<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両1の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両1の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、ハイブリッド車両1は、ECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)100、ハイブリッド駆動装置10、PCU(Power Control Unit)20、バッテリ30、空調装置700を備える。
ECU100は、CPU、ROM及びRAM等を備え、ハイブリッド車両1の各部の動作を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「インバータの制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する絶縁診断処理を実行することができる。
PCU20は、バッテリ30とモータジェネレータMG1及びMG2との間に設置され、バッテリ30とこれら電動発電機との間の電力の入出力を制御する電力制御装置である。PCU20は、ECU100と電気的に接続されており、PCU20の動作は、ECU100により制御される構成となっている。尚、PCU20の構成については、図3を参照して後述する。
バッテリ30は、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2並びに空調装置700に対する電力供給源として機能する充電可能な二次電池ユニットである。バッテリ30は、例えばリチウムイオンバッテリセル等の単位電池セルが複数(例えば、数百個)直列に接続された構成を有している。バッテリ30は、本発明に係る「バッテリ」の一例である。
空調装置700は、ハイブリッド車両1の車室内の空気調和を行う車載用エアコンディショナである。空調装置700は、空調用インバータ710、モータM、電動コンプレッサ等を備えた、本発明に係る「空調装置」の一例たる公知の車載用空調装置である。尚、空調装置700の動作は周知であり、本実施形態では、説明の煩雑化を防ぐ目的からその説明を省略する。
尚、ハイブリッド車両1には、ハイブリッド車両1の状態を検出する不図示の各種センサが備わる。例えば、ハイブリッド車両1は、バッテリ30の温度であるバッテリ温度Tbatを検出するバッテリ温度センサ、アクセルペダルの開度であるアクセル開度Taを検出するアクセル開度センサ、バッテリ30の充電残容量であるSOCを検出するSOCセンサ、ハイブリッド車両1の車速Vを検出する車速センサ等を備える。これらセンサは、ECU100と電気的に接続されており、各センサ出力値は、ECU100により適宜参照される構成となっている。
ハイブリッド駆動装置10は、ハイブリッド車両1のパワートレインである。ここで、図2を参照し、ハイブリッド駆動装置10の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、ハイブリッド駆動装置10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
ハイブリッド駆動装置10は、エンジン200、動力分割機構300、入力軸400、駆動軸500、減速機構600、モータジェネレータMG1(以下、適宜「MG1」と略称する)、モータジェネレータMG2(以下、適宜「MG2」と略称する)を備える。
エンジン200は、ハイブリッド車両1の主たる動力源として機能するガソリンエンジンである。エンジン200は、気筒内部に形成された燃焼室で混合気が燃焼した際に生じる爆発力に応じて気筒内部で往復運動を生じるピストンを備える。このピストンの往復運動は、コネクティングロッドを介してクランク軸の回転運動に変換され、クランク軸と連結された入力軸400から取り出される構成となっている。尚、エンジン200の詳細な構成は、本発明との関係性が低いため、ここでは省略することとする。また、ここではエンジン200がガソリンエンジンであるとしたが、これは一例である。即ち、車両の動力源としての内燃機関が採り得る実践的態様は多岐にわたり、例えばその燃料種別、気筒配列、気筒数、燃料供給態様、動弁系の構成及び吸排気系の構成等には、適宜変更を加えることができる。
モータジェネレータMG1は、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた電動発電機である。
モータジェネレータMG2は、モータジェネレータMG1よりも体格の大きい電動発電機であり、モータジェネレータMG1と同様に、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備える。
