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JP6135624B2 - 触媒付パティキュレートフィルタ - Google Patents
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JP6135624B2 - 触媒付パティキュレートフィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの排気ガス通路に設けられ、排気ガス中のパティキュレートを捕集・燃焼除去するための触媒付パティキュレートフィルタに関するものである。
ディーゼルエンジンやリーンバーンガソリンエンジンの排気ガス中には炭素を主成分とするパティキュレート(微粒子状のパティキュレートマター)が含まれている。そこで、排気ガス通路にフィルタを配置してパティキュレートを捕集するとともに、その捕集量が多くなったときに、パティキュレートを燃焼させてフィルタから除去することにより、フィルタを再生することが行なわれている。そして、パティキュレートの燃焼を促進するためにフィルタ本体には、Pt等の貴金属触媒が担持されている。
このような触媒付パティキュレートフィルタは、一般にその再生中において径方向に温度分布が生じる。すなわち、フィルタの外周に近い外側ゾーンは周囲の断熱材を介してケーシングに熱が逃げるため温度が低下し、またフィルタの中央に近い内側ゾーンは外側ゾーンよりもガス流量が多くパティキュレートが燃焼しやすいため、温度が上昇する傾向がある。その結果、この両ゾーン間の温度差に起因して、パティキュレート燃焼速度に差が生じるため、フィルタ全体の再生時間が長くなり、燃費性能の低下につながる。
従って、例えば特許文献1には、燃焼開始温度の低下作用を有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属をフィルタの外周側部位に担持することにより、低温の外周側部位においても燃焼開始のタイミングを早めてフィルタ内の再生度合いのばらつきを是正することが記載されている。
特開2003−97251号公報
ところで、アルカリ金属及びアルカリ土類金属は排気ガス中のNOxをトラップして硝酸塩になることが知られている。そして、これらをフィルタに担持させると、パティキュレート燃焼時に硝酸塩の分解によって放出される活性な酸素やNOが酸化剤として働き、パティキュレートの燃焼を促進する効果がある。
従って、アルカリ金属やアルカリ土類金属をフィルタに担持することは、Pt等の貴金属触媒の使用量を低減し、触媒の低コスト化を図る上でも有用である。
しかしながら、特許文献1のものでは、フィルタの外周側部位での燃焼開始を早める効果はあるものの、アルカリ金属又はアルカリ土類金属をこの外周側部位にのみ担持する構成であるため、フィルタ全体として貴金属触媒の使用量を低減し且つこれらのパティキュレート燃焼促進性能を効果的に利用することはできない。
また、アルカリ金属、アルカリ土類金属の両者ともに上述のような利点を有するものの、アルカリ金属はフィルタ担体セラミックの粒界を侵食して強度低下を引き起こすという問題があるため、実際にはアルカリ土類金属を触媒として使用することがより望ましい。
この点、特許文献1には、実施形態としてアルカリ金属を担持したもののみが記載されているため、アルカリ土類金属を担持した場合にフィルタ内の再生度合いのばらつきが是正される効果については不明である。
そこで本発明では、アルカリ土類金属を担持させた触媒付パティキュレートフィルタにおいて、アルカリ土類金属を効果的に配置して、貴金属触媒の使用量を低減させるとともに、径方向の温度分布により生じるフィルタの再生度合いの格差を是正しつつフィルタ全体のパティキュレート燃焼速度を上げて再生時間を短くし、燃費性能を向上させることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明では、2種以上のアルカリ土類金属化合物のうち、より高温においてパティキュレート燃焼促進効果が高いものを内側ゾーンに、より低温でパティキュレート燃焼促進効果が高いものを外側ゾーンにより多く配置するようにした。
