JP6159569B2 - 金属化合物 - Google Patents
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Description
本発明は上記現状に鑑みてなされたものであり、新しい機能性材料等として有望な新規な金属化合物を提供することを目的とするものである。
そして、このような構造的特徴に有する金属化合物が、磁性材料等としての利用が期待される有望な化合物であることを見出し、本発明に到達したものである。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
大きな負電荷を有する欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物は金属カチオンと高い親和性を示すことから、多座配位子として利用することで、欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を1つ含む化合物や、該構造部位にサンドイッチされた単核や多核の金属酸化物コアを合成することができる。これらの金属核を利用して、ヘテロポリオキソメタレート化合物は独自の触媒的、光化学的、電気化学的、磁気的な特性を示すこととなる。
なお、上記欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位とは、欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物の構造の一部であって、ヘテロ原子、ポリ原子及び酸素原子によって構成される構造部位である。
一欠損又は二欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位のうち、本発明の金属化合物が有する構造部位としてより好ましいのは、二欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位である。また、一欠損又は二欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位が有するヘテロ原子としては、P、Si及びGeからなる群より選択される少なくとも1種の原子が好ましい。
本発明の多核金属化合物が、一欠損又は二欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有する場合、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子としては、ランタノイド、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Znからなる群より選択される少なくとも1種の原子が好ましい。より好ましくは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Er、Yb、Lu、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Znからなる群より選択される少なくとも1種の原子である。
本発明の金属化合物が、三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有する場合、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子としては、ランタノイド、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Znからなる群より選択される少なくとも1種の原子が好ましい。より好ましくは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Er、Yb、Lu、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Znからなる群より選択される少なくとも1種の原子である。
本発明の金属化合物は、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子を1種有するものであってもよく、2種以上有するものであってもよいが、本発明の金属化合物がヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子としてランタノイド原子を2つ以上有する場合、後述する磁性材料としての特性の点から、2種以上の金属原子を有する異核金属化合物であることが好ましい。より好ましくは、2種以上のランタノイド原子を有する異核金属化合物である。
本発明の金属化合物としては、上記のものの中でも、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子を1種又は2種有するものが好ましい。
構造aを有する金属化合物には、金属原子aが少なくとも1つ存在すればよいが、金属原子aの数は2〜4つであることが好ましい。
構造bを有する金属化合物において、金属原子bの数は、1〜4つであることが好ましい。また、金属原子bは、1つのヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位当たり(金属原子−酸素原子−ポリ原子)の配位結合を2つ以上有するが、2〜4つ有することが好ましい。
また、構造bを有する金属化合物は、金属原子b以外の金属原子を有していてもよく、(金属原子−酸素原子−ポリ原子)の配位結合を2つ以上のヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位との間に有し、かつ、そのうち1つのヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位に対しては、(金属原子−酸素原子−ポリ原子)の配位結合を1つだけ有する金属原子を含むものであってもよい。
上記構造dは、例えば、下記一般式(2−1)や(2−2);
また、金属化合物全体の中に、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子を1〜8個有することが好ましい。より好ましくは、1〜6個である。
本発明の金属化合物が、上記構造aを有する場合、金属化合物全体の中に、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子を2〜4個有することが好ましい。
本発明の金属化合物が、上記構造bを有する場合、金属化合物全体の中に、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子を1〜6個有することが好ましい。
