一般に引き戸は戸体と枠体からなり、引き戸面に対して左右方向に戸体を移動させて開閉する構成である。納まりとしては戸先側縦枠と戸尻側縦枠とその両者を連結する上枠と下枠からなり、戸尻側の半分程度は小壁面になっており、戸先側が開口部として形成されている。そして枠体内に配置された戸体が左右方向に移動可能なように構成しておく。このような引き戸の特徴は、扉を丁番等で保持して回転操作により開閉するドアと比較すると、戸体の移動方向が操作する人の立つ位置と干渉しにくく、ドアのようにデッドスペースも発生せず、車椅子での通行においても優れていることが挙げられ、バリアフリーの観点からも増加の方向にあると予想されている。
ただ、引き戸は戸体を左右方向に移動させる動作であり、ドアのように自分の体重をかけた状態で押し引きすることはできず、腕の力のみで開閉しなければならないため、軽い力で操作できることが最も重要な点とされる。したがって現在では戸車の走行性能を良くし、小さい力でもスムーズに操作できるように日々工夫改良されてきている。ところが開閉操作を軽くすればするほど戸体を勢いよく閉じた時に速度が付き過ぎ、戸先面と枠体内面が強く衝突し、大きな衝撃音が発生すると共に戸体が跳ね返ってしまうという現象が起こる。すると戸体をもう一度閉め直す必要が生じ、再度閉め直すのが手間なためそのまま放置してしまうと、気密性や遮光性をも損なう恐れがある。
そこで、上記の跳ね返りを防止するという問題を解決する手段としては、特開平11−148269公報や特開2001−012139公報や特開2001−182426公報等に、戸体が閉まる直前に摩擦やばねによる押圧力により負荷を与える構成が報告されている。また、粘性の高いオイルを使用した簡単なダンパーとバネ部材を用いることにより閉鎖最終段階で負荷を与え、戸体の閉鎖速度を弱めることで衝突音や跳ね返りを防止する構成が特開2007−85101や特開2007−120619等に報告されている。さらには特開2010−133135広報や特開2010−133221広報等のように、フルストロークにて閉鎖動作を実施し、戸体が完全に閉じる最終段階のみにて減速制動動作を実施する構成も報告されている。
また引き戸の種類としては、レールが下枠や床面に配置されて戸体の下部に戸車が装着されている床置き走行タイプとレールが上桟に配置されて戸体の上部に吊り戸車が装着されている上吊り走行タイプとがあり、上吊り走行タイプの場合当然下枠は必要ない。従って近年では床面にレールによる突起がなく躓いたりしにくい上吊り走行タイプの吊り引き戸が好まれており、高齢者や障害者の通行により適していると考えられる。また長期間使用するという観点においても、床置き走行タイプの場合は床面のレールにどうしてもゴミや抜け落ちた髪の毛等がたまり、それらが戸体下部の戸車に絡まって走行性に支障をきたすことが問題であり、上吊り走行タイプの方が好ましいと判断されている。
しかし上吊り走行タイプにおいても改良点が複数有り、その一つとしては床面側に戸体特に戸先下部の前後位置を規制するものが全くないため、完全に閉鎖して戸先が戸先側縦枠の戸ジャクリ内に嵌まり込むまでは常に戸先下部が前後方向にぐらつくことが問題とされている。この問題においては小壁面手前の開口部側ぎりぎりの床面位置に振れ止め部材を装着することで多少ましにはなっているが、戸体を開けた時の開口部内の床面位置には振れ止め部材を配置できないため、根本的な解決には至っていないのが現状である。また高齢者等の力の弱い人は引き戸の開閉動作の際にどうしても押し気味に戸体を操作してしまいがちであり、顕著な場合には閉鎖最終段階で戸先が戸ジャクリ内に入らず、ずれた位置での縦枠内面に当たってしまうようなことも有り得、まだまだ改良の余地が残っていると想定される。
また前述にも紹介したように、一般的な引き戸の閉鎖装置においても様々な構成が報告されているが、全体的に言えることとしてはこれら全ての引き戸の閉鎖制動装置は戸体の上部と上枠に配置されることが特徴であり、その結果装着場所と戸体の開閉移動範囲において上吊り走行タイプの場合は吊り戸車と閉鎖装置とが干渉しやすいことが問題となっている。そこで、上枠の吊り戸車のさらに上方を掘り込んで空間として設定し、その部分に閉鎖制動装置を配置する構成が多いのであるが、スペース的に大掛かりなものになってしまう。さらには枠体に戸体を吊り込む際においても引き戸上部が部品関係で密集してしまい、施工の困難さがどうしても残ってしまいやすいことが問題点として挙げられる。
ここで引き戸における別の考え方としては自動開閉の要望があり、店舗や公共施設等の出入り口はほとんどのものが自動開閉になっている。ところがこれらのものは前述の広報等の求めている方向性とは若干異なり、モーターとセンサーと電気システムを主体とした構成になっている。その構成は戸体の開閉域全体をワイヤー等を用いた引き込み装置で実施しているものが多く、開閉左右方向の引き代をそのまま移動させようとする機構であるためどうしても動作範囲が広く大掛かりになりがちで、コスト面やコンパクトさを要求される戸建やマンションの室内引き戸に適応させることはなかなか困難であると考えられている。しかし要望自体は無くなったわけではなく、特開平5−231063広報や特開平11−336424広報のように様々な考え方が報告されている。
