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JP6139998B2 - ライニング材およびこれを用いたライニング工法 - Google Patents
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JP6139998B2 - ライニング材およびこれを用いたライニング工法 - Google Patents

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Description

本発明は、給排水管等の管に反転挿入されるライニング材およびこれを用いたライニング工法に関する。
従来、それぞれ筒状に形成された複数の弾性チューブを多重の筒状に構成したものと、その内側に設けられ、接着用樹脂を含浸可能な筒状の樹脂吸収材と、を備え、管の一端から、接着用樹脂を含浸させた樹脂吸収材が外側になり且つ多重の弾性チューブが内側になるように流体圧力で反転挿入され、管の内周面を被覆するライニング材が知られている。管に反転挿入されたライニング材は、流体圧力で膨張した弾性チューブにより、接着用樹脂を含浸した樹脂吸収材が管の内周面に密着する。この状態で接着用樹脂が硬化することで、樹脂吸収材を心材とした硬化樹脂による管内周面のライニングが為される(特許文献1参照)。
特開2002−160295号公報
この種のライニング材は、管内に反転挿入される際、流体圧力により弾性チューブが均一に膨張せず、弾性チューブが厚さや形状的に弱い部分から膨張していくことから、弾性チューブの表面に軸方向に延びる筋(線条)が生ずることがある。発生した筋の箇所で弾性チューブが部分的に膨張すると、弾性チューブは全体として偏って膨張することになり、その結果、筋の部分から弾性チューブがバースト(パンク)するおそれがあるため、問題となる。この点、多重の弾性チューブを備えた従来のライニング材は、弾性チューブが一重であるものに比べ、弾性チューブの表面に発生する筋がある程度分散されるため、各弾性チューブが筋の箇所で部分的に膨張することが比較的抑制されているが、弾性チューブのバーストを完全に防止することは困難であった。
本発明は、管内への反転挿入時に膨張する弾性チューブのバーストを効果的に防止することができるライニング材およびこれを用いたライニング工法を提供することを目的としている。
本発明のライニング材は、それぞれ筒状に形成された複数の弾性チューブを多重の筒状に構成した多重チューブと、多重チューブの内側に設けられ、接着用樹脂を含浸可能な筒状の樹脂吸収材と、を備え、管の一端から、接着用樹脂を含浸させた樹脂吸収材が外側になり且つ多重チューブが内側になるように流体圧力で反転挿入され、管の内周面を被覆するライニング材であって、多重チューブは、内外で接する弾性チューブ相互の接触面の少なくとも一方が、微細な凹凸を有する擦りガラス状の凹凸面に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、内外で接する弾性チューブ相互の接触面が、相互の摩擦を低減する摩擦低減構造となっていることで、ライニング材を管の一端から流体圧力で反転挿入し、各弾性チューブが膨張する際、当該接触面(摩擦低減構造)を構成する弾性チューブ同士が引き連れ合うことなく、弾性チューブ間で層間滑りが円滑に行われ、互いに周方向に微小にズレながら膨張することになるため、各弾性チューブは、自由状態での膨張と同等の膨張形態をとることができる。このため、弾性チューブに筋が発生したとしても、幅の小さい筋が周方向に分散して発生するだけであるため、弾性チューブが全体として偏って膨張することがない。したがって、管内への反転挿入時に膨張する弾性チューブのバーストを効果的に防止することができる。
また、内外で接する弾性チューブ相互の接触面の少なくとも一方を擦りガラス状の凹凸面に形成することで、弾性チューブ相互の接触面積が少なくなり、摩擦低減構造を構成することができる。
なお、凹凸面は、算術表面粗さRaが10μm〜60μmであることが好ましい。
