ボンベ開閉バルブから逆止弁を取り外して液化ガスを充填する場合には、逆止弁の着脱作業が必要になる。しかし、逆止弁の着脱作業には、熟練した技能が必要であり、しかも、作業工数が掛かる。
また、逆止弁を開くための特殊な機器を使用する場合には、逆止弁の着脱作業は不要になる。しかし、逆止弁を開くための特殊な機器の着脱作業が必要になり、そして、取り外し忘れの発生を防ぐための十分なチェックが必要である。ここで、逆止弁を開くための特殊な機器として、特許文献1の開放器具を使用する場合には、逆止弁体を確実に把持することができるように、逆止弁体の内面に内部溝が形成された特殊な逆止弁を使用する必要がある。しかも、逆止弁を開くためには、作業者による手操作が必要であり、また、その後に充填ノズルを接続する必要があるため、逆止弁を開く作業及び液化ガスを充填する作業の自動化が困難である。さらに、ガスボンベに設けられた逆止弁付きのボンベ開閉バルブとして、逆止弁体の内面に内部溝が形成されたものと内部溝が形成されていないものとが混在すると、ガスボンベの管理上の問題も発生する。
また、特許文献2の逆止弁体の内外の差圧によって逆止弁を開く機構を有する充填ノズルを使用する場合には、バルブ口に充填ノズルを取り付ける毎に、ノズル前端部のUパッキンが逆止弁体の内面を摺動しながら挿入されることになる。このため、Uパッキンが摩耗しやすく耐久性が不十分である。また、Uパッキンが摩耗すると、シール性が悪くなり、これにより、逆止弁体の外面側から逆止弁体の内面の受圧排除用シリンダ室に液化ガスが流入するおそれがある。そして、受圧排除用シリンダ室に液化ガスが流入すると、逆止弁体の内外の圧力がバランスして差圧が小さくなるため、開弁用ピストンを駆動する十分な力が得られず、逆止弁が開かなくなる、又は、一旦開いた逆止弁が閉止するおそれがある。逆止弁体の内外の差圧を確保するために、充填ノズルに連通路を設けて受圧排除用シリンダ室を大気開放すると、シール性が若干悪い程度であれば、逆止弁を開けることができるようになるものの、液化ガスが大気放出されるという問題が発生する。
また、充填ノズルをボンベ開閉弁のバルブ口に接続して液化ガスを充填する際には、充填ノズルをバルブ口に対して平行に押し付けることでシール性を確保して充填ノズルとバルブ口との間からのガス漏れを防ぐ必要がある。しかし、充填ノズルとバルブ口との間の位置的誤差等によって、平行な押し付け状態を保つことができず、充填ノズルとバルブ口との間のシール性を確保することが難しいという問題がある。
さらに、液化ガスを充填した後においては、液化ガスを供給するガス供給管や充填ノズル内に液化ガスが残存するため、回収処理しなければならないガス量が多いという問題がある。
以上の問題点を鑑みると、ガスボンベに液化ガスを充填する際に逆止弁付きのボンベ開閉バルブのバルブ口に接続される充填ノズル、及び、充填ノズルを備えた液化ガス充填設備においては、以下のような課題がある。
(1)逆止弁の取り外しや逆止弁を開くための特殊な機器の着脱をなくし、逆止弁体の内面に内部溝を形成する等の専用の逆止弁を使用せずに、逆止弁体の内面を確実に把持して開けることができるようにする。
(2)液化ガスを外部に漏らすことなく逆止弁を開くことができるようにする。
(3)充填ノズルとバルブ口との間のシール性を確保できるようにする。
(4)液化ガスを供給するガス供給管や充填ノズル内に残る液化ガスの量を削減できるようにする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、特に、逆止弁の取り外しや逆止弁を開くための特殊な機器の着脱をなくし、専用の逆止弁を使用せずに、逆止弁体の内面を確実に把持して開けることができるようにすることにある。
第1の観点にかかる充填ノズルは、ガスボンベに液化ガスを充填する際に逆止弁付きのボンベ開閉バルブのバルブ口に接続される充填ノズルであって、ノズル本体とバルブ当接体とスライド軸と第1クランプ金具と第2クランプ金具と把持用リングとを有している。バルブ当接体は、ノズル本体に対して前後方向に移動可能な状態でノズル本体に設けられており、バルブ口に押し付けられる筒状の部材である。スライド軸は、バルブ当接体に対して前後方向に移動可能な状態でバルブ当接体の内部を前方に貫通するように設けられるとともに、その前端部が逆止弁の逆止弁体の内面まで延びており、バルブ当接体がバルブ口に押し付けられた状態で後方に引き出す力が加えられる軸状の部材である。第1クランプ金具は、スライド軸の前端部に固定されており、後方に引き出す力をスライド軸に加えることによって後方に移動可能な部材である。第2クランプ金具は、スライド軸に設けられており、第1クランプ金具の後方への移動によって外周側に向かって放射状に開いて逆止弁体の内面を把持する把持部を有する部材である。
すなわち、この充填ノズルでは、スライド軸、第1クランプ金具及び第2クランプ金具によって、ボンベ開閉バルブに設けられた逆止弁の逆止弁体の内面を把持する機構(逆止弁把持機構)が構成されている。そして、この逆止弁把持機構では、上記のように、スライド軸に加えられる後方に引き出す力によって、第1クランプ金具を後方に移動させ、この動作によって外周側に向かって放射状に開いた第2クランプ金具の把持部が逆止弁体の内面を把持する。このとき、第2クランプ金具の把持部は、逆止弁体の内面に接し、かつ、逆止弁体の内面に押し付けられた状態で、逆止弁体の内面を把持することになる。その後、スライド軸に加えられる後方に引き出す力によって、逆止弁把持機構に把持された状態の逆止弁体を後方に引き出して逆止弁を開ける。
このため、この逆止弁把持機構では、特許文献1の鋼製のボールからなる引っ掛け部材を外周側に突出させる構成とは異なり、逆止弁体の内面に内部溝を形成することなく、逆止弁体の内面を確実に把持することができる。しかも、この逆止弁把持機構では、特許文献2における逆止弁体の内外の差圧によって逆止弁を開く構成とは異なり、ノズル前端部のUパッキンのシール性に頼ることなく、逆止弁体の内面を確実に把持することができる。また、この逆止弁把持機構では、第1クランプ金具を後方に移動させる動作の方向が逆止弁体を後方に引き出す動作の方向と同じであるため、逆止弁体を後方に引き出す際にも、逆止弁体の内面の把持状態が緩みにくくなっている。
これにより、この充填ノズルでは、逆止弁の取り外しや逆止弁を開くための特殊な機器の着脱をなくし、逆止弁体の内面に内部溝を形成する等の専用の逆止弁を使用せずに、逆止弁体の内面を確実に把持して開けることができる。
第2の観点にかかる充填ノズルは、第1の観点にかかる充填ノズルにおいて、第2クランプ金具の外周面とバルブ当接体の内周面との間に、隙間を形成する。
すなわち、この充填ノズルでは、スライド軸に設けられた第2クランプ金具の外周面とバルブ当接体の内周面との間の隙間によって、スライド軸の位置をずらすことができるようになっている。
このため、バルブ当接体をバルブ口に近づけてスライド軸の前端部、すなわち、クランプ金具を逆止弁体の内面に挿入する際に、クランプ金具と逆止弁体の内面との間に位置ずれが発生しても、スライド軸に設けられた第2クランプ金具の外周面とバルブ当接体の内周面との間の隙間を利用して、クランプ金具の位置を補正し、クランプ金具を逆止弁体の内面に沿わせることができる。
第3の観点にかかる充填ノズルは、ガスボンベに液化ガスを充填する際に逆止弁付きのボンベ開閉バルブのバルブ口に接続される充填ノズルであって、ノズル本体とバルブ当接体とスライド軸と第1クランプ金具と第2クランプ金具と把持用リングとを有している。バルブ当接体は、ノズル本体に対して前後方向に移動可能な状態でノズル本体に設けられており、バルブ口に押し付けられる筒状の部材である。スライド軸は、バルブ当接体に対して前後方向に移動可能な状態でバルブ当接体の内部を前方に貫通するように設けられるとともに、その前端部が逆止弁の逆止弁体の内面まで延びており、バルブ当接体がバルブ口に押し付けられた状態で後方に引き出す力が加えられる軸状の部材である。第1クランプ金具は、スライド軸の前端部に固定された部材である。第2クランプ金具は、スライド軸の第1クランプ金具よりも後方の位置に設けられており、後方に引き出す力をスライド軸に加えることによって第1クランプ金具との前後方向間の隙間を小さくすることが可能な部材である。把持用リングは、第1クランプ金具と第2クランプ金具との前後方向間に設けられており、第1クランプ金具と第2クランプ金具との間の隙間を小さくすることによって外周側に向かって弾性変形して逆止弁体の内面を把持する環状の部材である。
すなわち、この充填ノズルでは、スライド軸、第1クランプ金具、第2クランプ金具及び把持用リングによって、ボンベ開閉バルブに設けられた逆止弁の逆止弁体の内面を把持する機構(逆止弁把持機構)が構成されている。そして、この逆止弁把持機構では、上記のように、スライド軸に加えられる後方に引き出す力によって、第1クランプ金具と第2クランプ金具との間の隙間を小さくし、この動作によって外周側に向かって弾性変形した把持用リングが逆止弁体の内面を把持する。このとき、把持用リングは、逆止弁体の内面全体に接し、かつ、逆止弁体の内面に押し付けられた状態で、逆止弁体の内面を把持することになる。その後、スライド軸に加えられる後方に引き出す力によって、逆止弁把持機構に把持された状態の逆止弁体を後方に引き出して逆止弁を開ける。
このため、この逆止弁把持機構では、特許文献1の鋼製のボールからなる引っ掛け部材を外周側に突出させる構成とは異なり、逆止弁体の内面に内部溝を形成することなく、逆止弁体の内面を確実に把持することができる。しかも、この逆止弁把持機構では、特許文献2における逆止弁体の内外の差圧によって逆止弁を開く構成とは異なり、ノズル前端部のUパッキンのシール性に頼ることなく、逆止弁体の内面を確実に把持することができる。また、この逆止弁把持機構では、第1クランプ金具と第2クランプ金具との間の隙間を小さくする動作の方向が逆止弁体を後方に引き出す動作の方向と同じであるため、逆止弁体を後方に引き出す際にも、逆止弁体の内面の把持状態が緩みにくくなっている。
