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JP6128481B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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JP6128481B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は非水電解質二次電池に関し、詳しくは非水電解質二次電池の安全性の向上に関する。
携帯電話、ノートパソコン、タブレット型コンピュータ等の移動情報端末の高機能化、小型軽量化が急速に進展している。これらの端末の駆動電源として、高いエネルギー密度を有し、高容量である非水電解質二次電池が広く利用されている。
非水電解質二次電池の負極活物質としては、炭素材料が広く用いられているが、非水電解質二次電池に対するさらなる高容量化の要望が高まっており、炭素材料よりも放電容量の大きいケイ素材料に対する注目が高まっている。
ケイ素材料を用いた非水電解質二次電池に関する技術としては、下記特許文献1がある。
特開2008-210618号公報
特許文献1は、SiまたはSnとOとを構成元素に含む化合物(ただし、SiとSnの総量に対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である)を含むコアとその表面を被覆する炭素の被覆層とで構成された負極活物質を含有する負極と、ハロゲン置換された環状カーボネートを含有する非水電解質とを用い、正極活物質の重量Pと負極活物質の重量Nとの比P/Nを、3.7〜6.8とする技術を開示している。この技術によると、高容量でサイクル特性等の特性が優れ、かつ重負荷放電特性にも優れた非水電解質二次電池を実現できるとされる。
ところで、ケイ素材料は炭素材料よりも充放電に伴う体積変動が大きく、充放電によってケイ素材料が芯体から脱離してサイクル特性を低下させるという問題がある。しかしながら、上記特許文献1は、このような問題について何ら考慮していない。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、ケイ素材料と芯体との密着性が高く、サイクル特性に優れた高容量な非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、負極芯体上に、負極活物質と結着剤とを有する負極活物質層が形成された負極板を備える非水電解質二次電池において、前記負極活物質は、ケイ素酸化物と、炭素質物と、を有し、前記ケイ素酸化物と前記炭素質物との質量の和に対する前記ケイ素酸化物の質量が、1〜20質量%であり、前記ケイ素酸化物の酸素原子とケイ素原子との比O/Siが0.5〜1.5であり、前記結着剤は、二重結合を有する化合物からなる結着剤Aと、水溶性高分子化合物からなる結着剤Bと、を有し、前記結着剤Aは、前記負極活物質層の表面側よりも負極芯体側に多く存在する分布であり、前記結着剤Bは、少なくとも前記ケイ素酸化物の周囲に存在することを特徴とする。
上記構成では、負極活物質が、ケイ素酸化物を1質量%以上有しているので、負極活物質が炭素質物のみからなる場合よりも放電容量を高めることができる。また、負極芯体との密着性に優れた、二重結合を有する化合物からなる結着剤Aが、負極活物質層内において負極芯体側に多く分布しているので、結着剤Aの量を過剰とすることなくケイ素酸化物と負極芯体との密着性を高める事ができ、充放電サイクルによる活物質の脱離を抑制することができる。また、水溶性高分子化合物からなり、ケイ素酸化物の周囲に存在する結着剤Bが、ケイ素酸化物と導電性の高い炭素質物とを良好に結着する。これにより、炭素質物による良好な導電パスが形成されるので、導電性の低いケイ素酸化物が十分に充放電に使用されるようになる。これらの効果が相乗的に作用して、サイクル特性や放電容量を高めることができる。
ここで、ケイ素酸化物の含有量が過大であると、上記のような結着剤を用いていても芯体からの脱離を抑制しきれず、サイクル特性が不十分となる。一方、ケイ素酸化物の含有量が過少であると、放電容量を十分に高めることができない。よって、ケイ素酸化物の含有量は上記範囲内に規制する。また、良好な充放電特性を得るために、ケイ素酸化物の酸素原子とケイ素原子との比O/Siを、上記範囲内に規制する。
上記構成において、前記負極活物質層の厚みを1とするとき、前記負極活物質層の芯体がわ面を基点として厚み0〜0.3の領域に存在する前記結着剤Aの量が、前記結着剤Aの総量の50%以上である構成とすることができる。
上記のように結着剤Aを芯体側により偏在させることにより、結着剤Aによる負極芯体とケイ素酸化物との密着性向上効果がより高まる。
上記構成において、前記負極活物質層の厚みを1とするとき、前記負極活物質層の芯体がわ面を基点として厚み0〜0.5の領域に存在する前記ケイ素酸化物の量が、前記ケイ素酸化物の総量の50%未満である構成とすることができる。
