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JP6156760B2 - セラミックス回路基板用素材およびセラミックス回路基板の製造方法 - Google Patents
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セラミックス回路基板用素材およびセラミックス回路基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セラミックス基板を用いたセラミックス回路基板及びその製造方法に関する。
近年では、例えば電動車両用およびハイブリッド車、電気自動車などのインバーター等に高電圧、大電流動作が可能なパワー半導体モジュール(IGBT、MOS−FETモジュール等)が広く利用されている。このような半導体モジュールでは、半導体チップが動作中は高温となり、絶縁性ならびに応答性などに劣化が生じて安定動作の確保が困難となる。このため、半導体チップからの放熱効率を高める必要があり、そこで上記半導体チップを搭載する回路基板として、セラミックス基板の中でも破壊靱性および機械強度に優れ、熱伝導率も比較的高い窒化珪素(Si)基板が注目されている。
一般に半導体モジュールでは、窒化珪素基板の一面側に、アルミ合金あるいは銅合金等、比較的電気伝導率の高い金属で回路板が形成される。この回路板を構成する金属と、窒化珪素基板との接合は、直接接合法(DBC:DirectBonded Copper)あるいは活性金属ろう付け法(AMB:Active Metal Bonding)等で行われる。前者は、予め銅および銅合金板あるいは窒化珪素基板を熱処理することで、表面部に酸化膜を形成させ、続いてCu−Oの融点近傍にて加圧圧着を行う接合方法である。また、後者では、回路板を形成する金属箔又は金属板を窒化珪素基板の表面にろう材相を介して不活性ガス又は真空雰囲気中で加熱圧着接合する方法である。用いるろう材は回路板の種類により異なり、アルミおよびアルミ合金の場合は、Al−Si系合金またはこれに防錆効果のあるGe、低融点化剤のMgを微量添加したAl−Si−Ge系またはAl−Si−Mg系のろう材金属が用いられる。また、回路板が無酸素銅および銅合金の場合には、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)等の活性金属とともに低融点合金を作る銀(Ag)、銅(Cu)等の金属を混合したもの、又はこれらの合金をろう材として用いる。
続いて、半導体チップ搭載やワイヤーボンディングが施される回路板あるいは温度センサー(サーミスター)などが搭載される微小電極部などの所定の回路板の形成には、塩化第2鉄溶液または塩化第2銅溶液を用いたエッチング法が広く用いられている。これらのエッチング液は、上述した銅の直接接合法の場合には、銅−窒化珪素間の銅―酸化物からなる反応生成物は導電性を有しないため、問題なくエッチング処理して、所望の回路板を形成することができる。しかし、これらのエッチング液は、活性金属ろう材を用いた接合方法においては、銅および銅合金からなる金属板を溶かすことはできるものの、ろう材およびろう材とセラミックス基板との反応生成物を溶解することができず、これらが回路板間または基板の縁面部に散在することとなる。これらろう材および反応生成物は導電性のため、回路板間または基板の表裏間を絶縁するという回路基板の本来必要な特性を満足することができなくなる不具合が生じる。さらにはんだ濡れ性の維持と回路表面の耐食性向上のために、回路板にNi−PおよびNi−Bなどの無電解めっきあるいはNiなどの無電解めっきを施した際には、前記、ろう材および反応生成物の上にめっき層が堆積し、使用中に剥離しやすいという不具合も生じる。
これらを解決する手段として、特許文献1には、金属板を接合した後に、金属板の表面の所定の部分にエッチングレジスト膜(以下、「レジスト膜」ともいう)を塗布して金属板の不要部分をエッチング処理することにより回路板を形成した後、レジスト膜を維持したまま、不要なろう材およびろう材とセラミックス基板との反応生成物を除去し、その後、レジスト膜を剥離することにより、金属−セラミックス接合回路基板の形状を少ない工数または低コストで容易に制御することができ、且つ耐熱衝撃性または絶縁性に対してより高信頼性を有する金属−セラミックス接合回路基板の製造方法に関する発明がなされている。
特開2003−110222号
特許文献1に記載の技術では、ろう材および反応生成物を溶かすための薬液としてキレート剤と過酸化水素水から得られる薬液、キレート剤と過酸化水素水とpH調整剤とから得られる薬液、または弗化物系の薬品を使用することにより、セラミックス基板へのアタックやダメージを抑制することができ、フッ化水素の混酸などを用いた場合と比較して、信頼性において有利となる特徴を有する。特に、薬液のpHをpH3〜6.5に規定してアルカリ剥離型レジストの耐液性の維持とろう材の溶解速度の制御を計っている。
しかしながら、上記の特許文献1に記載の方法を用いて回路基板を製造した場合に、特にろう材およびろう材とセラミックス基板との反応生成物の除去を完全に行うために、フッ化物の添加量の多いろう材除去液を用いた場合には、回路板に色ムラが生じる外観不良、回路板表面に凹凸が生じる面粗度の悪化、はんだ付け部が剥離する接着不良、めっきが付着しにく付着不良が発生し、特にこれらの不具合は回路板周縁部に発生しやすいという問題があった。本発明者らがこの問題に関して、鋭意検討したところ、回路板周縁部において、レジスト膜がエッチング液、ろう材除去液により溶解し部分的に薄くなったり、レジスト膜端部が剥離したりし、部分的に回路板が露出し、回路板表面が腐食されることにより、回路板表面に凹凸が出来、このような不具合が発生することがわかった。
そこで、本発明者らは硬化後のレジスト膜のエッチング液、ろう材除去液への耐性をさらに上げるためにレジスト膜を硬化する目的で紫外線硬化法や熱処理硬化法などのポストベーキング処理と呼ばれる処理を施してさらなる硬化を行ったが、回路板周縁部のめっき付着不良等の発生頻度は減少するものの不良の発生が無くなることはなかった。また、レジスト膜自体の厚さを厚くして、エッチング液、ろう材除去液に対する耐性を持たせようと試みたが、厚肉のレジスト膜にUV硬化を行っても、特にレジスト膜表面から離れた金属板に近いレジスト膜部分が硬化せず、硬化が不十分な半生状態となり、金属板と密着不足のため、エッチング液やろう材除去液が浸入して、半生状態のレジストを溶かすことがあり、逆にエッチング液、ろう材除去液に対する耐性が落ちて溶解しやすくなるという問題もあった。また、厚肉のレジスト膜の場合には熱風による外部加熱を行うことにより加熱硬化させる方法もあるが、レジスト膜表面からの加熱となりレジスト膜の基板側のレジスト膜が硬化しづらいために長時間の処理が必要となりコストが上昇することや、短時間で処理を済ませる為には高温処理が必要となり、基板を加熱するため加熱処理後に基板自体に反りが生じる可能性があった。
