JP6129092B2 - 硬化性樹脂組成物、その硬化皮膜、およびこれを備えた加飾ガラス板 - Google Patents
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Description
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)スチレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂と、(B)エポキシ樹脂と、(C)ルチル型酸化チタンと、(D)熱硬化触媒と、を含有する。本発明の樹脂組成物においては、(A)スチレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量が10,000〜30,000であり、かつ、酸価が120〜200mgKOH/gである。樹脂成分として上記(A)スチレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂を用いることで、この樹脂組成物の硬化皮膜とガラス基板との密着性を改善することができる。以下、(A)スチレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)ルチル型酸化チタン、および(D)熱硬化触媒について、詳細に説明する。
(A)スチレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂は、分子内にカルボキシル基を有し、エチレン性不飽和結合等の感光性基を有さない樹脂であり、分子内にスチレン骨格を有し、重量平均分子量が10,000〜30,000であり、酸価が120〜200mgKOH/gである。このようなスチレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂は、スチレンを必須のモノマーとして共重合により合成することができる。かかる物性を有するカルボキシル基含有樹脂を用いることで、本発明の樹脂組成物からなる硬化被膜とガラス基板との密着性を向上させることができる。
本発明の樹脂組成物においては、(B)エポキシ樹脂は、耐熱性を付与するための成分である。本発明の樹脂組成物においては、エポキシ化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物においては、白色顔料として、(D)ルチル型酸化チタンを用いる。アナターゼ型酸化チタンは、ルチル型と比較して白色度が高いためによく使用されるが、アナターゼ型酸化チタンは、光触媒活性を有するために、硬化皮膜の変色を引き起こすおそれがある。これに対し、ルチル型酸化チタンは、白色度はアナターゼ型酸化チタンと比較して若干劣るものの、光活性をほとんど有さないために、安定した硬化皮膜を得ることができる。(D)ルチル型酸化チタンとしては、公知のルチル型のものを使用することができ、塩素法で製造したものでも硫酸法で製造したものでも何れを用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は、(D)熱硬化触媒を含有する。熱硬化触媒としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、これら以外にも、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもできる。特に、トリフェニルホスフィンを熱硬化触媒として用いると、硬化皮膜が200℃以上の高温にさらされても、黄変を防止することができるので好ましい。
本発明の樹脂組成物には、光重合開始剤を含めてもよい。光重合開始剤を加えることにより、本発明の樹脂組成物を、熱硬化以外にも光硬化にも用いることができるようになる。光重合開始剤としては、公知のいずれのものも用いることができるが、中でも、α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
光重合開始剤の他、本発明の樹脂組成物においては、光開始助剤または増感剤を用いてもよい。光開始助剤または増感剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物等を挙げることができる。これらの化合物は、光重合開始剤として用いることができる場合もあるが、光重合開始剤と併用して用いることが好ましい。また、光開始助剤または増感剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物には、得られる硬化物の物理的強度等を上げるために、必要に応じて、フィラーを配合してもよい。このようなフィラーとしては、公知の無機または有機フィラーが使用でき、例えば、硫酸バリウム、球状シリカまたはタルクを用いることができる。さらに、白色の外観や難燃性を得るために金属酸化物、水酸化アルミ等の金属水酸化物を体質顔料フィラーとしても使用することができる。
