以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、以下の各実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は、一例であって特に限定されるものではない。
図1は本発明の実施形態に係る搬送装置310を備えたインクジェット記録装置1の概略構成を示す図である。インクジェット記録装置(記録装置の一例)1は、装置筐体100と、装置筐体100の内部の下方に配置された給紙部200と、給紙部200の上方に配置されたインクジェット記録方式の画像形成部300と、画像形成部300の一側方に配置された用紙搬送部400と、画像形成部300の他側方に配置された用紙排出部500とを備える。
給紙部200は、装置筐体100に着脱自在の給紙カセット201と、給紙ローラー202と、ガイド板203とを備える。給紙ローラー202は給紙カセット201の一端側の上方に配置される。ガイド板203は給紙ローラー202と用紙搬送部400との間に配置される。
給紙カセット201内には、複数枚の記録用紙(被記録媒体の一例)Pが積み重ねられた状態で収納される。以下、「記録用紙」は、単に「用紙」と記載される。給紙ローラー(ピックアップコロ)202は、用紙Pの搬送方向に沿って用紙Pを送る送り部材であり、給紙カセット201内の用紙Pを一枚ずつ取り出す。ガイド板203は、給紙ローラー202が取り出した用紙Pを用紙搬送部400に案内する。
用紙搬送部400は、略C字形の用紙搬送路401と、用紙搬送路401の入口側に設けられた第1搬送ローラー対(1次給紙コロ対)402と、用紙搬送路401の途中に設けられた第2搬送ローラー対(2次給紙コロ対)403と、用紙搬送路401の出口側に設けられたレジストローラー対404とを備える。用紙搬送路401は、用紙Pの搬送路(被記録媒体搬送路の一例)の一部を構成する。
第1搬送ローラー対402は、用紙Pの搬送方向に沿って用紙Pを送る送り部材であり、給紙部200から給紙される用紙Pを挟んで用紙搬送路401に送出する。第2搬送ローラー対403も送り部材である。第2搬送ローラー対403は、第1搬送ローラー対402が送出した用紙Pを挟んで用紙搬送方向に搬送する。
レジストローラー対404は、第2搬送ローラー対403によって搬送されてきた用紙Pの斜行補正を行う。そして、レジストローラー対404は、用紙Pへの画像形成のタイミングと用紙Pの搬送とを同期させるために用紙Pを一時待機させた後、用紙Pを画像形成タイミングに合わせて画像形成部300に送出する。
画像形成部300は、搬送装置310と、搬送装置310の上方に配置された4種類のインクジェットヘッド(記録ヘッドの一例)340a、340b、340c、及び340dと、搬送装置310に対して用紙Pの搬送方向の下流側に配置された搬送ガイド350とを備える。図示しないが、4種類のインクジェットヘッド340a、340b、340c、及び340dにはそれぞれ、複数のノズルが設けられている。複数のノズルからインク滴が吐出されて、用紙Pに文字、図等の画像が形成される。なお、画像形成部300は、乾燥装置を備えてもよい。乾燥装置は、インクジェットヘッド340a、340b、340c、及び340dから用紙Pへ向けて吐出されたインク滴を乾燥させる。
搬送装置310は、ベルト速度検知ローラー311と、吸着ローラー312と、駆動ローラー313と、テンションローラー314と、一対のガイドローラー315と、無端状の搬送ベルト320と、吸引部330とを備える。本実施形態において、吸着ローラー312は異物付着部の一例であり、吸着ローラー312は電気的にアース(接地)されている。
搬送装置310は、装置筐体100内において、4種類のインクジェットヘッド340a、340b、340c、及び340dに対向して配置される。搬送ベルト320は、ベルト速度検知ローラー311、駆動ローラー313、テンションローラー314及び一対のガイドローラー315の間に張設されている。搬送ベルト320は、用紙Pの搬送方向に駆動されて、用紙Pを搬送する。
