Deprecated: The each() function is deprecated. This message will be suppressed on further calls in /home/zhenxiangba/zhenxiangba.com/public_html/phproxy-improved-master/index.php on line 456
JP6156982B2 - 固体高分子電解質の製造方法、固体高分子電解質、イオン伝導体、及び、膜電極接合体 - Google Patents
[go: Go Back, main page]

JP6156982B2 - 固体高分子電解質の製造方法、固体高分子電解質、イオン伝導体、及び、膜電極接合体 - Google Patents

固体高分子電解質の製造方法、固体高分子電解質、イオン伝導体、及び、膜電極接合体 Download PDF

Info

Publication number
JP6156982B2
JP6156982B2 JP2013107233A JP2013107233A JP6156982B2 JP 6156982 B2 JP6156982 B2 JP 6156982B2 JP 2013107233 A JP2013107233 A JP 2013107233A JP 2013107233 A JP2013107233 A JP 2013107233A JP 6156982 B2 JP6156982 B2 JP 6156982B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer electrolyte
solid polymer
polyvinyl alcohol
electrolyte membrane
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013107233A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014229440A (ja
Inventor
山本 隆一
隆一 山本
康夫 工藤
康夫 工藤
史穂 塩崎
史穂 塩崎
克行 岸
克行 岸
直井 克巧
克巧 直井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Institute of Technology NUC
Toppan Inc
Original Assignee
Tokyo Institute of Technology NUC
Toppan Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Institute of Technology NUC, Toppan Inc filed Critical Tokyo Institute of Technology NUC
Priority to JP2013107233A priority Critical patent/JP6156982B2/ja
Publication of JP2014229440A publication Critical patent/JP2014229440A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6156982B2 publication Critical patent/JP6156982B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Description

