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JP6163041B2 - 燃料システム、航空機 - Google Patents
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JP6163041B2 - 燃料システム、航空機 - Google Patents

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Description

本発明は、航空機などに搭載される燃料システムに関する。
航空機が備えるウィングボックスは、燃料タンクとして用いられる。ウィングボックスは、主翼の長さ方向のほぼ全体および胴体に亘り延在する。ウィングボックスの内部は、特許文献1に示すように、複数の燃料タンクに区画される。
ここで、主翼に設けられるアウタータンク(第1タンク)と、主翼の付け根部および胴体に設けられるインナータンク(第2タンク)との2つの燃料タンクがあるとする。
このとき、各燃料タンクにポンプを設け、両方の燃料タンクからエンジンに燃料を供給する場合と、一方の燃料タンクにのみポンプを設け、その燃料タンクからエンジンに燃料を供給する場合とがある。後者の場合、特許文献1に示されるように、一方の燃料タンクから他方の燃料タンクへと燃料が移送される。
特開平8−40394号公報
主翼が受ける揚力によって燃料を効率よく支える観点から、一般に、アウタータンクにはインナータンクよりも多くの燃料を貯留し、アウタータンク内の燃料よりもインナータンク内の燃料を先に消費することが好ましい。
この場合、アウタータンクおよびインナータンクの両方からエンジンに燃料を供給する場合と(以下、前者)、アウタータンクのみからエンジンに燃料を供給する場合(以下、後者)とについて説明する。
前者の場合、図14(a)に示すように、アウタータンク15およびインナータンク16の両方に、エンジンに向けて燃料を圧送する燃料供給ポンプ18および図示しないバルブを設けておく。そして、インナータンク16内の燃料が先に減少するように、センサにより検出した各タンク15,16内の燃料量に基づいて各燃料供給ポンプ18,18およびバルブの動作を電気的に制御する。
後者の場合、図14(b)に示すように、アウタータンク15に、エンジンに向けて燃料を圧送する燃料供給ポンプ18を設けるとともに、インナータンク16からアウタータンク15へと燃料を移送する移送ポンプ19を設ける。そして、アウタータンク15内の燃料量をセンサにより検知しながら、アウタータンク15内の燃料量が所定量を下回ったときに移送ポンプ19を起動し、移送ポンプ19と共に設けられたバルブを開いて燃料移送を開始する。それによってアウタータンク15内の燃料量が満タンとなれば移送ポンプ19を停止し、バルブを閉じるといった制御を行う。
ここで、前者、後者のいずれにしても、ポンプやバルブを電気的に制御する複雑なシステムを構築する必要がある。
そのため、センサや制御装置などの必要部材が多くなる。軽量化やコスト、故障の可能性を少なくする観点などから出来るだけ、機体に設けられる部材は減らしたい。
特に、大型機と比べて機体が小さい中型・小型の航空機では、センサや制御装置を設置するスペースの観点からも、部材を減らす要請が強い。
上記の課題に基づいて、本発明は、第1タンク内の燃料よりも第2タンク内の燃料を先に消費する、つまり、第2タンク内に貯留される燃料の量を第1タンク内に貯留される燃料の量よりも先に減少させる構成を少ない部材で簡素に構成した燃料システムを提供することを目的とする。
本発明は、航空機に搭載される燃料システムであって、燃料をそれぞれ貯留する第1タンクおよび第2タンクと、第1タンクおよび第2タンクのうち少なくとも第1タンク内の燃料を燃料消費部に向けて供給するポンプと、第2タンク内の燃料を第1タンク内へと移送する移送ポンプと、を備える。
そして、本発明は、第1タンク内に連通する入口、および第2タンク内に連通する出口を有する燃料通路を備え、燃料通路は、航空機の主翼の上反角に基づいて、入口から出口へと向かう勾配を有し、燃料通路を通じて、第1タンク内の燃料を第2タンク内へとオーバーフローさせることを特徴とする。
ここで、本発明の燃料システムでは、第1タンク内の燃料の量が所定の貯留量を超えると、燃料通路を通じて第1タンク内の燃料が第2タンク内へとオーバーフローし、第2タンク内の燃料が減少したために第2タンクから第1タンクへの燃料の移送が終了することに続いて、第1タンクから第2タンクへの燃料のオーバーフローが停止する。
本発明におけるオーバーフローの形態として、重力により燃料をオーバーフローさせることができる。
本発明の燃料システムでは、燃料をオーバーフローさせるために、移送される燃料の量が燃料の消費量を上回る能力で移送ポンプを作動させる。そうすると、第1タンク内には、燃料消費部に消費されるために減少する分以上の燃料が補充されるので、第1タンク内の燃料は満タンの貯留量を維持し、その満タン貯留量を超える分は、燃料通路を通じて第2タンク内へとオーバーフローする。
さらに、燃料消費が進行し、第2タンク内の燃料が尽きるか、移送ポンプにより燃料を汲み上げられなくなると、燃料の移送が終了し、これに続いてオーバーフローが停止する。これ以降は、第1タンク内の燃料が消費される。
以上により、本発明は、第2タンクから第1タンクに向けて燃料を移送し、少なくとも第1タンク内の燃料を燃料消費部に供給する構成において、第1タンクから第2タンクに向けて燃料をオーバーフローさせる構成を採用することにより、第2タンク内の燃料量を先に減少させることを実現する。
同様のことを他の構成によっても実現できるが、電磁弁や電動ポンプ、制御装置などが必要となり、電磁弁および電動ポンプと電気的に接続された複雑な制御システムを構築する必要があるので、必要機器の多さに起因して重量、コストが増加する。
これに対して、本発明の燃料システムでは、燃料の消費量、移送量、およびオーバーフロー量に基づいて、各タンク内の燃料量が自律的に定まるので、制御を必要とせず、単純なオーバーフロー機構に基づく簡素な構成により、第1タンク内の燃料量よりも第2タンク内の燃料量を先に減少させることを実現できる。
