以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(実施の形態1)
<流量センサの回路構成>
まず、流量センサの回路構成を説明する。図1は、本実施の形態1における流量センサの回路構成を示す回路ブロック図である。図1において、本実施の形態1における流量センサは、まず、流量センサを制御するためのCPU(Central Processing Unit)1を有し、さらに、このCPU1に入力信号を入力するための入力回路2、および、CPU1からの出力信号を出力するための出力回路3を有している。そして、流量センサにはデータを記憶するメモリ4が設けられており、CPU1は、メモリ4にアクセスして、メモリ4に記憶されているデータを参照できるようになっている。
次に、CPU1は、出力回路3を介して、トランジスタTrのベース電極と接続されている。そして、このトランジスタTrのコレクタ電極は電源PSに接続され、トランジスタTrのエミッタ電極は発熱抵抗体HRを介してグランド(GND)に接続されている。したがって、トランジスタTrは、CPU1によって制御されるようになっている。すなわち、トランジスタTrのベース電極は、出力回路3を介してCPU1に接続されているので、CPU1からの出力信号がトランジスタTrのベース電極に入力される。
この結果、CPU1からの出力信号(制御信号)によって、トランジスタTrを流れる電流が制御されるように構成されている。CPU1からの出力信号によってトランジスタTrを流れる電流が大きくなると、電源PSから発熱抵抗体HRに供給される電流が大きくなり、発熱抵抗体HRの加熱量が大きくなる。
一方、CPU1からの出力信号によってトランジスタTrを流れる電流が少なくなると、発熱抵抗体HRへ供給される電流が少なくなり、発熱抵抗体HRの加熱量は減少する。
このように本実施の形態1における流量センサでは、CPU1によって発熱抵抗体HRを流れる電流量が制御され、これによって、発熱抵抗体HRからの発熱量がCPU1によって制御されるように構成されていることがわかる。
続いて、本実施の形態1における流量センサでは、CPU1によって発熱抵抗体HRを流れる電流を制御するため、ヒータ制御ブリッジHCBが設けられている。このヒータ制御ブリッジHCBは、発熱抵抗体HRから放散される発熱量を検知し、この検知結果を入力回路2へ出力するように構成されている。この結果、CPU1は、ヒータ制御ブリッジHCBからの検知結果を入力することができ、これに基づいて、トランジスタTrを流れる電流を制御する。
具体的に、ヒータ制御ブリッジHCBは、図1に示すように、参照電圧Vref1とグランド(GND)との間にブリッジを構成する抵抗体R1〜抵抗体R4を有している。このように構成されているヒータ制御ブリッジHCBでは、発熱抵抗体HRで加熱された気体が吸気温度よりもある一定温度(ΔT、例えば、100℃)だけ高い場合に、ノードAの電位とノードBの電位の電位差が0Vとなるように、抵抗体R1〜抵抗体R4の抵抗値が設定されている。つまり、ヒータ制御ブリッジHCBを構成する抵抗体R1〜抵抗体R4は、抵抗体R1と抵抗体R3を直列接続した構成要素と、抵抗体R2と抵抗体R4を直列接続した構成要素とが、参照電圧Vref1とグランド(GND)との間に並列接続されるようにしてブリッジが構成されている。そして、抵抗体R1と抵抗体R3の接続点がノードAとなっており、抵抗体R2と抵抗体R4の接続点がノードBとなっている。
このとき、発熱抵抗体HRで加熱された気体は、ヒータ制御ブリッジHCBを構成する抵抗体R1に接触するようになっている。したがって、発熱抵抗体HRからの発熱量によって、ヒータ制御ブリッジHCBを構成する抵抗体R1の抵抗値が主に変化することになる。このように抵抗体R1の抵抗値が変化すると、ノードAとノードBとの間の電位差が変化する。このノードAとノードBとの電位差は、入力回路2を介してCPU1に入力されるので、CPU1は、ノードAとノードBとの電位差に基づいて、トランジスタTrを流れる電流を制御する。
具体的に、CPU1は、ノードAとノードBとの電位差が0VとなるようにトランジスタTrを流れる電流を制御して、発熱抵抗体HRからの発熱量を制御するようになっている。すなわち、本実施の形態1における流量センサでは、CPU1がヒータ制御ブリッジHCBの出力に基づいて、発熱抵抗体HRで加熱された気体が吸気温度よりもある一定温度(ΔT、例えば、100℃)だけ高い一定値に保持するようにフィードバック制御するように構成されていることがわかる。
続いて、本実施の形態1における流量センサは、気体の流量を検知するための温度センサブリッジTSBを有している。この温度センサブリッジTSBは、参照電圧Vref2とグランド(GND)との間にブリッジを構成する4つの測温抵抗体から構成されている。この4つの測温抵抗体は、2つの上流測温抵抗体UR1、UR2と、2つの下流測温抵抗体BR1、BR2から構成されている。
つまり、図1の矢印の方向は、気体が流れる方向を示しており、この気体が流れる方向の上流側に上流測温抵抗体UR1、UR2が設けられ、下流側に下流測温抵抗体BR1、BR2が設けられている。これらの上流測温抵抗体UR1、UR2および下流測温抵抗体BR1、BR2は、発熱抵抗体HRまでの距離が同じになるように配置されている。
温度センサブリッジTSBでは、参照電圧Vref2とグランド(GND)の間に上流測温抵抗体UR1と下流測温抵抗体BR1が直列接続されており、この上流測温抵抗体UR1と下流測温抵抗体BR1の接続点がノードCとなっている。
一方、グランド(GND)と参照電圧Vref2の間に上流測温抵抗体UR2と下流測温抵抗体BR2が直列接続されており、この上流測温抵抗体UR2と下流測温抵抗体BR2の接続点がノードDとなっている。そして、ノードCの電位とノードDの電位は、入力回路2を介してCPU1に入力されるように構成されている。そして、矢印方向に流れる気体の流量が零である無風状態のとき、ノードCの電位とノードDの電位との差電位が0Vとなるように、上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2の各抵抗値が設定されている。
具体的に、上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2は、発熱抵抗体HRからの距離が等しく、かつ、抵抗値も等しくなるように構成されている。このため、温度センサブリッジTSBでは、発熱抵抗体HRの発熱量にかかわらず、無風状態であれば、ノードCとノードDの差電位は0Vとなるように構成されていることがわかる。
<流量センサの動作>
本実施の形態1における流量センサは上記のように構成されており、以下に、その動作について図1を参照しながら説明する。まず、CPU1は、出力回路3を介してトランジスタTrのベース電極に出力信号(制御信号)を出力することにより、トランジスタTrに電流を流す。すると、トランジスタTrのコレクタ電極に接続されている電源PSから、トランジスタTrのエミッタ電極に接続されている発熱抵抗体HRに電流が流れる。このため、発熱抵抗体HRは発熱する。そして、発熱抵抗体HRからの発熱で暖められた気体がヒータ制御ブリッジHCBを構成する抵抗体R1を加熱する。
このとき、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度(例えば、100℃)だけ高くなっている場合、ヒータ制御ブリッジHCBのノードAとノードBの差電位が0Vとなるように、抵抗体R1〜R4の各抵抗値が設定されている。このため、例えば、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度(例えば、100℃)だけ高くなっている場合、ヒータ制御ブリッジHCBのノードAとノードBとの間の差電位は0Vとなり、この差電位(0V)が入力回路2を介してCPU1に入力される。そして、ヒータ制御ブリッジHCBからの差電位が0Vであることを認識したCPU1は、出力回路3を介してトランジスタTrのベース電極に、現状の電流量を維持するための出力信号(制御信号)を出力する。
一方、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度(例えば、100℃)からずれている場合、ヒータ制御ブリッジHCBのノードAとノードBとの間に0Vではない差電位が発生し、この差電位が入力回路2を介してCPU1に入力される。そして、ヒータ制御ブリッジHCBからの差電位が発生していることを認識したCPU1は、出力回路3を介してトランジスタTrのベース電極に、差電位が0Vになるような出力信号(制御信号)を出力する。
例えば、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度(例えば、100℃)よりも高くなる方向の差電位が発生している場合、CPU1は、トランジスタTrを流れる電流が減少するような制御信号(出力信号)を、トランジスタTrのベース電極へ出力する。これに対し、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度(例えば、100℃)よりも低くなる方向の差電位が発生している場合、CPU1は、トランジスタTrを流れる電流が増加するような制御信号(出力信号)を、トランジスタTrのベース電極へ出力する。
以上のようにして、CPU1は、ヒータ制御ブリッジHCBのノードAとノードBとの間の差電位が0V(平衡状態)になるように、ヒータ制御ブリッジHCBからの出力信号に基づいて、フィードバック制御する。このことから、本実施の形態1における流量センサでは、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度となるように制御されることがわかる。