本発明は、上記の問題点を解消するために、レジスト膜のエッチング液、ろう材除去液への耐性を向上させる技術を検討することにより、低コストで回路板周縁部表面に凹凸を生成させずに、凹凸にともなう外観不良、面粗度の悪化、接着不良、めっき不良の発生しにくい回路基板を得ることを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対応すべく鋭意検討した結果、回路板形成時に用いるレジスト膜の形状を工夫することにより、レジスト膜のエッチング液、ろう材除去液への耐性を向上させることが出来ることを見出し、本発明に想到した。 すなわち、本発明は、セラミックス基板上に形成された回路板を含んだ回路基板を形成するためのセラミックス回路基板用素材であって、前記回路板を所望の回路パターンに形成する際に、印刷マスクを用いて金属板上に塗布されたエッチングレジスト膜の硬化後の回路パターン中央部の平均厚さを30μm〜60μmとするとともに回路パターン周縁部の最大厚さを回路パターン中央部の平均厚さよりも5μm以上厚く形成したことを特徴とする。
前記エッチングレジスト膜の回路パターン周縁部の最大厚さを回路パターン中央部の平均厚さよりも5μm〜50μm厚くすると好ましい。
前記エッチングレジスト膜の回路パターン周縁部の最大厚さを40μm〜80μmとすると好ましい。
本発明のセラミックス回路基板の製造方法は、セラミックス基板と金属板とを接合する工程、前記金属板にエッチングレジストを所望形状の回路パターンに印刷する工程、エッチングレジストを硬化する工程、前記金属板の不要部分を除去するエッチング工程、エッチングレジストを保持したまま不要ろう材を除去する工程、エッチングレジストを剥離する工程を順に行うセラミックス回路基板の製造方法において、前記金属板にエッチングレジストを所望形状の回路パターンに印刷する際に、回転型粘度計を用いて温度:25℃で測定した回転速度100rpmにおける粘度が5Pa・s〜30Pa・sであるエッチングレジスト液を透過体積30cm3/m2〜90cm3/m2のエッチングレジスト印刷用マスクを用いて、スキージ速度を100mm/sec〜300mm/secで印刷することを特徴とする。
前記金属板にエッチングレジストを所望形状の回路パターンに印刷する際に用いるエッチングレジスト印刷用マスクのメッシュ径を5μm〜80μmとすると好ましい。
前記金属板にエッチングレジストを所望形状の回路パターンに印刷する際に用いるエッチングレジスト印刷用マスクの目開きを30μm〜150μmとすると好ましい。
本発明によれば、エッチング処理前のレジスト膜の形状を工夫することにより、回路パターン周縁部表面に凹凸を生成させずに、凹凸にともなうめっき不良、外観不良、面粗度の悪化、接着不良の少ないセラミックス回路基板とすることができる。また、そのようなセラミックス回路基板の製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る断面模式図。 本発明の実施の形態に係る断面模式拡大図。 本発明の実施の形態に係る製造フロー図。 本発明の実施の形態に係るレジスト膜の形状測定結果を示す図。
以下、本発明を図面に従い具体的に説明するが、それら実施例により本発明が限定されるものではない。図1に、本発明に係るセラミックス回路基板用素材の断面図の模式図を示す。本発明に係るセラミックス回路基板用素材は、図1に示すように窒化珪素などからなるセラミックス基板1の上に所定の回路パターンの回路板が得られるようにろう材2を塗布し、その上に銅板等からなる金属板3を設け、接合により1,2,3が一体化されており、金属板3の上にろう材と平面視輪郭が略一致するようにレジスト膜4が形成されている。また、絶縁基板1の下側にろう材2を塗布し、その下側に放熱板として用いられる銅板等からなる金属板3を同様に設ける。図1においては、セラミックス基板である窒化珪素からなる絶縁基板1の上にろう材を用いて銅板からなる金属板3を設けているが、絶縁基板と金属板の接合は直接接合法を用いてもかまわない。図2に図1のレジスト膜端面の拡大断面模式図を示すがレジスト膜の中央部の平均厚さT1を30μm〜60μmとするとともに、レジスト膜の周縁部5の最大厚さT2はレジスト膜中央部の平均厚さT1よりも5μm以上厚く形成されている。ここで、回路パターン周縁部5とは、図2に示すように、金属板上に形成されたレジスト膜の端部6から少なくとも200μmよりも外側の部分をいう。さらに、レジスト膜の回路パターン周縁部の最大厚さ部7が、エッチング処理により不要な金属板を除去した後の回路パターン周縁部よりも内側に形成されると好ましい。本発明に係るセラミックス回路基板用素材において、エッチング液、ろう材除去液への薬液耐性の確保には、
レジスト膜厚さとその周縁部形状の制御が必要不可欠である。
レジスト膜回路パターン中央部の平均厚さを30μm〜60μmとするのは、以下の理由による。エッチング工程、不要ろう材除去工程においてレジスト膜の薬液耐性が維持でき、レジスト膜印刷後のUV硬化過程での収縮による割れの発生がないレジスト膜が得られる厚み範囲である。レジスト膜の回路パターン中央部の平均厚さが30μm未満の場合には、エッチング工程、不要ろう材除去工程においてレジスト膜が溶解してしまい、その箇所でエッチング液、ろう材除去液のアタックを受け回路板面に凹凸を生じる不具合が生じる場合がある。また、60μm超の場合には、レジスト膜印刷後のUV硬化の過程においてUV照射がレジスト膜の深部まで行き届かずレジスト膜の深部が硬化せず、逆にレジスト膜の薬液耐性を低下させる不具合が生じる場合がある。したがって、レジスト膜の回路パターン中央部の平均厚さを30μm〜60μmとする。より好ましい範囲は40μm〜50μmである。
レジスト膜の形状は、回路パターン周縁部の最大厚さを回路パターン中央部の平均厚さよりも5μm以上厚くするのは以下の理由による。回路パターン周縁部はエッチング液、ろう材除去液により膜厚が薄くなりやすく、局所的にレジスト膜を厚くしてエッチング液、ろう材除去液への薬液耐性を向上させる必要があるためである。また、厚さの差が5μm未満の場合には、回路パターン周縁部におけるエッチング液およびろう材除去液に対する耐性の向上が期待できなくなる。また、レジスト膜の回路パターン周縁部が部分的に厚肉化されていても、内部までUV硬化するのは、全体が厚肉の場合にはレジスト膜表面に対して垂直方向のみからのUV照射となるが、回路パターン周縁部のみ厚肉の場合には周縁部のレジスト膜表面に斜面部が形成され、表面積がレジスト膜中央部よりも大きくなるとともに、斜め方向からのUV照射を受けやすくなる効果もあるために硬化するためである。さらに好ましくは、回路パターン周縁部の最大厚さを回路パターン中央部の厚さよりも5μm〜50μm厚くするとよい。厚さの差を50μmよりも大きくすると、レジスト塗布時に保形性を維持するためにレジスト液の粘性を高くする必要があり、回路パターン周縁部以外のレジスト膜の後述するレベリング性が低くなり、レジスト膜の膜厚がばらつくなどのレジスト膜形成時に問題が生じやすくなるとともに、レジスト膜のUV硬化時には、回路パターン周縁部ではレジスト膜が厚膜の為に表面部のみ硬化してしまい、レジスト膜の中心まで紫外線が届かずに硬化が不十分な半生の状態になり、エッチング液、ろう材除去液耐性が維持できない場合がある。更に好ましくは回路パターン周縁部の最大厚さを回路パターン中央部の平均厚さよりも8〜35μm厚くすると良い。
