JP6140570B2 - イブプロフェン含有錠剤及びその製造方法 - Google Patents
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Description
イブプロフェンは、水に溶解しにくいため、水溶性高分子等の賦形剤等と共に湿式造粒されて造粒粒子群とされ、この造粒粒子群が打錠されてイブプロフェン含有錠剤とされるのが一般的である。造粒粒子群を打錠したイブプロフェン含有錠剤は、崩壊性が悪化する傾向にある。解熱鎮痛作用等の即効性を高めるには、錠剤の崩壊性を高める必要があるが、単に崩壊性の向上を追求すると錠剤の硬度が低下し脆くなりかねない。このため、錠剤には、良好な崩壊性と適度な硬度を両立することが要求されている。
しかし、イブプロフェン等の酸性成分と、制酸剤等の塩基性成分とが配合された製剤は、配合変化により変色や溶出性の低下等の問題を生じやすい。
こうした問題に対し、酸性成分と塩基性成分とが直接接触しないように配合された製剤が提案されている。
例えば、イブプロフェンを主体とする層と制酸剤を主体とする層との間にそれら両者を含まない層を設けた積層製剤が提案されている(例えば、特許文献2)。
また、例えば、酸性薬物、制酸剤等の2種類以上の粒状薬効成分のうち、少なくとも1種類以上を特定の被覆剤で被覆して混合した粒状医薬品が提案されている(特許文献3)。
あるいは、例えば、解熱鎮痛成分と、制酸剤と特定の酸とを含む造粒粒子とを含有する内服固形製剤が提案されている(例えば、特許文献4)。
そこで、本発明は、崩壊性に優れ、適度な硬度を有し、かつ生産性の高いイブプロフェン含有錠剤を目的とする。
水分含量が2.0質量%以下であるのが好ましい。
本発明のイブプロフェン含有錠剤は、(A)成分:イブプロフェンを含有する造粒粒子群と、(B)成分:乾燥水酸化アルミニウムゲルの未造粒粉末と、(C)成分:二酸化ケイ素の未造粒粉末との混合物を含有する。
(A)成分は、イブプロフェン(以下、(a)成分ということがある)を含有する造粒粒子群である。(A)成分を構成する造粒粒子は、(a)成分を含有する造粒物(イブプロフェン含有粒子)である。イブプロフェン含有粒子は、(a)成分と、賦形剤等の任意成分(造粒任意成分)とが造粒されたものである。
(a)成分が賦形剤等と共に造粒されて(A)成分とされることで、水難溶性の(a)成分の溶出性が高まり、また、(a)成分と(B)成分とが直接接触する確率が低くなって、(a)成分の溶出性が経時的に低下するのを抑制できる。
なお、平均粒子径は、篩分けにより測定される体積平均粒子径である。
(A)成分中の賦形剤の含有量は、例えば、0.10〜90質量%が好ましい。
(A)成分中の結合剤の含有量は、例えば、1.0〜30質量%が好ましい。
(A)成分中の崩壊剤の含有量は、例えば、0.30〜50質量%が好ましい。
(A)成分中の任意薬物の含有量は、後述する錠剤任意成分の任意薬物の含有量を勘案して、適宜決定される。
流動層造粒法としては、例えば、(a)成分と、賦形剤、崩壊剤及び任意薬物から選択される1種以上とを混合し、これを造粒装置内(例えば、給気温度20〜70℃)で流動させつつ、結合剤の水溶液を吹き付ける方法が挙げられる。
また、別の好ましい造粒方法としては、攪拌造粒法で造粒した後、流動層造粒機で乾燥して、任意の水分量に調整する方法が挙げられる。
(B)成分は、乾燥水酸化アルミニウムゲルの未造粒粉末であり、他の成分(例えば、賦形剤等)と共に造粒されていないものである。
イブプロフェン含有錠剤中、(B)成分/(a)成分で表される質量比(B/a比)は、例えば、0.20〜3.0が好ましく、0.30〜1.0がより好ましい。B/a比が上記下限値以上であれば、(B)成分を配合したことによる効果が発揮されやすく、後述する錠剤の製造方法において、混合物が製造機器に付着するのをより良好に防止できる。B/a比が上記上限値以下であれば、(a)成分の変色を抑制しやすい。
(C)成分は、二酸化ケイ素の未造粒粉末であり、他の成分(例えば、賦形剤等)と共に造粒されていないものである。(B)成分と(C)成分とを併用することで、後述する錠剤の製造方法において、混合物が製造機器に付着するのをより良好に抑制できる。
イブプロフェン含有錠剤中、(C)成分/(a)成分で表される質量比(C/a比)は、例えば、0.01〜0.30が好ましく、0.04〜0.25がより好ましい。上記下限値以上であれば、(C)成分を配合したことによる効果が発揮されやすく、上記上限値以下であれば、イブプロフェン含有錠剤の製剤硬度をより高め、後述する混合物の粉立ちを良好に抑制できる。
イブプロフェン含有錠剤中、[(B)成分+(C)成分]/(a)成分で表される質量比((B+C)/a比)は、0.10〜3.0が好ましく、0.30〜1.50がより好ましい。上記下限値以上であれば、後述する製造方法において、混合物が製造機器に付着するのをより良好に防止でき、上記上限値以下であれば、(a)成分の含有量を適切な範囲にしやすい。