特開平11−148269公報
特開2001−012139公報
特開2001−182426公報
特開2007−85101公報
特開2007−120619公報
特開2010−133135広報
特開2010−133221広報
特開平5−231063広報
特開平11−336424広報
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、軽い開放動作が実現でき、解放後にフルストロークでの閉鎖機構を有し、かつ閉鎖直前の位置における戸先が前後に振れる動作を阻止可能な振れ止め機能を有し、さらに機械的な構成のみでの自動開閉機構にまで発展可能な新しい発想の引き戸の開閉装置を比較的単純な機構で安価に提供することを目的とする。
本発明では上記問題点を解決するために次の技術手段を設けた。まず先端にローラー部材を設けた揺動アームをアーム回転軸にて床面固定金具に一定方向以外にはガタツキの無い状態で回動可能に装着して振り子開閉装置を構成する。そして揺動アームが戸体の移動方向と並行な面で回動する配置で床面の小壁の開口部側端部に床面固定金具を装着する。従って揺動アーム先端のローラー部材は戸体の開閉移動面と完全に平行にかつがたつき無く、床面から上方の所定角度範囲内で振り子動作することになる。また、この振り子動作はローラー部材と揺動アーム両方の重量の中心が振り子開閉装置のアーム回転軸の真上に位置する状態を境として自重により両方向に倒れようとする動作になる。
そして戸体下部にローラー当接部とアーム移動スペースと直状スリットを有するガイドスリット部分を設け、振り子開閉装置を枠体の開口部端部の小壁面下部に装着し、床面固定金具の外側面が直状スリットの内側面に嵌りかつ近接した状態にて配置し、揺動アーム先端部のローラー部材をガイドスリット部分のローラー当接部にかつ揺動アームをアーム移動スペースに挿入した状態で戸体を枠体に開閉動作可能に配置する。すると、揺動アームの床面より上方向の所定角度範囲での回転動作によりローラー部材がローラー当接部を押し引きすることにより戸体の開閉が可能となり、揺動アームの自重により開閉範囲内の所定の位置を境として戸体を閉鎖方向または開放方向に移動させようとする動作を得ることができる。
そしてこの振り子動作をさらに発展させ、振り子開閉装置の回転軸付近に揺動アームをさらに強く回転動作させるようにばね部材を装着し、振り子開閉装置の自重とばね部材の回転力を任意に設定することにより境の位置を変更することが可能になる。その結果戸体を僅かに開放するとすぐに境を超えてそのまま開放しようとする開放動作重視の構成や、戸体を半分程度開放した段階で境を越える開放動作及び閉鎖動作を均等にした構成や、完全に開放する直前に境の位置を越えるように設定し、完全に戸体が開放している状態から少し閉鎖する操作でそのまま最後まで戸体が閉鎖する閉鎖動作重視の構成等様々な設定が可能になる。
その境の位置を変更可能とする手段としては、振り子開閉装置の揺動アーム片端のアーム回転軸を中心とした外周を歯車部分として形成し、直線形状のラックと噛み合わせておき、ばね部材を設けてラックを押し引きする構成が簡単であり、床面固定金具に調整金具と調整ねじを設けてばね部材の力を適宜調整できるようにしておくとさらに微調整が可能である。
しかしこの構成にてばね部材を強くしすぎると揺動アームが倒れようとする力が付き過ぎることも想定され、特に揺動アームの重量も付加される境を越えてから完全に閉鎖する位置直前の最終段階においてはこの傾向が顕著であると考えられる。そこで、振り子開閉装置の床面固定金具か若しくは揺動アームにシリンダータイプでピン形状の先端が没する際に負荷がかかる構成のダンパーを装着し、完全に閉鎖する直前の一定範囲若しくは完全に開放する直前の一定範囲においてダンパーの制動力が得られるように配置し、境を越えてさらに戸体を開閉した段階での加速度による開閉速度の付き過ぎを開閉最終段階で制御できるようにしておくとよい。
また振り子開閉装置自体の性能として、床面固定金具と揺動アームの回転動作時に振り子動作方向以外のガタツキを極力制限した状態で組み付けておく。そして揺動アーム先端にガイドスリット部分のローラー当接部内で戸体を押し引きするために回転するローラー部材とローラー当接部内の厚み方向に対して規制するための振れ止め部材を設けておく。ここで、戸体に設けたガイドスリット部分のローラー当接部の厚み方向の内寸法と振れ止め部材の外寸法を両者が円滑にかつガタツキ無く回転可能な程度に規制しておく。すると床面固定金具に対して揺動アームは前後方向にがたつかず、さらに振れ止め部材に対してもガイドスリット部分が前後方向にがたつかないことになり、その結果戸体が完全に閉じる直前の位置においても戸先下部の振れを極力小さくすることが可能になる。
