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JP6120160B2 - ナトリウムイオン電池用の正極活物質およびその製造方法 - Google Patents
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ナトリウムイオン電池用の正極活物質およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、二次電池の技術分野に属し、特に、非水系ナトリウムイオン二次電池を構成する新規な電極活物質およびそれを用いる二次電池に関する。
ナトリウム電池は、正極、負極および非水電解液を有する二次電池である。二次電池としては、リチウム電池が代表的である。リチウム電池は、携帯電話やノートパソコン等の小型電源として既に実用化され、さらに、電気自動車、ハイブリッド自動車等の自動車用電源や、分散型電力貯蔵用電源等の大型電源として使用可能であることから、その需要は増大しつつある。しかしながら、リチウム電池において、それを構成する材料の製造には、リチウム等の稀少金属元素を含有する原料が多く用いられるため、大型電源の需要の増大に対応するためには、稀少金属元素の安定した供給が懸念されている。
これに対して、ナトリウム電池は稀少金属元素の供給に関する懸念を解決できうる大型蓄電池用二次電池のひとつとして検討されている。ナトリウム電池において、それを構成する材料の製造には、資源量が豊富で、しかも安価な原料が用いられる。それゆえに、ナトリウム電池を実用化することによって、大型電源が大量に供給可能になるものと期待されている。
従来のナトリウム電池を構成する材料としては、正極材料として、マンガン酸ナトリウムのようなナトリウムと遷移金属の両方を含有している酸化物などのインサーション反応系正極活物質を用い、負極材料として、ナトリウム金属を用い、非水電解質として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを混合した非水溶媒に、電解質塩である六フッ化リン酸ナトリウムを溶解させたものを用いることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ナトリウム電池に使用される電極活物質は、電池の充放電特性を決める重要な材料であり、これまでにも様々な研究がおこなわれている。例えば、ペロブスカイト型フッ化鉄(FeF)やルチル型FeOFを正極材料として用い、負極材料としてナトリウム金属を用い、非水電解質として、ポリプロピレンカーボネートに電解質塩である過塩素酸ナトリウムをナトリウムイオン電池が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
リチウムイオン電池用正極としても用いられているペロブスカイト型FeFについては、初回放電を行った際に生成するLiFeFは、有望な正極材料として期待されているにもかかわらず、合成報告例はない。このような組成に対して、LiFとFeFを原料とするLiF−FeFナノコンポジット正極について初回充電を行うことで下記の(1)式のような初回充電にて、FeFを生成する。初回充電以降は、式(2)のような可逆充放電反応を起こし、良好な電池特性を示すことが報告されている(例えば、非特許文献1参照)
LiF+FeF→Li+FeF (1)
Li+FeF⇔LiFeF(2)
特開2006−216509号公報 特開2008−243646号公報
S. W. Kim, K. W. Nam, D. H. Seo, J. Hong, H. Kim, H. Gwon, K. Kang, Nano Today 7, 168-178 (2012)
しかしながら、ルチル型FeOFに関しては、リチウムイオン電池用正極は勿論、リチウムイオン電池用正極に代わって期待されているナトリウムイオン電池用正極についても上記の式(1)、(2)に相当する正極材料の合成にはいまだ至っていない。すなわち、下記の(3)式のような可逆電池系を組むためにはMOF正極とNaを吸蔵したCNa負極をあらかじめ合成する必要があるが、Naを吸蔵したCNa負極も直接合成できず、できたとしても電位的に卑で酸化されやすいため、大気中でハンドリングできないという課題がある。
MOF+CNa⇔NaMOF+C (3)
本発明のナトリウムイオン電池用正極活物質は、フッ化ナトリウム(NaF)と二価の酸化金属(金属酸化物)(MO)の混合物を用いることにより、負極に対し初回充電することにより、下記(4)式のような初回充電反応を起こすことで、余計なガス発生を起すことなく、電池内正極側にMOF正極を電解生成し、以後(5)式に示す可逆充放電反応を可能にすることを特徴とする。