搬送ベルト320の材料には、例えば、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又はポリカーボネイト(PC)が使用される。好適には、搬送ベルト320の厚みムラを軽減できることから、ポリイミド又はポリアミドイミドが使用される。また、搬送ベルト320の裏面側(吸引部330側)に、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等のゴム材からなる層が形成されていてもよい。搬送ベルト320の厚みは、例えば、100μmである。
テンションローラー314は、搬送ベルト320が撓まないように、搬送ベルト320に張力を与える。搬送装置310は、搬送ベルト320が蛇行した際に、その蛇行に応じてテンションローラー314の軸心の方向を変化させる機構を含んでもよい。斯かる機構により、搬送ベルト320の蛇行が補正される。
ベルト速度検知ローラー311は、吸引部330に対して用紙Pの搬送方向の上流側に配置され、搬送ベルト320との間に発生する摩擦によって回転する。ベルト速度検知ローラー311はパルス板(図示せず)を含み、パルス板は、ベルト速度検知ローラー311と一体になって回転する。パルス板の回転速度を測定することにより、搬送ベルト320の回転速度が検知される。したがって、搬送ベルト320の回転速度に速度ムラが発生した場合に、駆動ローラー313の回転数を制御して、速度ムラを補正することが可能となる。
駆動ローラー313は、吸引部330に対して用紙Pの搬送方向の下流側に配置される。好適には、駆動ローラー313は、ベルト速度検知ローラー311と共に搬送ベルト320の平面性を維持できるように配置される。また、斯かる配置により、搬送ベルト320の蛇行補正が行われる際にも、搬送ベルト320の平面性が維持される。
駆動ローラー313はモーター(図示せず)によって回転駆動され、搬送ベルト320との間に発生する摩擦により、図1の紙面において反時計回りの方向に搬送ベルト320を回転させる。駆動ローラー313の直径は、例えば、30.0mmである。
搬送ベルト320の速度ムラ補正(駆動ローラー313の回転数補正)が実施される場合、駆動ローラー313の慣性モーメントは小さい方が好ましい。即ち、駆動ローラー313は軽い方が好ましい。したがって、本実施形態では、駆動ローラー313として、例えばアルミパイプや三ツ矢管のような中空管が好適に使用される。なお、搬送ベルト320の速度ムラ補正が実施されない場合は、フライホイール効果によって駆動ローラー313の回転を安定させるために、駆動ローラー313の慣性モーメントは大きい方が好ましい。即ち、駆動ローラー313は重い方が好ましく、駆動ローラー313の材料として中実の金属材が好適に使用される。
搬送ベルト320が、ポリイミド等の樹脂材からなる場合、駆動ローラー313の表面層は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム、又はニトリルゴム等のゴム材で構成される。画像形成部300が水系インクを用いて用紙Pに画像を形成する場合、ゴム材の膨潤を防ぐために、駆動ローラー313の表面層の材料としてEPDMが使用されることが好ましい。ゴム材からなる表面層の厚みは、例えば、1.0mmである。また、搬送ベルト320の裏面側に、EPDM等のゴム材からなる層が形成されている場合、駆動ローラー313の表面層は、金属で構成されていてもよい。駆動ローラー313の表面層がアルミニウムからなる場合は、摩耗防止のために、駆動ローラー313の表面にアルマイト処理が施されていてもよい。
一対のガイドローラー315は、吸引部330よりも下方に配置され、吸引部330下方の空間を維持する。斯かる配置により、吸引部330下方における搬送ベルト320と吸引部330との接触を防止できる。また、一対のガイドローラー315のうち、駆動ローラー313に近いガイドローラー315は、駆動ローラー313に対する搬送ベルト320の巻き掛け量を維持する。一対のガイドローラー315のうち、テンションローラー314に近いガイドローラー315は、蛇行補正が安定して実施できるように、テンションローラー314に対する搬送ベルト320の巻き掛け量を維持する。