さらに、燃料通路を通じたオーバーフローは、タンク内への給油効率の向上にも役立つ。
例えば、第1タンクおよび第2タンクの各々に設けられた給油口から所定の給油速度で給油する。このとき、第2タンクよりも先に第1タンクが満タンとなっても、第1タンクへの給油を継続する。それによって第1タンクから第2タンクへのオーバーフローが生じると、第2タンクへは、給油口から給油される燃料に加えて、燃料通路を通じて流入する燃料も流入する。これにより、第2タンク内への給油を迅速に行えるので、給油を短時間で終えることができる。
本発明の燃料システムは、第1タンクは、左右の主翼の先端部同士を結ぶ方向において第2タンクよりも外側に位置することが好ましい。
航空機の主翼から胴体にかけて設けられる燃料システムには、上反角に基づく下り勾配に従って、燃料を重力でーオーバーフローさせる燃料通路を容易に設けることができる。
本発明の燃料システムでは、移送ポンプは、第1タンクおよび第2タンクの各々の燃料量に基づく制御を必要としないものであることが好ましい。
そのような移送ポンプの中でも特に、ジェットポンプが好ましい。
かかる移送ポンプを移送開始から終了までの間作動させれば、オーバーフローの作用により、燃料移送量の制御を必要とすることなく、第2タンク内の燃料を先に消費する目的が遂げられる。
また、移送ポンプとしてジェットポンプを用いると、安価である上、可動部がないために故障の可能性が低くなるので、信頼性向上にも繋げることができる。しかも、電動ポンプを用いる場合と比べて、燃費向上にも寄与できる。
本発明の燃料システムでは、第1タンクおよび第2タンクの少なくとも一方には、外気に通じる通気口が設けられ、第1タンクおよび第2タンクの一方は、燃料通路を介して、他方に設けられた通気口に連通することが好ましい。
燃料通路は、燃料が流れていないときは通気路として機能する。このため、燃料通路を通じて、一方のタンクが他方のタンクに設けられた通気口にも連通するので、通気系統の冗長性を確保することができる。
本発明の燃料システムでは、航空機は、スキンおよびスキンを補強する複数のストリンガを備え、燃料通路は、スキンと、隣り合うストリンガと、隣り合うストリンガの間を覆うカバー部材との内側に形成されることが好ましい。
本発明の燃料通路は、単純に燃料を流す以外の機能を必要とせず、途中に燃料バルブなどを設ける必要がない。このため、通常の配管ではなく、既存のストリンガを燃料通路に利用することができる。
ところで、航空機が地上に駐機中、あるいは上空で巡航中であれば、上反角に基づいて第1タンク内のガス溜まりが第1タンク内の主翼端部側に位置する。この状態では、第1タンク内の燃料を満タン量に保ちながら、燃料通路により燃料を重力により第2タンクへとオーバーフローさせることができる。これは、本発明が意図するオーバーフローである。
これに対して、主翼が上反角および後退角を有する航空機の姿勢が、所定の上昇角度範囲内にあるときには、第1タンク内でガス溜まりが主翼端部側から他の場所へと移動したことで燃料通路の入口が燃料に浸かり、入口よりも下方に位置する出口に向けて燃料がオーバーフローする。これは、航空機が地上や上空で水平の姿勢とされていたり、所定の上昇角度範囲外の角度とされる状態では予定されない、意図せぬオーバーフローにあたる。
この意図せぬオーバーフローを防ぐために、主翼が上反角および後退角を有する航空機においては、航空機の姿勢が所定の上昇角度範囲内にあるときには、燃料通路の出口が、第1タンク内の燃料の液面よりも上方に位置することが好ましい。
燃料通路の出口が、意図せぬオーバーフローの発生が懸念される所定の上昇角度範囲内では常時、第2タンク内で、第1タンク内の液面よりも上方に開放されていると、燃料通路の入口が燃料に浸かっても、意図せぬオーバーフローが生じない。
意図せぬオーバーフローを防ぐことにより、機体の重心管理への影響を避けられるとともに、各タンク内の残燃料量が燃料消費に基づく想定通りに推移するので、タンク内の燃料量に関してパイロットに無用な混乱を生じさせない。
意図せぬオーバーフローを防ぐために、燃料通路の出口を第2タンク内で第1タンク内の燃料の液面よりも上方に開放させる他、燃料通路の出口の近傍に、航空機の姿勢が所定の上昇角度範囲内にあるときには、第1タンク内の燃料の液面よりも上方に位置する液面上方部を設けることも好ましい。液面上方部には、サイフォン現象を回避するための通気孔を形成する。
この場合、燃料通路の出口を液面上方部よりも下方に、第2タンク内の燃料の液面に近づけて配置することができる。そうすると、出口から第2タンク内の燃料の液面までの落差を小さくすることができるので、出口から流出した燃料が液面に打ち付けられて静電気が発生することを避けることができる。
以上で挙げた燃料システムは、航空機に好適に搭載することができる。
本発明の燃料システムによれば、第2タンク内に貯留される燃料の量を第1タンク内に貯留される燃料の量よりも先に減少させる構成を少ない部材で簡素に構成することができる。
本発明の実施形態に係る燃料システムが搭載された航空機を模式的に示す平面図である。 主翼を構成する部材を模式的に示す斜視図である。 インナータンクおよびアウタータンクに設けられる燃料通路、ポンプ、通気口等を模式的に示す平面図である。 機体前方から模式的に表したインナータンクおよびアウタータンクの断面図である。 燃料消費の一例を示す図である。 燃料通路を配管により構成する例を示す図である。 意図せぬオーバーフローを説明するための図である。 (a)は、本発明の第1変形例を示す模式図であり、(b)は、本発明の第2変形例を示す模式図である。 本発明の第2変形例に係る具体的構成を示す図である。 第2変形例で用いるチューブを示す図である。 1つのメインタンクと2つのサブタンクとを備える燃料システムを示す図である。 3つのタンクを備える燃料システムを示す図である。 本発明の変形例に係る燃料システムを示す図である。 従来の燃料システムを示す図である。
〔実施形態〕
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を説明する。
図1に示す航空機1は、胴体2と、胴体2から左右に延びる一対の主翼3,3とを備える。
