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JP6131814B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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JP6131814B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成に際して記録媒体であるシートを加熱する定着装置に関する。
電子写真法によって用紙(印刷用のシート)に画像を印刷する画像形成装置は、トナー像が転写された用紙を加熱する定着装置を備える。加熱によって色材であるトナーが溶融して用紙に定着する。ローラー式の定着装置は、加熱ローラー(定着ローラーとも呼ばれる)と、加熱ローラーに当接してニップ部を形成する加圧ローラーとを備える。用紙はニップ部に搬送され、ニップ部を加圧されながら通過する間に加熱される。
一般に画像形成装置は、複数のサイズの用紙を使用することが可能に構成されている。例えば、用紙の搬送路の幅方向(搬送方向と直交する方向)の寸法がA3サイズの短辺寸法(297mm)に対応する画像形成装置は、A3サイズおよびA3サイズよりも小さいサイズの用紙の搬送が可能である。
定着装置は、基本的にニップ部の温度が搬送路の幅方向の全長にわたって均一になるように温度制御される。この場合、幅方向の寸法が搬送路の幅よりも小さいサイズの用紙が連続的に使用されるとき、ニップ部のうちの用紙が通過しない非通紙領域が過熱状態になり易い。非通紙領域では、用紙が通過する通紙領域とは違って、用紙への熱拡散が起こらないからである。
定着装置における非通紙領域の過熱を抑える手法が提案されている。特許文献1では、用紙を加熱する手段に送風口から送風する冷却ファンを備え、送風口の開口幅を用紙の幅に応じて規制する画像形成装置が開示されている。特許文献2には、定着ベルトとプレート・ヒートパイプと当接させるか離すかを用紙サイズに応じて切り替えることによって、定着ベルトの幅方向の両端部の温度上昇を抑えるようにした画像形成装置が記載されている。
特開2008−014986号公報 特開2006−003804号公報
定着装置における非通紙領域の過熱を防止する上記先行技術では、冷却ファンやヒートパイプの位置を切り替える機構といった可動手段を組み付けるので、定着装置が大型化になる。必然的に画像形成装置の内部に定着装置を組み付けるための大きな空間が必要になり、画像形成装置の小型化が困難になる。また、過熱の有無を検知して冷却ファンのオンオフ制御をしたり、ヒートパイプの位置を切り替える制御をしたりしなければならない。省エネルギー化の観点でも特に冷却ファンの使用は不利である。使用する用紙のサイズに応じて一律にヒートパイプの位置を切り替えると、冷却が必要ではない温度状態の定着ベルトにヒートパイプを当接させて定着ベルトを無駄に冷却してしまう不都合が起こり得る。
本発明は、このような事情に鑑み、外的制御の必要な可動手段を用いることなく定着装置における過度の昇温を防止することを目的としている。
上記目的を達成する定着装置は、シート上に画像を形成する際に当該シートを加熱する定着装置であって、前記シートが搬送される搬送路の幅方向に沿って延びる軸の周りに回転しかつ前記シートと当接する回転体と、前記回転体を加熱する加熱手段と、前記回転体の近傍に位置する放熱体と、前記回転体と前記放熱体との間に配置され、当該回転体または当該放熱体に支持され、かつ昇温によって相変化したときに当該回転体と当該放熱体との間の空隙が無くなるように膨張する相変化部材と、を備える。
本発明によれば、相変化部材の体積の増減によって回転体と放熱体との間の熱伝導量が切り替わるので、外的制御の必要な可動手段を用いることなく定着装置における過度の昇温を防止することができる。
本発明の実施形態に係る定着装置を備える画像形成装置の構成の例を示す図である。 定着装置の内部構造および制御手段の構成を示す図である。 定着装置の放熱構造の第1例を模式的に示す図である。 定着装置の要部の構成を示す図である。 定着装置の放熱構造の第2例を模式的に示す図である。 相変化部材と対向する端面の表面加工の例を示す図である。 定着装置の放熱構造の第3例を模式的に示す図である。 定着装置の放熱構造の第4例を模式的に示す図である。 相変化部材の構成の変形例を示す図である。 相変化による体積変化の方向を規制するガイド部材の例を示す図である。 定着装置の放熱部の構造の第5例を模式的に示す図である。 熱電変換素子における温度変化と発電量との関係を示すグラフである。 熱電変換素子に関わる熱抵抗と温度変化との関係を示す図である。
