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JP6130197B2 - ワンウェイクラッチおよび無段変速機 - Google Patents
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JP6130197B2 - ワンウェイクラッチおよび無段変速機 - Google Patents

ワンウェイクラッチおよび無段変速機 Download PDF

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Description

本発明は、クランク式無段変速機やそれに用いられるワンウェイクラッチに関する。
例えば、特許文献1には、エンジンに接続された入力軸の回転をコネクティングロッドの往復運動に変換し、コネクティングロッドの往復運動をワンウェイクラッチによって出力軸の回転運動に変換するクランク式無段変速機が記載されている。
特開2012−1048号公報
クランク式無段変速機に用いられるワンウェイクラッチは、高周波でローラをダンピング状態から次回の係合に備える係合待機状態へ復帰させる応答性が必要であり、従来は、エンゲージスプリングによりローラのエネルギーを吸収し、アキシャルスプリングによりローラ端面に摩擦を生じさせ、この摩擦力により係合状態から非係合状態でのローラのエネルギーを減衰し、高周波応答性に対処している。
そして、図示のような高周波応答性を実現するためには、係合後にローラをダンピングさせ、次の係合状態までに係合待機状態に戻す必要があり、高周波応答性を安定化させるためには、エネルギーの吸収および減衰をより素早く行う必要がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、ダンピング時(非係合時)のローラのエネルギーを効果的に減衰し、高周波応答性を安定化することができるワンウェイクラッチおよび無段変速機を実現することである。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る第1の形態は、アウター部材(22)と、前記アウター部材(22)の内周に同軸に配置されたインナー部材(23)と、前記アウター部材(22)の内周面(22a)および前記インナー部材(23)の外周面(23a)の間に配置された複数のローラ(25)と、前記複数のローラ(25)にそれぞれ当接して円周方向に付勢する複数の弾性部材(24)とを備え、前記アウター部材(22)と前記インナー部材(23)の所定方向への相対回転により、前記ローラ(25)を前記アウター部材(22)の内周面(22a)と前記インナー部材(23)の外周面(23a)の間に係合させて駆動力を伝達するワンウェイクラッチ(21)であって、前記インナー部材(23)の外周面(23a)は、前記ローラ(25)が前記アウター部材(22)の内周面(22a)と前記インナー部材(23)の外周面(23a)の間に係合した状態から解放されたときに当該ローラを前記インナー部材(23)の外周面に衝突させて当該ローラの移動を規制するための楔状の規制部(23b)を備え、前記楔状の規制部(23b)は、前記インナー部材(23)の外周面(23a)の他の部位よりも反発係数が小さく、前記インナー部材(23)の外周面(23a)に対して厚みを有する複数の部材(23c)で構成され、前記複数の部材(23c)は、前記ローラ(25)の軸方向において前記ローラ(25)の外周面に対して少なくとも一部でオーバラップし、前記複数の部材(23c)が前記ローラ(25)の外周面と当接する箇所は、前記ローラの軸方向において前記ローラの軸方向の中心(25a)を通り、前記ローラの軸方向に対して直交する中心線(25b)から同じ距離(R)の位置に設けられている
また、本発明に係る第2の形態は、前記規制部の複数の部材(23c)は、潤滑油の流出を遮断する手段であって、所定の厚さの低反発材料がコーティングされたコーティング材からなる。
また、本発明に係る第の形態は、上記第1またはの形態のワンウェイクラッチを備え、入力軸(11)の回転を変速して出力軸(12)に伝達する無段変速機であって、前記入力軸(11)の軸線(L1)からの偏心量が可変であって当該入力軸(11)と共に回転する入力側支点(18)と、前記ワンウェイクラッチ(21)の前記アウター部材(22)に設けた出力側支点(19c)とをコネクティングロッド(19)で接続し、前記ワンウェイクラッチ(21)の前記インナー部材(23)を前記出力軸(12)に接続した。
本発明によれば、ダンピング時(非係合時)のローラのエネルギーを効果的に減衰し、高周波応答性を安定化することができるワンウェイクラッチおよび無段変速機を実現できる。