次に、本実施の形態1における流量センサでの気体の流量を測定する動作について説明する。まず、無風状態の場合について説明する。矢印方向に流れる気体の流量が零である無風状態のとき、温度センサブリッジTSBのノードCの電位とノードDの電位との差電位が0Vとなるように、上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2の各抵抗値が設定されている。
具体的に、上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2は、発熱抵抗体HRからの距離が等しく、かつ、抵抗値も等しくなるように構成されている。このため、温度センサブリッジTSBでは、発熱抵抗体HRの発熱量にかかわらず、無風状態であれば、ノードCとノードDの差電位は0Vとなり、この差電位(0V)が入力回路2を介してCPU1に入力される。そして、温度センサブリッジTSBからの差電位が0Vであることを認識したCPU1は、矢印方向に流れる気体の流量が零であると認識し、出力回路3を介して気体流量Qが零であることを示す出力信号が本実施の形態1における流量センサから出力される。
続いて、図1の矢印方向に気体が流れている場合を考える。この場合、図1に示すように、気体の流れる方向の上流側に配置されている上流測温抵抗体UR1、UR2は、矢印方向に流れる気体によって冷却される。このため、上流測温抵抗体UR1、UR2の温度は低下する。これに対し、気体の流れる方向の下流側に配置されている下流測温抵抗体BR1、BR2は、発熱抵抗体HRで暖められた気体が下流測温抵抗体BR1、BR2に流れてくるので温度が上昇する。この結果、温度センサブリッジTSBのバランスが崩れ、温度センサブリッジTSBのノードCとノードDとの間に零ではない差電位が発生する。
この差電位が入力回路2を介してCPU1に入力される。そして、温度センサブリッジTSBからの差電位が零ではないことを認識したCPU1は、矢印方向に流れる気体の流量が零ではないことを認識する。その後、CPU1はメモリ4にアクセスする。メモリ4には、差電位と気体流量を対応づけた対比表(テーブル)が記憶されているので、メモリ4にアクセスしたCPU1は、メモリ4に記憶されている対比表から気体流量Qを算出する。このようにして、CPU1で算出された気体流量Qは出力回路3を介して、本実施の形態1における流量センサから出力される。以上のようにして、本実施の形態1における流量センサによれば、気体の流量を求めることができることがわかる。
<流量センサのレイアウト構成>
次に、本実施の形態1における流量センサのレイアウト構成について説明する。例えば、図1に示す本実施の形態1における流量センサは、2つの半導体チップに形成される。具体的には、発熱抵抗体HR、ヒータ制御ブリッジHCBおよび温度センサブリッジTSBが1つの半導体チップに形成され、CPU1、入力回路2、出力回路3およびメモリ4などが別の半導体チップに形成される。以下では、発熱抵抗体HR、ヒータ制御ブリッジHCBおよび温度センサブリッジTSBが形成されている半導体チップのレイアウト構成について説明する。
図2は、本実施の形態1における流量センサの一部を構成した半導体チップCHP1のレイアウト構成を示す平面図である。まず、図2に示すように、半導体チップCHP1が矩形形状をしており、この半導体チップCHP1の左側から右側に向って(矢印方向)、気体が流れるようになっている。そして、図2に示すように、矩形形状をした半導体チップCHP1の裏面側に矩形形状のダイヤフラムDFが形成されている。ダイヤフラムDFとは、半導体チップCHP1の厚さを薄くした薄板領域のことを示している。つまり、ダイヤフラムDFが形成されている領域の厚さは、その他の半導体チップCHP1の領域の厚さよりも薄くなっている。
このようにダイヤフラムDFが形成されている裏面領域に相対する半導体チップCHP1の表面領域には、図2に示すように、流量検出部FDUが形成されている。具体的に、この流量検出部FDUの中央部には、発熱抵抗体HRが形成されており、この発熱抵抗体HRの周囲にヒータ制御ブリッジを構成する抵抗体R1が形成されている。そして、流量検出部FDUの外側にヒータ制御ブリッジを構成する抵抗体R2〜R4が形成されている。このように形成された抵抗体R1〜R4によってヒータ制御ブリッジが構成される。
特に、ヒータ制御ブリッジを構成する抵抗体R1は、発熱抵抗体HRの近傍に形成されているので、発熱抵抗体HRからの発熱で暖められた気体の温度を抵抗体R1に精度良く反映させることができる。
一方、ヒータ制御ブリッジを構成する抵抗体R2〜R4は、発熱抵抗体HRから離れて配置されているので、発熱抵抗体HRからの発熱の影響を受けにくくすることができる。
したがって、抵抗体R1は発熱抵抗体HRで暖められた気体の温度に敏感に反応するように構成することができるとともに、抵抗体R2〜R4は発熱抵抗体HRの影響を受けにくく抵抗値を一定値に維持しやすく構成することができる。このため、ヒータ制御ブリッジの検出精度を高めることができる。
さらに、流量検出部FDUに形成されている発熱抵抗体HRを挟むように、上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2が配置されている。具体的に、気体が流れる矢印方向の上流側に上流測温抵抗体UR1、UR2が形成され、気体が流れる矢印方向の下流側に下流測温抵抗体BR1、BR2が形成されている。
このように構成することにより、気体が矢印方向に流れる場合、上流測温抵抗体UR1、UR2の温度を低下させることができるとともに、下流測温抵抗体BR1、BR2の温度を上昇させることができる。このように流量検出部FDUに配置されている上流測温抵抗体UR1、UR2および下流測温抵抗体BR1、BR2により温度センサブリッジが形成される。
上述した発熱抵抗体HR、上流測温抵抗体UR1、UR2および下流測温抵抗体BR1、BR2は、例えば、白金(プラチナ)などの金属膜やポリシリコン(多結晶シリコン)などの半導体薄膜をスパッタリング法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などの方法で形成した後、イオンエッチングなどの方法でパターニングすることにより形成することができる。
このように構成されている発熱抵抗体HR、ヒータ制御ブリッジを構成する抵抗体R1〜R4、および、温度センサブリッジを構成する上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2は、それぞれ、配線WL1と接続されて、半導体チップCHP1の下辺に沿って配置されているパッドPD1に引き出されている。
以上のようにして、本実施の形態1における流量センサの一部を構成する半導体チップCHP1がレイアウト構成されている。実際の流量センサは、発熱抵抗体HR、ヒータ制御ブリッジHCBおよび温度センサブリッジTSBが形成された1つの半導体チップと、CPU1、入力回路2、出力回路3およびメモリ4などが形成されたもう1つの半導体チップとを有し、これらの半導体チップを基板上に実装した構造をしている。
以下では、まず、流量センサの実装構成に関する関連技術について説明し、その後、この関連技術が有する問題点を説明する。その次に、関連技術が有する問題点を解決する工夫を施した本実施の形態1における流量センサの実装構成について説明する。
<関連技術の説明>
図3は、第1関連技術における流量センサFSP1の構成を示す断面図である。図3に示すように、第1関連技術における流量センサFSP1は、チップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1を有しており、この半導体チップCHP1は、チップ搭載部TAB1に接着材ADH1で接着されている。半導体チップCHP1の主面(上面、表面)には、流量検出部FDUが形成されており、半導体チップCHP1の裏面のうち、流量検出部FDUと相対する位置にダイヤフラム(薄板部)DFが形成されている。そして、第1関連技術における流量センサFSP1では、半導体チップCHP1の一部およびチップ搭載部TAB1の一部が樹脂MRを含む封止体で封止されている。具体的に、第1関連技術における流量センサFSP1では、半導体チップCHP1の上面に形成されている流量検出部FDUを露出させながら、半導体チップCHP1の側面を覆うように樹脂MRが形成されている。このとき、第1関連技術における流量センサFSP1においては、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)と樹脂MRの上面SUR(MR)が面一となっている。
このように構成されている第1関連技術における流量センサFSP1は、例えば、図4に示す製造工程によって樹脂封止される。図4は、第1関連技術における流量センサFSP1を樹脂封止する工程を示す断面図である。図4に示すように、リードフレームLFに形成されているチップ搭載部TAB1上に接着材ADH1で半導体チップCHP1が固定されている。そして、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで第2空間を介して挟み込む。その後、加熱下において、この第2空間に樹脂MRを流し込むことにより、半導体チップCHP1の一部を樹脂MRで封止する。
このとき、図4に示すように、ダイヤフラムDFの内部空間は、接着材ADH1によって、上述した第2空間と隔離されているので、第2空間を樹脂MRで充填する際にも、ダイヤフラムDFの内部空間へ樹脂MRが侵入することを防止できる。