ケイ素酸化物は、炭素質物よりも充電時にリチウムが析出してその後の放電容量が低下し易いが、これはケイ素酸化物が負極活物質層の芯体側に存在する場合により起こり易くなる。このため、ケイ素酸化物の分布は、上記の如く、負極活物質層の表面側に多く分布する構成とすることが好ましい。
この構成においては、ケイ素酸化物と炭素質物との導電接点を確保するために、前記負極活物質層の芯体がわ面を基点として厚み0〜0.5の領域に存在する前記結着剤Bの量が、前記結着剤Bの総量の50%未満である構成(ケイ素酸化物と同様に、負極活物質層の表面側に多く分布する構成)とすることが好ましい。
ここで、二重結合を有する化合物からなる結着剤Aとしては、スチレンブタジエンゴム、ハイスチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリロニトリルゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等のゴムバインダを1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。また、負極活物質層質量に占める結着剤Aの質量割合は、0.5〜2質量%であることが好ましい。
また、水溶性高分子化合物からなる結着剤Bとしては、ポリマー系水溶性高分子化合物(以下「ポリマー系化合物」とする)、多糖系水溶性高分子化合物(以下「多糖系化合物」とする)の1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。ポリマー系化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、これらの誘導体等を使用でき、多糖系化合物としては、セルロース、カルボキシメチルセルロース等を使用できる。中でも、カルボキシメチルセルロースが好適である。また、負極活物質層質量に占める結着剤Bの質量割合は、0.6〜2質量%であることが好ましい。
また、ケイ素酸化物としては、ケイ素と酸素とからなる、SiO(0.5≦x≦1.5)で示される化合物のほか、Si1−y(0.5≦x≦1.5、0≦y≦0.5、MはB、Mg、Ni、Ti、Mo、Co、Ca、Cr、Cu、Fe、Mn、Nb、Ta、V、W、Zn、C、NおよびSnの少なくとも一種、)で示される、Siの一部が他の元素で置換された化合物を用いることができる。これらは1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
また、炭素質物としては、例えば天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛質炭素質物や、コークス、黒鉛化途上炭素、炭素繊維、球状炭素、非晶質炭素等の非晶質炭素質物を、1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
また、負極活物質は、ケイ素酸化物及び炭素質物以外に、ケイ素酸化物よりも充電時の膨張率(満充電時体積/放電時体積)の低い第三の活物質材料が混合されていてもよい。第三の活物質材料としては、例えばSnO(0<x<2)、SnO、SnSiO等のスズ酸化物を1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。第三の活物質材料は、負極活物質の合計質量の20質量%以下であることが好ましい。
以上に説明したように、本発明によれば、高容量で且つサイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
図1は、剥離試験方法を説明する模式図である。
以下、実施例を用いて、本発明を説明する。
(実施例1)
<正極板の作製>
正極活物質としての、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi0.82Co0.15Al0.03)粒子と、導電剤としてのアセチレンブラックと、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、質量比100:1.25:1.7で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に投入、混練して、正極スラリーを調製した。
上記正極スラリーを、厚さ15μmのアルミニウム箔製の芯体の両面に、ドクターブレード法により塗布した。この後、乾燥し、スラリー調整に用いた溶媒(NMP)を除去した。この後、ロールプレス機で厚みが0.177mmとなるように圧延し、58.5×656mmのサイズに裁断して、正極板を得た。
<負極板の作製>
黒鉛粉末(日立化成製)とSiO(x=1)で表されるケイ素酸化物粒子(信越化学製KSC1065)とを質量比96:4で混合した負極活物質100質量部と、結着剤Bであるカルボキシメチルセルロース(CMC)1質量部と、水と、を混合して、固形分濃度が60%の混練物とした。この混練物に結着剤Aであるスチレンブタジエンゴム(SBR)2質量部と、水と、を混合して、固形分濃度が50%の負極スラリー1を調製した。