主翼3は、主翼3の前縁3Fに沿ったスパー4(図2)と、主翼3の後縁3Rに沿ったスパー5(図2)と、主翼3の表裏の外表面をなし、スパー4,5と共にボックス状に組み立てられるスキン6とを備える。
スキン6は、図2に示す複数のストリンガ7によって補強される。また、主翼3の表裏のスキン6,6の間には、ストリンガ7と交差する方向に沿って複数のリブ8が設けられる。リブ8は、スパー4,5を連結するとともに、スキン6,6を支持する。リブ8の上端および下端には、スキン6に突設されたストリンガ7を収容する切欠81(図9)が形成される。
スパー4,5、スキン6,6、複数のストリンガ7、および複数のリブ8を含んでウィングボックスWが構成される。ウィングボックスWは、主翼3,3の長さ方向のほぼ全体、および胴体2に亘り延在する。
ウィングボックスWの内部は、燃料(燃料油)を貯留する燃料タンクとして用いられる。ウィングボックスWは、主翼3,3の各々に位置するアウタータンク30,30(第1タンク)と、胴体2に位置するインナータンク40(第2タンク)とを備えている。左右の主翼3,3の先端部同士を結ぶ方向において、アウタータンク30,30はインナータンク40よりも外側に位置している。アウタータンク30,30およびインナータンク40は互いに仕切られており、個別に燃料を貯留する。
なお、ウィングボックスWは、サージタンクなどの他のタンクも備えるが、図示および説明を省略する。
アウタータンク30およびインナータンク40の各々の内部にはリブ8が存在するが、リブ8の切欠81を通じて燃料が往来可能であるために、タンク30,40の各々の内部は、一続きの貯留空間とされている。
なお、インナータンク40は、胴体2から主翼3,3の付け根部に亘って設けることもできる。
航空機1には、アウタータンク30,30およびインナータンク40を備えた燃料システム10が搭載される。
図3および図4を参照し、燃料システム10の構成について説明する。航空機1は、胴体2を貫く前後軸A(図1)に対して左右対称に構成されるため、左側のアウタータンク30およびインナータンク40の左半分のみを図示して説明する。右側のアウタータンク30も、左側のアウタータンク30と同様に構成されている。
アウタータンク30は、インナータンク40よりも優先的に給油される航空機1のメインタンクとされている。
アウタータンク30には、航空機1の図示しないエンジン(燃料消費部)に向けて燃料を供給する燃料供給ポンプ31と、外気に通じる2つの通気口32,32と、アウタータンク30内に燃料を給油するときに用いる給油口34とが設けられている。
燃料供給ポンプ31は、アウタータンク30内の燃料が流出する流出口に接続された図示しない配管に接続されており、その配管を介してエンジンに向けて燃料を圧送する。
通気口32,32の各々は、ストリンガ7,7を利用した図示しない通気経路に接続されており、それぞれの通気経路の一端をなす。通気経路の他端は、アウタータンク30内に開口している。
アウタータンク30の通気口32,32、および、以下で示すインナータンク40の通気口42は、タンク内圧と外気圧との差圧によってタンクに過大な圧力が加わることを防ぐために、各タンクの内圧と外気圧とのバランスを図る。また、タンク内の燃料が消費された分だけ、通気口を介してタンク内に外気を導入することで、タンク内が負圧になるのを避けて燃料供給を維持する。
インナータンク40は、短距離の航行時には空の状態とされることもあるサブタンクである。インナータンク40には、外気に通じる通気口42と、インナータンク40内に燃料を給油するときに用いる給油口44とが設けられている。
通気口42は、実際には、ストリンガ7,7を利用した図示しない通気経路に接続されており、その通気経路の一端をなす。通気経路の他端は、インナータンク40内に開口している。
インナータンク40内の燃料は、インタータンク40とアウタータンク30とを繋ぐ移送管27を介してアウタータンク30へと移送される。移送管27には、インナータンク40からアウタータンク30へと燃料を移送する移送ポンプ23が接続されている。移送ポンプ23や、上述の燃料供給ポンプ31は、必要に応じて図示しないバルブと共に設けられる。
移送ポンプ23には、電動ポンプを含む各種のポンプを用いることができるが、特に、流体ポンプ(ジェットポンプ)を用いることが好ましい。
移送管27および移送ポンプ23は、インナータンク40の右側にも設けられており、インナータンク40内の燃料は、移送先である左右のアウタータンク30,30の各々の燃料供給ポンプ31によってエンジンに供給される。
本実施形態の移送ポンプ23は、図3に示すように、吸引管24を有するジェットポンプ231と、ポンプ232とを備える。なお、吸引管24は、図3の紙面に直交するように紙面の奥側に延びているが、図示の都合上、平面図である図3に表している。
ジェットポンプ231は、ポンプ232により圧送され所定の速度を有する燃料が通過することにより、吸引管24からインナータンク40内の燃料を吸引し、移送管27を通じてアウタータンク30内へと吐出する。
なお、ジェットポンプ231とは、よく知られているように、高圧流体が加速により減圧されることで外部の流体を吸引し、その後、ディフューザによって減速昇圧する流体ポンプである。
吸引管24の下端は、航空機1が航行中に通常とりうる姿勢のときに、インナータンク40内の下方に位置する(図4参照)。
また、燃料供給ポンプ31が配管を介して接続されるアウタータンク30内の流出口も、航空機1が航行中に通常とりうる姿勢のときに、アウタータンク30内の下方に位置する。
航空機1の航行中、インナータンク40内の燃料の液面が下がり、吸引管24を通じて燃料が汲み出せなくなるまで、移送ポンプ23によってインナータンク40内の燃料をアウタータンク30内へと移送しながら、アウタータンク30内の燃料を燃料供給ポンプ31によってエンジンに供給する。
ここで、主翼3に設けられるアウタータンク30内の燃料は、燃料の重力に対抗する揚力を受ける主翼3によって効率よく支えられる。
一方、胴体2に設けられるインナータンク40内の燃料は、インナータンク40と離れた場所にある主翼3が受ける揚力によって支えられる。このため胴体2から主翼3にわたり、インナータンク40内の燃料を支えるだけの強度が求められる。強度を増すことは機体構造重量の増加につながり、ひいては燃費の悪化を招く。
