JP6137002B2 - 溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法および溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents
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Xa=Wa+Xt−Wt (A)
(1)0.1〜3質量%のSiを含有する鋼板に対して、該鋼板を酸化性雰囲気中で加熱して該鋼板の表面に酸化鉄を形成する酸化処理と、該酸化処理後の鋼板を非酸化性雰囲気中で加熱して前記酸化鉄を還元する還元処理と、該還元処理後の鋼板に溶融亜鉛めっきを施すめっき処理とを経て溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに当たり、前記鋼板および、酸化処理における適正な最高加熱温度Waが確立している対比鋼板につき、酸化性雰囲気下の加熱過程における鋼板表層での酸化鉄形成状況を把握し、酸化鉄の形成状況から、前記鋼板での酸化鉄の形態が遷移する温度Xtと前記対比鋼板での酸化鉄の形態が遷移する温度Wtとを求め、これらXtおよびWtと前記Waとから、下記式(A)に従って求めた、Xaを最高加熱温度として前記酸化処理を行い、前記酸化性雰囲気下の加熱過程は5℃/分以上50℃/分以下の昇温速度で行うことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(記)
Xa=Wa+Xt−Wt (A)
本発明にかかわる鋼板としては、Siを含有する高強度鋼板を用いる。なお、以下に記載した鋼板成分に関する「%」表示は、特に断らない限り質量%を意味するものとする。
Siは、上述のように、鋼の延性や加工性等を低下させることなく強度向上に寄与する元素である。しかしながら、含有量が0.1%未満の場合には、その添加効果に乏しい。一方、3%を超えて含有する場合には、鋼板表面に酸化物として濃化し、不めっきの原因となるばかりでなく、外観性状が悪化するため、本手法の適用が困難である。そこで、Siは0.1%以上3%以下の範囲で含有した鋼板を対象とする。
高強度化を図るにはMnを0.5%以上添加するとより効果的である。一方、Mnは3. 5%を超えると溶接性やめっき密着性の確保、強度延性バランス確保が困難になる。よって、Mn量は0.5%以上3. 5%以下の範囲で含有した鋼板を素材として用いることが好ましい。
Cは、鋼の強度向上に寄与する元素である。しかし、含有量が、0.25%を超えると溶接性が劣化する。そこでCは0.05%以上0.25%以下の範囲で含有した鋼板を素材として用いることが好ましい。
AlはSiと補完的に添加される元素である。Alを含有せずにSiを充分添加すれば機械的特性の確保は可能であるものの、製鋼工程で不可避的に混入するため、Alは通常0.005%以上含有することが好ましい。一方、Al添加量が3.0%を超えると酸化皮膜の生成抑制が困難で密着性改善が困難である。よってAl量は0.005%以上3.0%以下の範囲で含有した鋼板を素材として用いることが好ましい。
Pは不可避的に含有されるものであり、セメンタイトの析出を遅延させ変態の進行を遅らせるため、0.001%以上が好ましい。一方、0.10%を超えると溶接性が劣化するだけでなく、表面品質が劣化するため、非合金化時にはめっき密着性が劣化し、合金化処理時には合金化温度が上昇し、延性が劣化すると同時に合金化めっき皮膜の密着性が劣化する場合がある。よって、P量は0.001%以上0.10%以下の範囲で含有した鋼板を素材として用いることが好ましい。
SはPと同様不可避的に含有される元素であるが、多量に含有されると溶接性が劣化する。鋼中のS量が増加すると、熱間赤熱脆性の原因となり、製造工程中に、熱延板の破断等の不具合を生じることがある。また、鋼板に介在物MnSを形成し、冷間圧延後に板状の介在物として存在することにより、特に材料の極限変形能を低下させ、また伸びフランジ性などの成形性を低下させるため、0.2%を上限とした鋼板を素材として用いることが好ましい。さらに0.0050%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.0030%以下である。
Nbは、固溶強化または析出強化により鋼板の強度の向上に寄与する元素である。しかし、含有量が0.010%に満たないとその添加効果に乏しい。一方、0.080%を超えて含有すると、熱延板が硬質化し、熱間圧延や冷間圧延時の圧延荷重の増大を招くこととなる。そこで、0.010%以上0.080%以下の範囲で含有した鋼板を素材として用いてもよい。