詳しくは、本発明に係る第1の形態によれば、規制部(23b)の反発係数を小さくすることで、ローラ(25)が規制部(23b)に衝突するときのエネルギーの吸収効果および減衰効果をより高めることができる。
また、規制部(23b)に衝突する際にローラ(25)が傾くことなく正しい姿勢を保持することができ、片当たりや局部応力の発生を低減しつつ、素早く係合待機状態に復帰させることができる。
また、本発明に係る第2の形態によれば、規制部(23b)の複数の部材(23c)を潤滑油の流出を遮断する手段として用いることにより、ローラ(25)が規制部(23b)に衝突する際にスクイズ効果により発生する圧力を大きくし、ローラ(25)のエネルギーをより効果的に吸収できる。また、特に低温時には潤滑油の粘性が高くなるのでよりエネルギーの吸収効果や減衰効果が高くなる。
また、本発明に係る第の形態によれば、本発明のワンウェイクラッチをクランク式無段変速機に適用することによって、高周波でローラをダンピング状態から係合待機状態へ復帰させる応答性を実現することができる。
本実施形態の無段変速機が搭載される自動車のパワートレインの構成図。 本実施形態の無段変速機の構造を示す図。 本実施形態の無段変速機のTOP状態の動作を示す図。 本実施形態の無段変速機のLOW状態の動作を示す図。 本実施形態の無段変速機に搭載されるワンウェイクラッチの分解斜視図。 本実施形態のワンウェイクラッチの状態変化を示す図。 本実施形態のワンウェイクラッチにおいてローラが係合状態から解放されて再び係合状態となるまでの1サイクルの状態変化を示す図。 本実施形態のワンウェイクラッチにおけるインナー部材の外周面(ストッパ部)の構成を示す模式図。 本実施形態のワンウェイクラッチにおけるインナー部材の外周面(ストッパ部)の構成および機能を説明する模式図。 本実施形態のワンウェイクラッチにおけるインナー部材の外周面(ストッパ部)の機能を説明する模式図。
以下に、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。また、以下では、本発明のワンウェイクラッチやクランク式無段変速機を、自動車のパワートレインに適用した例について説明するが、自動車以外の他の用途にも適用できることは言うまでもない。
<パワートレイン構成>まず、図1を参照して、本実施形態の無段変速機が搭載される自動車のパワートレインの構成について説明する。
図1に示すように、エンジン1の駆動力が出力軸2からクランク式無段変速機(以下、無段変速機と略称する)3へ入力され、無段変速機3からデファレンシャルギヤ4を介して左右の車軸5に伝達され、駆動輪6を駆動する。
<無段変速機の構造>次に、図2ないし図6を参照して、本実施形態の無段変速機の構造について説明する。
図2に示すように、本実施形態の無段変速機3は同一構造を有する複数個(実施の形態では4個)の動力伝達機構Uをエンジン1の出力軸2と同軸の入力軸11に対して軸方向に配列して構成されている。各動力伝達機構Uは平行に配置された共通の入力軸11および共通の出力軸12を備えており、入力軸11の回転が減速または増速されて出力軸12に伝達される。
以下では、図3および図4を参照して、複数個の動力伝達機構Uのうち1つの構造について説明する。
エンジン1に接続されて回転する入力軸11は、電動モータのような変速アクチュエータ14の中空の回転軸14aの内部を相対回転自在に貫通する。変速アクチュエータ14のロータ14bは回転軸14aに固定されており、ステータ14cはケーシングに固定される。変速アクチュエータ14の回転軸14aは、入力軸11と同速度で回転可能であり、かつ入力軸11に対して異なる速度で相対回転可能である。
変速アクチュエータ14の回転軸14aを貫通した入力軸11には第1ピニオン15が固定されており、この第1ピニオン15を跨ぐように変速アクチュエータ14の回転軸14aにクランク状のキャリヤ16が接続される。第1ピニオン15と同径の2個の第2ピニオン17が、第1ピニオン15と協働して正三角形を構成する位置にそれぞれピニオンピン16aを介して支持されており、これら第1ピニオン15および第2ピニオン17に、円板形の偏心ディスク18の内部に偏心して形成されたリングギヤ18aが噛合する。偏心ディスク18の外周面に、コネクティングロッド19のロッド部19aの一端に設けたリング部19bがボールベアリング20を介して相対回転自在に嵌合する。
出力軸12の外周に設けられたワンウェイクラッチ21は、コネクティングロッド19のロッド部19aに連結ピン19cを介して枢支されたリング状のアウター部材22と、アウター部材22の内部に配置されて出力軸12に固定されたインナー部材23と、アウター部材22とインナー部材23との間に形成された楔状の空間に配置されてエンゲージスプリング24で付勢されたローラ25とを備える。なお、ワンウェイクラッチ21の具体的な構造については後述する。
