以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、本実施形態では、画像形成装置の一例として電子写真方式のフルカラーのレーザビームプリンタについて説明している。但し、本発明は電子写真方式の画像形成装置に限られず、他の方式の画像形成装置であってもよく、また、フルカラーであることにも限られず、モノクロやモノカラーであってもよい。
[第1実施形態]
図1及び図2に示すように、画像形成装置1は、画像形成装置本体(以下、装置本体という)10を備えている。また、装置本体10は、画像読取部20と、シート給送装置としてのシート給送部30と、画像形成部50と、シート搬送部60と、シート排出部70と、制御部80と、を備えている。
画像読取部20は、装置本体10の上部に設けられている。画像読取部20は、自動原稿給送装置21と、自動原稿給送装置21から原稿が搬送される原稿載置台としてのプラテンガラスと、プラテンガラスに載置された原稿に光を照射する光源と、反射光をデジタル信号に変換するイメージセンサ等を備えている。
シート給送部30は、装置本体10の下部に配置されており、第1のシート給送部31と、該第1のシート給送部31の下方に配置される第2のシート給送部41とを備えている。第1のシート給送部31は、記録紙等のシートSを積載して収容するシートカセット(シート積載部)32と、吸着分離搬送部33と、給送ローラ対34とを備え、シートSを画像形成部50に給送するようになっている。
吸着分離搬送部33は、シートカセット32に積載されたシートSを、最上位から1枚ずつ吸着して分離して搬送するようになっている。この吸着分離搬送部33の詳細な構成は後述する。給送ローラ対34は、吸着分離搬送部33から搬送されたシートSを画像形成部50に給送するようになっている。
第2のシート給送部41は、第1のシート給送部31と同様の構成となっている。このため、第1のシート給送部31の各部を示す符号30番台に対応させ、符号40番台を付すことで詳細な説明は省略する。
画像形成部50は、4個のプロセスカートリッジ51y,51m,51c,51kと、露光ユニット52と、中間転写ユニット53と、2次転写部54と、定着部55とを備え、電子写真方式により画像形成を行うようになっている。
プロセスカートリッジ51y,51m,51c,51kは、イエロー(y)、マゼンタ(m)、シアン(c)、ブラック(k)の4色のトナー画像を形成するために、4個設けられており、装置本体10に対して使用者により着脱可能になっている。例えば、プロセスカートリッジ51yは、トナー画像を形成する像担持体である感光体ドラム56yと、帯電ローラ57yと、現像ローラ58yと、ドラムクリーニングブレード59yと、不図示のトナー等を備えている。尚、他のプロセスカートリッジ51m,51c,51kも同様の構造となっているので、詳細な説明は省略する。
露光ユニット52は、感光体ドラム56y等の表面を露光して感光体ドラム56y等の表面上に静電潜像を形成する露光手段である。
中間転写ユニット53は、プロセスカートリッジ51y,51m,51c,51kの上方に配置されている。中間転写ユニット53は、駆動ローラ53aや1次転写ローラ53y,53m,53c,53k等の複数のローラと、これらのローラに巻き掛けられた中間転写ベルト53bとを備えている。1次転写ローラ53y,53m,53c,53kは、感光体ドラム56y,56m,56c,56kにそれぞれ対向して配置され、中間転写ベルト53bに当接するようになっている。中間転写ベルト53bに1次転写ローラ53y,53m,53c,53kによって正極性の転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム56y,56m,56c,56k上のそれぞれの負極性を持つトナー像が順次中間転写ベルト53bに多重転写される。これにより、中間転写ベルト53bに、フルカラー画像が形成されるようになっている。
2次転写部54は、2次転写内ローラ54aと、2次転写外ローラ54bとを備えている。2次転写外ローラ54bに正極性の2次転写バイアスを印加することによって、中間転写ベルト53bに形成されたフルカラー画像をシートSに転写するようになっている。尚、2次転写内ローラ54aは中間転写ベルト53bの内側で該中間転写ベルト53bを張架しており、2次転写外ローラ54bは中間転写ベルト53bを挟んで2次転写内ローラ54aと対向する位置に設けられている。
定着部55は、定着ローラ55aと、定着バックアップローラ55bとを備えている。定着ローラ55aと定着バックアップローラ55bとの間をシートSが挟持搬送されることにより、シートSに転写されたトナー像は加圧加熱されてシートSに定着されるようになっている。
シート搬送部60は、2次転写前搬送経路61と、定着前搬送経路62と、定着後搬送経路63と、排出経路64と、再搬送経路65とを備えている。シート搬送部60は、シート給送部30から給送されたシートSを画像形成部50からシート排出部70に搬送するようになっている。
2次転写前搬送経路61は、シート給送部30から給送されたシートSを、2次転写部54まで搬送するようになっている。定着前搬送経路62は、2次転写部54まで搬送されたシートSを、2次転写部54から定着部55まで搬送するようになっている。定着後搬送経路63は、定着部55まで搬送されたシートSを、定着部55からフラッパ66まで搬送するようになっている。
排出経路64は、フラッパ66まで搬送されたシートSを、フラッパ66からシート排出部70まで搬送するようになっている。再搬送経路65は、画像形成部50により片面に画像が形成されたシートSの裏面に画像を形成するため、シートSの搬送方向をシート反転部67にて反転させて、シートSを再び画像形成部50へ搬送するようになっている。
シート排出部70は、排出経路64の下流側に配置された排出ローラ対71と、排出ローラ対71の下流側に配置されたフェイスダウントレイ72とを備えている。排出ローラ対71は、排出経路64から搬送されるシートSをフェイスダウントレイ72に排出するようになっている。
図2(a)に示すように、制御部80はコンピュータにより構成され、例えばCPU81と、各部を制御するプログラムを記憶するROM82と、データを一時的に記憶するRAM83と、外部と信号を入出力する入出力回路(I/F)84とを備えている。制御部80は、入出力回路84を介して、画像読取部20、シート給送部30、画像形成部50、シート搬送部60、シート排出部70に接続され、各部と信号をやり取りすると共に動作を制御するようになっている。制御部80は、例えば装置本体10に設けられた操作部85に接続され、使用者による操作部85の操作によりシートSの種類やサイズ、出力形式を設定できるようになっている。
また、制御部80は、後述する第1の駆動部91及び第2の駆動部93のうち少なくとも一方を制御することにより、後述する第1の回転部90及び第2の回転部92の少なくとも一方の駆動ローラ90a,92aの回転量を調整可能になっている。尚、本実施形態では、調整対象である回転量は、回転角度及び回転速度の少なくとも一方を含む意味としている。これにより、制御部80は、ベルト94をシートカセット32に積載された最上位のシートSに接触させ、ベルト94の静電吸着力によりシートSを吸着し、該シートSを持ち上げて給送方向に分離給送可能になっている。
次に、このように構成された画像形成装置1における画像形成動作及び排出動作について説明する。
図1に示すように、画像形成動作が開始されると、まず不図示のパソコン等から送信される画像情報に基づき露光ユニット52は感光体ドラム56y,56m,56c,56kのそれぞれの表面に向けてレーザ光を照射する。感光体ドラム56y,56m,56c,56kの表面は、帯電ローラ57y,57m,57c,57kによって所定の極性及び電位に一様に帯電されており、レーザ光によって露光された部位の電荷が減衰することによって静電潜像が形成される。そして、この静電潜像を現像ローラ58y,58m,58c,58kからそれぞれ供給されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーにより現像し、静電潜像をトナー像として顕像化する。
各色トナー像を1次転写ローラ53y,53m,53c,53kにそれぞれ印加した1次転写バイアスにより、順次中間転写ベルト53bに転写することにより、中間転写ベルト53bの表面上にフルカラートナー画像が形成される。
一方で、このトナー画像の形成動作に並行して、第1のシート給送部31のシートカセット32に収容された複数のシートSから、吸着分離搬送部33の動作によって1枚のシートSのみが分離搬送される。あるいは、第2のシート給送部41のシートカセット42に収容された複数のシートSから、吸着分離搬送部43の動作によって1枚のシートSのみが分離搬送される。尚、吸着分離搬送部33,43の動作の詳細に関しては後述する。
例えば、シートSが第1のシート給送部31又は第2のシート給送部41から給送された場合には、シートSは後述する先端検出センサ35,45により検出されて、給送ローラ対34,44に到達する。更に、このシートSは、2次転写前搬送経路61に送り込まれ、停止しているレジストレーションローラ対に当接することにより先端の位置が調整される。