酸化手段の違いが本発明の効果を妨げるものではなく、鋼板を酸化することができればどのような手段であってもよい。従って実際に製造に用いられる加熱手段としては、バーナー加熱,誘導加熱,放射加熱および通電加熱など、従来から使用されている加熱方式でよく、特に限定するものではない。例えば、バーナー加熱方式としては、従来用いられている酸化炉や無酸化炉等の加熱炉を使用することができる。無酸化炉の場合、例えば直火バーナーの空燃比を1.0超えとすることにより容易に鋼板を酸化することができる。
なお、上記は代表的な例を示したのであって、いずれにしても鋼板を酸化させることができれば良く、その手段は特に限定するものではない。
次に、還元処理における還元方法は、従来使用されている方法を行えばよく、特に限定するものではない。例えば、放射加熱方式の焼鈍炉内で水素を含む還元性雰囲気中にて600〜900℃程度の温度で還元処理を行うのが一般的ではあるが、鋼板表面の酸化皮膜を還元することができれば手段は問わない。
上記の還元処理後、非酸化性あるいは還元性雰囲気中にてめっきに適した温度まで冷却したのち、めっき浴中に浸漬して溶融亜鉛めっきを施す。この溶融亜鉛めっき処理は、従来から行われている方法に従えばよい。例えば、めっき浴温は440〜520℃程度、鋼板のめっき浴浸漬時の温度はめっき浴温とほぼ等しくし、また亜鉛めっき浴中のAl濃度は0.1〜0.2質量%程度とするのが一般的であるが、特に限定するものではない。
また、本発明では、上記した溶融亜鉛めっき後に合金化処理を施すことも可能である。
前述したように、本発明によれば、焼鈍時のSi表面濃化を抑制することができるため、Si含有鋼板での著しい合金化遅延という従来技術での問題を解消することができる。その結果、耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を生産性を阻害することなく製造することができる。合金化処理方法としては、ガス加熱、インダクション加熱および通電加熱など、従来から用いられているどのような加熱方法を用いてもよく、特に限定するものではない。例えば合金化処理板温は460〜600℃程度、合金化保持時間は5〜60秒程度とするのが一般的である。
以下、本発明の骨子である酸化処理時の適正な最高加熱温度の求め方について述べる。
実際に溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造しようとする、Si:0.1%以上3%以下の組成を有する鋼板Xを用意する、予め、該鋼板Xを酸化性雰囲気中で鋼板表面を観察しながら昇温加熱して、該鋼板Xの表面に酸化鉄を形成する模擬的な酸化処理を行う。その際、加熱過程における鋼板表層での酸化鉄形成状況を把握し、酸化鉄形態遷移温度Xtを求める。また、適正な最高加熱温度Waが確立している対比鋼板Wにつき、同様に酸化性雰囲気下の加熱過程における鋼板表層での酸化鉄形成状況を把握し、対比鋼板Wでの酸化鉄形態遷移温度Wtを求める。
ここで、5℃/分未満の場合には、実験が長時間となり効率が悪くなる。一方、50℃/分を超えると、現行のESEMやその場X線回折では十分な時間分解能でデータを取得することができなくなる。そこで、5℃/分以上50℃/分以下とする。技術の進歩により十分な時間分解能でデータを取得することができるようになれば実機の炉と同等の昇温速度としてもよい。加熱炉中の雰囲気を上記のように調整し、炉内に導入された鋼板Xを、酸化鉄形態遷移温度を超えるまで加熱する。
以上の条件は、加熱を一段階で行った場合についての説明であるが、二段階以上に分け、各段階で昇温速度を変えて行うこともできる。
こうして得られた鋼板Xの酸化鉄形態遷移温度Xt、対比鋼板Wの酸化鉄形態遷移温度Wtおよび対比鋼板Wの適正な最高加熱温度Waとから、下記式(A)に従ってXaを求める。
Xa=Wa+Xt−Wt (A)
ここで、実製造(実操業)においては、対比鋼板Wの適正な最高加熱温度は、ある程度の範囲を持っているが、その範囲内であれば、どの温度をWaとしてもよい。
また、発明者らの検討によると、対比鋼板Wにおいて確立されている適正な最高加熱温度範囲の下限をWaとして求めたXaより鋼板Xの酸化処理時の最高加熱温度が低いと、酸化鉄の生成量が不足して不めっきが発生する。また、対比鋼板Wの適正な最高加熱温度範囲の上限をWaとして求めたXaより鋼板Xの酸化処理時の最高加熱温度が高いと、過酸化による酸化鉄のロールピックアップや不めっき、めっき密着性不良が生じる。
以下、本発明の実施例について説明する。