モータジェネレータMG1及びMG2は、同期電動発電機として構成され、例えば外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備えるが、無論他の構成を有していてもよい。
動力分割機構300は、相互に差動作用をなす複数の回転要素を備えた公知の遊星歯車機構である。
動力分割機構300は、中心部に設けられたサンギアS1と、サンギアS1の外周に同心円状に設けられたリングギアR1と、サンギアS1とリングギアR1との間に配置されてサンギアS1の外周を自転しつつ公転する複数のピニオンギア(不図示)と、これら各ピニオンギアの回転軸を軸支するキャリアC1とを備える。
サンギアS1は、エンジン200の出力トルクであるエンジントルクTeに対する反力トルクを負担するための反力要素であり、モータジェネレータMG1のロータが固定される出力回転軸に固定されている。従って、サンギアS1の回転速度は、モータジェネレータMG1の回転速度たるMG1回転速度Nmg1と等価である。
リングギアR1は、動力分割機構300の出力要素であり、動力分割機構300の動力出力軸である駆動軸500に、その回転軸を共有する形で連結されている。尚、駆動軸500は、デファレンシャル等を介してハイブリッド車両1の駆動輪DWに間接的に連結されている。
キャリアC1は、トーションダンパTDPを介してエンジン200のクランク軸に連結される入力軸400に、その回転軸を共有する形で連結されており、その回転速度は、エンジン200の機関回転数NEと等価である。
動力分割機構300は、上述した構成の下で、エンジン200から入力軸400に供給されるエンジントルクTeを、キャリアC1によってサンギアS1及びリングギアR1に所定の比率(各ギア相互間のギア比に応じた比率)で分配し、エンジン200の動力を2系統に分割することが可能である。
この際、動力分割機構300の動作を分かり易くするため、リングギアR1の歯数に対するサンギアS1の歯数としてのギア比ρを定義すると、エンジン200からキャリアC1に対しエンジントルクTeを作用させた場合に、サンギアS1に作用するトルクTesは下記(1)式により、また駆動軸500に現れる直達トルクTerは下記(2)式により、夫々表される。
Tes=−Te×ρ/(1+ρ)・・・(1)
Ter=Te×1/(1+ρ)・・・(2)
減速機構600は、駆動軸500とモータジェネレータMG2との間に介装された、サンギアS2、リングギアR2、ピニオンギア(不図示)及びキャリアC2の各回転要素を備えた遊星歯車機構である。
減速機構600において、サンギアS2は、モータジェネレータMG2のロータに固定された出力回転軸に固定されている。また、キャリアC2は、ハイブリッド駆動装置10の外郭ケースに回転不能に固定されている。更に、リングギアR2は、駆動軸500に連結されている。係る構成において、減速機構600は、モータジェネレータMG2の回転速度Nmg2を、駆動軸500に対し、各回転要素(ギア)のギア比に応じて定まる減速比に従って減速して伝達することが出来る。
尚、減速機構600の構成は、モータジェネレータMG2の回転を減速する機構の採り得る一形態に過ぎず、この種の減速機構は実践上多様な形態を有し得る。また、この種の減速機構は、必ずしもハイブリッド駆動装置に備わっておらずともよい。即ち、モータジェネレータMG2は、駆動軸500に直結されていてもよい。
次に、図3を参照し、本実施形態に係るPCU20の構成について説明する。ここに、図3は、PCU20の概略構成図である。
図3において、PCU20は、SMR(System Main Relay)21、昇圧コンバータ22、MG1用インバータ23及びMG2用インバータ24を備える。
SMR21は、その電気的切断状態において、バッテリ30と、昇圧コンバータ22及びバッテリ30からの電力供給を要する他の負荷装置(例えば、空調装置700)との電気的接続を遮断することができるリレー装置である。SMR21は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によりその動作状態が制御される構成となっている。
昇圧コンバータ22は、バッテリ30の出力電圧である電源電圧Vbを、負荷装置の一つであるモータジェネレータMG1及びMG2の駆動に適した昇圧指令電圧VHまで昇圧する昇圧装置である。
昇圧コンバータ22において、リアクトルL1の一方端は、バッテリ30の正極に接続される正極線(符号省略)に接続され、他方端は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との中間点、即ち、スイッチング素子Q1のエミッタ端子と、スイッチング素子Q2のコレクタ端子との接続点に接続される。
