以下、図面を参照して開示する技術の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図2には、本実施形態に係る部品固定装置10の一例を示す。部品固定装置は、クランプ装置の一例として機能する。
部品固定装置10は、載置台12を備える。載置台12は、基台の一例として機能する。図2及び図3に示すように、部品固定装置10は、載置台12にベースプレート14が位置決めされて載置される。また、部品固定装置10は、ベースプレート14上に複数の光学部品16を接着固定する。ベースプレート14は、基板の一例として機能し、光学部品16は、被固定部材の一例として機能する。
部品固定装置10は、ベースプレート14への光学部品16の取り付けに限らず、基板への電子部品の取り付けなど、基板へ被固定部材を位置決めして接着固定する場合の被固定部材のクランプに適用することができる。
ベースプレート14に取り付ける光学部品16としては、例えば、レンズやミラーなどがある。ベースプレート14には、複数の光学部品16が取り付けられることにより、例えば、光ビームなどの光路が形成される。また、ベースプレート14は、所定の光学部品16が取り付けられた状態で図示しないパッケージに収容されることで、例えば光学モジュール、光学デバイスなどを形成する。なお、以下では、ミラー、レンズ等の区別を行なわずに光学部品16とし、4つの光学部品16A、16B、16C、16Dを、ベースプレート14へ取り付ける場合を例に説明する。
部品固定装置10は、載置台12にベースプレート14を載置する場合に、公知の位置決め方法を適用することができる。本実施の形態では、ベースプレート14を載置台12に位置決めして載置する構成として説明するが、部品固定装置10は、ベースプレート14が予めパッケージに固定され、当該パッケージを載置台12上に位置決めして載置する構成であってもよい。また、ベースプレート14を設けずにパッケージに光学部品16を固定する光学モジュールである場合、部品固定装置10は、載置台12にパッケージを位置決めし、パッケージに光学部品16の各々を固定する構成であってもよい。
部品固定装置10は、ベースプレート14上に光学部品16を配置するのに先立ち、ベースプレート14上の各光学部品16の取り付け位置に接着剤18(図4参照)が塗布される。部品固定装置10は、接着剤18を介在させてベースプレート14上に配置された光学部品16をベースプレート14へ向けて押圧する。これにより、光学部品16は、接着剤18が固化することでベースプレート14に接着固定される。
図2及び図3に示すように、部品固定装置10は、位置決め用治具20を備える。位置決め用治具20は、位置決め用治具の一例として機能する。位置決め用治具20は、平板状に形成され、一辺に基部22が形成されている。位置決め用治具20は、基部22を載置台12上に設けた固定ブロック24に固定することで、載置台12上のベースプレート14に対して位置決めされて取り付けられる。なお、部品固定装置10は、位置決め用治具20が、固定ブロック24を介して載置台12に取り付けられることにより、ベースプレート14と位置決め用治具20との間に所定の隙間が形成される。
位置決め用治具20は、ベースプレート14上の光学部品16の配置位置に、開口部26が形成されている。開口部26は、ベースプレート14上の光学部品16の配置位置に対応する位置決め用治具20の領域に、切り込みを形成するか又は穿孔することにより、位置決め用治具20に形成される。部品固定装置10は、位置決め用治具20に開口部26が形成されていることにより、ベースプレート14の光学部品16の配置位置の周囲が開放される。