すなわち、ここに提示する触媒付パティキュレートフィルタは、排気ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタ本体の排気ガス通路壁に、パティキュレート燃焼用の触媒が設けられたものであり、上記触媒は、少なくとも活性アルミナを含む無機酸化物粒子と、触媒金属と、2種以上のアルカリ土類金属化合物とを含有し、上記触媒金属及びアルカリ土類金属化合物は、上記無機酸化物粒子に担持されており、上記アルカリ土類金属化合物のうち、第1温度におけるパティキュレート燃焼促進効果が高いものが上記フィルタ本体の内側ゾーンにより多く担持され、上記第1温度よりも低い第2温度におけるパティキュレート燃焼促進効果が高いものが上記フィルタ本体の外側ゾーンにより多く担持されていることを特徴とする。
上述のごとく、フィルタ再生時にはフィルタの径方向に温度分布が生じる。具体的には例えば、上記フィルタの中心から面積としてフィルタ全体の1/3を占める部分を内側ゾーン、その外側を外側ゾーンとすると、内側ゾーンは450〜650℃、外側ゾーンは350〜550℃に到達する。
従って、例えば再生時にフィルタの内側ゾーンが到達する代表的温度である550℃を上記第1温度とし、外側ゾーンが到達する代表的温度である450℃を上記第2温度として、550℃又は450℃においてパティキュレート燃焼促進効果の高いアルカリ土類金属を、それぞれ内側又は外側ゾーンに担持させることができる。
本発明によれば、フィルタの径方向に温度分布が生じても、パティキュレート燃焼速度を全体として略均一に保つことができ、フィルタの再生度合いの格差を両ゾーン間で是正しつつフィルタ全体のパティキュレート燃焼速度を上げて再生時間を短くし、燃費性能を向上させることができる。また、アルカリ土類金属をフィルタ全体に配置することにより、Pt等の貴金属触媒の使用量を低減し、コストを削減することができる。
なお、上記第1温度としては450〜650℃、より好ましくは480〜620℃、特に好ましくは500〜600℃の温度を設定することができる。また、第2温度としては350〜550℃、より好ましくは380〜520℃、特に好ましくは400〜500℃の温度を設定することができる。
また、フィルタの内側ゾーンとしては、フィルタの中心から面積としてフィルタ全体の1/4〜2/3を占める部分であることが望ましい。
さらに、上記アルカリ土類金属化合物としては、Mg、Sr、Ca、Ba等の炭酸塩を使用することが好ましい。
また、上記無機酸化物粒子としては、活性アルミナ、Ce系酸化物、Ce非含有Zr系酸化物等を好ましく使用することができる。
触媒付パティキュレートフィルタのより好ましい態様においては、上記アルカリ土類金属化合物は、上記活性アルミナに担持されている。
なお、活性アルミナ粒子としては、添加物を含まない純アルミナ、金属等の添加物を含む金属含有アルミナ又はこれらの混合物等を好ましく使用することができる。特に好ましい態様は、純アルミナ及びLa含有アルミナの混合物を使用する構成である。
また、上記触媒金属としては、Pt、Pd、Rh等を含有することができ、これらは上記無機酸化物粒子に担持された構成とすることができる。特に好ましい態様は、上記触媒金属としてPtを含有し、当該Ptは上記活性アルミナに担持されている構成である。
以上説明したように、本発明によると、アルカリ土類金属を担持させた触媒付パティキュレートフィルタにおいて、アルカリ土類金属を効果的に配置することにより、貴金属触媒の使用量を低減させるとともに、径方向の温度分布により生じるフィルタの再生度合いの格差を是正しつつフィルタ全体のパティキュレート燃焼速度を上げて再生時間を短くし、燃費性能を向上させることができる。
第1実施形態に係る触媒付フィルタをエンジンの排気ガス通路に配置した図。 (a)は、同フィルタを模式的に示す正面図であり、(b)は、同フィルタの内側ゾーンと外側ゾーンとを説明するための図である。 同フィルタを模式的に示す縦断面図。 同フィルタの排気ガス通路壁を模式的に示す拡大断面図。 同フィルタの触媒の構成を模式的に示す断面図。 フィルタ温度550℃におけるカーボン燃焼速度を示すグラフ図。 フィルタ温度450℃におけるカーボン燃焼速度を示すグラフ図。 実施例及び比較例の煤燃焼速度を示すグラフ図。 (a)は、第2実施形態に係る触媒付フィルタを模式的に示す正面図であり、(b)は、同フィルタを構成するセグメントの拡大正面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