本発明の金属化合物が、上記構造cを有する場合、金属化合物全体の中に、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子を4〜6個有することが好ましい。
本発明の金属化合物が、上記構造dを有する場合、金属化合物全体の中に、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子を4〜6個有することが好ましい。
上記ヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)は、一欠損型、二欠損型、三欠損型からなる群より選択される少なくとも1つの欠損構造部位を有するものであるが、これらの欠損構造とヘテロ原子、ポリ原子、並びに、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子との好ましい組み合わせは上述したとおりである。
本発明の金属化合物としては、これらの中でも二欠損型構造、又は、三欠損型構造を有するものが好ましい。
また、元素(B)の配置としては、元素(B)が互いに隣接していることが好ましい。元素(B)が互いに隣接する異性体としては、α、β、γ、δ、ε体等が存在するが、α、β体は角を共有した異性体であり、γ、δ、ε体は稜を共有した異性体である。より好ましくは、α体、β体及びγ体からなる群より選択される少なくとも1種の欠損構造部位含有ケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンの骨格中に元素(B)が導入された形態であり、この中でも最も好ましくはα体及び/又はγ体の欠損構造部位含有ケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンに導入された形態である。すなわち、本発明において、欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物は、α体、β体及びγ体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくは、欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物が、二欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物であって、かつ、γ体であること、又は、三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物であって、かつ、α体であることである。
このようなヘテロポリオキソメタレート化合物の構造は、X線結晶構造解析、元素分析、UV、XRDやFT−IR分光測定等から決定または推定される。
上述のように、本発明の金属化合物が、ヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)がα型及び/又はγ型のケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンであることもまた本発明の好適な実施形態の1つである。
[QZ10Oj]k− (3)
(式中、Qはヘテロ原子であるケイ素、リン、ゲルマニウム、又は、亜鉛原子を表す。Zはポリ原子を表す。jとkは正数であり、kはQとZの価数によって決まる。)で表されるケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンであることが好ましい。
また上記三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物におけるヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)は、下記一般式(4);
[QZ9Om]n− (4)
(式中、Qはヘテロ原子であるケイ素、リン、又は、ゲルマニウム原子を表す。Zはポリ原子を表す。mとnは正数であり、nはQとZの価数によって決まる。)で表されるケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンであることが好ましい。
すなわち、金属化合物が、ヘテロ原子が、ケイ素、リン、もしくはゲルマニウム原子であり、ポリ原子が、タングステンであるヘテロポリオキソメタレート化合物であることもまた本発明の好適な実施形態の1つである。
また、三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物の場合、より好ましくは、一般式(4)におけるQがリン、ケイ素又はゲルマニウムである[α−PW9O34]9−及び/または[β−PW9O34]9−及び/または[γ−PW9O34]9−、または、[α−SiW9O34]10−及び/または[β−SiW9O34]10−及び/または[γ−SiW9O34]10−、または、[α−GeW9O34]10−及び/または[β−GeW9O34]10−及び/または[γ−GeW9O34]10−である。
更に好ましくは、[α−PW9O34]9−、[α−SiW9O34]10−または[α−GeW9O34]10−であり、最も好ましくは、Qがリン又はケイ素である[α−PW9O34]9−または[α−SiW9O34]10−である。
対カチオンは1種又は2種以上用いることができる。
上記元素(B)を導入する際に使用する形態としては塩の形態でも、酸化物等の形態でも良い。これらは無機物でも有機物でも良いが、中でも酸化物、硝酸塩、ハロゲン化物塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、プロトン塩、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、カルボキシラート化合物、アセテート化合物、アセチルアセトナート化合物等が好適である。
また、上記元素(B)の混合に加え、後述するように酸を添加してもよい。また、元素(B)を添加して、1つのヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)に元素(B)を導入した後、更にヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)を添加して金属化合物とする方法も用いることができる。