位置決め用治具20は、開口部26に、光学部品16の各々に対応する位置決め部28が形成されている。本実施の形態では、一例として位置決め用治具20に、光学部品16A、16Bの取り付け位置に合わせた開口部26A、及び光学部品16C、16Dの取り付け位置に合わせた開口部26Bを形成している。位置決め用治具20は、一例として、開口部26Aに、光学部品16Aの位置決め部28A、及び光学部品16Bの位置決め部28Bが形成され、開口部26Bに、光学部品16Cの位置決め部28C、及び光学部品16Dの位置決め部28Dが形成されている。
位置決め用治具20は、位置決め部28(28A〜28D)の各々に、基準面30A、30B、及び非干渉孔30Cが形成されている。光学部品16がベースプレート14に取り付けられることでベースプレート14の表面に沿う光路を形成する場合、基準面30A、30Bは、光学部品16において非光路面となる二辺(二方向の端面)に対向するように形成される。
光学部品16は、ベースプレート14上に配置されるときに、位置決め用治具20に形成された基準面30A、30Bに当接されることにより、ベースプレート14に対して所定の位置及び向きとなるように位置決めされる。位置決め用治具20の非干渉孔30Cは、基準面30Aと基準面30Bとが交差する位置を中心に形成され、基準面30A、30Bに当接された光学部品16の角部に対応されている。光学部品16は、基準面30A、30Bに当接されることにより、基準面30A、30Bの各々に対応する面の間の角部が、非干渉孔30に入り込み、当該角部の損傷が防止される。
図2に示すように、部品固定装置10は、ガイドシャフト32及びスペーサ34を備える。ガイドシャフト32は、ベースプレート14及び位置決め用治具20を挟んで対で配置される。また、ガイドシャフト32は、軸線方向の一端部が、載置台12に埋め込まれることで載置台12から立設されて固定される。
スペーサ34は、所定の長さの筒体形状に形成され、内面形状がガイドシャフト32の外形形状に合わせられている。スペーサ34は、載置台12上に配置される。このとき、スペーサ34は、ガイドシャフト32が挿入された状態で載置台12上に配置される。ガイドシャフト32は、スペーサ34により載置台12側が拡径される。
一方、部品固定装置10は、加圧ホルダ36を備える。加圧ホルダ36は、加圧治具の一部として機能する。加圧ホルダ36は、例えば、アクリルなどの合成樹脂により矩形ブロック状に形成されている。また、加圧ホルダ36は、一対のガイドシャフト32に掛け渡されることにより、載置台12上のベースプレート14及び位置決め用治具20に対向されている。
加圧ホルダ36には、フランジ38及びリニアブッシュ(軸受筒)40が取り付けられている。フランジ38は、矩形平板状に形成され、ガイドシャフト32の各々に対応して、加圧ホルダ36の長手方向の両端部に配置され、加圧ホルダ36の載置台12と反対側の面(図2の紙面上方側の面)に固定されている。
リニアブッシュ40は、内径がガイドシャフト32の外径に合わせた筒体状に形成されている。リニアブッシュ40は、軸線方向の一端がフランジ38を貫通するよう配置されてフランジ38に取り付けられている。加圧ホルダ36には、リニアブッシュ40の外径に応じた貫通孔36Aが形成され、リニアブッシュ40は、加圧ホルダ36の貫通孔36Aに挿入されて、加圧ホルダ36に取り付けられている。
加圧ホルダ36は、ガイドシャフト32がリニアブッシュ40に挿入されることにより、一対のガイドシャフト32に掛け渡されている。これにより、部品固定装置10は、加圧ホルダ36がガイドシャフト32との軸線方向である載置台12上のベースプレート14に対する接近方向及び離間方向に沿って相対移動可能となるように取り付けられている。なお、部品固定装置10は、一例として2本のガイドシャフト32を用いているが、3本以上のガイドシャフト32を設けるなど、加圧ホルダ36が平行移動可能となる任意の構成を適用することができる。