本開示の技術は、電池の電解質として用いられる固体高分子電解質、イオン伝導体、この固体高分子電解質を備える膜電極接合体、及び、この固体高分子電解質の製造方法に関する。
近年、環境負荷物質を含むガスの放出を削減できる動力源として、固体高分子形燃料電池の研究開発が進められている。固体高分子形燃料電池では、電解質となる固体高分子電解質膜中をプロトンが伝導されることによって、電力を生み出す化学反応が進行する。現在まで、こうした固体高分子電解質膜としては、デュポン社製のナフィオン(登録商標)を始めとするフッ素系の電解質膜が主に用いられている。しかしながら、フッ素系電解質膜は、その合成経路が複雑であるため、製造にかかるコストが高くならざるを得ない。そこで、比較的安価に製造が可能な固体高分子電解質膜として、例えば特許文献1や非特許文献1に記載のように、ポリビニルアルコールとスルホン化ポリマーとを用いた電解質膜が提案されている。
ポリビニルアルコールとスルホン化ポリマーとを用いて電解質膜を製造する場合、通常は、電解質膜としての耐水性や機械的強度を高めるために、架橋剤の添加によってポリビニルアルコール同士の架橋構造が形成されている。例えば、特許文献1には、ポリビニルアルコールが有するヒドロキシ基と反応可能な2つのアルデヒド基を有するテレフタルアルデヒドやグルタルアルデヒド等が架橋剤として用いられ、これらの官能基同士の反応によってポリビニルアルコール分子間の架橋構造が形成されることが開示されている。非特許文献1には、スルホン化コハク酸が架橋剤として用いられ、スルホン化コハク酸が有する2つのカルボキシ基とポリビニルアルコールのヒドロキシ基とのエステル化反応によって、ポリビニルアルコール分子間の架橋構造が形成されることが述べられている。
このように、従来、固体高分子電解質膜におけるポリビニルアルコールの架橋構造は、ポリビニルアルコールのヒドロキシ基と反応可能な官能基を分子内に2つ以上有する架橋剤を介して形成されている。なお、非特許文献2には、ポリビニルアルコールが加熱処理により結晶化して水に対する溶解性が低下することが述べられている。
特開2006−156055号公報
C.W.Lin, Y.F.Huanga,A.M.Kannan、Journal of Power Sources、Volume164、Issue2、2007、p449−456 長野浩一, 山根三郎, 豊島賢太郎、ポバール、高分子刊行会、京都、1970、p98、p149
しかしながら、架橋剤の添加は、電解質膜としての耐水性を高める一方で、プロトン伝導性の低下を招く。これに対し、本願の発明者らは、スルホン化ポリマーの共存下では、架橋剤を要さずに、加熱処理によってポリビニルアルコール分子同士を架橋させてポリビニルアルコールの水への不溶化を進行させることが可能であることを見出した。これにより、プロトン伝導性の低下を抑えつつ、電解質膜の耐水性を向上させることができる。
一方、ポリビニルアルコール分子同士の架橋構造は、ポリビニルアルコールが一部脱水縮合して、剛直な共役二重結合を形成することによって形成されるため、得られた電解質膜の可撓性が低くなる傾向がある。したがって、電解質膜の機械的強度にはなお改善の余地がある。
本開示の技術は、機械的強度を向上させることのできる固体高分子電解質の製造方法、固体高分子電解質、イオン伝導体、及び、膜電極接合体を提供することを目的とする。
本開示の技術における固体高分子電解質の製造方法は、ポリビニルアルコールとプロトン解離性基を有する高分子と多価チオールとを溶媒に溶解して溶液を作る溶解工程と、前記溶液を用いて作成した固体高分子電解質の前駆体を加熱して固体高分子電解質を得る加熱工程と、を含む。
上記の方法によれば、加熱処理によって、プロトン解離性基を有する高分子を酸触媒としてポリビニルアルコールの脱水反応により二重結合が形成され、その二重結合に多価チオールが付加し、同様に脱水反応により二重結合が形成されている他のポリビニルアルコール鎖に、上記多価チオール分子内の他のチオールが付加し、架橋結合が形成される。その結果、得られる固体高分子電解質の機械的強度を向上させることが可能となる。
上記の方法では、前記多価チオールが、1,4−ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(3−メルカトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプブチレート)、2,3−ジメルカプトプロパンスルホン酸塩から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
上記の方法によれば、容易に入手可能な多価チオールが用いられるため、固体高分子電解質の製造を容易に行うことができる。
上記の方法では、前記溶液に含まれる前記ポリビニルアルコールと前記多価チオールとの重量比率は、前記ポリビニルアルコールを100としたとき、前記多価チオールが2以上15以下であることが好ましい。
上記の方法によれば、脱水縮合によって生じたポリビニルアルコール中の二重結合と多価チオールの反応が有効に進行し、機械的強度が高い固体高分子電解質が得られる。また、架橋反応に与らない多価チオールが過剰に固体高分子電解質中に残って、機械的強度とプロトン伝導性が低下することを抑えることができる。
上記の方法では、前記プロトン解離性基を有する高分子が、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)のいずれかであることが好ましい。
上記の方法によれば、イオン交換容量の高いスルホン化ポリマーがプロトン解離性基を有する高分子として用いられるため、固体高分子電解質のプロトン伝導性を高めることができる。また、これらのスルホン化ポリマーは、容易に入手可能であるため、固体高分子電解質の製造を容易に行うことができる。
上記の方法では、前記加熱工程における前記前駆体の加熱温度が、80℃以上200℃以下であることが好ましい。
上記の方法によれば、ポリビニルアルコールの脱水反応が進行しやすく、また、ポリビニルアルコールやプロトン解離性基を有する高分子におけるポリマー鎖の切断反応が起こりにくいため、加熱工程での化学反応を適切に進めることができる。
本開示の技術におけるイオン伝導体は、ポリビニルアルコールと−SO M基(Mはアルカリ金属)を有する高分子とを含むイオン伝導体であって、ポリビニルアルコールが、下記一般式(1)で示される架橋骨格を有する
上記のイオン伝導体によれば、イオン伝導体は、Mイオンのイオン伝導性を有する。このため、アルカリ金属イオンが伝導媒体として機能するため、イオン伝導体の電解質としての用途をアルカリ金属イオンが用いられる範囲に広げることができる。
本開示の技術における固体高分子電解質は、ポリビニルアルコールとプロトン解離性基を有する高分子とを含む固体高分子電解質であって、ポリビニルアルコールが、下記一般式(1)で示される架橋骨格を有する。
Figure 0006156982
但し、一般式(1)にてRは有機基を示す。
上記の固体高分子電解質によれば、固体高分子電解質中において、架橋されたポリビニルアルコール中にプロトン解離性基を有する高分子が分散しているため、固体高分子電解質の機械的強度を向上させることが可能となる。
本開示の技術における膜電極接合体は、上記固体高分子電解質を一対の電極触媒層の間に膜として備える。
上記の膜電極接合体によれば、膜電極接合体に機械的強度の高い固体高分子電解質が備えられるため、膜電極接合体の信頼性を高めることができる。
本開示の技術によれば、固体高分子電解質における機械的強度を向上させることができる。