また、上金型UMには、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)に形成されている流量検出部FDUを囲む第1空間SP1(密閉空間)を確保するように凹み部が形成されている。このことから、上金型UMを半導体チップCHP1上に押し当てると、上金型UMに形成されている凹み部によって、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUおよびその近傍領域を囲む第1空間SP1(密閉空間)が確保されつつ、例えば、半導体チップCHP1の側面を封止することができる。すなわち、第1関連技術によれば、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUおよびその近傍領域を露出させつつ、半導体チップCHP1の一部を封止することができる。
ここで、第1関連技術においては、上金型UMを直接半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)に押し当てているため、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)と、半導体チップCHP1の側面を覆う樹脂MRの上面SUR(MR)は概ね面一となる。
このような第1関連技術では、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1を、金型で固定した状態で行なうことができるので、半導体チップCHP1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部を樹脂MRで封止することができる。このことは、第1関連技術における流量センサFSP1の製造方法によれば、各流量センサの位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部を樹脂MRで封止できることを意味し、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置のバラツキを抑制できることを意味する。この結果、第1関連技術によれば、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置を各流量センサで一致させることができるため、各流量センサにおいて気体流量を検出する性能バラツキを抑制できる。つまり、金型で固定しながら半導体チップCHP1の一部を封止する第1関連技術によれば、ポッティング樹脂を使用する技術に比べて、流量センサFSP1ごとの性能バラツキを抑制することができる。
ところが、第1関連技術では、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)に上金型UMを直接接触させながら、半導体チップCHP1の一部を樹脂MRで封止していることから、以下に示す問題点が発生する。
例えば、個々の半導体チップCHP1の厚さには寸法バラツキが存在するため、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも薄い場合、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、隙間が生じ、この隙間から流量検出部FDU上に樹脂MRがもれ出てしまう。
一方、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚い場合、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、半導体チップCHP1に加わる力が大きくなり、半導体チップCHP1が破断するおそれがある。このように、第1関連技術では、部品の寸法バラツキに起因する問題点が発生するおそれが高いことがわかる。
そこで、第2関連技術では、上述した半導体チップCHP1の厚さバラツキに起因した流量検出部FDU上への樹脂漏れ、あるいは、半導体チップCHP1の破断を防止するため、例えば、図5に示すように、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFと上金型UMとの間に弾性体フィルムLAFを介在させる工夫を施している。これにより、例えば、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも薄い場合、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、隙間が生じるが、この隙間を弾性体フィルムLAFで充填できるため、半導体チップCHP1上への樹脂漏れを防止できる。
一方、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚い場合、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、弾性体フィルムLAFは、半導体チップCHP1よりも柔らかいため、半導体チップCHP1の厚さを吸収するように弾性体フィルムLAFの厚さ方向の寸法が変化する。これにより、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚くても、必要以上に半導体チップCHP1へ力が加わることを防止することができ、この結果、半導体チップCHP1の破断を防止することができる。
つまり、第2関連技術における流量センサの製造方法によれば、弾性体フィルムLAFを介して半導体チップCHP1が上金型UMで押さえ付けられている。このため、半導体チップCHP1、接着材ADH1、リードフレームLFの厚さバラツキに起因する部品の実装バラツキを弾性体フィルムLAFの厚さ変化により吸収することができるのである。このように第2関連技術によれば、半導体チップCHP1に加わるクランプ力を緩和することができる。この結果、半導体チップCHP1の割れ、欠け、あるいは、ひび割れなどに代表される破損を防止することができる。すなわち、第2関連技術における流量センサの製造方法によれば、部品の実装バラツキに起因したクランプ力の増大に伴う半導体チップCHP1の割れ、欠け、あるいは、ひび割れなどに代表される第1関連技術の問題点を解決することができる。
ところが、本発明者が第2関連技術を検討したところ、第2関連技術には、以下に示す問題点があることが明らかとなったので、この問題点について説明する。
例えば、流量センサを構成する半導体チップを樹脂で封止する技術として、図5に示すように、弾性体フィルム(離型フィルムシート)LAFを設置した金型によって半導体チップCHP1などの部品をクランプして、樹脂MRで封止する第2関連技術がある。この第2関連技術によれば、半導体チップCHP1やリードフレームLFなどの部品の実装寸法バラツキを、弾性体フィルムLAFの肉厚方向の寸法変化で吸収することができる利点がある。
具体的に、図5は、上述した製造方法として、下金型BMと、弾性体フィルムLAFを設置した上金型UMとによって、リードフレームLFのチップ搭載部TAB1上に搭載された半導体チップCHP1などの部品をクランプした状態で、上金型UMと下金型BMとの間に形成される第2空間に樹脂MRを注入する工程を示す断面図である。特に、図5は、流量センサの空気(気体)の流れ方向の断面図が示されている。図5に示すように、半導体チップCHP1の端部は、弾性体フィルムLAFを介して上金型UMで押し付けられており、これによって、半導体チップCHP1が上金型UMで固定される。
このとき、上金型UMから押し付けられる圧力によって、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)と上金型UMで挟まれる弾性体フィルムLAFは、膜厚方向に圧縮されて、弾性体フィルムLAFの膜厚寸法が小さくなる。一方、半導体チップCHP1に隣接する領域においては、上金型UMが半導体チップCHP1を押さえ付けずに第2空間を形成することから、この第2空間に存在する弾性体フィルムLAFは、膜厚方向に圧縮されない。この結果、図5に示すように、半導体チップCHP1と上金型UMで挟まれる弾性体フィルムLAFの膜厚が、第2空間に配置される弾性体フィルムLAFの膜厚より小さくなる。そして、上述した第2空間に樹脂MRが注入されることになるから、結果として、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)の位置よりも樹脂MRの上面SUR(MR)の位置のほうが低くなる。
このように、図5に示す製造方法で半導体チップCHP1を樹脂MRで封止する場合、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)の位置よりも樹脂MRの上面SUR(MR)の位置のほうが低くなる流量センサが製造されることになる。
この場合、流量検出部FDUの上方での空気の乱れが発生するため、流量検出部FDUでの空気流量の測定が不安定になる問題点が発生する。以下に、このメカニズムについて説明する。
図6は、図5に示す製造方法によって製造した流量センサFSP2の空気(気体)の流れ方向の断面構造を示す図である。図6に示すように、チップ搭載部TAB1上に接着材ADH1によって半導体チップCHP1が搭載されており、この半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)は樹脂MRから露出している。すなわち、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)に形成されている流量検出部FDUが樹脂MRから露出しているとともに、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)の位置が樹脂MRの上面SUR(MR)の位置よりも高くなっている。このように構成されている流量センサFSP2において、流量検出部FDUの上方に気体(空気)が流れている場合を考える。