本発明の樹脂組成物には、酸化を防ぐために、発生したラジカルを無効化するようなラジカル捕捉剤や、発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルが発生しないようにする過酸化物分解剤等の酸化防止剤を含有することができる。本発明で用いられる酸化防止剤は、樹脂等の酸化劣化を防止し、黄変を抑制することができる。酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一般に、高分子材料は光を吸収し、それにより分解・劣化を起こすことから、本発明の樹脂組成物には、紫外線に対する安定化対策を行うために、酸化防止剤の他に、紫外線吸収剤を使用することができる。なお、紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。紫外線吸収剤と酸化防止剤とを併用することで本発明の樹脂組成物より得られる硬化皮膜の安定化が図れる。
本発明の樹脂組成物には、さらに必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の公知慣用の着色剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の公知慣用の熱重合禁止剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤、レベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤のような公知慣用の添加剤類を1種以上配合することができる。
本発明の樹脂組成物は、組成物の調整の際、粘度調整のため有機溶剤を使用することができる。このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤等を挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート等のエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
本発明の硬化皮膜は、本発明の硬化性樹脂組成物が硬化してなるものである。本発明の樹脂組成物には(A)スチレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂が用いられているため、本発明の樹脂組成物が硬化してなる硬化被膜とガラス基板との密着性に優れている。そのため、本発明の硬化皮膜は、電子機器等のタッチパネルの加飾部に好適に用いることができる。なお、本発明の硬化皮膜は、本発明の硬化組成物を熱硬化させたもののみならず、選択的に光硬化させ不要な未露光部分を現像により除去する写真現像法も含まれるが、この場合であっても、光硬化後に、さらに熱硬化させることが好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物は、熱硬化により、十分な硬化特性を発揮することができるからである。
本発明の加飾ガラス板は、ガラス基板上に本発明の樹脂組成物の硬化皮膜が備えられてなるものであり、上述のとおり、電子機器等のタッチパネル部のカバーガラスとして好適に好適である。加飾パターンとしては、印刷法を用いて容易に形成することができ、特にスクリーンインキを用いたスクリーン印刷法により任意のパターンをカバーガラス1の片面上に形成できる。額縁パターン等の光遮蔽性の高い厚膜形成にはスクリーン印刷法が最も適しているが、これに限定されるものではなく、必要により他の印刷法やフォトリソグラフィー法や転写法等も利用できる。
攪拌機と冷却管を備えた2,000mlのフラスコに、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル377gを入れ、窒素気流下で90℃に加熱した。スチレン104.2g、メタクリル酸246.5、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業社製:V−601)20.7gを混合溶解したものを、4時間かけてフラスコに滴下した。このようにして、カルボキシル基含有樹脂溶液を得た。このカルボキシル基含有樹脂溶液は、固形分酸価が120mgKOH/g、固形分が50%、分子量は20,000である。なお、得られカルボキシル基含有樹脂の質量平均分子量は、島津製作所社製ポンプLC−6ADと昭和電工社製カラムShodex(登録商標)KF−804,KF−803,KF−802を三本つないだ高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
攪拌機と冷却管を備えた2,000mlのフラスコに、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル502gを入れ、窒素気流下で90℃に加熱した。スチレン104.2g、メタクリル酸363.4g、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業社製:V−601)28.1gを混合溶解したものを、4時間かけてフラスコに滴下した。このようにして、カルボキシル基含有樹脂溶液2を得た。このカルボキシル基含有樹脂溶液2は、固形分酸価が160mgKOH/g、固形分が50%、分子量は17,000である。なお、得られたカルボキシル基含有樹脂の質量平均分子量は、島津製作所社製ポンプLC−6ADと昭和電工社製カラムShodex(登録商標)KF−804,KF−803,KF−802を三本つないだ高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