また、レジスト膜硬化後のレジスト膜の回路パターン周縁部の最大厚さを40μm〜80μmとするとよい。これは、エッチング工程と不要ろう材除去工程において薬液耐性が維持できる好ましい厚み範囲である。特に、回路パターン周縁部は、エッチング液、ろう材除去液によるレジスト膜の溶解が著しく、レジスト膜が薄くなる現象が生じやすくなる。このため回路パターン周縁部のレジスト膜の厚さが40μm未満の場合には、レジスト膜が部分的に溶解消滅し、もしくはレジスト膜端部が剥離し、回路パターン周縁部において薬液の影響により回路板が溶解され表面に凹凸が発生しやすくなる場合がある。また、レジスト膜の回路パターン周縁部の厚さが80μm超の場合には、例えばレジスト膜印刷後のUV硬化の過程において、UV照射が中まで行き届かず中心部が硬化せず、半生状態となり逆にレジスト膜の薬液耐性を低下させる不具合が生じる場合がある。したがって、回路パターン周縁部の厚さは40μm〜80μmとすることが好ましい。さらに好ましい範囲は、50μm〜70μmである。
また、レジスト膜の表面粗さをRa0.2μm〜10μmとするとよい。レジスト膜の表面粗さは、用いる印刷マスクのメッシュ線径およびレベリング時間(印刷後にレジスト液が膜厚均等に拡がるまでに要する時間)に依存する。表面粗さが小さいほど、膜厚のばらつきの少ないレジスト膜を得ることになるが、この場合には、メッシュ線径を小さく(例えば、20μm径)、また、レベリング時間を長く(例えば3min)する必要がある。しかしながら、メッシュ線径を小さくすることは、透過体積を低減させることになり、結果としてレジスト膜厚さが不足するという不具合が生じやすくなる。また、レベリング時間を長くすることは、レジスト膜印刷のタクトタイムを長くすることになり、生産性を著しく低下させる。したがって、レジスト膜の表面粗さは、Ra0.2μm以上であることが望ましい。一方、Raが10μmよりも大きいとレジスト膜の厚さの差が大きくなり過ぎレジスト膜に部分的に薄い部分が出来やすくなり、エッチング処理時、不要ろう材除去時にレジスト膜の薄い部分が溶解し、金属回路面が露出し、回路板表面を溶解する場合があるからである。より好ましいレジスト膜の表面粗さはRa0.5μm〜5μmである。
本発明のセラミックス回路基板用素材でレジスト膜の回路パターン周縁部の厚さを回路パターン中央部の厚さよりも5μm以上厚く形成するためには、印刷マスクを用いてレジスト膜を印刷する際に、レジスト液の粘度、印刷マスクの透過体積、印刷に用いるスキージの速度をバランスすることにより、形成することができる。他の形成方法としては、用いる印刷マスクの回路板周縁部に相当する部分のレジスト液透過性を上げることにより、回路パターン周縁部のレジスト膜の厚さを厚く形成することができる。さらに、回路パターン周縁部にレジスト液を複数回塗布することや、ディスペンサーでレジスト液を周縁部のみ部分的に塗布することにより、回路パターン周縁部のレジスト膜の厚さを中央部よりも厚く形成することができる。
次に本発明のセラミックス回路基板の製造方法について説明する。図3は、本発明のセラミックス回路基板の製造方法を示す一例のフロー図である。図3においては、セラミックス基板の一方の面に金属回路を形成する工程を示している。本発明の最大の特徴は、図3に示すレジスト印刷工程において、印刷方法を工夫し、形成するレジスト膜の性状を工夫することにより、エッチング工程のみならず、不要ろう材除去工程を、金属板面にレジスト膜を残したまま容易に行うことが可能となるように優れた薬液耐性をレジスト膜に持たせた点にある。以下、更に詳しく本発明を説明する。
本発明のセラミックス回路基板の製造方法を示す一例を図3に示すフロー図に従いながら、以下説明する。
本発明のセラミックス基板としては、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ほう素、酸化アルミニウム、及びこれらの複合系を主成分とするものなどが挙げられるが、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムが最も一般的である。最近では特にパワー半導体モジュール基板への適用を考えた場合、実装信頼性及び冷熱繰り返し特性の観点から、特に厚さ方向に対する高靭性を有し、かつ、高強度であって、放熱性の観点から高熱伝導性を備えたものが望ましく、窒化珪素の使用が進んでいる。窒化珪素を用いる場合、熱伝導性の観点から窒化珪素基板のβ型窒化珪素結晶粒子の長軸径と短軸径との平均比率である平均アスペクト比が1.5より大きく5以下であることが望ましい。
セラミックス基板の厚さは、0.2mmより厚く1.0mm以下であることが望ましい。セラミックス基板の厚さが0.2mm以下である場合には、基板自身の剛性の低下により、冷熱繰り返しにともなう回路板の伸縮にともない、セラミックス基板の繰り返し変形量が大きくなり、このため回路板とセラミックス基板との接合信頼性が低下してしまう。また、金属からなる回路板とセラミックス基板の裏面に接合される金属放熱板との間、即ち、セラミックス基板表裏間における絶縁耐圧が低下するため、セラミックス基板としての使用範囲が限定されてしまう。これに対し、セラミックス基板の厚さが1.0mmより厚い場合には、セラミックス基板自体の熱伝導率は、金属からなる回路板の熱伝導率(例えば銅(Cu):390W/m・K)に比較して、窒化珪素の場合90W/m・K、窒化アルミの場合には170W/m・Kと低いため、このセラミックス基板の厚さを1.0mmより厚くすると、セラミックス基板としての放熱性を低下させてしまう。好ましいセラミックス基板の厚さは0.25mm〜0.8mmである。
セラミックス基板は金属板をろう材印刷工程前に表面処理を行うと好ましい。即ち、上記セラミックス基板にブラスト処理を施し、セラミックス基板の表面粗さRmaxを3μmより大きく20μm以下に制御する。ブラスト処理には、コンプレッサーエアーで酸化アルミニウム(アルミナ)(Al)等の研磨材を被研磨品に吹き付ける乾式ブラスト処理やコンプレッサーエアーで研磨材と溶液の混合物を被研磨品に吹き付ける湿式ブラスト処理がある。
