以下、本発明のイオン交換装置の第1実施形態としての硬水軟化装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のイオン交換装置の第1実施形態としての硬水軟化装置1の全体構成図である。
硬水軟化装置1は、水道水、地下水、工業用水等の原水中に含まれる硬度成分をナトリウムイオンやカリウムイオンへ置換して軟水を生成する。硬水軟化装置1は、軟水を飲用水等の各種用水として需要箇所へ供給する目的で使用されるもので、雑菌の繁殖のない人体に安全な軟水を供給するため、装置内の滞留水を新水で置換する機能を有している。硬水軟化装置1は、家屋やマンション等の居住建物、ホテルや大衆浴場等の集客施設、食品加工装置や洗浄装置等の水使用機器などに接続される。
図1に示すように、本実施形態の硬水軟化装置1は、主として、圧力タンク2と、流路切替手段としてのプロセス制御バルブ3と、塩水タンク4と、流量計測手段としての原水流量計61と、制御装置5と、を備えて構成される。
圧力タンク2は、圧力タンク本体21と、蓋部材22とを備える。圧力タンク本体21は、上部に開口部を有する有底の筒状体であり、処理材である陽イオン交換樹脂ビーズからなるイオン交換樹脂床211を収容する。蓋部材22は、圧力タンク本体21の上部の開口部を閉鎖する。蓋部材22には、プロセス制御バルブ3が一体的に装着されている。圧力タンク2の詳細については後述する。
また、詳細については後述するが、プロセス制御バルブ3は、採水及び再生に関して、原水W1を圧力タンク2の頂部スクリーン241へ配液しながら、底部スクリーン242で集液することにより原水W1の下降流を生成して、処理水である軟水W2を製造する水処理プロセスST1の水(原水W1、軟水W2)の流れ;再生液である塩水W4を圧力タンク2の頂部スクリーン241へ配液しながら、底部スクリーン242で集液することにより塩水W4の下降流を生成して、イオン交換樹脂床211の全体を再生させる第1再生プロセスST4の塩水W4の流れ;及び、塩水W4を圧力タンク2の底部スクリーン242へ配液しながら、中間部スクリーン243で集液することにより塩水W4の上昇流を生成して、イオン交換樹脂床211の下部を再生させる第2再生プロセスST6の塩水W4の流れを切り換え可能なバルブである。
塩水タンク4は、イオン交換樹脂床211を再生する再生液としての塩水W4を貯留する。再生液は、陽イオン交換樹脂ビーズを用いる硬水軟化装置1では、塩化ナトリウム、塩化カリウムの各水溶液等を利用できる。塩水タンク4の詳細については後述する。
圧力タンク2について、更に説明する。蓋部材22は、流体の供給及び排出を行う第1蓋流路221、第2蓋流路222及び第3蓋流路223を有する。これらの各蓋流路221、222、223は、後述するように、プロセス制御バルブ3を構成する各種ラインとそれぞれ接続されている。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
圧力タンク2内において、蓋部材22の下面側であってイオン交換樹脂床211の頂部には、樹脂ビーズの流出を防止する頂部スクリーン241が設けられている。頂部スクリーン241は、樹脂ビーズよりも小さな多数の開孔を有する(後述する底部スクリーン242及び中間部スクリーン243も同様)。第1蓋流路221は、頂部スクリーン241を介して、圧力タンク2内と連通する。頂部スクリーン241による配水位置及び集水位置は、イオン交換樹脂床211の頂部付近に設定される。頂部スクリーン241は、イオン交換樹脂床211の頂部に設けられる頂部配液部、及びイオン交換樹脂床211の頂部に設けられる頂部集液部として機能する。
圧力タンク2内において、第2蓋流路222には、圧力タンク本体21の底部付近へ延びる第1集配液管231が接続されている。第1集配液管231の下端部には、樹脂ビーズの流出を防止する底部スクリーン242が設けられている。第1集配液管231は、第2蓋流路222と連通する。底部スクリーン242による配水位置及び集水位置は、イオン交換樹脂床211の底部付近に設定される。底部スクリーン242は、イオン交換樹脂床211の底部に設けられる底部配液部、及びイオン交換樹脂床211の底部に設けられる底部集液部として機能する。
圧力タンク2内において、第3蓋流路223には、イオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部付近へ延びる第2集配液管232が接続されている。第2集配液管232の下端部には、樹脂ビーズの流出を防止する中間部スクリーン243が設けられている。第2集配液管232は、第3蓋流路223と連通する。中間部スクリーン243による集水位置は、イオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部付近に設定される。つまり、中間部スクリーン243は、イオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部に設けられる。中間部スクリーン243は、イオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部に設けられる中間部集液部として機能する。
第2集配液管232の内径は、第1集配液管231の外径よりも大径に設定されている。第1集配液管231及び第2集配液管232の軸芯は、いずれも圧力タンク2の軸芯と同軸上に設定されている。すなわち、第1集配液管231及び第2集配液管232は、第1集配液管231が内管に設定され且つ第2集配液管232が外管に設定された二重管構造を形成して、圧力タンク2に装着されている。
第1蓋流路221には、プロセス制御バルブ3を介して原水ラインL1が接続されている。第2蓋流路222には、プロセス制御バルブ3を介して、軟水ラインL2が接続されている。第3蓋流路223には、第5排水ラインL55が接続されている。第5排水ラインL55は、プロセス制御バルブ3の内部において、第1排水ラインL51の接続部J51に接続されている。原水ラインL1、軟水ラインL2及び第1排水ラインL51は、プロセス制御バルブ3の外部まで延びている。すなわち、原水ラインL1、軟水ラインL2及び第1排水ラインL51は、それぞれ、その一部がプロセス制御バルブ3の内部に設けられ、その残部がプロセス制御バルブ3の外部に設けられている。
詳細については後述するが、制御装置5は、後述する原水流量計61、塩水流量計62等からの信号が入力されて、入力された信号等に基づいてプロセス制御バルブ3を制御する。
プロセス制御バルブ3は、その内部に、各種のライン、弁等を備え、圧力タンク2の内部を洗浄する洗浄手段として機能する。具体的には、プロセス制御バルブ3は、ラインとして、原水ラインL1と、軟水ラインL2と、希釈水ラインL3と、第1塩水ラインL41と、第2塩水ラインL42と、第3塩水ラインL43と、第4塩水ラインL44と、第1排水ラインL51と、第2排水ラインL52と、第3排水ラインL53と、第4排水ラインL54と、第5排水ラインL55と、バイパスラインL6とを備える。
原水ラインL1における第1蓋流路221側の一部は、第5塩水ラインL45としても機能する。軟水ラインL2における第2蓋流路222側の一部は、第6塩水ラインL46としても機能する。原水ラインL1、軟水ラインL2の一部(後述の第6塩水ラインL46)、第4塩水ラインL44の一部(第4塩水ラインL44における接続部J21と接続部J42との間の部分)、第3排水ラインL53、第2排水ラインL52及び第1排水ラインL51は、洗浄手段として機能する。
プロセス制御バルブ3は、弁として、原水通水弁311と、軟水通水弁312と、バイパス弁313と、エゼクタ弁314と、第3排水弁315と、第2排水弁316と、第1排水弁317と、塩水弁318と、第1定流量弁322と、第2定流量弁34とを備える。また、プロセス制御バルブ3は、エゼクタストレーナ321と、エゼクタ323と、第1オリフィス324と、第2オリフィス325と、軟水ストレーナ33とを備える。