図7では、流量センサFSP2上において、紙面の左側から右側に向って気体(空気)が流れている状態が示されている。図7に示すように、紙面の左側から流れてきた気体(空気)は、まず、流量センサFSP2の樹脂MRの上方を通過する。そして、樹脂MRの上方から半導体チップCHP1の上方に向って気体(空気)が流れるとき、樹脂MRの上面SUR(MR)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも低い位置にあるため、気体(空気)は、高さが低い樹脂MRの上面SUR(MR)から半導体チップCHP1の突出している側面に衝突する。これによって、気体(空気)の流れが乱されて、気体(空気)は、半導体チップCHP1の上方へと大きく変化して流れる。この後、半導体チップCHP1の上方へ流れた気体(空気)は、再度、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)に並行な方向へ流れる。このように、樹脂MRの上面SUR(MR)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも低い場合、樹脂MRから突出している半導体チップCHP1の側面の影響によって、気体(空気)の流れが大きく乱されることになる。すると、流量検出部FDUの上流において、気体(空気)の流れの方向が大きく変わって流量が不安定となる結果、流量検出部FDUでの流量検出精度が不安定になってしまうのである。
<実施の形態1における流量センサの実装構成>
そこで、本実施の形態1では、上述した第2関連技術の問題点を解決する工夫を施している。以下では、この工夫を施した本実施の形態1における流量センサの実装構成について説明する。
図8は、本実施の形態1における流量センサFS1の実装構成を示す図であり、樹脂で封止する前の構成を示す図である。特に、図8(a)は、本実施の形態1における流量センサFS1の実装構成を示す平面図である。図8(b)は、図8(a)のA−A線で切断した断面図であり、図8(c)は半導体チップCHP1の裏面を示す平面図である。
まず、図8(a)に示すように、本実施の形態1における流量センサFS1は、例えば、銅材からなるリードフレームLFを有している。このリードフレームLFは、外枠体を構成するダムバーDMで囲まれた内部にチップ搭載部TAB1とチップ搭載部TAB2を有している。そして、チップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が搭載され、チップ搭載部TAB2上に半導体チップCHP2が搭載されている。
半導体チップCHP1は、矩形形状をしており、ほぼ中央部に流量検出部FDUが形成されている。そして、流量検出部FDUと接続する配線WL1が半導体チップCHP1上に形成されており、この配線WL1は、半導体チップCHP1の一辺に沿って形成された複数のパッドPD1と接続されている。すなわち、流量検出部FDUと複数のパッドPD1とは配線WL1で接続されていることになる。これらのパッドPD1は、リードフレームLFに形成されているリードLD1と、例えば、金線からなるワイヤW1を介して接続されている。リードフレームLFに形成されているリードLD1は、さらに、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD2と、例えば、金線からなるワイヤW2を介して接続されている。
半導体チップCHP2には、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子や配線からなる集積回路が形成されている。具体的には、図1に示すCPU1、入力回路2、出力回路3、あるいは、メモリ4などを構成する集積回路が形成されている。これらの集積回路は、外部接続端子として機能するパッドPD2やパッドPD3と接続されている。そして、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD3は、リードフレームLFに形成されているリードLD2と、例えば、金線からなるワイヤW3を介して接続されている。このようにして、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1と、制御回路が形成されている半導体チップCHP2は、リードフレームLFに形成されているリードLD1を介して接続されていることがわかる。
続いて、図8(b)に示すように、リードフレームLFにはチップ搭載部TAB1が形成されており、このチップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が搭載されている。この半導体チップCHP1は、接着材ADH1によってチップ搭載部TAB1と接着している。半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDF(薄板部)が形成されており、ダイヤフラムDFと相対する半導体チップCHP1の表面には、流量検出部FDUが形成されている。一方、ダイヤフラムDFの下方に存在するチップ搭載部TAB1の底部には開口部OP1が形成されている。ここでは、ダイヤフラムDFの下方に存在するチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1が形成されている例を示したが、本実施の形態1における技術的思想は、これに限定されるものではなく、開口部OP1が形成されていないリードフレームLFを使用することもできる。
さらに、図8(b)に示すように、半導体チップCHP1の表面(上面)には、流量検出部FDUの他に、流量検出部FDUと接続されたパッドPD1が形成されており、このパッドPD1は、リードフレームLFに形成されたリードLD1とワイヤW1を介して接続されている。そして、リードフレームLFには、半導体チップCHP1の他に半導体チップCHP2も搭載されており、半導体チップCHP2は、接着材ADH2によってチップ搭載部TAB2に接着している。さらに、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD2と、リードフレームLFに形成されているリードLD1がワイヤW2を介して接続されている。また、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD3と、リードフレームLFに形成されているリードLD2は、ワイヤW3を介して電気的に接続されている。
半導体チップCHP1とチップ搭載部TAB1とを接着している接着材ADH1や、半導体チップCHP2とチップ搭載部TAB2とを接着している接着材ADH2は、例えば、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂を成分とした接着材、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂やフッ素樹脂などの熱可塑性樹脂を成分とした接着材を使用することができる。
例えば、半導体チップCHP1とチップ搭載部TAB1の接着は、図8(c)に示すように接着材ADH1や銀ペーストなどを塗布することや、シート状の接着材により行うことができる。図8(c)は、半導体チップCHP1の裏面を示す平面図である。図8(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1が塗布されている。なお、図8(c)では、ダイヤフラムDFを四角形形状に囲むように接着材ADH1を塗布する例を示しているが、これに限らず、例えば、ダイヤフラムDFを楕円形状などの任意の形状で囲むように接着材ADH1を塗布してもよい。
本実施の形態1における流量センサFS1において、樹脂で封止する前の流量センサFS1の実装構成は上記のように構成されており、以下に、樹脂で封止した後の流量センサFS1の実装構成について説明する。
図9は、本実施の形態1における流量センサFS1の実装構成を示す図であり、樹脂で封止した後の構成を示す図である。特に、図9(a)は、本実施の形態1における流量センサFS1の実装構成を示す平面図である。図9(b)は、図9(a)のA−A線で切断した断面図であり、図9(c)は、図9(a)のB−B線で切断した断面図である。
本実施の形態1における流量センサFS1では、図9(a)に示すように、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUを露出した状態で、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全体が樹脂MRで覆われた構造をしている。つまり、本実施の形態1では、流量検出部FDUが形成されている領域を露出させながら、半導体チップCHP1のパッド形成領域および半導体チップCHP2の全領域を一括して樹脂MRで封止している。なお、本実施の形態1では、図9(a)および図9(b)に示すように、半導体チップCHP1に形成されているパッドPDと電気的に接続するワイヤW1を覆うように、樹脂MRからなる凸部PRが形成されている。すなわち、ループ高さが高い金線(ワイヤ)などの部品を確実に封止するため、樹脂MR(封止体)に凸部PRを形成することができる。ただし、本実施の形態1において、凸部PRは必須構成要件ではない。つまり、凸部PRを設けなくても、半導体チップCHP1に形成されているパッドPD1とリードLD1とを電気的に接続する金線(ワイヤ)を樹脂MRで封止することができれば、樹脂MR(封止体)に凸部PRを設けなくてもよい。
