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JP6139211B2 - 切削インサートおよび切削工具 - Google Patents
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Description

本発明は、ホルダの先端に設けられたインサートポケットに取り付けられ、基体の表面に被覆層を設けた切削インサートおよび切削工具に関する。
切削インサートとして、超硬合金やサーメット等の基体の表面に被覆層を成膜して、耐摩耗性、摺動性、耐欠損性を向上させたコーティング超硬合金が広く使われている。
例えば、特許文献1では、角型または台形形状の粒子からなるTiC層を成膜し、その表面にAl層を積層することによって、Al層の密着力が向上することが開示されている。また、特許文献2では、基体と被覆層との界面の表面粗さRzを、すくい面で0.5〜5μm、逃げ面で1〜30μmとして、被覆層の密着性が高くかつ被削材の溶着を抑制できることが開示されている。
特開2000−170907号公報 特開2012−157916号公報
しかしながら、特許文献1、2の構成では、被覆層の密着性は向上するものの、被覆層の表面は平滑であり、切削加工する使用する際に、切削インサートの拘束力が不十分でびびりが発生し、切刃のチッピングや欠損が発生したり、切削の衝撃でインサートの拘束が緩み、切削中にインサートが動いてしまってインサートの載地面や拘束面が欠損してしまう等の問題があった。
本発明は、上記課題に対して、ホルダに対して良好な拘束力を有し、安定した切削が可能な切削インサートおよび切削工具を提供することを目的とする。
一態様の切削インサートは、基体と、該基体の表面に設けられた被覆層有し、すくい面及び逃げ面を備えたものであって、前記被覆層は、前記逃げ面に位置するTi(C
−x )(0≦x≦1)層を有し、該Ti(C 1−x 層の表面が、上方に向かって複数の形結晶が集合した凝集部と、該凝集部間に位置して前記凝集部を囲む谷部とを有し、前記すくい面における前記被覆層の表面粗さが前記逃げ面における前記被覆層の表面粗さよりも小さいものである。
本発明の切削インサートによれば、逃げ面における最上層が、前記被覆層の表面に対して上方に向かって尖形のTiN結晶が集合した凝集部と、該凝集部間の谷部からなるとともに、すくい面における最上層の表面粗さが逃げ面における最上層の表面粗さよりも小さい。そのために、逃げ面に存在する最上層がホルダの拘束面に食い込んで、切削インサートがホルダに強固に拘束されるので、ホルダに対して良好な拘束力を有し、安定した切削が可能である。また、すくい面においては、被削材が溶着することを抑制して、切屑の流れがスムーズな切削インサートとなる。
本発明の切削インサートを装着した切削工具の一例についての概略断面図である。 図1の切削工具に装着された切削インサートについて、(a)概略斜視図、(b)模式断面図である。 図1、2の切削インサートの逃げ面における被覆層(最上層)の表面について、(a)金属顕微鏡写真(1000倍)、(b)走査型電子顕微鏡(SEM)写真(5000倍)である。 最上層を構成する結晶の形状が尖形か平頭形かを判定する測定方法を説明するための図である。 図3の切削インサートの逃げ面における被覆層(最上層)の表面について、凝集部17と谷部18を判定するために磨き加工した状態を示す模式図である。
図1の切削工具1は、ホルダ2の先端に設けられたインサートポケット3に、切削インサート(以下、インサートと略す場合がある。)4を装着したものである。インサート4は、図2(a)に示すように、すくい面5と逃げ面6との交差稜線部が切刃7を構成しており、板状で主面が概略正方形形状(CNMA/CNMG)からなる。そして、図2(b)の模式断面図に示すように、インサート4は、基体8の表面に、最上層9がTi(C1−x)(0≦x≦1)層からなる被覆層10が設けられている。
また、本実施態様によれば、図2(b)に示すように、被覆層10は、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、窒酸化物および炭窒酸化物のうちの1層以上と、Al層11と、Ti(C1−x)(0≦x≦1)からなる最上層9とが順に積層されている。逃げ面6における最上層9は、図3の金属顕微鏡写真および走査型顕微鏡(SEM)写真に示すように、被覆層10の表面から上方に向かって尖形のTi(C1−x)(0≦x≦1)結晶(以下、最上層結晶と称する場合がある。)16が集合した凝集部17と、凝集部17間の谷部18とからなる。一方、すくい面5における被覆層10の表面粗さは逃げ面6の表面粗さよりも小さい。
