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JP6156786B2 - 熱線遮蔽材料 - Google Patents
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JP6156786B2 - 熱線遮蔽材料 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば近赤外領域の波長を有する光を有効に遮蔽することにより自動車、鉄道車両、航空機、船舶、建築物等に好適に使用される合わせガラスや樹脂製透光板、及び窓ガラス用貼着フィルムを構成する熱線遮蔽材料に関するものである。
太陽光は紫外線、可視光線、そして熱線と称される近赤外線からなり、そのエネルギー比率は、紫外線が5%、可視光線が45%、近赤外線が50%である。近年、温室効果ガスの削減と省エネルギー化を目的として太陽光からの熱線(赤外線)をカットするために、従来自動車、鉄道などの車両、住宅、ビルディング等の建築物のガラス面に遮熱薄膜を用いることが広く行われている。遮熱薄膜の一般的な形状としては、熱線遮蔽剤を含有した樹脂組成物をコーティングしたフィルム等が挙げられる。このようなフィルムには、アンチモンドープ酸化錫(ATO)や錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の無機微粒子が熱線吸収剤として使用されてきた。これらは熱線遮蔽率、可視光透過率に優れているが、近赤外領域の吸収は800nm位の波長から波長が長くなるに従い徐々に上昇するという傾向であるため、800nmよりも波長が短い領域、具体的には700〜800nmの近赤外領域の光は遮蔽し得ない。
近年、温室効果ガスを削減する動きの一例として、米国のカリフォルニア大気資源委員会(CARB: California Air Board)が、温室効果ガスを削減するために自動車から排出される二酸化炭素量を低減することを提案している例を挙げることができる。具体的に説明すると上記CARBは、合わせガラスを透過して自動車内に流入する熱エネルギーを規制して、空調設備によって消費される燃料を低減し、自動車の燃費を改善する、所謂クールカー規制の導入を検討している。斯かるクールカー規制は、2016年度には自動車に用いられる合わせガラスの全日射透過率(Trs : Total Solar Transmittance)が40%以下となることを要求している。さらに、可視光透過率が70%以上となることも要求している。このような動きは、米国だけに留まらず、全世界的に広まると予想される。
一般的にはATOやITOのような無機系の熱線遮蔽剤を増量することも考えられるが、上記の通りATOやITO近赤外領域の吸収は800nm位の波長から波長が長くなるに従い徐々に上昇するという傾向であるため、全日射透過率を低下させるべくATOやITOを単に増量して800〜1000nmの波長に光をさらに吸収させようとすれば含有量をこれまでよりも倍増させなければならない。またそうなると自動車ではこれらATOやITOは導電体であるために自動車では合わせガラスの内外の通信、すなわちカーナビゲーションやETC等と車外との通信が妨げられ、これらが正常に動作しないといった不具合も予想される。現状では他にも、酸化タングステン・セシウム系化合物を用いればこのような問題は解消されるが、加工性の面で課題を有している。
熱線遮蔽率をより高めた熱線カットフィルムを実現するための方策の一つとしては、この800〜1000nmの波長領域に吸収のピークを有し、750〜1100nmの波長の光を良く吸収するとされている有機化合物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしこれら有機化合物でも、可視領域の光を透過率が高くなければ製品の品質の低下を招来してしまう。またこのような有機化合物はピークから離れた波長に対する吸収は急に低下する傾向にあるため、ATOやITOが吸収し得ず、且つ日射強度が高い700〜800nmの光を吸収する能力には乏しい。そして係る波長領域の光は、人が熱さとして感じやすい波長の光とされ、近赤外光全体としての吸収能が高いものであっても、斯かる波長領域の光が当たった人は車内又は室内で熱い又は暑いと感じることにより依然として空調設備の設定温度を低く設定してしまい燃料や電力の消費を招来してしまうこととなる。
つまり現状では、上述の通り可視領域の光の透過率が高く且つ、700〜800nmの波長領域における波長にピークを有する有機化合物が提供されることが期待されている。