この戸体に設けるガイドスリット部分の配置は特に限定されるものではないが、一般的に考えると戸体の下部面に面付けするか、戸体下部の厚み方向中央部分に掘り込みを設けてその内部に配置するかの構成が考えられ、デザイン的には外観上見えることの無い後者が優れている。また戸体の強度等を配慮するとガイドスリット部分は細く小さなほうが掘り込みを少なくできて好ましい。そこで揺動アームを2本のアームが互いにがたつき無く伸縮する形状にて構成し、戸体のガイドスリット部分のローラー当接部の横方向の開閉移動に対して2本のアームが伸縮しながらローラー部材が水平方向に移動するように構成するとよい。すると戸体のアーム移動スペースを含むガイドスリット部分の戸体下部からの高さを削減することが可能となる。
また、前記伸縮可能に設定された2本のアームの間に常に伸びようとする方向に力がかかる配置でばね部材を挿入し、ローラー部材が振り子開閉装置の回転軸の真上になる境の位置で両アームが最も縮んだ状態になるように設定しておくと、この位置を境として両方向に倒れようとする振り子開閉装置の動作をこの2本の揺動アーム内のばね部材によりさらに増強することが可能になる。
ここで上記の構成においては、小壁の開口部側端部の床面位置に振り子開閉装置が配置されていることが特徴として挙げられる。そしてこの振り子開閉装置の揺動アームを回転させるには比較的狭い範囲での動作だけでよく、さらにその操作面が床面端部であるという両者の位置関係を有効に利用し、引き戸近辺の床面に昇降踏み板を常に床面と同じ高さ位置に復帰するようにばね部材を設けた構成で配置し、昇降踏み板と振り子開閉装置の揺動アームの歯車部分を回転させるラックを複数の連動部材で連結しておくとよい。すると昇降踏み板の下降動作により揺動アームを回転させる動作を得ることができ、その結果戸体を開放することが可能になる。この構成では昇降踏み板と振り子開閉装置の距離が非常に近く、かつ同一平面上にあることが非常に有効であると考えられる。
その昇降踏み板と振り子開閉装置のラックを複数の連動部材で連結する手段は特に限定されないが、一例としては昇降踏み板に複数の傾斜面を設けて昇降踏み板の上下動作を水平動作に変換し、その水平動作の移動距離を歯数の異なる複数の歯車にて増幅させ、振り子開閉装置のラックの移動として動作させる構成等が比較的簡単である。また体重を掛けて一気に昇降踏み板を上下させる動きに無理なく対応するためには、昇降踏み板と振り子開閉装置を複数の連動部材で連結する構成の途中に、ばね部材とダンパーを挿入しておくとよい。すると急激な昇降踏み板の下降動作においても、ばね部材とダンパーの区間にてその力を一旦吸収保持し、その後僅かな時間的猶予を持ってばね部材が戻るときの力で戸体を開放することが可能になる。
ローラー部材を有した揺動アームと床面固定金具からなる振り子開閉装置を枠体の開口部端部の小壁面下部に配置し、戸体下部のガイドスリット部分に揺動アームのローラー部材を当接させ、振り子開閉装置の先端のローラー部材を含む揺動アーム全体の重量の中心点が振り子開閉装置の回転軸の真上に来る位置を境として両方向に倒れようとする動作により戸体を開閉する新しい発想の引き戸の開閉装置であるため、安定した確実な開閉動作を得ることが可能である。
振り子開閉装置の回転軸付近に揺動アームをさらに強く回転動作させるようにばね部材を装着し、振り子開閉装置の自重とばね部材の回転力を任意に設定することで境の位置を簡単に変更することが可能になる。従って戸体を僅かに開放するとすぐに境を超えてそのまま開放しようとする開放動作重視の構成や、戸体を半分程度開放した段階で境を越える開放及び閉鎖を均等にした構成や、戸体を完全に開放し終わる直前に境の位置を設定し、最大開放後の少しの閉鎖操作でそのまま最後まで戸体が閉鎖する閉鎖動作重視の構成等任意の開閉動作の設定が可能になる。
床面固定金具と揺動アームの回転動作時に振り子動作方向以外のガタツキを極力制限し、揺動アーム先端に戸体を押し引きするためのローラー部材と振れ止め部材を設け、かつ戸体に設けたガイドスリット部分のローラー当接部の内寸と振れ止め部材の外寸をかろうじて回転可能な程度に規制することにより、閉鎖時の戸先が戸ジャクリに入る直前の位置においても戸先下部の振れを極力小さくする振れ止め効果をそのままの構成内で併せ持つことが可能になる。
揺動アームを2本のアームが互いにがたつき無く伸縮する形状にて構成し、戸体のガイドスリット部分のローラー当接部の横方向の開閉移動に対して2本のアームが伸縮しながらローラー部材が水平方向に移動するように構成することで、戸体のアーム移動スペースを含むガイドスリット部分の戸体下部からの高さを低くすることができ、掘り込みの加工を容易にし、かつ戸体の強度も大きく損なわないようにすることが可能である。