図1に例示される画像形成装置1は、電子写真式のカラープリンターである。画像形成装置1は4個のイメージングステーション11,12,13,14を有しており、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナー像を並行して形成することができる。イメージングステーション11,12,13,14のそれぞれは、筒状の感光体、帯電チャージャー、現像器、クリーナーおよび露光用の光源といったトナー像の形成に必要なデバイスを有している。
カラー印刷において、イメージングステーション11,12,13,14によって形成された計四つのトナー像は中間転写ベルト16に順に一次転写され、中間転写ベルト16上で重ねられる。モノクロ印刷ではイメージングステーション14によって形成されたブラックのトナー像が中間転写ベルト16に一次転写される。そして、中間転写ベルト16上のトナー像は、下部のスタッカー10から図中に破線で示される搬送路15に沿って搬送される用紙Pに二次転写される。二次転写の後、用紙Pは定着装置20の内部を通って上部の排紙トレイ18へ送り出される。定着装置20を通過するとき、加熱および加圧によってトナー像が用紙Pに定着する。
図2の例示において、定着装置20は誘導加熱(IH:Induction Heating)型であり、筒状の可撓性の定着ベルト23を加熱する磁束発生器24を備えている。定着ベルト23は、定着ローラー21とガイドプレート231とに支持されながら定着ローラー21と共に回転する。磁束発生器24は、定着ベルト23の周面に沿うボビン242およびボビン242に支持された励磁コイル243を有する。励磁コイル243には、AC入力部41およびIH(Induction Heating:IH)電源42によって励磁のための電力が供給される。
定着装置20において、定着ベルト23の内側に配置された定着ローラー21と外側に配置された加圧ローラー22とが、定着ベルト23を挟んで定着用のニップ部を形成する。定着ローラー21および加圧ローラー22の回転軸の軸方向は用紙Pの搬送方向M1と直交する方向である。例えば加圧ローラー22が図示しない駆動機構によって用紙Pを送り出す方向(図では時計周り)に所定の周速度となるように回転駆動されると、加圧ローラー22との摩擦力によって定着ベルト23および定着ローラー21が加圧ローラー22の回転に従動して回転する。
定着ローラー21は、非磁性材料からなる芯金25とそれを取り巻く円筒状の弾性体層26とを有する。芯金25は、アルミニウム、鉄、ステンレスまたは他の金属からなる外径が20mm程度の円柱体である。芯金25は弾性体層26よりも長く、軸方向において弾性体層26の両側に突出する。弾性体層26の材質は、シリコーンゴムやフッ素ゴムといった耐熱性および断熱性に優れる発泡弾性体である。弾性体層26の厚さを約8mmとした場合、定着ローラー21の外径は約36mmとなる。
加圧ローラー22は、円柱状の芯金27、弾性体層28および離型層29を有する。芯金25の材質は例えばアルミニウムである。弾性体層28は例えばシリコンスポンジゴムからなる。離型層29は、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)コートといった材料からなる。加圧ローラー22の外径は例えば約35mmである。
定着装置20は、画像形成装置1に備わるメインコントローラー30によって制御される。メインコントローラー30は、画像形成装置1の処理動作を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)31、CPU31による制御のためのプログラムが格納されるROM(Read Only Memory)32、およびプログラム実行のワークエリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)32を有する。CPU31は操作入力部35と接続されており、ユーザーによって入力された指示や設定情報を取得する。