ポリビニルアルコールとポリスチレンスルホン酸からなる膜の形成のための前駆体を加熱処理した場合の、加熱温度と紫外可視吸収スペクトルの関係を示す図である。 本開示の技術における固体高分子電解質を用いた膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池の斜視構造を分解して示す斜視図である。
以下、本開示の固体高分子電解質の製造方法、固体高分子電解質、イオン伝導体、及び、膜電極接合体を具体化した一実施形態について、図1および図2を参照して説明する。本実施形態では、固体高分子形燃料電池の電解質として、膜状の固体高分子電解質である固体高分子電解質膜を製造する。
[固体高分子電解質膜の材料]
まず、本実施形態の固体高分子電解質膜の製造方法に用いられる材料について説明する。固体高分子電解質膜の形成材料には、ポリビニルアルコールとスルホン化ポリマーと多価チオールとが含まれる。
ポリビニルアルコールのケン化度は、高いことが好ましい。具体的には、ケン化度が70モル%以上、より望ましくは85モル%以上であるとよい。工業用のポリビニルアルコールは通常ポリ酢酸ビニルの加水分解によって得られるため、ケン化度が70%よりも低い場合には、ポリビニルアルコールにて二重結合(−CH=CH−基)の形成ならびに架橋反応の進行が限定され、水に溶解しやすくなる。それゆえに、ポリビニルアルコールが3次元的な網目構造を形成して他分子を保持する高分子マトリックスとして機能するためには、上述のケン化度が好ましい。
ポリビニルアルコールの分子量は、1000以上であることが望ましく、10000以上1000000以下であることがより好ましい。分子量が1000以上であれば、固体高分子電解質膜の膜厚が十分に得られる程度に、固体高分子電解質膜の成膜時の粘度が高められる。また、分子量が1000以上であれば、固体高分子電解質膜の機械的強度を高めることができる。一方、分子量が1000000以下であれば、固体高分子電解質膜の膜厚に十分な均一性が得られる程度に、固体高分子電解質膜の粘度を抑えられる。
多価チオールは、1分子当たり2つ以上のチオール基を有し、ポリビニルアルコールならびにスルホン化ポリマーを溶解する溶媒に相溶し、ポリビニルアルコールに形成された二重結合(−CH=CH−基)に付加するものであれば、どのようなものでも使用できる。中でも実際に販売されている多価チオールである、1,4−ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(3−メルカトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)、2,3−ジメルカプトプロパンスルホン酸塩から選択される少なくとも1つが、入手が容易なために好適に使用される。
スルホン化ポリマーとしては、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリビニル、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)等のスルホン化ポリマーを用いることができる。これらの材料は、電子機器分野の機能性材料に用いられているから、容易に入手が可能であるとともに、価格も安価である。また、これらの材料は、イオン交換容量が高いためプロトン伝導性が高く、スルホン化ポリマーとしての使用に適している。この他、スルホン化ポリマーとしては、周知の合成方法によって得られるスルホン化ポリアリーレン、スルホン化ポリフェニレン、スルホン化ポリエーテルケトン等の芳香族スルホン化ポリマーやスルホン化ポリピリジン等を用いてもよい。
[固体高分子電解質膜の製造方法]
次に、本実施形態の固体高分子電解質膜の製造方法について説明する。
まず、ポリビニルアルコールとスルホン化ポリマーと多価チオールが溶解工程として溶媒中で溶解混合されて固体高分子電解質膜の前駆体を形成するための溶液である前駆体溶液が作成される。この溶媒としては、有機溶媒または水が用いられる。
前駆体溶液にて、ポリビニルアルコールに対するスルホン化ポリマーの比率は、20質量%以上150質量%以下であることが好ましく、30質量%以上100質量%以下であるとより好ましい。この比率が20質量%以上であれば、プロトン伝導に寄与するスルホン酸基(−SOH)が固体高分子電解質膜中にて十分に確保され、固体高分子電解質膜に十分なプロトン伝導性が得られる。一方、この比率が150質量%以下であれば、高分子マトリックスとなるポリビニルアルコールがスルホン化ポリマーに対して多くないため、固体高分子電解質膜の機械的強度を高めることができる。
前駆体溶液にて、ポリビニルアルコール100に対する多価チオールの重量比率は、2以上15以下であることが好ましく、5以上10以下であるとより好ましい。この比率が2以上であれば、脱水縮合によってポリビニルアルコールに形成される二重結合(−CH=CH−基)と多価チオールの反応が有効に進行し、高分子同士が架橋して、機械的強度が高い固体高分子電解質膜が得られる。一方、この比率が15以上になれば、架橋反応に与らない多価チオールが過剰に固体高分子電解質膜中に残り、機械的強度とプロトン伝導性の低下を招来するために好ましくない。
従来のように、多価アルデヒド類を用いてポリビニルアルコールを架橋させるためには、ポリビニルアルコールとスルホン化ポリマーからなる高分子電解質膜前駆体を、多価アルデヒドを含む溶液に含浸する処理が必要であり、作製工程が複雑であった。これに対し、本実施形態では、ポリビニルアルコールとスルホン化ポリマーと多価チオールとを溶解混合して前駆体溶液を作成するため、固体高分子電解質膜の作製工程が簡素化される。
次に、上記前躯体溶液が所定の基材に塗布されて固体高分子電解質膜の前駆体が形成され、その後、前駆体に対して溶媒の除去と加熱とが行われることによって、固体高分子電解質膜が作製される。
溶媒の除去で、ポリビニルアルコール同士が接触する程度に溶媒の一部が除去され、かつ、溶媒の残部によってポリビニルアルコールとスルホン化ポリマーとが固化しない状態の前駆体が得られる。こうした溶媒の除去は、大気圧下で行われてもよいし、減圧下で行われてもよい。
上記前駆体の加熱では、ポリビニルアルコールの脱水縮合によりポリビニルアルコールに二重結合(−CH=CH−基)が形成されて膜は黒色となるとともに、形成された二重結合(−CH=CH−基)の一部への多価チオールの付加反応が進行する。この溶媒の除去と加熱とを経て得られる固体高分子電解質膜によれば、架橋によりマトリックス化されたポリビニルアルコール中にスルホン化ポリマーが分散して組み込まれる。架橋構造の形成により機械的強度が向上し、かつスルホン化ポリマーが安定に保持された、耐水性に優れプロトン伝導性の高い固体高分子電解質膜が得られる。
こうした加熱における前駆体の温度は、80℃以上200℃以下であることが好ましく、90℃以上180℃以下がより好ましい。加熱温度が80℃以上であれば、ポリビニルアルコールの不溶化反応が進行しやすく、加熱温度が200℃以下であれば、ポリビニルアルコールやスルホン化ポリマーにおけるポリマー鎖の切断反応が起こりにくい。
なお、溶媒の除去と加熱とは、前駆体に熱を加えることによって同時に行われてもよく、前駆体の溶媒が除去された後に、別工程として前駆体が加熱されてもよい。溶媒の除去における温度が上記の加熱温度の範囲であれば、溶媒の除去とポリビニルアルコールの脱水縮合反応と多価チオールの付加架橋反応を同時に進行させることもできる。
前駆体溶液を基材に塗布する方法としては、例えばキャストによる塗工や、ダイコーターによる塗工、アプリケーターによる塗工等、周知の塗布方法を用いることができる。