また、1つのヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)に元素(B)を導入して得られた化合物を有機溶媒中又は有機溶媒を含む溶媒に溶解した溶液に当該1つのヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)に元素(B)を導入して得られた化合物を更に添加し、そこに貧溶媒を添加することで金属化合物とする方法も用いることができる。なお、上記有機溶媒を含む溶媒は有機溶媒を含んでいる限り、その他の成分を含んでいてもよいが、上記有機溶媒を含む溶媒の好ましい形態の1つとして、有機溶媒と水との混合溶媒の形態が挙げられる。
なお、混合時間が1分以上とは、ヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)0.34ミリモルを使用した時に、主に均一系溶液中で元素(B)と溶媒中で共存、混合される時間を意味し、ヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)を含む溶液又は混合液中に、元素(B)を含む塩又は化合物を添加し終えた時点から、上記無機塩や有機塩の添加等により、上記へテロポリオキソメタレート化合物を析出させる時点までの間の時間を指す。混合中に不純物等の沈殿が発生した場合は、必要に応じて取り除くことができる。混合する時間の設定は、へテロポリオキソメタレート化合物の構造を決定する重要な要素の一つであり、元素(B)の種類によって上記の範囲内で適宜選定すればよい。へテロポリオキソメタレート化合物は、再結晶等により精製することが可能である。また、単離することなく系中で調製・保存・触媒や材料としての適用等を行うこともできる。
酸としては、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸の他、p−トルエンスルホン酸、酢酸、安息香酸、マロン酸等の有機酸を用いることができる。
酸の添加量は、上記ヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)1モルに対して、0.0001モル以上であることが好ましい。より好ましくは、0.001モル以上である。
また、多段階の製造方法により、金属原子を上記特定の配列とすることもできる。
後述するように、本発明の金属化合物は、磁性材料(単分子磁石)としての性質を有するものである。中でも、ランタノイド金属からなる単分子磁石は、スピン−軌道結合したランタノイド金属の基底状態に由来する大きな磁気異方性のため、大きなエネルギー障壁を有し高い動作温度を示す可能性がある。ラジカル架橋配位子を持ついくつかの2核構造体の例を除いて、ほとんどのランタノイド錯体は非常に弱い磁気的相互作用しか示さない。そのため、大きな磁気異方性を獲得するためにそれぞれのランタノイドカチオンの配位構造を設計することが、単分子磁石を設計する上で非常に重要である。上記多段階の製造方法を用いることで、異核ランタノイド構造を有するポリオキソメタレートも製造することができるため、ランタノイドカチオンを有する単分子磁石を設計する上で上記製造方法は非常に有用である。
触媒自体を固体として使用する場合、対カチオンとしては、上述したものと同様のものを用いることができる。
また、液相反応で用いる場合には、触媒を溶解させて均一系で反応させる形態、触媒を溶媒に溶解させずに液相に懸濁させて反応を行う形態が挙げられる。触媒を固相として反応を行うことも可能である。この時、対カチオンや溶媒を変更することで触媒自体を固体として使用することができ、反応後の触媒と生成物の分離が容易になる。
IRの測定はJASCO FT/IR−460を用いて行った。
1H−NMR測定は、JEOL JNM−EX−270を用い、270MHzで、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として測定した。
コールドスプレーイオン化質量分析は、JEOL JMS−T100CSを用いて行った。
磁性測定は、Quantum Design MPMS−XL7を使用した。
氷浴中(0℃)、約2.6M硝酸8mLにTBABr30mg(0.093mmol)を加え、ここにCs7[PW10O36]・H2O100mg(0.029mmol)を加えた。同じ温度で10分間撹拌し、得られた沈殿を濾過により回収して水10mLで洗浄した。5分間乾燥することによりTBA3H4[PW10O36]79mg(収率82%)を得た。
本化合物は、下記別法でも合成可能である。
Cs7[PW10O36]・H2O2.0g(0.59mmol)を水1Lに加え、濃硝酸によりpHを2.0とした。5分間撹拌して不純物を濾過により取り除いた後、TBABr20g(62mmol)を加え、5分間撹拌した。得られた沈殿を濾過により回収して水1Lで洗浄し、乾燥することにより、TBA3H4[PW10O36]1.5g(収率80%)を得た。
TBA3[PW10O36]94mg(0.029mmol)をアセトン1.5mLに溶解させ、Zn(acac)2を15mg(0.058mmol)加え、攪拌させ、溶液をろ過、静置することで無色透明結晶が得られた。得られた結晶の結晶構造解析の結果を図1に示した。
得られた結晶の結晶学的データ(アニオン構造のみ決定)は、表1のとおりである。
TBA3[PW10O36]187mg(0.058mmol)をアセトン3mLに溶解させ、Co(NO3)217mg(0.058mmol)を加え、約15分攪拌させることで緑色沈殿を得た(収率は10%程度)。アセトニトリル、ジエチルエーテルの混合溶媒から緑色結晶が得られた。得られた結晶の結晶構造解析の結果を図2に示した。
得られた結晶の結晶学的データ(TBAも確認)は、表2のとおりである。
TBA4H4[GeW10O36]101mg(0.029mmol)をアセトン2mLに溶解させ、AgOAcを9.7mg(0.058mmol)加え、攪拌させることで白色沈殿を得た。ニトロメタン、ジエチルエーテルの混合溶媒から無色透明結晶を得た。得られた結晶の結晶構造解析の結果を図3に示した。
得られた結晶の結晶学的データ(アニオン構造のみ決定)は、表3のとおりである。
TBA4H4[GeW10O36]101mg(0.029mmol)をアセトン2mLに溶解させ、AgOAcを14.1mg(0.087mmol)と、[GeW10O36]に対して1当量のジメチルフェニルシランとを加え、攪拌させることで黄色沈殿を得た。ニトロメタン、ジエチルエーテルの混合溶媒から黄色透明結晶を得た。得られた結晶の結晶構造解析の結果を図4に示した。
得られた結晶の結晶学的データ(アニオン構造のみ決定)は、表4のとおりである。
ケイ素中心二欠損型ケギン型ポリオキソメタレートTBA4H4[γ−SiW10O36]・2H2O(「TBA−SiW10」ともいう。)は、以下の文献に従い合成した。