また、黒鉛粉末(日立化成製)とSiO(x=1)で表されるケイ素酸化物粒子(信越化学製KSC1065)とを質量比96:4で混合した負極活物質100質量部と、結着剤Bであるカルボキシメチルセルロース(CMC)1質量部と、水と、を混合して、固形分濃度が60%の混練物とした。この混練物にさらに水を混合して、固形分濃度が50%の負極スラリー2を調製した。
負極スラリー1を、厚みが8μmの銅箔製の芯体の両面に、ドクターブレード法により塗布した。この後、乾燥し、スラリー調整に用いた溶媒(水)を除去した。この後、負極スラリー1による層の上に、負極スラリー2を、厚みが12μmの銅箔製の芯体の両面に、ドクターブレード法により塗布した。この後、乾燥し、スラリー調整に用いた溶媒(水)を除去した。
この時、負極スラリー1による層に含まれる負極活物質質量と、負極スラリー2による層に含まれる負極活物質質量と、を同じとした。この後、ロールプレス機で活物質充填密度が1.65g/mlとなるように圧延し、59.5×590mmのサイズに裁断して、負極板を得た。
<電解質の調製>
エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、を体積比25:75(25℃、1気圧条件)で混合した混合溶媒に、5質量%となるようにビニレンカーボネートを混合し、これにLiPFを1.4モル/リットルの濃度で溶解して、非水電解質を得た。
<電池の組み立て>
正極板にアルミニウム製の正極タブを溶接し、負極板にニッケル製の負極タブを溶接した。こののち、正極板及び負極板を、ポリエチレン製微多孔膜からなるセパレータを介して重ね合わせた後に捲回して、電極体を得た。
得られた捲回型電極体の上下面にそれぞれ絶縁板を配置し、負極タブを有底円筒形の外装缶底面に溶接し、正極タブを電池内圧上昇時に作動する安全機構が組み込まれた封口体に溶接した後、有底円筒形の外装缶内に上記電極体を挿入した。
次いで、上記非水電解質を外装缶内に注液した。この後、封口体を、絶縁ガスケットを用いてカシメ固定して、直径18mm、高さ65mm、設計容量が3590mAhの非水電解質二次電池を作製した。
(実施例2)
黒鉛99質量部とSiO(x=1)1質量部とを混合した負極活物質を用いた負極スラリー1、2を用い、且つ、負極の単位面積当たりの容量を、実施例1と同じとなるように負極スラリー1、2の塗布量を変化させたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実施例3)
黒鉛80質量部とSiO(x=1)20質量部とを混合した負極活物質を用いた負極スラリー1、2を用い、且つ、負極の単位面積当たりの容量を、実施例1と同じとなるように負極スラリー1、2の塗布量を変化させたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実施例4)
負極スラリー1のスチレンブタジエンゴムを負極活物質100質量部に対して1.05質量部とし、負極スラリー2のスチレンブタジエンゴムを負極活物質100質量部に対して0.95質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実施例5)
負極活物質100質量部に対してスチレンブタジエンゴムを3質量部、カルボキシメチルセルロースを1質量部混合した負極スラリー1を用い、負極スラリー2のスチレンブタジエンゴムを負極活物質100質量部に対して1質量部とし、負極スラリー1による層に含まれる負極活物質質量と、負極スラリー2による層に含まれる負極活物質質量と、の比を3:7としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実施例6)
黒鉛100質量部からなる負極活物質を用いた負極スラリー1を用い、黒鉛92質量部とSiO(x=1)8質量部とを混合した負極活物質を用いた負極スラリー2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実施例7)
黒鉛98質量部とSiO(x=1)2質量部とを混合した負極活物質を用いた負極スラリー1を用い、黒鉛94質量部とSiO(x=1)6質量部とを混合した負極活物質を用いた負極スラリー2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実施例8)
黒鉛100質量部からなる負極活物質を用い、且つ、カルボキシメチルセルロースを含まない負極スラリー1を用い、黒鉛92質量部とSiO(x=1)8質量部とを混合した負極活物質を用い、且つ、負極活物質100質量部に対してカルボキシメチルセルロースを2質量部含む負極スラリー2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実施例9)
負極スラリー1,2を次のように調整したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9に係る非水電解質二次電池を作製した。