スイッチング素子Q1及びQ2は、上記正極線とバッテリ30の負極に接続される負極線(符号省略)との間に直列に接続されたスイッチング手段である。スイッチング素子Q1のコレクタ端子は上記正極線に、スイッチング素子Q2のエミッタ端子は上記負極線に接続されている。ダイオードD1及びD2は、夫々のスイッチング素子において、エミッタ側からコレクタ側への電流のみを許容する整流素子である。
尚、本実施形態において、スイッチング素子は、リアクトルL1の端部との接続点よりも高電位側のスイッチング素子Q1と、同じく低電位側のスイッチング素子Q2とから構成されており、双アーム型の昇圧コンバータを構成している。但し、このようなスイッチング素子の構成は一例であり、昇圧コンバータは、図1でスイッチング素子Q2のみを備えた片アーム型の昇圧コンバータであってもよい。
スイッチング素子Q1及びQ2並びにインバータ22の各スイッチング素子(Q3乃至Q8及びQ13乃至Q18)は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ等として構成される。
キャパシタCは、正極線と負極線との間に接続されたコンデンサである。このキャパシタCの端子間電圧、即ち、正極線と負極線との間の電位差が、昇圧コンバータ22の出力電圧である上記昇圧指令電圧VHとなる。
MG1用インバータ23は、モータジェネレータMG1を駆動するためのインバータ回路である。
MG1用インバータ23は、p側スイッチング素子Q3及びn側スイッチング素子Q4を含むU相アーム(符号省略)、p側スイッチング素子Q5及びn側スイッチング素子Q6を含むV相アーム(符号省略)及びp側スイッチング素子Q7及びn側スイッチング素子Q8を含むW相アーム(符号省略)を備えた電力変換器である。インバータ23の夫々のアームは、上記正極線と上記負極線との間に並列に接続されている。
尚、スイッチング素子Q3乃至Q8には、スイッチング素子Q1及びQ2と同様、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流す整流用ダイオードD3乃至D8が夫々接続されている。また、MG1用インバータ23における各相アームのp側スイッチング素子とn側スイッチング素子との中間点は、夫々モータジェネレータMG1の各相コイルに接続されている。
MG2用インバータ24は、モータジェネレータMG2を駆動するためのインバータ回路である。
MG2用インバータ24は、MG1用インバータ23と同様の構成を有しており、スイッチング素子として、u相、v相及びw相の各相について、p側スイッチング素子Q13、Q15及びQ17を、またn側スイッチング素子Q14、Q16及びQ18を夫々備える。整流用のダイオードについても同様である。
また、図3に示されるように、空調装置700の空調用インバータ710は、バッテリ30と電気的に接続されている。空調用インバータ710は、本発明に係る「インバータ」の一例であり、上記モータジェネレータ用のインバータと同様、p側スイッチング素子Q23及びn側スイッチング素子Q24を含むU相アーム(符号省略)、p側スイッチング素子Q25及びn側スイッチング素子Q26を含むV相アーム(符号省略)及びp側スイッチング素子Q27及びn側スイッチング素子Q28を含むW相アーム(符号省略)を備えた電力変換器である。インバータ23の夫々のアームは、上記正極線と上記負極線との間に並列に接続されている。
また、スイッチング素子Q23乃至Q28には、スイッチング素子D3乃至D8と同様、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流す整流用ダイオードD23乃至D28が夫々接続されている。また、空調用インバータ710における各相アームのp側スイッチング素子とn側スイッチング素子との中間点は、夫々モータMの各相コイルに接続されている。
モータMは、空調用インバータ710により駆動される三相交流モータである。モータMは、空調装置700の不図示の電動コンプレッサを駆動する動力源である。この電動コンプレッサは、例えば、空調装置700が冷房装置として動作する場合に、モータMの動力により冷媒を圧縮し吐出することができる。
尚、空調装置700において、モータM及びその周辺部並びにこれらの電気的配線部分を含む、空調用インバータ710を介して交流電力が供給される部分は、本発明に係る「交流駆動部」の一例である。
図3において、上記負極線には、空調装置700の交流駆動部の絶縁抵抗値rsを検出するための絶縁抵抗検出器40が接続されている。
ここで、図4を参照し、絶縁抵抗検出器40について説明する。ここに、図4は、絶縁抵抗検出器40の概念図である。