なお、上述した樹脂MRは、例えば、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を使用することができるとともに、樹脂中にガラスやマイカなどの充填材を混入させることもできる。
本実施の形態1によれば、この樹脂MRによる封止は、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1を金型で固定した状態で行なうことができるので、半導体チップCHP1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2を樹脂MRで封止することができる。このことは、本実施の形態1における流量センサFS1によれば、各流量センサFS1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全領域を樹脂MRで封止できることを意味し、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置のバラツキを抑制できることを意味する。
この結果、本実施の形態1によれば、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置を各流量センサFS1で一致させることができるため、各流量センサFS1において気体流量を検出する性能バラツキを抑制できる顕著な効果を得ることができる。
なお、本実施の形態1では、樹脂MRがダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを防止するために、例えば、半導体チップCHP1の裏面に形成されているダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1を塗布する構成を取ることを前提としている。そして、図9(b)および図9(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面に形成されたダイヤフラムDFの下方にあるチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1を形成し、さらに、チップ搭載部TAB1の裏面を覆う樹脂MRに開口部OP2を設けている。
これにより、本実施の形態1による流量センサFS1によれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、チップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1および樹脂MRに形成された開口部OP2を介して流量センサFS1の外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS1の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
続いて、本実施の形態1における流量センサFS1では、例えば、図9(a)〜図9(c)に示すように、半導体チップCHP1の周囲を覆う樹脂MRの上面SUR(MR)に凹部CAVが形成されている。この凹部CAVは、例えば、図9(a)に示すように、半導体チップCHP1の辺に沿うように形成されている。具体的に、図9(a)において、凹部CAVは、半導体チップCHP1の辺SD1、SD2、SD3に沿うように形成されている。このように、本実施の形態1の特徴は、樹脂MRの上面SUR(MR)に凹部CAVを設けることにあり、以下に、その詳細を説明する。
図10は、本実施の形態1における流量センサFS1において、露出している流量検出部FDU上を流れる気体(空気)の進行方向と並行する一断面を示す図である。図10において、本実施の形態1における流量センサFS1は、チップ搭載部TAB1を有し、このチップ搭載部TAB1上に接着材ADH1を介して半導体チップCHP1が搭載されている。そして、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)のほぼ中央部に流量検出部FDUが形成されており、この流量検出部FDUと相対する半導体チップCHP1の裏面側にダイヤフラムDF(薄板部)が形成されている。さらに、チップ搭載部TAB1に搭載された半導体チップCHP1の一部が樹脂MRで封止されている。具体的には、半導体チップCHP1の側面の一部が樹脂MRを含む封止体で封止されている。
このとき、本実施の形態1では、図10に示すように、露出している流量検出部FDU上を流れる気体(空気)の進行方向と並行する一断面方向において、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)は樹脂MRで覆われていない。このため、本実施の形態1によれば、例えば、流量検出部FDUが形成された半導体チップCHP1のサイズの小型化が推進される場合であっても、流量検出部FDUが樹脂MRで覆われてしまうことを防止できる。
さらに、本実施の形態1においては、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも樹脂MRの上面SUR(MR)の方が低くなっている。これは、本実施の形態1における流量センサFS1でも、上述した第2関連技術と同様に、上金型UMに弾性体フィルムLAFを貼り付けた状態で樹脂封止を実施しているためである。したがって、本実施の形態1においても、第2関連技術と同様に、部品の実装バラツキに起因したクランプ力の増大に伴う割れ、欠け、あるいは、ひび割れなどに代表される半導体チップCHP1の破損を抑制することができる。つまり、本実施の形態1においても、流量センサFS1の信頼性向上を図ることができる。
このように、本実施の形態1でも、上述した第2関連技術と同様に、上金型UMに弾性体フィルムLAFを貼り付けた状態で樹脂封止を実施することを前提としているため、樹脂封止後の流量センサFS1においては、図10に示すように、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも樹脂MRの上面SUR(MR)の方が低くなるように構成されることになる。
ただし、この構成を採用する場合、何ら工夫を施さないと、第2関連技術の問題点と同様の問題点が発生することになる。すなわち、第2関連技術を説明した図7に示すように、樹脂MRの上面SUR(MR)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも低い場合、樹脂MRから突出している半導体チップCHP1の側面の影響によって、気体(空気)の流れが大きく乱されることになる。すると、流量検出部FDUの上流において、気体(空気)の流れの方向が大きく変わって流量が不安定となる結果、流量検出部FDUでの流量検出精度が不安定になってしまうのである。
そこで、本実施の形態1では、流量検出部FDUでの流量検出精度を向上する工夫を施している。具体的には、図10に示すように、本実施の形態1における流量センサFS1において、樹脂MRの上面に凹部CAVを設けている。言い換えれば、本実施の形態1における流量センサFS1では、樹脂MRと半導体チップCHP1の境界領域において、半導体チップCHP1の側面に沿うように凹部CAVが形成されている。つまり、本実施の形態1では、露出している流量検出部FDU上を流れる気体(空気)の進行方向と並行する任意断面において、半導体チップCHP1の端部近傍(境界領域、端部周辺領域)に樹脂MRの高さが局所的に低くなっている凹部CAVが存在する。すなわち、本実施の形態1では、樹脂MRの上面SUR(MR)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも低くなっていることを前提として、この樹脂MRの上面SUR(MR)よりも、さらに高さの低い凹部CAVが樹脂MRの上面SUR(MR)に局所的に形成されている。
これにより、本実施の形態1における流量センサFS1によれば、流量検出部FDUの上方を流れる気体(空気)の流れが乱されることなく安定化する。この結果、本実施の形態1における流量センサFS1によれば、流量検出部FDUでの気体(空気)の流量検出精度を向上させることができ、これによって、流量センサFS1の性能向上を図ることができる。
以下では、樹脂MRの上面に凹部CAVを設けることにより、流量検出部FDUの上方を流れる気体(空気)の流れの安定性向上を図ることができるメカニズムについて、図面を参照しながら説明する。
具体的に、図10に示すように、本実施の形態1における流量センサFS1において、流量検出部FDUの上方に気体(空気)が流れている場合を考える。図10では、紙面の左側から右側に向って気体(空気)が流れている状態が示されている。
まず、図10に示すように、紙面の左側から流れてきた気体(空気)は、流量センサFS1の樹脂MRの上面SUR(MR)上を通過する。そして、樹脂MRと半導体チップCHP1の端部との境界領域まで気体(空気)が到達すると、樹脂MRの上面SUR(MR)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも低い位置にあるため、気体(空気)は、高さの低い樹脂MRの上面SUR(MR)から、露出している半導体チップCHP1の側面に衝突する。このとき、図10に示す凹部CAVが樹脂MRに形成されていない場合には、半導体チップCHP1の側面に衝突した気体(空気)は、90度向きを変えて、半導体チップCHP1の上方に向って流れることになる。この場合、半導体チップCHP1の上方を紙面の左側から右側に向って流れている気体(空気)の流れは、半導体チップCHP1の側面に衝突して半導体チップCHP1の上方に向って流れる一部の気体(空気)によって乱されることになる。この結果、流量検出部FDU上を流れる気体(空気)の流れの安定性が低下してしまうことになる。