黒鉛粉末(日立化成製)とSiO(x=1)で表されるケイ素酸化物粒子(信越化学製KSC1065)とを質量比98:2で混合した負極活物質100質量部と、結着剤Bであるカルボキシメチルセルロース(CMC)0.5質量部と、水と、を混合して、固形分濃度が50%の混練物とした。この混練物に結着剤Aであるスチレンブタジエンゴム(SBR)2質量部と、水と、を混合して、固形分濃度が49.5%の負極スラリー1を調製した。
また、黒鉛粉末(日立化成製)とSiO(x=1)で表されるケイ素酸化物粒子(信越化学製KSC1065)とを質量比94:6で混合した負極活物質100質量部と、結着剤Bであるカルボキシメチルセルロース(CMC)1.5質量部と、水と、を混合して、固形分濃度が50%の混練物とした。この混練物にさらに水を混合して、固形分濃度が49.5%の負極スラリー2を調製した。
(実施例10)
黒鉛95質量部とSiO(x=1)5質量部とを混合した負極活物質を用い、且つ、カルボキシメチルセルロースを1.25質量部含む負極スラリー1を用い、黒鉛97質量部とSiO3質量部とを混合した負極活物質を用い、且つ、カルボキシメチルセルロースを0.75質量部含む負極スラリー2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実施例11)
負極スラリー1のカルボキシメチルセルロースを負極活物質100質量部に対して1.5質量部とし、負極スラリー2のカルボキシメチルセルロースを負極活物質100質量部に対して0.5質量部含む負極スラリー2としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例11に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実施例12)
負極スラリー1、2調整時の混練物の固形分濃度を、それぞれ50%としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例12に係る非水電解質二次電池を作製した。
(比較例1)
スチレンブタジエンゴムを1質量部含む負極スラリー1のみを用いて負極活物質層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係る非水電解質二次電池を作製した。なお、負極活物質層の結着剤分布を調べたところ、負極活物質層の芯体側50%の領域にスチレンブタジエンゴム総量の30%、カルボキシメチルセルロース総量の40%が存在していた。これは、乾燥時に水の揮発とともにこれらの結着剤が表面側に移動したためと考えられる。
(比較例2)
黒鉛のみからなる負極活物質を用い、且つ、スチレンブタジエンゴムを1質量部含む負極スラリー1のみを用いて負極活物質層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係る非水電解質二次電池を作製した。
(比較例3)
黒鉛75質量部とSiO(x=1)25質量部とを混合した負極活物質を用いた負極スラリー1、2を用い、且つ、負極の単位面積当たりの容量を、実施例1と同じとなるように負極スラリー1、2の塗布量を変化させたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係る非水電解質二次電池を作製した。
(比較例4)
負極スラリー1のスチレンブタジエンゴムを負極活物質100質量部に対して0.9質量部とし、負極スラリー2のスチレンブタジエンゴムを負極活物質100質量部に対して1.1質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4に係る非水電解質二次電池を作製した。
(比較例5)
負極スラリー1のスチレンブタジエンゴムを負極活物質100質量部に対して0質量部とし、負極スラリー2のスチレンブタジエンゴムを負極活物質100質量部に対して2質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5に係る非水電解質二次電池を作製した。
(比較例6)
スチレンブタジエンゴムを2質量部含む負極スラリー1のみを用いて負極活物質層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6に係る非水電解質二次電池を作製した。
なお、上記実施例1〜12及び比較例1〜6においては、正極充電容量と、負極充電容量との比を1:1.05〜1:1.1とし、且つ、正極板と負極板との合計厚みが所定の値となるように、負極活物質層及び正極活物質層の厚みを調整した。
《サイクル試験》
実施例1〜12及び比較例1〜6と同じ条件で電池をそれぞれ作製し、以下に示す条件で充放電を行い、初期容量(1サイクル目放電容量)を測定し、容量維持率を算出した。なお、充放電はすべて25℃条件で行った。この結果を下記表1〜4に示す。なお、1Itとは、1時間で電池の初期容量を放電させる電流値を意味する。
充電:定電流0.5Itで電圧が4.2Vとなるまで、その後定電圧4.2Vで電流が0.01Itとなるまで
