本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る板状物の搬送装置の構成例を示す図である。図2は、吸引保持手段を示す分解斜視図である。図3は、平坦な板状物を保持した状態の吸引保持手段を示す図である。図4は、湾曲した板状物を保持した状態の吸引保持手段を示す図である。なお、図3および図4は、図1に示すA−A断面の断面図であり、一部が省略された図である。
搬送装置1は、板状物Wを搬送するものであり、図1に示すように、吸引保持手段2と、移動手段3とを備え、板状物Wを非接触で吸引保持することで搬送するものである。搬送装置1は、板状物Wの加工処理において前工程(例えば、切削工程、研削・研磨工程、位置合わせ工程など)が終了した板状物Wを前工程の領域から後工程(例えば、洗浄・乾燥工程、板状物Wの収容工程など)を行う領域まで搬送するものである。ここで、板状物Wは、特に限定されないが、例えば、シリコンウェーハ、ガリウムヒ素、シリコンカーバイト等の半導体ウェーハや、半導体製品のパッケージ、セラミックス、ガラス、サファイア(Al2O3)系の無機材料基板、液晶ディスプレイドライバ等の各種電子部品、さらには、ミクロンオーダーの加工位置精度が要求される各種加工材料が挙げられ、搬送装置1により搬送可能な形状のものである。なお、本実施形態では、円盤状の板状物Wを搬送する場合について説明する。
吸引保持手段2は、板状物Wを吸引保持するものであり、図2に示すように、ベース部21と、非接触式吸引保持器22と、支持手段23とを含み、さらに規制手段24を含んで構成されている。ベース部21は、移動手段3と連結されており、移動手段3の動作に応じて移動するものである。ベース部21は、円盤状に形成されており、非接触式吸引保持器22と、支持手段23と、規制手段24とが配設されている。ベース部21は、一組の非接触式吸引保持器22および支持手段23に対応する位置に開口部21aが形成されている。開口部21aは、後述する非接触式吸引保持器22がベース部21に対して回動した際に、管継手25がベース部21に接触しない大きさに形成されている。ベース部21は、開口部21aの周囲に締結穴21bが形成されている。ここで、一組の非接触式吸引保持器22および支持手段23は、ベース部21に配設される数について限定はないが、1つの場合はベース部21の中央部、2つ以上の場合は周方向に等間隔に配設されていることが好ましい。また、規制手段24は、ベース部21に配設される数について限定はないが、ベース部21の外周端部でかつ板状物Wと接触することができる位置に配設されていれば、1以上(2以上の場合は周方向に等間隔に)配設されていればよい。また、締結穴21bは、数について限定はないが、後述する締結部材28により支持手段23をベース部21に固定することができれば1以上(2以上の場合は周方向に等間隔に)形成されていればよい。本実施形態では、一組の非接触式吸引保持器22および支持手段23が等間隔に3箇所配設され、規制手段24が等間隔に3箇所で、かつ周方向に隣り合う一組の非接触式吸引保持器22および支持手段23の間に配設され、締結穴21bが等間隔に3箇所形成されている場合について説明する。
非接触式吸引保持器22は、エアーを噴射して負圧を形成し、非接触状態で、板状物Wを吸引するものである。非接触式吸引保持器22は、ベルヌーイの原理によって板状物Wを吸引保持するものであり、円盤状の本体部22aを有する。本体部22aには、図3に示すように、内部にエアー流入部22bと、エアー通路部22cと、エアー噴出部22dと、案内部22eとが形成されている。エアー流入部22bは、非接触式吸引保持器22にエアーを流入させるものであり、ベース部21と対向する面である上面に形成されている。エアー流入部22bは、図1に示すエアー供給源4から供給されるエアーが流入する。エアー通路部22cは、図3に示すように、エアー流入部22bとエアー噴出部22dとを連通するものである。エアー噴出部22dは、流入したエアーを対向する板状物Wに向けて噴射するものであり、板状物Wと対向する面である下面に形成されている。エアー噴出部22dは、非接触式吸引保持器22を下面から見た場合に円形状に形成された開口部であり、中央部に案内部22eが設けられ、同図矢印Bに示すように、流入したエアーを放射状に外部に噴出する。