定着装置20の制御において、CPU31は、ニップ部における定着温度を未定着トナー像の定着に適した温度に維持する。詳しくは、CPU31は、定着ローラー21の周面の近傍に配置されるサーミスター43による検出温度を、用紙の種類に応じて設定される目標温度に近づけるようにIH電源42を制御する。IH電源42は、CPU31からの命令に従って、磁束発生器24の励磁コイル243に供給する電力を増減する。定着ベルト23が加熱されると、定着ベルト23からの熱伝導によって定着ローラー21および加圧ローラー22が昇温する。言い換えると、定着ローラー21および加圧ローラー22は磁束発生器24によって間接的に加熱される。
なお、定着装置20の発熱方式は、IH方式に限らず、ハロゲンランプやセラミックヒーターを発熱源とする方式であってもよい。
図3に示されるように定着装置20は、相変化部材51,52,53,54および放熱体61,62を有する。相変化部材51,52は、定着ローラー21の芯金25の両端面に取り付けられ、相変化部材53,54は、加圧ローラー22の芯金27の両端面に取り付けられている。放熱体61は固相状態であるときの相変化部材51,53から数mm程度離れる位置に設けられ、同様に放熱体62は固相状態であるときの相変化部材52,54から離れる位置に設けられている。放熱体61,62は、例えば定着装置20の筐体、画像形成装置1のハウジングの内部で定着装置20を支持する金属製のフレーム、またはフレームに熱的に連結された金属板である。熱伝導性に優れかつ放熱容量の大きい構造体を放熱体として利用することができる。
相変化部材51,52,53,54は、所定の温度で相変化をする相変化物質を所定の形状に成形した部材である。本例では、芯金25,27の直径とほぼ同じ径の円柱状に成形されている。相変化部材51,52,53,54の形状は円柱状に限られず、円錐台、立方体、直方体など、他の形状であってもよい。
相変化物質には有機化合物と無機化合物とがある。組成により室温以下の低い温度で固相から液相への相変化を起こす物質から、300℃を超える高い温度で固相から液相への相変化を起こす物質まで、様々な物質が知られている。
例えば、定着装置20の温調温度が160℃に設定されている場合には、170℃程度で相変化する水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとの化合物を用いることにより。定着装置20が過度に昇温したときに相変化させることができる。また。温調温度が180℃に設定されている場合には、187℃程度で相変化するペンタエリトリトールを用いることができる。
定着装置20の冷却を開始したい温度またはそれに近い温度で相変化する物質を選んで相変化部材51,52,53,54を作製すればよい。210℃程度で相変化する水酸化リチウムと水酸化ナトリウムとの化合物のように温調温度よりも相変化温度が少し高い物質を用い、定着装置20の回転体が過度の昇温により機能が低下したり故障したりする以前に放熱を行なうという使い方もある。
相変化物質には、固相から液相への相変化時に固相時に対して10%〜20%以上の体積膨張をする物質がある。周囲温度が相変化温度以下から相変化温度以上になるときに体積膨張し、その後に周囲温度が相変化温度以上から相変化温度以下になるときに固相の体積まで収縮する。
図4(A)および(B)では相変化部材52の体積変化が模式的に示されている。他の相変化部材51,53,54の体積も相変化部材52と同様に変化する。
図示のように定着ローラー21は、芯金25の端部と係合する軸受81を有する支持体82によって回転可能に支持されている。そして、軸受71から僅かに突き出る芯金25の端面に、芯金25を延長するように円柱状の相変化部材52の一端面が固着している。固着には接着剤を用いることができる。なお、芯金25は、定着ローラー21と定着ベルト23とで構成される回転体213(図3参照)の一部分に相当する。
図4(A)において定着ローラー21および相変化部材52の温度は温調温度よりも低い常温(例えば20℃)である。このとき、相変化部材52は固相状態であって、相変化部材52と放熱体62との間にギャップ長さg1の空隙が存在する。すなわち、相変化部材52は放熱体62から離れている。したがって、この状態では、定着ローラー21の放熱は定着ローラー21の周囲への輻射(熱発散)が主となる。軸受81と芯金25との接触面積は微小であるので、軸受81へ伝導する熱は僅かである。
図4(B)において芯金25の端部の温度は相変化部材52の固相から液相への相変化温度よりも高く、相変化部材52は液相状態である。図4(A)と見比べてわかるように、膨張した相変化部材52が放熱体62と接触している。すなわち、相変化部材52と放熱体62とが熱的に接続されている。この状態では、芯金25から相変化部材52を経て放熱体62への熱が伝導し、これによって芯金25のさらなる昇温が抑制される。