これによって、逃げ面6に存在する最上層9がホルダ2の拘束面に食い込んで、インサート4がホルダ2に強固に拘束されるので、ホルダ2に対して良好な拘束力を有し、びびりの発生もなく、安定した切削が可能である。また、すくい面5においては、最上層9を構成する最上層結晶(図示せず)は、平頭形であり、被削材が溶着することを抑制して、切屑の流れがスムーズで、摩耗の進行が遅くなる。
本発明において、最上層結晶16が前記被覆層の表面に対して上方に向かって尖形(以下、単に尖形という場合がある)であるかどうかを判断するには、まず、被覆層10の断面写真から各結晶の上方側の形状をトレースし、図4の模式図に示すように、最も上方の位置を先端とし、先端における曲率半径Rと先端から下側に向かう尾根部の長いほうの直線長さLとの比(曲率半径R/直線長さL)を算出する。この比(R/L)が0.3以下、かつ、前記結晶の頂角が120°以下の形状を尖形結晶と定義し、写真で観察される領域の全結晶のうちの尖形結晶の割合が50%以上の場合に、最上層結晶16が尖形という。尖形でない最上層結晶16は平頭形と定義する。また、本発明における凝集部17を確認するには、まず、被覆層10を、粒径が1−3μmのダイヤモンド砥粒を用いて磨いた表面状態を観察して確認する。具体例としては、粒度1−3μmの市販品のダイヤモンド砥粒とオリーブオイルとを、25質量%と75質量%との割合で混ぜた砥粒液を作製する。そして、回転台の上に台紙を敷いて前記砥粒液を塗り、その上にインサート4の逃げ面6またはすくい面5を台紙に押し付けるように載せ、さらにその上に重さ3kgの重しを載せてから回転台を回転させ、30秒研磨する。この条件で磨いた被覆層10の表面を顕
微鏡にて図5のような組織を観察する。このとき、前記磨き加工で平面となった部分を凝集部17と定義する。谷部18は、凝集部17の間の部分を指す。
本実施態様によれば、図1に示すように、インサート4をホルダ2に装着するために、ホルダ2にクランプ金具21を設けている。そして、クランプ金具21をねじ部材22等の押圧手段により押圧して、インサート4をインサートポケット3の壁面3a側に引き込むようにクランプ金具21を変位させている。この方法によって、逃げ面6の最上層9の尖形の最上層結晶16の先端が、ホルダ2のインサートポケット3の側面に食い込んで装着されている。これによって、インサート4はホルダ2に対してより強固に拘束される。この形態であれば、インサート4をホルダ2から外したときに、インサートポケット3の側面の一部が剥ぎ取られて逃げ面6の最上層9の表面にホルダ2の成分が付着した状態となる。
なお、図1によれば、ホルダ2のインサートポケット3にはシート部材23がねじ部材24によって装着されており、インサート4がシート部材23上に載置されている。また、本実施態様では、インサート4をクランプ金具21にてインサートポケット3の壁面3a側に引き込むようにして固定するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、インサート4の中央に設けられた貫通孔26内にネジ部材(図示せず)を挿入して、このネジ部材の先端をシート部材23またはホルダ2に螺合して固定するものであってもよい。ホルダ2はインサート4の最上層9よりも低硬度の材質からなり、本実施態様では合金鋼または焼き入れ鋼からなる。
ここで、本実施態様では、逃げ面6において、凝集部17を円に換算したときの平均直径が1〜10μm、特に、2〜6μmである。これによって、逃げ面6における最上層9がホルダ2の拘束面4に強固に固定される。また、凝集部17と谷部18との面積比(凝集部17/谷部18)は0.4以下、特に0.1〜0.3である。
また、本実施態様によれば、すくい面5においては、最上層9が研磨されている。なお、本実施態様によれば、最上層9は残存しているが、最上層9が消失してその下層が露出していてもよい。
ここで、本実施態様によれば、最上層9の下層が複数層設けられている。Al層11はα型結晶構造のAl結晶からなり、かつ基体8の表面に対して垂直な方向から見た平均結晶幅が0.05〜2μmである。これによって、耐摩耗性が向上する。
また、Al層11の基体8側に形成される被覆層は、TiC、TiN、TiCN、TiCNO、TiCO、TiNOの群から選ばれる1層以上が好適に用いられ、耐摩耗性および耐欠損性が向上する。本実施態様によれば、具体的な構成として、基体8の直上には第1層としてTiN層12が形成され、第2層としてTiCN層(第2TiCN層と称す場合がある。)13−15が形成されている。TiCN層13−15としては、アセトニトリル(CHCN)ガスを原料として含み成膜温度が780〜900℃と比較的低温で成膜した柱状結晶からなる、いわゆるMT−TiCN層13,14と、成膜温度が950〜1100℃と高温で成膜した、いわゆるHT−TiCN層15とが順に成膜された構成であることが望ましい。さらに、MT−TiCN層13,14は、平均結晶幅が0.5μm未満と微細な微細柱状結晶からなる微細MT−TiCN層13と、平均結晶幅が0.5〜2μmと比較的大きい粗大柱状結晶からなる粗大MT−TiCN層14との積層からなることが望ましい。これによって、その上層との密着力が高まり、被覆層10の剥離やチッピングを抑えることができる。