本発明のライニング工法は、それぞれ筒状に形成された複数の弾性チューブを多重の筒状に構成した多重チューブと、多重チューブの内側に設けられ、接着用樹脂を含浸可能な筒状の樹脂吸収材と、を備え、管の一端から、接着用樹脂を含浸させた樹脂吸収材が外側になり且つ多重チューブが内側になるように流体圧力で反転挿入され、管の内周面を被覆するライニング材を用いたライニング工法であって、樹脂吸収材に接着用樹脂を含浸させる含浸工程と、管の一端から、接着用樹脂を含浸させた樹脂吸収材が外側になり且つ多重チューブが内側になるように流体圧力で反転挿入して、ライニング材で管の内周面を被覆する被覆工程と、管の内周面に被覆させたライニング材の接着用樹脂が硬化した後、ライニング材の端から端まで、樹脂吸収材と多重チューブとの間隙に引張紐を挿通する挿通工程と、挿通させた引張紐の一端に接続したリング部材が、ライニング材の一端から他端に向かって樹脂吸収材と多重チューブとの間を通過するように、引張紐をライニング材から引き抜く引抜工程と、引抜工程の後、多重チューブを管の内部から抜き取る抜取工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、管内への反転挿入時に膨張する弾性チューブのバーストを効果的に防止することができるライニング材を用いたことで、作業トラブルなく施工を行うことができる。
接着用樹脂の硬化後、必ずしも管内部から多重チューブを抜き取る必要はないが、多重チューブを管内部に残しておくと、経年的に多重チューブが剥がれて管の詰まりの原因ともなるので、接着用樹脂の硬化後、多重チューブを抜き取ることが好ましい。
ここで、リング部材に接続した引張紐をライニング材から引き抜き、リング部材をライニング材の一端から他端に向かって樹脂吸収材と多重チューブとの間を通過させることで、リング部材により、樹脂吸収材を外方に且つ多重チューブを内方に押し広げるようにして、樹脂吸収材から多重チューブを引き剥がすことができる。このため、多重チューブの一端を把持してこれを反転させながら引き剥がす場合に比べ、樹脂吸収材に内方へ引く力が加わらず、樹脂吸収材の管内周面からの浮き(剥がれ)を防止することができる。
この場合、挿通工程は、引張紐の一端を接続したケーブル状の内視鏡を、ライニング材の端から端まで、樹脂吸収材と多重チューブとの間隙に挿通することで行われることが好ましい。
この構成によれば、被覆工程の後、ライニング材が管の内周面に適切に被覆されているか否かを確認するために、樹脂吸収材と多重チューブとの間隙に挿通する内視鏡を利用して、引張紐を樹脂吸収材と多重チューブとの間隙に挿通することができるため、全体の作業工数を削減することができる。
本発明の他のライニング工法は、それぞれ筒状に形成された複数の弾性チューブを多重の筒状に構成した多重チューブと、多重チューブの内側に設けられ、接着用樹脂を含浸可能な筒状の樹脂吸収材と、を備え、最外周側の弾性チューブは、透明な材料で構成されており、管の一端から、接着用樹脂を含浸させた樹脂吸収材が外側になり且つ多重チューブが内側になるように流体圧力で反転挿入され、管の内周面を被覆するライニング材を用いたライニング工法であって、樹脂吸収材に接着用樹脂を含浸させる含浸工程と、管の一端から、接着用樹脂を含浸させた樹脂吸収材が外側になり且つ多重チューブが内側になるように流体圧力で反転挿入して、ライニング材で管の内周面を被覆する被覆工程と、被覆工程に先立って、ライニング材を液体に浸漬し、液体から取り出したライニング材を目視により観察して、最外周側の弾性チューブにピンホールが空いていないか検査する検査工程と、を備えたことを特徴とする。
最外周側の弾性チューブにピンホールが空いていた場合には、被覆工程においてピンホールからエアーが侵入し、その弾性チューブがバーストする原因となり得るため、ピンホールの有無を予め確認しておくことが好ましい。
ここで、被覆工程に先立って、ライニング材を液体に浸漬することで、最外周側の弾性チューブにピンホールが空いていた場合には、そのピンホールから液体が侵入し、ライニング材を液体から取り出した後も、最外周側の弾性チューブとその内側の弾性チューブとの間に、侵入した液体が残るため、侵入した液体の有無を、透明な最外周側の弾性チューブ越しに視認することができ、これにより、最外周側の弾性チューブにピンホールが空いているか否かを確実に確認することができる。
なお、最内周側の弾性チューブにピンホールが空いている場合も、弾性チューブのバーストや樹脂吸収材の管内周面からの浮き(剥がれ)の原因となり得るため、検査工程を含浸工程の後に行うことで、上記の最外周側の弾性チューブにおけるピンホールの有無と併せて、最内周側の弾性チューブにおけるピンホールの有無を確認することが好ましい。この場合、最内周側の弾性チューブにピンホールが空いていれば、そのピンホールから接着用樹脂が最内周側の弾性チューブとその外側の弾性チューブとの間に侵入するため、侵入した接着用樹脂の有無を、透明な最外周側の弾性チューブ越しに視認することができ、これにより、最内周側の弾性チューブにピンホールが空いているか否かを確認することができる。