これに対し、図10に示す本実施の形態1のように、樹脂MRの上面SUR(MR)に凹部CAVが形成されている場合、半導体チップCHP1の端部近傍(境界領域)で、樹脂MRの高さが局所的に低くなる凹部CAVと、半導体チップCHP1の端部で規定される領域で反時計回りの回る渦流が発生する。この結果、半導体チップCHP1の端部に衝突した気体(空気)は、90度向きを変えて半導体チップCHP1の上方へ流れるのではなく、渦流を構成するように誘導される。つまり、本実施の形態1では、凹部CAVを形成することにより、半導体チップCHP1の露出している側面に衝突した気体(空気)は、渦流を構成することになる。このことは、半導体チップCHP1の露出している側面に衝突した気体(空気)が90度向きを変えて、半導体チップCHP1の上方に流れることを抑制できることを意味している。この結果、本実施の形態1によれば、流量検出部FDU上を流れる気体(空気)の流れの安定性を向上することができ、これによって、流量センサFS1の流量検出精度を向上できる。
つまり、本実施の形態1の特徴は、樹脂MRの上面SUR(MR)に凹部CAVを設けることにあり、この凹部CAVを設けることにより、半導体チップCHP1の露出した側面に衝突した気体(空気)の進行方向を半導体チップCHP1の上方方向から逸らすことができるのである。言い換えれば、樹脂MRの上面SUR(MR)に局所的な凹部CAVを設けることにより反時計回りの渦流を発生させ、これによって、半導体チップCHP1の露出した側面に衝突した気体(空気)の進行方向を、90度異なる半導体チップCHP1の上方方向ではなく、渦を巻く方向に変更することができるのである。
以上のことから、本実施の形態1における流量センサFS1によれば、流量検出部FDUの上方における気体(空気)の流れを乱すことなく、安定的にスムーズにすることができるため、流量検出部FDUにおける流量検出精度を向上することができる。
ここで、図11は、図10の領域RAを拡大した図である。図11において、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)と、樹脂MRの上面SUR(MR)に形成される凹部CAVの最下部までの寸法H2を大きくしすぎると、凹部CAVの下部での樹脂流動性が悪くなるため、この部分に樹脂MRの未充填不良が発生する可能性がある。このため、未充填不良を防止する観点から、寸法H2は、半導体チップCHP1の厚さH1の半分以下にすることが望ましい。
また、樹脂MRの上面SUR(MR)に形成される凹部CAVと半導体チップCHP1の側面で規定された部分で反時計回りの渦流を発生させるため、凹部CAVの最下部は、半導体チップCHP1の端部になるべく近い位置に設置することが望ましい。特に、効率良く反時計回りの渦流を発生させる観点から、凹部CAVの最下部から半導体チップCHP1の端部までの距離L2は、図10に示す半導体チップCHP1の幅寸法L1の1/4以下であることが望ましい。さらには、凹部CAVが半導体チップCHP1の端部と接触するように形成されていることが望ましい。
なお、本実施の形態1では、例えば、図9(a)に示すように、半導体チップCHP1の3辺(辺SD1、SD2、SD3)にわたって凹部CAVが形成されている例について説明している。しかし、例えば、図10に示すように、樹脂MRの上面SUR(MR)に凹部CAVを設ける目的は、反時計回りの渦流を発生させることにより、半導体チップCHP1の露出した側面に衝突した気体(空気)の進行方向を半導体チップCHP1の上方方向から逸らすことにある。このため、少なくとも、気体(空気)の流れる上流側において、半導体チップCHP1の端部と樹脂MRとの境界領域近傍の樹脂MRの上面SUR(MR)に凹部CAVを設ければよく、例えば、気体(空気)の流れる下流側の境界領域近傍やその他の領域に存在する樹脂MRの上面SUR(MR)に凹部CAVを設けなくてもよい。具体的には、図9(a)において、半導体チップCHP1の辺SD1に沿って凹部CAVを設ける必要があるが、その他の辺SD2や辺SD3に沿って凹部CAVを設けなくてもよい。つまり、半導体チップCHP1の辺SD1に沿って凹部CAVが形成されていれば、半導体チップCHP1の露出した側面に衝突した気体(空気)の進行方向を半導体チップCHP1の上方方向から逸らすことができる。これにより、流量検出部FDUの上方における気体(空気)の流れを乱すことなく、安定的にスムーズにすることができるため、流量検出部FDUにおける流量検出精度を向上することができる。
以上のようにして、本実施の形態1における流量センサFS1が実装構成されているが、実際の流量センサFS1では、樹脂MRで封止した後、リードフレームLFの外枠体を構成するダムバーDMが除去される。図12は、ダムバーDMを除去した後の流量センサFS1の実装構成を示す平面図である。図12に示すように、ダムバーDMを切断することにより、複数の電気信号を複数のリードLD2から独立して取り出すことができることがわかる。
<本実施の形態1における流量センサの製造方法>
本実施の形態1における流量センサFS1は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について、図面を参照しながら説明する。図13〜図16は、図9(a)のB−B線で切断した断面における製造工程を示している。
まず、図13に示すように、例えば、銅材からなるリードフレームLFを用意する。このリードフレームLFには、チップ搭載部TAB1が形成されており、チップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1が形成されている。
続いて、図14に示すように、チップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1を搭載する。具体的には、リードフレームLFに形成されたチップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1を接着材ADH1で接続する。このとき、半導体チップCHP1に形成されているダイヤフラムDFがチップ搭載部TAB1の底部に形成されている開口部OP1と連通するように、半導体チップCHP1がチップ搭載部TAB1上に搭載される。なお、半導体チップCHP1には、通常の半導体製造プロセスによって流量検出部FDU、配線(図示されず)およびパッド(図示されず)が形成される。そして、例えば、異方性エッチングにより、半導体チップCHP1の表面に形成された流量検出部FDUと相対する裏面の位置にダイヤフラムDFが形成されている。
その後、図面には示されていないが、半導体チップCHP1に形成されているパッドと、リードフレームLFに形成されているリードとをワイヤで接続する(ワイヤボンディング)。このワイヤは、例えば、金線から形成される。
次に、図15に示すように、半導体チップCHP1の側面を樹脂MRで封止する(モールド工程)。つまり、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUを露出させつつ、半導体チップCHP1の一部を樹脂MR(封止体)で封止する。
具体的には、まず、弾性体フィルムLAFを貼り付けた上金型UMであって、平面視において半導体チップCHP1よりも大きく、かつ、平面視において半導体チップCHP1と重ならない領域に突起部PJNを有する入れ駒IPAを挿入した上金型UMと、下金型BMとを用意する。
次に、弾性体フィルムLAFを介して半導体チップCHP1の上面に入れ駒IPAの一部を密着させ、かつ、入れ駒IPAと半導体チップCHP1の間に流量検出部FDUを囲む第1空間SP1を形成しながら、上金型UMと下金型BMとで、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを、第2空間を介して挟み込む。
その後、加熱下において、この第2空間に樹脂MRを流し込む。このとき、樹脂MRの上面のうち、突起部PJNに対応した領域に凹部CAVが形成される。そして、図16に示すように、樹脂MRが硬化した段階で、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMから取り外す。これにより、本実施の形態1における流量センサFS1を製造することができる。
なお、本実施の形態1における樹脂封止工程(モールド工程)では、80℃以上の高温度の上金型UMと下金型BMを使用しているため、加熱された上金型UMと下金型BMから第2空間に注入された樹脂MRに短時間で熱が伝わる。この結果、本実施の形態1における流量センサFS1の製造方法によれば、樹脂MRの加熱・硬化時間を短縮することができる。
例えば、発明が解決しようとする課題の欄で説明したように、ポッティング樹脂による金線(ワイヤ)の固定だけを行なう場合、ポッティング樹脂は、加熱による硬化の促進を行っていないので、ポッティング樹脂が硬化するまでの時間が長くなり、流量センサの製造工程におけるスループットが低下してしまう問題点が顕在化する。
これに対し、本実施の形態1における樹脂封止工程では、上述したように、加熱された上金型UMと下金型BMを使用しているため、加熱された上金型UMと下金型BMから樹脂MRへの短時間での熱伝導が可能となり、樹脂MRの加熱・硬化時間を短縮することができる。この結果、本実施の形態1によれば、流量センサFS1の製造工程におけるスループットを向上させることができる。
<本実施の形態1における代表的な効果>