支持手段23は、ベース部21に非接触式吸引保持器22を回転自在に支持するものであり、図2および図3に示すように、管継手25と、第1支持部26と第2支持部27とからなる支持部とを含んで構成されている。管継手25は、エアー供給源4からのエアーを非接触式吸引保持器22に供給するものであり、本体部25aと、頭部25bとを含んで構成され、内部にエアー通路部25cが本体部25aの先端(頭部25b側と反対側の端部)まで形成されている。本体部25aは、非接触式吸引保持器22と接続されるものであり、円筒形状に形成され、先端が非接触式吸引保持器22と接続されている。本実施形態では、本体部25aがエアー流入部22bに挿入された状態で、締結手段、例えば本体部25aの先端外周に形成された雄ねじが、エアー流入部22bに形成された雌ねじに螺合することで締結される。これにより、エアー通路部25cとエアー流入部22bとが連通する。頭部25bは、支持部に回転自在に支持される部分であり、略球状(球の上下を切り欠いた形状)に形成されている。頭部25bは、その外周面のうち球状の表面が鏡面状に形成されていることが好ましい。頭部25bは、エアー配管5と接続されるものであり、エアー通路部25cと連通するエアー流入部25dが本体部25aと反対側の面である上面に形成されている。本実施形態では、エアー配管5の先端がエアー流入部25dに挿入された状態で、締結手段、例えばエアー配管5の先端外周に形成された雄ねじが、エアー流入部25dに形成された雌ねじに螺合することで締結される。これにより、エアー配管5とエアー流入部25dとが連通する。
ここで、エアー配管5は、図1に示すエアー供給源4に接続されており、管継手25を介してエアー供給源4から供給されるエアーを非接触式吸引保持器22に供給するものであり、内部にエアー通路部5aを有する配管であり、例えばフレキシブルチューブなどの柔軟な配管である。従って、エアー配管5は、後述するベース部21に対する非接触式吸引保持器22の姿勢が変化する際に、この姿勢変化を規制することを抑制する、つまり姿勢変化を許容することができる。なお、エアー配管5は、移動手段3により追従できるように支持されていてもよい。また、エアー供給源4と非接触式吸引保持器22との間には、図1に示すエアー制御弁6が設けられており、図示しない制御装置によりエアー制御弁6の開閉制御を行うことにより、非接触式吸引保持器22に供給されるエアー供給量を制御、すなわち非接触式吸引保持器22の吸引力を制御することができる。
第1支持部26と第2支持部27とからなる支持部は、ベース部21に配設され、第1貫通穴26aと第2貫通穴27aとからなる貫通穴を有する。貫通穴である第1貫通穴26aと第2貫通穴27aは、内部で管継手25の頭部25bを回動可能に支持するものである。第1支持部26は、ベース部21に直接配設されるものであり、円盤形状に形成され、中央部に第1貫通穴26aが形成されている。第1支持部26は、ベース部21の締結穴21bにそれぞれ対応する連通穴26bが第1貫通穴26aの周囲に形成されている。第2支持部27は、第1支持部26に積層されて配設されるものであり、円盤形状に形成され、中央部に第2貫通穴27aが形成されている。第2支持部27は、第1支持部26の連通穴26bにそれぞれ対応する連通穴27bが第2貫通穴27aの周囲に形成されている。
ここで、第1貫通穴26aと第2貫通穴27aとからなる貫通穴は、内側に凹部を有する。本実施形態では、第1貫通穴26aと第2貫通穴27aは、凹部である第1凹部26cおよび第2凹部27cをそれぞれ内側に有している。第1凹部26cおよび第2凹部27cは、第1貫通穴26aおよび第2貫通穴27aの一部を拡径することで形成されており、第1支持部26と第2支持部27とをベース部21に配設した際に、互いに連通する。本実施形態では、第1凹部26cと第2凹部27cは、径の大きい底面と径の小さい上面とこれらを接続する側面(内壁)とからなる円錐台形状に形成され、底面が互いに対向した状態で連通している。第1凹部26cおよび第2凹部27cは、それぞれ内壁によって頭部25bよりも広い空間を形成する。第1凹部26cおよび第2凹部27cは、第1凹部26cの内壁から後述する突出部26dが最大突出した状態で内部に頭部25bが位置し、突出部26dが頭部25bを支持した際、頭部25bが隙間を持って回動可能に遊嵌するように形成されている。ここで、頭部25bが回動できる方向には、管継手25の軸方向まわりの回転方向および鉛直方向を含む平面において、鉛直方向に対して傾斜することができる方向が含まれる。