4種類のインクジェットヘッド340a、340b、340c、及び340dは、用紙Pの搬送方向の上流側から下流側に向けて並設される。インクジェットヘッド340a、340b、340c、及び340dの各々は、搬送ベルト320の幅方向(用紙Pの搬送方向に直交する方向)に配列された複数のノズル(図示せず)を備えている。インクジェットヘッド340a、340b、340c、及び340dはライン型と称される。即ち、インクジェット記録装置1は、ラインヘッド方式のインクジェット記録装置である。
ここで、一般的なラインヘッド方式のインクジェット記録装置について説明する。ラインヘッド方式のインクジェット記録装置は、一般的に、1色のインク滴を被記録媒体へ向けて吐出するために、被記録媒体の幅以上の長さを有するインクジェットヘッドを単体で備えるか、又は、被記録媒体の搬送方向に直交する方向(被記録媒体の幅方向)に沿って配置される複数個のインクジェットヘッドを備える。複数色のインク滴を吐出するインクジェット記録装置では、各色に対応する単体のインクジェットヘッド又は複数個のインクジェットヘッドの組みが、被記録媒体の搬送方向に沿って並べられる。インクジェットヘッドは固定されており、インクジェットヘッドの下方を被記録媒体が搬送される。搬送される被記録媒体へ向けて、インクジェットヘッドからインク滴が吐出されることにより、被記録媒体に画像が形成される。
本実施形態に係るインクジェット記録装置1の説明に戻る。インクジェットヘッド340aの複数のノズルの各々は、インクジェットヘッド340a内に形成された加圧室(図示せず)に連通している。加圧室はインクジェットヘッド340a内に形成されたインク液室(図示せず)に連通している。そして、インク液室はインク供給チューブ(図示せず)を介してブラック(Bk)のインクタンク(図示せず)に連通接続されている。
インクジェットヘッド340bの複数のノズルの各々は、インクジェットヘッド340b内に形成された加圧室(図示せず)に連通している。加圧室はインクジェットヘッド340b内に形成されたインク液室(図示せず)に連通している。そして、インク液室はインク供給チューブ(図示せず)を介してシアン(C)のインクタンク(図示せず)に連通接続されている。
インクジェットヘッド340cの複数のノズルの各々は、インクジェットヘッド340c内に形成された加圧室(図示せず)に連通している。加圧室はインクジェットヘッド340c内に形成されたインク液室(図示せず)に連通している。そして、インク液室はインク供給チューブ(図示せず)を介してマゼンタ(M)のインクタンク(図示せず)に連通接続されている。
インクジェットヘッド340dの複数のノズルの各々は、インクジェットヘッド340d内に形成された加圧室(図示せず)に連通している。加圧室はインクジェットヘッド340d内に形成されたインク液室(図示せず)に連通している。そして、インク液室はインク供給チューブ(図示せず)を介してイエロー(Y)のインクタンク(図示せず)に連通接続されている。
吸引部330は、搬送ベルト320を介して4種類のインクジェットヘッド340a、340b、340c、及び340dと対向するように搬送ベルト320の裏面側に配置される。吸引部330は、空気流通室(気体流通室の一例)331と、空気流通室331の上面開口を覆うガイド部材332と、吸引装置336とを備える。ガイド部材332は、搬送ベルト320を介して用紙Pを支持する。
吸着ローラー312は従動ローラーである。吸着ローラー312は、搬送ベルト320を介してガイド部材332に対向し、レジストローラー対404から送出された用紙Pを搬送ベルト320上へ誘導して、搬送ベルト320に吸着させる。また、吸着ローラー312は、インクジェットヘッド340aに対して用紙Pの搬送方向の上流側に配置される。インクジェットヘッド340aは、4種類のインクジェットヘッド340a、340b、340c、及び340dのうち、用紙Pの搬送方向において最も上流側に配置されたインクジェットヘッドである。
本実施形態では、吸着ローラー312を搬送ベルト320側(ガイド部材332側)へ押圧する押圧力が吸着ローラー312に付与されている。これにより、レジストローラー対404による用紙Pの搬送速度と搬送ベルト320の回転速度との間に差が生じている場合でも、レジストローラー対404と吸着ローラー312との間で用紙Pを撓ませて、用紙Pの搬送ベルト320への密着開始位置を、吸着ローラー312が配置された位置に対応させることができる。