動力伝達機構Uはクランク状のキャリヤ16を共有しているが、キャリヤ16に第2ピニオン17を介して支持される偏心ディスク18の位相は各々の動力伝達機構Uで90°ずつ異なっている。例えば、図2において、左端の動力伝達機構Uの偏心ディスク18は入力軸11に対して図中上方に変位し、左から3番目の動力伝達機構Uの偏心ディスク18は入力軸11に対して図中下方に変位し、左から2番目および4番目の動力伝達機構Uの偏心ディスク18は上下方向中間に位置している。
<ワンウェイクラッチの構造>次に、図5を参照して、ワンウェイクラッチの構造について説明する。
ワンウェイクラッチ21は、環状のアウター部材22の円形の内周面22aと、筒状のインナー部材23の波状に屈曲する外周面23aとの間に12個のローラ25を配置したものであり、アウター部材22の外周に設けられた突出する連結部22bに連結ピン19cおよびクリップ40を介してコネクティングロッド19が接続され、インナー部材23の内周部には出力軸12が相対回転不能に結合される。
ワンウェイクラッチ21は、ローラ25を付勢するエンゲージスプリング24を支持するためのケージ31を備える。ケージ31は円環状の板材からなる一対の環状部材32と、周方向に等間隔で配置されて一対の環状部材32を相互に接続する12本のスプリング支持ロッドとで構成され、一対の環状部材32が12個のローラ25の軸方向両側に配置され、12本のスプリング支持ロッド33が12個のローラ25間に配置される。環状部材32の内周部は波状に形成されており、それがインナー部材23の波状の外周面23aに凹凸係合することで、ケージ31はインナー部材23に相対回転不能に結合される。 エンゲージスプリング24は1枚の弾性板材を断面S字状に屈曲させたもので、その一端側がケージ31のスプリング支持ロッド33に溶接等で固定される。
アウター部材22およびインナー部材23の間には、ローラ25の軸方向両側に位置する一対のボールベアリング34が配置されており、このボールベアリング34によってアウター部材22およびインナー部材23が同芯状態を維持しながら相対回転可能に接続される。ボールベアリング34は外輪35および内輪36間に複数のボール37を配置したものであり、外輪35はアウター部材22の軸方向端部に一体に形成され、内輪36は別部材で構成されてインナー部材23の外周に固定される。なお、ボールベアリング34には複列ものと単列のものとがあり、4個のワンウェイクラッチ21の軸方向両端に位置する2個のボールベアリング34は単列であり、それ以外の3個ボールベアリング34は隣接する2個のワンウェイクラッチ21に共有されるために複列となる。
一方のボールベアリング34と、ケージ31の一方の環状部材32との間にアキシャルスプリング38が配置されており、アキシャルスプリング38の内周から突出する複数の押圧部38aが、環状部材32の内周の凹部32a間を通過してローラ25の端面に当接し、その弾性により押圧する。また、アウター部材22の内周面に形成した環状溝22cに環状のリングスプリング39が配置されており、このリングスプリング39はローラ25の周面に当接してインナー部材23の外周面23aに向けて付勢する。
<動作説明>次に、図2ないし図4を参照して、本実施形態の無段変速機の動力伝達作用について説明する。
先ず、無段変速機3の1つの動力伝達機構Uの作用を説明する。変速アクチュエータ14の回転軸14aを入力軸11に対して相対回転させると、入力軸11の軸線L1まわりにキャリヤ16が回転する。このとき、キャリヤ16の中心O、つまり第1ピニオン15および2個の第2ピニオン17がなす正三角形の中心は入力軸11の軸線L1まわりに回転する。
図3は、キャリヤ16の中心Oが第1ピニオン15(つまり入力軸11)に対して出力軸12と反対側にある状態を示しており、このとき入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量が最大になって無段変速機3のレシオはTOP状態になる。図4は、キャリヤ16の中心Oが第1ピニオン15(つまり入力軸11)に対して出力軸12と同じ側にある状態を示しており、このとき入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量が最小になって無段変速機3のレシオはLOW状態になる。