これにより、この充填ノズルでは、逆止弁の取り外しや逆止弁を開くための特殊な機器の着脱をなくし、逆止弁体の内面に内部溝を形成する等の専用の逆止弁を使用せずに、逆止弁体の内面を確実に把持して開けることができる。
第4の観点にかかる充填ノズルは、第1〜第3の観点のいずれかにかかる充填ノズルにおいて、第2クランプ金具とバルブ当接体との前後方向間に、前後方向に弾性変形可能なクランプ前バネを設ける。
すなわち、この充填ノズルでは、クランプ前バネによって、第2クランプ金具が前方の第1クランプ金具側に付勢された状態が得られるようになっている。
このため、この逆止弁把持機構では、逆止弁体の内面を把持する際、及び、その後に逆止弁体を後方に引き出す際には、第1クランプ金具と第2クランプ金具との間の隙間を小さくした状態を維持することができる。また、バルブ当接体をバルブ口に近づけてスライド軸の前端部、すなわち、クランプ金具(第1クランプ金具及び第2クランプ金具の総称)を逆止弁体の内面に挿入する際には、第1クランプ金具が逆止弁体の内面と干渉しても、クランプ前バネの弾性変形によって、第2クランプ金具を介して第1クランプ金具が少し後方に移動できるようになる。
これにより、この充填ノズルでは、逆止弁体の内面を把持する際や逆止弁体を後方に引き出す際には、把持用リングが逆止弁体の内面を把持した状態を確実に維持することができる。また、クランプ金具を逆止弁体の内面に挿入する際には、第1クランプ金具と逆止弁体の内面との干渉を緩和することができ、クランプ金具を逆止弁体の内面にスムーズに挿入することができる。
第5の観点にかかる充填ノズルは、第1〜第4の観点のいずれかにかかる充填ノズルにおいて、バルブ当接体のバルブ口との対向面に平パッキンを設ける。
すなわち、この充填ノズルでは、バルブ当接体がバルブ口に押し付けられた状態で、平パッキンによって、バルブ当接体とバルブ口との間がシールされる。そして、平パッキンは、バルブ口に対向する端面が平坦な面を有している。
このため、バルブ当接体のバルブ口との対向面にOリングを設ける場合に比べて、バルブ口に接触する面を大きくすることができる。
これにより、この充填ノズルでは、バルブ当接体がバルブ口に押し付けられた状態で、充填ノズルとバルブ口との間の位置的誤差等が発生する場合であっても、充填ノズルとバルブ口との間のシール性を確保することができる。
第6の観点にかかる充填ノズルは、第5の観点にかかる充填ノズルにおいて、平パッキンの端面が、バルブ口の端面全体が当接可能な大きさを有する。
このため、この充填ノズルでは、バルブ口の端面全体が平パッキンの端面に当接するようになる。
これにより、この充填ノズルでは、充填ノズルとバルブ口との間のシール性を確実に確保することができる。
第7の観点にかかる充填ノズルは、第1〜第6の観点のいずれかにかかる充填ノズルにおいて、スライド軸の一部に径を小さくした細径部を設ける。
すなわち、この充填ノズルでは、細径部によって、スライド軸を容易に撓ませることができるようになっている。
このため、バルブ当接体をバルブ口に近づけてスライド軸の前端部、すなわち、クランプ金具を逆止弁体の内面に挿入する際に、クランプ金具と逆止弁体の内面との間に位置ずれが発生しても、スライド軸の撓みを利用して、クランプ金具の位置を補正し、クランプ金具を逆止弁体の内面に沿わせることができる。
これにより、この充填ノズルでは、クランプ金具を逆止弁体の内面に挿入する際に、クランプ金具と逆止弁体の内面との間に位置ずれが発生しても、クランプ金具を逆止弁体の内面に案内して挿入することができる。
第8の観点にかかる充填ノズルは、第1〜第7の観点のいずれかにかかる充填ノズルにおいて、スライド軸を、前軸受を介してバルブ当接体に前後方向に移動可能に支持し、スライド軸の外周面と前軸受の内周面との間に、隙間を形成する。
すなわち、この充填ノズルでは、スライド軸の外周面と前軸受の内周面との間の隙間によって、スライド軸の位置をずらすことができるようになっている。
このため、バルブ当接体をバルブ口に近づけてスライド軸の前端部、すなわち、クランプ金具を逆止弁体の内面に挿入する際に、クランプ金具と逆止弁体の内面との間に位置ずれが発生しても、スライド軸の外周面と前軸受の内周面との間の隙間を利用して、クランプ金具の位置を補正し、クランプ金具を逆止弁体の内面に沿わせることができる。
第9の観点にかかる充填ノズルは、第1〜第8の観点のいずれかにかかる充填ノズルにおいて、ノズル本体に固定ラックを設け、バルブ当接体に固定ラックに噛み合う歯車を設け、スライド軸に歯車に噛み合う可動ラックを設ける。そして、ノズル本体をバルブ口側に向かって押し付け前進させる力によって歯車を回転させ、歯車の回転によって可動ラックを後方に移動させ、可動ラックの後方への移動によってスライド軸を後方に引き出す力を得ている。
すなわち、この充填ノズルでは、固定ラック、歯車及び可動ラックによって、スライド軸を後方に引き出す力を得る機構(スライド軸駆動機構)が構成されている。ここで、ノズル本体をバルブ口側に向かって押し付け前進させる力は、充填ノズルを駆動するためのシリンダ等のノズル駆動機構によって付与される力である。そして、このようなノズル駆動機構は、充填ノズルを有する液化ガス充填設備に設けられている駆動源である。
このため、このスライド軸駆動機構では、ノズル駆動機構によって付与されるノズル本体をバルブ口側に向かって押し付け前進させる力を利用して、スライド軸を後方に引き出す力を得ることができる。また、このスライド軸駆動機構では、固定ラック、歯車及び可動ラックからなる機械的機構を採用しているため、充填ノズル内やガスボンベ内における圧力条件によらず、スライド軸を後方に引き出す力を得ることができる。
これにより、この充填ノズルでは、スライド軸駆動機構として特別な駆動源を使用することなく、スライド軸を後方に引き出す力を得て、逆止弁体の内面を把持して開けることができる。また、機械的機構によって逆止弁体の内面を把持して開けることができるため、特許文献2の逆止弁体の内外の差圧によって逆止弁を開く機構とは異なり、液化ガスを外部に漏らすことなく逆止弁体を開けることができ、さらに、液化ガスの充填時だけでなくガスボンベの真空引き時にも使用することができる。
第10の観点にかかる充填ノズルは、第9の観点にかかる充填ノズルにおいて、可動ラックとスライド軸との前後方向間に、前後方向に弾性変形可能なクランプ後バネを設ける。
すなわち、この充填ノズルでは、クランプ後バネを介してスライド軸に可動ラックが設けられている。
このため、可動ラックが最も後方に移動した状態(ストロークエンド)において、種々の位置的誤差等によってスライド軸の後方への引き出し距離と可動ラックの後方への移動距離との間に誤差(ストローク誤差)が発生しても、クランプ後バネの前後方向への弾性変形によって、このようなストローク誤差を吸収することができる。
これにより、この充填ノズルでは、種々の位置的誤差等によって発生するストローク誤差を吸収しつつ、逆止弁体の内面を確実に開けることができる。
第11の観点にかかる充填ノズルは、第1〜第8の観点のいずれかにかかる充填ノズルにおいて、ノズル本体とバルブ当接体との間において、高圧空間と高圧空間よりも後方の低圧空間とを形成するとともに、前後方向に移動可能な状態でピストンを設け、ピストンをスライド軸に固定する。そして、高圧空間に液化ガスの圧力を作用させることによってピストンを後方に移動させ、ピストンの後方への移動によってスライド軸を後方に引き出す力を得ている。
すなわち、この充填ノズルでは、高圧空間、低圧空間及びピストンによって、スライド軸を後方に引き出す力を得る機構(スライド軸駆動機構)が構成されている。
このため、このスライド軸駆動機構では、液化ガスの差圧によって、スライド軸を後方に引き出す力を得ることができる。また、このスライド軸駆動機構では、ノズル本体とバルブ当接体との間に形成された高圧空間と低圧空間との間に差圧を発生させるようにしている。すなわち、このスライド軸駆動機構では、特許文献2の逆止弁体の内外の差圧によって逆止弁を開く機構とは異なり、クランプ金具を逆止弁体の内面に挿入する際に、逆止弁体の内面を摺動しながら挿入されるノズル前端部のUパッキンを有していない。
これにより、この充填ノズルでは、スライド軸駆動機構として特別な駆動源を使用することなく、スライド軸を後方に引き出す力を得て、逆止弁体の内面を把持して開けることができる。また、ノズル本体とバルブ当接体との間に形成された高圧空間と低圧空間との間に差圧を発生させる機構を採用しているため、特許文献2の逆止弁体の内外の差圧によって逆止弁を開く機構とは異なり、ノズル前端部のUパッキンのシール性に頼ることなく、差圧を確実に確保することができる。
第12の観点にかかる充填ノズルは、第1〜第8の観点のいずれかにかかる充填ノズルにおいて、ノズル本体をバルブ口側に向かって押し付け前進させる駆動源とは別の駆動源によってスライド軸を後方に引き出す力を得ている。
すなわち、この充填ノズルでは、ノズル本体をバルブ口側に向かって押し付け前進させる力を付与する駆動源(ノズル駆動機構)とは別の駆動源(スライド軸駆動機構)によって、スライド軸を後方に引き出す力を得ている。ここで、ノズル駆動機構は、充填ノズルを有する液化ガス充填設備に設けられている駆動源である。
このため、このスライド軸駆動機構では、充填ノズル内に、ノズル本体をバルブ口側に向かって押し付け前進させる力を利用してスライド軸を後方に引き出す力を得るための構造や液化ガスの差圧によってスライド軸を後方に引き出す力を得るための構造を設けることなく、スライド軸を後方に引き出す力を得ることができる。