したがって、本実施形態では、アウタータンク30内に多くの燃料を保持し、インナータンク40内の燃料の量をアウタータンク30内の燃料量よりも先に減少させるべく、移送ポンプ23によりインナータンク40からアウタータンク30へと燃料を移送し、移送先のアウタータンク30から燃料をエンジンに向けて供給するようにしている。
さて、燃料システム10は、上記の如く、インナータンク40からアウタータンク30へと燃料を移送する方式を採るととともに、アウタータンク30内の燃料をインナータンク40内へとオーバーフローさせる燃料通路20を備える点に主な特徴を有する。
燃料通路20は、図3に示すように、アウタータンク30内に連通する入口21と、インナータンク40内に連通する出口22とを備えている。
入口21は、主翼3の先端側でアウタータンク30内に開口している。燃料通路20は、入口21から出口22まで前縁3Fにほぼ沿って延びている。
ここで、図4に示すように、主翼3は胴体2に対して上反角θ1を有する。この上反角θ1に基づいて、燃料通路20は、入口21から、それよりも低い出口22まで連続した下り勾配を有する。燃料通路20の入口21がアウタータンク30内の燃料(Fで図示)に浸かっていると、燃料が入口21から燃料通路20に流入し、下り勾配に従って出口22へと流れ、出口22からインナータンク40内へと流れ落ちる。
したがって、入口21が浸かる直前のアウタータンク30内の燃料の量が、アウタータンク30の満タンの貯留量となる。
燃料通路20は、図2(b)に示すように、スキン6と、隣り合うストリンガ7,7と、それらのストリンガ7,7の間を覆うカバー部材25の内側に形成されている。
カバー部材25は、隣り合うストリンガ7,7の間に対応する幅の矩形状の板である。カバー部材25は、スキン6の裏面から突出するストリンガ7,7の各々の先端部に溶接、圧接、接着などの任意の方法によって固定される。ストリンガ7,7の断面形状は問わない。
リブ8の切欠81(図9)のうち少なくとも1つは、燃料通路20が貫通する大きさである。カバー部材25は、この切欠81を通じてリブ8を貫き、入口21から出口22にわたり延在する。
カバー部材25により、入口21から出口22までの長さに亘ってストリンガ7,7間の通路77がタンク30,40内の貯留空間とは区画される。この通路77が燃料通路20として用いられる。
次に、燃料通路20を備えた本実施形態の作用について、燃料消費、給油、および通気の冗長性の各々の観点から説明する。
(燃料消費)
図5に各タンク内の燃料量を示しながら、燃料消費の一例について説明する。
航行前の給油により、アウタータンク30およびインナータンク40には、航行する距離に応じた所定量の燃料が貯留される。
その後、航行を開始してから所定時間だけ経過後、図5(a)に示すように、アウタータンク30およびインナータンク40の両方に燃料が残存しているものとする。
このとき、エンジンの駆動のために消費される燃料の量がよほど多くない限りは、移送ポンプ23により移送される燃料の量が燃料の消費量を上回る能力で移送ポンプ23を継続して作動させる。そうすると、アウタータンク30内には、エンジンの駆動に消費されるために減少する分以上の燃料が補充されるので、アウタータンク30は満タンの貯留量を維持し、その満タン貯留量を超える分は、燃料通路20を通じてインナータンク40内へと重力でオーバーフローする。入口21が燃料に浸かっている間は、燃料が継続してオーバーフローする。
航行を続けることによって燃料消費が進行すると、図5(b)に示すように、インナータンク40内の燃料量が吸引管24の下端を下回り、移送ポンプ23で燃料を汲み上げることができないので、この時点で燃料の移送を終える。
これに続いて、燃料通路20の入口21が燃料に浸かった状態を脱すると、燃料通路20を通じた燃料のオーバーフローが停止する。これ以降は、アウタータンク30とインナータンク40との間を燃料が行き来することなく、アウタータンク30内の燃料を消費し、航行を終了する。
(給油〕
燃料通路20によるオーバーフローは、タンクへの給油時にも利用される。
図3に示すように、給油口34からアウタータンク30内へと、また、給油口44からインナータンク40内へと燃料を給油する。ここで、アウタータンク30内が満タンとなっても給油口34からのアウタータンク30内への給油を継続することにより、燃料通路20を通じて燃料をインナータンク40にオーバーフローさせる。そうすると、インナータンク40内には、給油口44から給油される燃料と、燃料通路20を介して流れ込む燃料とが流入する。そのため、インナータンク40内への給油が短時間で完了する。
(通気の冗長性)
図3を参照し、タンク内外の通気の冗長性について説明する。
燃料通路20内を燃料が流れていないとき、燃料通路20を介してタンク30,40内の気体が往来可能となるので、燃料通路20は通気路としても用いられる。このときは、各タンク30,40が互いに、燃料通路20を介して相手のタンクの通気口に連通する。
そうすると、アウタータンク30では、外部との通気のために、通気口32,32を含む通気系統に加えて、燃料通路20を介してインナータンク40の通気口42に連通する通気系統も利用可能となる。
また、インナータンク40では、外部との通気のために、通気口42を含む通気系統に加えて、燃料通路20を介してアウタータンク30の通気口32に連通する通気系統をも利用可能となる。
したがって、いずれかの通気系統が何らかの要因によって詰まったとしても、他の通気系統により、各タンクの通気が確保される。
例えば、インナータンク40の通気口42を含む通気系統が何らかの要因により詰まったとしても、燃料通路20を介してアウタータンク30の通気口32に連通する通気系統により、外部との通気が行われる。
また、アウタータンク30の通気口32,32が両方とも詰まったとしても、燃料通路20を介してインナータンク40の通気口42に連通する通気系統により、外部との通気が行われる。
以上のように、アウタータンク30およびインナータンク40に個別に設けられた通気系統とは別に、燃料通路20を介した通気系統を付加することで、通気系統の冗長性が確保される。
以上の説明に基づいて、本実施形態の燃料システム10による効果を説明する。
先ず、燃料消費の観点から見た効果を説明する。