特開2012−31176号公報
本発明は、このような不具合に着目したものであり、可視領域の光の透過性が高く且つ近赤外領域の光の遮蔽を有効に向上せしめる熱線遮蔽材料を提供することを目的としている。
本発明は、このような目的を達成するために、次の(1)〜(11)のような手段を講じたものである。
(1):下記化学式1で示されるフタロシアニン化合物を含ませてなることを特徴とする熱線遮蔽材料。
Figure 0006156786
X1〜X4は、全て水素原子である。X1〜X4が水素原子の場合は、Y1とY2、Y3とY4、Y5とY6、Y7とY8の組み合わせにおいて、一方は水素原子を表し、一方は下記一般式で表されるフェニルチオ基を表す。
Figure 0006156786
ここで、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、nは1〜5の整数を表す。Mは2価の金属原子、金属酸化物を表す。
(2):前記Mが、バナジルを表す請求項1記載の熱線遮蔽材料。
(3):前記フタロシアニン化合物が、シート状の樹脂に含まれている(1)又は(2)記載の熱線遮蔽材料。
(4):前記フタロシアニン化合物の配合量は前記樹脂100質量部に対して0.0005〜20質量部である(3)記載の熱線遮蔽材料
(5):前記シート状の樹脂が可撓性を有するものであり、合わせガラスの中間膜として用いられる(3)又は(4)記載の熱線遮蔽材料。
(6):前記シート状の樹脂が可撓性を有するものであり、ガラスに貼着されるフィルムとして用いられる(3)又は(4)記載の熱線遮蔽材料。
(7):前記シート状の樹脂が保形性を有する硬質なものである(3)又は(4)記載の熱線遮蔽材料。
(8):前記フタロシアニン化合物が、波長700〜800nmの範囲に吸収極大を有するものである(1)〜(7)の何れかに記載の熱線遮蔽材料。
(9):アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの微粒子を含むものである(1)〜(8)の何れかに記載の熱線遮蔽材料。
(10):波長800〜1100nmの範囲に吸収極大を有する有機化合物が含有されている(1)〜(9)の何れかに記載の熱線遮蔽材料。
(11):前記有機化合物が、前記フタロシアニン化合物とは異なる他のフタロシアニン化合物である(10)記載の熱線遮蔽材料。
(12):前記Y1とY2、Y3とY4、Y5とY6、Y7とY8の組み合わせにおいて、一方は水素原子であり、一方は下記化学式で表されるものである(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)又は(11)記載の熱線遮蔽材料。
Figure 0006156786
本発明によれば、可視領域の光の透過性が高く且つ近赤外領域の光の遮蔽を有効に向上せしめる熱線遮蔽材料を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る化合物例の吸光度を示すグラフ。 同上。 同上。 同上。 本発明の第二実施形態に係る説明図。 図5に係る模式的な断面図。 本発明の第三実施形態に係る説明図。 同実施形態に係る模式的な構成説明図。 同実施形態に係る他の模式的な構成説明図。 材料実施例1―2に係る熱線遮蔽材料の透過率を示すグラフ。 材料比較例1−1に係る熱線遮蔽材料の透過率を示すグラフ。 材料実施例及び材料比較例の透過率並びに反射率を表として示す図。 材料実施例2−1に係る熱線遮蔽材料の透過率を示すグラフ。 材料実施例2−2に係る熱線遮蔽材料の透過率を示すグラフ。 材料比較例2−1に係る熱線遮蔽材料の透過率を示すグラフ。 材料実施例及び材料比較例の透過率並びに反射率を表として示す他の図。
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態について説明する。
(1):化学式1:
Figure 0006156786
X1〜X4は水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数2〜5のハロゲノアルコキシ基を表す。X1〜X4が水素原子の場合は、Y1とY2、Y3とY4、Y5とY6、Y7とY8の組み合わせにおいて一方は水素原子を表し、一方は下記一般式で表されるフェニルチオ基を表す。
Figure 0006156786