正極側:NaF+MO→Na+e+MOF
負極側:6C+Na+e→CNa
全反応(初回充電):NaF+MO+6C→MOF+CNa (4)
その後の充放電反応:MOF+CNa⇔NaMOF+C (5)
本発明によれば、これまでに合成報告例のないNaMOF(Mは遷移金属)として機能する正極活物質が得られる。また、本発明において、正極活物質を含有する正極と負極、その間に介在する電解質を備えるナトリウム電池が提供され、良好な充放電特性が得られる。特に、炭素負極を備える発明においては、安全性、コスト、特性的に良好なナトリウム電池が提供される。
本発明に係るナトリウム電池層の概略図を示す。 本発明により製造された正極活物質NaF−FeO混合正極のXRDパターン結果および、SEMイメージを示す。 本発明により製造された正極活物質NaF−FeO混合正極の負極にナトリウム金属を用いた場合の充放電曲線を示す。 本発明により製造された正極活物質NaF−FeO混合正極の負極にハードカーボンを用いた場合の充放電曲線を示す。 本発明により製造された正極活物質NaF−MnO混合正極のXRDパターン結果および、SEMイメージを示す。 本発明により製造された正極活物質NaF−MnO混合正極の負極にナトリウム金属を用いた場合の充放電曲線を示す。 本発明により製造された正極活物質NaF−MnO混合正極の負極にハードカーボンを用いた場合の充放電曲線を示す。 本発明により製造された正極活物質NaF−TiO混合正極のXRDパターン結果および、SEMイメージを示す。 本発明により製造された正極活物質NaF−TiO混合正極の負極にナトリウム金属を用いた場合の充放電曲線を示す。
本発明に係るナトリウムイオン二次電池用の電極活物質は、NaFと2価の金属酸化物(MO)から成ることを特徴としている。このうち特に、電位と取り扱いの容易性から負極には、炭素または、ナトリウム金属を、正極にはFe、Mn、Co、Ti、V、Niのような遷移金属が好ましい。また、本発明で得られるナトリウムイオン二次電池用の電極活物質の充放電反応は、下記(6)式のような初回充電後、(7)式のような可逆充放電反応を起こすことを特徴とする。
NaF+M2+O→Na+M3+OF(初回充電時の充電反応) (6)
Na+M3+OF⇔NaM2+OF(初回放電以降の充放電反応) (7)
本発明のNaF−MO混合正極は、例えば、NaFおよび2価の金属酸化物を不活性雰囲気下において乾式混合することにより製造することができる。さらに、導電性(レート特性)を向上させる目的で、炭素源を添加して混合することが好ましい。
2価の金属酸化物は、FeO、MnO、TiO、VO、CoOまたはNiOを使用することができ、このうち特に、取り扱いの容易性などからFeO、MnOまたはTiOが好ましい。これらの金属酸化物は、混合して用いることもできる。
このような炭素源の添加は複数回(例えば2段階)に分けて行ってもよい。この場合、第1段階では粉砕・混合、第2段階ではカーボンコートを主な狙いとすることが多い。
第1段階では、炭素源として、アセチレンブラック、グラファイトまたは、カーボンナノチューブなどを使用することができ、このうち特に、取り扱いの容易性などからアセチレンブラックを用いることが好ましい。第2段階では、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック等を使用することができるが、電極として使用する際の導電性の高さからアセチレンブラックが好適である。(例えば、後述の実施例1参照)
NaF−MO混合正極調製時、粉砕・混合に適用される具体的手段は、特に限定されるものではなく、固形物質の粉砕・混合の目的で従来から用いられている各種の手段が適用可能であるが、NaFが水溶性であるために乾式下で(例えば、相対湿度10%以下)ボールミルを用いることが好ましく、そのうち特に、原料を充分に粉砕・混合することができる点から遊星型ボールミルを用いることが好ましい。
上記の正極活物質を、ナトリウムイオン二次電池の正極としてそのまま用いてもよいが、電極のレート特性を向上させるために、公知の導電材との複合体を形成させてもよい。
すなわち、本発明に従えば、レート特性を向上させる観点から、上記で得られた電極活物質であるNaF−MO混合正極を、不活性雰囲気下で炭素微粒子と共に粉砕・混合することにより、カーボンコートすることができる。不活性雰囲気としては、真空、窒素ガスやアルゴンガス等を用いることができ、例えば、アルゴンガスを用いることができる。