原水ラインL1には、原水W1の供給側から第1蓋流路221へ向けて順に、原水流量計61と、接続部J11と、原水通水弁311と、接続部J12と、接続部J13と、が設けられる。原水ラインL1における接続部J12と第1蓋流路221との間の部分は、第5塩水ラインL45としても機能する。原水流量計61は、プロセス制御バルブ3の外部に設けられる。
原水流量計61は、圧力タンク2に流通される水の流量(流入水量又は流出水量)を、原水W1の流量パルスにより検出可能であり、流量計測手段として機能する。原水流量計61からの流量検出信号は、制御装置5へ入力される。原水流量計61は、瞬間流量及び積算流量を検出可能に構成された流量センサであり、例えば、接線式流量センサや軸流式流量センサを利用することができる。
軟水ラインL2には、第2蓋流路222から軟水W2の供給先へ向けて順に、接続部J21と、軟水ストレーナ33と、軟水通水弁312と、接続部J22と、が設けられる。軟水ラインL2における第2蓋流路222と接続部J21との間の部分は、第6塩水ラインL46としても機能する。軟水ストレーナ33は、軟水ラインL2を第2蓋流路222から軟水W2の供給先へ向けて流通する軟水W2中の夾雑物(樹脂ビーズの破砕片、ゴミ等)を捕捉する。
希釈水ラインL3は、その上流側の端部において、原水ラインL1の接続部J11に接続されると共に、その下流側の端部において、エゼクタ323の一次側に接続される。希釈水ラインL3には、上流側(接続部J11側)から下流側(エゼクタ323側)に向けて順に、エゼクタストレーナ321と、第1定流量弁322と、エゼクタ323と、が設けられる。
エゼクタストレーナ321は、原水W1からなる希釈水に含まれる懸濁物質を除去し、第1定流量弁322及びエゼクタ323の詰まりを防止する。第1定流量弁322は、エゼクタ323へ供給する希釈水を所定範囲の流量に調節する。エゼクタ323には、ノズル部の吐出側において、第1塩水ラインL41の下流側の端部が接続されている。エゼクタ323は、希釈水(原水W1)が前記ノズル部から吐出されるときに発生する負圧を利用して、塩水タンク4から塩水W4(例えば、塩化ナトリウムの飽和水溶液)を吸引可能に構成されている。そして、エゼクタ323において、塩水タンク4からの塩水W4は、希釈水(原水W1)によって、所定濃度(例えば、8〜12重量%)にまで希釈されるようになっている。
バイパスラインL6は、接続部J11と接続部J22とを接続する。つまり、バイパスラインL6は、原水ラインL1と軟水ラインL2とを接続する。
再生液供給ラインは、圧力タンク2と塩水タンク(再生液タンク)4とを接続するラインである。第1実施形態において、再生液供給ラインは、2本形成される。1本目の再生液供給ラインは、第1塩水ラインL41と、第2塩水ラインL42と、第3塩水ラインL43と、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)とから構成される。2本目の再生液供給ラインは、第1塩水ラインL41と、第2塩水ラインL42と、第4塩水ラインL44と、第6塩水ラインL46(軟水ラインL2の一部)とから構成される。
第1塩水ラインL41の一端部は、塩水タンク4内に配置される。第1塩水ラインL41の他端部は、エゼクタ323の前記ノズル部に接続される。第1塩水ラインL41には、塩水タンク4からエゼクタ323に向けて順に、塩水流量計62と、塩水弁318と、が設けられる。
塩水流量計62は、プロセス制御バルブ3の外部に設けられる。塩水流量計62は、第1塩水ラインL41を流通する塩水W4又は補給水としての原水W1の流量を検出する。塩水流量計62からの検出信号は、制御装置5へ入力される。塩水流量計62は、双方向の瞬間流量及び積算流量を検出可能に構成された流量センサであり、例えば、接線式流量センサ、軸流式流量センサ、カルマン渦式流量センサ等を利用することができる。
第3塩水ラインL43の上流側の端部と、第4塩水ラインL44の上流側の端部とは、接続部J41において接続される。第2塩水ラインL42は、エゼクタ323の二次側と接続部J41とを接続する。
第3塩水ラインL43の下流側の端部は、接続部J12において第5塩水ラインL45(原水ラインL1)に接続される。第3塩水ラインL43の途中には、第1オリフィス324が設けられる。第4塩水ラインL44の下流側の端部は、接続部J21において第6塩水ラインL46(軟水ラインL2)に接続される。第4塩水ラインL44には、上流側から下流側に向けて順に、第2オリフィス325と、エゼクタ弁314と、が設けられる。第1オリフィス324及び第2オリフィス325は、後述する第2再生プロセスST6及び第2押出プロセスST7において、再生液である塩水W4又は押出水である原水W1を第2蓋流路222及び第1蓋流路221に均等に分配するためのものである。
第1排水ラインL51の下流側の端部からは、各種の排水W5が排出される。第1排水ラインL51の上流側の端部は、接続部J51において、第2排水ラインL52の下流側の端部及び第5排水ラインL55の下流側の端部に接続される。第2排水ラインL52の上流側の端部は、接続部J52において、第3排水ラインL53の下流側の端部及び第4排水ラインL54の下流側の端部に接続される。第3排水ラインL53の上流側の端部は、接続部J42において、第4塩水ラインL44に接続される。第4排水ラインL54の上流側の端部は、接続部J13において、原水ラインL1(第5塩水ラインL45)に接続される。第5排水ラインL55の上流側の端部は、第3蓋流路223に接続される。
第2排水ラインL52の途中には、第2定流量弁34が設けられる。第2定流量弁34は、圧力タンク2から排出されて第2排水ラインL52を流通する排水W5の流量を所定範囲に調節する。第3排水ラインL53の途中には、第1排水弁317が設けられる。第4排水ラインL54の途中には、第3排水弁315が設けられる。第5排水ラインL55の途中には、第2排水弁316が設けられる。
プロセス制御バルブ3において、各種の弁311〜318は、種々の作動機構及び弁構造を採用することができる。具体的には、カム機構により作動されるリフト式又はダイアフラム式の流路開閉弁や、リンク機構により作動されるスライドピストン式の流路開閉弁等が好適である。
次に、塩水タンク4について説明する。塩水タンク4は、塩水タンク本体41と、塩水ウェル42と、塩水プレート44とを備える。塩水タンク本体41は、上部が開口した有底の形状を有する。塩水ウェル42は、筒状であり、塩水タンク本体41の内側に配置される。塩水プレート44は、塩水ウェル42の外側において、塩水の貯留部(下方)と、再生塩43(例えば、粒状やペレット状の塩化ナトリウム)の貯蔵部(上方)とを、上下に区画する透水性のプレートからなる。
塩水タンク本体41の内側であって且つ塩水ウェル42の内側には、塩水ライン配置空間46が形成される。塩水ライン配置空間46には、第1塩水ラインL41の上流側の端部が配置される。塩水ウェル42の下方の側壁には、連通孔45が設けられる、連通孔45は、塩水の貯留部と塩水ライン配置空間46との間を連通する。そのため、塩水W4又は補給水は、塩水の貯留部と塩水ライン配置空間46との間を自在に流通できる。
次に、硬水軟化装置1が有する運転モード及び運転モードにおいて実行されるプロセスについて図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態の硬水軟化装置1の運転モード及び各運転モードにおけるプロセスを示す状態遷移図である。図3は、各プロセスにおけるプロセス制御バルブ3の開閉状態を示す図である。
硬水軟化装置1は、運転モードとして、圧力タンク2に原水W1を導入することにより処理水としての軟水W2を製造する水処理モードと、圧力タンク2に再生液としての塩水W4を導入することによりイオン交換樹脂床211を再生させる再生モードと、圧力タンク2に洗浄液としての原水W1を導入することにより圧力タンク2の内部を洗浄する洗浄モードと、原水W1を塩水タンク4へ補給する補水モードと、圧力タンク2に流体を導入しない待機モードと、を有する。これら各運転モード間及び運転モードにおいて実行されるプロセスにおける流体の流れは、プロセス制御バルブ3によって以下のように制御される。