ここで、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4アルコキシ基を表し、nは1〜5の整数を表す。X1〜X4がハロゲン原子の場合は、Y1〜Y8は炭素原子数1〜8の直鎖、分岐、又は環状のアルコキシ基を表す。Mは2価の金属原子、金属酸化物を表す。
以下、上記化学式1で示されるフタロシアニン化合物について説明する。
まず、上記化学式1中、X1〜X4は、同一であっても異なるものであってもよく、Y1〜Y4において上記一般式で示されるフェニルチオ基についても、同一であってもそれぞれ異なっていてもよい。
上記化学式1中の「炭素原子数2〜5のハロゲノアルコキシ基」とは、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロピルオキシ基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンチルオキシ基等を挙げることができる。
上記化学式1中の「炭素原子数1〜4のアルキル基」とは、炭素原子数1〜10個の直鎖、分岐鎖のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソブチル基を挙げることができる。
上記化学式1、2中の「炭素原子数1〜4アルコキシ基」とは、炭素原子数1〜4個の直鎖、分岐鎖のアルコキシ基である。具体的には、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基を挙げることができる。
上記化学式1の「M」で表される2価の金属原子としては、バナジル、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト及び亜鉛等を挙げることができる。また最も好ましいものとしてはバナジルを挙げることができる。
そして本発明の熱線遮蔽材料に用いられる前記フタロシアニン化合物は、波長700〜800nmの範囲に吸収極大を有することを特徴としている。
その具体例としては、下記化学式3及び下記化学式4−1乃至4−4で表される化合物を挙げることができる。なお後述する実施例では、当該化学式3で表された化合物をPc―01と称する。また化学式4−1乃至4−4で表された化合物の何れか及び複数が混合したものをPc−02と称する。
Figure 0006156786
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これらのようなものであれば、近赤外領域のうちでこれまで十分に吸収し得なかった700nm〜800nmの波長領域に吸収極大を有し有効に吸収することで、従来の化合物を増加させるよりもより有効に熱線を遮蔽することができる。
また、本実施形態に係る熱線遮蔽材料は800nmよりも長い波長領域に吸収極大を有する有機化合物と併用することにより、より熱線の遮蔽能を向上せしめるものである。ここで、「波長800〜1100nmの範囲に吸収極大を有する有機化合物」であり且つ、「他のフタロシアニン化合物」の一例としては、例えば、下記の化合物例1乃至化合物例6を挙げることができる。
Figure 0006156786
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これら6つの化合物例のうち化合物例1、化合物例3、化合物例4及び化合物例5は、図1乃至図4に示す分光特性を有している。そしてこれら6つの化合物例のλmaxはそれぞれ875nm、894nm、909nm、962nm、978nm、830nmである。
<第二実施形態>
本実施形態では図5に示すように、上記第一実施形態に示した熱線遮蔽材料を、自動車Cに用いられる合わせガラス1の中間膜10に適用した一例について説明する。この自動車CはフロントガラスC1、ドアガラスC2及び図示しないリアガラスに本実施形態に係る合わせガラス1を適用しているものである。
合わせガラス1は、図6に示すように、二枚のガラス本体11間に中間膜10を配した構造をなす。
ガラス本体11は、フロントガラスC1、リアガラス又はドアガラスC2といった使用箇所にもよるが、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入板ガラス、強化ガラス、倍強化ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射ガラス、複層ガラス等の無機ガラスや、ポリカーボネート板、ポリメチルメタクリレート板のような有機ガラスが挙げられる。これらガラスは、着色されたガラスであってもよい。上記ガラスの形状は、自動車Cの形状等によって適宜選択されればよく、平面であってもよいし、湾曲した形状であってもよい。また、ガラスの厚みは、通常必要とされる耐貫通性を考慮すれば、0.5mm以上5mm以下であることが好ましい。
