JP6136478B2 - 靭性と圧延方向の剛性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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[1] 質量%で、C:0.05%以上、0.2%以下、Si:0.01%以上、0.6%以下、 Mn:0.5%以上、2.5%以下、P:0.001%以上、0.1%以下、S:0.0005%以上、0.05%以下、Al:0.01%以上、0.2%以下、N:0.0001%以上、0.010%以下、B:0.0003%以上、0.005%以下、Ti:48N/14+0.01%以上、0.14%以下を、下記(1)式を満足する範囲で含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼組成を有し、
降伏強度が880MPa以上であり、圧延方向のヤング率が210GPa以上であり、板厚方向1/2位置での{100}〜{111}<011>方位群の最大X線ランダム強度比が3.5以上、{110}<001>方位のX線ランダム強度比が2.0以下であることを特徴とする靭性と圧延方向の剛性に優れた高強度熱延鋼板。
0.2≦(1.3×Nb(mass%)+Ti*(mass%))×B*(ppm)≦1.0 ・・・・・ (1)
{但し、上記(1)式中、Ti*=(Total Ti(mass%)−48N/14)であり、Ti*<0の場合は、Ti*=0である。また、B≦14ppmの場合は、B*=(−0.05×B2 +1.5B(ppm))であり、B>14ppmの場合は、B*=11.2である。}
[2] さらに、質量%で、Nb:0.005%以上、0.09%以下を含有することを特徴とする[1]に記載の靭性と圧延方向の剛性に優れた高強度熱延鋼板。
[3] さらに、質量%で、Mo:0.02%以上、0.5%以下、Cr:0.1%以上、2.0%以下、W:0.01%以上、2.0%以下、Cu:0.04%以上、2.0%以下、Ni:0.02%以上、1.0%以下、V:0.001%以上、0.10%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする[1]又は[2]に記載の靭性と圧延方向の剛性に優れた高強度熱延鋼板。
[4] さらに、質量%で、Ca、Mg、Zr、REMの1種または2種以上を合計で0.0005%以上、0.05%以下で含有することを特徴とする[1]〜[3]の何れかに記載の靭性と圧延方向の剛性に優れた高強度熱延鋼板。
[5] [1]〜[4]の何れかに記載の高強度熱延鋼板を製造する方法であって、[1]〜[4]のいずれかに記載の鋼成分を有するスラブを1150℃以上1250℃以下に加熱した後、1000℃以下でのトータル圧下率が20%以上、60%以下、仕上げ温度が850℃以上、950℃以下となる条件で熱間圧延を行い、その後、20℃/秒以上の冷却速度で冷却し、200℃以下の温度でコイル状に巻き取ることを特徴とする靭性と圧延方向の剛性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
[6] 前記コイル状に巻き取った鋼板を室温まで冷却した後、さらに、最高到達温度150〜500℃の焼鈍を施すことを特徴とする[5]に記載の靭性と圧延方向の剛性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
の各構成を有する。
0.2≦(1.3×Nb(mass%)+Ti*(mass%))×B*(ppm)≦1.0・・・・・(1)
但し、上記(1)式中、Ti*=(Total Ti(mass%)−48N/14)であり、Ti*<0の場合は、Ti*=0である。また、B≦14ppmの場合は、B*=(−0.05×B2 +1.5B(ppm))であり、B>14ppmの場合は、B*=11.2である。
以下に、本発明における鋼特性および製造条件の限定理由について詳しく説明する。
本発明の高強度熱延鋼板における成分組成に関し、各元素の限定理由について以下に詳述する。なお、以下の説明においては、特に指定の無い限り、「%」は質量%を表すものとする。
Cは、安価に強度を確保出来る元素であり、本発明の必須元素である。強度を満足するためには、Cが0.05%未満では、本発明で規定する強度が満足できない。また、Cが0.2%を超えると強度が上がりすぎ、延性が低下するとともに溶接性も劣化する。このため、本発明では、Cの含有量を0.05%以上、0.2%以下に規定した。
Siは、強度を確保するために0.01%以上添加する。また、溶接性の観点からは、Siを0.1%以上添加することが望ましい。しかしながら、Siを0.6%超添加すると、表面にSiスケールと呼ばれる欠陥が発生し、表面品位を著しく低下させることから、0.6%を上限とする。また、この観点から、Siの添加量は、より好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0.15%以下とする。
Mnは、強度確保の観点から0.5%以上添加する。また、この観点からは、Mnは1.0%以上添加することが望ましく、さらに望ましくは1.3%以上である。また、Mn添加量が2.5%を超えると、溶接割れ感受性が劣化することから、その上限を2.5%以下とする。また、この観点からは、Mnの添加量を2.2%以下とすることが望ましく、さらに望ましくは2.0%以下である。
Pは、鋼板の強度を上げる元素として、必要な強度レベルに応じて添加する。しかしながら、Pの添加量が多いと、粒界へ偏析するために局部延性、溶接性、靱性を劣化させる。従って、Pの上限値は0.1%とする。また、この観点からは、Pは0.05%以下とすることが望ましい。一方、0.001%未満では、Pによる劣化効果は無視できる他、これ未満にするにはコストの上昇を招くことから、0.001%を下限とする。
Sは、MnSを生成することで、局部延性、溶接性、靭性を劣化させる元素であり、鋼中に存在しない方が好ましい元素であることから、その上限を0.05%とする。また、この観点からは、Sは0.01%以下とすることが望ましい。一方、Sを0.0005%未満にするにはコストの上昇を招くことから、これを下限とする.