第1凹部26cの内壁には、突出部26dが配設されている。本実施形態では、突出部26dは、第1凹部26cの内壁の周方向に等間隔に3個配設されている。突出部26dは、常に内壁から突出するものである。突出部26dは、いわゆるボールプランジャのボール部である。ボールプランジャは、ボール部である突出部26dと、リング状部26eと、スプリング部26fと、スペーサ部26gとを含み、各部26d〜26gがプランジャ穴26hに内装されて構成されている。突出部26dは、球状に形成されており、略球状に形成された頭部25bと点接触可能である。リング状部26eは、突出部26dよりも小さい開口を有する環状に形成されている。リング状部26eは、内壁と面一でプランジャ穴26hに嵌め込まれている。スプリング部26fは、プランジャ穴26hの底部と突出部26dとの間に設けられている。スプリング部26fは、いわゆる圧縮コイルばねで構成されており、プランジャ穴26hの底部とは反対側に突出部26dを付勢している。スプリング部26fは、非接触式吸引保持器22が板状物Wを吸引保持する際に生じる吸引力に応じて圧縮可能なばね定数を有している。スペーサ部26gは、スプリング部26fと突出部26dとの間に設けられている。スペーサ部26gは、プランジャ穴26hの穴径よりも小さい円形状の板状に形成されている。プランジャ穴26hは、第1貫通穴26aの一部を拡径して形成された第1凹部26cの内壁にあけられた穴であり、内装されたスプリング部26fにより、突出部26dを下から上へ付勢し、かつ、突出部26dを外周から内周へ付勢する方向にあけられた穴である。プランジャ穴26hは、第1凹部26cの内壁の周方向に等間隔に3個配設されており、各プランジャ穴26hの軸線が上記貫通穴の軸線上の一点(突出部26dにより支持された頭部25bの回動中心付近)で交差するように配設されていることが好ましい。プランジャ穴26hは、突出部26dの外形よりも大きい穴径で形成されている。プランジャ穴26hは、その底部までの深さが突出部26dの直径よりも深く形成されており、突出部26d、スペーサ部26g、スプリング部26fを収容した状態で、スプリング部26fが伸縮可能となる深さで形成されている。ここで、本実施形態では、突出部26dが第1凹部26cの内壁から頭部25bに向かって進退可能であり、第1凹部26cおよび第2凹部27cのそれぞれ内壁が頭部25bよりも広い空間を形成し、球状に形成された突出部26dが頭部25bを支持するので、支持手段23および管継手25を介してベース部21に支持される非接触式吸引保持器22がベース部21に対して遊動可能となる。従って、上記貫通穴は、ベース部21に対して非接触式吸引保持器22を遊動可能とする。また、第1凹部26cの内壁の周方向に等間隔に3個配設されたボールプランジャのボール部である突出部26dにより、頭部25bが上記貫通穴と同軸上に位置付けられ、本体部22aの自重でその下面が板状物Wに対して平行になるように遊動する。
ここで、非接触式吸引保持器22および支持手段23のベース部21に対する組み付けについて説明する。まず、図2に示すように、第1支持部26をベース部21のうち、非接触式吸引保持器22が対向する面とは反対側の面に、第1貫通穴26aと開口部21aとが連通するように載置する。次に、第1貫通穴26aに管継手25の本体部25aまで挿入し、本体部25aの先端をベース部21のうち非接触式吸引保持器22が対向する面から突出させる。次に、本体部25aの先端外周に形成された雄ねじをエアー流入部22bに形成された雌ねじに螺合することで、本体部25aの先端を非接触式吸引保持器22に接続する。次に、エアー配管5を第2支持部27に通した状態、すなわちエアー配管5を第2貫通穴27aに挿入した状態で、エアー配管5の先端外周に形成された雄ねじを、エアー流入部25dに形成された雌ねじに螺合することで、頭部25bをエアー配管5に接続する。次に、頭部25bが第2貫通穴27aに挿入されるように、第2支持部27を第1支持部26に載置する。そして、締結部材28を連通穴27b、連通穴26b、締結穴21bに挿入し、締結部材28の雄ねじを締結穴21bの雌ねじに螺合することで、支持手段23をベース部21に固定する。