また、本発明で使用されるセラミックス回路基板の金属板は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金であり、その中でも銅及び銅合金が好ましい。特に高い放熱性が要求されるパワー半導体モジュール用のセラミックス回路基板としては、酸素を僅かに含むタフピッチ銅および無酸素銅板がこれに適している。金属板の厚みは、一般的には0.3mmであるが、パワー半導体素子の発熱密度の増大に伴い、更なる高熱伝導性を有するセラミックス回路基板が必要となり、セラミックス基板の表面に形成される金属回路形成用金属板が厚膜化の傾向にある。この場合0.4mm以上の銅回路板が用いられ、セラミックスと金属回路板界面の接合信頼性確保といった観点から機械特性に優れた窒化珪素が最適である。好ましくは0.5mm〜1.0mmである。
図3に示す本発明のセラミックス回路基板の製造方法を示すフロー図に従い説明する。(1)ろう材印刷工程 表面処理されたセラミックス基板の表面に活性金属ろう材を用いて金属板を接合する。まず、金属板を接合するためにろう材印刷工程を行う。ろう材としては、金属板が銅及び銅合金の場合、銀(Ag)−銅(Cu)−チタン(Ti)系、銅(Cu)−金(Au)−チタン(Ti)系など、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)等の活性金属と低融点合金を作る銀(Ag)、銅等の金属を混合又は合金としたものを用いる。金属板がアルミおよびアルミ合金の場合、Al−Si系合金またはこれに防錆効果のあるGe、低融点化剤のMgを微量添加したAl−Si−Ge系またはAl−Si−Mg系のろう材金属が用いられる。セラミックス基板の所定箇所に上記ろう材のペーストを、用いるろう材粉末の粒度に依存するが、例えば厚さ10μm〜50μm程度の所望の回路基板形状に塗布する。
(2)ろう付け工程 上記ろう材の表面に回路板として厚さ0.3mm以上の金属箔又は金属板を載置し、例えば、780℃〜900℃で加圧しながら接合する。加圧時間は0.5時間〜7時間が好ましい。
(3)レジスト印刷工程 上記工程により得られた接合体の金属面にレジスト膜が所望の回路パターンに印刷される。レジストの選定は特に重要であり、レジスト膜パターン印刷の後に続く乾燥・硬化等のライン構成を考慮した場合には、即時に乾燥・硬化する紫外線硬化型でアルカリ剥離タイプのものを用いるとよい。
本発明に用いられるレジスト液のうち、例えば紫外線硬化型レジストは、共重合系アクリレート・オリゴマー、アクリル酸エステル・モノマー、充填剤、光重合開始剤、色素調整剤、および消泡・レベリング剤から構成される。主成分の共重合系アクリレート・オリゴマーは、縮合・重合反応して硬化する高粘性ポリマーである。主成分である共重合系アクリレート・オリゴマーには、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどから
なる共重合樹脂である。また、アクリル酸エステル・モノマーには、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、エトキシージーエチレングリコールアクリレート、2ヒドロキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等である。光重合開始剤のラジカル反応により、アクリル酸エステル・モノマーを伴って高分子ポリマー化する。この場合、重合の度合いによりエッチング液、ろう材除去液への薬液耐性を向上させることができる。また、アクリル酸エステル・モノマーは、上記、高分子ポリマーとしての骨格形成に寄与することに加えて、硬化前のペーストの状態では、流動性を与えるための粘度調整剤として働き、硬化後にはポリマーの可撓性および回路板への密着性の発現に寄与する。
また、充填剤は、ペーストとしての流動性の改善、増容積剤および疎水性の発現に寄与する。充填剤としては、タルク、硫酸バリウムおよびシリカを個々におよび複合添加したものである。また、光重合開始剤は、水銀灯などの光源により紫外線エネルギーを吸収してラジカル反応を開始し、主成分ポリマーの重合化を促進させる。光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、イソブチルベンゾインエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびベンゾフェノン等である。また、色素調整剤は、構造骨格中心部にCuが配置してこの部分が青色に発色し、紫外線エネルギーの吸収の度合いによって青色から黒色化するため、レジスト膜硬化度および高ポリマー化の尺度となる。色素調整剤としては、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等である。色素調整剤としてフタロシアニンブルーを含有した紫外性硬化型レジストを用いると好ましい。フタロシアニンブルーは、紫外線の吸収の度合いで本来の青色から段階的に黒色化する。したがって、黒色化の度合いを定量化することで、レジスト膜の硬化度合を定量化でき、従ってレジスト薬液耐性をモニタリングすることが可能となる。
また、消泡・レベリング剤は、ペースト印刷時に巻き込んだ気泡を速やかに発泡させ、また印刷マスクへのレジストの濡れ性および回路板への密着性の改善に寄与する。消泡・レベリング剤は、シリコーン系のものである。特に主成分である共重合系アクリレート・オリゴマーには、ポリエステルアクリレートあるいはエポキシアクリレートが、アクリル酸エステル・モノマーには、ステアリルアクリレートが、充填剤は、タルク、硫酸バリウムおよびシリカを複合した無機粉末からなり、また、光重合開始剤は、ベンゾフェノンあるいはジエトキシアセトフェノンが好ましい。
ここで、ろう材除去液耐性の確保には、紫外線照射による硬化したレジスト膜が所定の厚さおよび形状に制御するには、レジストペーストの粘度に影響する充填剤の種類およびそれら含有量の制御が重要である。
本発明に用いたレジストに含有する充填剤の例としては、平均1次粒子径が1μm〜20μmのタルクMg3H2(SiO3)4を10wt%〜20wt%、平均1次粒子径が1μm〜30μmの硫酸バリウム(BaSO)を20wt%〜30wt%および平均1次粒子径が5nm〜20nmのシリカ(SiO)を1wt%〜5wt%とすることが望ましい。それぞれ、規定の下限値未満となると所定の粘度が得られず、印刷後のレジスト膜に流れが発生して保形性が維持できない場合がある。このため、印刷効率向上を意図した1ショットで行う印刷では厚膜化ができなくなる。また、それぞれの規定の上限値を超えるとレジストの流動性が阻害され、この場合には金属板表面への所望形状のレジスト印刷ができなくなる場合がある。したがって、それぞれの充填剤粉末の含有量は、上記の範囲にあることが望ましい。本発明で用いられるレジストは共重合系アクリレート・オリゴマー:10wt%〜20wt%、アクリル酸エステル・モノマー:40wt%〜50wt%、充填材:25wt%〜55wt%、色素調整剤:0.1wt%〜1.0wt%、光重合開始材:1wt%〜5wt%、消泡・レベリング剤:0.1wt%〜1wt%であると好ましい。