そして、2次転写部54において、中間転写ベルト53bに形成されたフルカラートナー像とシートSの位置とを一致させるタイミングで、レジストレーションローラ対が駆動される。これにより、シートSは2次転写部54まで搬送され、2次転写部54にて2次転写外ローラ54bに印加した2次転写バイアスにより、フルカラートナー像がシートS上に一括して転写される。
そして、このようにフルカラートナー像が転写されたシートSは、定着部55に搬送され、この定着部55において熱及び圧力を受けて各色のトナーが溶融混色し、シートSにフルカラーの画像として定着される。この後、画像が定着されたシートSは、定着部55の下流に設けられたシート排出部70によって排出される。
次に、本発明の特徴部分であるシート給送部30の第1のシート給送部31の吸着分離搬送部33について詳細に説明する。尚、第1のシート給送部31及び第2のシート給送部41は同様の構成であるため、ここでは第1のシート給送部31の吸着分離搬送部33について説明し、第2のシート給送部41の吸着分離搬送部43の説明は省略する。
図2(b)に示すように、第1のシート給送部31の吸着分離搬送部33は、第1の回転部90と、第1の駆動部91と、第2の回転部92と、第2の駆動部93と、可撓性で無端状のベルト(無端ベルト)94と、電圧印加部95とを備えている。
第1の回転部90及び第2の回転部92は、シートカセット32に積載されたシートSの最上位のシートSに近接して対向する上方位置に配置されている。第1の回転部90は、第2の回転部92に対してシート給送方向下流側に配置されている。
第1の回転部90は、ベルト94の内側に配置される第1の回転体である駆動ローラ90aと、ベルト94の外側に配置されると共に駆動ローラ90aに押圧される加圧ローラ90bとを備えている。即ち、駆動ローラ90aは、加圧ローラ90bとの間でベルト94を挟持するローラ対を構成している。
駆動ローラ90aは、配置位置が固定の不図示の軸支持部材によって回転自在に軸支されており、例えばモータ等からなる第1の駆動部91から、不図示の駆動伝達部を介して駆動力が回転力として伝達されるようになっている。加圧ローラ90bは、付勢ばね90cにより付勢力を与えられる不図示の軸支持部材によって回転自在に軸支されており、付勢ばね90cにより駆動ローラ90aの軸中心方向へ向かって付勢されている。
第2の回転部92は、ベルト94の内側に配置される第2の回転体である駆動ローラ92aと、ベルト94の外側に配置されると共に駆動ローラ92aに押圧される加圧ローラ92bとを備えている。即ち、駆動ローラ92aは、加圧ローラ92bとの間でベルト94を挟持するローラ対を構成している。
駆動ローラ92aは、配置位置が固定の不図示の軸支持部材によって回転自在に軸支されており、例えばモータ等からなる第2の駆動部93から、不図示の駆動伝達部を介して駆動力が回転力として伝達されるようになっている。加圧ローラ92bは、付勢ばね92cにより付勢力を与えられる不図示の軸支持部材によって回転自在に軸支されており、付勢ばね92cにより駆動ローラ92aの軸中心方向へ向かって付勢されている。
尚、駆動ローラ90a及び駆動ローラ92aは、いずれもベルト94をシートSの給送方向に回転する方向を正回転(正転駆動)としている。本実施形態では、以下、第1の回転部90の回転とは、第1の回転部90の駆動ローラ90aの回転を意味すると共に、その回転方向は正回転を意味するものとする。同様に、第2の回転部92の回転とは、第2の回転部92の駆動ローラ92aの回転を意味すると共に、その回転方向は正回転を意味するものとする。また、本実施形態では、第1の回転部90の搬送量及び搬送速度とは、第1の回転部90における駆動ローラ90a及び加圧ローラ90bによるベルト94の搬送量及び搬送速度を意味するものとする。同様に、第2の回転部92の搬送量及び搬送速度とは、第2の回転部92における駆動ローラ92a及び加圧ローラ92bによるベルト94の搬送量及び搬送速度を意味するものとする。
ベルト94は、第1の回転部90及び第2の回転部92によって挟持されて各駆動ローラ90a,92aに巻き掛けられると共に、各駆動ローラ90a,92aによって巻回可能な、即ち巻き掛け可能な最短周長よりも所定量長くして構成されている。そのため、各駆動ローラ90a,92aの回転量の差によりベルト94を変形させることが可能であり、弛まされることによりベルト94はシートカセット32に積載された最上位のシートSに接離可能である。
尚、第2の回転部92の駆動ローラ92aの直径と、第1の回転部90の駆動ローラ90aの直径とは、同一に設定されている。これにより、例えば、各回転部90,92で設定すべきベルト94の搬送量差(図5(a)参照)が与えられて、各駆動ローラ90a,92aの回転量を求める場合に、搬送量差を回転量差にそのまま置き換えられるので、計算を容易にすることができる。但し、駆動ローラ90a,92aの直径は同一であることには限られず、異なっていてもよい。その場合、例えば、与えられた搬送量差から各駆動ローラ90a,92aの回転量を求める際は、少なくとも一方の駆動ローラ90a,92aの回転量を補正し、補正後の回転量の回転量差として計算するようにする。
本実施形態では、ベルト94によるシートSの吸着分離の際に、シートS同士が摺擦しないように、吸着させたシートSを面外方向、即ち面に対して垂直成分を有する方向に弾性変形させながら分離を行っている。そのため、シートSの分離には、少なくともシートSの変形に伴う曲げ反力、即ちシートSの腰よりも大きな吸着力が必要である。
そこで、本実施形態では、シートカセット32に積載したシートSから1枚ずつ給送していき、ベルト94と最大距離離れる最後のシートSを給送する場合においても吸着分離に必要な吸着力が得られる必要接触面積(所定の接触面積)Mnを設定する。ベルト94が最上位のシートSを吸着して分離給送するために必要なベルト94及び最上位のシートSの接触面積である必要接触面積Mnを設定し、その必要接触面積Mnが確保されるように、ベルト94の長さを決定する。即ち、ベルト94と最上位のシートSとが、必要接触面積Mn以上の面積で接触した際に、ベルト94により最上位のシートSを吸着して持ち上げ可能になる。
電圧印加部95は、ベルト94に接続されて正極の電圧を供給する正電圧供給部95aと、ベルト94に接続されて負極の電圧を供給する負電圧供給部95bとを備えている。電圧印加部95の印加電圧によって、ベルト94にシートSを引き付ける静電的な吸着力が発生する。
ここで図3及び図4を用いて、吸着分離搬送部33が備えるベルト94の詳細構成と、ベルト94がシートSを吸着する吸着力の発生原理とを説明する。
図3(a)はベルト94の表面、図3(b)はベルト94の斜視図、図4(a)はベルト94の給電部断面、図4(b)はベルト94とシートSとの間に働く静電吸着力の概念断面図をそれぞれ表している。
図3及び図4(a)に示すように、ベルト94は、基層94cと、正電極94aと、負電極94bとによって構成され、基層94cの内部に、櫛歯形状の正電極94aと、同様に櫛歯形状の負電極94bとが交互に配置されている。本実施形態では、基層94cは体積抵抗108Ωcm以上の誘電体であるポリイミドであり、層厚は100μm程度としている。正電極94a及び負電極94bは体積抵抗106Ωcm以下の導電体であり、層厚が10μm程度の銅を用いている。本実施形態では、後述するように、シートSにベルト94が接近する際にベルト94が樽型形状に形成されるように、ベルト94の材質及び厚み等を調節してベルト94に適度な弾性を持たせている。
正電極94aは、ベルト94の一方の縁部に沿って配置された周縁部と、該周縁部からベルト94の他方の縁部に向けて垂直に櫛歯状に突出した櫛歯部とを備えている。正電極94aの周縁部は、ベルト94の裏面の露出領域94dにおいて露出している。正電極94aの露出領域94dでは、正電圧供給部95aに接続された正接点96aが正電極94aの周縁部に接触している。
負電極94bは、ベルト94の他方の縁部に沿って配置された周縁部と、該周縁部からベルト94の一方の縁部に向けて垂直に櫛歯状に突出した櫛歯部とを備えている。負電極94bの周縁部は、ベルト94の裏面の露出領域94eにおいて露出している。負電極94bの露出領域94eでは、負電圧供給部95bに接続された負接点96bが負電極94bの周縁部に接触している。
正電極94a及び負電極94bには、本実施形態ではそれぞれ1kV程度の正負電圧が印加されている。本実施形態では、正接点96a及び負接点96bは、それぞれ弾性を有する金属板材の先端にカーボンブラシを加締めた構造となっており、カーボンブラシが正電極94a及び負電極94bと接触している。正接点96a及び負接点96bは弾性を有しているため、断面形状が変化するベルト94に追従して安定した給電が可能である。
図4(b)に示すように、交互に正負の電圧が印加された正電極94a及び負電極94bによって、ベルト94の表面近傍には不平等電界が形成される。ベルト94をシートSに接近させると誘電体であるシートSの表層には誘電分極が生じ、マックスウェルの応力によって、ベルト94とシートSとの間に静電吸着力が生じる。