本実施形態の燃料システム10では、上述のように、インナータンク40からアウタータンク30に向けて燃料を移送し、アウタータンク30内の燃料をエンジンに供給する構成において、アウタータンク30からインナータンク40に向けて燃料を重力でオーバーフローさせる構成を採用することにより、インナータンク40内の燃料量を先に減少させることを実現する。
ここで、同じことを実現するために、例えば、アウタータンク30内の燃料量に基づいて移送ポンプ23による移送量を制御することが考えられる(以下、前者)。また、図14(a)に示す構成と同様に、アウタータンク30およびインナータンク40の両方に燃料供給ポンプ18を設け、各タンク30,40内の燃料量に基づいて、それぞれの燃料供給ポンプによる圧送量を制御することも考えられる(以下、後者)。
しかし、前者の場合は、移送ポンプ23およびその関連機器として、電磁弁、電動ポンプ、および制御装置、さらには、電動機および表示装置などを必要とし、電磁弁および電動ポンプと電気的に接続された複雑な制御システムを構築する必要がある。また、タンク内の燃料量を検知するセンサも必要となる。そうなると、必要機器の多さに起因して重量、コストが増加する上、制御装置の開発期間を要する。
後者の場合でも、燃料供給ポンプ31およびその関連機器として、電磁弁、電動ポンプ、および制御装置、さらには電動機および表示装置などを必要とし、電磁弁および電動ポンプと電気的に接続された複雑な制御システムを構築する必要があり、タンク内の燃料量を検知するセンサも必要となる。しかも、各タンクに専用の燃料供給ポンプが必要となる。そうなると、前者同様、必要機器の多さに起因して重量、コストが増加する上、制御装置の開発期間を要する。特に、エンジンに向けて燃料を圧送する大型のポンプをタンク毎に設けることが、重量およびコストを大きく押し上げる。
上記の構成に対して、本実施形態では、制御を必要とせず、タンク間で移送ポンプ23により燃料を移送させながら、移送元のタンクへと燃料をオーバーフローさせるだけで足りるので、機構を単純化できる。本実施形態の燃料システム10が必要とする部材は、タンク30,40の他は、移送ポンプ23と、燃料をオーバーフローさせるための燃料通路20のみである。この燃料システム10によれば、燃料の消費量、移送量、およびオーバーフロー量に基づいて、各タンク30,40内の燃料量が自律的に定まるので、アウタータンク30よりもインナータンク40内の燃料量を先に減少させることを簡素な構成によって実現できる。
したがって、重量低減により燃費向上に寄与できるとともに、製造コストを抑えることができ、しかも、構成が簡素であるために故障の可能性が低くなるので、信頼性をも向上させることができる。
また、本実施形態の燃料システム10では、移送ポンプ23としてジェットポンプを採用できる。このジェットポンプを移送開始から終了までの間、所定の能力で作動させれば、オーバーフローの作用により、燃料移送量の制御を必要とすることなく、インナータンク40内の燃料を先に消費する目的が遂げられる。
しかも、移送ポンプ23としてジェットポンプを用いると、可動部がないために故障の可能性が低くなるので、信頼性向上にも繋げることができる。さらに、電動ポンプを用いる場合と比べて、燃費向上にも寄与できる。
燃料通路20は、図6に示すように、筒状の配管26によって構成しても勿論よいが、本実施形態のように、ストリンガ7,7の間をカバー部材25で覆い、ストリンガ7,7の間に形成される通路77を燃料通路20として利用するのが好ましい。
ここで、本実施形態の燃料システム10は、入口21から流入した燃料が出口22に向けて流れる燃料通路20を備えれば足り、その途中に燃料バルブなどの機器を設ける必要がない。
このように、燃料を単純に流す以外の機能を燃料通路20が必要としないことに基づいて、ストリンガ7,7の間の通路77を燃料通路20とする形態を採用可能となる。これについて以下、説明する。
例えば、燃料バルブなどを設けるとすると、燃料バルブを介在させて配管同士を漏洩なく接続するために、図6に示すように断面が円形状の配管26を用いることとなる。この配管26をウィングボックスW内に配置するためには、リブ8に配管26を通すための孔を開ける必要があり、その孔の周りの補強が必要となるので重量増加に繋がる。また、小型機の場合は、構造自体が小さいためにリブ8に開けられる孔面積にも限りがあるので、配管26を通せないこともあり得る。
翻って、燃料バルブなどを設けないとすると、燃料通路の断面形状を任意の形態とすることができるので、既存のストリンガ7,7を活用した形態を採用可能となる。この場合、リブ8に孔をあける必要がなく、重量増も抑えられる。また、既存構造の活用により、燃料通路20を設けるために必要な場所を空ける必要がないので、特に、装備品の艤装スペースに制約が多い中型・小型の航空機においてメリットが大きい。
次に、給油の観点から見た効果について説明する。
定期的に運行する航空機では、着陸してから離陸までの所要時間であるターンアラウンドタイムの短縮が重要であり、ターンアラウンドタイムにおける給油時間の占める割合が大きいため、給油時間は極力短いことが望まれている。
ここで、給油口からタンクへの給油速度は、安全確保のため、燃料流れによる静電気帯電を抑制できる速度に上限が定められる。ここで、給油口の数や給油口の開口径を増加させれば給油時間を短縮できるが、重量増に繋がり、また艤装スペースに制約があることから、出来れば避けたい。
そこで、上述のように、燃料通路20によるオーバーフローを利用することで、給油を短時間で終えることができる。
例えば、給油口34,44の各々から1m/sでタンク30,40内へと給油を行いながら、アウタータンク30内が満タンとなっても給油口34からのアウタータンク30内への給油を継続し、燃料通路20を通じて燃料をインナータンク40にオーバーフローさせる。インナータンク40内の燃料量をアウタータンク30内の燃料量よりも先に減少させることにより、アウタータンク30内にインナータンク40内よりも多くの燃料が残存していると、比較的早期にオーバーフローが生じる。
オーバーフローが生じると、インナータンク40内には、給油口44から給油される燃料と、燃料通路20を介して流れ込む燃料とによって、2m/sの給油速度で燃料が貯留される。その結果、アウタータンク30およびインナータンク40の各々に所定量の燃料を短時間で給油することができる。