図4において、絶縁抵抗検出器40の動作を説明するため、絶縁抵抗検出器40が、高圧簡易モデルに接続された状態が示される。高圧簡易モデルは、絶縁抵抗Rs及びコモンモードコンデンサCsから構成された、空調装置700の交流駆動部の等価回路モデルである。交流駆動部の絶縁抵抗値rsは、この絶縁抵抗Rsの抵抗値として扱われる。
図4において、絶縁抵抗検出器40は、出力電圧V0を有する発振器41、検出抵抗Rd、カップリングコンデンサCd及び電圧センサ44から構成される。
空調用インバータ710に所定以上の高電圧(即ち、バッテリ30の電源電圧Vb)が印加される、空調装置700の稼動期間においては、交流駆動部の絶縁抵抗値rsに応じて、電圧センサ44の出力電圧値Vdが変化する。従って、出力電圧値Vdに基づいて、空調装置700の電気的絶縁状態を診断することができる。
ここで、図5を参照し、空調装置700の電気的絶縁状態の診断原理について説明する。ここに、図5は、絶縁抵抗値rsと出力電圧値Vdとの関係を表す図である
図5において、縦軸には、発振器41の出力電圧V0に対する電圧センサ44の出力電圧値Vdの比率である出力電圧比(即ち、Vd/V0×100、単位は%)が表される。横軸には、空調装置700の交流駆動部の絶縁抵抗値rsが示される。
図示の通り、空調装置700の交流駆動部の絶縁抵抗値rsが低下すると、出力電圧比もまた低下する。従って、絶縁抵抗値rsについて、実験的に、経験的に、又は理論的に閾値を定め、出力電圧比が、当該閾値に対応する出力電圧比未満に低下した場合に、空調装置700の交流駆動部の電気的絶縁性が不十分であるとの診断を下すことができる。例えば、交流駆動部の絶縁抵抗値として400kΩ以上が必要であれば、当該出力電圧比が80%未満である場合に、交流駆動部の電気的絶縁性が不十分であるとの診断を下すことができる。後述する絶縁診断処理においては、係る診断原理が利用される。
<実施形態の動作>
<空調用インバータ710の制御>
空調用インバータ710の制御には周知のPWM(Pulse Width Modulation)制御が用いられる。PWM制御には、二相変調方式のPWM制御(以下、適宜「二相変調制御」とする)と三相変調方式のPWM制御(以下、適宜「三相変調制御」とする)とがあり、本実施形態に係るECU100は、いずれの変調制御も実行可能に構成されている。
但し、本実施形態において、空調用インバータ710の制御には、基本的に二相変調制御が使用される。二相変調制御は、空調用インバータ710が有する三相のうち一相のスイッチング状態が固定されるため、三相変調制御と較べて電力消費を節減することができる。特に、空調装置700のように車載型の空調装置においては、電力消費の節減がエンジン200の燃料消費率の向上に繋がるため、二相変調制御が選択される意義が大きい。
一方、空調装置700の交流駆動部の電気的絶縁性が低下した状態において空調用インバータ710を二相変調制御で駆動すると、電気的絶縁性が低下した相の上アーム(即ち、Q23、Q25若しくはQ27)又は下アーム(即ち、Q24、Q26若しくはQ28)の、電気角360°中のオン時間が「fc−fm×N」の絶対値に相当する周波数fvで変動する。尚、上記において、fcは空調用インバータ710のキャリア周波数、fmは変調周波数、Nは高調波次数である。
このため、絶縁抵抗検出器40のコモン電圧(直流部とグランドとの間の電圧)もまた、上記周波数fvで変動する。ここで、この周波数fvが、絶縁抵抗検出器40の発振器41の発振周波数(例えば、2.5Hz)に近付くと、電圧センサ44の出力電圧値Vdとノイズとの切り分けが出来なくなり、絶縁抵抗値の推定精度が低下する。その結果、交流駆動部の電気的絶縁性の診断に係る診断精度が低下してしまう。本実施形態に係る絶縁診断処理では、このような問題点が解消される。
次に、図6を参照し、本実施形態の動作として絶縁診断処理について説明する。ここに、図6は、絶縁診断処理のフローチャートである。
図6において、空調用インバータ710に高電圧が印加されているか否かが判定される(ステップS101)。この高電圧とは、バッテリ30の電源電圧Vbである。
尚、図3では、バッテリ30と空調用インバータ710との間にはSMR21が介在するだけであるから、SMR21が通電状態にあれば、空調用インバータ710に電源電圧Vbが印加される。一方、バッテリ30と空調用インバータ710との間には、例えば、ユーザ側の操作(例えば、空調装置のオン操作)と連動する別個のスイッチング素子が介装されてもよく、この場合には、係るスイッチング素子が通電状態にある場合に、空調用インバータ710に高電圧が印加されているとの判定がなされてもよい。他方、バッテリ30と空調用インバータ710との間には、バッテリ30の電源電圧Vbを昇圧する昇圧コンバータが介装されていてもよく、この場合には、係る昇圧コンバータが稼働している場合に、空調用インバータ710に高電圧が印加されているとの判定がなされてもよい。