尚、本実施形態では上述のような構成にてベルト94とシートSとの間に静電吸着力を生じさせたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、正電極94a及び負電極94bは必ずしも櫛歯形状でなくともよく、シートSとの間に電界が形成され、シートSを誘電分極させることができる一様電極のような形状でもよい。また、電圧印加部95の構成もこれに限定するものではない。
更に、本実施形態では静電吸着力によってシートSをベルト94に吸着させているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、他の吸着力を利用する例として、ベルト94の表面にサブミクロンオーダーの微細な繊維構造を形成し、シートSとの間に働く分子間引力によって吸着させてもよい。
また、図2(b)に示すように、第1のシート給送部31は、シート検知部としての先端検出センサ35と、シート高さ検知部としてのシート高さ検知センサ36と、初期位置検知センサ37とを備えている。
先端検出センサ35は、吸着分離搬送部33と給送ローラ対34との間のシート搬送経路に配置されており、吸着分離搬送部33から分離搬送されたシートSの先端部を検出するようになっている。先端検出センサ35による所定のタイミングでのシートSの検出の有無によって、制御部80は給送の成否を検出する。本実施形態では、先端検出センサ35は非接触の反射式フォトセンサであり、搬送経路に向けてスポット光を照射し、その反射光量を測定してシートSの有無を検出する。
シート高さ検知センサ36は、積載されたシートSの上方に配置されており、シートカセット32に積載された最上位のシートSの上面との距離Lsを検出する。本実施形態では、シート高さ検知センサ36は非接触の反射式測距センサであり、シートSの上面に向けてスポット光を照射し、その反射光と基準光の位相差に基づいてシート高さ検知センサ36とシートS間の距離を測定する。尚、シート高さ検知センサ36と、第1の回転部90及び第2の回転部92とは、いずれも装置本体10に固定されており、高さ関係もまた固定となっている。このため、制御部80は、後述のようにベルト94を最大搬送量差Wで搬送することにより、シートSに対して必要接触面積Mnで接触できるようになっている。
初期位置検知センサ37は、ベルト94の内側で吸着面側(シートS側)の近傍に設置されており、ベルト94がそのシート吸着面側が略直線である初期状態となっているか否かを検知する。本実施形態では、初期位置検知センサ37は、シート高さ検知センサ36と同様に非接触の反射式測距センサを用いる。
尚、本実施形態では初期位置検知センサ37に非接触の反射式測距センサを用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ベルト94を挟持する各駆動ローラ90a,92a及び各加圧ローラ90b,92bのそれぞれにそのホームポジションを検知する機能を含んだロータリーエンコーダを取り付けることにより、ベルト94の初期状態を検知してもよい。また、本実施形態では、シートSを1枚給送する毎にベルト94の初期状態を吸着面側が略直線となるように形成するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1の回転部90及び第2の回転部92の搬送量差が所定量存在し、ベルト94の吸着面側が弛んでいる状態を初期状態としてもよい。
ここで、ベルト94によるシート吸着時には、第1の回転部90の搬送量及び第2の回転部92の搬送量の差である搬送量差wが最大となり、これを最大搬送量差Wと定義する。即ち、最大搬送量差Wは、シートSとベルト94が所定の必要接触面積Mnとなるための第1の回転部90及び第2の回転部92のベルト94の初期状態からの搬送量差wである。この最大搬送量差Wは、シート距離Ls毎に、ベルト94の初期状態からの搬送量差wを変更していき、シートSとベルト94が所定の必要接触面積Mnとなった時点の搬送量差wを最大搬送量差Wとすることにより事前に取得した値とする。
シート高さ検知センサ36により検知されるシート距離Lsと、ベルト94の初期状態からの第1の回転部90と第2の回転部92の最大搬送量差Wとの相関関係は、例えば、図5(a)に示すようなグラフで表される。この最大搬送量差Wとシート距離Lsとの関係は、予めROM82に記憶しておく。尚、本実施形態ではシート距離Lsと最大搬送量差Wとの相関関係をグラフとして記憶しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、シート距離Lsに対応する最大搬送量差Wの関係を示した表や数式等に基づいて取得する方式であってもよい。
ここで、図5(b)に、初期状態からX枚シート給送時の第1の回転部90と第2の回転部92の搬送量差wと、ベルト94とシートSの接触面積Mの関係について、シート給送の1回目P1とX回目PXとの比較を示す。シート給送動作を繰り返したPXでは、シートカセット32に積載された最上位のシートSの上面高さがP1よりも低い状態である。P1では、搬送量差wがwxの時にベルト94がシートカセット32に積載された最上位のシートSに接触し、搬送量差がWrの時にベルト94とシートカセット32に積載された最上位のシートSとの接触面積がMnに達するものとする。PXでは、P1に比べてシートカセット32に積載された最上位のシートSの上面高さが低くなっているため、シートカセット32に積載された最上位のシートSと接触するために必要な搬送量差wは、wxより大きいwyとなる。
ベルト94の初期状態からシート吸着時までに形成される搬送量差wを、給送枚数に関わらず略一定とした場合について説明する。この場合、PXの低いシート位置では、搬送量差wがWrの時、ベルト94とシートカセット32に積載された最上位のシートSとの接触面積はMrで、Mnより小さくなってしまう。そこで、本実施形態のように初期状態を形成し、検知したシート距離Lsを基にROM82から対応する最大搬送量差Waに変更することにより、ベルト94とシートカセット32に積載された最上位のシートSとの接触面積をMnに保つことが可能となる。
CPU81は、操作部85及びシート高さ検知センサ36の情報に基づいて、ROM82から読み取った最大搬送量差Wを実現するように、第1の駆動部91及び第2の駆動部93の動作を制御する。
次に、吸着分離搬送部33によってシートSが給送される動作を図6に示すフローチャートに沿って、図7のタイミングチャートと、図8及び図9の動作シーケンス図とを参照して説明する。
図7は、吸着分離搬送部33のシートSの1枚分の給送動作におけるタイミングチャートである。同図では、第1の回転部90の搬送速度u1、第2の回転部92の搬送速度u2、正電圧供給部95aから供給される電圧vp、負電圧供給部95bから供給される電圧vnを時系列に表している。また、先端検出センサ35の検出パルスps、第1の回転部90と第2の回転部92の搬送量差wについても、同様に時系列に表している。
ここで、時刻T0から時刻T6は画像形成装置1の生産性等を基にして事前に決定する。時刻T0から時刻T1は初期状態、時刻T1から時刻T2はベルト94のシートSへの接近動作、時刻T2から時刻T3はベルト94とシートSの接触面積増大動作となるように搬送速度u1、u2を決定する。また、時刻T3から時刻T4はベルト94とシートSの吸着状態、時刻T4から時刻T5はシート束からのシートSの分離動作、時刻T5から時刻T6はシートSの搬送動作となるように搬送速度u1、u2を決定する。
尚、本実施形態では全ての動作シーケンスにおいて、ベルト94には正電圧供給部95a及び負電圧供給部95bが接続され、電圧vp及び電圧vnは、シートSの全ての給送動作において+V及び−Vとされている。
時刻T0において、制御部80により給送ジョブが開始されると(ステップS1)、図8(a)に示すように、ベルト94が初期状態に設定される。ベルト94の初期状態においては、第1の駆動部91及び第2の駆動部93は停止している。
尚、本実施形態では、制御部80が初期位置検知センサ37により検知されるベルト94の距離Ltが初期位置の距離L1と等しいか否かの判定を行い、L1と異なる場合はベルト94の初期状態形成動作を行うようになっている。初期状態形成動作では初期位置検知センサ37によりベルト94が略直線となる距離であるL1と検知するまで第1の駆動部91によって第1の回転部90の駆動ローラ90aを図中F方向に回転させる。この時、第2の駆動部93を停止させる。初期位置検知センサ37により距離L1が検知された後、第1の駆動部91を停止させることにより、ベルト94が初期状態に設定される。
そして、制御部80は、シート高さ検知センサ36によりシート距離Lsを検知する(ステップS2)。この時、ベルト94が初期状態であることから、シートSに対するベルト94の相対位置を推定する。制御部80は、検知したシート距離Lsに対応するベルト94の初期状態からの第1の回転部90と第2の回転部92の最大搬送量差W1を、ROM82から読み取る(ステップS3)。