プロセス制御バルブ3は、図2に示すように、各運転モードを切り換えると共に、これらの各運転モードにおいてプロセスを切り換える。各運転モードは、所定の移行条件(イベント)に基づいて切り換えられる。図2中において、各運転モード間に記載した矢印は、イベントE1〜E8を示す。
イベントE1は、水処理モードから再生モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、例えば、現在時刻が指定日の時刻(すなわち、再生時刻)になった場合、軟水W2の積算採水量(積算使用量)が所定の設定量に達した場合、原水W1の積算通水時間が所定の設定時間に達した場合等を挙げることができる。
イベントE2は、再生モードから洗浄モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、例えば、逆洗浄プロセスST3から第2押出プロセスST7までを完了した場合を挙げることができる。イベントE3は、洗浄モードから補水モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、例えば、洗浄モードへ移行する直前の運転モードが再生モードであり、かつ、洗浄液の積算流通時間が所定の設定時間に達した場合を挙げることができる。イベントE4は、補水モードから水処理モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、例えば、補水量が所定の設定量に達した場合を挙げることができる。
イベントE5は、水処理モードから洗浄モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、例えば、後述するように、非通水時間T1が規定時間TAに達した場合を挙げることができる。イベントE6は、洗浄モードから水処理モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、洗浄モードへ移行する直前の運転モードが水処理モードであり、かつ、洗浄液とともに排出された細菌数が、洗浄モード移行タイミングに算出しておいた残留数に達した場合等を挙げることができる(後述)。
イベントE7は、洗浄モードから待機モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、例えば、原水W1の流通なしの連続検知時間が所定の設定時間に達した場合(断水が発生した場合)を挙げることができる。イベントE8は、待機モードから洗浄モードへ移行する場合を示す。この移行条件としては、例えば、原水W1の流通ありの連続検知時間が所定の設定時間に達した場合(断水が復旧した場合)を挙げることができる。
プロセス制御バルブ3は、流路を切り換えながら、各運転モードにおいて以下のプロセスST1〜ST10を実施する。
〔ST1〕原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させる水処理プロセス(水軟化プロセス)
〔ST2〕軟水ストレーナ33を逆洗浄するストレーナ洗浄プロセス
〔ST3〕洗浄水としての原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して下から上へ通過させる逆洗浄プロセス
〔ST4〕再生液としての塩水W4をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させる第1再生プロセス
〔ST5〕押出水としての原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させる第1押出プロセス
〔ST6〕再生液としての塩水W4をイオン交換樹脂床211の上部に対して上から下へ通過させると共に、イオン交換樹脂床211の下部に対して下から上へ通過させる第2再生プロセス
〔ST7〕押出水としての原水W1をイオン交換樹脂床211の上部に対して上から下へ通過させると共に、イオン交換樹脂床211の下部に対して下から上へ通過させる第2押出プロセス
〔ST8〕洗浄液(濯ぎ水)としての原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させ、圧力タンク2の内部(イオン交換樹脂床211)を洗浄する洗浄プロセス(リンスプロセス又は滞留水排出プロセス)
〔ST9〕原水W1を塩水タンク4へ供給する補水プロセス
〔ST10〕洗浄液の供給を待機する待機プロセス
プロセス制御バルブ3における各弁311〜318の開閉は、図3に示すように、プロセスST1〜ST10毎に、制御装置5により制御される。その結果、圧力タンク2内において、プロセスST1〜ST10毎に、流体の流れが生成されるか、あるいは、流体の流れが生成されない。なお、再生モードにおいて、逆洗浄プロセスST3の前には、軟水ストレーナ33を逆洗浄するストレーナ洗浄プロセスST2が設けられている。このストレーナ洗浄プロセスST2は、説明の便宜上、図2には記載せず、図3のみに記載してある。また、このストレーナ洗浄プロセスST2と逆洗浄プロセスST3との間には、塩水W4の供給を待機する再生待機プロセス(図示せず)が設けられている。
次に、本実施形態に係る硬水軟化装置1の主要な制御(動作)について詳細に説明する。以下、本明細書においては、所定の条件下において、圧力タンク2内の保有水(滞留水)を系外に排出することを、適宜、「滞留水排出を実施する」ともいう。なお、水処理プロセスST1を除く各プロセスST2〜ST10においては、バイパス弁313が開放している。そのため、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流通する過剰な原水W1は、接続部J12からバイパスラインL6へ流通し、接続部J22及び軟水ラインL2を介して、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。
〔水処理プロセスST1〕
制御装置5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図3のST1に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1を流れる水道水、地下水、工業用水等の原水W1は、原水ラインL1及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。頂部スクリーン241から配水された原水W1は、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、その過程で原水W1の硬度成分はナトリウムイオンへ置換され、原水W1は軟水化される。
イオン交換樹脂床211を通過した処理水(軟水W2)は、圧力タンク2の底部で底部スクリーン242へ集水される。その後、軟水W2は、第1集配液管231、第2蓋流路222及び軟水ラインL2を介して、所定の軟水W2の需要箇所へ供給される。そして、所定量の軟水W2を採取することにより、イオン交換樹脂床211が硬度成分を置換できなくなると、再生プロセスを実施する。
〔ストレーナ洗浄プロセスST2〕
制御装置5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図3のST2に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1を流れる原水W1は、原水ラインL1、接続部J11、バイパスラインL6、接続部J22、軟水ラインL2、軟水ストレーナ33、接続部J21、第4塩水ラインL44、接続部J42、第3排水ラインL53、第2排水ラインL52及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。この過程において、軟水ストレーナ33を二次側から一次側へ流れる原水W1により、軟水ストレーナ33は逆洗浄され、軟水ストレーナ33によって捕捉されていた夾雑物は、原水W1と共に、系外へ排出される。
〔再生プロセス〕
再生プロセスは、イオン交換樹脂床211の硬度成分の除去能力(イオン交換容量)を回復させるために、逆洗浄プロセスST3〜補水プロセスST9を順次実施する(図2参照)。これらのプロセスのうち、逆洗浄プロセスST3は、特許文献等に開示されるように周知であるので、その説明を省略する。