これにより、この充填ノズルでは、ノズル駆動機構とは別の駆動源であるスライド軸駆動機構が必要になるものの、充填ノズル内にスライド軸を後方に引き出す力を得るための複雑な構造を設けることなく、スライド軸を後方に引き出す力を得て、逆止弁体の内面を把持して開けることができる。また、特許文献2の逆止弁体の内外の差圧によって逆止弁を開く機構とは異なり、液化ガスを外部に漏らすことなく逆止弁体を開けることができ、さらに、液化ガスの充填時だけでなくガスボンベの真空引き時にも使用することができる。
第13の観点にかかる液化ガス充填設備は、第1〜第12のいずれかの観点にかかる充填ノズルを備えた液化ガス充填設備である。
この液化ガス充填設備では、上記の充填ノズルによって、逆止弁の取り外しや逆止弁を開くための特殊な機器の着脱をなくし、逆止弁体の内面に内部溝を形成する等の専用の逆止弁を使用せずに、逆止弁体の内面を確実に把持して開けて、液化ガスを充填することができる。
第14の観点にかかる液化ガス充填設備は、第13の観点にかかる液化ガス充填設備において、充填ノズルに液化ガスを供給するガス供給管と、ガス供給管の開閉弁と充填ノズルとの間に液化ガスの充填完了の直前にガス供給管内に存在する液化ガスを加熱する加熱装置を設ける。
このため、この液化ガス充填設備では、液化ガスの充填完了の直前に、ガス供給管の開閉弁を閉止した状態で、加熱装置によってガス供給管内に存在する液化ガスを加熱することによって、ガス供給管内に存在する液化ガスをガスボンベに押し込むことができる。
これにより、この液化ガス充填設備では、液化ガスを充填するためのガス供給管や充填ノズル内に残る液化ガスの量を削減することができる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1及び第3の観点にかかる充填ノズルでは、逆止弁の取り外しや逆止弁を開くための特殊な機器の着脱をなくし、逆止弁体の内面に内部溝を形成する等の専用の逆止弁を使用せずに、逆止弁体の内面を確実に把持して開けることができる。
第4の観点にかかる充填ノズルでは、逆止弁体の内面を把持する際や逆止弁体を後方に引き出す際には、把持用リングが逆止弁体の内面を把持した状態を確実に維持することができる。また、クランプ金具を逆止弁体の内面に挿入する際には、第1クランプ金具と逆止弁体の内面との干渉を緩和することができ、クランプ金具を逆止弁体の内面にスムーズに挿入することができる。
第5及び第6の観点にかかる充填ノズルでは、バルブ当接体がバルブ口に押し付けられた状態で、充填ノズルとバルブ口との間の位置的誤差等が発生する場合であっても、充填ノズルとバルブ口との間のシール性を確保することができる。
第2、第7及び第8の観点にかかる充填ノズルでは、クランプ金具を逆止弁体の内面に挿入する際に、クランプ金具と逆止弁体の内面との間に位置ずれが発生しても、クランプ金具を逆止弁体の内面に案内して挿入することができる。
第9の観点にかかる充填ノズルでは、スライド軸駆動機構として特別な駆動源を使用することなく、スライド軸を後方に引き出す力を得て、逆止弁体の内面を把持して開けることができる。また、機械的機構によって逆止弁体の内面を把持して開けることができるため、特許文献2の逆止弁体の内外の差圧によって逆止弁を開く機構とは異なり、液化ガスを外部に漏らすことなく逆止弁体を開けることができ、さらに、液化ガスの充填時だけでなくガスボンベの真空引き時にも使用することができる。
第10の観点にかかる充填ノズルでは、種々の位置的誤差等によって発生するストローク誤差を吸収しつつ、逆止弁体の内面を確実に開けることができる。
第11の観点にかかる充填ノズルでは、スライド軸駆動機構として特別な駆動源を使用することなく、スライド軸を後方に引き出す力を得て、逆止弁体の内面を把持して開けることができる。また、ノズル本体とバルブ当接体との間に形成された高圧空間と低圧空間との間に差圧を発生させる機構を採用しているため、特許文献2の逆止弁体の内外の差圧によって逆止弁を開く機構とは異なり、ノズル前端部のUパッキンのシール性に頼ることなく、差圧を確実に確保することができる。
第12の観点にかかる充填ノズルでは、ノズル駆動機構とは別の駆動源であるスライド軸駆動機構が必要になるものの、充填ノズル内にスライド軸を後方に引き出す力を得るための複雑な構造を設けることなく、スライド軸を後方に引き出す力を得て、逆止弁体の内面を把持して開けることができる。また、特許文献2の逆止弁体の内外の差圧によって逆止弁を開く機構とは異なり、液化ガスを外部に漏らすことなく逆止弁体を開けることができ、さらに、液化ガスの充填時だけでなくガスボンベの真空引き時にも使用することができる。
第13の観点にかかる液化ガス充填設備では、上記の充填ノズルによって、逆止弁の取り外しや逆止弁を開くための特殊な機器の着脱をなくし、逆止弁体の内面に内部溝を形成する等の専用の逆止弁を使用せずに、逆止弁体の内面を確実に把持して開けて、液化ガスを充填することができる。
第14の観点にかかる液化ガス充填設備では、液化ガスを充填するためのガス供給管や充填ノズル内に残る液化ガスの量を削減することができる。
以下、本発明にかかる充填ノズル及び該充填ノズルを備えた液化ガス充填設備の実施形態及びその変形例について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる充填ノズル及び該充填ノズルを備えた液化ガス充填設備の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(1)液化ガス充填設備の全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる液化ガス充填設備1の全体図である。図2は、液化ガス充填設備1の液化ガス系統及び制御系統を示す模式図である。尚、以下の説明では、液化ガス充填設備1がR407CやR410A等の冷媒(液化ガス)を未充填のガスボンベ100に充填する設備であるものとする。また、以下の説明において、特にことわりのない限り、「前方」や「前進」とは、各図の紙面右方向を意味し、「後方」とは、各図の紙面左方向を意味するものとする。
液化ガス充填設備1は、主として、ベース2と、搬送台3と、位置決めユニット4と、レール5と、支柱6とを有している。搬送台3は、ベース2の上面に配置されている。搬送台3には、ガスボンベ100が載置される。位置決めユニット4は、ガスボンベ100が所定の方向を向くように位置決めした状態で、アーム4aによってガスボンベ100の外面を保持する。レール5及び支柱6は、ベース2上に立設されている。
レール5には、上部ユニット7及び位置決めユニット4がガスボンベ100のサイズに応じて昇降可能に設けられている。上部ユニット7は、主として、バルブ把持機構7aと、バルブ後部支持機構7bと、ノズル駆動機構7cと、ハンドル駆動機構7dとを有している。バルブ把持機構7aは、ガスボンベ100に設けられたボンベ開閉バルブ101のバルブ口104と充填ノズル20の方向とを一致させた状態で、ボンベ開閉バルブ101を把持する爪部である。バルブ後部支持機構7bは、ボンベ開閉バルブ101の後部(図1及び図2における紙面右寄りの部分)を押圧して支持するレバー部である。ノズル駆動機構7cは、液化ガスを供給するためのガス供給管8に接続された充填ノズル20に対して、ボンベ開閉バルブ101のバルブ口104側に向かって押し付け前進させる力を付与するシリンダ部である。ガス供給管8の途中には、液化ガスを充填するためのガス供給管8や充填ノズル20内に残る液化ガスをガス回収装置(図示せず)に送るためのガス回収管9が接続されている。ガス回収管9には、電磁弁等からなる開閉弁9aが設けられている。また、ここでは、ガス供給管8は、大流量の液化ガスを充填ノズル20に送るための第1ガス供給管10と、小流量の液化ガスを充填ノズル20に送るための第2ガス供給管11とに分岐されている。第1ガス供給管10には、電磁弁等からなる開閉弁10aと、高周波加熱器等からなる加熱装置10b(図1には図示せず)が設けられている。加熱装置10bは、第1ガス供給管10の開閉弁10aと充填ノズル20との間の位置(ここでは、第1ガス供給管10の開閉弁10aの出口近傍)に設けられている。第2ガス供給管11には、電磁弁等からなる開閉弁11aと、高周波加熱器等からなる加熱装置11b(図1には図示せず)が設けられている。加熱装置11bは、第2ガス供給管11の開閉弁11aと充填ノズル20との間の位置(ここでは、第2ガス供給管11の開閉弁11aの出口近傍)に設けられている。ハンドル駆動機構7dは、バルブ把持機構7aを回転駆動して、ボンベ開閉バルブ101のバルブハンドル115を回すモータ部である。
支柱6の上部には、上記の各部4、7a〜7d、9a、10a、10b、11a、11bの動作を制御する制御ボックス12が設けられている。
(2)ボンベ開閉バルブの構成
図3は、ボンベ開閉バルブ101の概略断面図である。
ボンベ開閉バルブ101は、主として、バルブ本体102を有している。バルブ本体102の下部には、脚ネジ103が形成されている。バルブ本体102は、脚ネジ103がガスボンベ101の上部にネジ込まれることによって、ガスボンベ101に固定されている。バルブ本体102の上下方向の途中には、ノズル形状のバルブ口104が横向き(図3における紙面左方向)に突出している。脚ネジ103の下面に開口したボンベ側開口105は、液化ガス流路106と閉止弁座107の筒孔内と閉止バルブ室108とを順に通じて、閉止バルブ室108の側壁に開口したノズル内流路109に連通している。ノズル内流路109の中には、逆止弁110が設けられている。このため、バルブ口104の出口であるノズル開口104aは、逆止弁110の出口になっている。また、バルブ口104の外面には、外部機器との接続に使用されるノズルネジ104bが形成されている。