例えば、本発明の製造方法の一例としては、NaFとFeOを不活性雰囲気下で10時間から72時間混合した後、アセチレンブラックを加え、さらに不活性雰囲気下で10時間から48時間混合することでNaF−FeO混合正極が得られる(例えば、後述の実施例1参照)。
本発明にかかわるナトリウム電池用正極の平均粒径は、例えば、0.1〜50μmの範囲内、中でも0.1〜10μmの範囲内、特に、0.5〜3μmの範囲内であることが好ましい。当該ナトリウム電池用正極活物質の平均粒径が小さすぎると取り扱い性が悪くなる恐れがあり、当該ナトリウム電池用正極活物質の平均粒径が大きすぎると平坦な活物質層を得るのが困難になる恐れがあるからである。また、低レートでの電池特性評価では、平均粒径が大きい活物質がエネルギー密度を稼ぐ上で有利であるが、高レートでの電池特性が要求される際には、活物質平均粒径を小さめに制御することで対応可能である。なお、本発明に係わるナトリウム電池用正極活物質の平均粒径は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)により観察される該当ナトリウム電池用正極活物質の粒径を測定して、平均することにより求めることができる。
本発明に従えば、以上のようにして得られた電極活物質NaF−MOを含むナトリウムイオン非水系二次電池正極が提供される。
図1は、本発明に係わるナトリウム電池の層構成の一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。なお、本発明に係わるナトリウム電池は、必ずしもこの例のみに限定されるものではない。
ナトリウム電池10は、正極活物質層2および正極集電体4を備える正極6と負極活物質層3および負極集電体5を備える負極7と、正極6と負極7に挟持される電解質層1を備える。
以下、本発明に係わるナトリウム電池に用いられる、正極、負極、および電解質層、ならびに本発明に係わるナトリウム電池に好適に用いられるセパレータおよび電池ケースについて、詳細に説明する。
本発明に使用される正極は、好ましくは上述した正極活物質を含む正極活物質層を備えるものであり、通常、これに加えて正極集電体、および該当正極集電体に接続された正極リードを備える。
[集電体]
集電体としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、銅等の導電体が用いられる。集電体の形状は、箔状、網状および多孔体状等が挙げられる。これらのなかでも、二次電池の正極作動電位において安定であり、薄膜に加工し易く、安価であるという点から、アルミニウム箔が好ましい。
[バインダー]
バインダーとしては、熱可塑性樹脂が用いられ、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(以下、「PVDF」と言うことがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と言うことがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体および四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体等のフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種または2種以上が組み合わされて用いられる。
[ナトリウム二次電池用正極の製造方法]
ナトリウム二次電池用正極は、集電体に、活物質、導電材およびバインダーを含む正極合材を担持(積層)することによって製造される。
集電体に、正極合材を担持する方法としては、(1)正極合材を加圧成形する方法、(2)有機溶媒等と正極合材を混合して、正極合材のペーストを調製し、そのペーストを、集電体に塗工し、さらに、集電体に塗工したペーストを乾燥した後、プレスする等して固着する方法が挙げられる。
集電体に、ペーストを塗工する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法、静電スプレー法等が挙げられる。本発明では、これらの塗工法を、複数組み合わせて用いてもよい。
[負極の製造方法]
負極電極は、一般に、集電体に、活物質、導電材およびバインダーを含む負極合材を担持(積層)することによって製造される。
集電体に、負極合材を担持する方法としては、(1)負極合材を加圧成形する方法、(2)有機溶媒等と負極合材を混合して、負極合材のペーストを調製し、そのペーストを、集電体に塗工し、さらに、集電体に塗工したペーストを乾燥した後、プレスする等して固着する方法が挙げられる。