同様の効果は、アウタータンク30からインナータンク40へと燃料を移送するポンプを設けることによっても実現できるが、オーバーフローを利用することにより、単純で信頼性の高い方法で給油時間を短縮できるところに本実施形態の価値がある。
次に、通気の観点から見た効果について説明する。
燃料通路20は、燃料が流れていないときは通気路として機能する。したがって、上述したように、燃料通路20を通じて一方のタンクが他方のタンクに設けられた通気口にも連通するので、通気系統の冗長性を確保することができる。
このため、通気系統が詰まり、外気との差圧によって過大な圧力がタンクに加わることをより確実に避けられる。特に、本実施形態のようにウィングボックスWをそのまま燃料タンクとして用いるインテグラル構造においては、構造の破壊に繋がる過加圧を回避できる意義が大きい。
ここで、冗長性を確保するために、1つの通気口あたり複数のフロートバルブを設けることも行われるが、燃料通路20を通気路として用いることで、フロートバルブの数を削減することもできる。これによって重量減にも繋げられる。
要求される冗長性のレベルに応じて、フロートバルブの数や、通気口の数を適宜定めてよい。燃料通路20により連通される両タンク30,40のうち少なくとも一方のタンク30(または40)に通気口が設けられていれば、他方のタンク40(または30)には通気口を設けなくても外部との通気系統が確保される。
以下、航空機1の姿勢が変化したときのオーバーフローについて検討する。
航空機1が地上に駐機中、あるいは上空で巡航中であれば、図4に示すように、上反角θ1に基づいて、アウタータンク30内のガス溜まりGがアウタータンク30内の翼端側に位置する。ガス溜まりGは、アウタータンク30の翼端側の通気口32(図3)に通じている。
この状態では、アウタータンク30内の燃料を満タン量に保ちながら、燃料通路20により燃料をインナータンク40へとオーバーフローさせることができる。これは、意図するオーバーフローである。
これに対して、主翼3が上反角θ1および後退角θ2を有する航空機1が、ある程度の機首上げ姿勢であって、所定の上昇角度範囲内にあるときには、アウタータンク30内でガス溜まりGが翼端側から他の場所へと移動したことで燃料通路20の入口21が燃料に浸かり、入口21よりも下方に位置する出口22に向けて燃料が重力によりオーバーフローする。これは、航空機1が地上や上空でほぼ水平の姿勢とされる状態では予定されない、意図せぬオーバーフローにあたる。
図7(a)は、意図せぬオーバーフローが生じる様子を示す。図7(a)は、図7(b)に示すように、機首を上げた状態の航空機1を後方から前方へと向けて見たときの燃料システム10を示す。
意図せぬオーバーフローは、アウタータンク30内の燃料が満タン量でなくても生じる。意図するオーバーフローが、満タン量を超える余剰の燃料のみをオーバーフローさせるのに対して、意図せぬオーバーフローは、アウタータンク30の燃料量が満タン量以下であっても、アウタータンク30からインナータンク40へと燃料を移動させてしまう。
意図せぬオーバーフローがひとたび生じると、サイフォンの原理により、燃料通路20の入口21または出口22がアウタータンク30の燃料の液面下から脱するまで、オーバーフローが継続される(一点鎖線で図示した液面参照)。
主翼3が上反角θ1および後退角θ2を有する航空機1においては、上記のような意図せぬオーバーフローを防ぐ必要がある。
そこで、図8(a)に示す第1変形例のように、燃料通路20の出口22を曲げることにより、航空機1の姿勢が所定の上昇角度範囲内にあるときには、アウタータンク30内の燃料の液面30Sよりも上方に位置するように出口22の位置を設定する。出口22は、インナータンク40内の前方でかつ上方に設定される。
こうすると、燃料通路20の出口22が、意図せぬオーバーフローの発生が懸念される所定の上昇角度範囲内では常時、インナータンク40内で、アウタータンク30内の液面30Sよりも上方に開放されるので、燃料通路20の入口21が燃料に浸かっても意図せぬオーバーフローが生じない。アウタータンク30およびインナータンク40内の燃料量は、燃料消費に基づく想定通りに推移する。
意図せぬオーバーフローを防ぐことにより、機体の重心管理への影響を避けられる。
また、意図せぬオーバーフローが生じると、燃料消費量からすれば第1タンクに満タン量が貯留されている筈であるにもかかわらずアウタータンク30内の燃料が減少するので、燃料量表示を見たパイロットが混乱するおそれがあるが、こうした無用な混乱が生じることも避けられる。
上記で説明した図8(a)の構成に代えて、図8(b)に示す第2変形例の構成を採用することもできる。
図8(b)では、燃料通路20が、出口22の近傍に液面上方部72を備える。
液面上方部72は、航空機1の姿勢が所定の上昇角度範囲内にあるときには、アウタータンク30内の燃料の液面30Sよりも上方に位置する。液面上方部72には、通気孔721が形成される。
燃料通路20の出口22は、液面上方部72よりも下方に配置される。
図8(b)の構成によると、液面上方部72の通気孔721により、燃料通路20がアウタータンク30内の燃料の液面30Sよりも上方で開放されるので、図8(a)の構成と同様に、意図せぬオーバーフローを防ぐことができる。
また、図8(b)の形態によると、出口22自体をアウタータンク30内の液面30Sよりも上方に配置する必要がないので、出口22をインナータンク40内の燃料の液面(図示せず)に近づけることができる。そうすると、出口22から流出した燃料が液面に打ち付けられて静電気が発生することを避けることができる。
次に、図9および図10を参照して、図8(b)に示した第2変形例に係る具体的構成について説明する。
図9は、アウタータンク30およびインナータンク40の内側、および燃料通路70の出口近傍を示す斜視図である。なお、スキン6の図示を省略し、スパー4,5、リブ8、および、燃料通路70を構成する2本のストリンガ7(二点鎖線)を図示している。
アウタータンク30とインナータンク40とは、仕切リブ8Aによって仕切られている。仕切リブ8Aの切欠81は板材およびシーラント材によって封止されている。