K.Kamata、K.Yonehara、Y.Sumida、K.Yamaguchi、S.Hikichi、N.Mizuno、「サイエンス(Science)」(米国)、2003年、第300巻、p.964。
200mg(0.058mmol)のTBA−SiW10のアセトン溶液3mLに、硝酸コバルト17mg(0.058mmol)を加え、生じた黄色沈殿を回収した(収率69%)。ニトロメタン、ジエチルエーテルの混合溶媒から黄色結晶が得られた。得られた結晶の結晶構造解析の結果を図5に示した。
得られた結晶の結晶学的データは、表5のとおりである。
100mg(0.029mmol)のTBA−SiW10のアセトン溶液1.5mLに、Co(acac)2を0.017g(0.058mmol)と、DMFを21.2mg(0.29mmol)と、1M硝酸29μL(0.029mmol)とを加え、得られた紫色沈殿を回収した(収率80%)。単結晶は溶液を30℃で静置することで得られた。
合成例3で合成した化合物Co4を99mg(0.0145mmol)アセトンに懸濁させ、TBAOH(1Mメタノール溶液)0.029mLを加え、35℃程度で30分程攪拌し、析出した茶色粉末を回収した(収率50%程度)。ニトロメタン、ジエチルエーテルの混合溶媒に溶解させ、一度−20℃に静置したのち、30℃で静置することで茶色結晶を得た。得られた結晶の結晶構造解析の結果を図6に示した。
得られた結晶の結晶学的データは、表6のとおりである。
ケイ素中心三欠損型ケギン型ポリオキソメタレートSiW9は、以下の文献を参考に合成した。
A.Teze、G.Herve、「インオーガニック シンセシーズ(Inorg.Synth.)」(米国)、1990年、第27巻、p.87。
6mLスクリュー管にFe(acac)3を52.4mg(0.154mmol)取り、アセトン45mLと水1.35mLを加えた。そこに、撹拌しながらSiW9を1.00 g(0.307mmol)加えた。室温で4時間撹拌した後、溶液をろ過した。ろ液にジエチルエーテルを35mL加え、1晩静置することで278mg(収率29%)の黄色板針状結晶を得た。得られた結晶の結晶学的データを表7に示し、結晶構造解析の結果を図7に示した。
得られた結晶のコールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)の測定、及び、元素分析の結果は以下のとおりである。
CSI−MS(アセトン):m/z [TBA9H6Fe(SiW9O33)2]2+ 3333(計算値), 3333(測定値); [TBA8H6Fe(SiW9O33)2]+ : 6423(計算値), 6423(測定値)
元素分析(%)TBA7[Fe(SiW9O31(H2O)2(OH)))2]・3H2O:
C,21.45; H,4.31; N,1.56; Si,0.90; W,52.77; Fe,0.89(計算値)
C,21.38; H,4.44; N,1.58; Si,0.88; W,51.1; Fe,0.87(測定値)
6mLスクリュー管に実施例7で合成したFe1を120mg(19.1μmol)取り、アセトンを35mL加えた。そこに、撹拌しながらMn(acac)3 27.0mg(76.8μmol)加えた。室温で4時間撹拌した後、ジエチルエーテルを加え、紫色粉末120mgを得た(収率97%)。得られた紫色粉末15mgを1,2−ジクロロエタン20mLに溶解させた。ジエチルエーテルを0.6mL加え、1晩静置することでこげ茶色板針状結晶を得た。得られた結晶の結晶学的データを表7に示し、結晶構造解析の結果を図8に示した。
得られた結晶のコールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)の測定、及び、元素分析の結果は以下のとおりである。
CSI−MS(1,2−ジクロロエタン):m/z [TBA9H2FeMn4O2(SiW9O34)2]2+ 3472(計算値), 3472(測定値); [TBA8H2FeMn4O2(SiW9O34)2]+ 6703(計算値), 6703(測定値)
元素分析(%)TBA7[FeMn4(OH)2(SiW9O34)2]・5H2O:
C,20.71; H,4.00; N,1.51; Si,0.86; W,50.94; Fe,0.86; Mn,3.38(計算値)
C,20.65; H,3.93; N,1.40; Si,0.79; W,51.1; Fe,1.02; Mn,3.59(測定値)
6mLスクリュー管にMn(acac)3を27.1mg(77.3μmol)取り、アセトンを10mL加えた。そこに、撹拌しながらSiW9を100mg(30.9μmol)加えた。室温で2時間撹拌した後、溶液をろ過した。ろ液にジエチルエーテルを加え、茶色粉末87.6mgを得た(収率88%)。得られた茶色粉末10mgを1,2−ジクロロエタン10mLに溶解させた後、酢酸エチルを0.8mL加えた。293Kで1晩静置することで4.3mg(収率43%)の、こげ茶色ブロック状結晶を得た。得られた結晶の結晶学的データを表7に示し、結晶構造解析の結果を図9に示した。
得られた結晶のFT−IR、コールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)の測定、及び、元素分析の結果は以下のとおりである。
FT−IR(KBr):1700,1380,1153,1107,1014,990, 957,934,923,709,669,614,534,480,410,376, 344,333,262,255,269cm1
CSI−MS(1,2−ジクロロエタン):m/z [TBA9H2Mn5O2(SiW9O34)2]2+ 3472(計算値), 3472(測定値); [TBA8H2Mn5O2(SiW9O34)2]+ 6702(計算値), 6702(測定値)
元素分析(%)TBA7[Mn5(OH)2(SiW9O34)2]・2H2O・CH2ClCH2Cl:
C,20.7; H,4.00; N,1.49; Si,0.85; W,50.2; Mn,4.17(計算値)
C,20.3; H,3.93; N,1.20; Si,0.89; W,50.0; Mn,4.48(測定値)
6mLスクリュー管にCo(acac)3・2H2Oを4.50mg(0.0154mmol)取り、アセトン2.85mLと水0.15mLとを加えた。そこに、撹拌しながらSiW9を100mg(0.0307mmol)加えた。室温で4時間撹拌した後、溶液をろ過した。ろ液にジエチルエーテルを10mL加え、69mg(収率72%)のピンク色粉末を得た。この粉末をジクロロエタン/ジエチルエーテル中で再結晶することでオレンジ色結晶を得た。得られた結晶の結晶構造解析の結果を図10に示した。