Alは、脱酸材として0.01%以上添加する必要がある。一方、Alを過度に添加しても、かえって鋼を脆化させるとともに溶接性も低下させるため、0.2%を上限とする。
Nは、鋼中に不可避的に含まれる元素であるが、BNを形成し、固溶Bを低減させて焼き入れ性を劣化させることから、その含有量を0.010%以下とする。また、この観点からは、Nは0.006%以下の添加が望ましい。一方、不必要にNを低減することは、製鋼工程でのコストが増大するので、その含有量を0.001%以上に制御する。
Bは、本発明において重要な元素であり、安価な焼き入れ性向上元素である。また、Bは、Nb、Tiと複合添加することでオーステナイト相での未再結晶温度域を広げ、圧延方向のヤング率を向上させる加工集合組織の発達を促すとともに、焼き入れ時のバリアント選択に影響を及ぼし、{100}〜{111}<011>方位群、特に{211}<011>方位を強める効果がある。そのため、本発明では、Bを0.0003%以上添加し、さらに上記観点からは0.0006%以上の添加が望ましい。一方、Bを0.005%超添加しても、特段の効果が得られないばかりでなく、靭性の劣化を招くことから、0.005%を上限とする。また、この観点からは、Bは0.003%以下の添加が望ましい。
Tiは、高温でTiNを形成することでBNの析出を阻害することから、次式{48N/14+0.01}%以上で添加する。また、固溶Tiは再結晶を遅延し、熱延中の加工集合組織の発達を促すことから、積極的に添加する。一方、Tiを0.14%超で添加しても、それ以上の再結晶遅延効果が得られないばかりでなく、靭性や溶接性の低下を招くことから、この値を上限とする。
本発明においては、上記の必須元素に加え、さらに、Nbを所定範囲で添加することが、より望ましい。ここで、Nbも、Tiと同様、再結晶を抑制し、加工集合組織の形成を促す元素であることから、0.005%以上添加することが望ましい。一方、Nbの0.09%超の添加は、靭性の靭性や延性を著しく劣化させることから、この値を上限とする.
(Cr:クロム)0.1%以上、2.0%以下
(W:タングステン)0.01%以上、2.0%以下
Mo、Cr、Wは、いずれも、焼入性を向上させるとともに炭化物を形成して強度を高める効果を有する元素である。そのため、各々0.02%以上(Mo)、0.1%以上(Cr)、0.01%以上(W)で添加することが望ましい。一方、各々0.5%超(Mo)、2.0%超(Cr)、2.0%超(W)の添加は、延性や溶接性を低下させる。以上の観点から、Moは0.02%以上、0.5%以下、Crは0.1%以上、2.0%以下、Wは0.01%以上、2.0%以下の範囲で、必要に応じて添加することが望ましい.