部品固定装置10は、圧縮コイルばね(以下、コイルばね42という)を備える。コイルばね42は、一対のガイドシャフト32の各々に設けられ、内径がガイドシャフト22の外径より大きく、外径がスリーブ34及びリニアブッシュ40の外径より小さくなっている。コイルばね42は、ガイドシャフト32が挿通されることにより、スペーサ34と加圧ホルダ36のリニアブッシュ40との間に配置される。コイルばね42は、加圧ホルダ36が、載置台12への接近方向へ移動することにより、スリーブ34とリニアブッシュ40との間で圧縮され、加圧ホルダ36を載置台12から離間する方向へ付勢する。
ガイドシャフト32は、加圧ホルダ36側の端部に雌ねじが形成されたねじ部32Aが設けられている。また、部品固定装置10は、加圧ボルト44を備える。ガイドシャフト32及び加圧ボルト44は、加圧ホルダ36の昇降部の一例として機能する。
加圧ボルト44は、軸部44Aに、ガイドシャフト32のねじ部32Aに対応する雄ねじが形成され、頭部44Bにひら目、あや目などのローレット目が形成されている。これにより、加圧ボルト44は、頭部44Bが回されることにより、ねじ部44Aがガイドシャフト32のねじ部32Aに螺合される。
加圧ボルト44は、軸部44Aがフランジ38側からリニアブッシュ40内に挿入され、ガイドシャフト32のねじ部32Aに対向される。加圧ボルト44は、軸部44Aがリニアブッシュ40に挿入されて締め付け方向に回されることにより、軸部44Aがガイドシャフト32のねじ部32Aに螺合挿入される。加圧ホルダ36は、固定ボルト44の軸部44Aが、ガイドシャフト32のねじ部32Aに螺合挿入されることで、コイルばね42の付勢力に抗して、載置台12へ向けて移動される。なお、図2では、載置台12の上面に沿う方向をX−Y方向として示し、載置台12の上面と交差する方向である加圧ホルダ36の昇降方向をZ方向として示す。
部品固定装置10は、例えば、載置台12上のベースプレート14と加圧ホルダ36の下面の間隔が、所定の間隔となる位置まで加圧ホルダ36を、載置台12への接近方向へ移動する。加圧ホルダ36の載置台12への接近方向の移動位置は、図示しないストッパを設けて、ストッパに当接する位置まで、加圧ホルダ36が移動するようにしても良い。また、スペーサ34を加圧ホルダ36のストッパとして用いることもでき、この場合、例えば、スペーサ34にコイルばね42の一部を収容する収容部を形成すれば良い。
一方、部品固定装置10は、加圧ピン46を備える。加圧ピン46は、ベースプレート14に固定される光学部品16の各々に対向し、加圧ホルダ36から載置台12へ向けて突設されている。
部品固定装置10は、加圧ホルダ36が所定の移動位置まで載置台12へ接近移動することで、加圧ホルダ36に設けた加圧ピン46の各々が光学部材16に当接し、光学部材16の各々をベースプレート14へ向けて押圧する。これにより、部品固定装置10は、載置台12と加圧ピン46との間でベースプレート14及び光学部品16をクランプする。
ベースプレート14及び光学部品16は、部品固定装置10にクランプされた状態で、接着剤18に対する接着プロセス(接着フロー)が実行されることにより、ベースプレート14に光学部品16が固定される。なお、接着剤18は、ベースプレート14の材質、光学部品16の材質、及び適用する接着プロセス(加熱処理、紫外線処理)等に応じて選択される。
ところで、図1には、本実施形態に係る加圧ピン46の一例を示す。本実施形態に適用した加圧ピン46は、断面矩形状に形成され、長手方向の一端部が、光学部品16(図2及び図3参照)に対向する押圧部48とされている。また、加圧ピン46は、一例として、ステンレス(SUS304)が用いられ、断面が0.5mm×0.5mm、長さLが15mmに形成されている。これにより、本実施形態は、加圧ピン46が、長手方向(以下、軸線方向とする)と交差する方向へ湾曲する弾性変形である撓みが生じ易くなっている。