[負極活物質]
負極活物質としては、エネルギー密度を稼ぐ上ではナトリウム金属あるいは、ナトリウムを含有した合金が望ましいが、負極にナトリウム含有組成のものを用いると製造過程で還元もしくは不活性ガス雰囲気が不可欠となる。製造コストを低減し、電池の安全性を高めるためには、ハードカーボン等の炭素材料が好適である。その他の負極候補としては、ナトリウムイオンを挿入・脱離することのできる周期表第14族元素を単体または主成分として含む金属元素、例えば、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)等が挙げられる。本発明の正極活物質にはナトリウムが含有されているため、このようにナトリウムを含まない材料も負極として用いることが可能である。
[非水電解質]
本発明における非水電解質とは、アルカリイオンを含有する物質からなる液体または固体であって、アルカリイオンとして、主にナトリウムイオンを含有する。
非水電解質は、ナトリウムイオン以外のアルカリイオンを含んでいてもよい。ナトリウムイオン以外のアルカリイオンとしては、リチウムイオンおよびカリウムイオンのいずれか一方、あるいは、リチウムイオンおよびカリウムイオンの両方が好ましい。
非水電解質に含有されるナトリウムイオンの含有割合は、アルカリイオン全体の50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは75質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上(100質量%を含む)である。
本発明における非水電解質は、通常、電解質および有機溶媒を含有する非水電解液として用いられる。
電解質としては、例えば、NaClO、NaPF、NaAsF、NaSbF、NaBF、NaCFSO、NaN(SOCF、低級脂肪族カルボン酸ナトリウム塩、NaAlClが挙げられる。これらは、2種以上を混合した混合物を使用してもよい。
電解質としては、NaClO、NaPF、NaAsF、NaSbF、NaBF、NaCFSOおよびNaN(SOCFからなる群より選択される少なくとも1種のナトリウム塩を含むことが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、イソプロピルメチルカーボネート、ビニレンカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタン等のカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドン等のカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンスルトン等の含硫黄化合物;または、前記の有機溶媒にさらにフッ素置換基を導入したもの等が用いられる。
本発明では、非水電解質として、上記の非水電解液の代わりに固体電解質を用いてもよい。
固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキサイド系の高分子、ポリオルガノシロキサン鎖およびポリオキシアルキレン鎖から選ばれる少なくとも1種以上を含む高分子等の高分子固体電解質に電解液を保持させた、いわゆるゲルタイプの電解質や、NaS−SiS、NaS−GeS、NaS−P、NaS−B、NaS−SiS−NaPO、NaS−SiS−NaSO等の硫化物含有電解質;NaZr(PO等のNASICON型電解質等の無機固体電解質が挙げられる。
このような固体電解質を用いることにより、ナトリウム二次電池の安全性をより高めることができることがある。
なお、本発明のナトリウム電池において、固体電解質を用いる場合には、固体電解質がセパレータとして機能する場合もある。その場合には、セパレータを必要としないこともある。
[セパレータ]
本発明のナトリウム電池は、通常、セパレータをさらに備えている。
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体等の材質からなる多孔質フィルム、不織布、織布等の形態をなす材料が用いられる。
セパレータの厚さは、電池の体積エネルギー密度が上がり、内部抵抗が小さくなるという点で、機械的強度が保たれる限り薄いほど好ましい。
セパレータの厚さは、一般に、5〜200μm程度であることが好ましく、より好ましくは5〜40μm程度である。
電極群の形状としては、例えば、この電極群を巻回の軸と垂直方向に切断したときの断面が、円形、楕円形、長方形、角が取れたような長方形等をなすような形状が挙げられる。