中間膜10は、同図では単層としているが当該単層の中間膜10であってもよいし、また複層構造を有する中間膜10であってもよい。この中間膜10は、中間膜用樹脂中に上記実施形態に係るフタロシアニン化合物を、中間膜用樹脂100質量部に対して0.0005〜20質量部混合したものとしている。また中間膜10には、上記フタロシアニン化合物の他、アンチモンドープ酸化錫(ATO)及び錫ドープ酸化インジウム(ITO)の微粒子も含まれている。
中間膜用樹脂としては、可撓性及び伸縮性を有する樹脂であれば、特に限定されないが、ポリビニルアルコール樹脂、可塑化ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、硫黄元素を含有するポリウレタン樹脂等が挙げられる。なかでも、フタロシアニン化合物以外の種々のイオンを水和した状態で導入することができるため、ポリビニルアルコール樹脂といった水溶性の高分子が好ましい。中間膜10は、本実施形態の効果、つまり熱線遮蔽効果を阻害しない範囲でさらに、酸化防止剤、劣化防止剤、熱安定剤、寸法安定剤、接着力調整用の金属塩、接着力調整用のシリコンオイル、接着力調整用のシランカップリング剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料、着色剤、光拡散剤、光拡散性粒子、耐電防止剤、中間膜10の吸湿による白化防止に対して効果のある無機微粒子、微粒子系添加剤を分散させるための界面活性剤、遊離金属イオンをトラップするためのキレート剤、低分子化合物の中間膜10内での移行を防止するための吸着剤、可塑剤、有機溶剤、可塑剤や有機溶剤の極性を調整するための添加剤、粘着性付与剤、中間膜用樹脂の結晶化によるヘーズ上昇を防ぐための結晶核剤、架橋剤、難燃剤を含有していてもよい。
合わせガラス1では、ガラス本体11、中間膜10以外に、一層以上の層を追加で設けることも可能である。追加される層としては、例えばガラス本体11と中間膜10との接着力を強化するためのプライマー層、紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層、合わせガラス1が燃焼することを防止するための難燃層、各種模様や文字が印刷された装飾層、耐貫通性向上を目的としたポリエステルフィルム層、ハードコート層、誘電体層、蒸着金属層、偏光板層等が挙げられる。また中間膜10内に紫外線吸収剤を含有させることで、有害な紫外線の大部分を遮蔽することができる。上記紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤や、酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子、酸化セリウム微粒子等の紫外線を吸収する無機微粒子を用いることができる。
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る合わせガラス1用の中間膜10は、日射強度が強く且つ既存のATOやITOでは十分に遮蔽することができなかった700〜800nmの波長領域を選択的に吸収し、さらに可視光線透過率も高いという特徴を有している。その結果、従来に比べてATO、ITOを増量せずとも従来以上に熱線を遮蔽することで、合わせガラス1内部つまり自動車C内の温度上昇が有効に抑えられる。またATO、ITOの増量を回避しているので、車載されているカーナビゲーションやETCシステムの通信に干渉することもない。その結果、米国において過去に提案されたクールカー規制、或いは米国以外におけるこれと類似する規制にも対応することが可能となる。
特に本実施形態では、上記化学式5乃至10で示した様な他のフタロシアニン化合物や、従前より合わせガラス1用の中間膜10に用いられてきたATO、ITOを併用することにより、800〜1000nmの波長領域の光も、1000nm以上の波長領域の光も有効に遮蔽することで、より全日射透過率を下げて車内の温度上昇を抑え得る合わせガラス1を実現している。
<第三実施形態>
上記第二実施形態では、自動車Cの合わせガラス1の中間膜10として適用される、可撓性や伸縮性を有する熱線遮蔽材料を開示したが勿論、本発明に係る熱線遮蔽材料は合わせガラス1の中間膜10に限られず、フィルム状の樹脂素材や、保形性を有する硬質の樹脂素材としても良い。