温度計、攪拌機、滴下ロート、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルメタクリレートとメタアクリル酸を0.87:0.13のモル比で仕込み、溶媒としてジプロピレングリコールモノメチルエーテル、触媒としてアゾビスイソブチロニトリルを入れ、窒素雰囲気下、80℃で6時間攪拌し、カルボキシル基含有樹脂溶液3を得た。このカルボキシル基含有樹脂は、質量平均分子量が約10,000、酸価が74mgKOH/gであった。なお、得られたカルボキシル基含有樹脂の質量平均分子量は、島津製作所社製ポンプLC−6ADと昭和電工社製カラムShodex(登録商標)KF−804,KF−803,KF−802を三本つないだ高速液体クロマトグラフィーにより測定した。このようにして、カルボキシル基含有樹脂溶液3を得た。
下記表1に示す組成を有する硬化性樹脂組成物を調製した。なお、同表中の各成分の単位は質量部であり、カルボキシル基含有樹脂としては、上記のカルボキシル基含有樹脂溶液の合成で合成したものを用いた。次に、得られた各硬化性樹脂組成物を、厚さ1.0mmのソーダライムガラス(セントラル硝子社製)上にスクリーン法にて塗布した。その後、90℃にて10分間乾燥させて有機溶媒を除去した。この操作を回繰り返し、白色加飾層をガラス基板上に印刷した。
(A)カルボキシル基含有樹脂2:<カルボキシル基含有樹脂2の合成>で製造したスチレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂溶液(固形分50質量%)
カルボキシル基含有樹脂3:<カルボキシル基含有樹脂溶液3の合成>で製造したスチレン骨格を有さないカルボキシル基含有樹脂溶液(固形分43質量%)
(B)エポキシ樹脂1:三菱化学社製 JER828(ビスフェノールA型)
(B)エポキシ樹脂2:三菱化学社製 YX−8034(水添ビスフェノールA型)
(C)多処理加工ルチル型酸化チタン1:デュポン社製 R931(塩素法ルチル型酸化チタン)
(C)多処理加工ルチル型酸化チタン2:堺化学工業社製 R−7E(硫酸法ルチル型酸化チタン)
(D)熱硬化触媒:トリフェニルホスフィン
消泡剤:信越化学工業社製:KS−66(シリコン系消泡剤)
湿潤分散剤: ビックケミー社製 BYK−111
酸化防止剤:BASF社製 IRGANOX1010
有機溶剤:日本乳化剤社製 MFTG(メチルプロピレントリグリコール)
カルボキシル基含有樹脂溶液:上記のカルボキシル基含有樹脂溶液1の合成で合成したカルボキシル基含有樹脂溶液 100質量部(固形分50質量%)
エポキシ樹脂:三菱化学社製 JER828(ビスフェノールA型) 8質量部
トリフェニルホスフィン 0.6質量部
黒色顔料:四三酸化コバルト粉 60質量部
ルチル型酸化チタン:石原産業社製 CR−58(塩素法ルチル型酸化チタン) 90質量部
有機溶剤:日本乳化剤社製 MFTG(メチルプロピレントリグリコール) 12質量部
消泡剤:信越化学工業社製シリコン系消泡剤 KS−66 3質量部
湿潤分散剤: ビックケミー社製 BYK−111 6質量部
遮光層の有無でサンプルをガラス基板側から見て、黒色遮光層が見えない場合を○、黒色遮光層が見える場合を×とした。得られた結果を表2、3に併記する。
JISK5400に準拠して、各サンプルの皮膜に、1mmの碁盤目100個(10×10)を作り、碁盤目上に透明粘着テープ(ニチバン社製、幅:18mm)を完全に付着させ、直ちにテープの一端をガラス基板に対して直角に保ちながら瞬間的に引き離し、完全に剥がれないで残った碁盤目の数を調べた。評価基準は以下のとおりである。得られた結果を表2、3に併記する。
○:碁盤目に剥がれが生じなかった。
×:碁盤目に剥がれが生じた。
各サンプルについて、コニカミノルタ社製色彩色差計CR−400を用い、L*a*b*表色系のL*、a*、b*の初期値を測定した。その後、各サンプルを230℃の熱風循環式箱型乾燥炉に3時間放置して加速劣化させ、再度、コニカミノルタ社製色彩色差計CR−400で各数値を測定しとΔE*abで評価した。得られた結果を表2、3に併記する。
ΔE*ab=[(L*2−L*1)2+(a*2−a*1)2+(b*2−b*1)2]1/2
式中、L*1、a*1、b*1は、各々L*、a*、b*の初期値を表し、L*2、a*2、b*2は、各々加速劣化後のL*、a*、b*の値を表す。
Claims (5)
- (A)スチレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂と、(B)エポキシ樹脂と、(C)ルチル型酸化チタンと、(D)熱硬化触媒と、を含有する加飾ガラス板上の硬化皮膜形成用熱硬化性樹脂組成物であって、
前記(A)スチレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量が10,000〜30,000であり、かつ、酸価が120〜200mgKOH/gであることを特徴とする加飾ガラス板上の硬化皮膜形成用熱硬化性樹脂組成物。 - 前記(D)熱硬化触媒が、トリフェニルホスフィンである請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記(C)ルチル型酸化チタンが、多処理加工されたルチル型酸化チタンである請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜3のうちいずれか一項記載の熱硬化性樹脂組成物が硬化されてなることを特徴とする硬化皮膜。
- 請求項4記載の硬化皮膜を備えてなることを特徴とする加飾ガラス板。
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