こうした方法によれば、イオン交換容量が1ミリ当量/g以上6ミリ当量/g以下となる高いプロトン伝導性を備える固体高分子電解質膜が得られる。なお、イオン交換容量が6ミリ当量/g以下であることは、固体高分子電解質膜に過剰なスルホン酸基(−SOH)が導入されておらず、固体高分子電解質膜の水による膨潤が生じ難いことを示唆し、固体高分子形燃料電池の電解質として用いた場合に、性能低下の要因となるガスリークが起こり難いことを示唆する。
すなわち従来は、ポリビニルアルコールを強酸共存下で進行する脱水縮合によって不溶化させて固体高分子電解質膜の耐水性を高めているために、固体高分子電解質膜が脆くなりがちであった。この課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明者らは脱水縮合によりポリビニルアルコール鎖に形成した二重結合(−CH=CH−基)に付加架橋する多価チオールを添加することにより、固体高分子電解質膜の機械的強度の向上を図ることが可能な程度に、ポリビニルアルコール鎖間が架橋されることを見出した。
また、従来のように多価アルデヒド類をポリビニルアルコールのヒドロキシ基と反応させて架橋構造を形成する場合と比較して、多価チオールの添加比率が少ない場合でも、架橋による固体高分子電解質膜の機械的強度向上効果が顕著である。そのため、固体高分子電解質膜中において、スルホン化ポリマーに対するスルホン化ポリマー以外のプロトン伝導性の低い化合物の割合を極めて小量で済ませる事が可能となる結果、固体高分子電解質膜としてのプロトン伝導性を実質的に低下させることもない。
[加熱処理]
次に、上述の製造方法における加熱処理によるポリビニルアルコールの不溶化ならびに架橋による固体高分子電解質膜の機械的強度向上について説明する。
無溶媒で180℃程度の高温に加熱される場合には、ポリビニルアルコールそのものの結晶化が進行して水に対して不溶化することが知られている(非特許文献2参照)。これに対し、本願の発明者らは、ポリビニルアルコールが高分子スルホン酸等の酸共存下で加熱された場合、80℃程度の比較的低い温度でも脱水縮合により二重結合が形成され、その効果で不溶化することを見出した。その反応は下記の反応式(2)で表される。
Figure 0006156982
一般に、膜を構成する炭素間の共役系が広がるほど、膜における可視光の吸収が高まって膜が黒色をおびる。図1はポリビニルアルコールとポリスチレンスルホン酸の1:1(重量比)からなる溶液から石英基板上に約1μmの塗布膜を形成して、加熱処理を行い、その熱処理温度と吸光度の関係を示す図である。本紫外可視吸収スペクトルは島津製作所製UV−2550分光光度計を用いて得られたものである。
図1に示されるように、ポリビニルアルコールとポリスチレンスルホン酸とからなる塗布膜が加熱されることによって、塗布膜における紫外可視領域の吸収が増大する。それゆえに、ポリビニルアルコールの脱水縮合による共役二重結合鎖の形成は、熱処理温度が高いほど進行することが明らかである。また、ポリスチレンスルホン酸に代えて、ポリビニルスルホン酸やポリ(2−アクリルアミドー2−メチルプロパンスルホン酸)(PAMPS)を用いて得られるポリビニルアルコールとの複合体においても、ポリスチレンスルホン酸を用いた時と同様に、加熱した時に膜が黒色をおびることが分かった。このことは、ポリビニルアルコールはポリスルホン酸の共存下の加熱で脱水反応を進行させて−CH=CH−基を生成することを示している。
こうしたことから、ポリビニルアルコールとスルホン化ポリマーと多価チオールが共存する固体高分子電解質前駆体が加熱されると、まず、スルホン化ポリマーの酸触媒作用によって、ポリビニルアルコール鎖の一部が脱水して二重結合(−CH=CH−基)が形成される。また、この二重結合の一部は、パイ共役系を形成し、この二重結合の広がりは図1から明らかなように加熱温度が高いほど大きい。なお、多価チオールが添加されていない場合では、−CH=CH−二重結合が形成されたポリビニルアルコールにて、二重結合(−CH=CH−基)とポリビニルアルコールの−OH基との反応により一部架橋反応が進行し、水に対する溶解性が減少する。一方で、共役二重結合の形成により高分子が剛直化するために、得られる膜が脆くなる傾向が見られる。
多価チオールは二重結合に付加しやすい性質を有している。それゆえに、上記のように添加しておくことにより、形成された二重結合に多価チオールが付加し、さらに、多価チオールの分子内における他のチオール基が他のポリビニルアルコールに生じた二重結合と付加して、ポリビニルアルコール鎖が架橋される。この結果、固体高分子電解質膜の機械的強度が向上する。
上記架橋反応の反応式の一例は、下記の反応式(3)で表される。また、ポリビニルアルコール鎖の共役二重結合においては、1,4−ブタジエン骨格に対する付加反応も進行すると考えられる。
Figure 0006156982
上記前駆体の加熱により得られた複合体中にはポリスチレンスルホン酸等の−SOHを有する高分子が含まれるので、この複合体はプロトン伝導性を有する。また、この複合体中の−SOH基はアルカリ金属の化合物(LiOH,LiH,NaH等)により−SOM基(Mはアルカリ金属)に容易に変換される。このように変換された複合体はMイオンのイオン伝導性を有するイオン伝導体である。このため、例えばMをリチウムにすることにより、上記イオン伝導体をリチウムイオン二次電池の固体電解質として使用することが可能である。こうした場合には、膜状でない形状に固体高分子電解質を製造してもよい。
[膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池の構成]
次に、本実施形態の製造方法によって製造される固体高分子電解質膜を備える膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池について、図2を参照して説明する。
図2に示されるように、固体高分子形燃料電池は、固体高分子電解質膜1を中心とする積層体として構成される。固体高分子電解質膜1には、該固体高分子電解質膜1を挟んで互いに向い合う一対の電極触媒層2a,2bが敷設されている。この電極触媒層2a,2bは、例えば白金が担持されたカーボン粒子とナフィオン(登録商標、デュポン社製)から形成される。また、この電極触媒層2a,2bは、固体高分子電解質膜1に直接塗工されるか、もしくはホットプレス法を用いて固体高分子電解質膜1に敷設される。
電極触媒層2a,2bには、固体高分子電解質膜1及びこれら電極触媒層2a,2bを挟んで互いに向い合う一対のガス拡散層3a,3bが覆設されている。このうち、固体高分子電解質膜1の一方側の電極触媒層2aとガス拡散層3aとが空気極(カソード)となり、空気極には集電のためのカソード電極4aが積層される。他方側の電極触媒層2bとガス拡散層3bとが燃料極(アノード)となり、燃料極には集電のためのアノード電極4bが積層される。そして、これら固体高分子電解質膜1、電極触媒層2a,2b、ガス拡散層3a,3bから膜電極接合体5が構成される。
さらに、膜電極接合体5と、カソード電極4a及びアノード電極4bとは、互いに向い合う一対のセパレータ6a,6bによって挟持されている。セパレータ6a,6bの各々にて、膜電極接合体5と互いに向かい合う側面には、ガス流路7a、7bが凹設され、また膜電極接合体5とは反対側の側面には、冷却水流路8a、8bが凹設されている。