本実施の形態では、光学部品16に対向される加圧ピン46の軸線方向の端部を、例えば半径R=0.75mmの円弧状に湾曲させることにより押圧部48を形成している。また、本実施形態では、加圧ピン46の押圧部48に、無電解ニッケルテフロンメッキ(テフロンは登録商標)によるコーティングを施している。
これにより、本実施形態では、加圧ピン46の押圧部48が光学部品16に当接されたときに、光学部品16に損傷が生じるのを防止している。また、本実施形態は、光学部品16と加圧ピン46の押圧部48との間に所定の摩擦力が生じるようにしている。なお、加圧ピン46の押圧部48の被覆処理は、無電解ニッケルテフロンメッキ(テフロンは登録商標)によるコーティングに限るものでない。押圧部48の被覆処理は、光学部品16に損傷を生じさせることなく、所定の摩擦力が得られるものであれば良い。例えば、光学部品16の材質(ガラスか、プラスチックなどの樹脂か等)に応じた被覆処理を適用することができる。
部品固定装置10は、加圧ホルダ36に加圧ピン46の外形形状(断面形状)に応じた取付け孔50が形成されている。取付け孔50は、加圧ホルダ36の載置台12側の面に所定の深さとなるように穿孔されて加圧ホルダ36に形成されている。加圧ピン46は、押圧部48と反対側の端部である基部48Aが、加圧ホルダ36の取付け孔50に挿入されて加圧ホルダ36に取り付けられる。
また、取付け孔50は、加圧ホルダ36の載置台12への接離方向(矢印Z方向)に対して、所定の向き及び角度で傾くように加圧ホルダ36に形成されている。これにより、加圧ホルダ36に取り付けられた加圧ピン46は、載置台12に対して、所定の方向及び角度で傾けられる。加圧ピン46の傾き方向Tは、軸線方向に沿った押圧部48の方向を、載置台12の表面(X−Y平面)に投影した方向としている。また、加圧ピン46の角度θは、加圧ホルダ36の載置台12への接近方向に対する加圧ピン46の軸線の角度としている。加圧ホルダ36の載置台12への接近方向は、加圧ピン46が光学部品16をクランプするときの加圧ピン46の移動方向である。本実施形態においては、角度θを、一例として5°(θ=5°)としている。
一方、部品固定装置10は、加圧ホルダ36に取り付けられた加圧ピン46の押圧部48が、ベースプレート14上に位置決めされた光学部品16の重心位置Cとなるように、加圧ホルダ36に取付け孔50が形成されている。また、部品固定装置10は、加圧ピン46の各々の傾き方向Tを、光学部品16の重心位置Cから位置決め部28の非干渉孔30Cへ向かう位置決め方向Pに合わせている。すなわち、位置決め方向Pは、光学部品16を基準面30A及び基準面30Bに当接させる方向であり、傾き方向Tは、この位置決め方向に合わせられている。加圧ホルダ36には、加圧ピン46A、46B、46C、46Dに設定された傾き方向Tとなるように取付け孔50A、50B、50C、50Dが形成されている。
これにより、図3に示すように、部品固定装置10は、光学部品16Aに対する加圧ピン46Aの傾き方向Taが、光学部品16Aの位置決め方向Paに合わせられている。また、部品固定装置10は、光学部品16Bに対する加圧ピン46Bの傾き方向Tbが、光学部品16Bの位置決め方向Pbに合わせられ、光学部品16Cに対する加圧ピン46Cの傾き方向Tcが、光学部品16Cの位置決め方向Pcに合わせられている。また、部品固定装置10は、光学部品16Dに対する加圧ピン46Dの傾き方向Tdが、光学部品16Dの位置決め方向Pdに合わせられている。