[第1実施形態]
図1に示すように、触媒付パティキュレートフィルタ(以下、単に「触媒付フィルタ」という)10は、ディーゼルエンジン等の排気ガス通路11に配置され、排気ガス中のパティキュレート(以下、「PM」という。)を捕集する。フィルタ10よりも排気ガス流の上流側の排気ガス通路11には、酸化物等からなるサポート材にPt等の触媒金属を担持した酸化触媒(図示省略)を配置することができる。
<フィルタの構造>
図2(a)及び図3に模式的に示すように、触媒付フィルタ10は、ハニカム構造をなしており、互いに平行に延びる多数の排気ガス通路12,13を備えている。下流端が栓14により閉塞された排気ガス流入路12と、上流端が栓14により閉塞された排気ガス流出路13とが交互に設けられ、排気ガス流入路12と排気ガス流出路13とは薄肉の隔壁15を介して隔てられている。図2においてハッチングを付した部分は排気ガス流出路13の上流端の栓14を示している。なお、本実施形態において、図2(a)に示すように触媒付フィルタ10の断面は円形状であるが、この形状に限定されるものではなく、楕円形状、矩形状等の他の形状を取り得る。
触媒付フィルタ10は、隔壁15を含むフィルタ本体がコージェライト、SiC、Si、サイアロン、AlTiOのような無機多孔質材料から形成されている。排気ガス流入路12内に流入した排気ガスは図3に矢印で示したように周囲の隔壁15を通って隣接する排気ガス流出路13内に流出する。図4に示すように、隔壁15は排気ガス流入路12と排気ガス流出路13とを連通する微小な細孔(排気ガス通路)16を有し、この細孔16を排気ガスが通る。PMは主に排気ガス流入路12及び細孔16の壁部に捕捉され堆積する。
上記フィルタ10本体の排気ガス通路(排気ガス流入路12、排気ガス流出路13及び細孔16)を形成する壁面には触媒20がコーティングされている。なお、排気ガス流出路13側の壁面に触媒を設けることは必ずしも要しない。
<触媒について>
次に、触媒20の構成について説明する。
図5に模式的に示すように、触媒20は、複数種の活性アルミナ21,22とこれらに担持された触媒金属25及びアルカリ土類金属26を含有する。以下、具体的に説明する。
本実施形態は、2種類の活性アルミナ21,22を有し、それらは共にγ−アルミナを主成分とし、それらのうちの一方は添加物を含まない純アルミナ(第1アルミナ)21であり、他方は添加物としてのLaを酸化物換算で約4質量%含有するLa含有アルミナ(第2アルミナ)22である。
純アルミナ21は、La含有アルミナ22に比べて細孔径が小さいから、その表面に担持される触媒金属25が多くなる。その結果、排気ガスが触媒金属25に接触し易くなってNOが多く生成されるため、PMの燃焼促進に有利である。また、純アルミナ21は、La含有アルミナ22(塩基性)とは違って、両性であって酸点を有するから、触媒金属25を結合する力が強い。そのため、触媒金属25が高温排ガスに晒されても凝集し難く、良好なPM燃焼性が長期間維持されることになる。
一方、La含有アルミナ22は、耐熱性が高いため、触媒付フィルタ10の耐久性を向上させることができる。また、純アルミナ21に比べて嵩比重が小さい、つまり嵩高であるため、ガス拡散性が良く、排気ガスとの接触が良好である。
従って、純アルミナ21とLa含有アルミナ22の混合により、La含有アルミナ22によって触媒の耐熱性、ガス拡散性を確保しながら、純アルミナ21によってPM燃焼性を高めることができる。そして、純アルミナ21の使用により、活性アルミナ全体としての嵩高さを抑えることができ、排気ガス通路の16の目詰まり防止に有利になる。これにより、触媒付フィルタ10によるエンジンの背圧上昇が抑えられるとともに、フィルタ10再生処理の頻度が低くなるため、燃費の悪化が避けられる。
なお、活性アルミナ21,22の総担持量は5g/L以上35g/L以下であることが好ましい。また、純アルミナ21とLa含有アルミナ22の質量比は純アルミナ/La含有アルミナ=1/8以上4/1以下とすることが好ましい。
上記活性アルミナ21,22に担持されている触媒金属25として、Pt、Pd、Rh等の金属又はこれらの混合物を使用することができる。本実施形態では、触媒金属25としてPtを使用している。従って、触媒20は、Ptを担持した活性アルミナ21,22を含有するため、NOを高効率でNOに酸化でき、PMの燃焼促進に有利になる。