吸引装置336は、例えばファンである。但し、吸引装置336はファンに限定されるものではなく、例えば真空ポンプであってもよい。吸引装置336が駆動することにより、吸引部330が搬送ベルト320を介して用紙Pを吸引する。
搬送ガイド350は、搬送ベルト320から排出される用紙Pを用紙排出部500に案内する。用紙排出部500は、排出ローラー対501と、排出トレイ502とを備える。排出トレイ502は、装置筐体100に形成された排出口101から外部に突出するように装置筐体100に固定されている。
搬送ガイド350を通過した用紙Pは、排出ローラー対501によって排出口101の方向に送出され、排出トレイ502に案内されて排出口101を介して装置筐体100の外部に排出される。
空気流通室331は、上面が開口した有底筒状の箱形部材によって形成されている。吸引装置336は、空気流通室331の下方に配置される。空気流通室331を形成する箱形部材の底壁には、吸引装置336に対応して排気口(図示せず)が形成されている。吸引装置336は電源(図示せず)に接続されている。吸引装置336が駆動することにより、空気流通室331内に負圧が発生する。この負圧により、搬送ベルト320を介して用紙Pが吸引される。
図2は、ガイド部材332を示す平面図であり、4種類のインクジェットヘッド340a、340b、340c、及び340dとガイド部材332との位置関係を示している。なお、図2では、理解し易くするために、搬送ベルト320は図示していない。
図2に示すように、ブラック(Bk)用のインクジェットヘッド340aは、3個のインクジェットヘッド341を含む。3個のインクジェットヘッド341は、ガイド部材332の幅方向(用紙搬送方向に直交する方向)に沿って千鳥足状(千鳥状)に配置される。
シアン(C)用のインクジェットヘッド340bは、3個のインクジェットヘッド342を含む。3個のインクジェットヘッド342は、ガイド部材332の幅方向に沿って千鳥足状に配置される。
マゼンタ(M)用のインクジェットヘッド340cは、3個のインクジェットヘッド343を含む。3個のインクジェットヘッド343は、ガイド部材332の幅方向に沿って千鳥足状に配置される。
イエロー(Y)用のインクジェットヘッド340dは、3個のインクジェットヘッド344を含む。3個のインクジェットヘッド344は、ガイド部材332の幅方向に沿って千鳥足状に配置される。
ガイド部材332の表面(搬送ベルト320側の面)333には、複数の溝334が形成されている。溝334は、用紙搬送方向に延びる長円状である。図3はガイド部材332を示す一部拡大断面図である。図2及び図3に示すように、複数の溝334の各々に対応して、ガイド部材332をその厚さ方向に貫通する貫通孔335が形成されている。貫通孔335の断面は円形状である。
また、図2に示すように、ガイド部材332には帯電部337が設けられる。帯電部337は、インクジェットヘッド340aに対して用紙搬送方向の上流側に配置される。好ましくは、帯電部337は、吸着ローラー312の近傍に配置される。また帯電部337は、ガイド部材332の表面333から露出する面を有している。
図4は搬送ベルト320を示す平面図である。図4に示すように、搬送ベルト320には複数の吸引孔321が穿孔されている。吸引孔321の直径は、例えば2mmであり、隣接する吸引孔321の間隔は、例えば8mmである。
用紙搬送方向に配置された複数の吸引孔321から成る列が搬送ベルト320の幅方向(用紙搬送方向に直交する方向)に複数本形成されており、これらの複数本の列は、吸引孔321が千鳥掛け状(千鳥状)に配置されるように形成されている。一方、図2に示すように、ガイド部材332には、用紙搬送方向に配置された複数の溝334から成る列が、ガイド部材332の幅方向(用紙搬送方向に直交する方向)に複数本形成されている。これらの複数本の溝334の列に対応して、搬送ベルト320の複数本の吸引孔321の列が配置される。
複数の溝334の各々は、少なくとも2つの吸引孔321と対向し得るように形成されている。搬送ベルト320の進行に伴って、複数の溝334の各々に対向する吸引孔321が1つずつ入れ替わってゆく。