本実施の形態1における流量センサFS1によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)本実施の形態1によれば、例えば、図10に示すように、樹脂MRの上面SUR(MR)に凹部CAVが設けられている。この凹部CAVを設けることにより、半導体チップCHP1の露出した側面に衝突した気体(空気)の進行方向を半導体チップCHP1の上方方向から逸らすことができる。言い換えれば、樹脂MRの上面SUR(MR)に局所的な凹部CAVを設けることにより反時計回りの渦流を発生させ、これによって、半導体チップCHP1の露出した側面に衝突した気体(空気)の進行方向を、90度異なる半導体チップCHP1の上方方向ではなく、渦を巻く方向に変更することができる。このことから、本実施の形態1における流量センサFS1によれば、流量検出部FDUの上方における気体(空気)の流れを乱すことなく、安定的にスムーズにすることができるため、流量検出部FDUにおける流量検出精度を向上することができる。
(2)本実施の形態1によれば、例えば、図15に示すように、樹脂MRによる封止は、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1を金型で固定した状態で行なうことができるので、半導体チップCHP1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部を樹脂MRで封止することができる。このことは、本実施の形態1における流量センサFS1によれば、各流量センサFS1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部を樹脂MRで封止できることを意味し、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置のバラツキを抑制できることを意味する。この結果、本実施の形態1によれば、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置を各流量センサFS1で一致させることができるため、各流量センサFS1において気体流量を検出する性能バラツキを抑制できる効果を得ることができる。
(3)本実施の形態1によれば、例えば、図15に示すように、弾性体フィルムLAFを介して半導体チップCHP1が上金型UMで押さえ付けられている。このため、半導体チップCHP1、接着材ADH1、リードフレームLFの厚さバラツキに起因する部品の実装バラツキを弾性体フィルムLAFの厚さ変化により吸収することができる。このように本実施の形態1によれば、半導体チップCHP1に加わるクランプ力を緩和することができる。この結果、半導体チップCHP1の割れ、欠け、あるいは、ひび割れなどに代表される破損を防止することができる。
(4)本実施の形態1によれば、例えば、図10に示すように、露出している流量検出部FDU上を流れる気体(空気)の進行方向と並行する一断面方向において、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)は樹脂MRで覆われていない。このため、本実施の形態1によれば、例えば、流量検出部FDUが形成された半導体チップCHP1のサイズの小型化が推進される場合であっても、流量検出部FDUが樹脂MRで覆われてしまうことを防止できる。
<変形例1>
続いて、前記実施の形態1における流量センサFS1の変形例1について説明する。前記実施の形態1では、例えば、図10に示すように、凹部CAVに接する樹脂MRの上面SUR(MR)が概ね水平方向と並行するように形成されている例について説明した。本変形例1では、凹部CAVに接する樹脂MRの上面SUR(MR)が傾斜している例について説明する。
図17は、本変形例1における流量センサFS1の構成を示す断面図である。図17に示すように、本変形例1においても、樹脂MRの上面SUR(MR)に凹部CAVが設けられている。この凹部CAVを設けることにより、半導体チップCHP1の露出した側面に衝突した気体(空気)の進行方向を半導体チップCHP1の上方方向から逸らすことができる。言い換えれば、樹脂MRの上面SUR(MR)に局所的な凹部CAVを設けることにより反時計回りの渦流を発生させ、これによって、半導体チップCHP1の露出した側面に衝突した気体(空気)の進行方向を、渦を巻く方向に変更することができる。
さらに、本変形例1における流量センサFS1では、樹脂MRの上面SUR(MR)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも低いことを前提として、樹脂MRの上面SUR(MR)が、半導体チップCHP1の端部に近づくにつれて低くなるように傾斜部SLPが設けられている点に特徴がある。これにより、樹脂MRの傾斜した上面SUR(MR)から凹部CAVへ誘導されて半導体チップCHP1の側面に至る気体(空気)の流れに、反時計回りの渦流が発生しやすくなる。この結果、本変形例1における流量センサFS1によれば、流量検出部FDUの上方における気体(空気)の流れを乱すことなく、安定的にスムーズにすることができるため、流量検出部FDUにおける流量検出精度を向上することができる。
図18は、図17の領域RAを拡大した図である。図18に示すように、本変形例1における流量センサFS1においては、半導体チップCHP1の側面に接触する樹脂MRの上面SUR(MR)に凹部CAVが形成されており、この凹部CAVに接続する樹脂MRの上面SUR(MR)に傾斜部SLPが形成されている。具体的に、樹脂MRの上面SUR(MR)は、半導体チップCHP1の端部に近づくにつれて低くなる傾斜部SLPが形成されている。この場合、まず、図18に示すように、樹脂MRの上面SUR(MR)に形成されている傾斜部SLPに沿って気体(空気)が流れる。そして、傾斜部SLPに沿って流れてきた気体(空気)が凹部CAVと半導体チップCHP1の側面により規定される領域を通過することにより、反時計回りの渦流が発生する。このとき、凹部CAVと半導体チップCHP1の側面により規定される領域を通過する前に、予め傾斜部SLPを有する樹脂MRの上面SUR(MR)に沿って気体(空気)が流れることにより、反時計回りの渦流が発生しやすくなる。
以上のメカニズムにより、本変形例1における流量センサFS1によれば、半導体チップCHP1の露出した側面に衝突した気体(空気)の進行方向を、渦を巻く方向に変更することができる。このため、本変形例1によっても、流量検出部FDUの上方における気体(空気)の流れを乱すことなく、安定的にスムーズにすることができるため、流量検出部FDUにおける流量検出精度を向上することができる。
このように構成されている本変形例1における流量センサFS1の製造方法は、前記実施の形態1における流量センサFS1の製造方法とほぼ同様である。ただし、本変形例1においては、樹脂MRの上面SUR(MR)に傾斜部SLPを形成する必要があるため、樹脂封止工程において、上金型UMに挿入される入れ駒の形状が前記実施の形態1と相違する。以下に、本変形例1における樹脂封止工程について説明する。
図19は、本変形例1における樹脂封止工程を説明する図である。図19に示すように、本変形例1においては、上金型UMに入れ駒IPA2が挿入されている。この入れ駒IPA2は、平面視において半導体チップCHP1よりも大きく、かつ、平面視において半導体チップCHP1と重ならない領域に突起部PJNを有している。そして、この入れ駒IPA2では、突起部PJNの外側が傾斜している。このような形状を有する入れ駒IPA2を使用することにより、本変形例1では、半導体チップCHP1の側面に接触する樹脂MRの上面SUR(MR)に凹部CAVを形成することができるとともに、半導体チップCHP1の樹脂MRの上面SUR(MR)が、半導体チップCHP1の端部に近づくにつれて低くなるように傾斜部SLPを設けることができる。
<変形例2>
次に、前記実施の形態1における流量センサFS1の変形例2について説明する。前記実施の形態1では、例えば、図9(b)や図9(c)に示すように、チップ搭載部TAB1上に接着材ADH1を介して半導体チップCHP1を配置する例について説明した。本変形例2では、半導体チップCHP1とチップ搭載部TAB1(リードフレームLF)の間に板状構造体PLTを挿入する例について説明する。
図20は、本変形例2において、樹脂封止前の流量センサFS1の構造を示す平面図である。図21は、図20のA−A線で切断した断面図であり、図22は、図20のB−B線で切断した断面図である。
図20に示すように、本変形例2における流量センサFS1は、半導体チップCHP1の下層および半導体チップCHP2の下層にわたって板状構造体PLTが形成されていることがわかる。この板状構造体PLTは、例えば、矩形形状をしており、平面視において、半導体チップCHP1および半導体チップCHP2を内包するような外形寸法を有していることがわかる。
具体的に、図21や図22に示すように、チップ搭載部TAB1およびチップ搭載部TAB2を含むリードフレームLF上に板状構造体PLTが配置されている。この板状構造体PLTは、例えば、接着材ADH3を用いてリードフレームLFに接着されているが、ペースト材料を使用して接合することもできる。そして、この板状構造体PLT上には、接着材ADH1を介して半導体チップCHP1が搭載されているとともに、接着材ADH2を介して半導体チップCHP2が搭載されている。このとき、板状構造体PLTが金属材料から形成されている場合には、半導体チップCHP1とワイヤW1で接続することができるとともに、半導体チップCHP2とワイヤW2で接続することもできる。なお、リードフレームLF上には、上述した板状構造体PLTの他にコンデンサやサーミスタなどの部品を搭載することもできる。