規制手段24は、図1に示すように、板状物Wの水平移動を規制するものであり、搬送装置1が搬送する板状物Wの外周領域と対向する位置に配設されている。ここで、外周領域とは、板状物Wの少なくとも外周を含む領域であり、好ましくは外周よりも半径方向内側の部分、例えば、デバイスが形成されていない余剰領域の一部も含む。規制手段24は、図3に示すように、軸部24aと、つば部24bと、ブロック24cとを含んで構成されている。軸部24aは、ベース部21に形成された軸部貫通穴21cに軸方向、すなわち上下方向に移動自在に挿入されている。軸部24aは、上方の端部につば部24bが固定され、下方の端部にブロック24cが挿入固定されている。つまり、規制手段24は、ベース部21に支持されている。つば部24bは、軸部貫通穴21cよりも水平方向における幅が広く設定されており、軸部24aが軸部貫通穴21cから抜け落ちることを防止する。ブロック24cは、非接触式吸引保持器22により保持された板状物Wと対向し、接触するものである。ブロック24cの保持された板状物Wと対向する面は、保持された板状物Wの径方向内側に向かうに伴いベース部21側に向かう、すなわち上昇する傾斜面24dに形成されている。傾斜面24dは、非接触式吸引保持器22により板状物Wが保持される際に水平方向に移動することが規制できる程度の摩擦係数を有する。傾斜面24dは、例えば、ラバーシートなどの摩擦部材を敷設することで形成されていてもよい。
移動手段3は、第1の所定の位置から第2の所定の位置へと吸引保持手段2を移動させるものである。移動手段3は、図1に示すように、アーム部31と、昇降手段32と、旋回手段33とを含んで構成されている。アーム部31の一方の端部には、ベース部21を連結する連結部材31aが形成されている。昇降手段32は、アーム部31の他方の端部が連結され、例えばエアーピストンであり、アーム部31を昇降させることで、吸引保持手段2を上下方向(同図矢印C)に昇降させるものである。旋回手段33は、昇降手段32に連結され、回転運動可能なモータなどを駆動源に含み、昇降手段32およびアーム部31を旋回させることで、吸引保持手段2を水平方向(同図矢印D)に旋回させるものである。
次に、搬送装置1による板状物Wの搬送動作について説明する。まず、ここでは、平坦な板状物Wを搬送する場合について説明する。板状物Wが吸引保持されていない吸引保持手段2を、例えば移動手段3の旋回手段33により旋回させることで、第1の所定の位置、例えば、前工程における板状物Wを複数収容するカセットや板状物Wが保持されている保持テーブルの上方まで移動させる。次に、前工程の保持テーブルの上方に位置する吸引保持手段2を移動手段3の昇降手段32により下降させ、規制手段24を板状物Wに接触させる。従って、非接触式吸引保持器22が板状物Wを吸引保持する前に、板状物Wの水平方向への移動が規制される。これにより、非接触式吸引保持器22により板状物Wを確実に吸引保持することができる。また、ブロック24cは、上述のように、傾斜面24dが板状物Wの外周と接触するので、板状物Wに対する接触面積を少なくすることができ、板状物Wに形成されたデバイス領域に規制手段24が接触することで発生するデバイス領域への影響を抑制することができる。
次に、吸引保持手段2をさらに下降させると、ブロック24cが板状物Wに接触した状態でベース部21に向けて上昇するとともに、図3に示すように、非接触式吸引保持器22が板状物Wに近接する。ここで、非接触式吸引保持器22は、エアー噴出部22dから放射状にエアーが外部に噴射されると本体部22aの下面の中心部に負圧が発生しており(同図に示す点線矢印)、非接触式吸引保持器22に近接した板状物Wは負圧によって本体部22aの下面に引き寄せられる。板状物Wが負圧によって本体部22aの下面に引き寄せられすぎると、本体部22aと板状物Wとの間に流れるエアーが反発力として作用し、本体部22aと板状物Wとの接触が阻止されるため、非接触式吸引保持器22が板状物Wを非接触状態で吸引保持することができる。また、非接触式吸引保持器22は、管継手25を介して遊動可能に支持手段23に支持されており、本体部22aの下面に板状物Wが引き寄せられる力(吸引力)が作用すると、管継手25に頭部25bから本体部25aに向かって引き寄せられる力が作用し、この力によりスプリング部26fが圧縮され、突出部26dがプランジャ穴26hに向かって後退し、管継手25が上下方向の下方へ移動する。このため、板状物Wに向かって本体部22aを移動することができ、非接触式吸引保持器22の下面に板状物Wが引き寄せられる際の衝撃を緩衝することができる。