空調用インバータ710に高電圧が印加されていない場合(ステップS101:NO)、空調装置700の交流駆動部の電気的絶縁性に係る診断(以下、適宜「絶縁診断」とする)を行うことはできないので、絶縁診断処理は終了する。
一方、空調用インバータ710に高電圧が印加されている場合(ステップS101:YES)、絶縁診断が未完了であるか否かが判定される(ステップS102)。交流駆動部の絶縁診断が既に完了している場合(ステップS102:NO)、絶縁診断処理は終了する。
尚、交流駆動部の絶縁診断は、所定周期で行われるのが望ましい。従って、例えば、制御フラグ等を利用し、絶縁診断終了時に制御フラグをオンとし、所定時間経過後に制御フラグをオフとしてもよい。この場合、ステップS102に係る判定処理では、この制御フラグが参照され、制御フラグがオンであれば絶縁診断が完了しているとの判定が下され、制御フラグがオフであれば絶縁診断がオフであれば絶縁診断が未完了であるとの判定が下されてもよい。
交流駆動部の絶縁診断が未完了である場合(ステップS102:YES)、ECU100は、空調用インバータ710の制御に用いられている二相変調制御を三相変調制御に切り替えることが可能であるか否かを判定する(ステップS103)。
三相変調制御への切り替えの可否は、例えば、空調装置700の負荷状態に基づいて判定される。例えば、空調装置700の稼働初期では、空調装置700は比較的負荷が高い状態にあることが多く、スイッチング頻度が高くなり空調用インバータ710の温度上昇を招き得る三相変調制御への切り替えは、空調装置700の動作に影響を与え得る。とりわけ、空調装置700が冷房動作を行っている場合には、空調用インバータ710の温度上昇は冷却性能の低下に繋がり得る。例えばこのような場合には、三相変調制御への切り替えが許可されない。三相変調制御への切り替えが許可されない場合(ステップS103:NO)、処理はステップS103で待機状態とされる。
一方、三相変調制御への切り替えが許可される場合(ステップS103:YES)、二相変調制御が強制的に三相変調制御に切り替えられる(ステップS104)。三相変調制御への切り替えが行われると、先述した診断原理に従って、絶縁診断が行われる(ステップS105)。
絶縁診断が行われると、交流駆動部の電気的絶縁性が低下していないか否かが判定される(ステップS106)。電気的絶縁性の低下が生じていない場合(ステップS106:YES)、絶縁診断が完了した旨の判定が下され(ステップS107)、三相変調制御が二相変調制御に切り替えられる(ステップS109)。即ち、空調用インバータ710の駆動制御が二相変調制御に復帰する。尚、ステップS107に係る絶縁診断完了判定は、例えば、上述した制御フラグをオンにする動作であってもよい。
ステップS106において、電気的絶縁性の低下が生じているとの診断が下された場合(ステップS106:NO)、絶縁低下部位の特定が行われると共に、絶縁低下部位の特定が完了したか否かが判定される(ステップS108)。絶縁低下部位の特定が完了していない間は(ステップS108:NO)、処理はステップS108で待機状態とされ、絶縁低下部位の特定が完了すると(ステップS108:YES)、処理はステップS109に移行され、三相変調制御が二相変調制御に切り替えられる。絶縁診断処理はこのように行われる。
尚、絶縁低下部位の特定は、例えば、空調用インバータ710のゲートの通電状態を、通電→遮断→通電と切り替えた場合の電圧センサ44の出力電圧値Vdの変化等に基づいて行われる。但し、これは一例であり、絶縁低下部位の特定には、公知の各種手法を適用可能である。
以上説明したように、本実施形態に係る絶縁診断処理によれば、空調装置700の交流駆動部の絶縁診断時に、空調用インバータ710の駆動態様が二相変調制御から三相変調制御に強制的に切り替えられる。このため、上述した二相変調制御実行時における、絶縁診断に係る診断精度の低下を回避することができ、交流駆動部の絶縁診断を高精度に行うことができる。一方、二相変調制御から三相変調制御への切り替えは、絶縁診断時に限定される(無論、絶縁診断時のみに限定されずともよく、他の要件から三相変調制御が適用されても本発明の概念を逸脱しない)ため、三相変調制御によるスイッチング損失の増加がハイブリッド車両1の燃料消費率の悪化に繋がることもない。即ち、本実施形態によれば、空調装置の電力消費を抑制しつつ交流駆動部の電気的絶縁性を精度良く診断することができるのである。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うインバータの制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。