部品固定装置10は、加圧ホルダ36に加圧ピン46を傾けて取り付けることにより、加圧ホルダ36を載置台12へ向けて移動して加圧ピン46により光学部品16を押圧したときに、加圧ピン46に撓みを生じさせる。これにより、部品固定装置10は、加圧ピン46に生じる付勢力により光学部品16をベースプレート14へ向けて押圧するとき、光学部品16を位置決め方向Pへ向けて押圧する。このとき、部品固定装置10は、加圧ピン46に撓みが生じていることで、光学部品16を位置決め部28へ移動するストロークが得られる。
以下に、本実施の形態の作用として、部品固定装置10を用いたベースプレート14への光学部品16の取り付けを説明する。
図4には、加圧ピン46を用いた部品固定装置10におけるベースプレート14及び光学部品16のクランプ処理を段階的に示している。なお、図4は、一例として、紙面右側が図3の4A−4A線に沿った断面を示し、紙面左側が図3の4B−4B線に沿った断面を示している。
図4の上段に示すように、部品固定装置10は、載置台12にベースプレート14が位置決めされて載置され、ベースプレート14を覆うように位置決め用治具20が位置決めされて取り付けられる。また、部品固定装置10は、光学部品16の各々が取り付けられるベースプレート14上の位置に接着剤18が塗布される。このとき、部品固定装置10は、ベースプレート14と位置決め用治具20との間に所定の間隙が形成されることにより、ベースプレート14上の接着剤18が位置決め用治具20に付着してしまうことない。
ベースプレート14に取り付けられる光学部品16の各々は、例えば、位置決め用治具20の開口部26からベースプレート14上の接着剤18に載せられる。また、光学部品16の各々は、ベースプレート14上に配置されるときに、開口部26に形成されている位置決め部28の基準面30A、30Bに突き当てられることで位置決めされる。これにより、部品固定装置10は、光学部品16の各々に、加圧ホルダ36に取り付けられている加圧ピン46の押圧部48が対向される。
この後、部品固定装置10は、加圧ボルト44が操作されることにより、加圧ホルダ36がガイドシャフト32に沿って載置台12へ向けて移動される。また、部品固定装置10は、加圧ホルダ36が載置台12へ向けて移動されることにより、加圧ホルダ36に取り付けられている複数の加圧ピン46が、光学部品16へ向けて移動される。これにより、図4の中段に示すように、部品固定装置10は、ベースプレート14からの高さが高い光学部品16から順に、加圧ピン46が当接する。
部品固定装置10は、加圧ピン46の先端の押圧部48が光学部品16に当接することにより、加圧ピン46が光学部品16をベースプレート14へ向けて押圧する。光学部品16は、加圧ピン46によりベースプレート14へ向けて押圧されることにより、ベースプレート14との間の余剰の接着剤18を押し出す。これにより、ベースプレート14と光学部品16との間には、接着剤18の薄膜(例えば、数十μmの薄膜)が形成され、ベースプレート14への光学部品16の確実な接着固定が可能となる。
部品固定装置10は、加圧ホルダ36が予め設定された移動位置まで載置台12へ向けて移動される。部品固定装置10は、加圧ホルダ36が載置台12へ向けて移動することにより生じるコイルばね42の付勢力及び固定ボルト44により、加圧ホルダ36を移動位置で保持する。
加圧ホルダ36の移動位置は、光学部品16の各々に加圧ピン46の押圧部48が当接し、かつ、加圧ホルダ36が載置台12へ接近する方向に沿って圧縮力を受ける位置を含む。すなわち、加圧ホルダ36の移動位置は、載置台12と加圧ホルダ36との間隔を、加圧ピン46の押圧部48が光学部品16に当接する間隔よりも更に狭めた間隔となる位置となっている。
これにより、図4の下段に示すように、部品固定装置10は、ベースプレート14と各光学部品16との間に、適切な厚みの接着剤18の薄膜を形成した状態で、ベースプレート14及び光学部品16をクランプする。この状態で、接着プロセスが実行されることで、光学部品16の各々は、ベースプレート14に接着固定される。