図3に示すTOP状態で、エンジン1で入力軸11を回転させるとともに、入力軸11と同速度で変速アクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力軸11、回転軸14a、キャリヤ16、第1ピニオン15、2個の第2ピニオン17および偏心ディスク18が一体になった状態で、入力軸11を中心に反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。図3(A)から図3(B)を経て図3(C)の状態へと回転する間に、偏心ディスク18の外周にリング部19bをボールベアリング20を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド19は、その小径環状のロッド部19aに連結ピン19cで枢支されたアウター部材22を反時計方向(矢印B1参照)に回転させる。図3(A)および図3(C)は、アウター部材22の矢印B1方向の回転の両端を示している。
このようにしてアウター部材22が矢印B1方向に回転すると、ワンウェイクラッチ21のアウター部材22およびインナー部材23間の楔状の空間にローラ25が噛み込み、アウター部材22の回転がインナー部材23を介して出力軸12に伝達されるため、出力軸12は反時計方向(矢印C参照)に回転する。
入力軸11および第1ピニオン15が更に回転すると、第1ピニオン15および第2ピニオン17にリングギヤ18aを噛合させた偏心ディスク18が反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。図3(C)から図3(D)を経て図3(A)の状態へと回転する間に、偏心ディスク18の外周にリング部19bをボールベアリング20を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド19は、そのロッド部19aに連結ピン19cで枢支されたアウター部材22を時計方向(矢印B2参照)に回転させる。図3(C)および図3(A)は、アウター部材22の矢印B2方向の回転の両端を示している。
このようにしてアウター部材22が矢印B2方向に回転すると、アウター部材22とインナー部材23との間の楔状の空間からローラ25がエンゲージスプリング24を圧縮しながら押し出されることで、アウター部材22がインナー部材23に対してスリップして出力軸12は回転しない。
以上のように、アウター部材22が往復回転したとき、アウター部材22の回転方向が反時計方向(矢印B1参照)のときだけ出力軸12が反時計方向(矢印C参照)に回転するため、出力軸12は間欠回転することになる。
図4は、LOW状態で無段変速機3を運転するときの作用を示すものである。このとき、入力軸11の位置は偏心ディスク18の中心に一致しているので、入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量はゼロになる(この偏心量がゼロになる状態をギヤードニュートラル(GN)状態という)。このGN状態でエンジン1で入力軸11を回転させるとともに、入力軸11と同速度で変速アクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力軸11、回転軸14a、キャリヤ16、第1ピニオン15、2個の第2ピニオン17および偏心ディスク18が一体になった状態で、入力軸11を中心に反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。しかしながら、偏心ディスク18の偏心量がゼロであるため、コネクティングロッド19の往復運動のストロークもゼロになり、出力軸12は回転しない。
従って、変速アクチュエータ14を駆動してキャリヤ16の位置を図3のTOP状態と図4のLOW状態との間に設定すれば、ゼロレシオおよび所定レシオ間の任意のレシオでの運転が可能になる。
無段変速機3は、並置された4個の動力伝達機構Uの偏心ディスク18の位相が相互に90°ずつずれているため、4個の動力伝達機構Uが交互に駆動力を伝達することで、つまり4個のワンウェイクラッチ21のいずれかが必ず係合状態にあることで、出力軸12を連続回転させることができる。
<ワンウェイクラッチの作用>次に、図6を参照して、ワンウェイクラッチ21の状態変化について説明する。
図6(A)はワンウェイクラッチ21のDP(Datum Point)状態、つまりワンウェイクラッチ21が係合する直前の状態を示すものである。DP状態ではエンゲージスプリング24の付勢部24aがローラ25の外周面に当接し、ローラ25をアウター部材22の内周面22aおよびインナー部材23の外周面23a間に噛み込む方向に付勢する。このとき、ワンウェイクラッチ21は未だ係合しておらず、ローラ25はアウター部材22の内周面22aおよびインナー部材23の外周面23aに噛み込まずに接触している。
このDP状態からインナー部材23に対してアウター部材22が矢印A方向に相対回転すると、ローラ25はエンゲージスプリング24から受ける付勢力と、アウター部材22およびインナー部材23から受ける摩擦力とにより、矢印A方向に移動してアウター部材22の内周面22aおよびインナー部材23の外周面23a間の楔状の空間に噛み込むことで、図6(B)に示すようにワンウェイクラッチ21が係合する。