空気流通室331(図1参照)は、ガイド部材332の貫通孔335(図2参照)及び溝334を介して、搬送ベルト320の吸引孔321(図4参照)に連通する。
次に、図1を参照して、インクジェット記録装置1の動作について説明する。給紙ローラー202は、給紙カセット201から用紙Pを取り出す。取り出された用紙Pは、ガイド板203によって第1搬送ローラー対402に導かれる。複数枚の用紙Pが、給紙カセット201に積み重ねられた状態で収容されている場合、給紙ローラー202は、最上部の用紙Pを給紙カセット201から取り出す。
用紙Pは第1搬送ローラー対402によって用紙搬送路401内に送出され、第2搬送ローラー対403によって用紙搬送方向に搬送される。そして、用紙Pはレジストローラー対404に当接して停止し、斜行補正が行われる。そして、画像形成タイミングに合わせて用紙Pが画像形成部300に送出される。
用紙Pは吸着ローラー312によって搬送ベルト320上に導かれ、搬送ベルト320に吸着される。好適には、用紙Pのその幅方向の中心が、搬送ベルト320のその幅方向の中心と一致するように、用紙Pが搬送ベルト320に導かれる。用紙Pは、搬送ベルト320に穿孔された複数の吸引孔321の一部または全部を覆う。吸引部330は、ガイド部材332の貫通孔335及び溝334、並びに搬送ベルト320の吸引孔321を介して空気(気体の一例)を吸引しており、空気流通室331には負圧が発生している。これにより、負圧が用紙Pに作用して、用紙Pが搬送ベルト320に吸着される。そして、用紙Pは、搬送ベルト320の進行に伴って用紙搬送方向に搬送される。
搬送ベルト320により、4種類のインクジェットヘッド340a(341)、340b(342)、340c(343)、及び340d(344)の各々に対向する位置へ用紙Pの各部分が連続して搬送される。この間に、4種類のインクジェットヘッド340a(341)、340b(342)、340c(343)、及び340d(344)の各々から各色のインク滴が用紙Pへ向けて吐出される。これにより、用紙Pに画像が形成される。
用紙Pは、搬送ベルト320から搬送ガイド350へ搬送される。搬送ガイド350を通過した用紙Pは、排出ローラー対501によって排出口101の方向に送出され、排出トレイ502に案内されて排出口101を介して装置筐体100の外部に排出される。
以上説明したラインヘッド方式のインクジェット記録装置1によれば、インクジェットヘッド340a(341)、340b(342)、340c(343)、及び340d(344)の位置が固定されており、インクジェットヘッド340a(341)、340b(342)、340c(343)、及び340d(344)の下方を用紙Pが搬送される。よって、用紙Pの搬送速度を上げることで、記録速度を上げることが可能となる。例えば、インクジェット記録装置1では、用紙Pの搬送速度を900mm/s、印刷速度をA4横サイズ紙で150枚/分とすることが可能である。
一方、一般的なラインヘッド方式のインクジェット記録装置には、紙粉がノズル孔に付着して、ノズル孔が詰まり易いという問題がある。これは、被記録媒体が高速で搬送されるため、シリアルヘッド方式と比べて格段に多い紙粉が発生することに起因する。紙粉は、被記録媒体の搬送路に配置された送り部材と被記録媒体とが擦れることで発生する。ノズル孔が詰まると、インク滴が吐出できなくなり、被記録媒体の搬送方向に沿って画像に白い筋が発生する。
ノズル孔が詰まる現象は、被記録媒体、及び被記録媒体に付着した紙粉が帯電している場合に発生し易い。即ち、一般的にインクジェットヘッドは電気的にアースされているため、帯電した被記録媒体及び紙粉がインクジェットヘッドの下まで搬送されると、被記録媒体の電荷と紙粉の電荷との反発によって、インクジェットヘッドのヘッド面(搬送ベルト側の面)へ向けて紙粉が飛翔し易い。このため、ノズル孔に紙粉が付着する可能性がある。また、搬送ベルト及びガイド部材の材料として、例えば絶縁性の材料が用いられている場合にも、ノズル孔が詰まり易い。これは、インクジェット記録装置の稼働中に搬送ベルトとガイド部材との間で発生する摩擦に起因して、搬送ベルトが帯電するためである。即ち、帯電した紙粉がインクジェットヘッドの下まで搬送されると、搬送ベルトの電荷と紙粉の電荷との反発によって、電気的にアースされたインクジェットヘッドのヘッド面へ向けて紙粉が飛翔し易く、ノズル孔に紙粉が付着する可能性がある。