上述した板状構造体PLTは、主に、流量センサFS1の剛性向上や外部からの衝撃に対する緩衝材として機能する。さらに、板状構造体PLTが導電材料から構成される場合には、半導体チップCHP1(パッドPD1)や半導体チップCHP2(パッドPD2)と電気的に接続し、グランド電位(基準電位)の供給に使用することもできるし、グランド電位の安定化を図ることもできる。
板状構造体PLTは、例えば、PBT樹脂、ABS樹脂、PC樹脂、ナイロン樹脂、PS樹脂、PP樹脂、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂から構成することができる。この場合、板状構造体PLTは、主に、外部の衝撃から半導体チップCHP1や半導体チップCHP2を保護する緩衝材として機能させることができる。
一方、板状構造体PLTは、鉄合金、アルミニウム合金、あるいは、銅合金などの金属材料をプレス加工することにより形成することもできるし、ガラス材料から形成することもできる。特に、板状構造体PLTを金属材料から形成する場合には、流量センサFS1の剛性を高めることができる。さらには、板状構造体PLTを半導体チップCHP1や半導体チップCHP2と電気的に接続し、板状構造体PLTをグランド電位の供給やグランド電位の安定化に利用することもできる。
このように構成されている本変形例2における流量センサFS1においても、例えば、図9(a)〜図9(c)に示す前記実施の形態1における流量センサFS1と同様の樹脂封止構造を実現することができる。つまり、本変形例2における流量センサFS1においても、樹脂の上面に凹部を設けることができる。この結果、本変形例2においても、樹脂の上面に局所的な凹部を設けることにより反時計回りの渦流を発生させ、これによって、半導体チップの露出した側面に衝突した気体(空気)の進行方向を、90度異なる半導体チップの上方方向ではなく、渦を巻く方向に変更することができる。このことから、本変形例2における流量センサFS1でも、流量検出部の上方における気体(空気)の流れを乱すことなく、安定的にスムーズにすることができるため、流量検出部における流量検出精度を向上することができる。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、例えば、図9(b)に示すように、半導体チップCHP1と半導体チップCHP2を備える2チップ構造の流量センサFS1を例に挙げて説明した。本発明の技術的思想は、これに限らず、例えば、流量検出部と制御部(制御回路)を一体的に形成した1つの半導体チップを備える1チップ構造の流量センサにも適用することができる。本実施の形態2では、本発明の技術的思想を1チップ構造の流量センサに適用する場合を例に挙げて説明する。
<実施の形態2における流量センサの実装構成>
図23は、本実施の形態2における流量センサFS2の実装構成を示す図であり、樹脂で封止した後の構成を示す図である。特に、図23(a)は、本実施の形態2における流量センサFS2の実装構成を示す平面図である。図23(b)は、図23(a)のA−A線で切断した断面図であり、図23(c)は、図23(a)のB−B線で切断した断面図である。特に、図23(b)は、露出している流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向と並行する一断面を示しており、図23(b)において、気体は、例えば、X軸を左側から右側に向って流れるものとする。
まず、図23(a)に示すように、本実施の形態2における流量センサFS2は、矩形形状をした樹脂MRを含む封止体を有し、樹脂MRからリードLD2が突き出ている。そして、樹脂MRの上面(表面)から半導体チップCHP1の一部が露出している。特に、半導体チップCHP1には、流量検出部FDUと、この流量検出部FDUを制御する制御部が形成されている。具体的に、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUは、配線WL1によって、制御部と電気的に接続されている。この制御部は、図23(a)においては、樹脂MRに覆われているため、図示されていないが、樹脂MRに形成されている凸部PRの内部に配置されている。つまり、本実施の形態2における流量センサFS2においては、流量検出部FDUと制御部が一体的に形成された半導体チップCHP1を有し、樹脂MRから流量検出部FDUが露出する構成をしていることになる。そして、樹脂MRで囲まれた半導体チップCHP1の3辺に沿って、樹脂MRに凹部CAVが形成されている。
次に、図23(b)に示すように、本実施の形態2における流量センサFS2は、チップ搭載部TAB1上に接着材ADH1を介して半導体チップCHP1が搭載されていることがわかる。このとき、半導体チップCHP1の上面(表面、主面)には、流量検出部FDUが形成されており、この流量検出部FDUと相対する半導体チップCHP1の裏面にダイヤフラムDF(薄板部)が形成されている。一方、ダイヤフラムDFの下方に存在するチップ搭載部TAB1の底部には開口部OP1が形成されている。
なお、半導体チップCHP1とチップ搭載部TAB1とを接着している接着材ADH1は、例えば、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を使用することができる。
ここで、図23(b)に示すように、本実施の形態2における流量センサFS2では、半導体チップCHP1の側面の一部およびチップ搭載部TAB1の一部を覆うように樹脂MRが形成されている。
このとき、本実施の形態2では、半導体チップCHP1の裏面に形成されたダイヤフラムDFの下方にあるチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1を形成し、さらに、チップ搭載部TAB1の裏面を覆う樹脂MRに開口部OP2を設けている。
これにより、本実施の形態2による流量センサFS2によれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、チップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1および樹脂MRに形成された開口部OP2を介して流量センサFS2の外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS2の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
さらに、本実施の形態2でも、図23(b)に示すように、樹脂MRの上面SUR(MR)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも低くなるように形成されており、樹脂MRの上面SUR(MR)に凹部CAVが設けられている。したがって、本実施の形態2においても、この凹部CAVを樹脂MRの上面SUR(MR)に設けることにより、半導体チップCHP1の露出した側面に衝突した気体(空気)の進行方向を半導体チップCHP1の上方方向から逸らすことができるのである。言い換えれば、樹脂MRの上面SUR(MR)に局所的な凹部CAVを設けることにより反時計回りの渦流を発生させ、これによって、半導体チップCHP1の露出した側面に衝突した気体(空気)の進行方向を、90度異なる半導体チップCHP1の上方方向ではなく、渦を巻く方向に変更することができる。
特に、本実施の形態2では、前記変形例1と同様に、半導体チップCHP1の側面に接触する樹脂MRの上面SUR(MR)に凹部CAVが形成されており、この凹部CAVに接続する樹脂MRの上面SUR(MR)に傾斜部SLPが形成されている。具体的に、樹脂MRの上面SUR(MR)は、半導体チップCHP1の端部に近づくにつれて低くなる傾斜部SLPが形成されている。したがって、本実施の形態2においても、予め傾斜部SLPを有する樹脂MRの上面SUR(MR)に沿って気体(空気)が流れることにより、反時計回りの渦流が発生しやすくなる効果が得られる。
以上のことから、本実施の形態2における流量センサFS2においても、流量検出部FDUの上方における気体(空気)の流れを乱すことなく、安定的にスムーズにすることができるため、流量検出部FDUにおける流量検出精度を向上することができる。
なお、図23(c)に示すように、チップ搭載部TAB1上に接着材ADH1を介して半導体チップCHP1が搭載されているが、この半導体チップCHP1の上面に流量検出部FDUおよび制御部CUが形成されていることがわかる。つまり、本実施の形態2では、半導体チップCHP1に流量検出部FDUと制御部CUが一体的に形成されていることがわかる。さらに、半導体チップCHP1の上面にパッドPDが形成されており、このパッドPDとリードLD2がワイヤWによって電気的に接続されている。そして、半導体チップCHP1の上面に形成されている制御部CUおよびパッドPDと、ワイヤWは、樹脂MRで封止されている。特に、ワイヤWを確実に樹脂MRで封止するために、制御部CUとワイヤWを封止する領域に樹脂MRからなる凸部PRが形成されていることがわかる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
上述した前記実施の形態で説明した流量センサは、気体の流量を測定するデバイスであるが、具体的な気体の種類は限定されるものではなく、空気、LPガス、炭酸ガス(CO2ガス)、フロンガスなどの任意の気体の流量を測定するデバイスに幅広く適用することができる。
また、上述した前記実施の形態では、気体の流量を測定する流量センサについて説明したが、本発明の技術的思想はこれに限定されるものではなく、湿度センサなどの半導体素子の一部を露出させた状態で樹脂封止する半導体装置にも幅広く適用することができる。