ところで、部品固定装置10は、光学部品16に対向する加圧ピン46の各々を載置台12に対して角度θで傾けている。また、部品固定装置10は、各加圧ピン46の傾き方向Tを、対向する光学部材16の位置決め方向Pに合わせている。
これにより、部品固定装置10は、加圧ピン46が光学部品16をベースプレート14へ向けて押圧し、また、加圧ピン46が光学部品16を位置決め方向Pへ向けて押圧する。光学部品16の各々は、位置決め部28の基準面30A、30Bに当接された状態で、ベースプレート14と加圧ピン46との間でクランプされる。
すなわち、角度θで傾けられた加圧ピン46は、光学部品16と加圧ホルダ36との間で加圧ホルダ36の移動方向に沿って圧縮力を受けることで弾性変形による撓みが生じる。これにより、図5に示すように、加圧ピン46は、加圧ホルダ36から押圧力Fを受ける。押圧力Fは、加圧ホルダ36が加圧ピン46から受ける弾性力に対する抗力として生じる。
加圧ピン46は、角度θで傾けてられていることにより軸線と交差する方向に向けて撓みが生じる。加圧ピン46が傾き方向Tへ向けて角度θで傾けられていることにより、加圧ピン46が受ける押圧力Fは、加圧ピン46の長手方向(軸線方向)に沿う押圧力Fa、及び加圧ピン46の軸線方向と交差する方向(直角方向)に向く押圧力Fbに分けられる。加圧ピン46に軸線方向に沿う伸縮が生じない場合、押圧力Fbは、曲げ力となって加圧ピン46に撓みを生じさせる。
加圧ピン46は、傾きに沿う押圧力Faにより押圧部48が光学部材16を押圧する。加圧ピン46の押圧部48において、光学部品16を押圧する押圧力Faは、光学部品16をベースプレート14へ向けて押圧する押圧力Fc、及びベースプレート14の表面(X−Y平面)に沿う押圧力Fbに分けられる。
これにより、部品固定装置10は、加圧ピン46が押圧力Fcで光学部品16をベースプレート14へ向けて押圧して、ベースプレート14及び光学部品16をクランプする。
一方、光学部品16と加圧ピン46の押圧部48との間には、摩擦力Ffが生じる。押圧力Fdが光学部品16と加圧ピン46の押圧部48との間の最大静止摩擦力より小さい場合、押圧力Fdと摩擦力Ffとが等しくなり、光学部品16と加圧ピン46の押圧部48との間には、滑りが生じない。光学部品16と加圧ピン46の押圧部48との間に滑りが生じないことで、押圧力Fdは、ベースプレート14と光学部品16との間に作用する。したがって、加圧ピン46の傾きの角度θは、押圧力Fdが加圧ピン46の押圧部48と光学部品との間の最大摩擦力以下となる角度より小さい角度とすれば良い。
ベースプレート14と光学部品16との間には、固化する前の接着剤18の薄膜が形成されているため、ベースプレート14と光学部品16との間は、最大摩擦力が低下している。これにより、ベースプレート14と光学部品16との間の最大摩擦力が押圧力Fdより小さい場合、光学部品16は、押圧力Fdによりベースプレート14上を、傾き方向Tへ押圧される。したがって、加圧ピン46の傾きの角度θは、押圧力Fdがベースプレート14と光学部品との間の最大摩擦力を超える角度より大きい角度とすれば良い。
加圧ピン46の傾き方向Tが、光学部品16を位置決め部28の基準面30A、30Bへ向ける位置決め方向Pであることにより、光学部品16は、位置決め部28(基準面30A、30B)へ向けて押圧力を受ける。すなわち、光学部品16は、加圧ピン46の押圧部48から、押圧力Fd、及びベースプレート14と光学部品16との間の摩擦力Fgに応じた押圧力を受ける。
したがって、光学部品16と位置決め部28の基準面30A、30Bとの間に隙間が生じている場合、光学部品16は、加圧ピン46により基準面30A、30Bに突き当てられるように移動される。このとき、加圧ピン46の押圧部48が円弧上に湾曲されていることにより、加圧ピン46は、光学部品16を確実に押圧する。また、光学部品16の移動方向が加圧ピン46に生じた撓みを解消する方向であることにより、光学部品16を移動するときのストロークが確保されるので、加圧ピン46は、光学部品16の押圧状態を維持する。