得られた結晶のFT−IR、コールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)の測定結果は以下のとおりである。
FT−IR(KBr):1630,1484,1380,1152,1006,957,919,875,789,534,429,378,361,313,301,293,287,271,263,252cm1
CSI−MS(アセトン):m/z [TBA9CoOH(SiW9O31)2]2+:3307(計算値), 3307(測定値); [TBA8CoOH(SiW9O31)2]2+ : 6372(計算値), 6372(測定値)
6mLスクリュー管に実施例10で合成したCo1を44.0mg(7.01μmol)取り、ジクロロエタン4mLを加えた。そこに、撹拌しながらMn(acac)3を9.88mg(28.0μmol)加えた。室温で4時間撹拌した後、溶液にジエチルエーテルを加え、39mg(収率86%)の紫色粉末を得た。この粉末38mgを1,2−ジクロロエタン3mLに溶解させ、ジエチルエーテル1.5mLを加えた。1晩静置することでこげ茶色板針状結晶を得た。得られた結晶の結晶構造解析の結果を図11に示した。
得られた結晶のコールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)の測定結果は以下のとおりである。
CSI−MS(1,2−ジクロロエタン):m/z [TBA9H3CoMn4O2(SiW9O34)2]2+:3475(計算値), 3475(測定値); [TBA8H3CoMn4O2(SiW9O34)2]+: 6706(計算値), 6706(測定値)
6mLスクリュー管にNi(acac)3・2H2Oを4.49mg(0.0154mmol)取り、アセトン2.85mLと水0.15mLとを加えた。そこに、撹拌しながらSiW9を100mg(0.0307mmol)加えた。室温で4時間撹拌した後、溶液をろ過した。ろ液にジエチルエーテルを10mL加え、76mg(収率79%)の白色粉末を得た。この粉末をジクロロエタン/ジエチルエーテル中で再結晶することで緑白色結晶を得た。得られた結晶の結晶構造解析の結果を図12に示した。
得られた結晶のFT−IR、コールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)の測定結果は以下のとおりである。
FT−IR(KBr):2961,2933,2872,1632,1485,1380,1153,1107,994,953,903,816,797,768,729,559,523,455,361,336cm1
CSI−MS(アセトン):m/z [TBA9NiOH(SiW9O31)2]2+:3307(計算値), 3307(測定値); [TBA8NiOH(SiW9O31)2]2+: 6372(計算値), 6372(測定値)
6mLスクリュー管に実施例12で合成したNi1を41.0mg(6.53μmol)取り、ジクロロエタン4mLを加えた。そこに、撹拌しながらMn(acac)3を9.20mg(26.1μmol)加えた後、室温で4時間撹拌した。その後、溶液にジエチルエーテルを加え、39mg(収率86%)の紫色粉末を得た。この粉末38mgを1,2−ジクロロエタン3mLに溶解させ、ジエチルエーテル1.5mLを加えた。1晩静置することでこげ茶色板針状結晶を得た。得られた結晶の結晶構造解析の結果を図13に示した。
得られた結晶のコールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)の測定結果は以下のとおりである。
CSI−MS(1,2−ジクロロエタン):m/z [TBA9H3NiMn4O2(SiW9O34)2]2+:3475(計算値), 3475(測定値); [TBA8H3NiMn4O2(SiW9O34)2]+ : 6706(計算値), 6706(測定値)
6mLスクリュー管にCu(acac)2・H2Oを9.19mg(0.0461mmol)取り、アセトン9.5mLと水0.5mLとを加えた。そこに、撹拌しながらSiW9を300mg(0.0921mmol)加えた。室温で3時間撹拌した後、溶液をろ過した。ろ液にジエチルエーテルを10mL加え、277mg(収率96%)の白色粉末を得た。この粉末をジクロロエタン/ジエチルエーテル中で再結晶することで緑白色結晶を得た。得られた結晶の結晶構造解析の結果を図14に示した。
得られた結晶のコールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)の測定結果は以下のとおりである。
CSI−MS(アセトン):m/z [TBA9CuOH(SiW9O31)2]2+:3310(計算値), 3310(測定値); [TBA8CuOH(SiW9O31)2]2+: 6377(計算値), 6377(測定値)
6mLスクリュー管に実施例14で合成したCu1を50.0mg(7.96μmol)取り、ジクロロエタン4mLを加えた。そこに、撹拌しながらMn(acac)3を11.2mg(31.8μmol)加えた後、室温で4時間撹拌した。その後、溶液にジエチルエーテルを加え、40mg(収率86%)の紫色粉末を得た。この粉末30mgを1,2−ジクロロエタン3mLに溶解させ、ジエチルエーテル1.7mLを加えた。1晩静置することでこげ茶色板針状結晶を得た。得られた結晶の結晶構造解析の結果を図15に示した。
得られた結晶のコールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)の測定結果は以下のとおりである。
CSI−MS(1,2−ジクロロエタン):m/z [TBA9H3CuMn4O2(SiW9O34)2]2+:3477(計算値), 3477(測定値); [TBA8H3CuMn4O2(SiW9O34)2]+ : 6711(計算値), 6711(測定値)
6mLスクリュー管にMn(acac)3を5.42mg(15.5μmol)取り、アセトンを10mL加えた。そこに、撹拌しながらSiW9を100mg(30.9mol)加えた。室温で2時間撹拌した後、溶液をろ過した。ろ液にジエチルエーテルを0.5mL加え、293Kで1晩静置することで53.3mg(収率55%)の黄色板針状結晶を得た。得られた結晶の結晶学的データを表8に示し、結晶構造解析の結果を図16に示した。
得られた結晶のFT−IR、コールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)の測定、及び、元素分析の結果は以下のとおりである。