〔再生プロセス:第1再生プロセスST4〕
制御装置5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図3のST4に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、塩水W4の希釈水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。この際、原水W1中の懸濁物質は、エゼクタストレーナ321により除去される。また原水W1の流量は、第1定流量弁322により所定範囲に調節される。
エゼクタ323において、原水W1の通過によってノズル部(符号省略)の吐出側で負圧が発生し、第1塩水ラインL41内も負圧となる。その結果、塩水タンク4内の飽和塩水W4は、第1塩水ラインL41を介してエゼクタ323へ吸引される。そして、エゼクタ323内では、飽和塩水W4が原水W1を希釈水として所定濃度まで希釈され、再生液としての塩水W4が調製される。調製された塩水W4は、第2塩水ラインL42、第3塩水ラインL43、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)、及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。
頂部スクリーン241から配水された塩水W4は、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、その過程でイオン交換樹脂床211の全体を再生させる。イオン交換樹脂床211を通過した再生液(塩水W4)は、圧力タンク2の底部で底部スクリーン242へ集水される。使用済みの塩水W4は、第1集配液管231、第2蓋流路222、軟水ラインL2、接続部J21、第4塩水ラインL44、接続部J42、第3排水ラインL53、第2排水ラインL52及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
第1再生プロセスST4は、いわゆる並流再生である。この並流再生では、再生液である塩水W4の供給容量が設定された再生剤量(=再生レベル×イオン交換樹脂床容量)に達すると、処理は終了し、第1押出プロセスST5へ移行する。なお、再生剤量、再生液の濃度、再生液の比重、及び再生液の供給容量は、以下の関係を有する。
再生剤量=再生液の濃度×再生液の比重×再生液の供給容量 ・・・ (1)
〔再生プロセス:第1押出プロセスST5〕
制御装置5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図3のST5に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、押出水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。エゼクタ323を通過した原水W1は、第2塩水ラインL42、第3塩水ラインL43、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)、及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。
頂部スクリーン241から配水された押出水としての原水W1は、先行して供給された再生液としての塩水W4を押し出しながら、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、引き続き、イオン交換樹脂床211を再生させる。イオン交換樹脂床211を通過した再生液(塩水W4)及び押出水(原水W1)は、圧力タンク2の底部で底部スクリーン242へ集水される。使用済みの塩水W4及び原水W1は、第1集配液管231、第2蓋流路222、軟水ラインL2、接続部J21、第4塩水ラインL44、接続部J42、第3排水ラインL53、第2排水ラインL52及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
〔再生プロセス:第2再生プロセスST6〕
制御装置5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図3のST6に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、塩水W4の希釈水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。
エゼクタ323において調製された塩水W4は、第2塩水ラインL42、第3塩水ラインL43、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)、及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。
頂部スクリーン241から配水された塩水W4は、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、その過程でイオン交換樹脂床211の上部を再生させる。イオン交換樹脂床211の上部を通過した再生液(塩水W4)は、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。使用済みの塩水W4は、第2集配液管232、第3蓋流路223、第5排水ラインL55、接続部J55及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
また、エゼクタ323において調製された塩水W4は、第2塩水ラインL42の接続部J41から分流し、第4塩水ラインL44、第6塩水ラインL46(軟水ラインL2の一部)及び第2蓋流路222を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、第1集配液管231を介して、底部スクリーン242から配水される。
底部スクリーン242から配水された塩水W4は、イオン交換樹脂床211を上昇流で通過し、その過程でイオン交換樹脂床211の下部を再生させる。イオン交換樹脂床211の下部を通過した再生液(塩水W4)は、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。使用済みの塩水W4は、第2集配液管232、第3蓋流路223、第5排水ラインL55、接続部J55及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
第2再生プロセスST6は、部分並流再生と部分向流再生とを同時に行ういわゆるスプリット・フロー再生である。部分向流再生では、第1再生プロセスST4では再生されにくいイオン交換樹脂床211の下部が、効率的に再生される。なお、第2再生プロセスST6においてイオン交換樹脂床211の下部の流動は、再生液としての塩水W4の下降流によって抑制される。再生液である塩水W4の供給容量が設定された再生剤量に達すると、処理は終了し、第2押出プロセスST7へ移行する。なお、再生剤量、再生液の濃度、再生液の比重、及び再生液の供給容量の関係は、上述の(1)式で示した通りである。
〔再生プロセス:第2押出プロセスST7〕
制御装置5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図3のST7に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、押出水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。エゼクタ323を通過した原水W1は、押出水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。エゼクタ323を通過した原水W1は、第2塩水ラインL42、第3塩水ラインL43、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)、及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。