このように構成される固体高分子形燃料電池では、カソード電極4aに対面するセパレータ6aのガス流路7aに例えば酸素ガスが流され、アノード電極4bに対面するセパレータ6bのガス流路7bに例えば水素ガスが流される。また、セパレータ6a,6bの冷却水流路の8a、8bの各々には、冷却水が流される。そして、空気極と燃料極とに上記ガス流路7a、7bからガスが供給されることによって、固体高分子電解質膜1中でのプロトン伝導を伴う電極反応が進行することにより、カソード電極4aとアノード電極4bとの間に起電力が生じる。
上述のように、本実施形態の製造方法による固体高分子電解質膜は、高い機械的強度、耐水性ならびにプロトン伝導性を有するために、プロトンの伝導に寄与するスルホン化ポリマーが水に溶出することが抑えられて高いプロトン伝導性と優れた膜の物性を維持することが可能である。したがって、このような固体高分子電解質膜を用いることによって、信頼性の高い膜電極接合体を得ることができるとともに、発電効率が高く安定した固体高分子形燃料電池を得ることができる。
なお、燃料電池としては、固体高分子形燃料電池を単一で用いてもよく、また、固体高分子形燃料電池を複数積層して直列接続することによって1つの燃料電池として用いるようにしてもよい。
[実施例]
上述した固体高分子電解質膜の製造方法について、以下に具体的な実施例及び比較例を挙げて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、プロトン伝導度の測定は、ソーラトロン社製のインピーダンスアナライザ(SI−1260)を用い、4端子法で行った。
(実施例1)
<高ケン化ポリビニルアルコールとペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)(カレンズMT(登録商標)PE1:昭和電工株式会社製)からなる架橋したマトリックスにスルホン化高分子を分散した複合体からなる固体高分子電解質膜の作製―その1>
市販のポリスチレンスルホン酸水溶液(アグゾノーベル社製、Versa−TL(登録商標)72平均分子量75000、濃度18%:以下PSSと略)を110℃で減圧乾燥して、PSSの粉末を得た。PSSの粉末0.5gを10gのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させた。
次いで、このDMSO溶液に(株)クラレ製のポリビニルアルコール(番号124、ケン化率98〜99%、重合度2400:以下PVA−124と略)0.5gを加えた。さらに、カレンズMT(登録商標)PE1の10%ジメチルスルホキシド溶液0.25gを加えて60℃で撹拌した。
このようにして得たDMSO溶液をポリエチレンテレフタレート(以下PETと略)の容器に注ぎ、90℃で減圧乾燥してほぼDMSOを除いた後にPET容器から剥離し、減圧下130℃で2時間乾燥してフィルムを得た。これにはPVA−124、PSSならびにカレンズMT(登録商標)PE1が100:100:5の比率(重量比)で含まれる。
得られたフィルムは80℃、95%の環境下で0.32Scm−1のプロトン伝導度を示した。この時、イオン交換容量(酸価)は、2.5ミリ当量/gであった。
このフィルムを38mm×6mmに切り出し、島津製作所AG−2000Bで引っ張り試験(引っ張り速度5mm/min)を行ったところ、破断応力は25.5 MPaであった(2片の平均値)。
(実施例2)
<高ケン化ポリビニルアルコールとペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)(カレンズMT(登録商標)PE1)からなる架橋したマトリックスにスルホン化高分子を分散した複合体からなる固体高分子電解質膜の作製―その2>
カレンズMT(登録商標)PE1の添加比率を増加させ、PVA−124、PSSならびにカレンズMT(登録商標)PE1が100:100:10の比率(重量比)で含まれるようにした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
このフィルムは80℃、95%の環境下で0.37Scm−1のプロトン伝導度を示した。この時、イオン交換容量(酸価)は、2.5ミリ当量/gであった。
このフィルムを実施例1と同様にして、引っ張り試験を行ったところ、破断応力は25.5 MPaであった(2片の平均値)。
(比較例1)
カレンズMT(登録商標)PE1を添加しない以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。このフィルムを実施例1と同条件で引っ張り試験を行ったところ、破断応力は12.5MPaであった(2片の平均値)。このフィルムは80℃、95%の環境下で0.25Scm−1のプロトン伝導度を示した。
実施例1及び実施例2と比較例1の比較から、カレンズMT(登録商標)PE1を添加することによりフィルムの引張強度が向上していることが明らかである。比較例1では、PVAを強酸のPSS共存下で加熱することにより、黒く着色することからも推察されるように、PVAが脱水縮合して部分的に剛直な分子構造の共役二重結合が形成されるため、得られたフィルムが脆くなると推定される。実施例1及び実施例2では、カレンズMT(登録商標)PE1を添加することにより、カレンズMT(登録商標)PE1がこの二重結合部分に付加し、PVA分子鎖間が架橋されてフィルムの機械的強度が向上する。
(実施例3)
<高ケン化ポリビニルアルコールと2,3―ジメルカプトプロパンスルホン酸ナトリウムからなる架橋したマトリックスにスルホン化高分子を分散した複合体からなる固体高分子電解質膜の作製―その1>
カレンズMT(登録商標)PE1に代えて2,3―ジメルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム(以下DMPSと略)を用い、さらに溶媒を水に代えた以外は実施例1と同様にして、PVA―124、PSSならびにDMPSを重量比で100:100:5の割合で含むフィルムを作製した。
得られたこのフィルムは80℃、95%の環境下で0.15Scm−1のプロトン伝導度を示した。この時、イオン交換容量(酸価)は、2.5ミリ当量/gであった。
このフィルムを実施例1と同条件で引っ張り試験を行ったところ、破断応力は45MPaであった(2片の平均値)。またこのフィルムを2規定の希塩酸に浸漬後乾燥して、80℃、95%の環境下でプロトン伝導度を測定したところ、0.18Scm−1を示した。これはDMPS中の−SONaが希塩酸処理することにより、−SOHに変換され、このプロトンもプロトン伝導に関与するための効果である。
(実施例4)
<高ケン化ポリビニルアルコールと2,3―ジメルカプトプロパンスルホン酸ナトリウムからなる架橋したマトリックスにスルホン化高分子を分散した複合体からなる固体高分子電解質膜の作製―その2>
PVA―124、PSSならびにDMPSを重量比で100:100:10の割合で含むようにした以外は実施例3と同様にしてフィルムを作製した。
得られたこのフィルムは80℃、95%の環境下で0.22Scm−1のプロトン伝導度を示した。この時、イオン交換容量(酸価)は、2.5ミリ当量/gであった。
このフィルムを実施例1と同条件で引っ張り試験を行ったところ、破断応力は45MPaであった(2片の平均値)。
(比較例2)
DMPSを添加しない以外は実施例3と同様にしてフィルムを作製した。得られたこのフィルムは80℃、95%の環境下で0.15Scm−1のプロトン伝導度を示した。この時、イオン交換容量(酸価)は、2.5ミリ当量/gであった。
このフィルムを実施例1と同条件で引っ張り試験を行ったところ、破断応力は13.5MPaであった(2片の平均値)。