振り子開閉装置の揺動アームは比較的狭い範囲での動作で回転させることができ、さらにその操作面が床面端部であるという両者の位置関係を有効に利用することで、引き戸近辺の床面に昇降踏み板を常に所定高さ位置に復帰するようにばね部材を設けた構成で配置し、昇降踏み板と振り子開閉装置のラックを複数の連動部材で連結しておき、昇降踏み板の下降動作を揺動アームを回転させる動作に変換することで、戸体を開放する自動開閉装置として発展させることが可能になる。
昇降踏み板の下降動作と振り子開閉装置のラックを連動させる手段として、昇降踏み板と振り子開閉装置の間に連動装置を配置し、その内部にて複数の傾斜部材を用いて昇降踏み板の上下動作を水平動作に一旦変換し、その水平動作の移動距離を歯数の異なる複数の歯車にて増幅させ、最終的に振り子開閉装置のラックの必要な横方向の移動動作として得る構成を用いるとよく、この昇降踏み板を含めた構成全体を床面に対して水平な比較的薄い面状のスペースにて納めることが可能である。
昇降踏み板と振り子開閉装置のラックを連動させるための連動装置の動作工程の途中にばね部材とダンパーを挿入し、急激な昇降踏み板の下降動作においても、一旦ばね部材とダンパーの区間にてその力を吸収保持し、その後僅かな時間的猶予を持ってばね部材が戻ろうとする力で戸体の開放動作を得ることができように構成することで、通行時には昇降踏み板を踏んでから少し間をおいて緩やかに開放動作を開始する理想的な動作が得られることになる。
振り子開閉装置はローラー部材を有した揺動アームと床面固定金具のみの構成であり、戸体にはガイドスリット部分を設けるだけの構成であり、非常に少ない部品点数にて構成可能で、かつ安価でコンパクトな形態にすることができる。また揺動アームの動作が単純なため誤作動等の心配も少ない。また、振り子開閉装置を幅の細い形状にて構成し、ガイドスリット部分を戸体の厚み部分の中央部分に掘り込んで形成することで、外部には全く露出しない構成が実現でき、デザイン性を向上することが可能になる。
以下図面に基づいて本発明に関する引き戸の開閉装置の実施の形態を説明する。図1は本発明の引き戸の開閉装置の一例を示しており、戸体38の引き手部分から下部分のみを記した納まり閉鎖状態図である。まず本発明の引き戸の開閉装置は、図1に示すように床面固定金具1に先端位置にローラー部材3と振れ止め部材4を有した揺動アーム2を回転自在に装着してなる振り子開閉装置aを引き戸の小壁35の下部に配置し、戸体38の下部に設けたローラー当接部5とアーム移動スペース6を有するガイドスリット部分bに揺動アーム2のローラー部材3と振れ止め部材4を挿入し、揺動アーム2の回転動作により戸体38を開閉する基本動作を用いた構成である。ここで以下の説明を判り易くする為に戸体38の開閉する方向を横方向と表記し、それに対して前後に当たる方向を厚み方向として表記する。
図2は振り子開閉装置aの側面図であり、図3は上面図である。そして図4は振り子開閉装置aの床面固定金具1の内部に配置された引張ばね11と歯車部分9を用いた開閉力増幅手段とその動作を説明するための側面軌跡図であり、図5は揺動アーム2先端に構成されたローラー部材3と振れ止め部材4の上面図である。まず図2及び図3に示すように床面固定金具1にアーム回転軸7を挿入できる孔を備えたコの字部分8を形成しておき、その内側に同じく片端にアーム回転軸7を挿入できる孔を備えた揺動アーム2を嵌め込んでアーム回転軸7にて両者を回動自在に組み付ける。このとき床面固定金具1のコの字部分8の内側面に対して揺動アーム2の外面が回転可能でかつガタツキがほとんど無い状態にしておく。すると揺動アーム2は床面固定金具1に対してアーム回転軸7を中心とした平行面でのみ回動自在な状態になる。
そして図4に示すように、揺動アーム2の片端のアーム回転軸7を中心とした円周上に歯車部分9を形成しておき、その歯車部分9に係合させた状態でラック10を床面固定金具1の底面に沿って横方向にのみ規制された状態で移動するように配置しておく。そしてラック10と床面固定金具1の間に引張ばね11と雌ねじ部分12を有するばね力調整金具13を設け、さらにばね力調整ねじ14の頭部を床面固定金具1に空転する状態で装着し、ばね力調整ねじ14をばね力調整金具13の雌ねじ部分12に螺合しておく。そしてラック10とばね力調整金具13を引張ばね11で引き合うように組み込んでおく。すると引張ばね11の力により揺動アーム2を回転させようとする動作が得られることになる。