なお、本発明において、被覆層10を構成する結晶が粒状であるとは、被覆層10を構
成する結晶の任意10個について最長長さとそれに直交する長さとの比であるアスペクト比を各結晶ごとに求めて、その平均値が1.5未満のものを指す。このアスペクト比が1.5以上の場合には、被覆層10を構成する結晶が柱状であるという。
また、本実施態様によれば、HT−TiCN層15とAl層11との間には、TiCNOからなる厚み0.05〜0.5μmの中間層19が設けられている。これによって、Al層11を構成する結晶を、平均粒径0.05〜2μmのα型結晶構造のAl結晶とすることができ、耐摩耗性を向上させることができる。
なお、各層の厚みおよび各層を構成する結晶の性状は、インサート1の断面における電子顕微鏡写真(走査型電子顕微鏡(SEM)写真または透過電子顕微鏡(TEM)写真)を観察することにより、測定することが可能である。
一方、インサート1の基体8は、炭化タングステン(WC)と、所望により周期表第4、5、6族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物の群から選ばれる少なくとも1種と、からなる硬質相を、コバルト(Co)やニッケル(Ni)等の鉄属金属からなる結合相にて結合させた超硬合金やTi基サーメット、またはSi、Al、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN)等のセラミックスのいずれかが好適に使用できる。中でも、インサート4を切削工具として用いる場合には、基体8は、超硬合金またはサーメットからなることが耐欠損性および耐摩耗性の点で望ましい。また、用途によっては、基体8は炭素鋼、高速度鋼、合金鋼等の金属からなるものであっても良い。
(製造方法)
また、本実施形態のインサートの製造方法の一実施形態について説明する。
まず、上述した硬質合金を焼成によって形成しうる金属炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物等の無機物粉末に、金属粉末、カーボン粉末等を適宜添加、混合し、プレス成形、鋳込成形、押出成形、冷間静水圧プレス成形等の公知の成形方法によって所定の工具形状に成形する。その後、得られた成形体を真空中または非酸化性雰囲気中にて焼成することによって上述した硬質合金からなる基体を作製する。そして、上記基体の表面に所望によって研磨加工や切刃部のホーニング加工を施す。
次に、得られた基体8の表面に化学気相蒸着(CVD)法によって被覆層を形成する。まず、基体の直上に第1層としてTiN層を形成する。TiN層の成膜条件としては、混合ガス組成として四塩化チタン(TiCl)ガスを0.5〜10体積%、窒素(N)ガスを10〜60体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を800〜940℃、圧力を8〜50kPaにて成膜される。
次に、第2層としてTiCN層を形成する。ここでは、TiCN層が、平均結晶幅が小さい微細柱状結晶層と、この層よりも平均結晶幅が大きい粗柱状結晶層とのMT−TiCN層と、HT−TiCN層との3層にて構成する場合の成膜条件について説明する。
MT−TiCN層のうちの微細柱状結晶層の成膜条件は、四塩化チタン(TiCl)ガスを0.5〜10体積%、窒素(N)ガスを10〜60体積%、アセトニトリル(CHCN)ガスを0.1〜0.4体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を780〜900℃、圧力を5〜25kPaとする。MT−TiCN層のうちの粗柱状結晶層の成膜条件は、四塩化チタン(TiCl)ガスを0.5〜4.0体積%、窒素(N)ガスを5〜40体積%、アセトニトリル(CHCN)ガスを0.4〜2.0体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を780〜900℃、圧力を5〜25kPaとする。
HT−TiCN層の成膜条件は、四塩化チタン(TiCl)ガスを0.1〜5体積%、メタン(CH)ガスを0.1〜10体積%、窒素(N)ガスを5〜30体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を950〜1100℃、圧力を5〜40kPaとして成膜する。