また、ナトリウム電池の形状としては、例えば、ペーパー型、コイン型、円筒型、角型等の形状が挙げられる。
このようにして得られたナトリウム電池は、従来のナトリウム電池に比べて、充放電を繰り返した際の放電容量維持率が大きく、充放電サイクル特性に優れている。さらに、ナトリウムデンドライトの生成も抑制することができ、二次電池としての安定性に優れている。
なお、ナトリウムデンドライトは、充放電の繰り返しに伴って電極に析出するナトリウムの樹枝状晶のことである。このナトリウムデンドライトによって、正極と負極が短絡すると、ナトリウム二次電池が機能しなくなる。
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(ナトリウム電池用正極活物質の製造)
(実施例1)
フッ化ナトリウム(NaF、添川理化学社製)と酸化鉄(FeO、和光純薬社製)を前述した式(6)の組成よりNa過剰となるように、モル比がNaF:FeO=1.2:1となるように秤量し、雰囲気制御可能である遊星ボールミル用容器に入れ、直径3mmのジルコニアボール40gと供に、アルゴン雰囲気下において密閉した。これを600rpmの条件下で24時間、ボールミルに供した。その後、さらに炭素源としてアセチレンブラックを活物質:アセチレンブラック(電気化学工業社製、HS−100)を70質量%:5質量%の比率で加え、これを600rpmの条件下で24時間、ボールミルに供した。次に、得られた混合物:炭素源(アセチレンブラック)を75質量%:20質量%の比率になるように、アセチレンブラックを秤量し、雰囲気制御可能である遊星ボールミル用容器に入れ、直径3mmのジルコニアボール20gと共に、アルゴン雰囲気下において密閉した。これを400rpmの条件下で、3時間ボールミルに供することで、NaF−FeO混合正極を製造した。
(ナトリウム電池用正極活物質の構造解析)
実施例1のナトリウム電池用正極活物質について、X線回折測定を行った。詳細な測定条件は以下の通りである。
X線回折測定装置:TTRIII(リガク製)
測定範囲:2θ=10〜80°
測定間隔:0.02°
走査速度:0.02°/min
測定電圧:50kV
測定電流:300mA
図2(a)は、実施例1のナトリウム電池用正極活物質であるNaF−FeO混合正極のXRDパターンを示したグラフである。得られた正極活物質のXRDパターンは、参考として示しているフッ化ナトリウム(NaF)と酸化鉄(FeO)のICDDデータより得られたXRDピークと一致している。得られた実施例1のNaF−FeO混合正極のXRDピークは、すべてNaFとFeOのピークと帰属される。調製したNaF−FeO混合正極の粒子径を観察するために、SEM観察を行った結果を図2(b)に示している。その結果、得られたNaF−FeO混合正極の一次粒子径は、1μm以下であることが確認された。
以上のことから、実施例1のナトリウム電池用正極活物質は、NaFとFeOの混合物であり、遊星ボールミルを供する際に、他の化合物の生成はないことが確認できた。
(ナトリウム金属負極を用いたナトリウム電池の製造)
(実施例2)
正極活物質として、上記実施例1の方法により製造し、カーボンコート処理を施したナトリウム電池用正極活物質と結着剤としてPVdF(クレハ、#3505)をそれぞれ用意した。これらカーボンコート後の正極活物質、および結着剤を、カーボンコート後の正極活物質:結着剤=95質量%:5質量%となるように混合し、正極合剤を調製した。また、正極合剤には、分散剤として、N−メチル−2−ピロリドン(ナカライテスク社製)を適宣加えた。
正極集電体として、アルミ箔を準備した。
正極集電体であるアルミ箔に調整した正極合剤を塗布した後、真空条件下で30分間80℃で乾燥させた。
負極として、ナトリウム金属(アルドリッチ社製)を準備した。
電解液として、1mol/L NaClO(溶媒 PC)を準備した。
電池ケースとして、コインセル(SUS2032型)を準備した。上記正極集電体、正極合剤、上記電解質層、および上記負極を、アルミ箔、正極合剤層、電解質層、ナトリウム金属の順となるように電池ケースに収納して、実施例2のナトリウム電池を製造した。
以上の工程は、すべてアルゴン雰囲気下のグローブボックス内で行った。
(炭素負極を用いたナトリウム電池の製造)
(実施例3)
用いた負極材料をナトリウム金属からハードカーボンに変更した以外は、実施例2と同様に行った。
(ナトリウム電池の充放電試験)
実施例2および、実施例3のナトリウム電池について、充放電試験を行った。具体的には、まず、以下の電流密度の条件化、4.5Vを上限として、定電流モードで充電を行った。次に、1.0V、1.3Vまたは、1.5Vまで放電を行い、得られた容量を放電容量とした。