燃料通路70は、スキン6、隣り合うストリンガ7,7、およびカバー部材25の内側に形成された通路77と、通路77に接続されるチューブ78とを備えている。
通路77の翼端側は、アウタータンク30内に開口し、燃料通路70の入口21(図3)を形成する。通路77は仕切リブ8Aを貫通し、インナータンク40内でチューブ78と接続される。
チューブ78は、図10に示すように、接続部71と、液面上方部72と、延長部73とを備えている。チューブ78は、接続部71から、周辺の部材をよけて延出し、液面上方部72に向けて立ち上がった後、延長部73において下方へと延びている。
接続部71は、通路77に接続される。
液面上方部72には、小さい通気孔721が形成されている。この通気孔721は燃料通路70内にサイフォン現象が生じないように、チューブ78内にインナータンク40内の気体を導入する。冗長性を確保するために、2つの通気孔721が形成されている。
液面上方部72は、上述のように、航空機1の所定の上昇角度の範囲内においてアウタータンク30内の燃料の液面30Sよりも上方に位置する。具体的に、液面上方部72は、インナータンク40内において、上方でかつ前方の箇所に設けられる。この箇所は、シミュレーションや演算、試験などによって割り出される。
延長部73は、インナータンク40内に開口し、燃料通路70の出口22を形成する。 延長部73は、二股状に分かれており、2つの出口22を備える。このため、一方の出口22が詰まったときでも他方の出口22によって燃料の流れを確保することができる。二以上の出口22を設けない場合は、燃料の流れの冗長性を他の方法で確保することが好ましい。
ところで、航空機1とは異なり、上反角や後退角を持たない航空機においては、機体の上昇時に、インナータンク40からアウタータンク30へと燃料の逆流が生じうる。
その場合には、図8〜図10を参照して説明した構成と同様に、アウタータンク30内の燃料の液面30Sよりも上方で燃料通路20をインナータンク40内において開放させればよい。例えば、燃料通路20の出口22をインナータンク40内の前方かつ上部に設ければよい。
本発明の燃料システムは、上記に例示した以外にも、種々のタンク構成を採用することができる。
例えば、図11(a)に示す燃料システム9は、メインタンク90と、第1サブタンク91および第2サブタンク92とを備えている。
その他に、燃料システム9は、メインタンク90内に貯留された燃料をエンジンに向けて供給する燃料供給ポンプ31と、第1移送ポンプ93および第2移送ポンプ94と、第1燃料通路151および第2燃料通路152とを備えている。
第1移送ポンプ93は、第1サブタンク91からメインタンク90へと燃料を移送する。
第2移送ポンプ94は、第2サブタンク92からメインタンク90へと燃料を移送する。
これらの第1、第2移送ポンプ93,94はいずれも流体ポンプとされている。
第1燃料通路151は、メインタンク90に開口する入口21と、第1サブタンク91に開口する出口22とを備えている。
第2燃料通路152は、メインタンク90に開口する入口21と、第2サブタンク92に開口する出口22とを備えている。
燃料システム9は、メインタンク90および第1サブタンク91との間に、第1移送ポンプ93および第1燃料通路151を含んで構成される第1燃料系統9Aと、メインタンク90および第2サブタンク92との間に、第2移送ポンプ94および第2燃料通路152を含んで構成される第2燃料系統9Bとを備える。
第1燃料系統9Aでは、第1移送ポンプ93によって第1サブタンク91からメインタンク90へと燃料を移送させながら、第1燃料通路151を通じてメインタンク90から第1サブタンク91へと燃料をオーバーフローさせる。
第2燃料系統9Bでは、第2移送ポンプ94によって第2サブタンク92からメインタンク90へと燃料を移送させながら、第2燃料通路152を通じてメインタンク90から第2サブタンク92へと燃料をオーバーフローさせる。
これら第1燃料系統9Aおよび第2燃料系統9Bを用いると、第1サブタンク91および第2サブタンク92内の燃料がメインタンク90内の燃料よりも先に消費される。
図11(a)に示す構成では、メインタンク90に第1サブタンク91が隣接し、第1サブタンク91に第2サブタンク92が隣接しているが、図11(b)のように、メインタンク90に第1サブタンク91および第2サブタンク92の両方が隣接していてもよい。
図11(a)および(b)に示す構成では、メインタンク90に対して2つのサブタンク91,92が並列に接続されるが、図12に示すように、直列にタンクが接続される構成を採用することもできる。
図12に示す燃料システム11は、タンク101、タンク102、およびタンク103と、タンク101内に貯留された燃料をエンジンに向けて供給する燃料供給ポンプ31と、第1移送ポンプ181および第2移送ポンプ182と、第1燃料通路171および第2燃料通路172とを備えている。
第1移送ポンプ181は、タンク102からタンク101へと燃料を移送する。
第2移送ポンプ182は、タンク103からタンク102へと燃料を移送する。
第1燃料通路171は、タンク101に開口する入口21と、タンク102に開口する出口22とを備えている。
第2燃料通路172は、タンク102に開口する入口21と、タンク103に開口する出口22とを備えている。
燃料システム11は、タンク101およびタンク102との間に、第1移送ポンプ181および第1燃料通路171を含んで構成される第1燃料系統11Aと、タンク102およびタンク103との間に、第2移送ポンプ182および第2燃料通路172を含んで構成される第2燃料系統11Bとを備える。
第1燃料系統11Aでは、燃料通路171の入口21が位置するタンク101が第1タンクに相当し、燃料通路171の出口22が位置するタンク102が第2タンクに相当する。
第2燃料系統11Bでは、燃料通路172の入口21が位置するタンク102が第1タンクに相当し、燃料通路172の出口22が位置するタンク103が第2タンクに相当する。
これら第1燃料系統11Aおよび第2燃料系統11Bが用いられると、タンク103、タンク102、およびタンク101の順に、燃料を消費することができる。