図6(B)に示すワンウェイクラッチ21の係合状態から、インナー部材23に対してアウター部材22が矢印B方向に相対回転すると、アウター部材22およびインナー部材23から受ける摩擦力により、ローラ25はエンゲージスプリング24から受ける付勢力に抗して矢印B方向に移動し、アウター部材22の内周面22aおよびインナー部材23の外周面23a間の楔状の空間から離脱することで、図6(C)に示すようにワンウェイクラッチ21が係合解除する。この状態をダンピング状態と呼び、ローラ25はエンゲージスプリング24の付勢部24aを圧縮しながら矢印B方向に回転し、ローラ25はアウター部材22の内周面22aあるいはインナー部材23の外周面23aから離反する。その後、ローラ25はエンゲージスプリング24により付勢されて図6(A)に示すDP状態に速やかに復帰する。
なお、係合状態からダンピング状態に移行する過程でローラ25がアウター部材22の内周面22aおよびインナー部材23の外周面23a間の楔状の空間から押し出されるとき、アキシャルスプリング38で軸方向に付勢されたローラ25の端面がケージ31の環状部材32に押し付けられるため、その摩擦力でローラ25の挙動を安定させることができる。またローラ25がアウター部材22の内周面22aおよびインナー部材23の外周面23a間の楔状の空間から押し出されるとき、ローラ25は遠心力で径方向外側に位置するアウター部材22の内周面に押し付けられるが、それをリングスプリング39の径方向内向きの弾性力で抑制することができる。
<ローラのエネルギー吸収・減衰構造>次に、本実施形態の無段変速機におけるダンピング状態におけるローラのエネルギーを吸収し減衰するための構造について説明する。
図7は、本実施形態のワンウェイクラッチにおいてローラが係合状態から解放されて再び係合状態となるまでの1サイクルの状態変化を示している。
ローラ25が係合状態から解放されたときに発生するエネルギーは、エンゲージスプリング24により吸収され、アキシャルスプリング38によりローラ端面を押圧して生じる摩擦力により減衰される。
ところが、本実施形態のようにクランク式無段変速機に用いるワンウェイクラッチは、図7に示すように、ローラ25をダンピング状態から係合待機状態(DP状態)へ素早く復帰させる高周波(100Hz程度)の応答性が必要である。すなわち、本実施形態のワンウェイクラッチで高周波応答性を実現するためには、係合状態から解放された後に素早くダンピング状態を終了させて、次回の係合に備えるために係合待機状態(DP状態)に復帰させる必要があり、この高周波応答性を安定化させるためには、ローラ25のエネルギーの吸収および減衰をより素早く行う必要がある。
そこで、本実施形態では、図8に示すように、係合状態から解放されたローラ25の移動を規制するために、ローラ25をインナー部材23の外周面23aに衝突させるために形成された楔状のストッパ部23bの反発係数eが他の部位よりも小さくなるように構成している。なお、反発係数eは、ローラ25がストッパ部23bに衝突したときの速度をV0、衝突後に反発したときの速度を−Vとすると、V=−eV0で定義される。
具体的には、図9(A)に示すように、ストッパ部23bにおけるローラ25が衝突する部位に所定の厚さの低反発性材料23cをコーティングし、反発係数を小さくする。このように、コーティング材23cによりストッパ部23bの反発係数を小さくすることで、ローラ25がストッパ部23bに衝突するときのエネルギーの吸収効果および減衰効果をより高めることができる。
さらに、図10(A)に示すように、ローラ25がストッパ部23bに衝突して潤滑油が排出される際に、その潤滑油の流出抵抗(スクイズ効果)により圧力P1が発生するが、このスクイズ効果により発生する圧力が高いほど、ローラ25のエネルギーをより多く吸収することができる。そして、図10(B)に示すように、ストッパ部23bに潤滑油の流出を遮断する手段を設けることでスクイズ効果による圧力P2(>P1)はさらに高くなる。また、低温時には潤滑油の粘性が高くなるのでよりエネルギーの吸収効果や減衰効果が高まる。なお、流出抵抗は周知の三次元レイノルズ式で表すことができる。
そこで、本実施形態では、図9(B)に示すように、コーティング材23cを潤滑油の流出を遮断する手段として用いることにより、ローラ25がストッパ部23bに衝突する際にスクイズ効果により発生する圧力Pを大きくし、ローラ25のエネルギーを吸収する。具体的には、コーティング材23cをストッパ部23bにおけるローラ25の軸方向の両端部に対応する2箇所に離間して設けることで、ローラ25がストッパ部23bに衝突する際の潤滑油の流出抵抗が高くなり、スクイズ効果による圧力を大きくすることができる。