制御部80は、時刻T1から時刻T3までにベルト94の初期状態からの第1の回転部90と第2の回転部92の最大搬送量差がW1となる第2の回転部92の搬送速度Utを算出する(ステップS4)。本実施形態では、最大搬送量差W1を時間(T3−T1)で除算することで搬送速度Utを算出している。このように、シート距離Lsに対応した最大搬送量差W1と時間(T3−T1)から搬送速度Utを決定することにより、給送枚数が増えてシート距離Lsが増加しても生産性が変動しない。
時刻T1において、図8(b)に示すように、第2の駆動部93によって第2の回転部92の駆動ローラ92aを図中F方向に回転させて、ベルト94を図中Ad方向へ搬送させる(ステップS5)。更に、第1の駆動部91によって第1の回転部90を停止させることで、ベルト94にシートSを指向する樽型形状の変形を生じさせている。図7に示すように、第1の回転部90の搬送速度u1は0で、第2の回転部92の搬送速度u2はステップS4で算出したUtである。
時刻T2において、第2の回転部92の回転によりベルト94の樽型形状の変形が進んだ結果、ベルト94がシートSに接触する(ステップS6)。即ち、制御部80は、シート高さ検知センサ36により検知された最上位のシートSの上面高さに基づいて、第1の回転部90及び第2の回転部92の各回転量を調整し、ベルト94を変形することにより最上位のシートSに接触させる。第2の回転部92の回転が更に進むと、図8(c)に示すように、ベルト94とシートSの接触面積Mcが増大する(ステップS7)。
時刻T3において、第2の駆動部93によって第2の回転部92の回転を停止させる。この時、ベルト94の初期状態からの第1の回転部90と第2の回転部92の搬送量差wが、最大値となる最大搬送量差W1に到達する(ステップS8)。
この時、図9(a)に示すように、シートカセット32に積載された最上位のシートSとベルト94の表面とが所定の面積Mnを以て接触し、ベルト94にシートSが吸着される(ステップS9)。ベルト94には正電圧供給部95a及び負電圧供給部95bを介して電圧が印加されているため、ベルト94とシートSとの間には静電吸着が発生する。この時、第1の駆動部91及び第2の駆動部93を停止させており、図7に示すように、第1の回転部90の搬送速度u1及び第2の回転部92の搬送速度u2はいずれも0である。
時刻T4において、図9(b)に示すように、第1の駆動部91によって第1の回転部90の駆動ローラ90aを図中F方向に回転させて、ベルト94を図中Au方向へ搬送させる(ステップS10)。また、第2の回転部92は第2の駆動部93によって停止したままである。図7に示すように、第1の回転部90の搬送速度u1はUtである。
第1の駆動部91により第1の回転部90を回転させ、ベルト94の吸着面側を樽型形状から略直線形状へと変化させることで、ベルト94に吸着されたシートS1を面外方向である図中Au方向へ分離給送させる(ステップS11)。即ち、制御部80は、シートカセット32に積載された最上位のシートSの上面高さに基づいて、第1の回転部90及び第2の回転部92の各回転量を調整する。これにより、制御部80は、ベルト94とシートカセット32に積載された最上位のシートSとの接触面積を必要接触面積Mnまで増加させてから、ベルト94によりシートカセット32に積載された最上位のシートSを吸着して分離給送する。
時刻T5において、図9(c)に示すように、ベルト94の形状が略直線になる。この時刻T5から、第2の駆動部93によって第2の回転部92を第1の回転部90と略一致した搬送速度で回転させる(ステップS12)。図7に示すように、第1の回転部90の搬送速度u1及び第2の回転部92の搬送速度u2はいずれもUである。
この時、ベルト94の吸着面側が略直線形状に維持されたまま、ベルト94は搬送される。ベルト94にはシートSが吸着されたままであり、シートS1は、積載された次のシートS2と離間分離された状態を保ちながら図中A方向へ移動される。搬送動作において給送枚数に応じた生産性の変動はない。そのため、生産性等を考慮して事前に決定した搬送速度Uを用いている。尚、Uは画像形成装置1の生産性等を基にして決定される速度であり、本実施形態では、例えばU=200mm/sとしている。
シートS1の先端が、第1の回転部90の駆動ローラ90aによって形成されるベルト94の曲率部近傍に差し掛かると、シートSの先端はベルト94から剥離する。この剥離は、シートS1が有する曲げ反力が、ベルト94に発生する静電吸着力よりも大きくなるために生ずる。シートS1は、先端から剥離が拡大していくものの、後端領域の吸着によってそのまま搬送される。図7に示すように、時刻Tpには先端検出センサ35から先端検出パルスpsが出力される。その後、シートS1は給送ローラ対34に引き渡される。
尚、制御部80は、時刻Tpが給送タイミングの所定の値の範囲に収まっているか否かに基づいて、給送リトライの判断を行う。時刻Tpが所定の値の範囲に収まっていない場合は、シートS1の給送動作にミスが生じたと判断し、再びステップS5から給送動作をやり直す。
時刻T6において、第1の駆動部91により第1の回転部90の回転を停止すると共に、第2の駆動部93により第2の回転部92の回転を停止する(ステップS13)。その後、次のシートに対して給送ジョブが開始されると(ステップS14)、再度、ステップS1からステップS13の処理を繰り返す。
上述したように本実施形態の画像形成装置1のシート給送部30によれば、ベルト94の初期状態において検知したシートカセット32に積載された最上位のシートSの位置に基づき、最大搬送量差WをROM82から読み取る。そして、制御部80は、最大搬送量差Wに基づいて、第1の駆動部91と第2の駆動部93とを制御する。このため、シートSを昇降するリフタが無くてもベルト94とシートカセット32に積載された最上位のシートSとの接触面積を調整できるので、給送時の機構稼働音を低減しつつ、シート束からの最上位のシートSの吸着力の安定した吸着分離が可能となる。
尚、上述した本実施形態では、ステップS1において、第1の駆動部91及び第2の駆動部93を停止させているが、これには限られない。例えば、第1の駆動部91及び第2の駆動部93を同速度で正転駆動させて、シートSに対してベルト94を所定の空隙を空けて離間させてもよい。
また、上述した本実施形態では、ステップS5〜ステップS8において、第2の回転部92を回転させ、第1の回転部90を停止することによって、シートSに対してベルト94を接近させ、接触面積を増大させているが、これには限られない。例えば、第1の駆動部91を逆転駆動させ、第1の回転部90を搬送速度Utで逆回転させると共に、第2の駆動部93を停止させることで、シートSに対してベルト94を接近させ、接触面積を増大させてもよい。
また、上述した本実施形態では、ステップS5において、第1の回転部90を停止しているが、これには限られない。例えば、第1の回転部90を回転させていても、第2の回転部92を第1の回転部90よりも速い搬送速度にすることにより、ベルト94に樽型形状の変形を生じさせるようにしてもよい。
また、上述した本実施形態では、ステップS9において、第1の駆動部91及び第2の駆動部93を停止させているが、これには限られない。例えば、最上位のシートSとベルト94の表面とが所定の面積接触で吸着していれば、第1の駆動部91及び第2の駆動部93は駆動していてもよい。
また、上述した本実施形態では、ステップS11において、第2の駆動部93によって第2の回転部92の回転を停止させているが、これには限られない。例えば、第2の回転部92を第1の回転部90よりも遅い搬送速度にすることにより、ベルト94を略直線形状へと変形させてもよい。
また、上述した本実施形態では、全ての工程においてベルト94に正電圧供給部95a及び負電圧供給部95bが接続され、ベルト94には常に吸着力が発生されていたが、これには限られない。例えば、シートSが吸着され、分離搬送が完了するステップS9からステップS12までの間だけ、正電圧供給部95a及び負電圧供給部95bを接続させてベルト94に吸着力を発生させるようにしてもよい。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置1のシート給送部30について、図10乃至図12に沿って説明する。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、ROM82から最大搬送量差Wを読み出すために、推定したシート距離情報と、検知した環境情報を用いるようにしている。結果として、第1実施形態と比較をするとシート距離を把握する構成をより単純化することが可能であり、低コスト化を図ることができる。また、検知した温度や湿度といった環境情報を基に搬送量差wを変更することにより、更に安定した吸着分離が可能となる。その他の構成については、第1実施形態と同様の構成であるので、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図10(a)に示すように、第1のシート給送部31は、シートカセット32と、吸着分離搬送部33と、給送ローラ対34と、シート昇降部38とを備えている。また、第1のシート給送部31は、先端検出センサ35と、初期位置検知センサ37と、環境検知部11と、シート初期位置検知センサ12とを備えている。尚、第1実施形態と同様に、第2のシート給送部41は、第1のシート給送部31と同様の構成となっているので詳細な説明は省略する。