さらにレジスト液の粘性は、レジスト膜厚さ、形状に加えて印刷精度に影響する。レジスト粘度が高い場合には、レベリング性が低下してレジスト膜表面に窪み部が残り、さらに過度に高くなる場合には、レジスト膜は目視においても金属板表面が確認できるような空孔部となる。一方、レジスト粘性が低い場合には、レベリング性は保証されるものの、本発明のレジスト膜の回路パターン周縁部の最大厚さを回路パターン中央部の厚さよりも5μm以上厚く形成するような所望のレジスト膜形状に制御することが難しく、さらに過度に低くなる場合にはレジスト膜流れが生じて所望形状のレジスト膜パターンを維持することが困難となる。したがって、レジスト液を回転型粘度計を用いて温度25℃で測定した回転数100rpmにおける粘度を5Pa・s〜30Pa・sとする。ここで用いられる回転型粘度計は、BROOK FIELD社製 DV−2+Pro VISCOMETERで、スピンドルにはSC4−14型を用いて測定した。更に好ましい粘度は温度25℃で測定した回転数100rpmにおける粘度が7Pa・s〜15Pa・sである。
また、回路パターンの印刷方法としては、スクリーン印刷、ロールコーターなどが適用されるが、レジスト膜印刷後の乾燥・硬化後に、改めて露光、現像および洗浄工程を必要としないで所定のパターンを形成することができるスクリーン印刷法を用いる。
スクリーン印刷時にはゴム製のワイパー状のスキージが用いられる。印刷時に印刷スクリーンの上にレジスト液を供給した後に、印刷スクリーン上をレジスト液を押し込むようにスキージを移動させることにより、レジスト液を金属板表面に塗布することが出来る。なお、スキージとして、メタル製、樹脂製、ゴム製があるが、接合体表面の反り形状に追従できる樹脂製あるいはゴム製が好ましく、さらに、洗浄時に使用する有機溶剤への耐久性を有するウレタンゴム製が望ましい。印刷時の印刷スクリーン上をスキージを移動させる速度であるスキージ速度は、レジスト膜厚さおよび連続印刷性に影響するが、特に本発明の特徴であるレジスト膜周縁部の厚さに影響を与える。スクリーン印刷は、速度が遅いと印刷時に金属板表面にレジスト膜を転写(押し込む)すると同時にスキージにより掻き取る作用が働くためレジスト膜を厚膜化することができない。また、スキージ速度が遅いとレジスト液の粘性挙動に大きく影響を受け、印刷ショット間での実際に転写されるレジスト液量にばらつきを生じるため、レジスト膜厚さのばらつきが生じる場合があった。このため、スキージ速度を上げることで、転写(押し込む)作用のみを発現させて厚膜化することが出来るとともに印刷ショット間での実際に転写されるレジスト液量にばらつきを生じにくく、レジスト膜厚さのばらつきが少なくなる。本願発明者らが鋭意検討した結果、さらにスキージ速度を上げていくことで、レジスト膜中央部に比べてレジスト膜周縁部の厚さを厚く形成することが出来ることを見出した。しかし、スキージ速度が早すぎるとレジスト液の粘性挙動に大きく影響を受け、レジスト膜端部を所望形状に制御できないという不具合が生じる場合があった。したがって、印刷時のスキージ速度は、100mm/sec〜300mm/secである。さらに好ましくは150mm/sec〜250mm/secである。
本発明における印刷方法は、1回のみのショットで30μm以上厚に印刷するために、印刷時の印刷マスクの透過体積が特に重要である。そのため、用いる印刷マスクのメッシュ線径、目開き、およびレジスト液の粘性を個々に調整する必要がある。透過体積とは1回のショットでペーストが通過できる空間のことであり、透過体積=(目開き)2/(目開き+線径)2xスクリーン厚さで示される。本発明に用いる印刷マスクは、その透過体積が30cm3/m2〜90cm3/m2の範囲である。印刷マスクの透過体積が30cm3/m2未満では、上記粘度のレジスト液を用いた場合、所望の厚さを得ることができず、エッチング工程、不要ろう材除去工程の段階でレジスト膜が溶解してしまい、回路表面部に凹凸部が形成される不具合が生じる場合がある。また、印刷マスクの透過体積が90cm3/m2超の場合には、レジスト膜自身は印刷できるものの、レジスト膜厚が厚すぎるため、レジスト膜内部で硬化速度、収縮速度に部分的に差が生じるため、割れが生じたり、レジスト液のレベリング効果不足により印刷マスクのマスク線形状に格子状のピットが残存する不具合が生じる場合がある。したがって、用いる印刷マスクの透過体積が30〜90cm3/m2の範囲のものを用いる。さらに好ましい印刷マスクの透過体積は40cm3/m2〜70cm3/m2である。
レジスト膜印刷に用いられる印刷マスクのメッシュ線径は、特に、レジスト膜印刷後のレジスト膜のレベリング性と印刷精度に影響する。ここでレベリング性とは、印刷後に印刷マスク線クロス部(印刷マスク線が交差した部分)にできるレジスト膜欠乏部をいかに埋めることができるかを示した尺度である。レジスト膜印刷直後は、印刷マスク線クロス部に出来るレジスト膜欠乏部にはレジスト膜が埋まっておらず、印刷マスクが離れた後にこの空間部にレジスト膜が流れ込むことで全体を均一化したレジスト膜となる。メッシュ線径が太過ぎる場合には、印刷マスク線クロス部の体積が大きくなり、必要なレジスト膜量が多くなるため、上記、空間部を十分に埋めることができなくなり印刷マスク線クロス部のあった部分のレジスト膜表面に窪みが残ることがある。これらの窪みは、レジスト膜が薄いためにエッチング工程、不要ろう材除去工程においてエッチング液、ろう材除去液が選択的にアタックするため、この箇所からレジスト膜溶解が進行し、回路板表面に凹凸が生じる。また、印刷後のレジスト膜端部の直線性も低下する。一方、メッシュ線径が細過ぎる場合には、レベリング性は問題ないもののマスク自身の厚みがなくなるためレジスト膜を30μm以上の厚さとすることができない。したがって、レジスト膜印刷用マスクのメッシュ線径を5μm〜80μmとすることが望ましい。好ましいレジスト膜印刷用マスクのメッシュ線径は20μm〜60μmである。
印刷マスクのメッシュ目開きは、レジスト膜厚さに加えて印刷精度およびUV硬化性に影響する。メッシュ目開きが大きい場合には、レジスト液の透過体積が大きくなるため厚膜化への効果があるが、その一方で、目開きが大きく、また、通常は目開きに応じて太いメッシュ線径であるため、印刷端部の直線部ににじみ現象が生じる。また、UV硬化時には、目開き部を透過したレジスト同士が再接触する界面において、容易にレベリング性を発揮することができずにレジスト膜厚さに差が生じ、レジスト膜表面は凹凸形状になる。この場合、レジスト液硬化時に収縮挙動の差が生じるためクラック発生の不具合が生じる。一方、目開きが小さい場合には、レジスト液に含有されている主にセラミックス粒子からなる充填剤がメッシュを透過することができず、所望の組成のレジスト膜とすることができなくなることもある。したがって、レジスト膜印刷用マスクの目開きを30μm〜120μmとすることが望ましい。更に好ましいレジスト膜印刷用マスクの目開きは50μm〜120μmである。