イブプロフェン含有錠剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)〜(C)成分以外の任意成分(錠剤任意成分)を含有することができる。錠剤任意成分としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、(a)成分以外の薬物(任意薬物)等が挙げられる。
イブプロフェン含有錠剤中の賦形剤の含有量(ただし、(A)成分中の賦形剤の含有量を除く)は、例えば、0.1〜90質量%が好ましく、0.15〜80質量%がより好ましい。
イブプロフェン含有錠剤中の結合剤の含有量(ただし、(A)成分中の結合剤の含有量を除く)は、例えば、0〜20質量%が好ましく、0.05〜15質量%がより好ましい。
イブプロフェン含有錠剤中の崩壊剤の含有量(ただし、(A)成分中の崩壊剤の含有量を除く)は、例えば、0〜50質量%が好ましく、0.05〜30質量%がより好ましい。
イブプロフェン含有錠剤中の任意薬物の含有量(ただし、(A)成分中の任意薬物の含有量を除く)は、(A)成分中の任意薬物の含有量を勘案して、適宜決定される。
本発明のイブプロフェン含有錠剤の製造方法は、(A)〜(C)成分を混合して混合物を得る工程(混合工程)と、混合物を打錠する工程(成形工程)とを備える。
混合方法は、特に限定されず、例えば、従来公知の粉体混合機を用いて、各成分を混合する方法が挙げられる。
混合物中、(B)成分/(a)成分で表される質量比(B/a比)は、例えば、0.20〜3.0が好ましく、0.30〜1.0がより好ましい。B/a比が上記下限値以上であれば、(B)成分を配合したことによる効果が発揮されやすくなり、混合物が製造機器に付着するのをより良好に防止できる。B/a比が上記上限値以下であれば、(a)成分の変色を抑制しやすい。
混合物中、(C)成分/(a)成分で表される質量比(C/a比)は、例えば、0.01〜0.30が好ましく、0.04〜0.25がより好ましい。上記下限値以上であれば、(C)成分を配合したことによる効果が発揮されやすくなり、混合物が製造機器に付着するのをより良好に防止できる。上記上限値以下であれば、(a)成分の含有量を適切な範囲にしやすく、また、イブプロフェン含有錠剤の製剤硬度をより高め、混合物の粉立ちを良好に抑制できる。
混合物中、[(B)成分+(C)成分]/(a)成分で表される質量比((B+C)/a比)は、0.10〜3.0が好ましく、0.30〜1.50がより好ましい。上記下限値以上であれば、後述する製造方法において、混合物が製造機器に付着するのをより良好に防止でき、上記上限値以下であれば、(a)成分の含有量を適切な範囲にしやすい。
打錠方法は、特に限定されず、従来公知の打錠機を用いた方法が挙げられる。
打錠条件は、特に限定されず、イブプロフェン含有錠剤に求める硬度(錠剤硬度)等を勘案して適宜決定される。
コーティング処理としては、特に限定されず、従来公知の方法を適用でき、例えば、ポリマー、可塑剤等の水溶液等のコーティング剤を表面に塗布し、次いで乾燥する方法が挙げられる。
実施例、比較例に用いた原料は、表1に示す通りである。
イブプロフェン1500g及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(LH−31)600gをポリエチレン製の袋内で混合した。これを微粉砕機コロプレックス(株式会社パウレック製、160Z型)に投入し、回転数14000rpmの条件で粉砕した。得られた粉砕物1610gを予熱しておいたスパイラフローSFC−5型(フロイント産業株式会社製)に投入し、吸気温度60℃、排気風量2.7m3/min、ローター回転数200rpmの条件で流動させた。排気温度が43℃以上であることを確認後、2流体ノズルATF型(穴径φ1.8mm)を用いて、結合液(ヒドロキシプロピルセルロース:精製水=389.3:6099(質量基準)の水溶液)を100mL/minの液速度で噴霧した。噴霧開始10分後に液速度を60mL/minに変更した。噴霧された結合液の合計量は、2415gであった。噴霧終了後、乾燥操作を開始した。排気温度が43℃に達した時点で乾燥操作を終了し、造粒物を得た。得られた造粒物を目開き600μmの篩を用いて全量篩過し(篩上品もへらで潰しながら篩過)、(A)成分を得た。
表2の組成となるように、各成分をポリエチレン製袋内で混合して混合物を得た(混合工程)。表2に記載の質量(mg)は、1錠のイブプロフェン含有錠剤の質量の合計である。
ロータリー式打錠機(株式会社菊水製作所製、LIBRA2)を用い、下記打錠条件にて、得られた混合物を連続的に打錠して、錠剤を得た(成形工程)。この際、後述する付着防止効果を評価した。
使用したロータリー式打錠機には、φ9.0mm(2段R)の杵と臼とを装着した。