この場合、検査工程は、含浸工程の後に行われ、液体の温度が10℃以下であることが好ましい。
この構成によれば、含浸工程において樹脂吸収材に含浸させた接着用樹脂が、主剤と硬化剤とから成る二液硬化型のものであった場合、ライニング材を10℃以下の液体に浸漬することで、接着用樹脂の硬化反応の進行を遅らせることができる。このため、比較的硬化時間の短い接着用樹脂を用いた場合にも、被覆工程前に硬化が進行しまうことなく被覆工程を適切に開始することができるため、比較的硬化時間の短い接着用樹脂の使用が可能となり、全体の施工時間を短縮することができる。
この場合、被覆工程は、一端がライニング材の反転挿入終端部に接続された紐状体を所定の速度で繰り出していくことで、ライニング材の反転挿入速度を調整しながら行われ、紐状体には、潤滑剤が塗着されていることが好ましい。
この場合、潤滑剤が、シリコーンオイルで構成されていることが好ましい。
被覆工程においては、弾性チューブを適切に膨張させながら、ライニング材を反転挿入させるべく、一端が固定された反転速度調整ロープを張った状態とすることで反転挿入速度を調整することが好ましいが、曲がり管(継手)の湾曲内側の内周面などにおいては、反転速度調整ロープの送り経路上に弾性チューブが位置するため、張った状態の反転速度調整ロープが弾性チューブを擦りながら送られていくことになるが、反転速度調整ロープの表面に潤滑剤が塗付してあるため、反転速度調整ロープが弾性チューブをその接触部分で強く擦ることがなく、弾性チューブの摩耗による穴明きを防止することができる。
本発明の一実施形態に係るライニング材を示す図であって、(a)はラニング材の斜視図、(b)はライニング材の断面図、(c)は雑排水立管およびこれに反転挿入されたライニング材の断面図、(d)は雑排水立管およびこれに反転挿入されて二重チューブが除去されたライニング材の断面図、(e)は図(b)において一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。 本発明の一実施形態に係るライニング工法の改修対象となる雑排水の排水システムを示す図である。 弾性チューブにピンホールが空いたライニング材を示す図である。 (a)は雑排水立管にライニング材を反転挿入する工程を示す図、(b)は図(a)において一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。 (a)は本実施形態に係るライニング材を反転挿入した際に、弾性チューブに生じた筋を示す図であり、(b)は従来技術に係るライニング材を反転挿入した際に、弾性チューブに生じた筋を示す図である。 (a)は接着用樹脂の硬化後に、内視鏡と共に引張紐を樹脂吸収材と二重チューブとの間隙に挿入している図であり、(b)は引張紐の一端にリング部材を結び付け、二重チューブの一端部をリング部材に挿入した図であり、(c)は引張紐を引き抜いている図であり、(d)は二重チューブを抜き取った図である。
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るライニング材およびこれを用いたライニング工法について説明する。本実施形態のライニング材およびライニング工法は、既設の多層階集合住宅において劣化した雑排水立管を更生する技術に関するものである。すなわち、多層階集合住宅の雑排水立管(一般には鋼管)は、雑排水に含まれる油脂分等によりスライムが付着して腐食が進行しやすいことから、メンテナンス状況にもよるが、30年程度で劣化してしまうため、雑排水立管の改修工事が必要とされている。本ライニング工法は、接着用樹脂を含浸させた樹脂吸収材を雑排水立管の内周面に内接させ、樹脂塗膜(ライニング層)を新たに形成することで、雑排水立管を更生するものである。