(4)レジスト乾燥・硬化工程 所定形状のレジスト膜パターンへの印刷工程後におけるレジスト膜乾燥・硬化方法として、紫外線硬化を用いる場合、紫外線出力を1kW〜8kWとすることが望ましい。出力が1kW未満では、レジスト膜硬化不足となり回路板との密着性が維持できない。また、出力が8kWよりも大きくなると、レジスト膜の収縮速度が速くなり、レジスト膜に乾燥クラックが発生する不具合が生
ずる。したがって、用いる紫外線硬化装置の照射出力は、1kW〜8kWとすることが好ましい。さらに2kW〜5kWとすることが好ましい。また、紫外線硬化装置内のセラミックス回路基板用素材の搬送速度は20cm/min〜200cm/minとすることが望ましい。搬送速度が20cm/min未満では、照射出力が高い場合と同様のレジスト膜に乾燥クラックが発生し、また、200cm/min超では、照射不足となりレジスト膜の硬化が十分でない場合がある。したがって、装置内の搬送速度は20cm/min〜200cm/minとすることが好ましい。
(5)ポストベーク工程 エッチング液、ろう材除去液への薬液耐性を更に向上させる手法として、さらにレジスト硬化工程の紫外線硬化に加えてポストベーク処理を行うと好ましい。この場合、紫外線処理または加熱処理のいずれにおいてもその効果を発現することができる。紫外線硬化法を採用する場合には、紫外線出力を2kW〜10kWとすることが望ましい。出力が2kW未満では、レジスト膜が十分に硬化せずにレジスト膜のエッチング液、ろう材除去液への薬液耐性を維持することができない場合がある。また、出力が10kW超となると、レジスト膜が過度に硬化して脆くなりポストベーク処理後の冷却過程においてレジスト膜と金属板との収縮差が生じてレジスト膜が剥離する不具合が生ずる場合がある。したがって、用いる紫外線硬化装置の照射出力は、2kW以上10kW以下とすることが好ましい。さらに3kW〜5kWとすることが好ましい。また、装置内の搬送速度は20cm/min〜200cm/minとすることが望ましい。装置内の搬送速度が20cm/min未満では、照射出力が高い場合と同様にレジスト膜剥離が生じやすく、また、200cm/min超では、照射不足となりエッチング液、ろう材除去液への薬液耐性を確保できなくなる。したがって、装置内の搬送速度は20cm/min〜200cm/minとすることが好ましい。
また、ポストベーク工程において、加熱硬化法を採用する場合には加熱温度を200℃〜300℃、また、保持時間を5分〜30分とすることが望ましい。加熱温度が200℃未満、保持時間5分未満では、十分なレジスト膜硬化が達成できない場合がある。また、加熱温度が300℃超、保持時間30分超では、レジスト膜が過度に硬化して脆くなり冷却過程においてレジスト膜と金属板との収縮差が生じてレジスト膜が剥離する不具合が生じたり、セラミックス回路基板に曲がりが生じたりする場合がある。したがって、加熱温度を200℃〜300℃、保持時間を5分〜30分とすることが好ましい。さらに好ましくは、210℃〜250℃である。
本発明では、レジスト膜のUVによる硬化度合いを測定するための色素調整剤としてフタロシアニンブルーを含有させた紫外性硬化型レジストを用いると好ましい。その場合には、UVによる硬化度合を測定するために分光光度計を用いて青色発光域の波長450nmにおける反射率の範囲を測定すると好ましい。すなわち、ポストベーク処理後におけるレジスト膜表面部の青色発光域の波長450nmにおける反射率が85%以下となるとレジスト液、不要ろう材除去液に対して十分な耐性を有することから、望ましく、更に好ましくは75%以下の範囲である。なお、色素調整剤をフタロシアニングリーンとした場合には、紫外線の吸収の度合いで本来の緑色から段階的に黒色化する。したがってこの場合には、緑色発光域の波長550nmにおける反射率の範囲を測定すればよい。
(6)エッチング工程 次にエッチング液によってレジスト膜が表面に塗布された部分以外の金属板が除去され、回路板表面にはまだレジスト膜が残ったままの金属回路が形成される。エッチング液としては、金属板が銅板又は銅合金板である場合には塩化第2鉄溶液や塩化第2銅溶液が使用される。アルミ板、アルミ合金板の場合にも塩化第2鉄溶液や塩化第2銅溶液が使用されるが、アルミの場合には、銅よりもエッチング速度が速いため、所定の寸法に制御するためには、アルミとの反応速度が緩やかな塩化第2銅溶液が好ましい。
(7)不要ろう材除去工程 次いで、回路板表面にレジスト膜が残ったままの状態で回路パターン間に存在する不要ろう材をろう材除去液で除去する。
不要ろう材の除去液は主にフッ素化合物と過酸化水素と水で構成される。フッ素化合物としては、フッ酸及びナトリウム、アンモニウム等のフッ化物があるが、安全性と不要ろう材の除去効果の面からフッ化アンモニウムが好ましい。中でも、水素二フッ化アンモニウムが望ましい。フッ素化合物の濃度としては、1wt%〜20wt%とすることが望ましい。フッ素化合物の濃度が1wt%よりも小さいと不要ろう材の除去効果が不十分となる場合があり、一方20wt%よりも大きいと取扱性と安全性が悪くなり、更には回路パターン部のろう材まで浸食されて必要な接合強度を確保することができなくなる場合がある。特にフッ素化合物の濃度は5wt%〜15wt%が望ましい。
過酸化水素は、フッ素化合物による不要ろう材の除去効果を助長させるために使用されるものであり、その濃度としては2wt%〜40wt%が好ましい。2wt%よりも小さいと上記助長効果が充分でなくなり、また40wt%よりも大きいと過酸化水素の分解が激しくなって薬液組成のコントロールが困難となる。
ろう材の薬液による処理温度としては、30℃〜60℃が好ましい。30℃よりも低温では不要ろう材の充分な除去効果は得られず、また60℃よりも高温であるとろう材除去液中の過酸化水素がレジスト膜と反応して、レジスト膜表面部に気泡が生成し、過度な場合には金属回路板からレジスト膜が剥離してしまい、回路板表面が腐食される不具合が生じる。また、上記、過酸化水素濃度を規定した溶液を用いた場合には、処理時間については30分〜90分として、レジスト膜表面への不均一な溶解反応を抑制することが望ましい。不要ろう材除去処理時間が長いと、レジスト厚さが薄い部分が集中的に溶解する不具合が生じやすくなるので、これを抑制する時間が90分までである。
(8)ろう材剥離工程 次にNaOH溶液により金属回路面に残存しているレジスト膜を剥離する。この場合、従来のレジスト膜とは異なり、本発明ではレジスト膜の回路パターン周縁部の厚さを回路パターン中央部の厚さよりも5μm以上厚く形成している。そのために、回路パターン周縁部のレジスト膜の薬液耐性が高くなっている。したがって、従来のレジスト膜では、レジスト膜剥離時に、最終仕上げ回路面にエッチング処理時もしくは不要ろう材除去時に回路板表面部が薬液により侵食されたことに起因した凹凸が発生する不具合が生じ、単なる外観不良に留まらずに、極端なはんだ濡れ性劣化が起こっていたのに対し、本発明の場合には、強力なレジスト膜剥離液を用いても、そのような不具合が生じ難い。