液相の相変化部材52は、流れ落ちずに体積を保つ適度な可塑性をもつ。この場合、定着ローラー21が回転したとき、相変化部材52のうちの芯金25に固着する側の部分は芯金25と共に回転する。しかし、相変化部材52のうちの放熱体62と接触する側の部分はほとんど回転しない。相変化部材52の軸方向の中央部がねじれるように変形し、相変化部材52は全体としてねじ切れることなく芯金25と放熱体62との間に留まる。
空気の熱伝導率は、気温に依存するが、画像形成装置1が使用される環境において0.02〜0.03W/m・K程度である。これに対して、相変化材料の熱伝導率は、有機化合物である場合は0.3〜0.5W/m・K程度であり、水和塩またはこれに類する物質である場合は1.0W/m・Kを超える。熱境界物質として市販されている製品の中には5.0W/m・Kを超える熱伝導率を持つ製品がある。
空隙を相変化物質で満たすことにより、熱伝導率は空気の0.02W/m・K程度から相変化物質の5.0W/m・Kへ増大し、熱伝導量が100〜200倍程度大きくなると期待することができる。
相変化部材51,52,53,54の材料としてエリスリトールを用いた例について説明する。
エリスリトールは119℃で固相から液相に相変化する。エリスリトールの密度は20℃環境において1480kg/m3程度であり、液相への相変化が完了した状態の140℃では1300kg/m3程度の密度となる。つまり、固相から液相への変化によって、13.8%程度の体積膨張が発生する。
図4(A)に示される芯金25と放熱体62との距離Dは通常10mm程度である。したがって、相変化部材52の材料としてエリスリトールを使用する場合では、相変化部材52の長さ(円柱の高さ)Lを8.8mm以上とし、ギャップ長さg1を1.2mm以下とする必要がある。芯金25と放熱体62との間の空隙が相変化部材52の固相から液相への変化に伴って体積膨張する相変化部材52で充填され、空隙が存在した場合に比べて芯金25と放熱体62との間の熱抵抗が下がる。
空気の熱伝導率を0.027W/(m・K)、エリスリトールが液相に変化したときの熱伝導率を0.338W/(m・K)とすると、空隙が存在するとき、空隙の熱抵抗とエリスリトールの熱抵抗との合成熱抵抗が31.2K/W程度となる。これに対して、エリスリトールで充填された時の熱抵抗は0.3K/W程度となり、空隙が存在するときの熱抵抗に比べて10%以下に低下する。
相変化部材51,52,53,54の材料はエリスリトールに限らない。エリスリトール以外の物質を用いる場合においても、相変化部材51,52,53,54の体積膨張率に応じてギャップ長さg1を設定することにより、エリスリトールを用いる場合と同様の効果を得ることができる。
相変化部材51,52,53,54を芯金21,22の端部に取り付ける構成に限られない。次のように相変化部材を配置することができる。
図5の例において、相変化部材51,52,53,54は、定着装置20bにおける回転体の芯金25,27ではなく、放熱体61,62における芯金25,27と対向する位置に取り付けられている。
常温環境において、相変化部材51,52,53,54は、放熱体61,62からギャップ長さg2だけ離れている。相変化部材51,52,53,54が昇温して相変化が起こると、図4で説明したように相変化に伴う体積膨張によって相変化部材51,52,53,54が芯金25,27と接触し、芯金25,27と放熱体61,62との間の熱抵抗が低下する。
図5の構成では、相変化部材51,52,53,54の昇温の形態は、熱源となる芯金25,27からの輻射である。すなわち、図3の例における熱伝導と比べて、相変化部材51,52,53,54が昇温し難い。したがって、ギャップ長さg2をギャップ長さg1よりも小さくするのが好ましい。
相変化部材51,52,53,54の体積変化に伴って相変化部材51,52,53,54と接触したり離れたりする芯金25,27の端面に対して、撥水性を高める加工を施すことができる。
図6は撥水加工の一例を示している。図6では芯金27における放熱体61に近い側の端面S27が芯金25,27の端面の代表として描かれている。
端面S27には、一定のピッチpで凸部と凹部とが繰り返し並ぶ微細表面加工が施されている。凸部の高さ(凹部の深さ)dは5〜20μm程度である。凹部の幅をaとし、凸部の幅をbとし、幅aと幅bとの和をピッチpとするとき、幅aおよび幅bの値は、これらの比(a/b)がロータス効果による撥水性が得られる2以下の値になるように選定されている。