FT−IR(KBr):1630,1484,1380,1152,1006,957,919,875,789,534,429,378,361,313,301,293,287,271,263,252cm1
CSI−MS(アセトン):m/z [TBA9H6Mn(SiW9O33)2]2+:3332(計算値), 3332(測定値); [TBA8H6Mn(SiW9O33)2]+ : 6422(計算値), 6422(測定値)
元素分析(%)TBA7[Mn(SiW9O31(H2O)2(OH))2]・3H2O:
C,21.5; H,4.33; N,1.56; Si,0.90; W,52.8; Mn,0.88(計算値)
C,21.3; H,4.25; N,1.40; Si,0.88; W,51.1; Mn,0.87(測定値)
6mLスクリュー管に実施例16で合成したMn1を10mg(1.60μmol)取り、アセトンを10mL加えた。そこに、撹拌しながらNi(OAc)2を1.59mg(6.39 μmol)加えた。室温で5時間撹拌した後、溶液をろ過した。ろ液にジエチルエーテルを4mL加え、293Kで1晩静置することで1.8mg(収率17%)の薄茶色板状結晶を得た。得られた結晶の結晶学的データを表8に示し、結晶構造解析の結果を図17に示した。
得られた結晶のFT−IR、コールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)の測定、及び、元素分析の結果は以下のとおりである。
FT−IR(KBr):1631,1484,1382,1152,997,954,908,809,775,634,538,373,332,317,257,253cm1
CSI−MS(アセトニトリル):m/z [TBA9H6MnNi4O2(SiW9O34)2]2+ 3466(計算値), 3466(測定値); [TBA8H6MnNi4O2(SiW9O34)2]+ 6688(計算値), 6688(測定値)
元素分析(%)TBA6H8[Cu5O2(SiW9O34)2]・5H2O:
C,20.6; H,4.13; N,1.50; Si,0.86; W,50.6; Mn,0.84; Ni,3.59(計算値)
C,21.9; H,4.15; N,1.55; Si,0.79; W,51.1; Mn,1.02; Ni,3.59(測定値)
6mLスクリュー管にSiW9を10mg(3.08μmol)取り、アセトン1mL、H2O0.1mLを加えた。撹拌しながらCu(OAc)2を1.53mg(7.73μmol)加えた。室温で2時間撹拌した後、溶液をろ過した。ろ液に酢酸エチルを2.9mL加えた。293Kで1晩静置することで5.8mg(収率60%)の緑色板状結晶を得た。
得られた結晶のFT−IR、1H−NMR、コールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)の測定、及び、元素分析の結果は以下のとおりである。
FT−IR(KBr):1484,1466,996,963,910,779,693,548,379,345,256cm1
1H−NMR(270.05MHz,DMSO−d6,298K,TMS):δ=0.94 (t,J2=8.12Hz,96H),1.26−1.37(m,64H),1.57(m,64H),2.10(s,6H,acetone),3.15−3.23ppm(m,64H)
CSI−MS(アセトニトリル):m/z [TBA8H8Cu5O2(SiW9O34)2]2+ 3375(計算値), 3375(測定値); [TBA7H8Cu5O2(SiW9O34)2]+ 6508(計算値), 6508(測定値)
元素分析(%)TBA6H8[Cu5O2(SiW9O34)2]・CH3COCH3・2H2O:
C,18.7; H,3.71; N,1.32; Si,0.88; W,52.0; Cu,5.00(計算値)
C,18.7; H,3.86; N,1.30; Si,0.82; W,51.3; Cu,4.88(測定値)
6mLスクリュー管にSiW9を10mg(3.08μmol)取り、メタノールを6mL加えた後、1時間撹拌した。そこに、撹拌しながらCu(OAc)2を1.53mg(7.73μmol)加えた。室温で1時間撹拌した後、溶液をろ過した。ろ液を293Kで1晩静置することで2.0mg(収率22%)の緑色六角柱状結晶を得た。得られた結晶の結晶学的データを表8に示し、結晶構造解析の結果を図18に示した。
得られた結晶のFT−IRの測定結果は以下のとおりである。
FT−IR(KBr):1630,1484,1466,1383,996,963,910,779,693,548,379,345,256cm1
6mLスクリュー管にSiW9を50mg(15.4μmol)取り、アセトンを1mL、H2Oを0.1mL加えた。そこに、撹拌しながらDy(acac)3・2H2Oを22.8mg(46.0μmol)加えた。室温で1時間撹拌した後、溶液をろ過した。ろ液にジエチルエーテルを5.7mL加え、1晩静置することで31mg(収率54%)の無色板状結晶を得た。得られた結晶の結晶構造解析の結果を図19に示した。
得られた結晶のコールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)の測定結果は以下のとおりである。
CSI−MS(アセトニトリル):m/z [TBA9HDy6(C5H7O2)3(OH)3(SiW9O34)2]2+ 3980(計算値), 3980(測定値); [TBA8HDy6(C5H7O2)3(OH)3(SiW9O34)2]+ 7714(計算値), 7714(測定値)
アセトンと水(20/0.3mL)の混合溶媒にTPA−SiW10を1.00g(0.291mmol)、Dy(acac)3・2H2Oを66.9mg(0.146mmol、SiW10に対して0.5当量)加え、室温(約20℃)で90分間攪拌した。その後、ジエチルエーテル5mLを加え、溶液を25℃で1日静置することで661mg(SiW10に対して収率63%)の無色結晶を得た。得られた結晶の結晶学的データを表9に示し、結晶構造解析の結果を図20(a)に示した。
得られた結晶のコールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)の測定、及び、元素分析の結果は以下のとおりである。CSI−MSの測定スペクトルを図22(a)に示した。図22(a)中の挿入図は、m/z 3720−3760と、7200−7260の範囲の実測値と、[TBA10H5Dy(SiW10O36)2]2+(m/z 3739)、及び、[TBA9H5Dy(SiW10O36)2]+(m/z 7235)のシミュレーションしたパターンである。