Cuは、鋼板強度を上げるとともに、耐食性やスケールの剥離性を向上させる元素であることから、0.04%以上添加することが望ましい。一方、Cuの2.0%超の添加は表面疵の原因となるため、0.04%以上、2.0%以下の範囲で必要に応じて添加することが望ましい。
Niは、鋼板強度を上げるとともに、靭性を向上させる元素であることから、0.02%以上添加することが望ましい。一方、Niの1.0%超の添加は延性劣化の原因となるため、0.02%以上、1.0%以下の範囲で必要に応じて添加することが望ましい。
Vは、強度の向上に効果がある元素である。しかしながら、0.001%未満のVの添加ではその効果が得られず、0.10%を超える添加では、逆に靱性の低下を招くため、その範囲を0.001〜0.10%以下とする。
次に、各元素の関係式である下記(1)式について説明する。
本発明の高強度熱延鋼板において、上記各本発明の効果を得るためには、鋼組成が下記(1)式の関係を満足する必要がある。
0.2≦(1.3×Nb(mass%)+Ti*(mass%))×B*(ppm)≦1.0 ・・・・・ (1)
但し、上記(1)式中、Ti*=(Total Ti(mass%)−48N/14)であり、Ti*<0の場合は、Ti*=0である。また、B≦14ppmの場合は、B*=(−0.05×B2 +1.5B(ppm))であり、B>14ppmの場合は、B*=11.2である。
本発明の高強度熱延鋼板においては、圧延方向のヤング率を210GPa以上に規定し、高い剛性を確保している。
一方、{110}<001>方位は、熱延の圧下率が低く加工集合組織が発達しないと相対的に増加する。この方位は、圧延方向のヤング率を下げる方位であることから、そのX線ランダム強度比は2.0以下とする。また、{110}<001>方位のX線ランダム強度比の上限は特に定めないが、定義上0が下限となる。
図1のΦ=0°の軸上の点で示したように、{100}〜{111}<011>方位群は、厳密には、Φ=0°,φ1=0〜54.74°の範囲を指すものである。しかしながら、試験片加工や試料のセッティングに起因する測定誤差を生じることがあるため、{100}〜{111}<011>方位群のX線ランダム強度比の最大値は、図1中の斜線部で示した、Φ=0〜5°,φ1=0〜55°の範囲内での最大のX線ランダム強度比とする。
ここで、結晶の方位は、通常、板面に垂直な方位を[hkl]又は{hkl}、圧延方向に平行な方位を(uvw)又は<uvw>で表示する。{hkl},<uvw>は、等価な面の総称であり、[hkl],(uvw)は、個々の結晶面を指す。即ち、本発明においてはbcc構造を対象としているため、例えば、(111),(−111),(1−11),(11−1),(−1−11),(−11−1),(1−1−1),(−1−1−1)面は等価であり、区別がつかない。このような場合、これらの方位を総称して{111}と称する。
E=0.946×(l/h)3×m/w×f2 ・・・・・ (2)
但し、上記(2)式中において、E:動的ヤング率(N/m2)、l:試験片の長さ(m)、h:試験片の厚さ(m)、m:質量(kg)、w:試験片の幅(m)、f:横共振法の一次共振振動数(s−1)である。
まず、鋼板を、機械研磨や化学研磨などによって板厚方向に所定の位置まで研磨し、必要に応じて、電解研磨や化学研磨によって歪みを除去すると同時に、1/2板厚部が測定面となるように調整する。なお、測定面を正確に1/2板厚部とすることは困難であるので、目標とする位置を中心として、板厚に対して3%の範囲内が測定面となるように試料を作製すればよい。なお、板厚中心部で偏析等の異常が認められる場合には、板厚の7/16〜9/16の範囲内で、偏析部分を避けて試料を作製すれば良い。また、X線回折による測定が困難な場合には、EBSP(Electron Back Scattering Pattern)法やECP(Electron Channeling Pattern)法により、統計的に十分な数の測定を行っても良い。
本発明の高強度熱延鋼板においては、降伏強度(YP)を880MPa以上に規定している。
本発明では、鋼組成を上述した範囲に制御し、さらに、各製造条件を後述の条件とすることで、降伏強度が880MPa以上の高強度熱延鋼板が実現できる。このように、降伏強度を880MPa以上に高めることにより、例えば、鋼板の板厚を4.0〜10mm程度まで薄肉化して用いる場合であっても、十分に高い強度が確保できる。
本発明に係る靭性と圧延方向の剛性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法について以下に説明する。
本発明の高強度熱延鋼板の製造方法は、上記鋼成分を有するスラブを1150℃以上1250℃以下に加熱した後、1000℃以下でのトータル圧下率が20%以上、60%以下、仕上げ温度が850℃以上、950℃以下となる条件で熱間圧延を行い、その後、20℃/秒以上の冷却速度で冷却し、200℃以下の温度で巻き取る方法である。