なお、(B’)成分は、表中の組成に従って、乾燥水酸化アルミニウムゲル、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースを造粒した造粒粒子群である。
回転盤の回転数:30rpm。
攪拌フィードシューの回転数:100rpm。
予圧:1kN。
本圧:8kN。
まず、コーティング剤を水に分散・溶解させて、コーティング液を調製した。給気温度60℃、給気風量2.3m3/min、排気温度42±2℃の条件下で、コーティング液を錠剤に噴霧し、次いで、給気温度60℃、給気風量2.3m3/minで90分間乾燥させ、各例のイブプロフェン含有錠剤を得た。
得られたイブプロフェン含有錠剤について、崩壊時間及び錠剤硬度を評価し、その結果を表中に示す。
<付着防止効果>
成形工程を連続的に行い、回転盤への粉体の付着状況を目視で観察して、下記評価基準に従って付着防止効果を評価した。
◎:60分間の成形工程では、回転盤への粉体の付着が認められなかった。
○:30〜60分間の成形工程で、回転盤への粉体の付着が認められた。
×:30分間未満の成形工程で、回転盤への粉体の付着が認められた。
各例のイブプロフェン含有錠剤6錠について、日本薬局方(第16改)の崩壊試験法に準拠し、水を用いて崩壊時間を測定した。6錠の試験結果の平均値を求め、求めた平均値を下記評価基準に分類した。
◎:崩壊時間が1分未満。
○:崩壊時間が1分以上5分未満。
×:崩壊時間が5分以上。
各例のイブプロフェン含有錠剤10錠について、硬度計(PHARMA TEST社製、Type PTB301型)で硬度を測定した。10錠の試験結果の平均値を求め、求めた平均値を下記評価基準に分類した。
◎:硬度10.0kgf以上。
○:硬度7.0kgf以上10.0kgf未満。
×:硬度7.0kgf未満。
(C)成分を含有しない比較例1は付着防止効果が「×」であった。(B)成分に代えて(B’)成分を含有する比較例2は、付着防止効果及び錠剤硬度が「×」であった。
表3の組成となるように、コーティングをしなかった以外は実施例1と同様にして、イブプロフェン含有錠剤を得た。表3に記載の質量(mg)は、1錠のイブプロフェン含有錠剤の質量の合計である。得られたイブプロフェン含有錠剤について、溶出性の維持率を求め、その結果を表中に示す。
(B)成分を乾燥機(ヤマト科学株式会社製、DN−93型)に入れ、105℃で2時間の乾燥処理を施した後に混合工程に供した以外は、実施例10と同様にしてイブプロフェン含有錠剤を得た。得られたイブプロフェン含有錠剤について、溶出性の維持率を求め、その結果を表中に示す。
実施例11の錠剤を恒温槽(VACUUM DRYING OVEN SVD10)に入れ、4時間30分、乾燥した。乾燥条件を圧力0.09MPa、45℃とした。得られたイブプロフェン含有錠剤について、溶出性の維持率を求め、その結果を表中に示す。
<水分含量>
各例のイブプロフェン含有錠剤15錠を乳鉢で粉砕した後、電子水分計(株式会社島津製作所製、MOC−120H)で質量変化率(質量%)を測定(60℃、20分間)した。得られた質量変化率をイブプロフェン含有錠剤の水分含量とした。
各例のイブプロフェン含有錠剤をビンに密閉し、50℃で6週間、保存した。製造初期品と保存後の錠剤を日本薬局方(第16改)の溶出試験法に準拠して、pH4.5(USP)の試験液900mLを用いて溶出試験を行い、30分後の(a)成分(イブプロフェン)の溶出量を測定した。溶出性の維持率は、保存後の錠剤の溶出量を製造初期品の溶出量で除し、百分率で算出した。維持率が高いほど、保存中における溶出性の劣化が少ないといえる。
Claims (5)
- (A)成分:イブプロフェンを含有する造粒粒子群と、(B)成分:乾燥水酸化アルミニウムゲルの未造粒粉末と、(C)成分:二酸化ケイ素の未造粒粉末との混合物を含有するイブプロフェン含有錠剤であって、前記(B)成分の水分含量が10質量%以下であり、当該イブプロフェン含有錠剤の水分含量が1.8質量%以下であることを特徴とするイブプロフェン含有錠剤。
- 前記(A)成分中のイブプロフェンの含有量が10〜99質量%である、請求項1に記載のイブプロフェン含有錠剤。
- [前記(B)成分+前記(C)成分]/イブプロフェンで表される質量比が0.10〜3.0である、請求項1又は2に記載のイブプロフェン含有錠剤。
- (A)成分:イブプロフェンを含有する造粒粒子群と、(B)成分:乾燥水酸化アルミニウムゲルの未造粒粉末と、(C)成分:二酸化ケイ素の未造粒粉末とを混合して混合物を得る工程と、
前記混合物を打錠する工程とを備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のイブプロフェン含有錠剤の製造方法。 - 前記混合物を得る工程の前に、前記(B)成分に乾燥処理を施す工程をさらに備える、請求項4に記載のイブプロフェン含有錠剤の製造方法。
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