次に、板状物Wを吸引保持した吸引保持手段2を移動手段3の昇降手段32により上昇させ、板状物Wを保持テーブルから上昇させる。板状物Wを吸引保持した吸引保持手段2を、例えば移動手段3の旋回手段33により旋回させることで、第2の所定の位置、例えば、後工程において板状物Wを保持する保持テーブルや板状物Wを複数収容するカセットの上方まで移動させる。次に、後工程の保持テーブルの上方に位置する吸引保持手段2を板状物Wが保持テーブルに接触するまで下降させ、エアー供給源4からのエアーの供給をエアー制御弁6により遮断する。これにより、本体部22aの下面の中心部に発生していた負圧が消滅し、吸引保持手段2による板状物Wの吸引保持が解除される。
ここで、板状物Wが平坦ではなく、反っている場合もある。図4に示すように、ベース部21に向かって凸となるように反った板状物W’を吸引保持手段2により吸引保持する場合について説明する。まず、前工程の保持テーブルの上方に位置する吸引保持手段2を移動手段3の昇降手段32により下降させ、規制手段24に反った板状物W’を接触させる。従って、非接触式吸引保持器22が板状物W’を吸引保持する前に、板状物W’の水平方向への移動が規制される。これにより、非接触式吸引保持器22により板状物W’を確実に吸引保持することができる。また、ブロック24cの反った板状物W’と接触する部分が傾斜面24dであるため、ブロック24cの反った板状物W’が平坦の場合と比較して、反った板状物W’に対する接触面積を少なくすることができ、板状物W’が反っていてもデバイス領域に規制手段24が接触することで発生するデバイス領域への影響を抑制することができる。
次に、吸引保持手段2をさらに下降させると、ブロック24cが反った板状物W’に接触した状態でベース部21に向けて上昇するとともに、非接触式吸引保持器22が反った板状物W’に近接する。非接触式吸引保持器22が反った板状物W’に近接した当初は、本体部22aの下面と反った板状物W’とが平行ではない。さらに、発生した負圧(同図に示す点線矢印)により本体部22aと反った板状物W’とが接触しようとすると、本体部22aと反った板状物W’との間に流れるエアーが反発力として作用するため、管継手25が遊動することで、非接触式吸引保持器22が遊動(例えば、同図矢印Gで示す上下方向や同図矢印Fで示す首振り方向などに遊動)し、本体部22aの下面と反った板状物W’とが接触しないように間隔を維持する。ここで、非接触式吸引保持器22は、その下面と反った板状物W’とが平行となり、本体部22aの下面の中心部に発生している負圧の圧力分布が均等になるように、負圧の小さい方から大きい方へと非接触式吸引保持器22が断続的や連続的に回転する(同図矢印Eで示す方向)。
なお、ベース部21に向かって凹となるように反った板状物であっても、同様に、本体部22aと反った板状物とが接触しようとすると、本体部22aと反った板状物との間に流れるエアーが反発力として作用するため、エアー噴出部22dから均等に放射状にエアーが外部に噴射されるように非接触式吸引保持器22が遊動し、本体部22aの下面と反った板状部とが接触しないように間隔を維持する。
以上のように、本実施形態に係る板状物Wの搬送装置1では、支持手段23により非接触式吸引保持器22がベース部21に対して遊動可能に支持されているので、搬送対象の板状物Wの反りにあわせて非接触式吸引保持器22が遊動し、非接触式吸引保持器22が板状物Wに接触しないように、非接触式吸引保持器22と板状物Wとの間隔を維持することができる。従って、搬送装置1により搬送される板状物Wの状態にかかわらず、板状物Wを非接触状態で吸引保持することができるという効果を奏する。また、搬送対象の板状物Wの反りにあわせて、非接触式吸引保持器22の板状物Wに対する傾きを自動的に調整することができる。また、非接触式吸引保持器22と板状物Wとの間隔を維持することで、非接触式吸引保持器22と板状物Wとの間で発生する吸引力が不均衡となることを抑制することができるので、搬送装置1により搬送される板状物Wの状態にかかわらず、非接触式吸引保持器22により確実に吸引保持することができる。さらに、搬送装置1により搬送される板状物Wの状態にかかわらず、板状物Wを非接触状態で吸引保持することができるので、搬送装置1による搬送工程において、平坦な板状物Wと反った板状物W’とが混在していても、安定した搬送性能を実現することができる。