図4(a)〜図4(c)は上記の構成での床面固定金具1に対する揺動アーム2の回転動作を示す軌跡図である。ここで回転可能角度を規制しないままの状態では揺動アーム2は床面固定金具1の上方向にて約180度そのまま回転可能な状態になる。そこで必要な所定角度範囲のみ回転可能にするために2箇所に停止片15を設け、必要な所定角度範囲のみ揺動アーム2が回動できるように構成しておくとよい。図4(a)は揺動アーム2が片側に倒れた位置で停止している状態を示しており、図4(b)は揺動アーム2がほぼ垂直に起立した状態であり、図4(c)は逆側に揺動アーム2が倒れた状態を示している。ここで仮に引張ばね11が装着されておらず、揺動アーム2が全くのフリーな状態を想定すると、揺動アーム2は図4(b)の位置を境として両側に少しでも傾くと自重により倒れようとする動作が得られることになる。その条件としては図4(b)の位置は先端のローラー部材3と振れ止め部材4を含めた揺動アーム2の重心がアーム回転軸7の真上に来る状態のときであり、両側に倒れようとする力は揺動アーム2の重量により変更することができる。
次に図4に示すように揺動アーム2に引張ばね11の力が作用している状態では、図4(a)〜図4(c)全域において揺動アーム2を時計と反対方向に回転させようとする力が働き、その力は引張ばね11が最も伸ばされている状態である図4(c)が最も強いことになる。従って図4(a)〜図4(b)までは揺動アーム2の自重により時計と反対方向に倒れようとする力と引張ばね11による同方向への力の合計が各々の角度位置でかかることになり、図4(b)〜図4(c)では揺動アーム2の自重により倒れようとする時計方向の力と引張ばね11による時計と反対方向との力の差額のみが各々の角度位置で回転力として作用することになる。そして、さらにばね力調整ねじ14を回転させてばね力調整金具13の位置を横方向に移動させることで、引張ばね11の初期力を変えることができ、揺動アーム2に掛かる回転力を適宜調整することが可能になる。
図5は揺動アーム2の他端に設けられたローラー部材3と振れ止め部材4の上面図であり、ローラー回転軸16にて揺動アーム2に対して回動可能にローラー部材3を装着する。このときローラー部材3の外周が揺動アーム2の先端よりもさらに出っ張った状態にしておくとよい。そして揺動アーム2の厚み方向両側に振れ止め部材4を自在に回転できる状態で装着しておく。また図5ではローラー回転軸16の両端に球状の部材を回動自在に配置した構成で振れ止め部材4を表記しているが、この振れ止め部材4の構成は多々考えられ、図示はしないが円盤状の振れ止め部材4を揺動アーム2の回転面に対して略直角方向に回動可能な状態で配置するような構成であってもよい。またこの振れ止め部材4も厚み方向に極力がたつき無く回動するように構成しておくとよい。
次に戸体38にも振り子開閉装置aに対応する特有の形状が必要であり、図6はその形状を示す斜視図である。まず戸体38の下部位置に直状スリット17を設け、その上側に山型のアーム移動スペース6を形成し、山型の頂点に位置する中央部に垂直方向に長い形状のローラー当接部5を設け、これら全体をガイドスリット部分bとして形成しておく。図6では戸体38の下部の厚み方向の中央位置にガイドスリット部分bを掘り込んだ状態で形成しており、デザイン性を重要視した構成である。そして図7はガイドスリット部分bを設けた戸体38の中央部分の縦断面図であり、戸体38に掘り込んだ部分の淵を樹脂のパネル等で被せてその内側をガイドスリット部分bとして形成した場合を示している。
そして図1及び図8に示すように揺動アーム2先端のローラー部材3をガイドスリット部分bのローラー当接部5の横方向内面に当接した状態で、かつ振れ止め部材4をローラー当接部5の厚み方向内面に近接した状態で挿入し、先端部分以外の揺動アーム2はアーム移動スペース6に配置し、床面固定金具1のコの字部分8の外側面に近接して直状スリット17の内側面が被さる配置で振り子開閉装置aを小壁35の開口部側下部の床面34に装着する。すると戸体38が移動する面と揺動アーム2が回転する面は全く同じ面になり、揺動アーム2の回転動作により図8に示すように戸体38を開閉することが可能になる。ここで図1と図8(a)は戸体38が閉鎖している同じ状態を示しており、戸先37は縦枠39の戸ジャクリ36に入り込んだ状態で前後方向に大きくがたつかないようになっている。そしてガイドスリット部分bの直状スリット17に床面固定金具1が入り込んでいるため、この部分が従来の振れ止め金具の役割に相当した構成になっている。
次に図8(a)の閉鎖状態から戸体38を開放する動作について説明する。まず引張ばね11の力が全く揺動アーム2に掛かっていない状態を想定すると、図8(b)付近の揺動アーム2の重心がアーム回転軸7の真上になる位置を境として自重により両側に倒れようとする力のみが戸体38に掛かることになる。ここで実際の戸体38の開閉に関しては図には省略しているが吊り戸車等の走行時の摩擦抵抗が発生する。従って揺動アーム2が自重により両側に倒れようとする力が吊り戸車の走行時の摩擦抵抗を超えた段階で開閉移動動作として発生することになる。つまり図8(a)の閉鎖状態から手で戸体38を開放するには、開放初期段階の走行抵抗と揺動アーム2が倒れようとする力の合計より少しだけ大きな力で操作するとよいことになり、図8(b)付近では揺動アーム2が倒れようとする力は小さいためほぼ走行抵抗のみになり、その後は開放方向に揺動アーム2が倒れようとする力が掛かるためより軽い力で最後まで戸体38を開放することができる。