本発明の燃料システムは、第2タンク内の燃料を第1タンク内の燃料よりも先に消費する。したがって、エンジンに向けて、少なくとも第1タンク内の燃料を供給できるように、第1タンク内の燃料をエンジンに向けて供給する燃料供給ポンプを備えていればよい。
但し、第1タンク内の燃料をエンジンに向けて供給する燃料供給ポンプに加えて、第2タンク内の燃料をエンジンに向けて供給する燃料供給ポンプを備える構成をも、本発明は許容する。
本発明における燃料通路の形態は、第1タンクから第2タンクに向けて燃料をオーバーフローさせることができる限り、任意に構成できる。例えば、図13に示すように、第1タンク131に開口する入口21と、第2タンク132に開口する出口22とを有するとともに、鉛直方向に沿って延びる燃料通路160を採用することもできる。このとき、入口21および出口22の落差Hに基づく重力により、第1タンク131内の燃料が第2タンク132内へとオーバーフローする。
本発明の燃料システムは、航空機に限らず、船舶などの輸送機械にも適用できる。また、エンジン発電機を備える電源システムなどにも適用できる。
上記に例示した以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
1 航空機
2 胴体
3 主翼
3F 前縁
3R 後縁
4,5 スパー
6 スキン
7 ストリンガ
8 リブ
8A 仕切リブ
9,11 燃料システム
9A,9B,11A,11B 燃料系統
10 燃料システム
20 燃料通路
21 入口
22 出口
23 移送ポンプ
231 エジェクタ
232 ポンプ
24 吸引管
25 カバー部材
26 配管
27 移送管
30 アウタータンク(第1タンク)
30S 液面
31 燃料供給ポンプ
32 通気口
34 給油口
40 インナータンク(第2タンク)
42 通気口
44 給油口
70 燃料通路
71 接続部
72 液面上方部
73 延長部
77 通路
78 チューブ
81 切欠
90 メインタンク(第1タンク)
91 第1サブタンク(第2タンク)
92 第2サブタンク(第2タンク)
93 第1移送ポンプ
94 第2移送ポンプ
101 第1タンク
102 第2タンク
103 第3タンク
131 メインタンク(第1タンク)
132 サブタンク(第2タンク)
151 第1燃料通路
152 第2燃料通路
160 燃料通路
171 第1燃料通路
172 第2燃料通路
181 第1移送ポンプ
182 第2移送ポンプ
721 通気孔
A 前後軸
F 燃料
G ガス溜まり
H 落差
W ウィングボックス
θ1 上反角
θ2 後退角

Claims (10)

  1. 航空機に搭載される燃料システムであって、
    燃料をそれぞれ貯留する第1タンクおよび第2タンクと、
    前記第1タンクおよび前記第2タンクのうち少なくとも前記第1タンク内の燃料を燃料消費部に向けて供給するポンプと、
    前記第2タンク内の前記燃料を前記第1タンク内へと移送する移送ポンプと、
    前記第1タンク内に連通する入口、および前記第2タンク内に連通する出口を有する燃料通路と、を備え、
    前記燃料通路は、前記航空機の主翼の上反角に基づいて、前記入口から前記出口へと向かう勾配を有し、
    前記燃料通路を通じて、前記第1タンク内の前記燃料を前記第2タンク内へとオーバーフローさせる、
    ことを特徴とする燃料システム。
  2. 前記第1タンク内の前記燃料の量が所定の貯留量を超えると、前記燃料通路を通じて前記第1タンク内の前記燃料が前記第2タンク内へとオーバーフローし、
    前記第2タンク内の前記燃料が減少したために前記第2タンクから前記第1タンクへの前記燃料の移送が終了することに続いて、前記第1タンクから前記第2タンクへの前記燃料のオーバーフローが停止する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料システム。
  3. 記第1タンクは、左右の主翼の先端部同士を結ぶ方向において前記第2タンクよりも外側に位置する
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料システム。
  4. 前記移送ポンプは、前記第1タンクおよび前記第2タンクの各々の燃料量に基づく制御を必要としない、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料システム。
  5. 前記移送ポンプは、ジェットポンプである、
    ことを特徴とする請求項4に記載の燃料システム。
  6. 前記第1タンクおよび前記第2タンクの少なくとも一方には、外気に通じる通気口が設けられ、
    前記第1タンクおよび前記第2タンクの一方は、前記燃料通路を介して、他方に設けられた前記通気口に連通する、
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料システム。
  7. 前記航空機は、スキンおよび前記スキンを補強する複数のストリンガを備え、
    前記燃料通路は、
    前記スキンと、隣り合う前記ストリンガと、隣り合う前記ストリンガの間を覆うカバー部材との内側に形成される、
    ことを特徴とする請求項から6のいずれか一項に記載の燃料システム。
  8. 前記主翼は、上反角および後退角を有し、
    前記燃料通路の前記出口は、
    前記航空機の姿勢が所定の上昇角度範囲内にあるときには、前記第1タンク内の前記燃料の液面よりも上方に位置する、
    ことを特徴とする請求項から7のいずれか一項に記載の燃料システム。
  9. 前記主翼は、上反角および後退角を有し、
    前記燃料通路は、前記出口の近傍に、
    前記航空機の姿勢が所定の上昇角度範囲内にあるときには、前記第1タンク内の前記燃料の液面よりも上方に位置する液面上方部を備え、
    前記液面上方部には通気孔が形成される、
    ことを特徴とする請求項から7のいずれか一項に記載の燃料システム。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の燃料システムを備える、
    ことを特徴とする航空機。
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