従って、例えば、大型クレーンのブームをはじめとする建機の構造用部材等に本発明を適用することにより、ブーム自体の軽量化、および、つり上げ運搬容量の拡大を図ることができ、作業効率が顕著に向上するメリットを十分に享受することができることから、その社会的貢献は計り知れない。
また、引張特性(YP)は、JIS5号引張試験片を、圧延方向に対して直角方向から採取して評価した。
また、靭性は、シャルピー衝撃試験で評価した。この際、JIS Z2202試験片を、圧延方向に対して直角方向を長手方向として作製し、試験温度−40℃での吸収エネルギーを測定した。なお、板厚10mm未満の鋼板については、10mmのフルサイズ試験片の値に換算した。
次に、X線回折によって得られた{110},{100},{211},{310}極点図を基に、級数展開法でODFを得た。そして、このODFから、{100}〜{111}<011>方位群の最大値、および、{110}<001>方位のX線ランダム強度比を求めた。
表4、5に示す結果から明らかなように、本発明で規定する化学成分を有する鋼を適正な条件で熱間圧延した場合には、YPが880MPa以上で、圧延方向のヤング率が210GPa以上であり、衝撃エネルギーの高い熱延鋼板を得ることができた(表1〜6の備考欄における本発明例)。
Claims (6)
- 質量%で、
C :0.05%以上、0.2%以下、
Si:0.01%以上、0.6%以下、
Mn:0.5%以上、2.5%以下、
P :0.001%以上、0.1%以下、
S :0.0005%以上、0.05%以下、
Al:0.01%以上、0.2%以下、
N :0.0001%以上、0.010%以下、
B :0.0003%以上、0.005%以下、
Ti:48N/14+0.01%以上、0.14%以下
を、下記(1)式を満足する範囲で含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼組成を有し、
降伏強度が880MPa以上であり、圧延方向のヤング率が210GPa以上であり、
板厚方向1/2位置での{100}〜{111}<011>方位群の最大X線ランダム強度比が3.5以上、{110}<001>方位のX線ランダム強度比が2.0以下であることを特徴とする靭性と圧延方向の剛性に優れた高強度熱延鋼板。
0.2≦(1.3×Nb(mass%)+Ti*(mass%))×B*(ppm)≦1.0 ・・・・・ (1)
{但し、上記(1)式中、Ti*=(Total Ti(mass%)−48N/14)であり、Ti*<0の場合は、Ti*=0である。また、B≦14ppmの場合は、B*=(−0.05×B2 +1.5B(ppm))であり、B>14ppmの場合は、B*=11.2である。} - さらに、質量%で、
Nb:0.005%以上、0.09%以下
を含有することを特徴とする請求項1に記載の靭性と圧延方向の剛性に優れた高強度熱延鋼板。 - さらに、質量%で、
Mo:0.02%以上、0.5%以下、
Cr:0.1%以上、2.0%以下、
W :0.01%以上、2.0%以下、
Cu:0.04%以上、2.0%以下、
Ni:0.02%以上、1.0%以下、
V :0.001%以上、0.10%以下
の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の靭性と圧延方向の剛性に優れた高強度熱延鋼板。 - さらに、質量%で、Ca、Mg、Zr、REMの1種または2種以上を合計で0.0005%以上、0.05%以下で含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の靭性と圧延方向の剛性に優れた高強度熱延鋼板。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の高強度熱延鋼板を製造する方法であって、
請求項1〜4の何れかに記載の鋼成分を有するスラブを1150℃以上1250℃以下に加熱した後、1000℃以下でのトータル圧下率が20%以上、60%以下、仕上げ温度が850℃以上、950℃以下となる条件で熱間圧延を行い、その後、20℃/秒以上の冷却速度で冷却し、200℃以下の温度でコイル状に巻き取ることを特徴とする靭性と圧延方向の剛性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。 - 前記コイル状に巻き取った鋼板を室温まで冷却した後、さらに、最高到達温度150〜500℃の焼鈍を施すことを特徴とする請求項5に記載の靭性と圧延方向の剛性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
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