図1に示すように、ライニング材10は、更生対象の雑排水立管21に対応した長さおよび径を有する三重の筒状に構成されており、外側の二重チューブ11と、二重チューブ11の内側に設けられた樹脂吸収材12とを備えている。ライニング材10は、更生する雑排水立管21の上端から、接着用樹脂を含浸させた樹脂吸収材12が外側になり且つ二重チューブ11が内側になるように空気圧で反転挿入されて雑排水立管21の内周面を被覆し(図1(c)参照)、接着用樹脂の硬化後、二重チューブ11のみが雑排水立管21の内部から抜き取られる(図1(d)参照)。すなわち、接着用樹脂を吸収した樹脂吸収材12が、雑排水立管21の内周面にライニング層を形成するライニング主材として機能し、二重チューブ11が、空気圧で膨張して樹脂吸収材12を雑排水立管21の内周面に密着させるライニング補助材として機能する。なお、空気圧に代えて、他の気体(例えば不活性ガス)の圧力や液圧でライニング材10を反転挿入するようにしてもよい。
二重チューブ11は、導入した空気圧で膨張し、樹脂吸収材12を雑排水立管21の内周面に押し付けるものであり、外側弾性チューブ11aおよび内側弾性チューブ11bを内外に重ねた二重の筒状にして構成されている。外側弾性チューブ11aと内側弾性チューブ11bとは同様の構成であり、合成樹脂やゴム等の弾性体であって、好ましくは透明且つ難接着材料から成り、ポリエチレンラミネートチューブを好適に用いることができる。なお、本実施形態では弾性チューブを二重にしたが、弾性チューブを三重以上にしてもよい。
外側弾性チューブ11aおよび内側弾性チューブ11b相互の接触面、すなわち、外側弾性チューブ11aの内周面と内側弾性チューブ11bの外周面との間隙には、粉末の減摩剤13が均一に散布されている(図1(e)参照)。減摩剤13は、二重チューブ11の一端から、外側弾性チューブ11aと内側弾性チューブ11bとの間隙にエアーにのせて吹き入れたものである。この減摩剤13により、外側弾性チューブ11aおよび内側弾性チューブ11b相互の接触面は、摩擦低減構造となっている。
なお、粉末の減摩剤13に代えて、シリコーンオイル等の液体の減摩剤13を外側弾性チューブ11aの内周面および内側弾性チューブ11bの外周面の少なくとも一方に塗布しておくことで、摩擦低減構造を構成してもよい。
さらに、外側弾性チューブ11aの内周面および内側弾性チューブ11bの外周面の少なくとも一方を、微細な凹凸を有する擦りガラス状の凹凸面に形成することで、摩擦低減構造を構成してもよい。この凹凸面は、例えば、外側弾性チューブ11aや内側弾性チューブ11bを成形時に急冷することによって形成可能である。なお、凹凸面は、算術表面粗さRaが10μm〜60μmであることが好ましい。
樹脂吸収材12は、含浸した接着用樹脂が硬化することで、雑排水立管21の内周面をライニングするものである。樹脂吸収材12は、織布または不織布から成り、より具体的には、ポリエステル繊維を筒状に編んだもの(ポリエステル繊維筒)を用いることができる。このポリエステル繊維筒は、接着用樹脂の含浸性が良いと共に、周方向の伸縮性に富むため、反転挿入を伴う本実施形態のライニング工法に好適に用いることができる。
次に、ライニング材10を用いたライニング工法について説明する。図2は、改修対象となる多層階集合住宅における雑排水の排水システムの一例であり、各階のスラブを貫通して配管された雑排水立管21と、各住戸内に設置された各種衛生器具(台所流し、浴室、洗面器、洗濯機など)からの雑排水を雑排水立管21まで導く雑排水横枝管22と、雑排水立管21の下端に接続され、雑排水立管21からの雑排水を屋外の排水枡24に排除する雑排水横主管23とを備えている。さらに、雑排水立管21の最上部より立ち上げ、屋上スラブを貫通した上端部にベントキャップ26を設置した伸頂通気管25と、雑排水立管21に併設され、一端を雑排水立管21の基部から取り出し、他端を伸頂通気管25を介して大気に開放した通気立管27とを備えている。上下に連なる雑排水立管21同士、および雑排水立管21と雑排水横枝管22とは、立管継手28(TY継手)を介して接続されている。また、雑排水立管21と雑排水横主管23とは、曲管継手29(エルボ継手)を介して接続されている。
本実施形態のライニング工法では、まず、準備作業として、雑排水立管21を、最上階部(伸頂通気管25の近傍)および最下階スラブ下(雑排水横主管23の近傍)で切断あるいは継手から外す。この管端部が、ライニング材10の挿入開始箇所(挿入端部31)および挿入終了箇所(終端部32)となる。なお、高層集合住宅の場合は、施工可能な配管長さとなるよう、必要に応じて、途中階においても雑排水立管21を切断する。続いて、雑排水立管21と雑排水横枝管22との接続部分に隣接する内装材(床、壁または天井材の一部)を切開し、雑排水横枝管22を露出させてその切断の準備をする。また、エアーコンプレッサーの圧縮空気で雑排水立管21内の水分を飛散除去すると共に、雑排水立管21内に温風を入れ、十分に乾燥させておく。