シート昇降部38は、積載されたシートSの最下部、即ち底部に配置されており、シートSを昇降させて最上位のシートSの上面高さを調節する。シート昇降部38は、中板38aとリフタ38bとを備えている。シートカセット32に対して昇降動作可能に支持された中板38aには、角度調節可能なリフタ38bが下方から支持しており、リフタ38bの配置角度によって、中板38a及び中板38aの上に積載されたシートSの昇降位置を変更することができる。
環境検知部11は、シートSの近傍に設置されており、雰囲気の温度や湿度等を検知する。即ち、環境検知部11は、シートSの周囲の環境情報を検知するようになっている。本実施形態では、環境検知部11は温度を検知するサーミスタを備え、雰囲気の温度のみを検知するようになっている。
シート初期位置検知センサ12は、シートカセット32に積載された最上位のシートSの近傍に配置されており、給送ジョブ開始時におけるシートカセット32に積載された最上位のシートSの初期高さを検出する。本実施形態では、シート初期位置検知センサ12は、不図示のセンサフラグとフォトセンサによって構成されている。センサフラグは回転可能に支持されており、一端は最上位のシートSと接触可能な位置に配置され、他端はフォトセンサを遮光可能な位置に配置されている。シートカセット32に積載された最上位のシートSが所定の上面高さに位置する場合に、センサフラグの回転動作を介してフォトセンサが遮光される。フォトセンサの遮光状態を検出することによって、シートカセット32に積載された最上位のシートSの昇降位置検出が可能となる。
尚、本実施形態では、シート初期位置検知センサ12はセンサフラグとフォトセンサから構成されたものを用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、シート初期位置検知センサ12に非接触の反射式測距センサを用いて、給送ジョブ開始時におけるシートカセット32に積載された最上位のシートSと反射式測距センサ間の距離を測定することにより、最上位のシートSの初期位置を検知してもよい。
先端検出センサ35は、第1実施形態での先端検出センサ35と同様の構成であるが、本実施形態ではシート検知部として、シートカセット32から給送されたシートSを検知するようになっている。また、先端検出センサ35によるシートSの給送の検知は、制御部80の後述するカウンタ部86により回数がカウントされ、カウントされた検知回数が給送枚数として処理されるようになっている。
また、制御部80は、給送ジョブ開始後のみシートSがシート初期位置検知センサ12によって検出されるように、シート昇降部38の動作を制御する。その結果、毎回の給送ジョブ開始直後は第1の回転部90及び第2の回転部92と、最上位のシートSとの空隙は略一定とすることができる。
図10(b)に示すように、制御部80は、CPU81と、ROM82と、RAM83と、入出力回路(I/F)84と、カウンタ部86とを備えている。カウンタ部86は、給紙ジョブ開始時に0から始まり、先端検出センサ35によりシートカセット32から分離搬送されたシートSの先端部が検出される毎に1ずつカウントを増加させる。
シート初期位置検知センサ12とカウンタ部86により推定される距離をシート距離Lsaとする。また、最大搬送量差Wは、シート距離Lsa毎に、ベルト94の初期状態からの搬送量差wを変更していき、シートSとベルト94が所定の必要接触面積Mnとなった時点の搬送量差wを最大搬送量差Wとすることにより事前に取得した値とする。そして、シート初期位置検知センサ12とシートカセット32に積載された最上位のシートSとの距離Lsaと、ベルト94の初期状態からの第1の回転部90と第2の回転部92の最大搬送量差Wとの関係は、例えば、図11に示すグラフで表される。この最大搬送量差Wとシート距離Lsaとの関係は、予めROM82に記憶しておく。
ここで、ベルト94とシートSとの間に働く静電吸着力は環境に大きく依存していることが知られている。例えば、ベルト94の構成によっては、シートSとベルト94の接触面積が同一でも、環境が変動すると静電吸着力が数倍変動する場合がある。環境の代表例として温度が知られている。そのため、本実施形態では環境に合わせて最大搬送量差Wを変更し、シートSとベルト94との間に働く静電吸着力を制御する。
このため、ROM82は環境検知部11で検知される温度毎に、推定シート距離Lsaと最大搬送量差Wの関係を記憶している。例えば、図11において、Taは5℃、Tbは15℃、Tcは35℃の場合の各関係を示し、これら複数の関係がROM82に記憶されている。
また、本実施形態では、同一シート距離Lsaにおいて、最大搬送量差Wは温度の高い状態の時が温度の低い状態の時よりも大きい値としているが、これに限定されるものではない。なぜなら、ベルト94の構成によって逆となる場合も生じるためである。また、本実施形態では、環境検知部11で温度のみ検知しているが、これに限定するものではない。例えば、ベルト94による静電吸着力は湿度に合わせて変動することも知られているため、環境検知部11に湿度を検知するための電気式湿度計を備えてもよい。この場合、ROM82には、湿度毎に推定シート距離Lsaと最大搬送量差Wとの関係を記憶するようにする。
次に、吸着分離搬送部33によってシートSが給送される動作を図12に示すフローチャートに沿って説明する。
時刻T0において、制御部80により給送ジョブが開始されると(ステップS21)、ベルト94が初期状態に設定される。ベルト94の初期状態においては、第1の駆動部91及び第2の駆動部93は停止している。ここで、制御部80は、シートSがシート初期位置検知センサ12によって検出されるまで、シート昇降部38によりシートSを上昇させる。
そして、制御部80は、シート距離Lsaを算出する(ステップS22)。制御部80は、カウンタ部86でカウントされたカウント値Qと操作部85により入力されたシートSの種類のシート厚さHとに基づき、シート距離LsaをQ×Hで求めることができる。
検知した温度や湿度と算出したシート距離Lsaに対応するベルト94の初期状態からの第1の回転部90と第2の回転部92の最大搬送量差W1をROM82から読み取る(ステップS23)。
ここで、ステップS24〜ステップS32は、第1実施形態のステップS4〜ステップS12と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。尚、制御部80は、先端検出センサ35での検知結果をカウントした最上位のシートSの給送枚数に基づいて、第1の回転部90及び第2の回転部92の各回転量を調整し、ベルト94を変形することにより最上位のシートSに接触させる(ステップS26)。
ステップS32において、第1の回転部90及び第2の回転部92を略一致した搬送速度で回転させてから、先端検出センサ35により吸着分離搬送部33から分離搬送されたシートSの先端部を検出する(ステップS33)。制御部80は、先端検出センサ35により先端部が検出された場合は、カウンタ部86のカウンタを1増加させる。
その後は、第1実施形態と同様に、時刻T6において、第1の駆動部91により第1の回転部90の回転を停止すると共に、第2の駆動部93により第2の回転部92の回転を停止する(ステップS34)。その後、次のシートに対して給送ジョブが開始されると(ステップS35)、再度、ステップS21からステップS34の処理を繰り返す。
上述したように本実施形態の画像形成装置1のシート給送部30によれば、初期状態においてシートSをシート昇降部38により所定の初期高さに位置させる。これにより、その後は給送枚数によってシートカセット32に積載された最上位のシートSの上面高さを算出することができる。このため、フォトセンサ等を利用してシートカセット32に積載された最上位のシートSの上面高さを検知する場合に比べて、装置や処理の簡素化を図ることができ、低コスト化を図ることができる。しかも、第1実施形態と同様に、給送動作中はシートSを昇降するリフタを使用せずベルト94と最上位のシートSとの接触面積を調整するので、給送時の機構稼働音を低減しつつ、シート束からの最上位のシートSの吸着力の安定した吸着分離が可能となる。
また、本実施形態の画像形成装置1のシート給送部30によれば、環境検知部11で検知される温度毎に、推定シート距離Lsaと最大搬送量差Wの関係を異ならせている。このため、環境に対応したベルト94とシートSとの接触面積に制御でき、より安定した吸着分離が可能となる。
尚、上述した本実施形態では、温度毎に推定シート距離Lsaと最大搬送量差Wの関係を異ならせているが、これには限られず、推定シート距離Lsaと最大搬送量差Wの関係について、代表的な1つの関係のみを利用するようにしてもよい。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る画像形成装置1のシート給送部30について図13及び図14に沿って説明する。