そして、チャンバ内を950〜1100℃、5〜40kPaとし、四塩化チタン(TiCl)ガスを1〜5体積%、メタン(CH)ガスを4〜10体積%、窒素(N)ガスを10〜30体積%、一酸化炭素(CO)ガスを4〜8体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整してチャンバ内に10〜60分導入して成膜した後、続いて、成膜温度を950〜1100℃、5〜40kPaにて、二酸化炭素(CO)ガスを0.5〜10体積%、残りが窒素(N)ガスからなる混合ガスをチャンバ内に10〜60分導入することによって、中間層を成膜する。なお、このCOガスを含む混合ガスを流す工程を経ることなく中間層を形成することもできるが、α型Al層を構成する結晶を微細なものとするためには、COガスを含む混合ガスを流す工程を経ることが望ましい。
そして、引き続き、Al層を形成する。Al層の成膜条件の一例としては、三塩化アルミニウム(AlCl)ガスを0.5〜5.0体積%、塩化水素(HCl)ガスを0.5〜3.5体積%、二酸化炭素(CO)ガスを0.5〜5.0体積%、硫化水素(HS)ガスを0〜0.5体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスをチャンバ内に導入し、成膜温度を950〜1100℃、圧力を5〜10kPaとして成膜する。
さらに、Al層の上層に最表層を成膜する。成膜条件としては、四塩化チタン(TiCl)ガスを1〜10体積%、メタン(CH)ガスを0〜10体積%、窒素(N)ガスを0〜60体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスをチャンバ内に導入し、成膜温度を960〜1100℃、圧力を10〜85kPaとして、成膜時間を10〜60分の間で成膜する。その後、チャンバ内を成膜温度よりも50〜100℃高い温度に上昇させて、10〜30分間保持する。この成膜条件によって、被覆層の表面に対して上方に向かって尖形の結晶が集合した凝集部と、該凝集部間の谷部からなるTi(C1−x)(0≦x≦1)層となる。
その後、すくい面における被覆層の表面を研磨して、すくい面における被覆層の表面粗さが逃げ面における被覆層の表面粗さよりも小さくなるように調整する。この研磨加工によって、すくい面に成膜された被覆層の表面の尖形の結晶は、先端が研磨されて平頭形の結晶となる。
平均粒径1.5μmの炭化タングステン(WC)粉末に対して、平均粒径1.2μmの金属コバルト(Co)粉末を6質量%の割合で添加、混合して、プレス成形により切削工具形状(CNMG120412)に成形した。得られた成形体について、脱バインダ処理を施し、0.5〜100Paの真空中、1400℃で1時間焼成して超硬合金を作製した。さらに、作製した超硬合金に対して、ブラシ加工にてすくい面側について刃先処理(Rホーニング)を施した。
そして、上記超硬合金をCVD装置内にセットし、以下の順序で被覆層を成膜した。まず、四塩化チタン(TiCl)ガスを2.0体積%、窒素(N)ガスを33体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を880℃、ガス圧を16kPaにてTiN層を成膜した。次に、四塩化チタン(TiCl)ガスを2.5体積%、
窒素(N)ガスを25体積%、アセトニトリル(CHCN)ガスを0.2体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を865℃、圧力を15kPaとして、TiCN層の下側のMT−TiCN層を成膜した。そして、四塩化チタン(TiCl)ガスを2.5体積%、窒素(N)ガスを25体積%、アセトニトリル(CHCN)ガスを0.5体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を865℃、圧力を9kPaとして、TiCN層の上側のMT−TiCN層を成膜した。その後、四塩化チタン(TiCl)ガスを3.5体積%、メタン(CH)ガスを7体積%、窒素(N)ガスを25体積%の割合で含み、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を1010℃、圧力を20kPaとして、HT−TiCN層を成膜した。
そして、チャンバ内を1000℃、30kPaとし、四塩化チタン(TiCl)ガスを2体積%、メタン(CH)ガスを8体積%、窒素(N)ガスを20体積%、一酸化炭素(CO)ガスを6体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整してチャンバ内に20分導入して成膜した後、成膜温度を1000℃、20kPaにて、二酸化炭素(CO)ガスを5体積%、残りが窒素(N)ガスからなる混合ガスをチャンバ内に20分導入して、TiCNOからなる中間層を成膜した。