次に、雑排水立管21の内周面に付着した付着物や錆を除去するため、高圧洗浄機を用いて、雑排水立管21内を洗浄、研磨する。続いて、雑排水立管21と雑排水横枝管22の接続部分(雑排水横枝管22の下流端)を切断する。そして、各階の横枝管切断部33および雑排水立管21の終端部32から、雑排水立管21内に温風送風機34(布団乾燥機)で温風を送り、雑排水立管21内を乾燥させる。
次に、ライニング材10に接着用樹脂を含浸させるために、まず、作業用マット上に、ライニング材10を伸展する。ライニング材10は、断面扁平形状(図1(a)参照)となって作業用マット上に置かれる。なお、使用するライニング材10の長さは、雑排水立管21の管長さに、後述する入口ガイドホース46の長さ、反転口44の長さおよび余長を加えた合計とする。続いて、あらかじめ25℃前後に保温して粘性を下げた接着用樹脂の主剤(例えばエポキシ樹脂)および硬化剤(例えばアミン系)を混合し、十分に攪拌する。攪拌後、ライニング材10の一端から接着用樹脂を樹脂吸収材12内に注入する。樹脂注入端から他端に向かってローラーで順次しごき、樹脂吸収材12の上半部全面に接着用樹脂を均一に含浸させる(同時に気泡を抜く)。このとき、白色だった樹脂吸収材12が接着用樹脂の色(例えば青色)に染まっていくことを確認する。
余長部分まで十分にしごいたら、樹脂吸収材12の上下を返して、樹脂注入端に戻り、残りの半部を再びローラーで順次しごいていく。このときも、白色だった樹脂吸収材12が接着用樹脂の色に染まっていくことを確認する。含浸工程の終了後、ライニング材10の樹脂注入端に、反転速度調整ロープ35(紐状体)を堅固に縛っておく(図4(a)参照)。反転速度調整ロープ35には、シリコーンオイルが塗着されたソフトロープ(例えばポリプロピレン製)で構成されている。
次に、ライニング材10を長さ方向に折りたたみ、10℃以下の冷却水(好ましくは氷水)に一定時間浸漬して冷却する。これにより、接着用樹脂の硬化反応の進行(立上がり)を遅らせることができる。このため、比較的硬化時間の短い接着用樹脂を用いた場合にも、後述する被覆工程前に硬化が進行しまうことなく被覆工程を適切に行うことができるため、比較的硬化時間の短い接着用樹脂の使用が可能となり、全体の施工時間(断水時間)を短縮することができる。
冷却養生したライニング材10を冷却水から取り出しながら表面の水分を布で拭き取る。この際、二重チューブ11に損傷がないことを確認する。すなわち、図3に示すように、外側弾性チューブ11aにピンホール36が空いていた場合には、冷却水に浸漬した際に、ピンホール36から冷却水が侵入し、ライニング材10を冷却水から取り出した後も、外側弾性チューブ11aと内側弾性チューブ11bとの間に、侵入した冷却水(侵入水37)が残るため、侵入水37の有無を、透明な外側弾性チューブ11a越しに視認することができ、これにより、外側弾性チューブ11aにピンホール36が空いているか否かを確実に確認することができる。外側弾性チューブ11aにピンホール36が空いていた場合には、被覆工程においてピンホール36からエアーが侵入し、外側弾性チューブ11aがバーストする原因となり得るため、ピンホール36の有無を予め確認しておくことが重要である。
また、内側弾性チューブ11bにピンホール36が空いていれば、含浸工程において、ピンホール36から接着用樹脂が内周弾性チューブと外側弾性チューブ11aとの間に侵入するため、侵入した接着用樹脂(侵入樹脂38)の有無を、透明な外側弾性チューブ11a越しに視認することができ、これにより、最外周側の弾性チューブにピンホール36が空いているか否かを確認することができる。内側弾性チューブ11bにピンホール36が空いている場合も、外側弾性チューブ11aのバーストや樹脂吸収材12の雑排水立管21内周面からの浮き(剥がれ)の原因となり得るため、ピンホール36の有無を予め確認しておくことが重要である。