なお、活性アルミナ21,22に対するPtの総担持量は、好ましくは1〜6wt%、より好ましくは2〜5wt%である。
また、上記活性アルミナ21,22に担持されているアルカリ土類金属26は、Mg、Ca、Sr又はBaである。これらアルカリ土類金属26は、NOxを吸蔵していないときは炭酸塩になっており、排気ガス中のNOxを硝酸塩の形態で吸蔵する(例えばSrの場合、SrCO3←→Sr(NO))。そして、当該硝酸塩が分解され、この硝酸塩の分解で放出される活性な酸素が酸化剤となるため、PMの燃焼が促進される。
なお、上記活性アルミナ21,22に対するアルカリ土類金属26の総担持量は、3〜14wt%、より好ましくは5〜12wt%である。
<活性アルミナへのPt及びアルカリ土類金属の担持>
純アルミナ及びLa含有アルミナを混合し、イオン交換水を加えてスラリー状にし、それをスターラー等により十分に撹拌する。続いて、撹拌しながらそのスラリーに所定量のエタノールアミンPtを滴下し、さらに、攪拌しながらそのスラリーに所定量のアルカリ土類金属塩の溶液(例えばアルカリ土類金属の酢酸塩をイオン交換水に溶かした液)を滴下し、十分に撹拌する。その後、加熱しながらさらに撹拌を続けて、水分を完全に蒸発させる。蒸発後、得られた乾固物を粉砕し、大気中において500℃で2時間焼成する。これにより、アルカリ土類金属及びPtがそれぞれの活性アルミナに担持された触媒粉末が得られる。なお、本実施形態において、アルカリ土類金属及びPtは、活性アルミナ材に対しそれぞれ10wt%及び4.5wt%となるように担持する。
ここに、エタノールアミンPtは、エタノールアミンとPtとの錯体であり、ニトロ基とアミン基とがPtを中心として配位する平面四角形分子構造のPt原料(Pt−Pソルト)と比較して、ヒドロキシル基がPtを中心として配位する八面体形分子構造をとる。加えて、エタノールアミンが(NHOH)が上記Pt−ヒドロキシル基錯体の周囲に存在するため、錯体が大きい。従って、エタノールアミンPtを用いるとその錯体の多くが活性アルミナや活性酸素放出材の細孔内に入り込むことなく、それらの表面上に担持される。すなわち、多くのPtをそれらサポート材の表面に配置することができる。その結果、Ptと排気ガスとの接触率を大きくでき、Ptによる排気ガス中のNOの酸化効率を向上できてNO生成量を増大できる。その結果、PM燃焼効率を向上できる。
<異なるアルカリ土類金属を担持させたフィルタのPM燃焼性能の評価>
−フィルタ本体への触媒粉末のコーティング−
フィルタ本体への触媒粉末のコーティングは以下の手順により行う。
すなわち、アルカリ土類金属炭酸塩及びエタノールアミンPtを担持した活性アルミナ材の粉末にジルコニアバインダ溶液、イオン交換水を添加した後に、ボールミルにより粉砕しながら混合を行い、スラリーを作製する。
そして、フィルタ本体に上記スラリーをコーティングする。ウォッシュコート量は、サポート材が20g/Lとなるようにコーティングする。スラリーをコート後、150℃での乾燥、500℃で2時間の焼成を行った。
−フィルタのPM燃焼性能の評価−
4種類のアルカリ土類金属Mg、Ca、Sr又はBaについて、上記調整方法により、触媒付フィルタをそれぞれ調整した。そして、各フィルタに大気中で800℃の温度に24時間保持するエージングを行なった後、各フィルタのPM燃焼性能を調べた。
まず、5g/L相当のカーボンブラックにイオン交換水を加え、スターラーを用いて攪拌することによりカーボンブラックを充分に分散させた。得られたスラリーに上記エージング処理したフィルタの入口端部を浸漬させるとともに、出口端部からアスピレータによる吸引を行なった。この吸引により除去できない水分は、当該フィルタのスラリーに浸漬させた側の端面からのエアーブローで除去した。そして、150℃の温度で2時間保持することによりフィルタを乾燥させた。
得られた各フィルタを固定床式のモデルガス流通装置に取り付け、Nガスをフィルタに流しながらフィルタ入口のガス温度を常温からフィルタ温度Tまで上昇させた。フィルタ温度がTで安定した後、その温度を維持した状態で、ガス組成を「7.5%O+300ppmNO+N(バランスガス)」に切り換え、当該モデルガスの空間速度を40000/hとしてフィルタに流した。そして、カーボンの燃焼により生成されるCO及びCOのモデルガス中の濃度を測定することにより、フィルタにおけるカーボン燃焼量の経時変化を測定し、カーボンが90%燃焼するまでに要した時間(以下、「90%燃焼時間(min)」という)を求めた。また、上記90%燃焼時間からカーボンの燃焼速度(mg/L・min)を算出した。