撥水性を付与することにより、相変化部材51,52,53,54が液相から固相へ変化して体積が減少するときに、それまで接触していた芯金25,27の端面から離れ易くなる。すなわち、芯金25,27と放熱体61,62との間の熱抵抗の切替わりが急峻になる。物理的な加工に限らず、撥水性に優れる物質を相変化部材51,52,53,54の端面にコーティングする化学的な加工でもよい。
図7の定着装置20cでは、加圧ローラー22の近傍に配置された放熱体63に相変化部材55,56が取り付けられている。放熱体63は用紙搬送の幅方向M1の全長にわたって加圧ローラー22の大径部の周面と対向する。放熱体63における加圧ローラー22の大径部と対向する部分のうち、幅方向M2の中央部である小サイズ通紙領域Asの両側に相変化部材55,56が配置されている。
小サイズ通紙領域Asは幅方向M2の寸法が小さい用紙を印刷に使用する場合に、搬送路15における用紙が通過する部分に対応する。小サイズ用紙を使用する場合、加圧ローラー22の大径部の周面において、小サイズ通紙領域Asと比べての小サイズ通紙領域Asの両側の非通紙領域の温度が上昇し易い。このような非通紙領域に相変化部材55,56を配置することにより、加圧ローラー22における非通紙領域の過熱を抑制することができる。
図7では加圧ローラー22に対する搬送方向M1の下流側に相変化部材55,56を配置しているが、配置位置は搬送方向M1の上流側や加圧ローラー22の下方であってもよい。
図7の例において、加圧ローラー22と放熱体63との距離は10mm程度である。上述の例と同様に相変化部材55,56の材料としてエリスリトールを用いる場合、相変化部材55,56の高さを8.8mm以上とし、ギャップ長さg3を1.2mm以下とすればよい。エリスリトールの固相から液相への変化により、相変化部材55,56が加圧ローラー22と接触し、加圧ローラー22と放熱体63との間の熱抵抗が接触前の10%以下に低下する。
図7の構成においても、相変化部材55,56の材料はエリスリトールに限らない。エリスリトール以外の物質を用いる場合においても、相変化部材55,56の体積膨張量に応じてギャップ長さg3設定することにより、エリスリトールを用いる場合と同様の効果を得ることができる。
図8の例では、加熱ローラー22dの内側に相変化部材57,58が配置されている。加熱ローラー22dの大径部における最外層である離型層291の内側に弾性体層281が存在する。この弾性体層281の内側のうちの小サイズ通紙領域Asの両側の部位において、相変化部材57,58が芯金27に固定されている。
常温では、芯金27と同心の円筒状の相変化部材57,58の周面と弾性体層281との間に空隙が存在する。常温よりも高いが定着の温調温度よりも低い温度では相変化部材57,58が固相のままであって空隙が存在したままである。
相変化部材57,58の温度が温調温度またはそれに近い相変化温度を超えると、相変化部材57,58は液相に変化し、体積膨張によって弾性体層281との間の空隙がなくなる。弾性体層281に重なる離型層291と芯金27とが相変化部材57,58を介して熱的に接続されるので、離型層291放熱性が高まる。
その後、十分に離型層291の放熱が進むと、弾性体層281との間に空隙を形成するように相変化部材57,58の体積が減少し、離型層291と芯金27との間の熱抵抗が高い状態に戻る。
上述の例と同様に相変化部材57,58の材料としてエリスリトールを用いる場合について説明する。ここでは、芯金27の直径が10mmで、加圧ローラー22dの弾性体層281の内径が18mm程度であるとする。エリスリトールでは固相から液相へ変化時に13.8%程度の体積膨張が起こるので、固相状態の相変化部材57,58の厚さを3.6mmとして外径をおおよそ17.2mmにすればよい。固相状態において相変化部材57,58と弾性体層281との間に存在するギャップ長さ0.4mmの空隙を、相変化部材57,58の相変化によって無くすことができる。
このような取付け条件とすることにより、相変化部材57,58の体積膨張によって空隙がなくなり、離型層291と芯金27との間の熱抵抗が低くなる。空気およびエリスリトールの熱抵抗は、それぞれ1/(長さ×熱伝導率)より算出される。空隙が存在するとき、空隙の熱抵抗とエリスリトールの熱抵抗との合成熱抵抗は93.4K/W程度となる。これに対して、空隙が無いときの熱抵抗は空隙が存在するときの熱抵抗よりも大幅に低い0.7K/W程度になる。