閉止バルブ室108は、ネジ孔111を通じて、バルブ本体102の外部に連通している。ネジ孔111には、グランドナット112がネジ込まれている。グランドナット112には、スピンドル孔113が形成されている。スピンドル孔113には、スピンドル114が螺合している。スピンドル114の上端部には、バルブハンドル115が設けられている。また、閉止バルブ室108内には、閉止部材116とダイヤフラム117と押し付けバネ118とが収容されている。ダイヤフラム117の上面は、スピンドル114に対向している。ダイヤフラム117の下面は、閉止部材116に固定されている。押し付けバネ118は、ダイヤフラム117を介して閉止部材116を上方に付勢している。
また、ボンベ側開口105には、サイフォン管継手119を介してサイフォン管120が接続されている。サイフォン管120は、ガスボンベ100の内部を下方に延びている。さらに、バルブ本体102の上下方向の途中には、安全弁121が設けられている。ここでは、安全弁121は、バルブ口104が突出する側とは反対側に設けられている。安全弁121は、例えば、可溶栓からなり、ボンベ側開口105及び液化ガス流路106とは別に、バルブ本体102に形成された安全弁用開口122及び安全弁用流路123に連通している。
このようなバルブ本体102側の構成によって、バルブハンドル115を回転させてスピンドル114を下方の閉止バルブ室108に近づく方向に進ませると、スピンドル114の下端部がダイヤフラム117を押し下げる。このとき、ダイヤフラム117は、押し付けバネ118を圧縮しながら閉止部材116を押し下げるため、閉止部材116が閉止弁座107に当接する。これにより、ガスボンベ100の外部に連通するノズル内流路109とガスボンベ100内に連通する液化ガス流路106との連通を遮断した状態(ボンベ開閉バルブ101の閉止状態)になる。一方、バルブハンドル115を回転させてスピンドル114を下方の閉止バルブ室108から離れる方向に後退させると、スピンドル114の下端部がダイヤフラム117から離反して閉止部材116を押し下げる力がなくなる。このとき、押し付けバネ118は、ダイヤフラム117を介して閉止部材116を上方に付勢して押し上げるため、閉止部材116が閉止弁座107から離反する。これにより、ガスボンベ100の外部に連通するノズル内流路109とガスボンベ100内に連通する液化ガス流路106とが連通した状態(ボンベ開閉バルブ101の開放状態)になる。
逆止弁110は、主として、カセット筒124と逆止弁体125と押し付けバネ126とを有している。ノズル内流路109内には、略円筒形状のカセット筒124がネジ込まれており、カセット筒124の筒孔内には、前端部の開口が閉じた略円筒形状の逆止弁体125と、コイルバネからなる押し付けバネ126とが収容されている。
カセット筒124の後端部(ノズル開口104a側の端部)には、内周側に向かって折り返されることによって小径の折り返し部124aが形成されている。折り返し部124aは、押し付けバネ126の後端部を支持している。また、折り返し部124aの前端部(バルブ本体102側の端部)は、逆止弁体125に対向している。
逆止弁体125は、カセット筒124内を前後方向に移動可能に配置されており、主として、筒状部125aと、筒状部125aの後端部から後方に延びる突出部125bと、筒状部125aの前端部の開口を閉じる弁面部125cとを有している。筒状部125aは、略円筒形状を有しており、ここでは、その内面が内部溝等のような凹凸がない滑らかな面をなしている。また、筒状部125aの外周部には、流路溝125dとガイドリブ125eとが周方向に交互に形成されている。そして、筒状部125aの後端部は、押し付けバネ126の前端部を支持している。すなわち、押し付けバネ126は、逆止弁体125とカセット筒124との前後方向間に設けられている。このため、逆止弁体125は、押し付けバネ126によって前方(バルブ本体102側)に付勢されている。尚、逆止弁体125は、押し付けバネ126の前方への付勢力に打ち勝つことによって、押し付けバネ126を圧縮しながら後方(ノズル開口104a側)に移動することができる。但し、逆止弁体125の突出部125bがカセット筒124の折り返し部124aの前端部に対向しているため、逆止弁体125の移動は、突出部125bが折り返し部124aの前端部に接触するまでの範囲に制限されている。弁面部125cは、押し付けバネ126による前方への付勢力によって、ノズル内流路109の前端部に形成された逆止弁座109a(ノズル内流路109の前端部の流路径が小さくなった部分)に当接する部分である。このため、押し付けバネ126による前方への付勢力によって逆止弁体125の弁面部125cが逆止弁座109aに当接する場合には、逆止弁110が閉止状態になる。しかし、逆止弁110は、押し付けバネ126による前方への付勢力に打ち勝って押し付けバネ126を圧縮しながら後方に逆止弁体125が移動して弁面部125cが逆止弁座109aから離反する場合には、逆止弁110が開放状態になる。
また、ノズル内流路109のカセット筒124の後端部とノズル開口104aとの前後方向間には、環状の保護板127が設けられている。保護板127は、ノズル内流路109の内面に形成された保護板受け溝109bに嵌め込まれている。保護板127は、カセット筒124、すなわち、逆止弁110を無理矢理に取り外そうとすると、カセット筒124の後端部に干渉して外れるようになっている。このため、バルブ口104のノズル開口104aを通じて保護板127の取り付け状態を目視することによって、逆止弁110の逆止機能が損なわれていないかどうかを確認することができる。
(3)充填ノズルの構成
図4は、充填ノズル20の全体断面図である。図5は、図4のスライド軸50の前端部、クランプ金具60、61及び把持用リング70付近の拡大図である。図6は、把持用リング70の変形例を示す図であって、図5に対応する図である。
充填ノズル20は、ガスボンベ100に液化ガスを充填する際に逆止弁110付きのボンベ開閉バルブ101のバルブ口104に接続される充填ノズルである。充填ノズル20は、主として、ノズル本体30と、バルブ当接体40と、スライド軸50と、第1クランプ金具60と、第2クランプ金具61と、把持用リング70とを有している。
<ノズル本体>
ノズル本体30は、主として、本体空間30aが形成された略角柱形状のケース31を有している。ケース31の前端部は開口しており、ケース31の前端部側から本体空間30a内に向かってバルブ当接体40の後端部が挿入されている。ケース31の後端部は、ノズル駆動機構7c(図4には図示せず、図1及び図2参照)によって前方に押圧することができるように上部ユニット7(図4には図示せず、図1及び図2参照)に設けられている。ケース31の外周部には、ソケット32が上向きに突出している。ソケット32には、本体空間30aに連通するねじ孔32aが形成されており、ガス供給管8(図4には、図示せず、図1及び図2参照)の継手部がねじ込まれることによって、ガス供給管8が接続されている。本体空間30aには、コイルバネからなるノズルバネ33が設けられている。ここでは、ノズルバネ33は、本体空間30aの最外周部に配置されている。ケース31の後端部の本体空間30aに面する位置には、ノズルバネ33の後端部の内面に沿って前方に突出する略円筒形状のバネ保持部31aが形成されており、ケース31の後端部がノズルバネ33の後端部を支持している。また、本体空間30aには、前後方向に歯が形成された固定ラック34が設けられている。ここでは、固定ラック34は、バネ保持部31aよりも内周側に配置されている。ケース31の後端部の本体空間30aに面する位置には、後方に凹んだ係合孔31bが形成されており、固定ラック34の後端部に形成された係合突起34aが係合孔31bに嵌め込み固定されている。このようにして、固定ラック34がケース31(すなわち、ノズル本体30)に設けられている。
<バルブ当接体>
バルブ当接体40は、ノズル本体30に対して前後方向に移動可能な状態でノズル本体30に設けられており、ボンベ開閉バルブ101のバルブ口104に押し付けられる筒状の部材である。バルブ当接体40は、主として、ノズル41と、ノズル金具42と、ノズルガイド46とを有している。
ノズル41は、バルブ当接体40のうちノズル本体30に対して前後方向に移動可能な状態でノズル本体30に設けられる部分である。ノズル41は、前後方向に貫通する貫通孔41aが形成された略円筒形状の部材であり、その後端部側の部分がケース31の前端部側から本体空間30a内に挿入されている。ノズル41の前後方向の中間付近には、ケース31の本体空間30aのノズル41の外周側の部分と貫通孔41aとを連通させるための連通孔41bが形成されている。また、ノズル41の後端部側の位置には、環状のバネ受け部41cが外周側に向かって突出している。バネ受け部41cの後面は、ノズルバネ33の前端部を支持している。すなわち、ノズルバネ33は、ノズル41(すなわち、バルブ当接体40)とケース31(すなわち、ノズル本体30)との前後方向間に設けられている。また、バネ受け部41cの前面は、環状のパッキン35を介してブッシュ36の後面に当接している。ブッシュ36は、ケース31の前端部の内周側に配置された略円筒形状の部材である。ブッシュ36は、ナット37をケース31の前端部にネジ込むことによって、ケース31(すなわち、ノズル本体30)に固定されている。ここで、ナット37とブッシュ36との間には、バックアップリング38a及びOリング38bが介在しており、ケース31の前端部とナット37との間には、Oリング38cが介在している。このため、ケース31(すなわち、ノズル本体30)は、ノズル41(すなわち、バルブ当接体40)に対してノズルバネ33によって後方に付勢されている。尚、ケース31(すなわち、ノズル本体30)は、ノズルバネ33の後方への付勢力に打ち勝つことによって、ノズルバネ33を圧縮しながらノズル41(すなわち、バルブ当接体40)に対して前方に移動することができる。但し、ケース31の後端部がノズル41の後端部に対向しているため、ケース31(すなわち、ノズル本体30)の移動は、ケース31の後端部がノズル41の後端部に接触するまでの範囲に制限されている。また、バネ保持部31aとノズル41との径方向間、及び、ブッシュ36とノズル41との径方向間には、筒状のパッキン39a、39bが設けられている。さらに、ノズル41(すなわち、バルブ当接体40)の後端部側の位置には、固定ラック34に噛み合う歯車43が設けられている。歯車43は、ノズル41に設けられた歯車軸43aに軸支されている。このため、ケース31(すなわち、ノズル本体30)がノズルバネ33を圧縮しながらノズル41(すなわち、バルブ当接体40)に対して前方に移動すると、歯車43が回転するようになっている。尚、ノズル本体30には、冷媒を充填する際に、液化ガスの圧力による反力が作用するため、このような液化ガスの圧力による反力を小さくするために、ノズル41の直径をできるだけ小さくすることが好ましい。