なお、フィルタ再生時、フィルタの内側ゾーンが到達する代表的温度である550℃と、フィルタの外側ゾーンが到達する代表的温度である450℃をそれぞれフィルタ温度Tとして、各温度における各フィルタのPM燃焼性能を評価した。
表1に、各種アルカリ土類金属及びPtを担持させた活性アルミナを含む触媒材をコーティングした各フィルタの90%燃焼時間及びカーボン燃焼速度を示す。
また、図6及び図7に、表1に示すフィルタ温度550℃及び450℃におけるカーボン燃焼速度をそれぞれ示している。
図6に示すように、フィルタ温度Tが550℃の場合、担持されたアルカリ土類金属毎のカーボン燃焼速度を比較すると、Mg又はCa担持活性アルミナのカーボン燃焼速度は、Sr又はBa担持活性アルミナに比べ10mg/L・min程度速いことが判る。
また、図7に示すように、フィルタ温度Tが450℃の場合、Mg担持アルミナは、Ca、Sr又はBa担持アルミナに比べて燃焼速度が遅くなることが判る。これは、450℃の条件では、Mgは炭酸塩の方が安定性が高く、NOx吸蔵速度が律速になるためと考えられる。
一方、十分高温では、Mg炭酸塩は流通ガスに含まれるNOと反応することで硝酸塩の形態をとる。このため、NOx吸蔵速度が向上することから、図6に示すように、Mgは550℃で高いカーボン燃焼促進効果を示すと考えられる。
従って、フィルタ温度が550℃の条件では、アルカリ土類金属として、カーボン燃焼促進効果のより高いMgやCaを用いることが好ましく、一方、フィルタ温度が450℃の条件では、カーボン燃焼促進効果のより高いBaやSr、Caを使用することが好ましいことが判る。
<2種以上のアルカリ土類金属を担持させた触媒付フィルタのPM燃焼性能の評価>
−フィルタの内側ゾーン及び外側ゾーンについて−
図2(b)を参照して、図2(a)に示す触媒付フィルタ10の内側ゾーンと外側ゾーンについて説明する。
図2(b)に示すように、フィルタ10の断面全体が中心Oから半径Rの円形状であるとすると、中心Oから半径rの円で囲まれた部分をフィルタの内側ゾーン10a、その外側を外側ゾーン10bとすることができる。
フィルタ10の再生時には、内側ゾーン10aは450〜650℃、より好ましくは480〜520℃、特に好ましくは500〜600℃に到達する。このとき、外側ゾーン10bは、内側ゾーンよりもガス流れが弱いこと及び熱引けの影響等により、350〜550℃、より好ましくは380℃〜520℃、特に好ましくは400〜500℃に到達する。
なお、内側ゾーン10aは、面積としてフィルタ全体の1/4〜2/3を占める部分とすることができる。
−フィルタ内側及び外側ゾーンへの触媒粉末のコーティング−
フィルタ本体の内側ゾーン及び外側ゾーンへのコーティングは以下の手順により行う。
各種アルカリ土類金属炭酸塩及びエタノールアミンPtを担持した活性アルミナ材の粉末にジルコニアバインダ溶液、イオン交換水を添加した後に、ボールミルにより粉砕しながら混合を行い、スラリーを作製する。フィルタの内側ゾーンにコーティングするスラリーをスラリーA、外側ゾーンにコーティングするスラリーをスラリーBとする。
フィルタ本体の内側ゾーンのガス流入出部にマスキングを施し、スラリーBをコーティングする。外側ゾーンへのスラリーBのコーティング後、マスキングを除去し、150℃での乾燥を行った後に、フィルタ本体の外側ゾーンのガス流入出部にマスキングを施し、スラリーAをコーティングする。ウォッシュコート量は、フィルタ本体の内側ゾーン及び外側ゾーンへの総和が28.5g/L(うちPt0.5g/L)となるようにコーティングする。スラリーAをコーティング後、マスキングを除去し、150℃での乾燥、500℃で2時間の焼成を行う。
−実機試験−
上記方法により調整した触媒付フィルタについて、大気中で800℃の温度に24時間保持するエージングを行った。
2Lのディーゼルエンジンの排気下流に、酸化触媒を前段にして、上記フィルタ装着した。そして、フィルタ入口側300℃以下の所定のエンジン運転条件において、フィルタに煤を5g/L程度堆積させた。