頂部スクリーン241から配水された押出水としての原水W1は、先行して供給された再生液としての塩水W4を押し出しながら、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、引き続き、イオン交換樹脂床211の上部を再生させる。イオン交換樹脂床211の上部を通過した再生液(塩水W4)及び押出水(原水W1)は、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。使用済みの塩水W4及び原水W1は、第2集配液管232、第3蓋流路223、第5排水ラインL55、接続部J55及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。
また、エゼクタ323を通過した原水W1は、第2塩水ラインL42の接続部J41から分流し、第4塩水ラインL44、第6塩水ラインL46(軟水ラインL2の一部)及び第2蓋流路222を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、第1集配液管231を介して、底部スクリーン242から配水される。
底部スクリーン242から配水された押出水としての原水W1は、先行して供給された再生液としての塩水W4を押し出しながら、イオン交換樹脂床211を上昇流で通過し、引き続き、イオン交換樹脂床211の下部を再生させる。イオン交換樹脂床211の下部を通過した再生液(塩水W4)及び押出水(原水W1)は、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。使用済みの塩水W4及び原水W1は、第2集配液管232、第3蓋流路223、第5排水ラインL55、接続部J55及び第1排水ラインL51を介して、系外へ排出される。以上の再生モードにおいて、再生液としての塩水W4及び押出水としての原水W1は、圧力タンク2の内部を洗浄する洗浄液としても機能する。
〔洗浄プロセスST8〕
制御装置5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図3のST8に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1を流れる水道水、地下水、工業用水等の原水W1は、原水ラインL1及び第1蓋流路221を介して、圧力タンク本体21の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。頂部スクリーン241から配水された原水W1は、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、イオン交換樹脂床211を洗浄する。つまり、原水W1は、圧力タンク2の内部(イオン交換樹脂床211)を洗浄する洗浄液として機能する。原水W1の硬度成分は、原水W1がイオン交換樹脂床211を通過する過程でナトリウムイオンへ置換され、原水W1は、軟水化される。
イオン交換樹脂床211を通過した処理水(軟水W2)は、圧力タンク2の底部で底部スクリーン242へ集水される。その後、軟水W2は、第1集配液管231、第2蓋流路222、第6塩水ラインL46、第4塩水ラインL44、第3排水ラインL53、第2排水ラインL52及び第1排水ラインL51を介して、排水W5として系外へ排出される。
本明細書においては、この洗浄プロセスST8に移行する直前の運転モードが再生モードである場合には、洗浄プロセスST8を「リンスプロセス」と称し、洗浄プロセスST8に移行する直前の運転モードが水処理モード又は待機モードである場合には、「滞留水排出プロセス」と称することとする。
〔補水プロセスST9〕
制御装置5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図3のST9に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、補給水として、希釈水ラインL3を介して、エゼクタ323の一次側へ供給される。エゼクタ323からの補給水は、第1塩水ラインL41を介して塩水タンク4の内部へ供給される。
〔待機プロセスST10〕
制御装置5からの指令信号により、プロセス制御バルブ3の各弁311〜318は、図3のST10に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1を流れる水道水、地下水、工業用水などの原水W1は、接続部J11からバイパスラインL6へ流通し、接続部J22及び軟水ラインL2を介して、軟水W2の需要箇所へ一時的に供給される。また、圧力タンク2内には、原水W1等の流体は導入されない。
次に、図4を参照して、本実施形態に係る硬水軟化装置1の制御に係る機能について説明する。制御装置5は、硬水軟化装置1における各部を制御する。制御装置5は、CPU及びメモリ含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。図4に示すように、制御装置5は、プロセス制御バルブ3と電気的に接続される。また、制御装置5は、硬水軟化装置1における原水流量計61及び塩水流量計62と電気的に接続され、各流量計からの流量検出信号を受信する。なお、図示していないが、制御装置5には、再生時刻等を表示する表示パネル、ユーザにより操作可能なボタン等を有する操作部が電気的に接続されている。
制御装置5は、図4に示すように、バルブ制御部51と、計時部52と、メモリ部53と、を備える。バルブ制御部51は、メモリ部53に記憶された制御プログラムに従って、プロセス制御バルブ3における各弁311〜318の開閉を制御することにより、硬水軟化装置1を所要の運転モード(図2に示す状態遷移図を参照)に対応する流路に切り換える。
バルブ制御部51は、前述したイベントE1〜E8の発生に従って運転モードを設定する。そして、バルブ制御部51は、メモリ部53に記憶された各運転モードにおけるプロセスの実行に必要な各弁311〜318の開閉状態(図3参照)となるように、駆動信号をプロセス制御バルブ3に出力する。これにより、プロセス制御バルブ3の内部においては、設定された運転モードに対応する流路への切り替えが行われる。
硬水軟化装置1において、バルブ制御部51により水処理モードが設定されると、圧力タンク2への通水が可能な状態となる。水処理モードにおいて、ユーザが軟水W2の採水箇所で蛇口等を開くと、圧力タンク2への通水が行われる。一方、圧力タンク2への通水が停止して、原水流量計61からの流量パルス入力がない状態が所定時間(例えば、30秒間)継続すると、計時部52(後述)において、非通水時間T1[分]の計時がスタートする。なお、ここでの所定時間は、需要箇所で水が使用されていないことを確認するための時間である。非通水時間T1は、圧力タンク2に連続して水流通がない時間(すなわち、通水停止の継続時間)を指す。
バルブ制御部51は、計時部52により計時された非通水時間T1が予め設定された規定時間TAに達した場合には、圧力タンク2の内部に存在する細菌を強制的に排除するために、運転モードを水処理モードから洗浄モードに切り換えて滞留水排出プロセスを実行し、新水により圧力タンク2の内部を洗浄する。バルブ制御部51は、洗浄モード(滞留水排出プロセス)の開始後、100CFU/mLの細菌(後述)がすべて排除される水量が通水されたときに、洗浄モードを終了する。
また、圧力タンク2への通水が再開され、原水流量計61からの流量パルス入力がある状態が所定時間(例えば、10秒間)継続すると、計時部52(後述)において、通水継続時間T2[分]の計時がスタートする。なお、ここでの所定時間は、需要箇所で水が使用されていることを確認するための時間である。そして、バルブ制御部51は、計時部52において計時された通水再開後の通水継続時間T2、原水流量計61により計測された瞬間流量Q、瞬間流量に対応する排除係数η(後述)に基づいて、通水継続時間T2の間に圧力タンク2から排除されたであろう細菌の累積数(総排除細菌数)Nを、次式により算出する。そして、バルブ制御部51は、累積数Nが予め設定された目標累積数NA[CFU/mL]に達した場合には、計時部52において非通水時間T1をリセットさせる。
N[CFU/mL]=T2[分]×Q[L/分]×η[CFU/mL/L]
・・・ (2)