ノズル金具42は、バルブ当接体40のうちボンベ開閉バルブ101のバルブ口104に押し付けられる部分である。ノズル金具42は、前後方向に貫通する貫通孔42aが形成された略円筒形状の部材であり、その後端部側の部分がノズル41の前端部にネジ込まれることによって、ノズル41に固定されている。ここで、ノズル金具42とノズル41との間には、Oリング44が介在している。ノズル金具42(すなわち、バルブ当接体40)のバルブ口104との対向面には、平パッキン45が設けられている。ここで、平パッキン45は、バルブ口104に対向する端面が平坦な面を有している。しかも、平パッキン45の端面は、バルブ口104の端面(すなわち、バルブ口104のノズル開口104aの外周側の部分)全体が当接可能な大きさを有している。
ノズルガイド46は、バルブ当接体40をボンベ開閉バルブ101のバルブ口104に案内する部分である。ノズルガイド46は、バルブ口104を挿入可能な内径の貫通孔46aが形成された略円筒形状の部材である。ノズルガイド46は、その後端部側の部分がノズル金具42にネジ込まれることによって、また、外周側から止めネジ47をネジ込むことによって、ノズル金具42に固定されている。
<スライド軸>
スライド軸50は、バルブ当接体40に対して前後方向に移動可能な状態でバルブ当接体40の内部を前方に貫通するように設けられるとともに、その前端部が逆止弁110の逆止弁体125の内面まで延びており、バルブ当接体40がバルブ口104に押し付けられた状態で後方に引き出す力が加えられる軸状の部材である。
スライド軸50の後端部側の位置には、前後方向に歯が形成されており歯車43に噛み合う可動ラック51が設けられている。ここでは、可動ラック51の前端部には、連結部51aが設けられており、スライド軸50が連結部51aを貫通している。そして、スライド軸50の可動ラック51を貫通した位置よりも前端部側の位置には、環状の鍔部50aが外周側に向かって突出している。鍔部50aは、ノズル41の貫通孔41aの後端部側の大径の部分と前端部側の小径の部分との間を結ぶ段差部41dの後面に当接するようになっており、ノズル41(すなわち、バルブ当接体40)に対する前方への移動範囲が制限されている。ここで、連結部51aの鍔部50aとの対向面には、ウェーブワッシャ52が設けられている。また、スライド軸50の鍔部50aの段差部41dとの対向面には、Oリング48が設けられている。Oリング48は、ノズル41の壁面(ここでは、段差部41d)に当接した状態で、ノズル41とスライド軸50との間をシールする機能を有している。
また、可動ラック51とスライド軸50との前後方向間には、前後方向に弾性変形可能なコイルバネからなるクランプ後バネ53が設けられている。すなわち、可動ラック51は、クランプ後バネ53を介してスライド軸50に設けられている。ここでは、スライド軸50の連結部51aよりも後端部側の位置に、環状の後バネ座54が嵌め込み固定されており、後バネ座54がクランプ後バネ53の後端部を支持している。そして、可動ラック51の連結部51aの後面は、クランプ後バネ53の前端部を支持している。このため、可動ラック51は、ノズル41(すなわち、バルブ当接体40)に対してクランプ後バネ53によって前方に付勢されている。しかも、可動ラック51の連結部51aの前面は、スライド軸50の鍔部50aの後面に対向している。このため、可動ラック51は、基本的には、スライド軸50の鍔部50aと一体的に前後方向に移動するようになっている。尚、クランプ後バネ53としては、円形断面の線材をコイル状に巻いてなるコイルバネや四角形断面の線材をコイル状に巻いてなるコイルバネ(角バネ)等を使用することができる。
そして、ノズル本体30がバルブ当接体40に対して前方に移動すると、固定ラック34に噛み合う歯車43が回転し、歯車43の回転によって可動ラック51が後方に移動する。可動ラック51が後方に移動すると、スライド軸50も後方に移動するようになっている。但し、可動ラック51は、その後端部がノズル本体30の後端部に対向しているため、可動ラック51の後方への移動は、ノズル本体30の後端部に接触するまでの範囲に制限されている。また、可動ラック51が最も後方に移動した状態(ストロークエンド)近くまで達すると、クランプ後バネ53の前方への付勢力に打ち勝つことによって、クランプ後バネ53を圧縮しながら、スライド軸50の鍔部50aから離れる方向に(すなわち、スライド軸50に対して後方に)移動することができるようになっている。
このように、ここでは、ノズル駆動機構7c(図4には図示せず、図1及び図2参照)から付与されるノズル本体30をバルブ口104側に向かって押し付け前進させる力によって、歯車43を回転させ、歯車43の回転によって可動ラック51を後方に移動させ、可動ラック51の後方への移動によって、スライド軸50を後方に引き出す力を得るようになっている。すなわち、ここでは、固定ラック34、歯車43及び可動ラック51によって、スライド軸50を後方に引き出す力を得る機構(スライド軸駆動機構)が構成されている。
また、スライド軸50の前後方向の中央付近は、前軸受55を介して、ノズル41(すなわち、バルブ当接体40)に対して前後方向に移動可能に支持されている。ここで、スライド軸50の外周面と前軸受55の内周面との間には、隙間55aが形成されている。すなわち、この隙間55aによって、スライド軸50の位置をずらすことができるようになっている。
また、スライド軸50の一部には、径を小さくした細径部50bが設けられている。すなわち、細径部50bによって、スライド軸50を容易に撓ませることができるようになっている。ここでは、細径部50bは、スライド軸50の前軸受55よりも前端部側の位置に設けられている。そして、スライド軸50の細径部50bよりも前端部側の部分は、充填ノズル20をボンベ開閉バルブ101のバルブ口104に押し付けた状態において、逆止弁110の逆止弁体125の内面まで達するようになっている。
<クランプ金具>
クランプ金具は、第1クランプ金具60と、第2クランプ金具61とからなる。
第1クランプ金具60は、スライド軸50の前端部に固定された部材である。ここでは、第1クランプ金具60は、略円筒形状を有しており、スライド軸50の細径部50bよりも前方の位置に嵌め込まれることによって、また、外周側から止めネジ67をネジ込むことによって、スライド軸50の前端部に固定されている。ここで、第1クランプ金具60の最大外径は、逆止弁体125の内面の径よりも小さくなっている。また、第1クランプ金具60の後端部には、前方に向かうにつれて径が大きくなるテーパ面部62が形成されている。
第2クランプ金具61は、スライド軸50の第1クランプ金具60よりも後方の位置に設けられており、後方に引き出す力をスライド軸50に加えることによって第1クランプ金具60との前後方向間の隙間を小さくすることが可能な部材である。ここでは、第2クランプ金具61は、略円筒形状を有しており、スリーブ63を介してスライド軸50の第1クランプ金具60よりも後方の位置に、かつ、スライド軸50の細径部50bよりも前方の位置に設けられている。スリーブ63は、スライド軸50に対して前後方向に移動可能な状態でスライド軸50を挿入可能な略円筒形状の部材であり、スライド軸50の第1クランプ金具60よりも後方の位置に、かつ、スライド軸50の細径部50bよりも前方の位置に設けられている。そして、第2クランプ金具61は、スリーブ63に嵌め込まれることによって、また、外周側から止めネジ64をネジ込むことによって、スリーブ63に固定されている。これにより、第2クランプ金具61は、スライド軸50に対して前後方向に移動可能な状態になっている。ここで、第2クランプ金具61の最大外径は、逆止弁体125の内面の径よりも小さくなっている。また、第2クランプ金具61の前端部には、前方に向かうにつれて径が小さくなるテーパ面部65が形成されている。
また、スリーブ63の後端部には、環状の鍔部63aが外周側に向かって突出している。鍔部63aは、ノズル金具42の貫通孔42aの前端部付近において内周側に向かって突出する段差部42bの後面に当接するようになっており、ノズル41(すなわち、バルブ当接体40)に対する前方への移動範囲が制限されている。ここで、鍔部63aの段差部42bとの対向面は、前方に向かうにつれて径が小さくなるテーパ面をなしており、段差部42bの鍔部63aとの対向面は、鍔部63aの段差部42bとの対向面に沿うテーパ面をなしている。これにより、スライド軸50の細径部50bよりも前方の部分がノズル金具42によって支持されている。