二重チューブ11に損傷がないことを確認した後、図4に示すように、ライニング材10を反転機40に装填する。反転機40は、密閉型のケーシング41と、ライニング材10を巻き取る巻取ドラム42と、巻取ドラム42の回転を制御するドラムハンドル43と、ライニング材10の挿入先端部が固定される反転口44と、図外のエアーコンプレッサーに連なる接続口45と、内部圧を測定する圧力ゲージ(図示省略)とを備えている。まず、一端をライニング材10に縛り付けた反転速度調整ロープ35の他端を、反転口44を通して巻取ドラム42に結び付け、ドラムハンドル43を回してライニング材10を巻取ドラム42に巻き取る。続いて、巻取ドラム42から引き出されたライニング材10の挿入先端部を反転口44に差し込み、フランジ接合により空気漏れが生じないように固定する。
ライニング材10の反転機40への挿填後、反転口44と雑排水立管21の挿入端部31とを入口ガイドホース46(フレキシブルホース)で連通する。また、雑排水立管21の終端部32には、出口ガイドホース47を接続しておく。
そして、反転機40をエアーコンプレッサーに連結して、内部圧を所定の圧力まで上昇させ、ライニング材10を入口ガイドホース46を介して雑排水立管21に反転挿入する。このとき、ドラムハンドル43を操作して反転挿入速度(ライニング材10の繰出し速度)を所定の範囲に制御することで、外側弾性チューブ11aおよび内側弾性チューブ11bを適切に膨張させながら、ライニング材10を反転挿入することができる。反転挿入されたライニング材10は、外側から、樹脂吸収材12、内側弾性チューブ11b、外側弾性チューブ11aの順となり、空気圧で膨張した外側弾性チューブ11aおよび内側弾性チューブ11bにより、樹脂吸収材12が雑排水立管21の内周面に押圧されるようにして、雑排水立管21の内周面を直接被覆する(図4(b)参照)。
ここで、上述したように、ライニング材10は、減摩剤13(図1(e)参照)により、外側弾性チューブ11aおよび内側弾性チューブ11b相互の接触面が摩擦低減構造となっていることから、ライニング材10を雑排水立管21の挿入端部31から空気圧で反転挿入し、外側弾性チューブ11aおよび内側弾性チューブ11bが膨張する際、外側弾性チューブ11aと内側弾性チューブ11bとが膨張時に引き連れ合うことなく、互いに周方向に微小にズレながら膨張することになる。つまり、外側弾性チューブ11aおよび内側弾性チューブ11b、自由状態での膨張と同等の膨張形態をとることができる。このため、図5(a)に示すように、外側弾性チューブ11aや内側弾性チューブ11bに筋49が発生したとしても、幅の小さい筋49が周方向に分散して発生するだけであるため、外側弾性チューブ11aや内側弾性チューブ11bが全体として偏って膨張することがない。したがって、管内への反転挿入時に膨張する外側弾性チューブ11aや内側弾性チューブ11bのバーストを効果的に防止することができる。
図5(b)は、従来技術に係るものであり、外側弾性チューブ11aおよび内側弾性チューブ11b相互の接触面に減摩剤13がないライニング材である。この場合は、外側弾性チューブ11aや内側弾性チューブ11bに幅の広い筋49が発生しており、外側弾性チューブ11aや内側弾性チューブ11bが全体として偏って膨張するため、バーストの原因となる。
ライニング材10の反転挿入が半分以上進行して、ライニング材10の反転挿入エンド(巻取り開始端部)が巻取ドラム42から繰り出され、反転速度調整ロープ35が繰り出されるようになると、巻取ドラム42に一端が固定された反転速度調整ロープ35が張った(テンションが掛かった)状態で雑排水立管21の終了端に向けて送られることとなり、ライニング材10の反転挿入速度が調整される(図4(a)参照)。このとき、反転速度調整ロープ35が、雑排水立管21の内周面に反転被覆したライニング材10(外側弾性チューブ11a)の内側を通っていくことになるため、特に配管経路に湾曲部がある場合に、湾曲内側の内周面において、反転速度調整ロープ35の送り経路上に外側弾性チューブ11aが位置するため、張った状態の反転速度調整ロープ35が外側弾性チューブ11aを擦りながら送られていくことになるが、上述したように、反転速度調整ロープ35にシリコーンオイルが塗着されているため、反転速度調整ロープ35が外側弾性チューブ11aをその接触部分で強く擦ることがなく(摩擦が小さい)、外側弾性チューブ11aの摩耗による穴明きを防止することができる。