図7は、本実施形態に係る熱線遮蔽材料が適用されている一例として、住宅のテラス周りを図示している。同図では通常の住宅と同じく、住宅の出入り口である窓W上部に雨よけ兼日よけとして設置されたテラス屋根Tが設置されている態様を図示している。
テラス屋根Tは、屋外に立設された支柱T1と、当該支柱T1及び建築物の一部に取付けられた屋根フレームT2と、この屋根フレームT2に固定された透明又は透光性を有する樹脂ボード2とを有している。この樹脂ボード2は、屋根フレームT2に上下から挟持されることによって当該屋根フレームT2に強固に保持されている。また当該テラス屋根Tには屋根フレームT2及び支柱T1に亘って設けられる雨樋等も具備しているが、その詳細な説明は省略する。
窓Wは、建築物に設けられた通常の態様をなすものであり、建築物の開口に取付けられた矩形枠形状のサッシW1と、サッシW1内を引き違い可能にスライド動作し得る窓枠W2と、この窓枠W2に取付けられた窓ガラス3とを有している。
しかして本実施形態では、同図に示す中で、テラス屋根Tの樹脂ボード2が本実施形態に係る熱線遮蔽板20を有しているとともに、窓ガラス3が、本実施形態に係る熱線遮蔽フィルム30を有するものとなっている。
樹脂ボートは、図8に示すように、表裏及び中間に配された例えば透明の樹脂素材からなる透明板21と、これら透明板21間に配された熱線遮蔽板20とを有している。
熱線遮蔽板20は、保形性を有する硬質の樹脂に対し上記実施形態同様にフタロシアニン化合物を溶融混練により混合させたものである。ここで、透明板21及び熱線遮蔽板20を構成する樹脂素材は同じ素材であっても異なる素材であっても良い。また保形性を有する硬質の樹脂とは、例えばアクリルを始めポリカーボネート樹脂やポリプロピレン樹脂等、ABS樹脂等、既存の種々の樹脂素材を挙げることができる。
窓ガラス3は、図9に示すように、通常の窓ガラス3に使用され得るガラス素材からなるガラス本体31とこのガラス本体31の、例えば屋外側又は屋内側に貼付された熱線遮蔽フィルム30とを有している。そして熱線遮蔽フィルム30は、可撓性を有する樹脂素材中に上記同様にフタロシアニン化合物を混合させるか或いは適宜コーティングを施したフィルム層32と、このフィルム層32をカラス本体に密着させるための粘着剤層33とを有している。フィルム層32を構成し得る樹脂素材としては種々の樹脂素材が考えられるが、その一例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)等のプラスチックフィルムを挙げることができる。また粘着剤層33に関してはガラス本体31同様に可視領域の光を透過し得る粘着剤からなるものであれば良く、勿論上記同様に本実施形態に係るフタロシアニン化合物を混合する態様も妨げない。当該粘着剤の一例としては、アクリル系重合体やスチレン系重合体からなるホットメルト粘着剤や溶剤系の粘着剤等、既存の種々の粘着剤を適用することができる。
また本実施形態においても熱線遮蔽板20及び熱線遮蔽フィルム30は、上記第二実施形態の中間膜10同様に、上記フタロシアニン化合物の他、ATO、ITOも同様に混合させたものとしている。また勿論、その他前記中間膜10同様に種々の化合物を混合したり、別異の機能を有する格別な層を併存させたりしても良い。
これらのようなものであっても上記実施形態同様、近赤外光を有効に遮蔽することで全日射透過率を下げ、上記実施形態同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
例えば、上記実施形態では本発明を自動車の合わせガラスやテラス屋根、窓ガラスに適用した態様を開示したが、勿論、船舶や航空機や他の車両に適用したものであってもよい。また熱線遮蔽材料の寸法や形状といったの具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
以下、本発明の材料実施例、具体的には上記フタロシアニン化合物を合わせガラスの中間膜に含ませた材料実施例1、及び、同フタロシアニン化合物を、ガラス表面にシート状に形成された樹脂に含ませた材料実施例2について説明する。ここで、本発明はこれら各材料実施例によって何ら限定されるものではない。
<材料実施例1>