次に、三塩化アルミニウム(AlCl)ガスを1.5体積%、塩化水素(HCl)ガスを2.0体積%、二酸化炭素(CO)ガスを4.0体積%、硫化水素(HS)ガスを0.3体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用いて、成膜温度を1005℃、圧力を9kPaとして、Al層を成膜した。
その後、Al層の上層に、各種の被覆層を表1に示す成膜条件、および表2に示す層構成にて成膜し、試料No.6を除く試料についてはすくい面を研磨加工してインサートを作製した。
得られたインサートについて、回転台の上に台紙を敷いて、ダイヤモンド砥粒(トーメイダイヤ社製、品名:IRM、規格:0−3)とオリーブオイルとを、25質量%と75質
量%との割合で混ぜた砥粒液を塗り、その上にインサートの逃げ面またはすくい面を台紙に押し付けるように載せ、さらにその上に重さ3kgの重しを載せてから回転台を回転させ、30秒程度磨いた後、磨いた被覆層を金属顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察を行い、画像解析法にて、凝集部を円に換算した時の直径を算出した。また、被覆層の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、最表層を構成する結晶が尖形か平頭形かを判定するとともに、最表層の厚みを確認した。なお、厚みは観察領域で確認できる厚みを被覆層表面の任意10か所で測定し、その平均値とした。結果は表2に示した。
また、すくい面および逃げ面における表面粗さを触針式の表面粗さ計で測定した。
次に、このインサートを用いて、図1の構成からなる切削工具に装着し、以下の切削条件にて切削試験を行った。なお、ホルダは、材質:SCM440 焼入れ(硬度:HRC45)を
用いた。結果は表3に示した。
切削方法:外形加工
被削材 :S45C(φ200 幅30mm溝6本入り)
切削速度:200m/分
送り :0.5mm/rev
切り込み:2.0mm
切削状態:乾式
評価方法:各試料10個ずつ5分間切削を行った後、インサートの欠損の有無および欠損した位置を確認し、欠損が発生していたインサートの個数を評価した。また、切刃の状態を確認した。
表1〜3に示される結果から、逃げ面が尖形の結晶が集合した凝集部と谷部からなるTi(C1−x)(0≦x≦1)層からなり、すくい面における被覆層の表面粗さが逃げ面における被覆層の表面粗さよりも小さい試料No.1〜4では、インサートの拘束力が強く、強断続切削を行なってもビビリやインサートの拘束力が緩むことがなく、インサートの欠損が発生しなかった。一方、本発明の範囲外である試料No.5〜8では、インサートの拘束力が不十分であったため、切刃、載置面および拘束面において欠損が発生し
てしまった。
4 切削インサート(インサート)
9 最上層
11 Al
16 尖形のTi(C1−x)(0≦x≦1)結晶
17 凝集部
18 谷部

Claims (6)

  1. 基体と、該基体の表面に設けられた被覆層有し、すくい面及び逃げ面を備えた切削インサートであって、
    前記被覆層は、前記逃げ面に位置するTi(C 1−x )(0≦x≦1)層を有し、
    該Ti(C 1−x 層の表面が、上方に向かって複数の形結晶が集合した凝集部と、該凝集部間に位置して前記凝集部を囲む谷部とを有し、
    前記すくい面における前記被覆層の表面粗さが前記逃げ面における前記被覆層の表面粗さよりも小さい切削インサート。
  2. 前記逃げ面における前記凝集部を円に換算したときの平均直径が1〜10μmである請求項1記載の切削インサート。
  3. 前記凝集部と前記谷部との面積比が0.4以下である請求項1または2記載の切削インサート。
  4. 先端側にインサートポケットを有するホルダと、
    前記インサートポケットに位置する、請求項1乃至3のいずれか記載の切削インサートとを備えた切削工具。
  5. 前記逃げ面の前記最上層の表面が、前記ホルダの前記インサートポケットの壁面に食い込んで装着されている請求項4記載の切削工具。
  6. 前記ホルダにクランプ金具を設けて、該クランプ金具を押圧手段により押圧して、前記インサートを前記インサートポケットの前記壁面側に引き込むように前記クランプ金具を変位させる請求項5記載の切削工具。
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