相変化部材57,58の材料はエリスリトールに限らない。エリスリトール以外の物質を用いる場合においても、相変化部材57,58の体積膨張を踏まえてギャップ長さを設定することにより、エリスリトールを用いる場合と同様の効果を得ることができる。
図5、図7および図8の各例の構成では、定着装置内の回転体の熱を空隙の空気を介して対流または放射の形態で相変化部材に伝えることとなる。したがって、相変化部材の材料として固相から液相への相変化温度が定着装置の温調温度よりも低い物質を使用することができる。相変化温度は室温よりも高くなければならないという条件を満たす物質として、例えばパラフィン系の物質や酢酸ナトリウム水和物などの物質がある。
図9は相変化部材の構成の変形例を示している。図9(A)は全体形状を模式的に示す斜視図であり、図9(B)は断面図である。
図9において、相変化部材59は、相変化物質からなる本体591と、本体591を収容する円柱状の肉厚の薄い容器592とから構成される。容器592は、定着装置の異常昇温に耐える耐熱性、体積膨張時に接触する面との擦れに耐える耐磨耗性、および本体591の体積変化に合わせて変形し得る伸縮性を有している。容器592の材料としては、ポリテトラフルオロエチレンやポリイミドなどの樹脂材料がある。相変化部材59の形状は円柱状に限らない。
図10はガイド部材の例を示している。例示のガイド部材70は、円筒状であり、図9の相変化部材59が内側にちょうど収まる大きさをもつ。図10(C)のように、相変化部材59が例えば芯金25の端面に取り付けられるとき、ガイド部材70は相変化部材59を囲むように配置される。図10(C)では相変化部材59およびガイド部材70における放熱体61側の端面位置が揃っているが、これに限らない。常温状態において、ガイド部材70が相変化部材59よりも若干突出してもよいし、逆に相変化部材59がガイド部材70よりも若干突出してもよい。すなわち、ガイド部材70の軸方向の寸法は相変化部材59のそれに近い値であればよい。
図10(D)のように、相変化部材59の体積が相変化によって増大するとき、全方向に拡がろうとする相変化部材59の径方向の膨張がガイド部材70によって阻止される。これにより、相変化部材59は主に放熱体61に向かって膨張する。ガイド部材70は、相変化部材59の体積変化の方向を放熱体61と相変化部材59との空隙寸法が増減する方向に規制する役割を果たす。
ガイド部材70が相変化部材59の体積変化の方向を規制することにより、相変化部材59の体積変化による放熱体61との空隙寸法の増減が顕著になる。言い換えれば、所定寸法の空隙を、体積膨張率がガイド部材70を用いない場合と比べて小さい相変化部材59によって無くしたり戻したりすることが可能になる。つまり、相変化部材59の材質の選択肢が多くなる。
ガイド部材70の材質として、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アリル樹脂などの耐熱性に優れる樹脂がある。
図11は定着装置における放熱部の構造の他の例を示している。図示の定着装置20eの基本的な構成は図3の例と同様である。
図11の定着装置20eは、その特徴として熱電変換素子72を備えている。図示された熱電変換素子72は、定着ローラー21における芯金25の一方の端面に取り付けられた相変化部材52と対向するように、放熱体62に取り付けられている。図示を省略したが、定着装置20eは熱電変換素子72の他にさらに三つの熱電変換素子を備えている。これら三つの熱電変換素子は、芯金25の他方の端面および加圧ローラー22の芯金27の両端面に取り付けられた相変化部材51,53,54と対向するように放熱体61,62に取り付けられている。
固相状態であるときの相変化部材52と熱電変換素子72との間には、ギャップ長さg1の空隙が存在する。この状態では、空隙内の空気の熱抵抗が大きいので、定着ローラー21から放熱体62へはほとんど熱が伝わらない。このことは、画像形成装置1の電源投入直後や通紙前の温調制御が行われる期間において、磁束発生器24による加熱に対する相変化部材52の影響の無いことを意味する。相変化部材52が定着ベルト23の昇温所要時間を長くすることはない。
相変化部材52が固相から液相へ相変化して膨張すると、相変化部材52と熱電変換素子72とが接触し、芯金25から相変化部材52を介して熱電変換素子72の一方の面(熱源側)に熱が伝導する。そして、熱電変換素子72における熱源側と放熱側との温度差に応じた電力が熱電変換素子72から出力される。この熱電変換素子72によって発電された電力は、画像形成装置1における各種の負荷の駆動電力の一部として利用される。