次に、エンジン側でポスト噴射を行い、未燃燃料を前段の酸化触媒において酸化させることで、触媒付フィルタの再生試験を行った。なお、フィルタ入口温度は580℃とし、このときフィルタ出口温度及びフィルタの内側ゾーンの温度は同じ580℃、フィルタの外側ゾーンの温度は480℃であった。
触媒付フィルタの前後の差圧から、上記煤が90%燃焼するタイミングを推定し、実機による再生試験を終了した。そして、触媒付フィルタの試験前後の重量変化及び再生時間から煤燃焼速度(mg/L・min)を算出した。
−フィルタのPM燃焼性能の評価−
アルカリ土類金属として、Mg、Sr、Ca又はBaを使用し、上記触媒付フィルタの製造方法によって、フィルタの内側ゾーン10a及び外側ゾーン10bに異なるアルカリ土類金属を担持させた実施例1,2の各フィルタを調整し、そのPM燃焼性能を実機試験により評価した。また表1に示す各フィルタについても比較例1−4として実機試験によりそのPM燃焼性能を評価した。結果を表2及び図8に示す。なお、内側ゾーン10aは、断面積でフィルタ全体に対し1/4の面積(図2(b)においてr=R/2)を占める部分である。
(実施例1)
表1によれば、フィルタ温度550℃ではMg又はCa担持フィルタのカーボン燃焼速度が速く、フィルタ温度450℃ではSr又はBa担持フィルタのカーボン燃焼速度が速いことから、実施例1のフィルタとして、内側ゾーン10aにMg及びCa、外側ゾーン10bにSr及びBaを担持させたものを調整した。
すなわち、アルカリ土類金属としてMgとCaとを1対1の割合で担持させた活性アルミナを用いてスラリーAを、またSrとBaとを1対1の割合で担持させた活性アルミナを用いてスラリーBを作成した。そして、上述のごとく、フィルタの内側ゾーン10aにスラリーAを、フィルタの外側ゾーン10bにスラリーBをそれぞれコーティングすることにより、触媒付フィルタを調整した。
(実施例2)
実施例2は、実施例1と同様の理由から、アルカリ土類金属としてMgを担持させた活性アルミナを使用してスラリーAを、また、Baを担持させた活性アルミナを使用してスラリーBを作成した。そして、実施例1と同様にスラリーA及びスラリーBをそれぞれフィルタの内側ゾーン10a及び外側ゾーン10bにコーティングすることにより、触媒付フィルタを調整した。
(比較例1−4)
比較例1,2,3,4は、表1に示したものと同様に、アルカリ土類金属としてそれぞれMg,Sr,Ba,Caを担持させた触媒付フィルタである。
(煤燃焼速度の評価)
表2及び図8に示すように、比較例1−4の触媒付フィルタに比べ、実施例1及び2の触媒付フィルタは煤燃焼速度が速いことが判る。
特に、比較例1のMg担持フィルタでは、表1に示すようにフィルタ温度によりカーボン燃焼速度が大きく異なるため、Mgをフィルタ全体に担持し且つフィルタの径方向に温度分布が生じた場合に、結果として外側ゾーンの煤の燃焼速度が下がり、ひいては全体の煤燃焼速度が下がると考えられる。
従って、実施例1及び2に示すように、フィルタの内側ゾーン10aに、表1においてフィルタ温度550℃でカーボン燃焼速度が速いMg及びCa、又はMgのみを担持するとともに、フィルタの外側ゾーン10bに、表1においてフィルタ温度450℃でカーボン燃焼速度が速いSr及びBa、又はBaのみを担持した場合に、フィルタ全体の煤燃焼速度が比較例1−4のものに比べて速くなると考えられる。
以上述べたように、本実施形態に係る触媒付フィルタ10は、アルカリ土類金属のうち、フィルタ再生時にフィルタの内側ゾーンが到達する代表的温度におけるカーボン燃焼促進効果が高いものがフィルタ本体の内側ゾーンにより多く担持され、フィルタの外側ゾーンが到達する代表的温度におけるカーボン燃焼促進効果が高いものが上記フィルタ本体の外側ゾーンにより多く担持されていることを特徴とする。
本発明によれば、フィルタの径方向に温度分布が生じても、PM燃焼速度を全体として略均一に保つことができ、フィルタの再生度合いの格差を両ゾーン間で是正しつつフィルタ全体のPM燃焼速度を上げて再生時間を短くし、燃費性能を向上させることができる。また、アルカリ土類金属をフィルタ全体に配置することにより、Pt等の貴金属触媒の使用量を低減し、コストを削減することができる。
以下、本発明に係る他の実施形態について詳述する。なお、これらの実施形態の説明において、第1実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