図9はこの開閉動作時の揺動アーム2の軌跡を重ねて連続表示したものであり、揺動アーム2先端のローラー部材3が回転しながらガイドスリット部分bのローラー当接部5の横面を押し引きする動作になり、同時に振れ止め部材4が厚み方向面に対して規制した状態を常に保持している。そして揺動アーム2は常にアーム移動スペース6内を移動し、床面固定金具1のコの字部分8の外側面に沿って直状スリット17の内側面が移動することになる。
そして図8に示すように、上記の基本動作に追加して揺動アーム2にばね部材による任意の大きさの回転力を与えることでより幅広い開閉動作を得ることが可能となる。つまりばね部材により揺動アーム2の回転力を任意に設定することで境の位置を変更できることが最も重要な点である。その結果、ばね部材の力をあまり影響させずその代わりに揺動アーム2の先端側の重量を大きくし、その自重を主とした動作による、戸体38を半分程度開放した段階で境を越える開放力及び閉鎖力をほぼ均等にした構成や、ばね部材に引張ばね11を用いてその力を比較的大きく影響させ、完全に開放する直前に境の位置を越えるように設定し、完全に戸体38が開放して停止している図8(c)の状態から少しだけ閉鎖する操作でそのまま最後まで戸体38が閉鎖する閉鎖動作重視の構成等様々な設定が可能になる。また逆に図示はしないがばね部材に圧縮ばね19を用い、閉鎖状態から戸体38を僅かに開放操作するとすぐに境を超えてそのまま完全に開放しようとする開放動作重視の構成も可能になる。
しかし一般的には閉鎖装置である引き戸のクローザーとしての要望が主であり、従って図8に示す引張ばね11を用いた構成が最も重要と考えられる。そこで閉鎖装置としての展開では、図8(a)〜図8(b)においては揺動アーム2の自重による閉鎖力も掛かるため引張ばね11の荷重は小さくてよく、ちょうど引張ばね11の初期撓み部分に相当するため解放初期の操作力は比較的小さくてすむことになり条件はよい。そして図8(b)を過ぎると引張ばね11による荷重はさらに大きくなるが揺動アーム2の自重による解放方向への力で一定量相殺することになり、極端に強い力での開放操作が必要になることも無く、全体としても非常に良好な開放動作が得られることになる。また施工後にばね力調整ねじ14で引張ばね11の初期力を調整することもでき、戸体38の重量や走行時の摩擦力に適宜対応させることが可能になる。
また通常の引き戸クローザーには大きく開放させたまま停止させておく機構が付いているものが多い。ここで上記の構成においても条件がよければ揺動アーム2の重量と引張ばね11の力のみのバランスで大きく開放した最終位置で停止させることも可能である。しかし既存の引き戸クローザーは通行の際の出入り程度の開放度合いでは常にそのまま閉鎖する動作になり、意図的に大きく開け放った最終段階でクリック感を伴って停止するようになっているものが多い。そこで本発明の引き戸の閉鎖装置においても、より確実に最大開放位置でクリック感を持って停止させる構成を有しているほうが好ましいと想定される。この停止手段は様々な構成にて可能であるが、上記の振り子開閉装置aに組み込むとすればボールプランジャーを用いた機構が簡単である。図10はその上面図であり、揺動アーム2のアーム回転軸7に近い位置のコの字部分8の両外面からボール18の先端部が圧縮ばね19により突出するように配置しておく。そして開放状態で停止させたい揺動アーム2の位置にてボール18と面対するように床面固定金具1のコの字部分8に嵌合孔20を設けておく。すると図11に示すように揺動アーム2の開放側での停止位置の少し手前でボール18が床面固定金具1のコの字部分8の内側面に当たって僅かに没し、その後ボール18が嵌合孔20の位置で再度突出する動作になり、クリック感を有する停止機構を付加することができる。この場合は境の位置をあえて最大開放位置に設定する必要はなく、常に閉鎖方向に力がかかった状態のまま、ボールプランジャー機構にて停止動作を実施するとよい。
次に引き戸クローザーとして用いる場合は、前述のように完全に開放した状態から少し閉鎖操作しただけで閉鎖動作になる必要があり、そのまま確実に最後まで閉じることが条件となる。するとどうしてもある程度の慣性力が付き、戸先37が戸ジャクリ36の内面に強く当接することが想定される。そこで図11に示すように出没ピン22が没する動作時に負荷が発生するシリンダータイプの小型のダンパー21を床面固定金具1に配置し、揺動アーム2の歯車部分9と連動しているラック10の端部に出没ピン22の先端を面対させ、閉鎖最終段階のみに戸体38の速度を制動させる構成を追加しておくとよい。すると戸体38が閉じるときの加速度による速度の付き過ぎを開閉最終段階で制御することが可能になる。