本発明では3wt%〜10wt%の濃度のNaOH水溶液を用い、温度を30℃〜60℃として、剥離のための浸漬処理時間を3分〜15分とすると好ましい。さらに水洗で2分程度、流水に浸漬・浴動してレジスト膜剥離液の除去を行った。なお、50℃程度の湯水を用いた場合はその除去効果が高く望ましい。レジスト膜剥離液のNaOH濃度が3wt%未満では、レジスト膜残渣がある場合があり、また、10wt%超の高濃度のアルカリ溶液では、レジスト膜剥離は容易にできるものの、その反面、レジスト膜剥離直後の回路板が剥離液に触れるとアルカリ腐食(赤色のアルカリ焼け)が進行して、回路表面に凹凸形状が形成され、HSOをベースとした酸溶液による処理を施しても所定の面粗さに回復できなくなる場合があった。したがって、NaOHの濃度は3wt%〜10wt%の水溶液とすることが望ましい。処理時間が3分未満では、レジスト膜残渣があり、また、15分超では上記のアルカリ腐食が大きくなる。したがって、レジスト膜剥離のための浸漬処理時間は、3分〜15分とすることが望ましい。
次に、必要に応じて、セラミックス回路基板を構成する回路パターンの表面にニッケルめっきを施す。この処理は、例えば、上記プロセスを経たセラミックス回路基板を、所定温度(例えば、85℃)を有する無電解ニッケルめっき液中に所定時間(例えば、20分〜30分)浸漬して行う。無電解ニッケルめっき液は、ニッケル(Ni)を主成分としてリン(P)あるいはボロン(B)等を含有し、リン(P)の濃度は、例えば、3wt%〜11wt%である。無電解ニッケルめっき液は、リン(P)の濃度が3wt%であるものが低リン(P)タイプ、リン(P)の濃度が6wt%〜8wt%であるものが中リン(P)タイプ、リン(P)の濃度が11wt%であるものが高リン(P)タイプとそれぞれ呼ばれている。本発明の実施の形態では、これら何れのタイプの無電解ニッケルめっき液も利用することができる。
また、めっきを省略して防錆処理膜のみとする場合もある。この防錆処理膜は、例えば、有機防錆剤であるベンゾトリアゾール系防錆剤をIPA(イソプロピルアルコール)に溶かした0.5wt%〜5wt%溶液を用いて酸溶液処理後のセラミックス回路基板表面部に塗布する。この技術によれば、以下の問題点が解決できる特徴を有する。すなわち、上記の酸溶液処理と無電解Ni−Pめっきを用いた方法で製造されたセラミックス回路基板上に鉛レスのはんだ層を形成すると、回路板表面のめっき層に含まれるP(隣)成分と、鉛レスはんだ層とが反応を起こし脆性層が生成される場合がある。これにより、はんだ層が脆くなり半導体モジュールの信頼性が低下するという問題がある。さらに、無電解Ni−Pめっきの工程を行う場合には、このめっき工程だけでなく、めっき前の脱脂、酸化スケール除去および硫酸パラジュウムあるいは塩化パラジュウム溶液などの触媒付与処理、さらに、セラミックス部分の残留パラジュウムの除去処理等、めっき後にはめっき液を洗浄除去する工程等、これに付随して多数の工程も必要になるため、セラミックス回路基板製造コストが上昇するという問題もある。
(実施例1) 以下、本発明の実施例について説明する。ただし、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
[実施例1] 幅60mm×長さ50mm×厚さ0.32mmサイズの窒化珪素製セラミックス基板に対して、スクリーン印刷法により77wt%Ag−15wt%Cu−5wt%In−3wt%Tiからなるろう材を回路板側では、28mm×48mmの2箇所、放熱板側では、59mm×49mmの1箇所厚さ30μmに塗布し、その両側に幅60mm×長さ50mm×厚さ0.5mmのCu板を配置し、真空炉中において820℃で1時間保持し、セラミックス基板とCu板をろう付けした接合体を得た。
続いて、表1に示すように印刷マスク、印刷条件を調整することにより、所望の形状の回路パターンに表2に示すように共重合系アクリレート・オリゴマーとアクリル酸エステル・モノマーを併せて60wt%混合し、残部が色素調整剤:0.5wt%、光重合開始材:1wt%、消泡・レベリング剤:0.5wt%および残部が平均1次粒子径が5μmのタルクMg3H2(SiO3)4を12wt%、平均1次粒子径が5μmの硫酸バリウム(BaSO)を23wt%および平均1次粒子径が5nmのシリカ(SiO)を3重量%含む充填剤よりなるレジスト液A〜Kの紫外線硬化アルカリ剥離型レジストをスクリーン印刷により所定の厚さに塗布し、紫外線照射装置中を紫外線出力を2kW、セラミックス回路基板用素材の搬送速度を100cm/minで移動させ、レジスト膜を乾燥・硬化させた。
また、レジスト膜印刷・硬化後の表面部の形状および厚さの評価は、3次元形状評価装置(キーエンス社製:LT−8100)を用いて行った。図4にその評価例を示す。(実施例No.34)レジスト膜中央部の平均厚さは3次元測定によるレジスト凹凸形状
の凹部とCu表面の距離を示している。また、レジスト膜周縁部の最大高さは3次元測定によるレジスト凹凸形状の最大凸部とCu表面の距離を示している。また、レジスト膜剥離および気泡の有無について5倍の拡大鏡を用いて目視にて評価した。さらに、表1に示す条件で紫外線照射装置によりポストベークを加えることで、レジスト膜の重合化により硬化を促進させた。ポストベーク処理後のレジスト膜の反射率、レジスト印刷精度を評価した。レジスト表面反射率(%)は日本分光製 分光光度計 V630を用い、450nmの表面反射率を測定した。レジスト表面の色調変化について、測定波長範囲:350nmから550nmまでの反射率を測定して、450nmにおける反射率を評価した。レジスト印刷精度は、レジスト印刷の直線性を示し、評価長さ2mmにおける寸法のばらつきが±50μm以内を○、それ以上を×とした。
次に、77wt%塩化第2鉄溶液、3wt%塩酸からなるエッチング液により銅板の不要部分を除去して回路パターンを形成した。続いて、この回路パターン間や基板の縁面の不要なろう材を除去するため、HSO水溶液に30℃で2分間浸漬した後、5wt%水素二フッ化アンモニウムと30wt%過酸化水素水(35w/w%)および1wt%HSOの混合溶液に、液温45℃で60分間浸漬して不要ろう材を除去処理を行った。また、レジスト膜剥離および気泡の有無について5倍の拡大鏡を用いて、気泡の有無は、レジスト表面の円形状の盛り上がりが有無を、レジスト剥離については、特に、レジストの青色から白色化するので、その有無で目視にて評価した。
続いて、3wt%NaOH溶液を用いてレジスト膜を剥離した。また、回路板周縁部の凹凸の有無について5倍の拡大鏡を用いて目視にて評価した。回路板周辺部が、ろう材除去液に侵されると、周辺部の凹凸が形成され、その部分が赤褐色に変色する。この変色度合いを観察することにより、回路周縁部の凹凸の有無を判断しています。
Figure 0006156760
Figure 0006156760