本実施形態では、圧力タンク2内に許容される細菌数として、水道水質基準における一般細菌数の上限値(100CFU/mL)を採用し、目標累積数NAを100CFU/mLに設定している。バルブ制御部51は、水処理モードにおいて、100CFU/mLの細菌がすべて排除される水量が通水された場合、すなわち累積数Nが目標累積数NAに達した場合には、計時部52において非通水時間T1をリセットさせる。
また、バルブ制御部51は、100CFU/mLの細菌がすべて排除される水量が通水されないまま、通水が停止した場合には、その時点までに算出された累積数Nをメモリ部53に記憶させる。この場合には、計時部52による非通水時間T1の計時が継続する。
上記式(2)に示す排除係数ηは、1Lの通水で排除することができる細菌数を意味する。排除係数ηは、通水時における原水W1の瞬間流量Qが高いほど数値が大きくなる。例えば、通水時の瞬間流量Qが14L/分の場合において、100CFU/mLの細菌をすべて排除するためには、通水継続時間T2として5分が必要となる。その場合の排除係数ηは、1.43となる。一方、通水時の瞬間流量Qが7L/分の場合において、100CFU/mLの細菌をすべて排除するためには、通水継続時間T2として12分が必要となる。その場合の排除係数ηは、1.19となる。
後述するメモリ部53には、瞬間流量Qと排除係数ηとが対応付けて記憶される。例えば、瞬間流量Qの変動幅を7L/分〜14L/分とし、排除係数ηを1L/分毎に算出した場合には、瞬間流量Qと排除係数ηとを対応付けた13組のデータがメモリ部53に記憶される。
図5に示すように、瞬間流量Qと排除係数ηとは、比例関係にある。そのため、瞬間流量Qに予め設定された補正係数を乗算(又は除算)することにより、排除係数ηの近似値を算出することもできる。図5に示すグラフは、圧力タンク2のサイズが外径10×高さ19(インチ)、内容積が18.6L、イオン交換樹脂量が15Lの場合の例である。
なお、圧力タンク2の仕様やイオン交換樹脂量等によっては、排除係数ηと瞬間流量Qとの関係が、図5に示すような比例関係とならない場合も考えられる。その場合には、例えば、上述した補正係数の代わりに、瞬間流量Qから排除係数ηを算出する換算式を用いることができる。
再び、バルブ制御部51について説明する。バルブ制御部51は、計時部52により計時された非通水時間T1が規定時間TAに達した時点(すなわち、洗浄モードへの移行タイミング)で、メモリ部53に記憶されている累積数Nが目標累積数NAに達していなければ、目標累積数NAとその時点における累積数Nとの差分を細菌の残留数R[CFU/mL]として算出する。そして、バルブ制御部51は、規定時間TA経過後に実行される洗浄モード(滞留水排出プロセス)において、洗浄開始後の洗浄継続時間T3、原水流量計61により計測された瞬間流量Q、及びこの瞬間流量Qに対応する排除係数ηに基づいて、洗浄継続時間T3の間に圧力タンク2から排除されたであろう細菌の累積数Nを、次式により算出する。そして、バルブ制御部51は、累積数Nが残留数Rに達した場合には、洗浄モードを終了させる。
N[CFU/mL]=T3[分]×Q[L/分]×η[CFU/mL/L]
・・・ (3)
例えば、計時部52により計時された非通水時間T1が規定時間TAに達した時点で、累積数Nが50であったとする。その場合の残留数R(目標累積数NA−累積数N)は、50となる。そして、瞬間流量Qが7L/分(排除係数η=1.19)で洗浄モードが実行されたとすると、洗浄継続時間T3が6分経過した時点で、累積数Nは残留数Rに達する。従って、制御部51は、洗浄モード(滞留水排出プロセス)を開始してから、6分後に洗浄モードを終了させる。
また、バルブ制御部51は、ある通水状態において算出した累積数Nが目標累積数NAに達していない場合には、目標累積数NAと算出済みの累積数Nとの差分を細菌の残留数Rとして算出する。そして、バルブ制御部51は、それ以降の通水状態において新たに算出した累積数Nが残留数Rに達した場合には、計時部52において非通水時間T1をリセットさせる。
例えば、ユーザが軟水W2を使用することにより、瞬間流量Qが7L/分(排除係数η=1.19)で、通水継続時間T2が4分間となる通水状態aが生じたとすると、通水状態aで算出される累積数Nは、33.3[CFU/mL]となる。この場合、通水状態aが終了した時点の残留数Rは、66.7[CFU/mL]となる。再びユーザが軟水W2を使用することにより、瞬間流量Qが14L/分(排除係数η=1.43)で、通水継続時間T2が3.33分間を超える通水状態bが生じたとすると、通水状態bで新たに算出される累積数Nは、66.7[CFU/mL]以上となる。そして、通水継続時間T2が3.33分間を超えた時点において、新たに算出された累積数N(通水状態bで排除された細菌数)が残留数R(通水状態aで排除されなかった細菌数)に達する。そのため、バルブ制御部51は、通水状態bにおいて、通水継続時間T2が3.33分を超えた時点で、計時部52により計時されている非通水時間T1をリセットさせる。
また、上述したように、本実施形態では、圧力タンク2内に許容される細菌数として、水道水質基準における一般細菌数の上限値(100CFU/mL)を採用し、目標累積数NAを100CFU/mLに設定している。前述した圧力タンク2のサイズが外径10×高さ19(インチ)、内容積が18.6L、イオン交換樹脂量が15Lの場合の例では、気温20℃のとき、圧力タンク2に通水が全くない状態で12時間が経過すると、圧力タンク2内の一般細菌数が100CFU/mLまで増殖する。
この目標累積数NAは、計時部52において非通水時間T1をリセットさせた後の経過時間が12時間未満の場合には、通水停止状態での経過時間に応じて変更してもよい。例えば、計時部52において非通水時間T1をリセットさせた後、6時間が経過した時点で通水があった場合には、通水開始時に目標累積数NAとして10[CFU/mL]を設定する。この場合、バルブ制御部11は、通水開始後に算出した累積数Nが10に達した時点で、計時部52において非通水時間T1をリセットさせる。また、計時部52において非通水時間T1をリセットさせた後、9時間が経過した時点で通水があった場合には、通水開始時に目標累積数NAとして32[CFU/mL]を設定する。この場合、バルブ制御部11は、通水開始後に算出した累積数Nが32に達した時点で、計時部52において非通水時間T1をリセットさせる。
なお、非通水時間T1をリセットさせた後のある通水状態cにおいて、累積数Nが目標累積数NAに達しなかった場合には、通水状態cで算出された累積数Nが次の通水状態dの開始時に設定される目標累積数NAから差し引かれる。例えば、非通水時間T1をリセットさせた後、3時間が経過した時点で通水状態cが生じ、その開始時に目標累積数NAとして3[CFU/mL]が設定されたとする。通水状態cで算出された累積数Nが2であれば、累積数N<目標累積数NAなので非通水時間T1のリセットはない。次いで、リセットから6時間(即ち、通水状態cの終了から3時間)が経過した時点で通水状態dが生じ、その開始時に目標累積数NAとして10[CFU/mL]が設定されたとする。この場合、先行して算出された累積数Nが2であるので、バルブ制御部11は、通水状態dで算出した累積数Nが8(10−2)に達した時点で非通水時間T1をリセットさせる。
計時部52は、水処理モードにおいて、圧力タンク2への通水が停止され、原水流量計61からの流量パルス入力がない状態が所定時間(例えば、30秒間)継続すると、非通水時間T1の計時をスタートさせる。また、計時部52は、水処理モードにおいて、圧力タンク2への通水が再開され、原水流量計61からの流量パルス入力がある状態が所定時間(例えば、10秒間)継続すると、通水再開後の通水継続時間T2の計時をスタートさせる。また、計時部52は、洗浄モード(滞留水排出プロセス)において、圧力タンク2への洗浄液(原水W1)の通水が開始されると、洗浄開始後の洗浄継続時間T3の計時をスタートさせる。
計時部52は、洗浄モード移行前の運転モードに関わらず、洗浄モードから水処理モードに復帰するときに、それまでの計時時間をリセットする。また、計時部52は、バルブ制御部51からリセット命令が与えられた場合には、それまでの計時時間をリセットする。