本実施形態では、第1実施形態と異なり、シート距離Lsを用いずに、ベルト94の位置を用いてベルト94とシートSとの接触面積を取得するようにしている。このため、第1実施形態と比較するとベルト94の位置変動だけを検知することにより、シートSとの接触を検知することが可能であり、搬送方向の検知位置間の所定領域の接触を推測できるため、更に安定した吸着分離が可能となる。その他の構成については、第1実施形態と同様の構成であるので、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図13に示すように、第1のシート給送部31は、シートカセット32と、吸着分離搬送部33と、給送ローラ対34と、先端検出センサ35と、ベルト高さ検知部13とを備えている。尚、第1実施形態と同様に、第2のシート給送部41は、第1のシート給送部31と同様の構成となっているので詳細な説明は省略する。
ベルト高さ検知部13は、第1のベルト高さ検知部13aと第2のベルト高さ検知部13bとを備え、ベルト94の内側で、シートS側の吸着面の近傍に所定の搬送方向距離Luだけ間隔をおいて配置されている。第1のベルト高さ検知部13aは、第2のベルト高さ検知部13bよりも給送方向上流側に配置されている。
ここで、ベルト94がシートカセット32に積載されたシートSを吸着して分離給送するために必要なベルト94とシートカセット32に積載されたシートSとの接触領域を設定する。本実施形態では、この接触領域は、ベルト94がシートSと接触した際に必要接触面積Mnとなる領域であり、該接触領域の搬送方向距離をLuと定義している。即ち、ベルト高さ検知部13は、ベルト94とシートSと接触領域の給送方向の両端に配置された2個のセンサである第1のベルト高さ検知部13aと第2のベルト高さ検知部13bとを備えている。
第1のベルト高さ検知部13aは、ベルト94までの距離Lk1を検知すると共に、第2のベルト高さ検知部13bは、ベルト94までの距離Lk2を検知する。本実施形態では、ベルト高さ検知部13は、第1実施形態のシート高さ検知センサ36と同様に非接触の反射式測距センサを用いている。
次に、吸着分離搬送部33によってシートSが給送される動作を図14に示すフローチャートに沿って説明する。
制御部80により給送ジョブが開始されると(ステップS41)、ベルト94が初期状態に設定される。ベルト94の初期状態においては、第1の駆動部91及び第2の駆動部93は停止している。
尚、本実施形態では、制御部80がベルト高さ検知部13により検知されるベルト94の距離Lk1,Lk2が初期位置の距離L1と等しいか否かの判定を行い、少なくとも一方がL1と異なる場合はベルト94の初期状態形成動作を行うようになっている。初期状態形成動作ではベルト高さ検知部13によりベルト94が略直線となる距離であるL1と検知するまで第1の駆動部91によって第1の回転部90の駆動ローラ90aを矢印方向に回転させる。この時、第2の駆動部93を停止させる。各ベルト高さ検知部13a,13bにより距離L1が検知された後、第1の駆動部91を停止させることにより、ベルト94が初期状態に設定される。
第2の駆動部93によって第2の回転部92の駆動ローラ92aを矢印方向に回転させて、ベルト94を搬送させる(ステップS42)。更に、第1の駆動部91によって第1の回転部90を停止させることで、ベルト94にシートSを指向する樽型形状の変形を生じさせている。ここでは、第2の回転部92の搬送速度をUとする。尚、Uは画像形成装置1での生産性等から決定した速度であり、本実施形態ではU=200mm/sとしている。
制御部80は、ベルト高さ検知部13で検知した距離Lk1,Lk2を用いて、ベルト94までの距離変化量ΔLk1,ΔLk2を算出する(ステップS43)。距離変化量ΔLk1,ΔLk2は、ベルト高さ検知部13により検知した微小時間ΔTを経過する前の距離Lk1a,Lk2aと、微小時間ΔTを経過した後の距離Lk1b,Lk2bとから、
ΔLk1=Lk1b−Lk1a
ΔLk2=Lk2b−Lk2a
により算出される。
そして、第2の回転部92の回転によりベルト94の樽型形状の変形が進んだ結果、ベルト94がシートSに接触する(ステップS44)。即ち、制御部80は、ベルト高さ検知部13によって検知されたベルト94の高さに基づいて、第1の回転部90及び第2の回転部92の各回転量を調整し、ベルト94を変形することにより最上位のシートSに接触させる。第2の回転部92の回転が更に進むと、ベルト94とシートSの接触面積Mcが増大する(ステップS45)。
制御部80は、距離変化量ΔLk1,ΔLk2がいずれも0であるか否かを判断する(ステップS46)。ここで、ΔLk1の値が0である場合は、第1のベルト高さ検知部13aの搬送方向位置においてベルト94がシートSに接触したと推定できる。また、ΔLk2の値が0である場合は、第2のベルト高さ検知部13bの搬送方向位置においてベルト94がシートSに接触したと推定できる。
制御部80が、距離変化量ΔLk1,ΔLk2の少なくとも一方が0でないと判断した場合は、ステップS45に戻る。即ち、制御部80は、ベルト94をシートカセット32に積載された最上位のシートSに対して接近させる際に、ベルト高さ検知部13により検知されたベルト94の高さが変化する場合は、接近を続行して接触面積を増加させる。
一方、制御部80が、距離変化量ΔLk1,ΔLk2のいずれもが0であると判断した場合は、第2の駆動部93によって第2の回転部92の回転を停止させる(ステップS47)。即ち、制御部80は、ベルト94をシートカセット32に積載された最上位のシートSに対して接近させる際に、ベルト高さ検知部13により検知されたベルト94の高さが変化しなくなった場合は、接近を停止する。この場合は、ΔLk1,ΔLk2が共に0と算出されているので、各ベルト高さ検知部13a,13bの搬送方向位置間においてベルト94がシートSに接触したと推定できる。
これにより、最上位のシートSとベルト94の表面とが接触領域において所定の面積Mnを以て接触し、ベルト94にシートSが吸着される(ステップS48)。第1の駆動部91及び第2の駆動部93は停止されている。そして、第1の駆動部91によって第1の回転部90の駆動ローラ90aを矢印方向に回転させて、ベルト94を搬送させる(ステップS49)。第2の回転部92は第2の駆動部93によって停止したままである。第1の駆動部91によって第1の回転部90を回転させて、ベルト94の吸着面側を樽型形状から略直線形状へと変化させることにより、ベルト94に吸着されたシートSを面外方向へ分離させる(ステップS50)。
制御部80は、距離変化量ΔLk1,ΔLk2がいずれも0であるか否かを判断する(ステップS51)。制御部80が、距離変化量ΔLk1,ΔLk2の少なくとも一方が0でないと判断した場合は、ステップS50に戻る。
制御部80が、距離変化量ΔLk1,ΔLk2のいずれもが0であると判断した場合は、ベルト94の形状が略直線であり、第2の駆動部93によって第2の回転部92を第1の回転部90と略一致した搬送速度で回転させる(ステップS52)。
制御部80は、距離変化量ΔLk1,ΔLk2の算出を停止する(ステップS53)。そして、第1の駆動部91により第1の回転部90の回転を停止すると共に、第2の駆動部93により第2の回転部92の回転を停止する(ステップS54)。その後、次のシートに対して給送ジョブが開始されると(ステップS55)、再度、ステップS41からステップS54の処理を繰り返す。
上述したように本実施形態の画像形成装置1のシート給送部30によれば、各ベルト高さ検知部13a,13bを用いてベルト94との距離が変動するか否かに応じて、シートSとベルト94とが接触しているか否かを推測している。このため、シートSの上面高さから最大搬送量差Wを算出して、それに基づきベルト94とシートSとの必要接触面積Mnを確保するように各回転部90,92を回転させる場合に比べて、より安定した吸着分離が可能になる。しかも、第1実施形態と同様に、給送動作中はシートSを昇降するリフタを使用せずベルト94と最上位のシートSとの接触面積を制御するので、給送時の機構稼働音を低減しつつ、シート束からの最上位のシートSの吸着力の安定した吸着分離が可能となる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る画像形成装置1のシート給送部30について図15に沿って説明する。
本実施形態では、第3実施形態と異なり、ベルト高さ検知部13を1つのみ設けるようにしている。その他の構成については、第3実施形態と同様の構成であるので、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図15に示すように、第1のシート給送部31は、ベルト高さ検知部13を備えている。ベルト高さ検知部13は、ベルト94の内側で、シートS側の吸着面側の近傍に配置されており、ベルト94までの距離Lk3を検知する。ベルト高さ検知部13は、ベルト94がシートSと必要接触面積Mnだけ接触した時の搬送方向上流側端部に配置されている。
本実施形態でも、第3実施形態と同様に、ベルト94とシートカセット32に積載されたシートSとの接触領域を、必要接触面積Mnとなる領域として設定している。そして、ベルト高さ検知部13は、ベルト94とシートSと接触領域の給送方向の一端に配置された1個のセンサとしている。本実施形態では、ベルト高さ検知部13は、第1実施形態のシート高さ検知センサ36と同様に非接触の反射式測距センサを用いている。