被記録媒体の帯電は、被記録媒体に含まれる水分が少ない場合に、被記録媒体が、被記録媒体の搬送路に配置された送り部材と擦れることで発生する。また、被記録媒体は、送り部材が帯電している場合に、送り部材と接触することで帯電することがある。同様に、紙粉の帯電は、紙粉に含まれる水分が少ない場合に、紙粉が、被記録媒体の搬送路に配置された送り部材と擦れたり、帯電している送り部材と接触したりすることで発生する。つまり、給紙工程、及び、搬送ベルトまで被記録媒体を搬送する工程で、被記録媒体及び紙粉は帯電する。被記録媒体及び紙粉の帯電は、特に、低温低湿環境下において発生し易い。
被記録媒体及び紙粉は、プラスに帯電することもあれば、マイナスに帯電することもあり、一律にどちらかに帯電するものではない。しかし、上記した理由により、帯電している紙粉、又は帯電している被記録媒体及び紙粉がインクジェットヘッドの下まで搬送されると、インクジェットヘッドのヘッド面へ向けて一部の紙粉が飛翔して、ノズル孔に紙粉が付着する可能性がある。
[吸着ローラー312周辺の構成]
図5は、搬送装置310の構成の一部を拡大して示す断面図である。詳しくは、図5は、吸着ローラー312の周辺の構成の一部を拡大して示している。図5において、空気流通室331は図示されていない。図5に示すように、吸着ローラー312は、搬送ベルト320に接するように配置されている。また、帯電部337は、搬送ベルト320を介して吸着ローラー312に対向している。
吸着ローラー312は導電性を有する材料を含み、導電性を有する材料は、電気的にアース(接地)されている。例えば、SUSのような金属からなる吸着ローラー312が使用されてもよい。また、用紙Pが吸着ローラー312に衝突することにより発生する衝突振動を緩和するために、吸着ローラー312の慣性モーメントは小さい方が好ましい。よって、金属からなる吸着ローラー312としては、例えば三ツ矢管のような中空のローラーが好ましいが、半導電性のEPDM発泡体、又は半導電性のウレタンゴム等からなる吸着ローラー312が使用されてもよい。導電性を有する材料としては、吸着ローラー312の帯電を抑制するために、体積抵抗率が1.0×107Ω・cm以下の材料が好ましい。
上述したように、帯電部337は、ガイド部材332の表面333から露出する表面を有している。したがって、回転する搬送ベルト320と帯電部337との間で摩擦が発生し、これにより、帯電部337は帯電する。帯電部337の材料には、好適には、搬送ベルト320と擦れることによって帯電し易い材料が使用される。本実施形態では、帯電部337は絶縁材料からなる。これにより、帯電部337を効率よく帯電させることができる。絶縁材料として、ポリオキシメチレン(POM)、ABS、フッ素樹脂、絶縁性ウレタンゴム、ウレタン発泡体等が使用できる。
本実施形態によれば、用紙Pに付着している紙粉が帯電していても、その紙粉の電荷と帯電部337の電荷との反発によって、電気的にアースされている吸着ローラー312の表面に紙粉を移動させて、その表面に紙粉を付着させることができる。したがって、インクジェットヘッド340a(341)、340b(342)、340c(343)、及び340d(344)の下方まで搬送される紙粉の量を抑制することができる。この結果、紙粉のノズル孔への付着が抑制されて、ノズル孔から安定してインク滴を吐出させることが可能となる。よって、用紙搬送方向に沿った白い筋が画像に発生し難くなる。
また、本実施形態では、吸着ローラー312が用紙Pに接触する。したがって、吸着ローラー312に対して用紙搬送方向の上流側で用紙Pが帯電していても、用紙Pは吸着ローラー312に接触することによって除電される。この結果、用紙Pの電荷と紙粉の電荷との反発が抑制されるので、吸着ローラー312に付着せずに用紙P上に残存した紙粉が、インクジェットヘッド340a(341)、340b(342)、340c(343)、及び340d(344)の下方へ用紙Pと共に搬送された場合でも、電荷の反発作用に起因する紙粉のヘッド面への移動(飛翔)は起こり難い。