CSI−MS(アセトニトリル):m/z [TBA10H5Dy(SiW10O36)2]2+ 3738(計算値), 3738(測定値); [TBA10H5Dy(H2O)(SiW10O36)2]2+ 3747(計算値), 3747(測定値)
元素分析(%)TBA8H5[Dy(H2O)4(SiW10O36)2]・6H2O・(CH3COCH3):
C,21.76; H,4.45; N,1.55; Si,0.78; W,50.85; Dy,2.25(計算値)
C,21.73; H,4.29; N,1.61; Si,0.76; W,50.15; Dy,2.14(測定値)
DyDyは、以下の文献に従い合成した。
K.Suzuki、R.Sato、N.Mizuno、「ケミカル サイエンス(Chem.Sci.)」(英国)、2013年、第4巻、p.596。
2mLの1,2−ジクロロエタンに実施例5で合成したDy1を180mg(0.025mmol)、Eu(acac)3・H2Oを15mg(0.031mmol、Dy1に対して1.25当量)を加え、室温(約20℃)で30分間攪拌した。その後、ジエチルエーテル5mLを加えた。生成した白色沈殿(168mg)をろ過により取り出し、モレキュラーシーブ3Aの存在下、脱水ジクロロメタンで再結晶することで23mg(Dy1に対して収率13%)の無色結晶を得た。得られた結晶の結晶学的データを表9に示し、結晶構造解析の結果を表10と図20(b)に示した。また、SiW10からDy1を経てDyLn(Ln=Eu,Yb,Lu)を合成するまでの反応を図21に示した。
得られた結晶のコールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)、FT−IRの測定、及び、元素分析の結果は以下のとおりである。CSI−MSの測定スペクトルを図22(b)に示した。図22(b)中の挿入図は、m/z 7380−7460の範囲の実測値と、[TBA9DyEu(OH)2(H2SiW10O36)2]+(m/z 7420)のシミュレーションしたパターンである。また、FT−IRの測定結果を図23(a)に示した。
CSI−MS(アセトニトリル):m/z [TBA9DyEu(OH)2(H2SiW10O36)2]+ 7420(計算値), 7420(測定値); [TBA10DyEu(OH)2(H2SiW10O36)2]2+ 3831(計算値), 3831(測定値)
FT−IR(KBr):3646,2961,2931,2873,1635,1483,1380,1153,1103,1000,955,868,758,559cm1
元素分析(%)TBA8[DyEu(OH)2(H2SiW10O36)2]・H2O:
C,21.37; H,4.15; N,1.56; Si,0.78; W,51.10; Dy,2.26; Eu,2.11(計算値)
C,21.18; H,4.07; N,1.45; Si,0.73; W,47.98; Dy,2.28; Eu,2.39(測定値)
Eu(acac)3・H2Oを用いる代わりにYb(acac)3・2H2OをDy1に対して1.25当量用いた以外は実施例22と同様にして、無色結晶(Dy1に対して収率14%)を得た。得られた結晶の結晶学的データを表9に示し、結晶構造解析の結果を表10に示した。
得られた結晶のコールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)、FT−IRの測定、及び、元素分析の結果は以下のとおりである。CSI−MSの測定スペクトルを図22(c)に示した。図22(c)中の挿入図は、m/z 7400−7480の範囲の実測値と、[TBA9DyYb(OH)2(H2SiW10O36)2]+(m/z 7441)のシミュレーションしたパターンである。また、FT−IRの測定結果を図23(b)に示した。
CSI−MS(アセトニトリル):m/z [TBA9DyYb(OH)2(H2SiW10O36)2]+ 7441(計算値), 7441(測定値); [TBA10DyYb(OH)2(H2SiW10O36)2]2+ 3842(計算値), 3842(測定値)
FT−IR(KBr):3649,2960,2873,1635,1483,1380,1153,1097,998,953,890,868,763,557cm1
元素分析(%)TBA8[DyYb(OH)2(H2SiW10O36)2]・6H2O:
C,21.04; H,4.22; N,1.56; Si,0.77; W,50.32; Dy,2.22; Yb,2.37(計算値)
C,21.00; H,4.24; N,1.44; Si,0.70; W,48.70; Dy,2.21; Eu,2.36(測定値)
Eu(acac)3・H2Oを用いる代わりにLu(acac)3・2H2OをDy1に対して1.25当量用いた以外は実施例22と同様にして、無色結晶(Dy1に対して収率51%)を得た。得られた結晶の結晶学的データを表9に示し、結晶構造解析の結果を表10に示した。
得られた結晶のコールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)及びFT−IRの測定結果は以下のとおりである。CSI−MSの測定スペクトルを図22(d)に示した。図22(d)中の挿入図は、m/z 7400−7480の範囲の実測値と、[TBA9DyLu(H2SiW10O36)2]+(m/z 7442)のシミュレーションしたパターンである。また、FT−IRの測定結果を図23(c)に示した。
CSI−MS(アセトニトリル):m/z [TBA9DyLu(OH)2(H2SiW10O36)2]+ 7443(計算値), 7443(測定値); [TBA10DyLu(OH)2(H2SiW10O36)2]2+ 3843(計算値), 3843(測定値)
FT−IR(KBr):3647,2961,2934,2873,1635,1483,1380,1153,1095,999,954,889,868,761,556cm1
実施例で得られた各金属化合物について、磁性測定を行った。結果を図24〜29に示す。