実施例3及び実施例4と比較例2の比較から、DMPSを添加することによりフィルムの強度が向上していることが明らかである。溶媒がDMSOの場合と同様に水の場合である比較例2でも、ポリビニルアルコールがポリスチレンスルホン酸共存下で加熱されることにより、黒く着色することからも推察されるように、脱水縮合して部分的に剛直な共役二重結合が形成されるため、得られたフィルムが脆くなる。実施例3及び実施例4では、DMPSを添加することにより、DMPSがこの二重結合部分に付加し、カレンズMT(登録商標)PE1の場合と同様にPVA鎖同士が架橋されてフィルムの機械的強度が向上する。
(実施例5)
<高ケン化ポリビニルアルコールと1,4−ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン(カレンズMT(登録商標)BD1)からなる架橋したマトリックスにスルホン化高分子を分散した複合体からなる固体高分子電解質膜の作製>
実施例1のカレンズMT(登録商標)PE1に代えてカレンズMT(登録商標)BD1を用いた以外は、実施例1と同様にしてPVA―124、PSSならびにカレンズMT(登録商標)BD1を重量比で100:100:5の割合で含むフィルムを作製した。得られたこのフィルムは80℃、95%の環境下で0.14Scm−1のプロトン伝導度を示した。この時、イオン交換容量(酸価)は、2.5ミリ当量/gであった。
このフィルムでは引っ張り強度試験を行なわなかったが、カレンズMT(登録商標)BD1無添加の場合と比較して、折り曲げ操作への耐久性において明らかに強度が向上していることが観測された。カレンズMT(登録商標)BD1の場合においても、カレンズMT(登録商標)BD1がPVA−124主鎖に生じた二重結合に付加し、さらに他の二重結合を有するPVA主鎖との間で架橋反応が進行していることが示唆される。
(実施例6)
<高ケン化ポリビニルアルコールと1,3,5-トリス(3−メルカトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(カレンズMT(登録商標)NR1)からなる架橋したマトリックスにスルホン化高分子を分散した複合体からなる固体高分子電解質膜の作製―その1>
実施例1のカレンズMT(登録商標)PE1に代えてカレンズMT(登録商標)NR1を用いた以外は、実施例1と同様にしてPVA―124、PSSならびにカレンズMT(登録商標)NR1を重量比で1:1:0.05の割合で含むフィルムを作製した。得られたこのフィルムは80℃、95%の環境下で0.28Scm−1のプロトン伝導度を示した。この時、イオン交換容量(酸価)は、2.5ミリ当量/gであった。
このフィルムでは引張試験を行なわなかったが、カレンズMT(登録商標)NR1無添加の場合と比較して、折り曲げ操作への耐久性において明らかに強度が向上していることが観測された。カレンズMT(登録商標)NR1の場合においても、カレンズMT(登録
商標)NR1がPVA−124主鎖に生じた二重結合に付加し、さらに他の二重結合を有するPVA主鎖との間で架橋反応が進行していることが示唆される。
(実施例7)
<高ケン化ポリビニルアルコールと1,3,5-トリス(3−メルカトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(カレンズMT(登録商標)NR1)からなる架橋したマトリックスにスルホン化高分子を分散した複合体からなる固体高分子電解質膜の作製―その2>
実施例6のPSSに代えてポリビニルスルホン酸水溶液(旭化成ファインケム製:平均分子量118000、濃度10%:以下PVS)から実施例1と同様にして得た粉末をPVA−124に対して0.8重量部添加した以外、実施例6と同様にしてフィルムを作製した。このフィルムはPVA―124、PVSならびにカレンズMT(登録商標)NR1を100:80:5の重量比で含む。得られたこのフィルムは80℃、95%の環境下で0.14Scm−1のプロトン伝導度を示した。この時、イオン交換容量(酸価)は、4.1ミリ当量/gであった。
このフィルムでは引張試験を行なわなかったが、カレンズMT(登録商標)NR1無添加の場合と比較して、折り曲げ操作への耐久性において明らかに強度が向上していることが観測された。PVSにおいてもPSSの場合と同様、PVA−124主鎖に二重結合が生成し、その二重結合にカレンズMT(登録商標)NR1が付加架橋する反応が進行していることが示唆される。
発明者らは、スルホン化ポリマーとしてアルドリッチシグマ社の試薬ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(以下PAMPSと略)(平均分子量2000000)を使用した場合にも、PVA主鎖の脱水縮合に伴う共役二重結合生成によると考えられる、同様のフィルムの黒化現象を観察している。
したがってPSSならびにPVSの場合と同様、PVA−124とPAMPSから加熱して得られるフィルムにおいても、多価チオールを添加することにより架橋反応が生じ、フィルムの機械的強度が向上することは自明の理といえる。さらに、PVAの脱水縮合を誘発するような酸性の高い他のスルホン化ポリマーとPVAを用いた場合でも、多価チオールを添加することによりフィルムの機械的強度を向上させることができる。
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・固体高分子電解質膜の前躯体溶液には、ポリビニルアルコールとスルホン化ポリマーと多価チオールに加えて、可塑剤として水溶性高分子が添加されてもよい。これによれば、固体高分子電解質膜の機械的な強度をさらに向上させることが可能となる。水溶性高分子としては、例えばポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリN―ビニルアセトアミド等を用いることができる。
・上記実施形態及び実施例で示した多価チオール以外の多価チオールでも、ポリビニルアルコールならびにスルホン化ポリマーに相溶し、二重結合と付加反応するものであれば、同様に用いることができる。そのような多価チオールとして、例えば2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、メソ−2,2−ジメルカプトコハク酸、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル等が挙げられる。
・固体高分子電解質膜には、ポリマー短繊維もしくは不織布等が含まれてもよい。これによれば、固体高分子電解質膜の機械的強度及び吸湿時の寸法安定性を高めることが可能となる。複合化材としては、水に実質的に不溶のものを用いればよく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ビニロン、アラミド等を用いることができる。
・上記実施形態では、スルホン化ポリマーとして1種類の物質を用いたが、2種類以上の物質を混合して用いてもよい。
・ポリビニルアルコールの不溶化反応を進行させることができるものであれば、スルホン酸以外の他の酸を含むポリマーを複合化して、固体高分子電解質膜を作製してもよい。要は、プロトン解離性基を有する高分子であれば、ポリビニルアルコール及び多価チオールとともに固体高分子電解質膜の形成材料として用いることができる。
・固体高分子電解質膜の前躯体溶液に対する加熱処理は、単一の温度で処理してもよく、また、2段階以上に温度を変化させて処理を行ってもよい。
1…固体高分子電解質膜、2a,2b…電極触媒層、3a,3b…ガス拡散層、4a…カソード電極、4b…アノード電極、5…膜電極接合体、6a,6b…セパレータ、7a,7b…ガス流路、8a,9b…冷却水流路。