また戸体38の開閉動作中には、図9に示すように揺動アーム2がガイドスリット部分b内を回動し、その間揺動アーム2先端のローラー部材3や振れ止め部材4は常に戸体38のローラー当接部5に位置していることになる。そしてこのローラー当接部5は戸体38の間口幅の中央位置付近にあり、さらに揺動アーム2は床面固定金具1に対してガタツキ無く戸体38の開閉移動面と同一面で回転動作するように構成されている。従ってローラー当接部5の厚み方向内寸と振れ止め部材4の外寸がほとんど同じで、かつ図5に示す球状の振れ止め部材4がかろうじて回転できるように設定しておくことで、戸体38の下部の前後方向の振れを規制することができることになる。すると閉鎖直前に戸先37の下部位置が厚み方向に振れて縦枠39の内面に衝突してしまうような誤作動を阻止することができる。したがって開口部側の床面34に何ら部材を必要としない構成での振れ止め抑制機構としても非常に有効であると考えられる。
また以上では戸体38のデザイン性を考慮したために、ガイドスリット部分bを戸体38下部の厚み部分に掘り込んだ状態にて説明してきた。しかし図1や図6に示すように山形のアーム移動スペース6の高さがかなり必要になり、戸体38への掘り込み作業や、戸体38自体の強度においてさらなる改良の余地があると想定される。そこで図12に示すように揺動アーム2を2本のアームを伸縮させた構成にすることで、図13に示すようにアーム移動スペース6を主としたガイドスリット部分bの掘り込み高さを大幅に低減させることが可能になる。また図12に示すように圧縮ばね19を2本のアーム間に互いが伸びようとする方向に付勢させた状態で挿入すると、図4(b)付近の位置を境として両側に強い力で倒れようとする動作が得られる。その結果、戸体38を半分程度開放した段階で境を越える開放力及び閉鎖力を均等にした構成が必要な時になどに効果的であり、さらに幅広い開閉条件を得ることができる。
以上にて引き戸として必要とされている、閉鎖状態から手で横方向に戸体38を開放し、そのまま放置すると自然に閉鎖する引き戸クローザーとしての構成が満たされると考えられる。また上記の構成においては、小壁35の開口部側端部の床面34に開閉動作の主機構である振り子開閉装置aが配置されていることが特徴として挙げられる。そしてこの位置関係を有効に利用することで、比較的単純な構成にて通行人の体重を利用した自動開閉の機構をさらに付加することが可能と考えられる。図14はその自動開閉の機構に昇降踏み板装置dと連動装置cを用いた構成の引き戸全体を表す斜視図であり、戸体38の手前位置の床面34に昇降踏み板装置dと連動装置cを床面34に掘り込んだ状態で昇降踏み板の面が床面34と面一になるように配置し、昇降踏み板装置dと連動装置cと振り子開閉装置aを連結させる構成が比較的簡単である。
図15は連動装置cと昇降踏み板装置dを追加した本発明の引き戸の開閉装置の上面図であり、通行する際に必ず歩く範囲である引き戸の手前位置の床面34に体重により上下するように昇降踏み板装置dを配置しておく。そして振り子開閉装置aの手前位置に連動装置cを配置する。ここで、昇降踏み板装置dの上下動作の手段や、連動装置cの構成は多種考えられ特に限定されるものではないが、通行時に踏み込む上下方向の昇降寸法は極力小さいことが重要とされ、その小さい昇降寸法で確実に戸体38の開閉を実施できなければならないと考えられる。
そこで連動装置cの一例としては、図15に示すように連動ケース23を設けその内部に横方向にのみ移動可能に規制された2個の、傾斜面付ラック24と直状ラック25を配置し、その間に歯数の違う2段の増幅歯車26を回転可能に装着しておく。このとき連動ケース23内での配置としては、傾斜面付ラック24を昇降踏み板装置d側に設けて歯数の少ないほうの増幅歯車26に係合させ、直状ラック25を振り子開閉装置a側に配置して歯数の多いほうの増幅歯車26に係合させておくとよい。そして昇降踏み板装置dの連動装置cに近接している位置に傾斜部材27を設けておき、傾斜面付ラック24の斜面を昇降踏み板装置dに取り付けた傾斜部材27の斜面と互いに面対させて配置し、さらに直状ラック25を振り子開閉装置aのラック10に連結しておく。
図16は昇降踏み板装置dの一例を示す側面図であり、両端に2枚の首振り踏み板28を設け、中央位置に水平踏み板29を設けて互いに連結しておき、水平踏み板29の下部に踏み板復帰ばね30を配置しておく。図16(a)は昇降踏み板装置d全体が水平な動作前の状態を示しており、通行人が昇降踏み板装置dに乗ると図16(b)に示すように踏み板復帰ばね30を圧縮しながら水平踏み板29が下がることになる。すると水平踏み板29に設けられた傾斜部材27も一緒に下がり、その上下移動動作を横方向への移動動作に変換できることになる。しかし通行時に水平踏み板29が下がる訳であるから、どうしても通行上違和感があると考えられ、したがって昇降寸法は極力小さいことが要求される。そこで図15に示すような増幅歯車26が重要になり、水平踏み板29の小さい上下動作からもたらされる傾斜面付ラック24の横方向移動距離を増幅歯車26により格段に大きくすることで、戸体38の開閉に必要な振り子開閉装置aのラック10の移動距離を確保できることになり、上記の構成により自動開放の動作を得ることが可能になる。