例えば、ベルト94がシートと所定の面積Mnだけ接触するために必要な搬送方向長さをLmとする。この場合、ベルト高さ検知部13は、第1の回転部90の駆動ローラ90aと第2の回転部92の駆動ローラ92aの各中心位置を端とする線分の搬送方向中心位置からLm/2だけ搬送方向上流側に配置される。尚、搬送方向上流位置に限定せず、搬送方向中心位置からLm/2だけ搬送方向下流側に配置してもよい。
この吸着分離搬送部33によってシートSが給送される際は、上述した図14に示すフローチャートと同様に動作するようにできる。ここで、図14のステップS43、ステップS46、ステップS51、ステップS53において、各ベルト高さ検知部13a,13bにより得られたLk1,Lk2を利用している。これに対し、本実施形態では、1つのベルト高さ検知部13により得られたLk3を上述のLk1,Lk2の代わりに利用することで、図14に示すフローチャートを適用することができるようになる。
上述したように本実施形態の画像形成装置1のシート給送部30によれば、ベルト高さ検知部13を1つだけ使用しているので、2つ使用する場合に比べて、部品点数を削減して低コスト化を図ることができる。しかも、第1実施形態と同様に、給送動作中はシートSを昇降するリフタを使用せずベルト94とシートカセット32に積載された最上位のシートSとの接触面積を制御する。このため、給送時の機構稼働音を低減しつつ、シートカセット32に積載された最上位のシートSの吸着力の安定した吸着分離が可能となる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る画像形成装置1のシート給送部について図16乃至図21に沿って説明する。
本実施形態では、第1実施形態と異なり、第1の回転部190が第1の回転体である巻取ローラ190aを有し、第2の回転部192が第2の回転体である巻出ローラ192aを有する。そして、ベルト194は、一端が巻取ローラ190aに固定され、他端が巻出ローラ192aに固定された構成にされている。その他の構成については、第1実施形態と同様の構成であるので、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図16に示すように、第1のシート給送部131は、シートカセット32と、吸着分離搬送部133と、給送ローラ対34と、先端検出センサ35と、シート高さ検知センサ36と、初期位置検知センサ37とを備えている。尚、第1実施形態と同様に、第2のシート給送部は、第1のシート給送部131と同様の構成となっているので詳細な説明は省略する。
吸着分離搬送部133は、第1の回転部190と、第1の駆動部91と、第2の回転部192と、第2の駆動部93と、可撓性のベルト194と、電圧印加部95とを備えている。
第1の回転部190及び第2の回転部192は、シートカセット32に積載された最上位のシートSに近接して対向する上方位置に配置されている。第1の回転部190は、第2の回転部192に対してシート給送方向下流側に配置されている。また、第1の回転部190及び第2の回転部192は、第1実施形態と同様に、ベルト194をシートSの給送方向に回転する方向を正回転(正転駆動)としており、更にベルト194を戻す方向に回転する方向を逆回転(逆転駆動)としている。
第1の回転部190は、巻取ローラ190aを備えている。巻取ローラ190aは、配置位置が固定の不図示の軸支持部材によって回転自在に軸支されており、例えばモータ等からなる第1の駆動部91から、不図示の駆動伝達部を介して駆動力が回転力として伝達されるようになっている。
第2の回転部192は、巻出ローラ192aを備えている。巻出ローラ192aは、配置位置が固定の不図示の軸支持部材によって回転自在に軸支されており、例えばモータ等からなる第2の駆動部93から、不図示の駆動伝達部を介して駆動力が回転力として伝達されるようになっている。
ベルト194は、シート状で、一端が巻取ローラ190aに接合して固定されると共に、他端が巻出ローラ192aに接合して固定されている。ベルト194は、巻取ローラ190aの巻取り又は巻戻し動作、及び巻出ローラ192aの巻出し又は巻戻し動作によって往復搬送される。ベルト194は、シートカセット32に積載された最上位のシートSに接触可能なように、シートSと対向する側に巻き付けられている。
ベルト194の長さは、以下の2つの条件に基づいて決定する。第1の条件は、積載したシートSから1枚ずつ給送していき、ベルト194と最大距離離れる最後のシートSを給送する場合においても吸着分離に必要な吸着力が得られる必要接触面積Mnを確保できることである。また、第2の条件は、シートSがシート搬送方向下流側の給送ローラ対34まで搬送可能となることである。
電圧印加部95は、ベルト194に接続されて正極の電圧を供給する正電圧供給部95aと、ベルト194に接続されて負極の電圧を供給する負電圧供給部95bとを備えている。電圧印加部95の印加電圧によって、ベルト94にシートSを引き付ける静電的な吸着力が発生する。尚、ベルト194の構造及び吸着力が発生する原理は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
図17に示すように、ベルト194は、基層194cと、正電極194aと、負電極194bとによって構成され、基層194cの内部に、櫛歯形状の正電極194aと、同様に櫛歯形状の負電極194bとが交互に配置されている。正電極194a及び負電極194bの各端部は、電極露出領域194d、194eにおいてベルト194の裏側に露出している。
巻取ローラ190aは、絶縁性であり、その外周には導電性の給電環190b,190cが軸方向の両端部に固定して設けられている。ベルト194の裏面端部と巻取ローラ190aの給電環190b,190cとは、接合部197a及び接合部197bによって接合されている。接合部197aの領域内部では、ベルト194の電極露出領域194dと巻取ローラ190aの給電環190bとが接触している。接合部197bの領域内部では、ベルト194の電極露出領域194eと巻取ローラ190aの給電環190cとが接触している。
給電環190bに対しては、正電圧供給部95aに接続された正接点196aが、給電環190bと摺動するよう配置されている。これにより、給電環190bを介して正電極194aに正極の電圧が印加される。また、給電環190cに対しては、負電圧供給部95bに接続された負接点196bが給電環190cと摺動するよう配置されている。これにより、給電環190cを介して負電極194bに負極の電圧が印加される。
次に、吸着分離搬送部133によってシートSが給送される動作を図18に示すフローチャートに沿って、図19のタイミングチャートと、図20及び図21の動作シーケンス図とを参照して説明する。
図19は、吸着分離搬送部133のシートSの1枚分の給送動作におけるタイミングチャートである。同図では、巻取ローラ190aの搬送速度u1、巻出ローラ192aの搬送速度u2、正電圧供給部95aから供給される電圧vp、負電圧供給部95bから供給される電圧vnを時系列に表している。また、先端検出センサ35の検出パルスps、巻取ローラ190a及び巻出ローラ192aの搬送量差wについても、同様に時系列に表している。
ここで、時刻T0から時刻T7は画像形成装置1の生産性等を基にして事前に決定する。時刻T0から時刻T1は初期状態、時刻T1から時刻T2はベルト194のシートSへの接近動作、時刻T2から時刻T3はベルト194とシートSの接触面積増大動作となるように搬送速度u1、u2を決定する。また、時刻T3から時刻T4はベルト194とシートSの吸着状態、時刻T4から時刻T5はシート束からのシートSの分離動作、時刻T5から時刻T6はシートSの搬送動作となるように搬送速度u1、u2を決定する。更に、時刻T6から時刻T7はベルト194の巻戻し動作となるように、搬送速度u1、u2を決定する。
尚、本実施形態では全ての動作シーケンスにおいて、ベルト194には正電圧供給部95a及び負電圧供給部95bが接続され、電圧vp及び電圧vnは、シートSの全ての給送動作において+V及び−Vとされている。
時刻T0において、制御部80により給送ジョブが開始されると(ステップS61)、図20(a)に示すように、ベルト194が初期状態に設定される。ベルト194の初期状態においては、第1の駆動部91及び第2の駆動部93は停止している。
尚、本実施形態では、制御部80が初期位置検知センサ37により検知されるベルト194の距離Ltが初期位置の距離L1と等しいか否かの判定を行い、L1と異なる場合はベルト194の初期状態形成動作を行うようになっている。初期状態形成動作では初期位置検知センサ37によりベルト194が略直線となる距離であるL1と検知するまで第2の駆動部93によって巻出ローラ192aを図中E方向に回転させ、ベルト194を逆転方向に巻き取る。この時、第1の駆動部91を停止させている。初期位置検知センサ37により距離L1が検知された後、第2の駆動部93を停止させることにより、ベルト194が初期状態に設定される。
そして、制御部80は、シート高さ検知センサ36によりシート距離Lsを検知する(ステップS62)。この時、ベルト194が初期状態であることから、シートSに対するベルト194の相対位置を推定する。制御部80は、検知したシート距離Lsに対応するベルト194の初期状態からの巻取ローラ190a及び巻出ローラ192aの最大搬送量差W1を、ROM82から読み取る(ステップS63)。