雑排水立管21の終端部32までライニング材10の反転挿入が終了したら、出口ガイドホース47を閉止プラグ48で閉鎖する。そして、接着用樹脂が所定の硬度になるまで、反転機40の内部圧を所定の圧力(反転挿入時よりは低圧)に保持する。なお、接着用樹脂の硬化を促進するために、上記した各所の温風送風機34を用いて雑排水立管21内を加温することが好ましい。接着用樹脂が所定の硬度まで硬化したら、反転機40の内部圧を徐々に低下させ、その後、雑排水立管21の挿入端部31および終端部32を切り取る。
図6は、硬化養生後、二重チューブ11を雑排水立管21の内部から抜き取る作業を示す図である(なお、図6では、雑排水立管21内部を他よりも大きく示している)。まず、硬化養生後、雑排水立管21の内周面に、ライニング材10が管の内周面に適切に被覆されているか否かを確認するために、雑排水立管21の挿入端部31近傍にいる作業者Aが、ケーブル状の内視鏡51を、雑排水立管21に被覆したライニング材10の上端から下端に向けて、樹脂吸収材12と二重チューブ11(内側弾性チューブ11b)との間隙に送り込んでいく(図6(a)参照)。内視鏡51は適度な剛性を有するため、容易に下方に送り込むことができる。このとき、樹脂吸収材12と内側弾性チューブ11bとは、硬化養生時に温度が他よりも低く接着用樹脂が所定の硬度まで硬化してしない箇所で部分的に粘着している(所定の硬度まで硬化すれば、樹脂吸収材12と内側弾性チューブ11bとは、材質上、くっ付かなくなる)。内視鏡51には、引張紐52の一端が接続されており、作業者Aは、引張紐52の他端を把持しながら、内視鏡51を下方に送り込んでいくことで、引張紐52をライニング材10の上端から下端まで、樹脂吸収材12と二重チューブ11との間隙に挿通することができる。
引張紐52がライニング材10の下端まで挿通したら、雑排水立管21の終端部32近傍にいる作業者Bが、内視鏡51から引張紐52を取り外すと共に、引張紐52の一端をリング部材53に結び付け、リング部材53に二重チューブ11の下端部を挿入する(図6(b)参照)。リング部材53の外径は、ライニング材10に接着した樹脂吸収材12の内径と略合致している。なお、引張紐52が取り外された内視鏡51は、作業者Aが引き上げておく。
そして、作業者Bが、二重チューブ11の下端部を把持した状態で、作業者Aが、リング部材53がライニング材10の下端から上端に向かって樹脂吸収材12と二重チューブ11との間を通過するように、引張紐52を上方に引き抜く(図6(c)参照)。このようにすることで、リング部材53により、樹脂吸収材12を外方に且つ二重チューブ11を内方に押し広げるようにして、樹脂吸収材12から二重チューブ11を引き剥がすことができる。このため、二重チューブ11の一端を把持してこれを反転させながら引き剥がす場合に比べ、樹脂吸収材12に内方へ引く力が加わらず、樹脂吸収材12の雑排水立管21内周面からの浮き(剥がれ)を防止することができる。引張紐52を引き抜いた後は、作業者Bが、剥離した二重チューブ11を雑排水立管21の内部から抜き取る(図6(d)参照)。
二重チューブ11の引抜き後、雑排水立管21と雑排水横枝管22との接続部分(立管継手28)において樹脂吸収材12に開口を形成し、立管継手28内部を接着用樹脂で塗工した後、更新した雑排水横枝管22を接続するなど、各管の接続部分の復旧処理を行うと共に、通水検査などの各種検査を行った上で、改修工事を完了する。
以上のように、本実施形態のライニング工法によれば、管内への反転挿入時に膨張する外側弾性チューブ11aおよび内側弾性チューブ11bのバーストを効果的に防止することができるライニング材10を用いたことで、作業トラブルなく施工を行うことができる。なお、本実施形態では、改修対象として雑排水立管21を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、排水横主管および排水横枝管などの他の排水管はもちろん、汚水管、ガス管、給水管等の設備配管に本ライニング工法を適用することも可能である。また、既設管の更生のみならず、新設管(更新を含む)において本ライニング工法を適用してもよく、この場合、新設管に後付でライニングを施すことができ、新設管の耐久性を高めることができる。
さらに、本実施形態における、冷却水に浸漬して外側弾性チューブ11aや内側弾性チューブ11bにおけるピンホール36の有無を確認する方法、反転速度調整ロープ35にシリコーンオイルを塗着しておく方法、並びに、引張紐52およびリング部材53を用いて二重チューブ11を引き剥がす方法については、外側弾性チューブ11aと内側弾性チューブ11bとの接触面を摩擦低減構造としたライニング材10のみならず、従来の二重以上の弾性チューブからなるライニング材を用いた場合にも、適用可能である。