休止:10分
放電:定電流1.0Itで電圧が2.5Vとなるまで
休止:10分
容量維持率(%)=500サイクル目放電容量÷1サイクル目放電容量×100
《剥離強度の測定》
実施例1〜12及び比較例1〜6と同じ条件で負極をそれぞれ作製した。また、図1に示すように、水平方向にスライドが可能で、試験片(負極板)の一方の面を接着剤もしくは両面テープを用いて固定する事のできる基台と、該試験素材の他方の面とを剥離するために、応力を測定しながら一定速度で基台に対して垂直方向に引き上げる事が可能なチャックを具備する引き上げ部とを備えた剥離試験装置を用意した。そして、300mm×15mmに切り出した試験片の一方面を基台に固定し、他方面の一端を引き上げ部のチャックを用いて固定した後、引き上げ部を20mm/secの速度で引き上げ、引き上げ部を基材に対して垂直引き上げる距離と同時に、同じ距離を基台が水平方向にスライドさせて、この際の層間から剥離する際の応力(90°剥離強度)を測定した。この結果を、下記表1〜4に示す。
上記表1から、SiO(x=1)の含有比率が1〜20質量%である実施例1〜3は、初期容量が3300〜3400mAh、剥離強度が20〜25N、容量維持率が55〜60%であった。これに対し、SiOの含有比率が0%である比較例1は、初期容量が3200mAhと劣っており、SiOの含有比率が25%である比較例3は、容量維持率が0%と、実施例1よりも劣っていることが分かる。
このことは、次のように考えられる。ケイ素酸化物(SiO)は、黒鉛よりも放電容量が高いので、これを含まない場合、同一の電極サイズでは放電容量が小さくなってしまう。また、ケイ素酸化物は、黒鉛よりも充放電に伴う体積変動が大きく、これを多量に含ませると、体積変動によって芯体から活物質が脱離して、サイクル劣化が大きくなる。よって、ケイ素酸化物の含有量は、負極活物質全体の1〜20質量%とすることが好ましい。
また、上記表1から、また、スチレンブタジエンゴム(SBR)の含有比率が、芯体側、表面側ともに1質量%である比較例1は剥離強度が5N、芯体側、表面側ともに2質量%である比較例6では剥離強度が12.5Nであり、含有量を増加させることにより強度が高まるが、いずれも容量維持率が0%であり、スチレンブタジエンゴムの含有比率が、芯体側で2質量%、表面側で0質量%である実施例1の60%よりも劣っていることが分かる。また、ケイ素酸化物を含まない比較例2では、比較例1と同じスチレンブタジエンゴムの分布であっても、容量維持率が60%と高いことが分かる。
このことは、次のように考えられる。上述したように、単層構造の負極では、溶媒の揮発に伴って結着剤が表面側に移動するので、同量の結着剤を含ませていても、負極活物質層の芯体側に含まれる結着剤量は少なくなる。このため、剥離強度が低下するとともに、充放電によって活物質粒子が剥がれやすくなり、サイクル後の容量維持率が低下してしまう。また、黒鉛は、充放電に伴う体積変動がケイ素酸化物よりも小さいため、活物質のはがれが起こり難い。しかしながら、ケイ素酸化物を含まない負極は、初期容量が小さくなってしまうという問題がある。
また、表2から、スチレンブタジエンゴム(SBR)の含有比率が、芯体側>表面側である実施例1、4、5は、剥離強度が12〜30N、容量維持率が50〜65%と、スチレンブタジエンゴムの含有比率が、芯体側<表面側である比較例4、5の剥離強度10N、1.6N、容量維持率30%、0%よりも優れていることが分かる。
このことは、次のように考えられる。結着剤は、負極活物質粒子相互、及び負極活物質粒子と負極芯体とを結着するが、結着剤のうち、スチレンブタジエンゴム(二重結合を有する化合物からなる結着剤)は、負極活物質粒子と負極芯体との結着力を高める作用がある。負極活物質層の芯体側に含まれるスチレンブタジエンゴム量が過小であると、剥離強度が低下するとともに、充放電によって活物質粒子が剥がれやすくなり、サイクル後の容量維持率が低下してしまう。
また、表3から、ケイ素酸化物(SiO)の分布が、芯体側<表面側である実施例6〜9は、容量維持率が65〜70%であり、ケイ素酸化物の分布が、芯体側=表面側である実施例1、11は、容量維持率がともに60%であり、ケイ素酸化物の分布が、芯体側>表面側である実施例10は、容量維持率が55%であり、表面側のSiO量が増加するに伴い、容量維持率が高まる傾向にあることが分かる。
このことは、次のように考えられる。ケイ素酸化物は、黒鉛よりも充電時にリチウムが析出してその後の放電容量が低下し易いが、これはケイ素酸化物が芯体側に存在する場合により起こり易くなる。このため、ケイ素酸化物の分布は、芯体側≦表面側であることが好ましく、芯体側<表面側であることがより好ましい。