まず、表1に示した組成を有する厚さ0.7mmの各種冷延鋼板を用意した。表1中の鋼板No.1〜4のPは0.001質量%以上0.10質量%以下であり、Sは0.2質量%以下であった。このうち、鋼板No.4は実製造(実操業)において酸化処理における適正な最高加熱温度が確立されている対比鋼板である。鋼板No.4の適正な最高加熱温度(Wa)は720〜750℃である。これらの鋼板の表面における酸化鉄形成過程を観察し、得られた各鋼板の酸化鉄形態遷移温度を求めた。酸化鉄形態遷移温度は、E-SEMを用いたその場観察で求めた。E-SEMでの条件は、100Paの酸素雰囲気下において30℃/分の昇温速度で室温から950℃まで加熱し、各鋼板の表面における酸化鉄形成過程をその場観察し、上述の方法により求めた。得られた各鋼板の酸化鉄形態遷移温度を表2に示す。鋼板No.4との酸化鉄形態遷移温度差(℃)[Xt−Wt]、および、鋼板No.4の実製造(実操業)における適正な最高加熱温度(Wa)、および、それらの和[Wa+Xt−Wt]を合わせて表2に示した。
続いて、厚さ0.7mm、70mm×180mmの各鋼板を用いめっき性を調査するために実製造(実操業)を模擬してCGLシミュレータを用いてめっき実験を実施した。鋼板No.1〜4をシミュレータ内にセットし、0.1%O2−N2(露点20℃)、ガス流量40 l/分雰囲気で10℃/秒で昇温し、表2に示した「酸化処理時最高加熱温度」まで加熱を行い酸化処理を行なった。最高加熱温度到達後にN2ガスで冷却を行った。冷却時のN2ガス流量は200 l/分である。その後、酸化処理後の鋼板を10体積%水素+窒素雰囲気中(露点:−35℃)で板温:830℃,保持時間:45秒の条件で還元した。めっき条件は、Alを0.14質量%含む(Fe飽和)460℃の亜鉛めっき浴を用い、侵入板温:460℃および浸漬時間:1秒とし、窒素ガスワイパーで付着量を片面:45g/m2 に調整し溶融亜鉛めっき鋼板を作製した。
<めっき外観(不めっき有無)>
得られた溶融亜鉛めっき鋼板に対して、ルーペおよび目視にて外観観察を行い、不めっきが全くない場合を不めっき無し(○)とし、ルーペで確認して不めっきと識別できるレベルの不めっきしか発生していない場合を顕著な不めっきなし(△)、目視にて不めっきが観察できる場合を不めっき有り(×)とした。
得られた溶融亜鉛めっき鋼板について、ボールインパクト試験を行った。試験は、ISO 6272に準拠し、直径1/2インチ径のパンチを用い、2.8kgの重りを1mの高さから 落下させた。その後、衝撃で凸部ができた鋼板の凸部側のめっきに対して、加工部をセロテープ(登録商標)剥離し、めっき層剥離の有無を目視判定することでめっき密着性を評価した。試験後のめっき剥離状態を目視にて調べ、めっき剥離の無い場合を密着性合格とし、めっき剥離の有る場合を密着性不合格とした。
評価結果も合わせて表2に示した。
Claims (3)
- 0.1〜3質量%のSiを含有する鋼板に対して、該鋼板を酸化性雰囲気中で加熱して該鋼板の表面に酸化鉄を形成する酸化処理と、該酸化処理後の鋼板を非酸化性雰囲気中で加熱して前記酸化鉄を還元する還元処理と、該還元処理後の鋼板に溶融亜鉛めっきを施すめっき処理とを経て溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに当たり、
前記鋼板および、酸化処理における適正な最高加熱温度Waが確立している対比鋼板につき、酸化性雰囲気下の加熱過程における鋼板表層での酸化鉄形成状況を把握し、酸化鉄の形成状況から、前記鋼板での酸化鉄の形態が遷移する温度Xtと前記対比鋼板での酸化鉄の形態が遷移する温度Wtとを求め、これらXtおよびWtと前記Waとから、下記式(A)に従って求めた、Xaを最高加熱温度として前記酸化処理を行い、前記酸化性雰囲気下の加熱過程は5℃/分以上50℃/分以下の昇温速度で行うことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(記)
Xa=Wa+Xt−Wt (A) - 前記酸化鉄形成状況の把握は、環境制御型走査電子顕微鏡あるいはX線回折を用いた観察により行う、請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 請求項1または2に記載された方法により製造された溶融亜鉛めっき鋼板を加熱して、めっきされた溶融亜鉛を合金化する合金化処理を施すことを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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