また、第2クランプ金具61とノズル金具42(すなわち、バルブ当接体40)の前端部との前後方向間には、前後方向に弾性変形可能なコイルバネからなるクランプ前バネ66が設けられている。すなわち、クランプ前バネ66によって、第2クランプ金具61が前方の第1クランプ金具60側に付勢された状態が得られるようになっている。ここでは、クランプ前バネ66として、クランプ後バネ53よりもバネ力の弱いものが使用されており、クランプ金具60、61に対して前後方向への力が付与された場合には、クランプ前バネ66が優先的に前後方向に弾性変形するようになっている。また、ノズル金具42の前端部の平パッキン45よりも内周側の部分がクランプ前バネ66の後端部を支持している。さらに、第2クランプ金具61の後端部がクランプ前バネ66の前端部を支持している。尚、クランプ後バネ53としては、円形断面の線材をコイル状に巻いてなるコイルバネや四角形断面の線材をコイル状に巻いてなるコイルバネ(角バネ)等を使用することができる。また、クランプ前バネ66を円錐バネで構成すれば、前後方向の弾性と中心を出す作用が得られるため、段差部42bとスリーブ63の鍔部63aがなくても、スリーブ63を安定的に支持することができる。
<把持用リング>
把持用リング70は、第1クランプ金具60と第2クランプ金具61との前後方向間に設けられており、第1クランプ金具60と第2クランプ金具61との間の隙間を小さくすることによって外周側に向かって弾性変形して逆止弁体125の内面を把持する環状の部材である。ここでは、把持用リング70は、コイルバネからなる(図4及び図5参照)。すなわち、把持用リング70は、コイルバネを直線状の状態で長手方向に弾性的に伸縮させる態様で使用するものではなく、コイルバネを環状の状態で周方向に弾性的に伸縮させる態様で使用するものである。そして、把持用リング70は、第1クランプ金具60のテーパ面部62と第2クランプ金具61のテーパ面部65との前後方向間に挟まれている。ここで、第1クランプ金具60と第2クランプ金具61との間の隙間が大きい状態において、把持用リング70の外径は、第1クランプ金具60及び第2クランプ金具61の最大外径以下になっている。尚、把持用リング70は、コイルバネに限定されるものではなく、環状の状態で周方向に弾性的に伸縮させることができるものであればよく、例えば、ゴム製のOリング(図6参照)であってもよい。
そして、上記の固定ラック34、歯車43及び可動ラック51からなるスライド軸駆動機構からスライド軸50に後方に引き出す力が付与されると、このスライド軸50に加えられる後方に引き出す力によって、図5及び図6に示すように、第2クランプ金具61に対して第1クランプ金具60が後方に移動する。第1クランプ金具60が後方に移動すると、第1クランプ金具60と第2クランプ金具61との間の隙間が小さくなる。すると、把持用リング70に対してテーパ面部62、65によって外周側に押し出される力が付与されて、把持用リング70が外周側に向かって弾性変形する。これにより、把持用リング70の外径が第1クランプ金具60及び第2クランプ金具61の最大外径よりも大きくなって逆止弁体125の内面まで達し、逆止弁体125の内面を把持するようになっている。このとき、把持用リング70は、逆止弁体125の内面全体に接し、かつ、逆止弁体125の内面に押し付けられた状態で、逆止弁体125の内面を把持することになる。すなわち、ここでは、スライド軸50、クランプ金具60、61及び把持用リング70によって、ボンベ開閉バルブ101に設けられた逆止弁110の逆止弁体125の内面を把持する機構(逆止弁把持機構)が構成されている。その後、スライド軸50に加えられる後方に引き出す力がさらに加わると、逆止弁体125が後方に引き出されて逆止弁110の逆止弁体125が開放されることになる(図10及び図11参照)。
また、第2クランプ金具61は、クランプ前バネ66によって、前方の第1クランプ金具60側に付勢された状態になっているため、逆止弁体125の内面を把持する際、及び、その後に逆止弁体125を後方に引き出す際には、第1クランプ金具60と第2クランプ金具61との間の隙間を小さくした状態を維持することができるようになっている。
(4)充填ノズルの動作を含む液化ガスの充填動作及び特徴
<液化ガス充填時の液化ガス充填設備全体の動作及び特徴>
上記のような構成を有する液化ガス充填設備1における液化ガス充填時の設備全体の動作について、主として、図1及び図2を用いて説明する。尚、充填ノズル20を含む液化ガス充填設備1の動作は、制御ボックス12によって自動的に行われる。
まず、位置決めユニット4が、搬送台3に載置された未充填のガスボンベ100が所定の方向を向くように位置決めする。
次に、充填ノズル20が設けられた上部ユニット7が下降して、ガスボンベ100の上部付近の位置に停止する。
次に、上部ユニット7のバルブ把持機構7aが、ガスボンベ100に設けられたボンベ開閉バルブ101を把持して、ボンベ開閉バルブ101のバルブ口104と充填ノズル20の方向とを一致させる。
次に、上部ユニット7のバルブ後部支持機構7bが、ボンベ開閉バルブ101の後部(図1及び図2における紙面右寄りの部分)を押圧して支持する。
次に、上部ユニット7のノズル駆動機構7cが、充填ノズル20をボンベ開閉バルブ101のバルブ口104側に向かって前進させる。そして、充填ノズル20がバルブ口104に押し付けられると、後述のように充填ノズル20に設けられたスライド軸駆動機構及び逆止弁把持機構によって、ボンベ開閉バルブ101の逆止弁110の逆止弁体125を開放する。
次に、上部ユニット7のハンドル駆動機構7dが、バルブ把持機構7aを回転駆動して、ボンベ開閉バルブ101のバルブハンドル115を回して、ガスボンベ100に液化ガスを充填するための流路を確保する。そして、ガス供給管8(ここでは、2つのガス供給管10、11)から充填ノズル20を通じて、液化ガスをガスボンベ100に充填する。ここでは、ガス供給管8の開閉弁10a、11aを開け、ガス回収管9の開閉弁9aを閉止した状態で液化ガスの充填を行う。
次に、液化ガスの充填完了の直前に、ガス供給管8の開閉弁10a、11aを閉止し、この状態において、加熱装置10b、11bを作動させる。すると、加熱装置10b、11bによってガス供給管8内に存在する液化ガスが加熱されて急速に気化し、ガス供給管8内に存在する液化ガスがガスボンベ100に押し込まれる。
次に、上部ユニット7のハンドル駆動機構7dが、バルブ把持機構7aを回転駆動して、ボンベ開閉バルブ101のバルブハンドル115を回して、ガスボンベ100に液化ガスを充填するための流路を閉止する。そして、ガス回収管9の開閉弁9aを開けて、液化ガスを充填するためのガス供給管8や充填ノズル20内に残る液化ガスを回収処理する。このとき、上記のように、加熱装置10b、11bによってガス供給管8内に存在する液化ガスがガスボンベ100に押し込まれることによって、液化ガスを充填するためのガス供給管8や充填ノズル20内に残る液化ガスの量が削減されている。
<液化ガス充填時の充填ノズルの動作及び特徴>
次に、液化ガス充填時の充填ノズル20の動作について、主として、図4〜図11を用いて説明する。ここで、図7及び図9〜図11は、液化ガス充填時の充填ノズル20の動作を示す図である。図8は、バルブ当接体40をバルブ口104に当接するまで前進させる際に、充填ノズル20とバルブ口104との位置ずれが発生した状態を示す図である。
まず、ノズル駆動機構7c(図4〜図11には図示せず、図1及び図2参照)によってノズル本体30が前方に押圧されると、図7(ノズル本体30をバルブ当接体40がバルブ口104に当接するまで前進させた状態)に示すように、ノズルガイド46の案内によって、スライド軸50の前端部、すなわち、クランプ金具60、61及び把持用リング70が、ボンベ開閉バルブ101の逆止弁体125の内面に挿入されるとともに、ノズル金具42がボンベ開閉バルブ101のバルブ口104の後端部に当接する。これにより、バルブ当接体40、スライド軸50の前端部、すなわち、クランプ金具60、61及び把持用リング70の前進は止まる。
ここで、バルブ当接体40をバルブ口104に近づけてスライド軸50の前端部、すなわち、クランプ金具60、61及び把持用リング70を逆止弁体125の内面に挿入する際には、第1クランプ金具60が逆止弁体125の内面と干渉するおそれがある。例えば、図8(a)に示すように、充填ノズル20の軸心と逆止弁110の軸心とが平行な状態で位置ずれが発生する、又は、図8(b)に示すように、充填ノズル20の軸心と逆止弁110の軸心とが傾斜した状態で位置ずれが発生することによって、第1クランプ金具60が逆止弁体125の内面とが干渉するおそれがある。しかし、ここでは、スライド軸50の細径部50bによるスライド軸50の撓みを利用して、第1クランプ金具60の位置を補正し、クランプ金具60、61を逆止弁体125の内面に沿わせることができる。しかも、ここでは、図7等に示すように、スライド軸50の外周面と前軸受55の内周面との間に隙間55aが形成されているため、細径部50bによるスライド軸50の撓みだけでなく、隙間55aも利用して、第1クランプ金具60の位置を補正し、クランプ金具60、61を逆止弁体125の内面に沿わせることができる。尚、ここでは、スライド軸50に細径部50bを設けるとともに、スライド軸50の外周面と前軸受55の内周面との間に隙間55aを形成しているが、スライド軸50に細径部50bを設けるだけでもよいし、また、スライド軸50の外周面と前軸受55の内周面との間に隙間55aを形成するだけでもよい。また、第1クランプ金具60が逆止弁体125の内面と干渉しても、クランプ前バネ66の弾性変形によって、スリーブ63及び第2クランプ金具61を介して第1クランプ金具60が少し後方に移動できるようになり、第1クランプ金具60と逆止弁体125の内面との干渉を緩和することができる。これにより、ここでは、クランプ金具60、61及び把持用リング70を逆止弁体125の内面に挿入する際に、第1クランプ金具60と逆止弁体125の内面との間に位置ずれが発生しても、クランプ金具60、61を逆止弁体125の内面に案内して挿入することができる。
