わなくても、実機にあわせて、設定値を選択することで画質を向上させることができる。
また、本実施形態では、エッジ検出や文字情報認識など特別な処理を行わずに、シンプルで任意画像に対応可能な方法を設定可能となるため、画像データを光源変調データに変換する際にオブジェクト情報がもらえなくても対応できる。そして、文字ごとに対応する必要がなく、任意の文字や場合によっては画像に対応できる。また、文字認識の必要が無い。
また、本実施形態では、白ドット部の設定はデフォルトのままで、実質的に白ドット部の電荷量を増加させたのと同等の効果をもたらすことにより、白ドット部の画質を向上させることができる。本方式を用いれば、画像劣化の方向性と設定による画像改善の方向性が一致しているので、画質を改善することができる。なお、最適設定値は、実機にあわせて、適宜行うと良い。
また、画像劣化要因は現像前の潜像段階で起きていることをつきとめ、それを次工程に受け渡す前の静電潜像段階で解決することで、これまで不十分であった、微小文字画像、特に反転文字画像を安定して高画質を実現することが可能とする静電潜像形成装置を提供することができる。
また、試料垂直方向の潜像電界ベクトルをトナーが付着しない側に大きくさせる手段により、微小サイズの文字画像、特に白抜けとなる反転文字画像を高画質に出力させることができる。その際、エッジ検出や文字情報認識など特別な処理を行わずに、シンプルルールでかつ任意画像に適用できる静電潜像形成装置を提供することができる。
また、PWM変調により、平均光出力を隣接画素環境に応じて、適宜下げることで、試料垂直方向の潜像電界ベクトルの大きさを変更でき、反転文字などの高画質化を実現できる。
また、PM+PWM変調を利用して、最大光出力を意図的に強めることにより、積分光量が同じにすることもできる、実質的に全体の画像濃度は変えずに設定することができる。さらに注目すべきは、潜像電界ベクトルの幅が他の手段に比べて、狭いことが特徴で、これは、潜像電界ベクトルを増加させた上に解像力が維持されていることを意味する。すなわち、画像劣化がおきにくい。現像γが保存される。ハーフトーン画像にも対応できるなど、格別の効果が期待できる。
また、静電潜像で評価することにより、設計にフィードバックすることができ、各工程のプロセスクォリティが向上するため、高画質、高安定に優れた潜像担持体及び走査光学系を提供することができ、現像して可視化することにより、高密度・高画質な画像形成装置を提供することができる。特にVCSELなどのマルチビーム走査光学系を搭載した画像形成装置に適する。
そして、レーザプリンタ1000は、光走査装置1010を備えているため、結果として、高品質の画像を形成することができる。
なお、上記実施形態において、前記面発光レーザアレイに代えて、複数の発光部が1次元配列されている半導体レーザアレイ(LDアレイ)、あるいは1つの発光部を有する半導体レーザ(LD)を用いても良い。
また、上記実施形態において、カップリングレンズ12に代えて、複数のレンズからなるカップリング光学系を用いても良い。
また、上記実施形態において、シリンドリカルレンズ14に代えて、複数のレンズからなる線像形成光学系を用いても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置がレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、図45に示されるように、画像形成装置が、複数の感光体ドラムを備えるカラープリンタ2000であっても良い。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、ブラック用の「感光体ドラムK1、帯電装置K2、現像装置K4、クリーニングユニットK5、及び転写装置K6」と、シアン用の「感光体ドラムC1、帯電装置C2、現像装置C4、クリーニングユニットC5、及び転写装置C6」と、マゼンタ用の「感光体ドラムM1、帯電装置M2、現像装置M4、クリーニングユニットM5、及び転写装置M6」と、イエロー用の「感光体ドラムY1、帯電装置Y2、現像装置Y4、クリーニングユニットY5、及び転写装置Y6」と、光走査装置2010と、転写ベルト2080と、定着ユニット2030などを備えている。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。光走査装置2010は、帯電された各感光体ドラム表面を光走査して、各感光体ドラムに静電潜像を形成する。各静電潜像は、対応する現像装置により現像されトナー像が形成される。各トナー像は、対応する転写装置により、転写ベルト2080上の記録紙に転写され、最終的に定着ユニット2030により定着される。
光走査装置2010は、前記駆動制御装置107と同様な駆動制御装置を、色毎に有している。そこで、光走査装置2010は、上記光走査装置1010と同様の効果を得ることができる。また、カラープリンタ2000は、この光走査装置2010を備えているため、上記レーザプリンタ1000と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、光走査装置1010がプリンタに用いられる場合について説明したが、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機にも用いることができる。