100ml−ビーカー中にポリビニルブチラール4.00g、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキソアート)1.04g、ATO微粒子MEK分散体0.38g(ATO含有量29.5%)、フタロシアニン化合物Pc−02 1mg、及びTHF80mlを仕込み、この混合物を室温で1時間撹拌して、ポリビニルブチラールをTHFに完溶させた。次いで、この溶液をテフロン(登録商標)コーティングバット(158mm×120mm×25mm)中に注ぎ、室温で1日放置、次いで40℃で5時間乾燥させてポリビニルブチラール中間膜を得た。得られた中間膜を40mm×40mmの大きさで切り出し、厚さ2mmの40mm×40mmのガラス板と厚さ1.0mmの同サイズのガラス板2枚の間に挟み込んだ。さらに2枚のゴム板、次いで2枚のステンレス板で挟み込み、小型バイスを用いて圧着を行った。次いで、圧着状態のまま、小型バイスごと減圧乾燥機に入れ、減圧下室温で1時間脱気を行い、次いで90℃で2時間加熱圧着を行ってATO微粒子とフタロシアニン化合物Pc−02を含有するポリビニルブチラール中間膜を有する合わせガラス、すなわち材料実施例2−1を得た。
得られた合わせガラスの透過スペクトル、透過率、反射率を分光光度計(日本分光製:V−570)で測定した。透過率の分光チャートを図10に、透過率および反射率のデータを図12にて表として示した。また、可視光透過率、可視光反射率(380nm〜780nm)および日射透過率、日射反射率(300nm〜2500nm)の値は、JIS 3107(1998)の規格に準拠して測定した。
フタロシアニン化合物Pc−02を使用しなかった以外は、全て実施例と同様に操作して、ATO微粒子を含有するポリビニルブチラール中間膜を有する合わせガラスである材料比較例1−1を得た。
得られた合わせガラスの透過スペクトル、透過率、反射率を分光光度計(日本分光製:V−570)で測定した。透過率の分光チャートを図11に、透過率および反射率のデータを図12に表として示した。また、可視光透過率、可視光反射率(380nm〜780nm)および日射透過率、日射反射率(300nm〜2500nm)の値は、JIS 3107(1998)の規格に準拠して測定した。
<材料実施例2>
ポリメチルメタクリレート(以下、PMMA)7.5g、クロロベンゼン15.3g、トルエン6g、酢酸エチル6.3gおよびアセトン5.5gを混合し、PMMA調製液を得た。この調製液1gをトルエン0.6mLおよびクロロホルム0.6mLで希釈した溶液に、下記構造式を有するフタロシアニン化合物Pc−01 12mgを溶解させ、得られた溶液をITOが蒸着されたガラス板よりなるITO層上にスピンコートし、乾燥してフタロシアニン系化合物含有層を形成した。当該フタロシアニン系化合物含有層が形成された熱線遮蔽材料を、材料実施例2−1とする。
得られた材料実施例2−1の透過スペクトル、透過率、反射率を分光光度計(日本分光製:V−570)で測定した。透過率の分光チャートを図13に示した。また、可視光透過率、可視光反射率(380nm〜780nm)および日射透過率、日射反射率(300nm〜2500nm)の値は、JIS A 5759の規格に準拠して測定し、透過率および反射率のデータを図16に表として示した。
塗布溶液を調製する際に、フタロシアニン化合物を、Pc−01に変えて下記構造式の混合物から形成されるPc−02 10mgを溶解させたこと以外は実施例1と同様にして、塗布溶液を得、材料実施例2−2を作製した。得られた材料実施例2−2による透過率チャートを図14に示した。また、透過率および反射率データを図16に表として示した。
実施例2−1においてフタロシアニン化合物を添加しない以外は、実施例1と同様に操作して材料比較例2−1を得た。得られた熱線遮蔽材による透過率チャートを図3に、透過率および反射率データを表1に示した。
以上に示した材料実施例1及び材料実施例2から明らかなように、上記各材料実施例1−2、2−1及び2−2ではともに材料比較例1―1、2−1とそれぞれ比較して遜色が無い程に、可視光の透過率が高く維持されている。具体的には、図12では材料実施例1−2の可視光透過率が70%以上という高い値を示しており、図16では材料実施例2−1及び2−2の可視光透過率が80%以上という高い値を示している。特に上記各材料実施例では、700nm〜800nmの波長領域にて透過率が低くなる極値が現れているのに対し、上記材料比較例1では当該波長領域では同様の極値が現れていない。すなわち図10、13及び14に示された材料実施例1−2、材料実施例2―1及び材料実施例2−2による前記極値の存在が、図12及び図16で示されるように、日射吸収率が材料比較例1―1、材料比較例2−1よりも明らかに高い値を示している原因となっていることは明らかである。