Claims (8)

  1. ポリビニルアルコールとプロトン解離性基を有する高分子と多価チオールとを溶媒に溶解して溶液を作る溶解工程と、
    前記溶液を用いて作成した固体高分子電解質の前駆体を加熱して固体高分子電解質を得る加熱工程と、
    を含む固体高分子電解質の製造方法。
  2. 前記多価チオールが、1,4−ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(3−メルカトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプブチレート)、2,3−ジメルカプトプロパンスルホン酸塩から選択される少なくとも1つである
    請求項1に記載の固体高分子電解質の製造方法。
  3. 前記溶液に含まれる前記ポリビニルアルコールと前記多価チオールとの重量比率は、前記ポリビニルアルコールを100としたとき、前記多価チオールが2以上15以下である
    請求項1または2に記載の固体高分子電解質の製造方法。
  4. 前記プロトン解離性基を有する高分子が、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)のいずれかである
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体高分子電解質の製造方法。
  5. 前記加熱工程における前記前駆体の加熱温度が、80℃以上200℃以下である
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体高分子電解質の製造方法。
  6. ポリビニルアルコールとプロトン解離性基を有する高分子とを含む固体高分子電解質で
    あって、
    ポリビニルアルコールが、下記一般式(1)で示される架橋骨格を有する固体高分子電解質。
    Figure 0006156982
    但し、一般式(1)にてRは有機基を示す。
  7. 請求項6に記載の固体高分子電解質を一対の電極触媒層の間に膜として備える膜電極接合体。
  8. ポリビニルアルコールと−SO M基(Mはアルカリ金属)を有する高分子とを含むイオン伝導体であって、
    ポリビニルアルコールが、下記一般式(1)で示される架橋骨格を有するイオン伝導体
    Figure 0006156982
    但し、一般式(1)にてRは有機基を示す。
JP2013107233A 2013-05-21 2013-05-21 固体高分子電解質の製造方法、固体高分子電解質、イオン伝導体、及び、膜電極接合体 Expired - Fee Related JP6156982B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013107233A JP6156982B2 (ja) 2013-05-21 2013-05-21 固体高分子電解質の製造方法、固体高分子電解質、イオン伝導体、及び、膜電極接合体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013107233A JP6156982B2 (ja) 2013-05-21 2013-05-21 固体高分子電解質の製造方法、固体高分子電解質、イオン伝導体、及び、膜電極接合体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014229440A JP2014229440A (ja) 2014-12-08
JP6156982B2 true JP6156982B2 (ja) 2017-07-05