以下、表1に本発明の実施例と比較例を示す。先ず、表1の実施例No.1〜33より以下の知見が得られた。No.1〜12は、印刷マスクの目開きを変更することで透過体積を所定の範囲に制御した場合の、No.13〜18は、用いるレジスト液の粘度を変更することで、また、No.19〜24は、印刷速度を変更することで、さらに、No.25〜33は、印刷マスクのメッシュ線径を変更することで透過体積を所定の範囲に制御した場合の、それぞれ、紫外線乾燥・硬化後のレジスト厚さおよびレジストの割れ、格子状ピットの有無を評価した。さらに、ポストベーク処理後の反射率、レジスト印刷精度、ろう剤除去耐性、回路板表面での凹部の有無を評価した。本発明では、用いるレジスト液の粘性を5Pa・s〜30Pa・s、印刷速度を100mm/sec〜300mm/sec、印刷マスクの透過体積を30cm3/m2〜90cm3/m2とすることで、UV乾燥・硬化後のレジスト膜の回路パターン中央部の平均厚さを30μm〜60μmとするとともに回路パターン周縁部の最大厚さを回路パターン中央部の平均厚さよりも5μm以上厚く形成することでき、これにより、レジスト液のレベリング効果不足により格子状のピットが残存したり、紫外線乾燥・硬化処理の段階で割れるといった不具合が解消される。また、レジスト印刷精度に優れるため、高精度に回路パターン寸法が得られる。さらにエッチング液、不要ろう材除去液への耐性を向上させることが出来たため、特に回路板周縁部表面に凹凸の無いセラミックス回路基板を得ることが出来た。
(比較例) 用いたレジスト、無酸素銅と窒化珪素基板からなる接合体は、上記実施例と同様に行い、表1に示す試料101および102は、レジスト粘性の異なるレジスト液を用い、UV乾燥・硬化後のレジスト厚さを変更した。また、試料103、104および107は、レジスト塗布の印刷速度を変更させた。また、試料105、106および108は、印刷マスクの透過体積を変更した。
No.101は、粘度が5Pa.s未満のレジスト液を用いた場合であり、所望のレジスト厚さが得られない。このため、不要ろう材除去工程においてレジスト剥離、気泡が生じ、回路板表面部に凹凸部が形成され、回路板表面部が白濁する外観不良が生じた。
No.102は、粘度が30Pa.s超のレジスト液を用いた場合であり、レジストの流動性が悪く、UV乾燥・硬化後に格子状のピットが形成する。このため、不要ろう材除去工程においてレジスト気泡が生じ、回路板表面部に凹凸部が形成され、回路板表面部が白濁する外観不良が生じた。また、レジスト印刷精度にばらつきが生じ、これにより製品の回路パターン寸法精度が低下した。
No.103は、印刷速度が100mm/sec未満であり、この場合には、レジスト粘性挙動に影響され、レジスト印刷精度にばらつきが生じ、これにより製品の回路パターン寸法精度が低下したために製品として使用できない。
No.104は、印刷速度が300mm/sec超であり、この場合にも、レジスト粘性挙動に影響され、特に、印刷方向へのレジスト印刷精度にばらつきが生じ、これにより製品の回路パターン寸法精度が低下したために製品として使用できない。
No.105は、用いる印刷マスクの透過体積を30cm3/m2未満とした場合であり、これによりレジスト厚さが回路パターン中央部で27μm、回路パターン周縁部で29μmと薄く、不要ろう材除去工程においてレジスト剥離、気泡が生じ、回路板表面部に凹凸部が形成され、回路板表面部が白濁する外観不良が生じた。
No.106は、用いる印刷マスクの透過体積を90cm3/m2超とした場合であり、これによりレジスト厚さが回路パターン中央部で75μm、回路パターン周縁部で79μmと厚く、紫外線硬化処理の段階でレジスト割れが発生し、また、これに加えてレジストペーストのレベリング効果不足による格子状のピットが残存する不具合が生じた。さらに、不要ろう材除去工程において、レジスト割れおよびピット部からろう材除去液が侵入してレジスト剥離が生じた。これにより、回路板表面部に凹凸部が形成され回路板表面部が白濁する外観不良が生じた。
No.107は、粘度が30Pa.sと高めのレジスト液を用いた場合であり、印刷速度が100mm/sec未満であり、これによりレジスト厚さが回路パターン中央部で45μm、回路パターン周縁部で48μmと中央部と周縁部とで所望の差を得ることが出来ず、不要ろう材除去工程において周縁部にレジスト剥離が生じ、回路板周縁部表面に凹凸部が形成される不具合が生じた。
No.108は、用いる印刷マスクの透過体積を30cm3/m2未満とした場合であり、これによりレジスト厚さが回路パターン中央部で26μm、回路パターン周縁部で33μmと中央部と周縁部とで所望の差を得ることが出来ず、不要ろう材除去工程において回路パターン周縁部にレジスト剥離が生じ、回路板周縁部表面に凹凸部が形成される不具合が生じた。
1:セラミックス基板 2:ろう材 3:金属板 4:レジスト 5:レジスト回路パターン周縁部 6:レジスト膜の端部 7:レジスト膜の回路パターン周縁部の最大厚さ部 T1:レジスト回路パターン中央部高さ T2:レジスト回路パターン周縁部高さ

Claims (5)

  1. セラミックス基板上に金属板と、前記金属板に被覆されたエッチングレジスト膜とを備え、前記金属板をエッチングして回路パターンを形成するためのセラミックス回路基板用素材であって、
    前記エッチングレジスト膜は、回路パターン中央部における平均厚さが32μm〜60μmであり、回路パターン周縁部における最大厚さが回路パターン中央部における平均厚さよりも5μm以上厚いものであることを特徴とするセラミックス回路基板用素材。
  2. 前記金属板上で前記エッチングレジスト膜に被覆されていない領域は被エッチング領域であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス回路基板用素材。
  3. 前記エッチングレジスト膜は、回路パターン周縁部における最大厚さが回路パターン中央部における平均厚さよりも5μm〜50μm厚く、回路パターン周縁部における厚さが40μm〜80μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックス回路基板用素材。
  4. 前記エッチングレジスト膜は、表面粗さがRa0.2μm〜10μmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のセラミックス回路基板用素材。
  5. セラミックス基板上の金属板にエッチングレジスト膜を被覆して、前記エッチングレジスト膜は、回路パターン中央部における平均厚さが32μm〜60μmであり、回路パターン周縁部における最大厚さが回路パターン中央部における平均厚さよりも5μm以上厚いものである、回路基板用素材を得る工程と、
    前記金属板上で前記エッチングレジスト膜に被覆されていない領域をエッチングする工程と、を備えることを特徴とするセラミックス回路基板の製造方法。

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