メモリ部53は、硬水軟化装置1の運転を実施する制御プログラム等を記憶するための記憶装置である。制御プログラムは、前述したイベントE1〜E8の発生に従って運転モードを移行させると共に、各運転モードにおいて規定の処理プロセスを実行させるように、プロセス制御バルブ3を制御するプログラムである。また、メモリ部53には、各処理プロセスの実行条件に関するデータが記憶される。また、メモリ部53には、非通水時間T1、通水継続時間T2、洗浄継続時間T3、規定時間TA、瞬間流量Q(実測値)、排除係数η、累積数N(算出値)等に関するデータが記憶される。
次に、本実施形態の硬水軟化装置1において、圧力タンク2への通水が停止/再開した場合の動作を、図6〜図8を参照しながら説明する。図6〜図8は、硬水軟化装置1の制御装置5において、圧力タンク2への通水が停止/再開した場合の処理手順を示すフローチャートである。図6〜図8に示すフローチャートの処理は、メモリ部53に記憶された制御プログラムに基づいて、バルブ制御部51により実行される。また、図6〜図8に示すフローチャートの処理は、硬水軟化装置1の運転中において繰り返し実行される。
図6に示すステップST101において、バルブ制御部51は、水処理モード(水処理プロセスST1)の実行中に、圧力タンク2への通水が停止したか否かを判定する。バルブ制御部51は、原水流量計61からの流量パルス入力がない状態が所定時間(例えば、30秒間)継続したときに「通水停止」と判断する。このステップST101において、バルブ制御部51により、圧力タンク2への通水が停止した(YES)と判定された場合に、処理はステップST102へ移行する。また、ステップST101において、バルブ制御部51により、圧力タンク2への通水が停止していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST101へ戻る。
ステップST102(ステップST101:YES)において、バルブ制御部51は、計時部52に計時開始命令を出し、非通水時間T1の計時をスタートさせる。ステップST103において、バルブ制御部51は、計時部52で計時された非通水時間T1が規定時間TAに達したか否かを判定する。このステップST103において、バルブ制御部51により、非通水時間T1が規定時間TAに達した(YES)と判定された場合に、処理はステップST104へ移行する(イベントE5の発生)。また、ステップST103において、バルブ制御部51により、非通水時間T1が規定時間TAに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST113(図7参照)へ移行する。
ステップST104(ステップST103:YES)において、バルブ制御部51は、メモリ部53に累積数Nのデータが存在する(有り)か否かを判定する。メモリ部53に記憶された累積数Nは、以前の通水状態において算出されたものである。ステップST104において、バルブ制御部51により、メモリ部53に累積数Nのデータが存在する(YES)、すなわちN>0であると判定された場合に、処理はステップST105へ移行する。また、ステップST104において、バルブ制御部51により、メモリ部53に累積数Nのデータが存在しない(NO)、すなわちN=0であると判定された場合に、処理はステップST110へ移行する。
ステップST105(ステップST104:YES)において、バルブ制御部51は、目標累積数NAと、メモリ部53に記憶された累積数Nとの差分を残留数Rとして算出する。ステップST106において、バルブ制御部51は、プロセス制御バルブ3の運転モードを、水処理モードから洗浄モードに移行させる。これにより、図2に示すように、滞留水排出プロセスST8が実行される。滞留水排出プロセスST8が開始され、圧力タンク2への洗浄液(原水W1)の供給が開始されると、計時部52において、洗浄開始後の洗浄継続時間T3の計時がスタートする。ステップST107において、バルブ制御部51は、上記式(3)に基づいて、洗浄継続時間T3の間に圧力タンク2から排除されたであろう細菌の累積数Nを算出する。
ステップST108において、バルブ制御部51は、ステップST107で算出した累積数NがステップST105で算出した残留数Rに達したか否かを判定する。このステップST108において、バルブ制御部51により、累積数Nが残留数Rに達した(YES)と判定された場合に、処理はステップST109へ移行する(イベントE6の発生)。また、ステップST108において、バルブ制御部51により、累積数Nが残留数Rに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST107へ戻る。
ステップST109において、バルブ制御部51は、洗浄モードを終了し、プロセス制御バルブ3の運転モードを水処理モードに復帰させる。これにより、水処理プロセスST1が実行される。また、バルブ制御部51は、滞留水排出プロセスST8の終了時点で、計時部52により計時されている非通水時間T1をリセットさせる。
一方、ステップST110(ステップST104:NO)において、バルブ制御部51は、プロセス制御バルブ3の運転モードを、水処理モードから洗浄モードに移行させる。これにより、図2に示すように、滞留水排出プロセスST8が実行される。滞留水排出プロセスST8が開始され、圧力タンク2への洗浄液(原水W1)の供給が開始されると、計時部52において、洗浄開始後の洗浄継続時間T3の計時がスタートする。ステップST111において、バルブ制御部51は、上記式(3)に基づいて、洗浄継続時間T3の間に圧力タンク2から排除されたであろう細菌の累積数Nを算出する。
ステップST112において、バルブ制御部51は、ステップST111で算出した累積数Nが目標累積数NAに達したか否かを判定する。このステップST112において、バルブ制御部51により、累積数Nが目標累積数NAに達した(YES)と判定された場合に、処理はステップST109へ移行する(イベントE6の発生)。また、ステップST112において、バルブ制御部51により、累積数Nが目標累積数NAに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST111に戻る。
上記ステップST104〜ステップST112は、非通水時間T1が規定時間TAに達した場合、すなわちイベントE5が発生した場合に実行される処理である。
図7に示すステップST113(ステップST103:NO)において、バルブ制御部51は、水処理モード(水処理プロセスST1)の実行中に、圧力タンク2への通水が再開したか否かを判定する。バルブ制御部51は、原水流量計61からの流量パルス入力がある状態が所定時間(例えば、10秒間)継続したときに「通水再開」と判断する。ステップST113において、バルブ制御部51により、圧力タンク2への通水が再開した(YES)と判定された場合に、処理はステップST114へ移行する。また、ステップST113において、バルブ制御部51により、圧力タンク2への通水が再開していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST103へ戻る。なお、通水が再開されると、計時部52において、通水再開後の通水継続時間T2の計時がスタートする。
ステップST114(ステップST113:YES)において、バルブ制御部51は、メモリ部53に累積数Nのデータが存在する(有り)か否かを判定する。メモリ部53に記憶された累積数Nは、以前の通水状態において算出されたものである。ステップST114において、バルブ制御部51により、メモリ部53に累積数Nのデータが存在する(YES)、すなわちN>0であると判定された場合に、処理はステップST115へ移行する。また、ステップST114において、バルブ制御部51により、メモリ部53に累積数Nが存在しない(NO)、すなわちN=0であると判定された場合に、処理はステップST121(図8参照)へ移行する。