また、そもそも、吸着ローラー312に付着しない紙粉は、元から帯電していないものであるか、あるいは、吸着ローラー312によって除電されたものである。したがって、吸着ローラー312に付着せずに用紙P上に残存した紙粉が、インクジェットヘッド340a(341)、340b(342)、340c(343)、及び340d(344)の下方へ搬送されても、電荷の反発作用に起因する紙粉のヘッド面への移動(飛翔)は起こり難い。
また図5に示すように、本実施形態では、インクジェット記録装置1が、紙粉回収部材360を備えている。紙粉回収部材360は、吸着ローラー312の表面に接しており、紙粉を吸着ローラー312の表面から剥がして回収する。斯かる構成により、より多くの紙粉を吸着ローラー312で回収することが可能となり、インクジェットヘッド340a(341)、340b(342)、340c(343)、及び340d(344)の下方まで搬送される紙粉の量を少なく抑えることができる。紙粉回収部材360には、例えば、クリーニングブレードが使用できる。
また、本実施形態では、インクジェット記録装置1が、受け部材361を備えている。受け部材361は、吸着ローラー312の表面から剥がされた紙粉を受ける。斯かる構成により、装置筐体100の内部が紙粉で汚染されることを防止できる。受け部材361は、装置筐体100に着脱自在に保持されてもよい。あるいは、受け部361に接続する紙粉搬送路と、回収容器とを設けてもよい。この場合、紙粉搬送路に、例えばミキサーを配置することにより、紙粉を回収容器まで搬送することができる。
また、本実施形態では、吸着ローラー312が搬送ベルト320を介して帯電部337を押圧している。したがって、帯電部337が、回転する搬送ベルト320とより強く擦れ合うので、帯電部337の摩擦帯電を大きくすることができる。これにより、帯電部337の電荷と紙粉の電荷との反発作用によって、用紙Pに付着した紙粉を吸着ローラー312の表面に移動させ易くなる。
また、本実施形態では、用紙搬送方向に直交する方向において、帯電部337が配置される領域の長さが、吸着ローラー312と比べて長い。斯かる構成により、用紙Pに紙粉が付着した位置によらず、紙粉を吸着ローラー312に付着させることができる。例えば、図2に示すように、ガイド部材332の表面から露出する帯電部337の表面部分は、用紙搬送方向に直交する方向に長い矩形状であってもよい。この場合、用紙搬送方向に直交する方向において、その矩形状の表面部分の長さが、吸着ローラー312と比べて長いことが好ましい。
なお、帯電部337の個数は1個に限定されるものではない。図6(a)は、ガイド部材332の変形例を示す平面図である。図6(a)に示すように、複数個の帯電部337がガイド部材332に設けられてもよい。図6(a)に示す例では、3個の帯電部337が、用紙搬送方向に直交する方向に沿って配置されている。
また、帯電部337は、図6(b)に示すように、紙粉が特に発生し易い範囲に対応させて設けられてもよい。図6(b)は、ガイド部材332の他の変形例を示す平面図である。
紙粉の発生量は、特に、給紙部のピックアップコロに対応する範囲において多くなる。これは、給紙部のピックアップコロが、用紙Pに大きな摩擦力を作用させるためである。また、ピックアップコロが被記録媒体に摩擦力を作用させる際には、被記録媒体同士が擦れ合う場合がある。これも紙粉の発生量を増加させる要因となる。したがって、用紙搬送路の下流において、ピックアップコロに対応する範囲に帯電部337を配置することが望ましい。図1に示すインクジェット記録装置1では、給紙部200の給紙ローラー202が、ピックアップコロである。ピックアップコロは、一般的に、用紙搬送路において、用紙搬送方向に直交する方向の中央に配置される。よって、図6(b)に示すように、用紙搬送方向に直交する方向のガイド部材332の中央部に帯電部337が設けられてもよい。斯かる構成により、紙粉を効果的に吸着ローラー312へ付着させることができる。
また、帯電部337は、図7に示すように、吸着ローラー312から外れた位置に配置されてもよい。図7は、搬送装置310の変形例の構成の一部を拡大して示す断面図である。詳しくは、図7は、吸着ローラー312の周辺の構成の一部を拡大して示している。なお、図7において、空気流通室331は図示されていない。