[第2実施形態]
図9(a)に示すように、楕円形状の断面を有する触媒付フィルタを採用することができる。
この触媒付フィルタ10は、排気ガス流入路12と排気ガス流出路13とを備えたセグメント41を多数組み合わせて構成されている。
図9(b)に示すように、セグメント41は、図2(a)に示す第1実施形態の触媒付フィルタと同様に、排気ガス流入路12と排気ガス流出路13が交互に配置された構造を有する。
本実施形態の触媒付フィルタ10においては、内側ゾーン10aは太実線で区画された内側の部分であり、外側ゾーン10bは内側ゾーン10aの外側である。
従って、内側ゾーン10aに位置するセグメント41と、外側ゾーン10bに位置するセグメント41とに担持するアルカリ土類金属の種類を変えることにより、内側ゾーン10aと外側ゾーン10bに異なる種類のアルカリ土類金属を担持させることができる。
すなわち、具体的には、内側ゾーン10aに位置するセグメント41にスラリーAをコーティングし、外側ゾーン10bに位置するセグメント41にスラリーBをコーティングした後、それぞれ150℃で乾燥、500℃で2時間の焼成を施して、それぞれのセグメント41を組み合わせることにより、図9(a)に示す触媒付フィルタ10を形成することができる。
[その他の実施形態]
また、上記第1又は第2実施形態において、触媒20は、サポート材として活性アルミナ21,22を含有する構成であるが、Ce非含有Zr系複合酸化物、Ce系複合酸化物等又はこれらの混合物を含有する構成としてもよい。
ここに、Ce非含有Zr系複合酸化物は、酸素交換反応によって周囲から酸素を内部に取り込んで活性な酸素を放出する。よって、このZr系複合酸化物に担持されたPt等の触媒金属は活性の高い酸化状態に保たれ、優れたPM燃焼性能を有することとなる。一方、Ce系複合酸化物は、高い酸素吸蔵放出能を有し、PMの燃焼に伴ってその燃焼部位の酸素が局部的に消費されても、このCe系複合酸化物によって酸素が速やかに補われてPM燃焼が維持される。
本発明は、アルカリ土類金属を担持させた触媒付パティキュレートフィルタにおいて、アルカリ土類金属を効果的に配置して、貴金属触媒の使用量を低減させるとともに、フィルタの内側及び外側ゾーン間の再生度合いの格差を是正しつつフィルタ全体のパティキュレート燃焼速度を上げて再生時間を短くし、燃費性能を向上させることができるので、極めて有用である。
10 触媒付フィルタ(触媒付パティキュレートフィルタ)
10a 内側ゾーン
10b 外側ゾーン
11 排気ガス通路
12 排気ガス流入路(フィルタ本体の排気ガス通路)
13 排気ガス流出路(フィルタ本体の排気ガス通路)
14 栓
15 隔壁(排気ガス通路壁)
16 細孔(フィルタ本体の排気ガス通路)
20 触媒
25 触媒金属
26 アルカリ土類金属(アルカリ土類金属化合物)

Claims (3)

  1. 排気ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタ本体の排気ガス通路壁に、パティキュレート燃焼用の触媒が設けられている触媒付パティキュレートフィルタであって、
    上記触媒は、少なくとも活性アルミナを含む無機酸化物粒子と、触媒金属と、2種以上のアルカリ土類金属化合物とを含有し、
    上記触媒金属及びアルカリ土類金属化合物は、上記無機酸化物粒子に担持されており、
    上記アルカリ土類金属化合物のうち、第1温度におけるパティキュレート燃焼促進効果が高いものが上記フィルタ本体の内側ゾーンにより多く担持され、上記第1温度よりも低い第2温度におけるパティキュレート燃焼促進効果が高いものが上記フィルタ本体の外側ゾーンにより多く担持されていることを特徴とする触媒付パティキュレートフィルタ。
  2. 請求項1において、
    上記アルカリ土類金属化合物は、上記活性アルミナに担持されていることを特徴とする触媒付パティキュレートフィルタ。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    上記触媒金属としてPtを含有し、当該Ptは上記活性アルミナに担持されていることを特徴とする触媒付パティキュレートフィルタ。
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