ここで、通行人が昇降踏み板装置dに乗るのは一瞬であり、その瞬時に大きな力が連動装置cにかかることになる。また戸体38は子供の体重でも開閉する必要があり、踏み板復帰ばね30の力を極端に大きくすることはできない。ところが実際の振り子開閉装置aによる戸体38の開放動作は揺動アーム2が徐々に回転する程度の速度になり、昇降踏み板装置dに乗ると同時に、瞬時に戸体38が全開放するような動作は実施できない。したがって、このままの構成では各歯車や各ラックの係合部分に瞬時に大きな力がかかり、破損してしまう危険性がある。そこで図15や図17に示すように傾斜面付ラック24を傾斜面側部材32とラック側部材33とに分割してその間に荷重一時吸収ばね31を挿入しておくとよい。
すると図17(a)に示す状態から通行人が昇降踏み板装置dに乗ると、図17(b)に示すように水平踏み板29と共に傾斜部材27が下がり、一気に分割した傾斜面側部材32が荷重一時吸収ばね31を圧縮させる動作になり、この段階では増幅歯車26には荷重一時吸収ばね31の力のみが掛かっている状態である。そしてこの荷重一時吸収ばね31の力をかろうじて振り子開閉装置aを動作させることができる程度に設定しておくとよく、その結果一定の時間差を持って図17(c)に示すように荷重一時吸収ばね31の力で分割されたラック側部材33が移動し、増幅歯車26を介して振り子開閉装置aによる戸体38の開放動作を実施できることになる。またこの動作をさらに円滑に実施する手段としては、図示はしないが連動装置c内での適当な位置に適宜ダンパーを用いて荷重を伝達するような構成を追加するとさらによく、よりスムーズな開放動作が得られると想定される。
次に戸体38の開放後に通行人が通過し終わった段階においては、まず水平踏み板が踏み板復帰ばね30により元の水平位置に戻る。そしてこの状態では戸体38は開放しており、図17(c)での水平踏み板29と傾斜部材27のみが水平位置に戻った状態になっている。つまり傾斜面側部材32と荷重一時吸収ばね31とラック側部材33は全くのフリーな状態であり、戸体38に対して残っている力は振り子開閉装置aの動作力のみである。したがってこの状態は昇降踏み板装置dと連動装置cを用いずに、手で戸体38を開けたときと同じになっており、その結果通行後には前述と同様の引き戸クローザーとして戸体38の閉鎖動作が実施されることになる。
また図14や図15では戸体38の片側にのみ昇降踏み板装置dを設けた状態で表記しているが、当然通行時は戸体38の両側から通行することになり、戸体38の逆側にも昇降踏み板装置dを設けて同様に連動装置cと連結しておかなければならない。そこで図18に示すように戸体38を挟んで両側に昇降踏み板装置dの首振り踏み板28を配置し、その間を長い水平踏み板29にて連結しておくと良い。するとどちら側からの通行にも対応できると共に、通過後すぐの段階ではまだ水平踏み板29が下がっている状態になり、もう少し歩行して昇降踏み板装置dから外れた段階で戸体38の閉鎖動作が開始することになり、より確実で安心な通行条件を得ることが可能になる。
また以上ではガイドスリット部分bをデザイン的には外観上から見えることの無いように戸体38下部の厚み方向中央部分に掘り込んだ状態で説明してきた。しかしこの構成に限られたわけでは無く、図19に示すように戸体38の下部面に面付けすることも可能である。この場合は極力戸体38の表面からの出っ張りを小さくするためにガイドスリット部分bの厚みを薄くすることがデザイン的には重要と考えられ、またガイドスリット部分bの手前のパネルに意匠性を持たせるとよいと思われる。そしてこの面付け構成なら戸体38の下部位置にレールが配置されている床置き走行タイプの引き戸にも対応できることになり、さらに幅広い展開が可能になる。
また上記では振り子開閉装置aの揺動アーム2の回転動作を引張ばね11や連動装置cを含む昇降踏み板装置d等の機械的な構成で実施する手段にて説明してきた。しかし本発明の引き戸の開閉動作の根幹の部分は、床面固定金具1に装着された揺動アーム2を戸体38に設けたガイドスリット部分b内で振り子動作させて戸体38を開閉する機構であり、その他の部分は実施形態にて説明した構成に限定されるわけではなく他の手段を用いてもよい。その一例としては、振り子開閉装置aの揺動アーム2の歯車部分9と係合しているラック10の横方向の移動動作をモーター等を用いた電気的な機構で実施し、戸体38の両側に通行人を認知するセンサー等を用いた構成等が考えられ、さらに様々な組み合わせにて幅広く発展させることも可能である。