また、表3から、カルボキシメチルセルロース(CMC)とケイ素酸化物(SiO)との質量比が、ケイ素酸化物が存在する部分で常に1/4である実施例1、8〜10は、初期容量がいずれも3400mAhであり、カルボキシメチルセルロースとケイ素酸化物との質量比が、芯体側と表面側とで異なっている実施例11は、初期容量が3350mAhであり、実施例1、8〜10が優れていることが分かる。このため、ケイ素酸化物の存在する部分では、カルボキシメチルセルロース(水溶性高分子化合物からなる結着剤)とケイ素酸化物との比を一定に保つ(カルボキシメチルセルロースがケイ素酸化物の周囲に均一に分散している)ことが好ましい。
また、表4から、混練物の固形分濃度が60%である実施例1は、初期容量が3400mAhと、混練物の固形分濃度が50%である実施例12の初期容量3350mAhよりも優れていることが分かる。
このことは、次のように考えられる。混練物の固形分濃度が高く、混練の抵抗が高いほうがは、負極活物質層成分(固形分)の混合分散状態が良好となって、初期容量が高まる。
(追加事項)
上記実施例では、結着剤Aの量が不連続に変化する構成としたが、連続的に変化する構成であってもよい。このような負極活物質層は、負極スラリー1による層が完全に乾燥しきる前に負極スラリー2による層を形成することにより作製できる。
また、非水溶媒としては、カーボネート類、ラクトン類、ケトン類、エーテル類、エステル類等を用いることができる。具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ジメトキシエタン、テトロヒドロフラン、1,4−ジオキサン等を用いることができる。
また、電解質塩としては、LiPF、LiBF、LiClO等の一種または複数種の混合物が使用できる。また、非水溶媒に対する溶解量は、0.8〜1.8モル/リットルとすることが好ましい。
また、正極活物質としては、リチウム含有コバルトニッケルマンガン複合酸化物(LiNiMnCo、0.9<x≦1.2、a+b+c=1)、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn)、これらの遷移金属元素を他の元素に置換した化合物等を単独で、又は二種以上混合して用いることができる。
また、上記実施例では、ケイ素酸化物として、SiO(x=1)を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、0.5≦x≦1.5の範囲のものや異種元素によってSiの一部が置換されたものを好適に用いることができる。また、ケイ素酸化物は、xの値や異種元素の組成が異なる複数種が混合されていてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、高容量でサイクル特性に優れた非水電解質二次電池を実現できる。よって、産業上の利用可能性は大きい。

Claims (5)

  1. 負極芯体上に、負極活物質と結着剤とを有する負極活物質層が形成された負極板を備える非水電解質二次電池において、
    前記負極活物質は、ケイ素酸化物と、炭素質物と、を有し、
    前記ケイ素酸化物と前記炭素質物との質量の和に対する前記ケイ素酸化物の質量が、1〜20質量%であり、
    前記ケイ素酸化物の酸素原子とケイ素原子との比O/Siが0.5〜1.5であり、
    前記結着剤は、二重結合を有するゴムバインダからなる結着剤Aと、水溶性高分子化合物からなる結着剤Bと、を有し、
    前記結着剤Aは、前記負極活物質層の表面側よりも負極芯体側に多く存在する分布であり、
    前記結着剤Bは、少なくとも前記ケイ素酸化物の周囲に存在する、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 請求項1に記載の非水電解質二次電池において、
    前記負極活物質層の厚みを1とするとき、前記負極活物質層の芯体がわ面を基点として厚み0〜0.3の領域に存在する前記結着剤Aの量が、前記結着剤Aの総量の50%以上である、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池。
  3. 請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池において、
    前記負極活物質層の厚みを1とするとき、前記負極活物質層の芯体がわ面を基点として厚み0〜0.5の領域に存在する前記ケイ素酸化物の量が、前記ケイ素酸化物の総量の50%未満である、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池。
  4. 請求項3記載の非水電解質二次電池において、
    前記負極活物質層の芯体がわ面を基点として厚み0〜0.5の領域に存在する前記結着剤Bの量が、前記結着剤Bの総量の50%未満である、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池において、
    前記結着剤Bは、カルボキシメチルセルロースである、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池。
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