次に、ノズル駆動機構7cによってノズル本体30がさらに前方に押圧されると、図9(逆止弁体125の内面を把持した状態)に示すように、ノズル本体30は、ノズルバネ33を圧縮してさらに前進する。すると、固定ラック34が歯車43を回転させ、歯車43の回転によって、可動ラック51を後方に移動させ、可動ラック51の後方への移動によってスライド軸50を後方に引き出す力が付与される。そして、スライド軸50に加えられる後方に引き出す力によって、第2クランプ金具61に対して第1クランプ金具60が後方に移動する。第1クランプ金具60が後方に移動すると、第1クランプ金具60と第2クランプ金具61との間の隙間が小さくなる。すると、把持用リング70に対してテーパ面部62、65(図5及び図6参照)によって外周側に押し出される力が付与されて、把持用リング70が外周側に向かって弾性変形する。これにより、把持用リング70の外径が第1クランプ金具60及び第2クランプ金具61の最大外径よりも大きくなって逆止弁体125の内面まで達し、逆止弁体125の内面を把持する。このとき、把持用リング70は、逆止弁体125の内面全体に接し、かつ、逆止弁体125の内面に押し付けられた状態で、逆止弁体125の内面を把持することになる。把持用リング70がコイルバネからなる場合には、変形が容易である。また、把持用リング70がゴム製のOリングからなる場合には、特許文献1の鋼製のボールとは異なり、弾性によって逆止弁体125の内面を傷つけるおそれがない。その後、ノズル本体30がさらに前方に押圧されると、図10(逆止弁体125を開放した状態)に示すように、スライド軸50に後方に引き出す力がさらに加わり、クランプ前バネ66を圧縮しながら逆止弁体125が後方に引き出されて逆止弁110の逆止弁体125が開放されることになる。
このため、ここでは、特許文献1の鋼製のボールからなる引っ掛け部材を外周側に突出させる構成とは異なり、逆止弁体125の内面に内部溝を形成することなく、逆止弁体125の内面を確実に把持することができる。しかも、ここでは、特許文献2における逆止弁体の内外の差圧によって逆止弁を開く構成とは異なり、ノズル前端部のUパッキンのシール性に頼ることなく、逆止弁体125の内面を確実に把持することができる。また、ここでは、第1クランプ金具60と第2クランプ金具61との間の隙間を小さくする動作の方向が逆止弁体125を後方に引き出す動作の方向と同じであるため、逆止弁体125を後方に引き出す際にも、逆止弁体125の内面の把持状態が緩みにくくなっている。これにより、ここでは、逆止弁110の取り外しや逆止弁110を開くための特殊な機器の着脱をなくし、逆止弁体125の内面に内部溝を形成する等の専用の逆止弁を使用せずに、逆止弁体125の内面を確実に把持して開けることができる。
また、ここでは、クランプ前バネ66によって、第2クランプ金具61が前方の第1クランプ金具60側に付勢された状態が得られるようになっているため、逆止弁体125の内面を把持する際、及び、その後に逆止弁体125を後方に引き出す際には、第1クランプ金具60と第2クランプ金具61との間の隙間を小さくした状態を維持することができる。これにより、ここでは、逆止弁体125の内面を把持する際や逆止弁体125を後方に引き出す際には、把持用リング70が逆止弁体125の内面を把持した状態を確実に維持することができる。また、ここで、クランプ前バネ66やクランプ後バネ53として、バネ力が大きい角バネ等を使用すれば、第1クランプ金具60と第2クランプ金具61との間の隙間を小さくした状態をさらに維持しやすくなり、把持用リング70が逆止弁体125の内面を把持する力を大きくすることができる。
また、ここでは、ノズル41とスライド軸50との間に設けられたOリング48によって、逆止弁体125の内面を把持した状態(図9参照)までは、冷媒がノズル41側に流入しないようにシールされており、逆止弁体125を開放した状態(図10参照)になってから、ノズル41とスライド軸50との間に隙間が空いて、冷媒がノズル41側に流入するようになっている。これにより、逆止弁体125を開放した状態(図10参照)になるまでは、充填ノズル20から外部への液化ガスの流出を抑えることができるようになっている。
さらに、ここでは、上記のように、ノズル本体30をバルブ口104側に向かって押し付け前進させる力は、充填ノズル20を駆動するためのシリンダ等のノズル駆動機構7cによって付与されている。そして、このようなノズル駆動機構7cは、充填ノズルを有する液化ガス充填設備に設けられている駆動源である。このため、ノズル駆動機構7cによって付与されるノズル本体30をバルブ口104側に向かって押し付け前進させる力を利用して、スライド軸50を後方に引き出す力を得ることができる。また、ここでは、スライド軸駆動機構として、固定ラック34、歯車43及び可動ラック51からなる機械的機構を採用しているため、充填ノズル20内やガスボンベ100内における圧力条件によらず、スライド軸50を後方に引き出す力を得ることができる。これにより、ここでは、スライド軸駆動機構として特別な駆動源を使用することなく、スライド軸50を後方に引き出す力を得て、逆止弁体125の内面を把持して開けることができる。また、機械的機構によって逆止弁体125の内面を把持して開けることができるため、特許文献2の逆止弁体の内外の差圧によって逆止弁を開く機構とは異なり、液化ガスを外部に漏らすことなく逆止弁体125を開けることができ、さらに、液化ガスの充填時だけでなくガスボンベ100(図4〜図11には図示せず)の真空引き時にも使用することができる。
次に、ノズル駆動機構7cによってノズル本体30がさらに前方に押圧されてノズル本体30がストロークエンドまで前進すると、図11に示すように、可動ラック51が最も後方に移動した状態になって、クランプ前バネ66が圧縮されてクランプ後バネ53のバネ荷重を超える。このため、クランプ後バネ53が圧縮される。ここで、可動ラック51が最も後方に移動した状態(ストロークエンド)において、種々の位置的誤差等によってスライド軸50の後方への引き出し距離と可動ラック51の後方への移動距離との間に誤差(ストローク誤差)が発生するおそれがある。しかし、ここでは、上記のように、クランプ後バネ53の前後方向への弾性変形によって、このようなストローク誤差を吸収することができる。これにより、ここでは、種々の位置的誤差等によって発生するストローク誤差を吸収しつつ、逆止弁体125の内面を確実に開けることができる。
また、ここでは、液化ガス充填時において、バルブ当接体40がバルブ口104に押し付けられた状態で、平パッキン45によって、バルブ当接体40とバルブ口104との間がシールされている。このため、バルブ当接体40のバルブ口104との対向面にOリングを設ける場合に比べて、バルブ口104に接触する面を大きくすることができる。特に、ここでは、バルブ口104の端面全体が平パッキン45の端面に当接している。これにより、ここでは、バルブ当接体40がバルブ口104に押し付けられた状態で、充填ノズル20とバルブ口104との間の位置的誤差等が発生する場合であっても、充填ノズル20とバルブ口104との間のシール性を確保することができ、液化ガス充填時における充填ノズル20とバルブ口104との間からの液化ガスの漏れを防ぐことができる。尚、平パッキン45は、平坦な面だけではなく環状に凹凸を設けると、さらにシール性が向上する。当然ながら、平パッキン45として用いられるシール材は、適正な弾性変形が可能な硬度を有するものがよい。
(5)変形例1にかかる充填ノズル
上記の実施形態では、スライド軸50を後方に引き出す力を得るための駆動源として、固定ラック34、歯車43及び可動ラック51からなる機械的機構を採用しているが、これに限定されるものではない。
例えば、図12及び図13に示すように、ノズル本体30とバルブ当接体40との間において、高圧空間S1と高圧空間S1よりも後方の低圧空間S2とを形成するとともに、前後方向に移動可能な状態でピストン80を設け、ピストン80をスライド軸50に固定する。そして、高圧空間S1に液化ガスの圧力を作用させることによってピストン80を後方に移動させ、ピストン80の後方への移動によってスライド軸50を後方に引き出す力を得るようにしてもよい。ここでは、低圧空間S2は、ノズル本体30の後端部に形成されたガス回収孔81を通じてガス回収管9(図12及び図13には図示せず、図1及び図2参照)に連通している。ここで、図12は、本変形例にかかる充填ノズル20の全体断面図であり、図13は、本変形例における液化ガス充填時の充填ノズル20の動作(逆止弁体125の内面を把持し、逆止弁体125を開放した状態)を示す図である。
すなわち、ここでは、高圧空間S1、低圧空間S2及びピストン80によって、スライド軸50を後方に引き出す力を得る機構(スライド軸駆動機構)が構成されている。
このため、ここでは、液化ガスの差圧によって、スライド軸50を後方に引き出す力を得ることができる。また、ここでは、ノズル本体30とバルブ当接体40との間に形成された高圧空間S1と低圧空間S2との間に差圧を発生させるようにしている。すなわち、ここでは、特許文献2の逆止弁体の内外の差圧によって逆止弁を開く機構とは異なり、クランプ金具60、61を逆止弁体125の内面に挿入する際に、逆止弁体125の内面を摺動しながら挿入されるノズル前端部のUパッキンを有していない。
これにより、ここでは、上記実施形態と同様に、スライド軸駆動機構として特別な駆動源を使用することなく、スライド軸50を後方に引き出す力を得て、逆止弁体125の内面を把持して開けることができる。また、ノズル本体30とバルブ当接体40との間に形成された高圧空間S1と低圧空間S2との間に差圧を発生させる機構を採用しているため、特許文献2の逆止弁体の内外の差圧によって逆止弁を開く機構とは異なり、ノズル前端部のUパッキンのシール性に頼ることなく、差圧を確実に確保することができる。さらに、低圧空間S2がガス回収管9に連通しているため、液化ガスが大気放出されることはない。
(6)変形例2にかかる充填ノズル
上記の実施形態及び変形例1では、スライド軸50を後方に引き出す力を得るための駆動源として、固定ラック34、歯車43及び可動ラック51からなる機構や高圧空間S1、低圧空間S2及びピストン80からなる機構を採用しているが、これに限定されるものではない。