また、突出部26dが内壁に配設されておらず頭部25bが内壁に線接触や面接触する場合では搬送対象の板状物Wの反りにあわせて非接触式吸引保持器22が遊動する際に、頭部25bが内壁と摺動して頭部25bや内壁が摩耗し、この摩耗が進むと頭部25bと内壁との摩擦力が増加して、頭部25bの円滑な遊動が阻害される虞があるが、本実施形態に係る板状物Wの搬送装置1では、第1凹部26cの内壁に3個配設された突出部26dにより頭部25bが点接触状態で遊動可能に支持されているので、頭部25bが内壁に対して非接触状態であり、搬送対象の板状物Wの反りにあわせて非接触式吸引保持器22が遊動する際、頭部25bと突出部26dとの摩擦力を低減することができる。従って、突出部26dが内壁に配設されておらず頭部25bが内壁に線接触や面接触する場合よりも、頭部25bの接触面積を大幅に削減し、頭部25bを円滑に遊動することで、非接触式吸引保持器22を円滑に遊動することができるという効果を奏する。
また、板状物Wの搬送装置1によれば、頭部25bが突出部26dにより回転自在かつ進退可能に支持されるので、頭部25bの上下動が可能になり、頭部25bが遊動する可動域を拡げることができる。従って、非接触式吸引保持器22の板状物Wに対する傾きを調整することができる範囲を拡げることができるという効果を奏する。また、非接触式吸引保持器22の板状物Wに対する傾きを調整することができる範囲を拡げることができるので、非接触式吸引保持器22が板状物Wの反りに対応できる範囲を拡げることができ、搬送装置1による搬送工程において、平坦な板状物Wと反った板状物W’とが混在していても、より安定した搬送性能を実現することができる。また、頭部25bが突出部26dにより回転自在に支持されるので、頭部25bをより円滑に遊動することができ、非接触式吸引保持器22をより円滑に遊動することができる。また、非接触式吸引保持器22をより円滑に遊動することができるので、頭部25bおよび突出部26dの摩擦力をより低減することができる。また、頭部25bおよび突出部26dの摩擦力をより低減することができるので、頭部25bの摩耗を大幅に低減することができ、平坦な板状物Wや反った板状物W’に対する搬送装置1の搬送性能を維持することができる期間を延ばすことができる。
なお、上記実施形態では、第2支持部27の第2凹部27cの内壁にはボールプランジャのボール部(突出部26d)が配設されていなかったが、第1支持部26と同様にボールプランジャのボール部を設けてもよい。これにより、頭部25bが第2凹部27cの内壁に接触することを防ぐことができる。
また、上記実施形態では、第1凹部26cの内壁に突出部26dが3個配設されていたが、突出部26dは3個に限定して配設されるものではなく、頭部25bが内壁に接触しないように支持できる個数が配設されていればよい。すなわち、第1凹部26cの内壁に少なくとも3個配設されていればよい。なお、突出部26dは、製造コストを増加させないために、第1凹部26cの内壁に3個〜5個配設されていることが好ましい。
また、上記実施形態では、規制手段24は、板状物Wが水平方向に移動することが規制できる程度の摩擦係数を有するが、規制手段24の重さを調整するための錘をつば部24b上に設けてもよい。これにより、つば部24bに設けられる錘で規制手段24の摩擦力を調整することができる。
また、上記実施形態では、規制手段24として、ベース部21に対して上下方向に移動可能なブロック24cを用いたが本発明はこれに限定されるものではなく、非接触式吸引保持器22により板状物Wを吸引保持する際に、板状物Wが水平方向に移動することを規制することができるものであればよい。例えば、規制手段24は、ベース部21に回動自在に支持されたアームであってもよい。この場合、アームは、ベース部21の外周近傍に設けられており、待機状態では吸引保持手段2の上昇下降時に板状物Wの外周と接触しないように位置し、吸引保持手段2による板状物Wの吸引保持時に、アームの回動先端が板状物Wの外周領域に接触する位置まで回動する。これにより、アームが板状物Wの水平方向への移動を規制する。