10:ライニング材 11:二重チューブ 11a:外側弾性チューブ 11b:内側弾性チューブ 12:樹脂吸収材 13:減摩剤 21:雑排水立管 35:反転速度調整ロープ 51:内視鏡 52:引張紐 53:リング部材

Claims (7)

  1. それぞれ筒状に形成された複数の弾性チューブを多重の筒状に構成した多重チューブと、前記多重チューブの内側に設けられ、接着用樹脂を含浸可能な筒状の樹脂吸収材と、を備え、管の一端から、前記接着用樹脂を含浸させた前記樹脂吸収材が外側になり且つ前記多重チューブが内側になるように流体圧力で反転挿入され、前記管の内周面を被覆するライニング材であって、
    前記多重チューブは、内外で接する前記弾性チューブ相互の接触面の少なくとも一方が、微細な凹凸を有する擦りガラス状の凹凸面に形成されていることを特徴とするライニング材。
  2. それぞれ筒状に形成された複数の弾性チューブを多重の筒状に構成した多重チューブと、前記多重チューブの内側に設けられ、接着用樹脂を含浸可能な筒状の樹脂吸収材と、を備え、管の一端から、前記接着用樹脂を含浸させた前記樹脂吸収材が外側になり且つ前記多重チューブが内側になるように流体圧力で反転挿入され、前記管の内周面を被覆するライニング材を用いたライニング工法であって、
    前記樹脂吸収材に前記接着用樹脂を含浸させる含浸工程と、
    前記管の一端から、前記接着用樹脂を含浸させた前記樹脂吸収材が外側になり且つ前記多重チューブが内側になるように流体圧力で反転挿入して、前記ライニング材で前記管の内周面を被覆する被覆工程と、
    前記管の内周面に被覆させた前記ライニング材の前記接着用樹脂が硬化した後、前記ライニング材の端から端まで、前記樹脂吸収材と前記多重チューブとの間隙に引張紐を挿通する挿通工程と、
    挿通させた前記引張紐の一端に接続したリング部材が、前記ライニング材の一端から他端に向かって前記樹脂吸収材と前記多重チューブとの間を通過するように、前記引張紐を前記ライニング材から引き抜く引抜工程と、
    前記引抜工程の後、前記多重チューブを前記管の内部から抜き取る抜取工程と、
    を備えたことを特徴とするライニング工法。
  3. 前記挿通工程は、前記引張紐の一端を接続したケーブル状の内視鏡を、前記ライニング材の端から端まで、前記樹脂吸収材と前記多重チューブとの間隙に挿通することで行われることを特徴とする請求項に記載のライニング工法。
  4. それぞれ筒状に形成された複数の弾性チューブを多重の筒状に構成した多重チューブと、前記多重チューブの内側に設けられ、接着用樹脂を含浸可能な筒状の樹脂吸収材と、を備え、最外周側の前記弾性チューブは、透明な材料で構成されており、管の一端から、前記接着用樹脂を含浸させた前記樹脂吸収材が外側になり且つ前記多重チューブが内側になるように流体圧力で反転挿入され、前記管の内周面を被覆するライニング材を用いたライニング工法であって、
    前記樹脂吸収材に前記接着用樹脂を含浸させる含浸工程と、
    前記管の一端から、前記接着用樹脂を含浸させた前記樹脂吸収材が外側になり且つ前記多重チューブが内側になるように流体圧力で反転挿入して、前記ライニング材で前記管の内周面を被覆する被覆工程と、
    前記被覆工程に先立って、前記ライニング材を液体に浸漬し、前記液体から取り出した前記ライニング材を目視により観察して、最外周側の前記弾性チューブにピンホールが空いていないか検査する検査工程と、
    を備えたことを特徴とするライニング工法。
  5. 前記検査工程は、前記含浸工程の後に行われ、
    前記液体の温度が10℃以下であることを特徴とする請求項に記載のライニング工法。
  6. 前記被覆工程は、一端が前記ライニング材の反転挿入終端部に接続された紐状体を所定の速度で繰り出していくことで、前記ライニング材の反転挿入速度を調整しながら行われ、
    前記紐状体には、潤滑剤が塗着されていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載のライニング工法。
  7. 前記潤滑剤が、シリコーンオイルで構成されていることを特徴とする請求項に記載のライニング工法。
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