実施例2、3の電流密度:10mA/g(0.011mA/cm
図3は、実施例2のNaF−FeO混合正極を用いたナトリウム電池の充放電曲線である。また、図4は、実施例3のNaF−FeO混合正極を用いたナトリウム電池の充放電曲線である。図4のようにナトリウム金属を負極として用いた場合、初回放電容量は、150mAh/gであった。一方、図4のように炭素材料を負極として用いた場合においても、初回放電容量は、60mAh/g(正極重量換算)であった。このように、本発明のナトリウム二次電池用正極活物質を用いることで、良好な充放電が可能であることが見出された。
(ナトリウム電池用正極活物質の製造)
(実施例4)
FeOを酸化マンガン(MnO)に変更した以外は、実施例1、実施例2および、実施例3と同様に行った。
図5(a)は、実施例4のナトリウム電池用正極活物質であるNaF−MnO混合正極のXRDパターンを示したグラフである。得られた活物質のXRDパターンは、参考と示しているフッ化ナトリウム(NaF)と酸化マンガン(MnO)のICDDデータより得られたXRDピークと一致しており、得られたNaF−MnO混合正極のXRDピークは、すべてNaFとMnOのピークと帰属される。調製したNaF−MnO混合正極の粒子径を観察するために、SEM観察を行った結果を図5(b)に示している。その結果、得られたNaF−MnO混合正極の一次粒子径は、1μm以下であることが確認された。
図6は、実施例2と同様の方法で作成した実施例4のナトリウム電池用正極活物質であるNaF−MnO混合正極を用いたナトリウム電池の充放電曲線である。また、図7は、実施例3と同様の方法で作成した実施例4のナトリウム電池用正極活物質であるNaF−MnO混合正極を用いたナトリウム電池の充放電曲線である。図6のようにナトリウム金属を負極として用いた場合、初回放電容量は、150mAh/gであった。一方、図7のように炭素材料を負極として用いた場合においても、初回放電容量は、60mAh/g(正極重量換算)であり、NaF−FeO混合正極と同様の充放電が可能であることが見出された。
(ナトリウム電池用正極活物質の製造)
(実施例5)
FeOを酸化チタン(TiO)に変更した以外は、実施例1および、実施例2と同様に行った。
図8(a)は、実施例5のナトリウム電池用正極活物質であるNaF−TiO混合正極のXRDパターンを示したグラフである。得られた活物質のXRDパターンは、参考と示しているフッ化ナトリウム(NaF)と酸化チタン(TiO)のICDDデータより得られたXRDピークと一致しており、得られたNaF−TiO混合正極のXRDピークは、すべてNaFとTiOのピークと帰属される。調製したNaF−TiO混合正極の粒子径を観察するために、SEM観察を行った結果を図8(b)に示している。その結果、得られたNaF−TiO混合正極の一次粒子径は、1μm以下であることが確認された。
図9は、実施例2と同様の方法で作成した実施例5のナトリウム電池用正極活物質であるNaF−TiO混合正極を用いたナトリウム電池の充放電曲線である。図9のようにナトリウム金属を負極として用いた場合、初回放電容量は、90mAh/gで、良好な充放電が可能であることを見出された。
以上の実施例で、Mが単独の場合で類似の特性が得られていることから、Mが複数の場合も同様に良好な電池特性が得られると考えられる。
1 電解質層
2 正極層
3 負極層
4 正極集電体
5 負極集電体
6 正極
7 負極
10 ナトリウム電池

Claims (4)

  1. フッ化ナトリウム(NaF)と二価の酸化金属(MO)の混合物(MはFe、Mn、Ti、V、Co、Niのうち少なくとも1つの金属元素)から成ることを特徴とするナトリウムイオン二次電池用の正極活物質。
  2. MがFe、Mn、Tiのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載のナトリウムイオン二次電池用の正極活物質。
  3. 正極に請求項1〜2のいずれかに記載の活物質を備え、負極にナトリウム金属または、炭素を備えたナトリウムイオン二次電池。
  4. フッ化ナトリウム(NaF)と二価の酸化金属(MO)(MはFe、Mn、Ti、V、Co、Niのうちの少なくとも1つの金属元素)を不活性雰囲気、乾式で混合することを特徴とする請求項1に記載のナトリウムイオン二次電池用の正極活物質の製造方法。
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