また上記の極値が何れも急峻な曲線により現れているにも拘わらす日射の吸収率が大きく上昇しているのは、日射において強いとされる700nm〜800nmの波長の光を上記各材料実施例に係る化合物が有効に遮蔽していることに起因すると考えられる。してみると、上記各材料実施例により、可視光の透過率を高く維持しながら有効に熱線を遮蔽し得る熱線遮蔽材料を提供し得ることが明らかとなった。
また、上記極値が急峻な曲線で表されているということは、極値が示される波長が異なる複数の化合物を用いることで日射の内強く照射される上記700nm〜800nm周辺の波長の光をより効果的に吸収し得る可能性も示唆される。
ここで、図10、図13及び図14において1000nm以上の透過率が減少しているのはガラスに蒸着されたITOによるものと考えられる。してみると上記実施形態に係る熱線遮蔽材料は、以前より熱線遮蔽剤として用いられているITO等を増量することを回避しつつ、より有効に熱線を遮蔽し得ることが明らかである。
さらに、上記極値が急峻な曲線で表されており、実際に日射のなかで強いとされる800nm〜1000nmの透過率はあまり減少していないことが分かる。つまり、極値が示される波長が800nm〜1000nmにある他の化合物を併用することで日射の内強く照射される上記900nm周辺の波長の光をより効果的に吸収し、さらなる効果を有する熱線遮蔽材料を提供し得る可能性も示唆される。
本発明は近赤外領域の波長を有する光を有効に遮蔽することにより自動車、鉄道車両、航空機、船舶、建築物等に好適に使用される合わせガラスや樹脂製透光板、及び窓ガラス用貼着フィルムを構成する熱線遮蔽材料として利用することができる。
10…熱線遮蔽材(中間膜)
20…熱線遮蔽材、樹脂(熱線遮蔽板)
30…フィルム(熱線遮蔽フィルム)

Claims (12)

  1. 下記化学式1で示されるフタロシアニン化合物を含ませてなることを特徴とする熱線遮蔽材料。
    Figure 0006156786
    (X1〜X4は、全て水素原子である。Y1とY2、Y3とY4、Y5とY6、Y7とY8の組み合わせにおいて、一方は水素原子を表し、一方は下記一般式で表されるフェニルチオ基を表す。)
    Figure 0006156786
    (ここで、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、nは1〜5の整数を表す。Mは2価の金属原子、金属酸化物を表す。)
  2. 前記Mが、バナジルを表す請求項1記載の熱線遮蔽材料。
  3. 前記フタロシアニン化合物が、シート状の樹脂に含まれている請求項1又は2記載の熱線遮蔽材料。
  4. 前記フタロシアニン化合物の配合量は前記樹脂100質量部に対して0.0005〜20質量部である請求項記載の熱線遮蔽材料。
  5. 前記シート状の樹脂が可撓性を有するものであり、合わせガラスの中間膜として用いられる請求項3又は4記載の熱線遮蔽材料。
  6. 前記シート状の樹脂が可撓性を有するものであり、ガラスに貼着されるフィルムとして用いられる請求項3又は4記載の熱線遮蔽材料。
  7. 前記シート状の樹脂が保形性を有する硬質なものである請求項3又は4記載の熱線遮蔽材料。
  8. アンチモンドープ酸化錫又は錫ドープ酸化インジウムの微粒子を含むものである請求項1、2、3、4、5又は6記載の熱線遮蔽材料。
  9. 前記フタロシアニン化合物が、波長700〜800nmの範囲に吸収極大を有するものである請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の熱線遮蔽材料。
  10. 波長800〜1100nmの範囲に吸収極大を有する有機化合物がさらに含有されている請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の熱線遮蔽材料。
  11. 前記有機化合物が、前記フタロシアニン化合物とは異なる他のフタロシアニン化合物である請求項10記載の熱線遮蔽材料。
  12. 前記Y1とY2、Y3とY4、Y5とY6、Y7とY8の組み合わせにおいて、一方は水素原子であり、一方は下記化学式で表されるものである請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載の熱線遮蔽材料。
    Figure 0006156786
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