図12のグラフは、熱電変換素子における温度変化と発電量との関係を示している。図11の構成における芯金25から熱電変換素子72までの熱伝導経路の熱抵抗は、相変化部材52と熱電変換素子72とが接触するかしないかによって大きく変化する。
図12において、時刻t1以前では、相変化部材52の温度は温調温度以下であって、相変化部材52は固相である。このとき、熱伝導経路には熱伝導率の低い空気が介在するので、熱抵抗は大きい。時刻t1以前において、例えば小サイズの用紙の通紙を原因として定着ベルト23の幅方向の両端部が過度に昇温したとする。時刻t1で相変化部材52の温度が相変化温度まで上昇すると、相変化部材52の固相から液相への相変化が始まる。相変化が進行する過程で相変化部材52が膨張して熱電変換素子72に近づくにつれて、熱抵抗は次第に小さくなる。
時刻t2で相変化部材52と熱電変換素子72との間の空隙がなくなると、芯金25と熱電変換素子72との間の熱抵抗は、相変化部材52の熱抵抗になる。時刻t2以降において、相変化部材52と熱電変換素子72との接触状態が変わらない限り、熱抵抗の値は時刻t1と比べて低い時刻t2の値のまま一定である。
時刻t2において熱電変換素子72に芯金25からの熱が伝導すると、熱電変換素子72の熱源側の温度Thが上昇し始める。上昇が始まる以前の温度Thの値は、熱電変換素子72の放熱側の温度Tcの値と同じである。温度Thが上昇するにつれて温度Tcとの差が増大し、発電量が増加する。温度Thが飽和状態の値まで上昇した後は、一定の発電量の発電が続く。
図13のグラフは、熱電変換素子に関わる熱抵抗と温度変化との関係を例示している。図13では、熱源から熱電変換素子を経て放熱体に至る間の熱抵抗Rの値が異なる二つの場合(一方はR=1K/Wで他方はR=5K/W)について、一定の熱量Qの熱を流入させたときの熱電変換素子の温度変化が表されている。
熱量QはQ=(Th−Tc)/Rと表されるので、放熱側の温度Tcが同じであれば、熱抵抗Rが1K/Wと比較的に小さい場合と比べて、熱抵抗Rが5K/Wと比較的に大きい場合の方が熱源側の温度Thは高い。一般に、熱電変換素子は、熱源側の温度Thと放熱側の温度Tcの温度差ΔTが大きいほど、発電効率が良いという特性を有している。
ここで、相変化部材52が液相であって芯金25(熱源)から熱電変換素子72を経て放熱体62へ至る熱移動経路中に空隙の無い状態での熱抵抗Rが1K/Wであるとする。そして、相変化部材52が固相であって、芯金25から放熱体62までの熱移動経路中に空隙が存在する状態での熱抵抗Rを5K/Wとする。
予め空隙が無く熱抵抗Rが1K/Wのように低い場合には、定着ベルト23を加熱するために加えられた熱が芯金25から放熱体62へ逃げてしまい、温調制御に必要な熱量が多くなる。省エネルギー性が低い。また、熱電変換による発電に際して、熱抵抗Rが小さい場合には温度差ΔTが小さくなるので発電効率が低い。
一方、熱抵抗Rが5K/Wのように高い場合には、芯金25から奪われる熱量は周囲が空気で覆われている場合と同様に少ないので、定着装置の加熱に対する影響が小さい。つまり、過度に昇温した状態でなければ、熱抵抗Rの高いのがよい。そして、定着装置内で異常昇温が発生したときには、熱電変換素子72を通じて放熱することにより、熱電変換素子72の発電効率の高い温度での発電が可能であり、省エネルギー性を改善することができる。
以上の実施形態によれば、異常昇温が発生していない通常の定着動作時には、熱源と放熱体との間に空隙が存在して熱抵抗が高いので、熱の逃げが抑制されてウォームアップに要する時間や電力に影響が生じない。一方、異常昇温の発生時には、相変化部材の膨張によって空隙が無くなって熱抵抗が下がるので、電力供給も特別な制御をも必要とせずに異常昇温を解消することができる。定着装置の自己放熱機能が実現される。
上述の実施形態において、図3のように熱源側に相変化部材を配置する構成と、図5、7、8のように放熱側に相変化部材を配置する構成とを組み合わせてもよい。
相変化部材51〜59の配置個数は1以上であればよい。上述の実施形態では搬送路15の幅方向M2の中央に用紙Pの中央を位置決めする一般的な搬送形式を想定し、定着用の回転体における小サイズ用紙の使用時に過熱状態になり易い両方の端部に対してそれぞれ相変化部材を配置したが、これに限らない。搬送路15の幅方向M2の一端側に寄せて小サイズ用紙を搬送する場合には、小サイズ用紙を寄せた側と反対側である片方の端部のみに対して相変化部材を配置すればよい。