図7に示すように、帯電部337は、吸着ローラー312に対して用紙搬送方向の上流側に配置されてもよい。このように帯電部337が吸着ローラー312と対向していない場合でも、紙粉の電荷と帯電部337の電荷との反発によって、電気的にアースされている吸着ローラー312の表面へ紙粉を飛翔させて、その表面に紙粉を付着させることができる。なお、この場合、吸着ローラー312の表面まで紙粉が到達できるように、帯電部337は、好ましくは、吸着ローラー312の近傍に配置される。
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に種々の改変を施すことができる。
例えば、上記実施形態では、吸着ローラー312が従動ローラーであったが、吸着ローラー312は、モーター等の駆動装置によって回転駆動されてもよい。
また、上記実施形態では、絶縁材料のみからなる帯電部337が使用されたが、帯電部337はこれに限定されるものではない。例えば、帯電部337は、ガイド部材332の表面333から露出する部分にのみ絶縁材料を有していてもよい。
また、上記実施形態では、回転する搬送ベルト320と帯電部337との間で摩擦を発生させて、帯電部337を帯電させたが、帯電部337の帯電方法は、この方法に限定されるものではない。例えば、帯電部337にバイアス電圧を印加することで、帯電部337を帯電させてもよい。この場合、帯電部337の材料は、例えば金属材であり得る。
また、上記実施形態では、導電性を有する材料のみからなる吸着ローラー312が使用されたが、吸着ローラー312はこれに限定されるものではない。例えば、吸着ローラー312は、その表面にのみ導電性を有する材料を有していてもよい。
また、上記実施形態では、帯電部337がガイド部材332に設けられたが、帯電部337は、吸着ローラー312(吸着部)に紙粉を吸着させることができる限り、ガイド部材332とは異なる部材によって保持されてもよい。
また、上記実施形態では、吸着ローラー312が異物付着部の機能を有したが、吸着ローラー312とは別個に異物付着部が設けられてもよい。この場合、異物付着部は搬送ベルト320に用紙Pを吸着させなくてもよいし、異物付着部として、ローラー状のものが使用されなくてもよい。
また、上記実施形態では、貫通孔335の断面形状が円形状であったが、貫通孔335の断面形状は円形状に限定されるものではない。貫通孔335は、例えば、矩形状であってもよい。
また、上記実施形態では、ライン型のインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置に本発明を適用した場合について説明したが、シリアル型のインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置に本発明を適用することもできる。
また、上記実施形態では、各色に対応して3個のインクジェットヘッドが、用紙搬送方向に直交する方向に沿って千鳥足状に配置されたが、各色に対応するインクジェットヘッドの個数は、特に限定されるものではない。例えば、各色に対応してインクジェットヘッドが単体で設けられてもよい。また、各色に対応する複数個のインクジェットヘッドの配置は千鳥足状の配置に限定されるものではなく、例えば、各色に対応する複数個のインクジェットヘッドが、用紙搬送方向に直交する方向に沿って一列に配置されてもよい。
また、上記実施形態では、フルカラーで画像を形成可能なインクジェット記録装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、モノクロで画像を形成するインクジェット記録装置にも適用可能である。
また、上記実施形態では、本発明をインクジェット記録装置に適用した場合について説明したが、本発明は他の画像形成装置(例えば、電子写真方式の画像形成装置)にも適用可能である。
また、上記実施形態では、被記録媒体が用紙である場合について説明したが、被記録媒体は用紙以外(例えば、樹脂製シートや布帛)であってもよい。
その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に種々の改変を施すことができる。