1000 Oeにおけるdc磁気測定より、DyEu、DyYb、DyLuのχmT(300K)は、それぞれ、15.3、16.2、及び、14.1cm3Kmol−1であった。DyLuのχmTはDy1の値と同じであり、DyEuとDyYbの値はDy1の値よりも大きく、DyEu(Eu3+カチオンの磁化率は0,λ,3λのエネルギーをもつ初めのlow−lying stateを許容した場合のVan Vleck式から計算)とDyYbの理論値と一致した。次に、DyEu、DyYb、DyLu、DyDyのゼロ磁場における交流磁化率測定を行った。DyEuとDyLuでは、単分子磁石挙動に特徴的である温度と磁場に依存するDy3+由来のχm´とχm´´のシグナルが観測された。DyYbはゼロ磁場において小さなシグナルしか観測されなかった。これは、おそらくDy3+に隣接するYb3+による強い量子トンネリング(QTM)のためであると考えられる。1800 Oeの外部磁場下において、QTMは抑制され、DyYbも顕著に温度と磁場に依存するχm´とχm´´のシグナルが観測され、DyYbは外部磁場下において単分子磁石挙動を示すことが示唆された。DyDyについても、単分子磁石挙動を示すことが示唆された。
DyEu、DyDy、及び、DyLuのχm´´シグナルの周波数依存性から緩和時間を計算し、lnτ vs.1/Tプロットとして示した(図30)。このプロットをアレニウス則に従ってフィッティングし、磁化反転のエネルギー障壁(ΔE/kB)とpre−exponential factor、73.0K、及び、1.8×10−7s(DyEu)、65.7K、及び、3.1×10−7s(DyDy)、46.7K、及び、1.9×10−6s(DyLu)を得た。エネルギー障壁はDyLu(46.7K)< DyDy
(65.7K)< DyEu(73.0K)の順で増大し、DyEuがこれらの構造体の中で最も高いエネルギー障壁を示した。エネルギー障壁の順番は、Dy3+に隣接するランタノイドカチオンのイオン半径12の順番と良い一致を示した。これは、より大きなLn3+カチオンを持つ{Dy(μ2−OH)2Ln}コアは、Dy3+の4f電子密度と配位子の酸素原子間での相互作用が小さく、その結果大きな異方性が得られたためであると考えられる。ランタノイド金属の異核化によって単分子磁石挙動の活性化障壁を制御した例はこれまでにない。また、DyEuはポリオキソメタレート配位子を用いた単分子磁石の中で最も高いエネルギー障壁を有している。
b:酸素原子
c:コバルト原子
d:銀原子
e:鉄原子
f:マンガン原子
g:ニッケル原子
h:銅原子
i:ジスプロジウム原子
j:炭素原子
Claims (5)
- 欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を2つ以上有する金属化合物であって、
該ヘテロポリオキソメタレート化合物は、ヘテロ原子に対してポリ原子が酸素原子を介して配位した構造を有し、
該金属化合物は、二欠損構造部位及び/又は三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有し、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子を含み、
該二欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物は、P、Si及びGeからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含み、
該三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物は、P、Si及びGeからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含み、該ポリ原子は、Wであり、
該金属原子がAgであって、ヘテロ原子がGeであり、該金属原子のうち少なくとも1つが、1つのヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位当たり1つのポリ原子とのみ1つの酸素原子を介して配位し、かつ、いずれの前記金属原子も、金属原子同士が1つの酸素原子を介して配位した構造を有さない構造、
該金属原子がDy、Eu、Yb、Lu、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Agからなる群より選択される少なくとも1種の原子であって、該金属原子のうち少なくとも1つが、2つ以上のヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位中のポリ原子と1つの酸素原子を介して配位し、かつ、1つのヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位当たり2つ以上のポリ原子と1つの酸素原子を介して配位した構造(ただし、該金属原子がAgである場合は、ヘテロ原子はGeである)、
該金属原子がAgであって、ヘテロ原子がGeであり、4つの該金属原子が互いに少なくとも2つの他の金属原子と直接結合した構造、及び、
該金属原子がCoであって、4つの該金属原子が互いに1つの酸素原子を介して他の3つの金属原子に配位した構造
から選択される少なくとも1つの構造を有することを特徴とする金属化合物。 - 前記金属化合物は、二欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有し、
該二欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物は、P、Si及びGeからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含み、
前記金属原子は、Dy、Eu、Yb、Lu、Co、Agからなる群より選択される少なくとも1種の原子であることを特徴とする請求項1に記載の金属化合物。 - 前記金属化合物は、三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有し、
該三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物は、Siのヘテロ原子を含み、
前記金属原子は、Dy、Mn、Fe、Co、Ni、Cuからなる群より選択される少なくとも1種の原子であることを特徴とする請求項1に記載の金属化合物。 - 前記欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物は、ケギン型ヘテロポリオキソメタレート化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属化合物。
- 前記欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物は、α体、β体及びγ体からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属化合物。
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