相変化部材51〜59の材質、形状および寸法は任意であり、ローラーと放熱体との距離や取付け面の形状といった諸条件に応じて選定することができる。図7および図8の構成において、厳密に小サイズ通紙領域Asを除くように相変化部材55〜58を配置する必要はまったくない。熱源の幅方向M2の温度分布特性に応じて、小サイズ通紙領域Asよりも広い範囲または逆に狭い範囲を除くように、相変化部材55〜58を配置してもよい。
ガイド部材70の形状および寸法は、相変化部材59の形状および寸法に合わせて選定すればよい。熱電変換素子72の取付け箇所は、放熱体62上の位置に限られず、芯金25の端面といった熱源側の位置であってもよい。
定着装置20,20b,20c,20eの構成は本発明の趣旨に沿う範囲内で適宜変更することができる。
定着ベルト23を備えずに定着ローラー21が直接に用紙Pと接する形式であってもよい。例示のように加圧ローラー22,22dを駆動して定着ローラー20を従動回転させるのとは逆に、定着ローラー20を駆動して加圧ローラー22,22dを従動回転させてもよい。また、両方を駆動してもよい。
定着ベルト155については、例えば、銀粒子を含有するポリイミドフィルムを基材(発熱層)とし、その上にシリコーンゴムからなる弾性層およびPTFE、PFA等の単独あるいは混合樹脂の表面離型層を順に重ね合わせて構成することができる。基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス材、整磁合金(例えば、Fe−Ni合金)がある。
1 画像形成装置
20,20b,20c,20e 定着装置
P 用紙(シート)
15 搬送路
M2 幅方向
213 回転体
21 定着ローラー(回転体)
22 加圧ローラー(回転体)
24 磁束発生器(加熱手段)
61,62,63 放熱体
51,52,53,54 相変化部材
55,56,57,58,59 相変化部材
25,27 芯金
S27 端面
591 本体(相変化物質)
592 容器
70 ガイド部材
72 熱電変換素子

Claims (8)

  1. シート上に画像を形成する際に当該シートを加熱する定着装置であって、
    前記シートが搬送される搬送路の幅方向に沿って延びる軸の周りに回転しかつ前記シートと当接する回転体と、
    前記回転体を加熱する加熱手段と、
    前記回転体の近傍に位置する放熱体と、
    前記回転体と前記放熱体との間に配置され、当該回転体または当該放熱体に支持され、かつ昇温によって相変化したときに当該回転体と当該放熱体との間の空隙が無くなるように膨張する相変化部材と、を備える
    ことを特徴とする定着装置。
  2. 前記回転体は、両端部が軸受を介して支持体に支持された前記搬送路の幅よりも長い芯金を有しており、
    前記放熱体は、前記芯金の少なくとも一方の端面と近接し、
    前記相変化部材は、前記芯金における前記放熱体に近接する前記端面と前記放熱体との間に配置されている
    請求項1記載の定着装置。
  3. 前記相変化部材は、前記芯金の前記端面に取り付けられている
    請求項2記載の定着装置。
  4. 前記相変化部材は、伸縮性をもつ容器と、当該容器に収容された相変化物質とを備える
    請求項1ないし3のいずれかに記載の定着装置。
  5. 前記相変化部材の体積変化が前記空隙の長さの増減する方向の変化に規制されるように当該相変化部材の外周面を部分的に覆うガイド部材を有する
    請求項1ないし4のいずれかに記載の定着装置。
  6. 当該回転体または当該放熱体における前記相変化部材が膨張したときに当該相変化部材と接する面に対して、当該相変化部材の体積減少時に当該相変化部材が離れ易くなる表面加工が施されている
    請求項1ないし5のいずれかに記載の定着装置。
  7. 前記相変化部材と前記放熱体との間に熱電変換素子が配置されている
    請求項1ないし6のいずれかに記載の定着装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の定着装置に用紙を搬送する機構を備え、前記定着装置によって未定着画像を前記用紙に定着させる
    ことを特徴とする画像形成装置。
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