また、光学部品16が位置決め部28の基準面30A、30Bに当接していると、光学部品16は、押圧力Fdと摩擦力Fgの差の押圧力を受けて、基準面30A、30Bに押し付けられ、基準面30A、30Bに当接された状態が保持される。
したがって、部品固定装置10は、光学部品16が位置決め部28の基準面30A及び基準面30Bから離れることによる位置ズレを防止し、ベースプレート14及び光学部品16を確実にクランプすることができる。これにより、部品固定装置10は、光学部品16をベースプレート14へ高精度で位置決めして接着固定した光学モジュール、光学デバイスを得ることができる。
また、部品固定装置10は、加圧ピン46の各々が、加圧ホルダ36の載置台12側の面と光学部品16の上面との間の間隔に応じて弾性変形する。これにより、部品固定装置10は、高さの異なる光学部品16の各々を正確に位置決めした状態でクランプすることができる。
さらに、部品固定装置10は、加圧ピン46の傾き方向Tを、光学部品16の各々の位置決め方向Pに合わせている。これにより、部品固定装置10は、加圧ホルダ36の単一方向への移動により、位置決め方向Pの異なる複数の光学部品16の各々を、ベースプレート14に対する適正な位置でクランプすることができる。
以上説明した本実施の形態は、加圧ピン46の傾き方向Tを、光学部品16の位置決め方向Pに合わせたが、加圧ピン46の傾き方向Tは、これに限るものではない。図6には、加圧ピン46の傾き方向Tの他の一例を示す。
図6では、加圧ピン46の傾き方向Tの基準面30Aに対する角度θ1と、基準面30Bに対する角度θ2とを、例えば、θ1=θ2とするなどして合わせている。これにより、加圧ピン46は、光学部品16が基準面30A及び基準面30Bの各々を等しく押圧するように、光学部品16へ押圧力を付与する。開示の技術におけて、傾き方向Tは、基準面30A、30Bの各々に交差する方向を含む。
開示の技術においては、加圧ピンの傾き方向により、加圧ピンに弾性変形による撓みが生じる方向、及び加圧ピンが被固定部材を基板に沿って押圧する方向が設定される。また、開示の技術において、加圧ピンの傾き方向は、加圧ピンが被固定部材を位置決め方向へ向けて押圧可能となる任意の方向を含む。また、開示の技術において、加圧ピンの形状は、被固定部材に基板へ向けた押圧力、及び基板の表面に沿う押圧力を生じさせうる任意の形状を含む。
図7には、加圧ピン46に替えて用いる加圧ピンの一例とする加圧ピン52を示す。この加圧ピン52は、先端部が半球状又は半円柱状に形成されることで、光学部品16に当接する押圧部54が形成されている。また、加圧ピン52は、押圧部54を含む端部に、例えば、無電解ニッケルテフロンメッキ(テフロンは登録商標)などによるコーティングを施している。
したがって、押圧部54を形成した加圧ピン52においても、押圧部54が光学部品16を押圧するときに、所定の摩擦力を生じさせ、また、光学部品16を損傷させてしまうのを防止することができる。
また、加圧ピン52は、軸線方向の中間部に曲げ部52Aを形成することで、基部48A側に対して押圧部54側が所定の角度θとなるように傾けられている。加圧ピン52を用いる場合、加圧ホルダ36には、角度θで傾けることなく穿孔された取付け孔56が形成される。
加圧ピン52は、加圧ホルダ36の移動により押圧部54が光学部品16へ押し付けられることにより、曲げ部52Aにおいて弾性変形する。このとき、加圧ピン52は、曲げ部52Aから押圧部48Aの間で撓むように弾性変形が生じる。