制御部80は、時刻T1から時刻T3までにベルト194の初期状態からの巻取ローラ190a及び巻出ローラ192aの最大搬送量差がW1となる巻出ローラ192aの搬送速度Utを算出する(ステップS64)。本実施形態では、最大搬送量差W1を時間(T3−T1)で除算することで搬送速度Utを算出している。このように、シート距離Lsに対応した最大搬送量差W1と時間(T3−T1)から搬送速度Utを決定することにより、給送枚数が増えてシート距離Lsが増加しても生産性が変動しない。
時刻T1において、図20(b)に示すように、第2の駆動部93によって巻出ローラ192aを図中F方向に回転させて、ベルト194を図中Ad方向へ搬送させる(ステップS65)。更に、第1の駆動部91によって巻取ローラ190aを停止させることで、ベルト194にシートSを指向する樽型形状の変形を生じさせている。図19に示すように、巻取ローラ190aの搬送速度u1は0で、巻出ローラ192aの搬送速度u2はステップS64で算出したUtである。
時刻T2において、巻出ローラ192aの回転によりベルト194の樽型形状の変形が進んだ結果、ベルト194がシートSに接触する(ステップS66)。即ち、制御部80は、シート高さ検知センサ36により検知されたシートカセット32に積載された最上位のシートSの上面高さに基づいて、第1の駆動部91及び第2の駆動部93を制御する。これにより、制御部80は、巻取ローラ190a及び巻出ローラ192aの各回転量を調整し、ベルト194を変形することにより最上位のシートSに接触させる。巻出ローラ192aの回転が更に進むと、図20(c)に示すように、ベルト194とシートSの接触面積Mcが増大する(ステップS67)。
時刻T3において、第2の駆動部93によって巻出ローラ192aの回転を停止させる。この時、ベルト194の初期状態からの巻取ローラ190aと巻出ローラ192aの搬送量差wが最大搬送量差W1に到達する(ステップS68)。
この時、図20(d)に示すように、最上位のシートSとベルト194の表面とが所定の面積Mnを以て接触し、ベルト194にシートSが吸着される(ステップS69)。ベルト194には正電圧供給部95a及び負電圧供給部95bを介して電圧が印加されているため、ベルト194とシートSとの間には静電吸着が発生する。この時、第1の駆動部91及び第2の駆動部93を停止させており、図19に示すように、巻取ローラ190aの搬送速度u1及び巻出ローラ192aの搬送速度u2はいずれも0である。
時刻T4において、図21(a)に示すように、第1の駆動部91によって巻取ローラ190aを図中F方向に回転させて、ベルト194を図中Au方向へ搬送させる(ステップS70)。また、巻出ローラ192aは第2の駆動部93によって停止したままである。図19に示すように、巻取ローラ190aの搬送速度u1はUtである。
第1の駆動部91によって巻取ローラ190aを回転させて、ベルト194の吸着面側を樽型形状から略直線形状へと変化させることにより、ベルト194に吸着されたシートS1を面外方向である図中Au方向へ分離させる(ステップS71)。即ち、制御部80は、シートカセット32に積載された最上位のシートSの上面高さに基づいて、第1の駆動部91及び第2の駆動部93を制御し、巻取ローラ190a及び巻出ローラ192aの各回転量を調整する。これにより、制御部80は、ベルト194と最上位のシートSとの接触面積を必要接触面積Mnまで増加させてから、ベルト194により最上位のシートSを吸着して分離給送する。
時刻T5において、図21(b)に示すように、ベルト194の形状が略直線になる。この時刻T5から、第2の駆動部93によって巻出ローラ192aを巻取ローラ190aと略一致した搬送速度で回転させる(ステップS72)。図19に示すように、巻取ローラ190aの搬送速度u1及び巻出ローラ192aの搬送速度u2はいずれもUである。
この時、ベルト194の吸着面側が略直線形状に維持されたまま、ベルト194は搬送される。ベルト194にはシートSが吸着されたままであり、シートS1は、積載された次のシートS2と離間分離された状態を保ちながら図中A方向へ移動される。搬送動作において給送枚数に応じた生産性の変動はない。そのため、生産性等を考慮して事前に決定した搬送速度Uを用いている。尚、Uは画像形成装置1の生産性等を基にして決定される速度であり、本実施形態では、例えばU=200mm/sとしている。
シートS1の先端が、巻取ローラ190aによって形成されるベルト194の曲率部近傍に差し掛かると、シートSの先端はベルト194から剥離する。この剥離は、シートS1が有する曲げ反力が、ベルト194に発生する静電吸着力よりも大きくなるために生ずる。シートS1は、先端から剥離が拡大していくものの、後端領域の吸着によってそのまま搬送される。図19に示すように、時刻Tpには先端検出センサ35から先端検出パルスpsが出力される。その後、シートS1は給送ローラ対34に引き渡される。
尚、制御部80は、時刻Tpが給送タイミングの所定の値の範囲に収まっているか否かに基づいて、給送リトライの判断を行う。時刻Tpが所定の値の範囲に収まっていない場合は、シートS1の給送動作にミスが生じたと判断し、再びステップS65から給送動作をやり直す。
時刻T6において、シートSが給送ローラ対34に引き渡される。また、図21(c)に示すように、第1の駆動部91及び第2の駆動部93を逆転駆動することにより、巻取ローラ190a及び巻出ローラ192aを図中E方向に逆回転させる(ステップS73)。これにより、ベルト194が図中B方向へ巻き戻され、巻出ローラ192aに所定の長さのベルト194が巻き取られ、ベルト194の配置を初期状態へと復帰させる。図19に示すように、巻取ローラ190aの搬送速度u1及び巻出ローラ192aの搬送速度u2はいずれも−Ubである。
時刻T7において、第1の駆動部91により巻取ローラ190aの回転を停止すると共に、第2の駆動部93により巻出ローラ192aの回転を停止する(ステップS74)。その後、次のシートに対して給送ジョブが開始されると(ステップS75)、再度、ステップS61からステップS74の処理を繰り返す。
上述したように本実施形態の画像形成装置1のシート給送部によれば、ベルト194の形状を有端状としているので、無端状である場合に比べて構成をより単純化することが可能であり、低コスト化を図ることができる。しかも、第1実施形態と同様に、給送動作中はシートSを昇降するリフタを使用せずベルト194と最上位のシートSとの接触面積を制御するので、給送時の機構稼働音を低減しつつ、シート束からの最上位のシートSの吸着力の安定した吸着分離が可能となる。
尚、上述した本実施形態では、ステップS65〜ステップS68において、巻取ローラ190aの巻取り速度と巻出ローラ192aの巻出し速度との搬送速度の差によって、シートSに対してベルト194を接近させ、接触面積を増大させている。しかしながら、これには限られず、第1の駆動部91により巻取ローラ190aを搬送速度Utで逆回転させると共に、第2の駆動部93を停止させることで、シートSに対してベルト194を接近させ、接触面積を増大させてもよい。
また、上述した本実施形態では、ステップS65において、巻取ローラ190aを停止しているが、これには限られない。例えば、巻取ローラ190aを回転させていても、巻出ローラ192aを巻取ローラ190aの巻き取り速度よりも速く巻き出すことにより、ベルト194に樽型形状の変形を生じさせるようにしてもよい。
また、上述した本実施形態では、ステップS69において、第1の駆動部91及び第2の駆動部93を停止させているが、これには限られない。例えば、最上位のシートSとベルト194の表面とが所定の面積で吸着していれば、第1の駆動部91及び第2の駆動部93は駆動していてもよい。
また、上述した本実施形態では、ステップS71において、第2の駆動部93によって巻出ローラ192aの回転を停止させているが、これには限られない。例えば、巻出ローラ192aを第1の巻取ローラ190aよりも遅く搬送させることにより、ベルト194を略直線形状へと変形させてもよい。
また、上述した本実施形態では、全ての工程においてベルト194に正電圧供給部95a及び負電圧供給部95bが接続され、ベルト194には常に吸着力が発生されているが、これには限られない。例えば、シートSが吸着され、分離搬送が完了するステップS69からステップS72までの間だけ、正電圧供給部95a及び負電圧供給部95bを接続させてベルト194に吸着力を発生させるようにしてもよい。
また、上述した第1〜第4実施形態では、制御部80により第1の駆動部91及び第2の駆動部93の両方を制御して、駆動ローラ90a及び駆動ローラ92aのベルト搬送量に差を生じさせ、ベルト94に弛みを生じさせている。また、上述した第5実施形態では、制御部80により第1の駆動部91及び第2の駆動部93の両方を制御して、巻取ローラ190a及び巻出ローラ192aのベルト搬送量に差を生じさせ、ベルト194に弛みを生じさせている。しかしながら、これらには限られず、第1の駆動部91と第2の駆動部93のうち少なくとも一方が制御可能になっていればよい。