さらに、コーティング材23cをローラ25の軸方向の中心25bから同じ距離Rの位置に設け、コーティング材23cの隙間部分がローラ25の外周面に対して少なくとも一部でオーバラップするように設けたことで、ストッパ部23bに衝突する際にローラ25が傾くことなく正しい姿勢を保持することができ、片当たりや局部応力の発生を低減しつつ、素早く係合待機状態(DP状態)に復帰させることができる。
なお、コーティング材料としては、例えば、耐油性の強いNBR(ニトリルゴム)やACM(アクリルゴム)を用いることができる。
また、コーティング材23cの接合方法については、(1)金属メッキにより直接接合する方法と、(2)接着剤を塗布して接合する方法があるが、コスト面などを考慮すると、熱硬化樹脂系の接着剤を塗布して接合する方法が適している。
なお、コーティング材23cをローラ25の軸方向の両端部の2箇所だけでなく、軸方向の中心位置を含めて3箇所に設けても良い。
以上のように、本実施形態のワンウェイクラッチをクランク式無段変速機に適用することによって、高周波でローラをダンピング状態から係合待機状態(DP状態)へ復帰させる応答性を実現することができる。
なお、本実施形態のワンウェイクラッチ21は無段変速機3以外の任意の用途に適用することができる。
また、本実施形態の無段変速機3は4組の動力伝達機構Uを備えているが、それ以上またはそれ以下の数であってもよい。
また、本実施形態ではワンウェイクラッチ21のインナー部材23が出力軸12と別部材で構成されているが、インナー部材23をそのまま出力軸12として用いても良い。
また、本実施形態ではケージ31をインナー部材23に固定しているが、アウター部材22に固定しても良い。
また、ワンウェイクラッチ21のローラ25やエンゲージスプリング24の本数は上述した実施形態に限定されるものではない。
11 入力軸
12 出力軸
18 偏心ディスク(入力側支点)
19 コネクティングロッド
19c 連結ピン(出力側支点)
21 ワンウェイクラッチ
22 アウター部材
22a 内周面
23 インナー部材
23a 外周面
23b ストッパ部
23c コーティング材
25 ローラ

Claims (3)

  1. アウター部材(22)と、前記アウター部材(22)の内周に同軸に配置されたインナー部材(23)と、前記アウター部材(22)の内周面(22a)および前記インナー部材(23)の外周面(23a)の間に配置された複数のローラ(25)と、前記複数のローラ(25)にそれぞれ当接して円周方向に付勢する複数の弾性部材(24)とを備え、前記アウター部材(22)と前記インナー部材(23)の所定方向への相対回転により、前記ローラ(25)を前記アウター部材(22)の内周面(22a)と前記インナー部材(23)の外周面(23a)の間に係合させて駆動力を伝達するワンウェイクラッチ(21)であって、
    前記インナー部材(23)の外周面(23a)は、前記ローラ(25)が前記アウター部材(22)の内周面(22a)と前記インナー部材(23)の外周面(23a)の間に係合した状態から解放されたときに当該ローラを前記インナー部材(23)の外周面に衝突させて当該ローラの移動を規制するための楔状の規制部(23b)を備え、
    前記楔状の規制部(23b)は、前記インナー部材(23)の外周面(23a)の他の部位よりも反発係数が小さく、前記インナー部材(23)の外周面(23a)に対して厚みを有する複数の部材(23c)で構成され、
    前記複数の部材(23c)は、前記ローラ(25)の軸方向において前記ローラ(25)の外周面に対して少なくとも一部でオーバラップし、
    前記複数の部材(23c)が前記ローラ(25)の外周面と当接する箇所は、前記ローラの軸方向において前記ローラの軸方向の中心(25a)を通り、前記ローラの軸方向に対して直交する中心線(25b)から同じ距離(R)の位置に設けられていることを特徴とするワンウェイクラッチ。
  2. 前記規制部の複数の部材(23c)は、潤滑油の流出を遮断する手段であって、所定の厚さの低反発材料がコーティングされたコーティング材からなることを特徴とする請求項1に記載のワンウェイクラッチ。
  3. 請求項1または2に記載のワンウェイクラッチ(21)を備え、入力軸(11)の回転を変速して出力軸(12)に伝達する無段変速機であって、
    前記入力軸(11)の軸線(L1)からの偏心量が可変であって当該入力軸(11)と共に回転する入力側支点(18)と、前記ワンウェイクラッチ(21)の前記アウター部材(22)に設けた出力側支点(19c)とをコネクティングロッド(19)で接続し、前記ワンウェイクラッチ(21)の前記インナー部材(23)を前記出力軸(12)に接続したことを特徴とする無段変速機。
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