加圧ピン52は、撓みが生じることで光学部品16をベースプレート14へ向けて押圧する。また、加圧ピン52は、撓みにより得られるストロークで光学部品16を位置決め部28へ向けて押圧する。
以上説明した本実施形態は、ガイドシャフト32及び加圧ボルト44を用いて形成した昇降部により、加圧ホルダ36を載置台12へ向けて移動するようにしているが、昇降部は、これに限るものではない。昇降部は、例えば、モータ等の駆動部の駆動力により回転する送りねじを備えた送りねじ機構を用い、加圧ホルダ36をガイドシャフト32に沿って移動させるなど、各種の昇降機構を適用することができる。また、昇降部としてモータ等の駆動力を用いた昇降機構を適用する場合は、加圧治具を予め設定した移動量、移動位置で自動停止させることができるので好ましい。
開示の技術において、加圧ピンの傾きの角度、加圧ピンのサイズを含めた形状、材質は、被固定部材をクランプするのに必要な押圧力、及び被固定部材を位置決めするのに必要な押圧力が得られるように設定されるものであれば良い。
開示の技術は、上記実施の形態に記載に限らず、各部分が目的とする機能を含む形態であれば良い。また、本明細書に記載された全ての特許出願及び特許出願に開示される技術文献は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に、参照により取り込まれる。
また、開示の技術は、以下の付記を含む。
(付記1)
基板に取り付けられる被固定部材を、前記基板に対して位置決めする位置決め用治具の基準面に当接させて配置し、
前記被固定部材を前記基準面に当接させる方向に傾けた加圧ピンを、先端部を前記被固定部材に当接させて弾性変形により撓ませることにより、前記被固定部材を前記基板及び前記基準面へ向けて押圧させる、
ことを含むクランプ方法。
(付記2)
前記基板に配置される複数の前記被固定部材の各々に対して前記加圧ピンを設け、
前記加圧ピンの各々を一体で前記基板へ向けて移動させて、前記被固定部材の各々を押圧する、付記1記載のクランプ方法。
(付記3)
前記基板に、前記被固定部材を接着固定する接着剤を塗布する、付記1又は付記2記載のクランプ方法。
(付記4)
被固定部材が取り付けられる基板が載置される基台と、
前記基板上に配置される前記被固定部材が基準面に当接されることにより、前記被固定部材が前記基板に対して位置決めされる位置決め用治具と、
前記基板上に配置される前記被固定部材を前記基準面に当接させる方向に傾けられて配置され、先端部が前記被固定部材に対向される加圧ピンと、
前記加圧ピンを保持して前記基台に載置される前記基板に対向され、前記先端部を前記被固定部材に当接させた前記加圧ピンを弾性変形させることにより撓ませて、前記被固定部材を前記基台及び前記基準面へ向けて押圧する加圧治具と、
を含むクランプ装置。
(付記5)
前記基板に配置される複数の前記被固定部材の各々に対する前記加圧ピンが、前記加圧治具に設けられた、付記4記載のクランプ装置。
(付記6)
前記加圧治具を、前記加圧ピンに前記弾性変形による撓みの生じる位置へ移動させて保持する昇降部を含む、付記4又は付記5記載のクランプ装置。
(付記7)
前記加圧治具が、前記加圧ピンの基部が挿入されることで、前記加圧ピンを、前記被固定部材から前記基準面へ向く方向に沿って傾けて保持する取付け孔が形成されたホルダを含む、付記4から付記6の何れかに記載のクランプ装置。
(付記8)
前記基台に載置される前記基板に、前記被固定部材を接着固定する接着剤が塗布される、付記4から付記7の何れかに記載のクランプ装置。
(付記9)
前記加圧ピンの前記被固定部材に対向する前記先端部が円弧状に湾曲され、湾曲された外周面が前記被固定部材に当接される、付記4から付記8の何れかに記載のクランプ装置。
(付記10)
前記加圧ピンの前記被固定部材に当接される前記先端部が、被覆処理されている付記4から付記9の何れかに記載のクランプ装置。