ステップST115(ステップST114:YES)において、バルブ制御部51は、目標累積数NAと、メモリ部53に記憶された累積数Nとの差分を残留数Rとして算出する。ステップST116において、バルブ制御部51は、通水継続時間T2の間に圧力タンク2から排除されたであろう細菌の累積数Nを算出する。
ステップST117において、バルブ制御部51は、ステップST116で算出した累積数NがステップST115で算出した残留数Rに達したか否かを判定する。このステップST117において、バルブ制御部51により、累積数Nが残留数Rに達した(YES)と判定された場合に、処理はステップST118へ移行する。また、ステップST117において、バルブ制御部51により、累積数Nが残留数Rに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST119へ移行する。
ステップST118(ステップST117:YES)において、バルブ制御部51は、計時部52により計時されている非通水時間T1をリセットさせて、本フローチャートの処理を終了する。
一方、ステップST119(ステップST117:NO)において、バルブ制御部51は、水処理モード(水処理プロセスST1)の実行中に、圧力タンク2への通水が停止したか否かを判定する。前述したステップST101と同様に、バルブ制御部51は、原水流量計61からの流量パルス入力がない状態が所定時間(例えば、30秒間)継続したときに「通水停止」と判断する。このステップST119において、バルブ制御部51により、圧力タンク2への通水が停止した(YES)と判定された場合に、処理はステップST120へ移行する。また、ステップST119において、バルブ制御部51により、圧力タンク2への通水が停止していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST116へ戻る。
ステップST120(ステップST119:YES)において、バルブ制御部51は、その時点までに算出された累積数Nをメモリ部53に記憶させる。ステップST120の後、処理は、ステップST103(図6参照)へ移行する。
図8に示すステップST121(ステップST114:NO)において、バルブ制御部51は、通水継続時間T2の間に圧力タンク2から排除されたであろう細菌の累積数Nを算出する。
ステップST122において、バルブ制御部51は、ステップST121で算出した累積数Nが目標累積数NAに達したか否かを判定する。このステップST122において、バルブ制御部51により、累積数Nが目標累積数NAに達した(YES)と判定された場合に、処理はステップST118(非通水時間T1をリセット)へ移行する。また、ステップST122において、バルブ制御部51により、累積数Nが目標累積数NAに達していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST123へ移行する。
ステップST123(ステップST122:NO)において、バルブ制御部51は、水処理モード(水処理プロセスST1)の実行中に、圧力タンク2への通水が停止したか否かを判定する。前述したステップST101と同様に、バルブ制御部51は、原水流量計61からの流量パルス入力がない状態が所定時間(例えば、30秒間)継続したときに「通水停止」と判断する。このステップST123において、バルブ制御部51により、圧力タンク2への通水が停止した(YES)と判定された場合に、処理はステップST120へ移行する。また、ステップST123において、バルブ制御部51により、圧力タンク2への通水が停止していない(NO)と判定された場合に、処理はステップST121へ戻る。
上記ステップST113〜ステップST123は、非通水時間T1が規定時間TAに達していない場合、すなわちイベントE5が発生していない場合に実行される処理である。
上述した本実施形態に係る硬水軟化装置1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
硬水軟化装置1においては、圧力タンク2への通水が停止すると、非通水時間T1の計時がスタートし、その非通水時間T1が規定時間TAに達した場合に洗浄モード(滞留水排出プロセス)が実行される。また、硬水軟化装置1においては、圧力タンク2への通水が再開されると、圧力タンク2への通水継続時間T2、通水時の瞬間流量Q、及び瞬間流量Qに対応する排除係数ηに基づいて、圧力タンク2から排除されたであろう細菌の累積数Nが算出され、この累積数Nが予め設定された目標累積数NAに達した場合に、非通水時間T1がリセットされる。
そのため、硬水軟化装置1においては、非通水時間T1の計時中に通水が再開されても、圧力タンク2から目標累積数NAに相当する数の細菌が排除されなければ、非通水時間T1がリセットされることがない。従って、硬水軟化装置1によれば、圧力タンク2内の一般細菌数を常に水道水質基準以下に保つことができる。
また、硬水軟化装置1においては、非通水時間T1が規定時間TAに達した時点で、累積数Nが目標累積数NAに達していない場合には、目標累積数NAとその時点における累積数Nとの差分を細菌の残留数Rとして算出し、規定時間TAの経過後に実行される洗浄モードにおいて、洗浄開始後の洗浄継続時間T3、洗浄液としての原水W1の瞬間流量Q、及び瞬間流量Qに対応する排除係数ηに基づいて、圧力タンク2内から排除されたであろう細菌の累積数Nを算出し、この累積数Nが残留数Rに達した場合には、洗浄モードを終了する。そのため、硬水軟化装置1によれば、滞留水排出プロセスに要する時間及び洗浄液の水量を抑制しつつ、圧力タンク2内の一般細菌数をほぼゼロにすることができる。
また、硬水軟化装置1においては、ある通水状態にて算出した累積数Nが目標累積数NAに達していない場合には、目標累積数NAと算出済みの累積数Nとの差分を細菌の残留数Rとして算出し、以降の通水状態にて新たに算出した累積数Nが残留数Rに達した場合には、非通水時間T1がリセットされる。そのため、硬水軟化装置1においては、水処理モードに増減する細菌の数が細かく管理されるので、圧力タンク2内の一般細菌数が水道水質基準を超えた状態で洗浄モードに移行することがない。従って、硬水軟化装置1によれば、適切なタイミングで圧力タンク2内を洗浄することができ、無駄な水の消費を抑制することができる。
また、硬水軟化装置1においては、非通水時間T1をリセットした後の通水停止状態での経過時間に応じて目標累積数NAが設定される。これによれば、滞留時間の経過とともに増殖すると考えられる細菌の数に応じた目標累積数NAが設定されるので、滞留水排出プロセスに要する時間及び洗浄液の水量を最小限としながらも、衛生的な軟水W2を確保することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、本実施形態では、非通水時間T1をリセットした後の通水停止状態での経過時間に応じて目標累積数NAを設定する例について説明した。これに限らず、圧力タンク2の内部温度に応じて目標累積数NAを設定するようにしてもよいし、圧力タンク2の外壁温度に応じて目標累積数NAを設定するようにしてもよい。
図9は、圧力タンク2内での一般細菌の増殖数を気温別に示したグラフである。図9に示すように、気温が上昇するに従い、一般細菌の増殖数が多くなることが分かる。また、経過時間が1〜5時間では、気温による一般細菌の増殖数に大きな差は生じていない。しかしながら、経過時間が6時間以降、特に12時間に達すると、一般細菌の増殖数は、最大で約5.6倍の差が生じている。一般に、洗浄モードを実行して、圧力タンク2内に繁殖した細菌を強制的に排除する場合の規定時間TAとしては、6〜12時間が設定される。そのため、圧力タンク2の内部温度又は外壁温度に応じて目標累積数NAを設定することにより、圧力タンク2内の一般細菌数を常に水道水質基準以下に保つことができる。
なお、圧力タンク2の内部温度を測定する方式は、圧力タンク2の外壁温度を測定する方式に比べて、より正確に目標累積数NAを設定することができる。しかし、圧力タンク2の内部温度を測定する方式では、圧力タンク2の内部に温度センサを設置しにくい場合がある。その場合には、圧力タンク2の外壁温度を測定する方式を採用することにより、温度センサの設置を容易にしつつ、正確な目標累積数NAの設定が可能となる。