例えば、図14に示すように、ノズル本体30をバルブ口104側に向かって押し付け前進させる駆動源であるノズル駆動機構7cとは別の駆動源であるスライド軸駆動機構90によってスライド軸50を後方に引き出す力を得るようにしてもよい。ここでは、スライド軸駆動機構90は、バルブ当接体40に固定された略U字状の支持部材91に支持されている。ここで、図14は、本変形例にかかる充填ノズル20の全体断面図である。
すなわち、ここでは、ノズル本体30をバルブ口104側に向かって押し付け前進させる力を付与するノズル駆動機構7cとは別のスライド軸駆動機構90によって、スライド軸50を後方に引き出す力を得ている。
このため、ここでは、充填ノズル20内に、ノズル本体30をバルブ口104側に向かって押し付け前進させる力を利用してスライド軸50を後方に引き出す力を得るための構造(図4〜図11参照)や液化ガスの差圧によってスライド軸50を後方に引き出す力を得るための構造(図12及び図13参照)を設けることなく、スライド軸50を後方に引き出す力を得ることができる。
これにより、ここでは、ノズル駆動機構7cとは別の駆動源であるスライド軸駆動機構90が必要になるものの、充填ノズル20内にスライド軸50を後方に引き出す力を得るための複雑な構造を設けることなく、スライド軸50を後方に引き出す力を得て、逆止弁体125(図14には図示せず)の内面を把持して開けることができる。また、特許文献2の逆止弁体の内外の差圧によって逆止弁を開く機構とは異なり、液化ガスを外部に漏らすことなく逆止弁体125を開けることができ、さらに、上記実施形態と同様に、液化ガスの充填時だけでなくガスボンベ100(図14には図示せず)の真空引き時にも使用することができる。
(7)変形例3にかかる充填ノズル
上記の実施形態及び変形例1、2では、ボンベ開閉バルブ101に設けられた逆止弁110の逆止弁体125の内面を把持する機構(逆止弁把持機構)として、スライド軸50、第1クランプ金具60、第2クランプ金具61及び把持用リング70からなる機構を採用しているが、これに限定されるものではない。
例えば、図15〜図20に示すように、スライド軸50、第1クランプ金具160及び第2クランプ金具161からなるコレットチャック機構によって、ボンベ開閉バルブ101に設けられた逆止弁110の逆止弁体125の内面を把持するようにしてもよい。
図15は、本変形例にかかる充填ノズル20の全体断面図である。図16は、図15のスライド軸50の前端部及びクランプ金具160、161付近を拡大して示す図である。図17は、本変形例にかかる充填ノズルの第2クランプ金具161を示す図であって、(a)第2クランプ金具161の側面図、(b)第2クランプ金具161の前面図である。図18〜図20は、本変形例における液化ガス充填時の充填ノズル20の動作を示す図である。
充填ノズル20は、上記のように、主として、ノズル本体30と、バルブ当接体40と、スライド軸50と、第1クランプ金具160と、第2クランプ金具161とを有している。尚、ここでは、上記実施形態と同様に、歯車43及びラック34、51からなるスライド軸駆動機構によって、スライド軸50を後方に引き出す力を得るようにしているが、変形例1、2のスライド軸駆動機構によって、スライド軸50を後方に引き出す力を得るようにしてもよい。また、以下においては、上記実施形態と異なる構成を中心に説明を行い、上記実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
スライド軸50は、上記実施形態と概ね同様である。但し、バルブ当接体40をバルブ口104に近づけてスライド軸50の前端部を逆止弁体125の内面に挿入する際に、クランプ金具160、161を逆止弁体125の内面に沿わせるための構成として、スライド軸50に細径部を設けていない点が上記実施形態とは異なっている。すなわち、本変形例では、バルブ当接体40をバルブ口104に近づけてスライド軸50の前端部を逆止弁体125の内面に挿入する際に、クランプ金具160、161を逆止弁体125の内面に沿わせるための構成として、スライド軸50の外周面と前軸受55の内周面との間に隙間55aが形成されている。尚、本変形例においても、上記実施形態と同様に、スライド軸50に細径部を設けるようにしてもよい。
第1クランプ金具160は、スライド軸50の前端部に固定されており、後方に引き出す力をスライド軸50に加えることによって後方に移動可能な部材である。ここでは、第1クランプ金具60は、略円筒形状を有しており、スライド軸50の前端部にネジ込まれることによって、スライド軸50の前端部に固定されている。ここで、第1クランプ金具160の最大外径は、逆止弁体125の内面の径よりも小さくなっている。また、第1クランプ金具160の外面には、前方に向かうにつれて径が大きくなるテーパ面部162が形成されている。
第2クランプ金具161は、スライド軸50に設けられており、第1クランプ金具160の後方への移動によって外周側に向かって放射状に開いて逆止弁体125の内面を把持する把持部170を有する部材である。ここでは、第2クランプ金具161は、略円筒形状を有している。第2クランプ金具161は、その後端部が、スライド軸50に対して前後方向に移動可能な状態でスライド軸50を挿入可能なスリーブ部163を構成している。スリーブ部163の後端部には、環状の鍔部163aが外周側に向かって突出している。鍔部163aは、ノズル金具42の貫通孔42aの前端部付近において内周側に向かって突出する段差部42bの後面に当接するようになっており、ノズル41(すなわち、バルブ当接体40)に対する前方への移動範囲が制限されている。これにより、スライド軸50の前部が第2クランプ金具161(ここでは、スリーブ部163)を介してノズル金具42によって支持されている。ここで、第2クランプ金具161(ここでは、スリーブ部163)の外周面とバルブ当接体40(ここでは、ノズル金具42の段差部42b)の内周面との間には、隙間40aが形成されている。すなわち、この隙間40aによって、スライド軸50の位置をずらすことができるようになっている。そして、これにより、スライド軸50の外周面と前軸受55の内周面との間に形成された隙間55aとともに、クランプ金具160、161を逆止弁体125の内面に挿入する際に、クランプ金具160、161と逆止弁体125の内面との間に位置ずれが発生しても、クランプ金具160、161の位置を補正し、クランプ金具160、161を逆止弁体125の内面に沿わせることができるようになっている。
また、第2クランプ金具161の後端部とノズル金具42(すなわち、バルブ当接体40)を構成する前軸受55との前後方向間には、前後方向に弾性変形可能なコイルバネからなるクランプ前バネ66が設けられている。すなわち、クランプ前バネ66によって、第2クランプ金具161が前方の第1クランプ金具160側に付勢された状態が得られるようになっている。
また、第2クランプ金具161は、スリーブ部163よりも前側の部分が、放射状に複数(ここでは、4つ)のスリット164が形成されることで外周側に向かって放射状に開くことが可能な放射状部165を構成している。そして、放射状部165の前端部が把持部170を構成している。把持部170は、第1クランプ金具160のテーパ面部162の外周側に対向するように配置されている。把持部170の内面には、前方に向かうにつれて径が大きくなるテーパ面部171が形成されており、第1クランプ金具160のテーパ面部162と当接している。
さらに、第2クランプ金具161には、放射状部165よりも内周側の部分に前方に略円筒形状のカラー166が設けられている。カラー166の前端部は、第1クランプ金具160の後端部に対して所定の隙間を空けた状態で対向している。これにより、第1クランプ金具160の第2クランプ金具161に対する後方への移動範囲を制限することができ、第2クランプ金具161の破損を防ぐことができるようになっている。
そして、スライド軸50に加えられる後方に引き出す力が付与されると、図16に示すように、第2クランプ金具161に対して第1クランプ金具160が後方に移動する。第1クランプ金具160が後方に移動すると、第1クランプ金具160のテーパ面部162が第2クランプ金具161の把持部170のテーパ面部171を外周側に向かって押圧する。すると、この動作によって、第2クランプ金具161の把持部170が外周側に向かって放射状に開く。これにより、外周側に向かって放射状に開いた把持部170の外面が逆止弁体125の内面まで達し、逆止弁体125の内面を把持するようになっている。このとき、第2クランプ金具161の把持部170は、逆止弁体125の内面に接し、かつ、逆止弁体125の内面に押し付けられた状態で、逆止弁体125の内面を把持することになる(図19参照)。すなわち、ここでは、スライド軸50及びクランプ金具160、161によって、ボンベ開閉バルブ101に設けられた逆止弁110の逆止弁体125の内面を把持する機構(逆止弁把持機構)が構成されている。その後、スライド軸50に加えられる後方に引き出す力がさらに加わると、逆止弁体125が後方に引き出されて逆止弁110の逆止弁体125が開放されることになる(図20参照)。
このように、本変形例の充填ノズル20においても、上記実施形態及び変形例1、2と同様に、逆止弁110の取り外しや逆止弁110を開くための特殊な機器の着脱をなくし、逆止弁体125の内面に内部溝を形成する等の専用の逆止弁を使用せずに、逆止弁体125の内面を確実に把持して開けることができる。また、本変形例の充填ノズル20におけるコレットチャック機構からなる逆止弁把持機構は、上記実施形態及び変形例1、2の充填ノズル20における把持用リング70を含む逆止弁把持機構に比べて、逆止弁体125の内面を把持する力を強化することができる。