Family

ID=52129123

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013107233A Expired - Fee Related JP6156982B2 (ja) 2013-05-21 2013-05-21 固体高分子電解質の製造方法、固体高分子電解質、イオン伝導体、及び、膜電極接合体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6156982B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU216806U1 (ru) * 2023-01-10 2023-03-02 Геннадий Юрьевич Карпеев Кран башенный приставной

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107428969A (zh) * 2015-02-20 2017-12-01 株式会社可乐丽 离子交换膜
JP7113448B2 (ja) * 2018-05-14 2022-08-05 北川工業株式会社 植物由来黒色粉末の製造方法および樹脂組成物の製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4452802B2 (ja) * 2004-11-26 2010-04-21 独立行政法人産業技術総合研究所 ブレンド架橋型高分子電解質膜
JP2012174529A (ja) * 2011-02-22 2012-09-10 Tokyo Institute Of Technology 架橋ポリビニルアルコールをマトリックスとするイオン伝導性固体高分子電解質膜の製造方法およびこの製造法によって製造された固体高分子電解質膜、およびそれを用いた膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池
JP2013197025A (ja) * 2012-03-22 2013-09-30 Tokyo Institute Of Technology 固体高分子電解質膜の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU216806U1 (ru) * 2023-01-10 2023-03-02 Геннадий Юрьевич Карпеев Кран башенный приставной

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014229440A (ja) 2014-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102282709B (zh) 高分子电解质膜的制造方法
TWI787489B (zh) 電解質膜、帶觸媒層的電解質膜、膜電極複合體、固體高分子形燃料電池
JP2010538416A (ja) 高分子形燃料電池に用いられるプロトン伝導性高分子電解質膜
CN102015830A (zh) 新型含磺酸基链段化嵌段共聚物聚合物及其用途、新型嵌段共聚物聚合物的制造方法
JP5479323B2 (ja) ルイス酸/ブレンステッド酸複合体を利用した新規な電解質
JP2008027890A (ja) 固体電解質、電極膜接合体、および燃料電池
CN102017256B (zh) 固体聚合物型燃料电池用电解质膜及其制造方法
JP2008112712A (ja) プロトン伝導性電解質膜、その製造方法、及びそれを用いた膜−電極接合体、燃料電池
JPWO2002062896A1 (ja) プロトン伝導性高分子膜およびその製造方法
JP2006344578A (ja) 固体電解質、電極膜接合体、および燃料電池
JP6156982B2 (ja) 固体高分子電解質の製造方法、固体高分子電解質、イオン伝導体、及び、膜電極接合体
JP5032175B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体
JP5352128B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体
JP4821946B2 (ja) 電解質膜及びその製造方法
JP2010040530A (ja) プロトン伝導性電解質膜、その製造方法、及びそれを用いた膜−電極接合体、燃料電池
JP2006176665A (ja) 新規スルホン酸基含有セグメント化ブロック共重合ポリマーおよびその用途
JP2006310159A (ja) 固体電解質、電極膜接合体、燃料電池、および固体電解質の製造方法。
JP5626960B2 (ja) 高分子電解質、その製法およびその用途
JP4437663B2 (ja) プロトン伝導性高分子電解質、プロトン伝導性高分子電解質膜及び膜−電極接合体、並びに固体高分子形燃料電池
CN108878939B (zh) 一种交联型阴离子交换膜的制备方法
JP5000289B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体
JP2007146111A (ja) スルホン酸基含有ポリマー、イオン交換膜、膜/電極接合体、燃料電池、ポリマー組成物
JP2021051995A (ja) 複合高分子電解質膜およびそれを用いた触媒層付電解質膜、膜電極複合体および固体高分子型燃料電池
JP2006310068A (ja) 固体電解質、電極膜接合体および燃料電池
JP2008115340A (ja) スルホン酸基含有ポリマー、その組成物及びその用途

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160408

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20160408

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170301

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170426

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170516

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170605

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6156982

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees