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JP6164833B2 - 制振材用樹脂、制振材用組成物及び塗膜 - Google Patents
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JP6164833B2 - 制振材用樹脂、制振材用組成物及び塗膜 - Google Patents

制振材用樹脂、制振材用組成物及び塗膜 Download PDF

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Description

本発明は、制振材用樹脂、制振材用組成物及び塗膜に関する。より詳しくは、各種構造体における振動や騒音を防止して静寂性を保つために使用される制振材の材料等として有用な制振材用樹脂及びこれを含有する制振材用組成物、並びに、制振材用組成物を用いて得られる塗膜に関する。
制振材は、各種構造体における振動や騒音を防止して静寂性を保つためのものであり、例えば、自動車の室内床下等に用いられている他、鉄道車両、船舶、航空機や電気機器、建築構造物、建設機器等にも広く利用されている。このような制振材に用いられる材料としては、従来、振動吸収性能及び吸音性能を有する材料を素材とする板状成形体やシート状成形体等の成形加工品が使用されている。一方で、振動や音響の発生箇所の形状が複雑な場合には、これらの成形加工品を振動発生箇所に適用することが困難であることから、作業性を改善して制振性を充分に発揮させるための手法が種々検討されている。例えば、自動車の室内床下等には無機粉体を含んだアスファルトシートが用いられてきたが、熱融着させる必要性があることから、作業性等の改善が望まれており、制振材を形成する種々の制振材用組成物や重合体の検討がなされている。
このように、成形加工品の代替材料として、塗布型制振材(塗料)が開発されており、例えば、該当箇所にスプレーにより吹き付けるか又は任意の方法により塗布することにより形成される塗膜により、振動吸収効果及び吸音効果を得ることが可能な制振塗料が種々提案されるに至っている。具体的には、例えば、アスファルト、ゴム、合成樹脂等の展色剤に合成樹脂粉末を配合して得られる塗膜硬度を改良した水系制振塗料の他、自動車の室内用に適するものとして、樹脂エマルションに充填剤として活性炭を分散させた制振塗料等が開発されている。しかしながら、これらの従来品をもってしても未だ、制振性能が充分に満足できるレベルにあるとはいえず、更に充分に制振性能を発揮できるようにする技術が求められている。
制振材に用いられる従来の組成物としては、例えば、極性基含有単量体を含む単量体成分を共重合してなるアクリル共重合体を含んでなる制振材用エマルションが開示され、極性基含有単量体として、アクリロニトリル、エチルアクリレート、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリロニトリル、酢酸ビニルが記載されている(特許文献1参照)。また、極性基含有樹脂エマルションと、該極性基と水素結合を形成できる芳香族化合物と、無機充填剤を配合してなる制振塗料組成物が開示されている(特許文献2参照)。熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム、又は、水系エマルション樹脂で構成されたマトリックス相中に、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン及びオクチル化ジフェニルアミンから選ばれる1種以上の化合物からなる分散相を有する有機減衰材料が開示されている(特許文献3参照)。ポリ塩化ビニル等の高分子を母材とし、該母材中に、母材における双極子モーメント量を増加させる化合物を含むエネルギー変換組成物が開示されている(特許文献4参照)。
国際公開第2007/023820号 特許第4172536号公報 特許第4465023号公報 特許第3318593号公報
近年、制振材が種々の分野に適用され、様々な部分に適用される中、屈曲性及び強靱性に優れ、制振材を構成する樹脂自体の制振性能の向上が求められるところであった。
また、制振材用途においては、制振性能を充分なものとするために厚膜の塗膜を形成することが望まれるが、厚膜となればなるほど樹脂の加熱乾燥性を良好なものとすることは困難となる。気泡が発生する等、良好な塗膜が形成されないと、制振性能を充分に発現することはできなくなる。そのようなことから、制振材用途に好適に適用できる制振材用樹脂においては、加熱乾燥性も重要な性能評価の指標の一つとなる。
しかしながら、上述の特許文献1〜4においては、屈曲性、強靱性及び加熱乾燥性を良好にし、制振性を更に良好にするための工夫の余地があった。
このように、従来の制振材用樹脂においては、上述した屈曲性、強靱性及び加熱乾燥性と、制振材を構成する樹脂自体の制振性能とを、充分に向上するものが見いだされていなかった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、屈曲性、強靱性及び加熱乾燥性に優れ、制振性が向上し、制振材用途に好適に適用できる塗膜を得ることができる、制振材用樹脂及びこれを含有する制振材用組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者は、制振材用樹脂について種々検討したところ、該制振材用樹脂を構成する単量体として(メタ)アクリル系化合物に着目した。そして、その制振材用樹脂として、特定の構造を有する(メタ)アクリル系化合物を重合したものを用いることにより、制振材用樹脂を用いて得られる塗膜の屈曲性、強靱性、加熱乾燥性及び制振性が向上することを見いだしたものである。
すなわち本発明は、単量体成分を重合してなる重合体を含有する制振材用樹脂であって、該制振材用樹脂は、該単量体成分として、下記一般式(1):
C=C(R)COO−X−Y (1)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し;Xは2価の有機基を表し;Yは極性基を表す。)
で表される(メタ)アクリル系化合物を含むことを特徴とする制振材用樹脂である。
また、本発明は、前記(メタ)アクリル系化合物は、一般式(1)中、Yは−OH、−COOH、−PO(OH)、又は、フェニル基を表すものであることを特徴とする上記制振材用樹脂である。
また、本発明は、前記(メタ)アクリル系化合物は、一般式(1)中、Xは−R−、−(R−COO)−R−、−R−OCO−R−、又は、−(R−O)−R−を表し;Rは炭素数2〜10のアルキレン基を表し;R、R、R、Rはそれぞれ独立して炭素数2〜8のアルキレン基を表し;Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Rは直接結合又は炭素数2〜6のアルキレン基を表し;mは1〜10の数を表し;nは1〜10の数を表し;Rが複数個ある場合は同一でも異なっていてもよく、Rが複数個ある場合は同一でも異なっていてもよく;Rが直接結合の場合は、Yは−COOH、−PO(OH)、又は、フェニル基を表すものであることを特徴とする上記制振材用樹脂である。
更に、本発明は、上記制振材用樹脂、顔料、発泡剤及び増粘剤を含有してなることを特徴とする制振材用組成物である。
更に、本発明は、上記制振材用組成物を塗布、乾燥して得られることを特徴とする塗膜である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の制振材用樹脂は、単量体成分を重合してなる重合体を含有し、該単量体成分として、上記一般式(1)で表される単量体(以下、単量体(1)ともいう)を含むものである。つまり、当該制振材用樹脂に含まれる重合体(以下、重合体(A)ともいう)は、単量体(1)を必須成分として重合して得られた重合体である。
上記単量体(1)は、上記一般式(1)におけるXの有機鎖部分と、Yの極性基部分を有する。
上記単量体(1)は、1種でも2種以上でも用いることができる。また、上記重合体(A)も、1種でも2種以上でも用いることができる。
上記重合体(A)の形態としては、特に限定されないが、エマルションの形態であることが好ましい。また、当該エマルションは、重合体(A)と水性媒体を含有してなるものであることが好ましい。
上記重合体(A)は、上記単量体(1)を、全単量体100質量部に対して1〜20質量部共重合してなることが好ましい。単量体(1)の使用量が1質量部以上であれば、単量体(1)使用の効果が得られ、20質量部以下であれば塗膜の外観が充分に優れたものとなる。より好ましくは1〜15質量部、更に好ましくは2〜15質量部である。
上記重合体(A)は、重量平均分子量が2万〜100万であることが好ましい。制振性を発揮するためには、重合体に加えられた振動のエネルギーを摩擦による熱エネルギーに変えることが好適であり、重合体に振動が加えられたときに運動することのできる重合体であることが必要となる。重合体(A)がこのような重量平均分子量を有するものであると、振動が加えられたときに重合体が充分に運動することができ、高い制振性を発揮することができる。重合体(A)の重量平均分子量は、より好ましくは2万〜60万であり、更に好ましくは3万〜40万である。
上記重合体(A)は、ガラス転移温度が−20〜40℃であることが好ましい。重合体(A)として、このようなガラス転移温度を有するものを用いると、制振材の実用温度域での制振性能を効果的に発現することができることとなる。重合体(A)のガラス転移温度は、より好ましくは−15〜35℃であり、更に好ましくは−10〜30℃である。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、既に得られている知見に基づいて決定されてもよいし、後述する単量体成分の種類や使用割合によって制御されてもよいが、理論上は、以下の計算式(1)より算出することができる。
Figure 0006164833
式中、Tg′は、重合体のTg(絶対温度)である。W′、W′、・・・W′は、全単量体成分に対する各単量体の質量分率である。T、T、・・・Tは、各単量体成分からなるホモポリマー(単独重合体)のガラス転移温度(絶対温度)である。
上記一般式(1)において、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
Yは、極性基を表す。Yにおける極性基としては、−OH、−COOH、−PO(OH)、フェニル基であることが好ましい。
なお、−OH、−COOH、−PO(OH)が極性基であることは言うまでもないが、フェニル基もπ−π相互作用があり(有機分子の芳香族環の間に働く分散力、2つの芳香環がコインを積み重ねた様な配置で安定化する傾向があるために、スタッキング相互作用とも呼ばれる)、極性基と同様に物理的結合しやすい性質(摩擦抵抗が発現する)を持っており、この相互作用は普通の分子間力よりも強いため、本明細書においては、フェニル基も極性基とみなして記載する。
Xは、2価の有機基を表す。
Xにおける2価の有機基としては、−R−、−(R−COO)−R−、−R−OCO−R−、−(R−O)−R−であることが好ましい。ここで、Rは炭素数2〜10のアルキレン基を表し;R、R、R、Rはそれぞれ独立して炭素数2〜8のアルキレン基を表し;Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Rは直接結合又は炭素数2〜6のアルキレン基を表し;mは1〜10の数を表し;nは1〜10の数を表し;Rが複数個ある場合は同一でも異なっていてもよく、Rが複数個ある場合は同一でも異なっていてもよく;Rが直接結合の場合は、Yは−COOH、−PO(OH)、又は、フェニル基を表す。
は、炭素数2〜10のアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜8のアルキレン基である。
、R、R、Rは、それぞれ独立して炭素数2〜8のアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜5のアルキレン基である。
は炭素数2〜6のアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基である。
は直接結合又は炭素数2〜6のアルキレン基を表し、好ましくは直接結合又は炭素数2〜3のアルキレン基である。
なお、R〜Rのアルキレン基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
mは1〜10の数を表し、好ましくは1〜8の数である。
nは1〜10の数を表し、好ましくは1〜7の数である。
上記単量体(1)のうち、制振性向上、複雑な形状をした基材面での加熱乾燥性や、塗膜の柔軟性等の点から、例えば、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、リン酸エステル誘導体モノマー、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。
本発明における重合体(A)の原料となる、上記単量体(1)以外の単量体成分としては、本発明の作用効果を発揮することができる限り特に限定されないが、不飽和カルボン酸単量体を含んでなるものであることが好ましい。より好ましくは、不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体とを含んでなるものである。不飽和カルボン酸単量体としては、分子中に不飽和結合とカルボキシル基とを有する化合物であれば特に限定されるものではないが、エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含むことが好ましい。
上記エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノメチルマレエート、モノエチルマレエート等の不飽和カルボン酸類又はその誘導体等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸系単量体が好ましい。すなわち、重合体(A)が、その単量体成分の少なくとも1種が(メタ)アクリル酸系単量体である(メタ)アクリル系重合体であることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記(メタ)アクリル系重合体の中でも、(メタ)アクリル酸系単量体を含む単量体成分を用いて得られるものであることが好ましい。また、本発明の(メタ)アクリル系重合体は、単量体成分の少なくとも1種が、C(R=CH−COOR、又は、C(R10=C(CH)−COOR11(R、R、R10及びR11は、同一又は異なって、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)で表される単量体である単量体成分を用いて得られるものであることが好ましい。
なお、本明細書中、(メタ)アクリル酸系単量体とは、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有し、かつ、−COOH基を有する単量体であり、(メタ)アクリル系単量体とは、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有し、かつ、−COOH基がエステルとなった形態若しくは塩となった形態の単量体又はそのような単量体の誘導体である。
上記(メタ)アクリル系重合体の原料となる単量体成分は、全単量体成分100質量%に対して(メタ)アクリル酸系単量体を0.1〜20質量%、その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体を80〜99.9質量%含んでなることが好ましい。(メタ)アクリル酸系単量体を含むことにより、本発明の制振材用樹脂を必須とする後述の制振材用組成物において、無機粉体等の充填剤の分散性が向上し、制振性がより向上することになる。また、その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体を含むことにより、重合体の酸価、Tgや物性等を調整しやすくなる。本発明の制振材用樹脂に含有される(メタ)アクリル系重合体では、これらの単量体から形成される単量体単位の相乗効果により、水系制振材において優れた加熱乾燥性と制振性とをより充分に発揮することが可能となる。
より好ましくは、全単量体成分100質量%に対して(メタ)アクリル酸系単量体を0.5〜3質量%、その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体を97〜99.5質量%含んでなることである。
その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体には、(メタ)アクリル酸系単量体以外かつ単量体(1)以外の(メタ)アクリル系単量体、窒素原子を有する不飽和単量体、芳香環を有する不飽和単量体、(メタ)アクリル酸系単量体と共重合可能なその他の単量体が含まれる。
上記(メタ)アクリル酸系単量体以外かつ単量体(1)以外の(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタアクリレート等;これらの塩やエステル化物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することが好適である。
上記塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等であることが好ましい。金属塩を形成する金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の2価の金属原子;アルミニウム、鉄等の3価の金属原子が好適である。また、有機アミン塩としては、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩や、トリエチルアミン塩が好適である。
上記(メタ)アクリル系重合体の原料となる単量体成分としては、上記(メタ)アクリル系単量体を、全単量体成分100質量%に対して、20質量%以上含有するものであることが好ましい。より好ましくは、30質量%以上である。
上記芳香環を有する不飽和単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等が挙げられる。好ましくはスチレンである。
すなわち、重合体(A)が、スチレンを含む単量体成分から得られたスチレン(メタ)アクリル系重合体であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記重合体(A)がスチレン(メタ)アクリル系重合体を含む場合、全単量体成分100質量%に対して、芳香環を有する不飽和単量体を1〜70質量%含むことが好ましい。より好ましくは5〜60質量%であり、更に好ましくは10〜50質量%である。
上記窒素原子を有する不飽和単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。好ましくはアクリロニトリルである。
上記重合体(A)は、極性基含有単量体を含む単量体成分から得られたものであることも好ましい。重合体(A)が極性基を有すると、制振材における重合体間の相互作用がより大きなものとなり、重合体間の摩擦がより大きくなることから、制振性がより充分に発揮されることとなる。
上記極性基含有単量体が有する極性基としては、有機化合物において一般に極性基とされるものであればよいが、水酸基、ニトリル基、カルボキシル基及びピロリドン基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくは、ニトリル基及び/又はカルボキシル基である。
上記(メタ)アクリル系重合体を形成する単量体成分は、官能基を有する不飽和単量体を含んでいてもよい。該官能基を有する不飽和単量体における官能基としては、例えば、エポキシ基、グリシジル基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジニル基、イソシアネート基、メチロール基、ビニルエーテル基、シクロカーボネート基、アルコキシシラン基等が挙げられる。これらの官能基は、不飽和単量体の1分子中に1種あってもよく、2種以上あってもよい。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和単量体類等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、官能基を2個以上含有する多官能性不飽和単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明において、重合体(A)は、上述したように1種の重合体であってもよく、2種以上の重合体からなるものでもよい。また、重合体(A)が2種以上の重合体からなり、それらが複合化した形態のものであってもよい。なお、重合体(A)が、後述するコア部とシェル部とを有する形態である場合、重合体(A)が2種類の重合体からなり、該2種類の重合体の一方がコア部、他方がシェル部を形成しているものであってもよい。例えば、不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体は、エマルションのコア部を形成する単量体成分、シェル部を形成する単量体成分のいずれに含まれていてもよく、これらの両方に用いられるものであってもよい。
本発明の制振材用樹脂においては、コア・シェル構造を有する重合体(A)及び/又は2種以上の重合体(A)の混合物を含有する場合、コア・シェル構造を有する重合体(A)及び2種以上の重合体(A)から選ばれる少なくとも1つが、上記一般式(1)の単量体が共重合されてなることが好ましい。
より具体的には、コア・シェル構造を有する重合体(A)の場合は、コアのみ、シェルのみ、及び、コア・シェル両方、のいずれかに、単量体(1)が共重合されてなることが好ましい。
また、2種以上の重合体(A)の混合物の場合は、1種の重合体(A)のみ、2種以上の重合体(A)の一部(例えば3種混合物の場合は、そのうちの2種)、及び、2種以上の重合体(A)の全部(例えば3種混合物の場合は、3種全て)のいずれかに、単量体(1)が共重合されてなることが好ましい。
本発明の制振材用樹脂が、コア部とシェル部とを有するエマルション粒子を含む場合、コア部とシェル部とが完全に相溶し、これらを区別できない均質構造のものであってもよく、これらが完全には相溶せずに不均質に形成されるコア・シェル複合構造やミクロドメイン構造であってもよいが、これらの構造の中でも、エマルションの特性を充分に引き出し、安定なエマルションを作製するためには、コア・シェル複合構造であることが好ましい。
コア・シェル複合構造を有するエマルションは、実用温度範囲内の幅広い範囲における制振性に優れる。特に高温域においても、他の形態の制振材配合物と比較して優れた制振性を発揮し、その結果、実用温度範囲内において、常温から高温域まで幅広い範囲に渡って制振性能を発揮することができる。
なお、上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
上記重合体(A)がコア部とシェル部とを有するエマルション粒子の形態である場合、コア部を形成する単量体成分から得られる重合体とシェル部を形成する単量体成分から得られる重合体とのガラス転移温度(Tg)の差の絶対値は、5〜60℃であることが好ましい。
このようにTgに差を設けることにより、例えば、制振材用途に適用したときに、幅広い温度領域下でより高い制振性を発現させることが可能となり、特に実用的範囲である20〜60℃域での制振性がより向上されることとなる。Tgの差の絶対値は、より好ましくは5〜50℃であり、更に好ましくは5〜40℃である。
また、コア部を形成する単量体成分とシェル部を形成する単量体成分とを合わせたトータルの単量体成分から得られる重合体のTgは、−20〜40℃であることが好ましい。より好ましくは−15〜35℃である。
上記コア部とシェル部とを有するエマルション粒子は、後述する乳化重合法(多段重合)を用いて得ることができる。
本発明の制振材用樹脂が含む重合体(A)は、エマルションの形態で存在することが好ましいが、当該エマルション粒子の平均粒子径は100〜450nmであるものであることが好ましい。
平均粒子径がこの範囲にあるエマルション粒子を用いることにより、制振材に要求される加熱乾燥性、塗工性等の基本性能を充分なものとした上で、制振性をより優れたものとすることができる。上記上限は、より好ましくは400nm以下であり、更に好ましくは350nm以下である。エマルション粒子の平均粒子径がこのような範囲であると、本発明の制振材用樹脂の作用効果がより効果的に発揮されることになる。また、平均粒子径の下限は、好ましくは110nm以上であり、より好ましくは120nm以上である。
平均粒子径(体積平均粒子径)は、例えば、エマルションを蒸留水で希釈し、充分に攪拌混合した後、ガラスセルに約10ml採取し、これを動的光散乱法による粒度分布測定器(Particle Sizing Systems社製「NICOMP Model 380」)で測定することにより求めることができる。
本発明の制振材用樹脂の形態がエマルションの場合、pHとしては特に限定されないが、安定性向上の点で、2〜10であることが好ましく、より好ましくは5〜9.5であり、更に好ましくは7〜9である。制振材用樹脂のpHは、当該樹脂に、アンモニア水、水溶性アミン類、水酸化アルカリ水溶液等を添加することによって調整することができる。
本明細書中、pHは、pHメーターにより測定することができる。例えば、pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)を用いて25℃での値を測定することが好ましい。
本発明の制振材用樹脂の粘度としては特に限定されないが、塗料化作業向上の点で1〜10000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは10〜4000mPa・sであり、更に好ましくは50〜2000mPa・sである。
なお、粘度は、B型回転粘度計を用いて、25℃、20rpmの条件下で測定することができる。
本発明の制振材用樹脂に含有される重合体の製造方法としては、乳化剤の存在下で乳化重合法により単量体成分を重合することになるが、乳化重合を行う形態としては特に限定されず、例えば、水性媒体中に単量体成分、重合開始剤及び乳化剤を適宜加えて重合することにより行うことができる。また、分子量調節のために重合連鎖移動剤等を用いることが好ましい。
本発明の制振材用樹脂に含有される重合体がコア部とシェル部とを有するエマルションである場合、通常の乳化重合法を用いて得ることが好ましい。具体的には、乳化剤及び/又は保護コロイドの存在下、水性媒体中で単量体成分を乳化重合させてコア部を形成した後、該コア部を含むエマルションに更に単量体成分を乳化重合させてシェル部を形成する多段重合により得ることが好ましい。このように、本発明の制振材用樹脂に含有される重合体がコア部とシェル部とを有するエマルションであって、該エマルションがコア部を形成した後、シェル部を形成する多段重合により得られるものである形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。
上記水性媒体としては特に限定されず、例えば、水、水と混じり合うことができる溶媒の1種又は2種以上の混合溶媒、このような溶媒に水が主成分となるように混合した混合溶媒等が挙げられる。これらの中でも、本発明の制振材用樹脂を含む塗料を塗布する際の安全性や環境への影響を考慮すると、水が好適である。
上記乳化剤の使用量としては、重合性不飽和結合基を有する化合物の総量100質量%に対して、好ましくは0.1〜10質量%である。0.1質量%以上であると、機械安定性及び、重合安定性も充分に維持できる。10質量%以下であると、塗膜も充分に加熱乾燥する。より好ましくは0.5〜8質量%であり、更に好ましくは1〜6質量%である。
乳化剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の各種界面活性剤、及び、高分子界面活性剤の1種又は2種以上を用いることができる。
上記アニオン系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)スチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)ベンジルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルコハク酸ジ塩;ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート等のアルキルサルフェート塩;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィン塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記アニオン系界面活性剤として好適な市販品としては、例えば、ラテムルWX、ラテムル118B、ペレックスSS−H、エマルゲンA−60、B−66、レベノールWZ(花王社製)、ニューコール707SF、ニューコール707SN、ニューコール714SF、ニューコール714SN、AB−26S、ABEX−2010、2020、2030、DSB(ローディア日華社製)等を挙げることができる。
また、これらのノニオンタイプに相当する界面活性剤も使用することができる。
上記アニオン系界面活性剤としては、また反応性界面活性剤として、反応性アニオン系界面活性剤、スルホコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤、アルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤等の1種又は2種以上を用いることができる。
スルホコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルS−120、S−120A、S−180及びS−180A(いずれも商品名、花王社製)、エレミノールJS−2(商品名、三洋化成工業社製)、アデカリアソープSR−10、SR−20、SR−30(ADEKA社製)等が挙げられる。
アルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルASK(商品名、花王社製)等が挙げられる。
更に、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルフォネート塩(例えば、三洋化成工業社製「エレミノールRS−30」、日本乳化剤社製「アントックスMS−60」等)、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルフォネー卜塩(例えば、第一工業製薬社製「アクアロンKH−10」等)等のアリル基を有する硫酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(例えば、花王社製「ラテムルPD−104」等)等も用いることができる。
また、上記アニオン系界面活性剤としては、更に反応性界面活性剤として、下記の界面活性剤等も用いることができる。
炭素数3〜5の脂肪族不飽和カルボン酸のスルホアルキル(炭素数1〜4)エステル塩型界面活性剤、例えば、2−スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム塩、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートアンモニウム塩等の(メタ)アクリル酸スルホアルキルエステル塩型界面活性剤;スルホプロピルマレイン酸アルキルエステルナトリウム塩、スルホプロピルマレイン酸ポリオキシエチレンアルキルエステルアンモニウム塩、スルホエチルフマル酸ポリオキシエチレンアルキルエステルアンモニウム塩等の脂肪族不飽和ジカルボン酸アルキルスルホアルキルジエステル塩型界面活性剤。
上記ノニオン系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪族エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル;グリセロールのモノラウレート等の脂肪族モノグリセライド;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミド又は酸との縮合生成物等が挙げられる。また、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、ADEKA社製「アデカリアソープER−20」等)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(例えば、花王社製「ラテムルPD−420」、「ラテムルPD−430」等)等の反応性を有するノニオン系界面活性剤も用いることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記カチオン系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、エステル型ジアルキルアンモニウム塩、アミド型ジアルキルアンモニウム塩、ジアルキルイミダゾリニウム塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記両性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記高分子界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール及びその変性物;(メタ)アクリル系水溶性高分子;ヒドロキシエチル(メタ)アクリル系水溶性高分子;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル系水溶性高分子;ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記界面活性剤の中でも、環境面からは、非ノニルフェニル型の界面活性剤を用いることが好適である。
上記界面活性剤の使用量としては、用いる界面活性剤の種類や単量体成分の種類等に応じて適宜設定すればよいが、重合時の安定性や重合後の貯蔵安定性確保に必要な最低限の量といった観点から、例えば、重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜8質量部であり、更に好ましくは1〜6質量部である。
上記保護コロイドとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等のセルロース誘導体;グアーガム等の天然多糖類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なお、保護コロイドは単独で使用されてもよいし、界面活性剤と併用されてもよい。
上記保護コロイドの使用量としては、使用条件等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下である。
上記重合開始剤としては、熱によって分解し、ラジカル分子を発生させる物質であれば特に限定されないが、水溶性開始剤が好適に使用される。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解系開始剤;過酸化水素とアスコルビン酸、t−ブチルヒドロパーオキサイドとロンガリット、過硫酸カリウムと金属塩、過硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系重合開始剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合開始剤の使用量としては特に限定されず、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100質量部に対して、0.1〜2質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1質量部である。
上記重合開始剤には、乳化重合を促進させるため、必要に応じて還元剤を併用することができる。還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖等の還元性有機化合物;例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記還元剤の使用量としては特に限定されず、例えば、重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100質量部に対して、0.05〜1質量部であることが好ましい。
上記重合連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素;メルカプト酢酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトピロピオン酸トリデシルエステル等のメルカプトカルボン酸アルキルエステル;メルカプト酢酸メトキシブチルエステル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチルエステル等のメルカプトカルボン酸アルコキシアルキルエステル;オクタン酸2−メルカプトエチルエステル等のカルボン酸メルカプトアルキルエステルや、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、アニソール、アリルアルコール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を用いることが好ましい。
重合連鎖移動剤の使用量としては、例えば、全単量体成分100質量部に対して、好ましくは2.0質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下である。
上記乳化重合は、必要に応じて、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のキレート剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の分散剤や、無機塩等の存在下で行ってもよい。また、単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
上記製造方法における乳化重合条件に関し、重合温度としては特に限定されず、例えば、0〜100℃であることが好ましく、より好ましくは40〜95℃である。また、重合時間も特に限定されず、例えば、1〜15時間とすることが好適で、より好ましくは5〜10時間である。
単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては特に限定されず、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
本発明の制振材用樹脂に含有される重合体の製造方法においては、乳化重合によりエマルションを製造した後、中和剤によりエマルションを中和することが好ましい。これにより、エマルションが安定化されることになる。
中和剤としては特に限定されず、例えば、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等の三級アミン;ジグリコールアミン;アンモニア水;水酸化ナトリウム等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、制振材用樹脂を必須とする後述の制振材用組成物から形成される塗膜の耐水性等が向上することから、塗膜の加熱時に揮散する揮発性塩基を用いることが好ましい。より好ましくは、加熱乾燥性が良好となり、制振性が向上することから、沸点が80〜360℃のアミンを用いることが好ましい。このような中和剤としては、例えば、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等の三級アミン、ジグリコールアミンが好適である。より好ましくは、沸点が130〜280℃のアミンを用いることである。
なお、上記沸点は、常圧での沸点である。
本発明の制振材用樹脂は、必要に応じて他成分とともに、制振材用組成物を構成することができる。つまり、本発明の制振材用樹脂、顔料、発泡剤及び増粘剤を含有してなる制振材用組成物もまた、本発明の1つである。このような本発明の制振材用樹脂を含有する制振材用組成物は、種々の機能を発揮することができ、優れた屈曲性、強靱性及び加熱乾燥性を有し、特に優れた制振性を発揮し得る制振材を形成することができるものである。
上記制振材用組成物としては、例えば、制振材用組成物の総量100質量%に対し、固形分を40〜90質量%含有してなることが好ましく、より好ましくは50〜90質量%であり、更に好ましくは60〜90質量%である。
上記制振材用組成物における制振材用樹脂の配合量としては、例えば、制振材用組成物の固形分100質量%に対し、制振材用樹脂の固形分が10〜60質量%となるように設定することが好ましく、より好ましくは15〜60質量%である。
上記制振材用組成物のpHは、7〜11であることが好ましく、より好ましくは7〜9である。当該pHは、上述したものと同様の方法により測定することができる。
上記制振材用組成物の粘度は、50〜200Pa・sであることが好ましい。このような粘度であると、基材への塗工がしやすく、かつ、液ダレのない、塗布型制振材用組成物として好適なものとなる。より好ましくは60〜150Pa・sである。
制振材用組成物の粘度は、上述したものと同様の方法により測定することができる。
上記顔料としては、例えば、後述する着色剤や防錆顔料等の1種又は2種以上を使用することができる。上記顔料の配合量としては、制振材用樹脂の固形分100質量部に対し、50〜700質量部とすることが好ましく、より好ましくは100〜550質量部である。
上記発泡剤としては、例えば、低沸点炭化水素内包の加熱膨張カプセル、有機発泡剤、無機発泡剤等が好適であり、これらの1種又は2種以上を使用することができる。加熱膨張カプセルとしては、例えば、マツモトマイクロスフィアーF−30、F−50(松本油脂社製);エクスパンセルWU642、WU551、WU461、DU551、DU401(日本エクスパンセル社製)等が挙げられ、有機発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、p−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)等が挙げられ、無機発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、シリコンハイドライド等が挙げられる。
上記発泡剤の配合量としては、加熱乾燥性向上の点で制振材用樹脂の固形分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.0質量部である。
上記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン酸系樹脂等が挙げられる。増粘剤の配合量としては、立面に塗布した塗料のタレ防止、チキソ性の適正化の点で、制振材用樹脂の固形分100質量部に対し、固形分で0.01〜2質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜1.5質量部であり、更に好ましくは0.1〜1質量部である。
その他、本発明の制振材用組成物に配合することのできる他の成分としては、例えば、溶媒;水系架橋剤;充填剤;分散剤;消泡剤;着色剤;防錆顔料;可塑剤;安定剤;湿潤剤;防腐剤;発泡防止剤;老化防止剤;防黴剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
なお、上記他の成分は、例えば、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー、ディゾルバー等を用いて、上記制振材用樹脂等と混合され得る。
上記溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。溶剤の配合量としては、制振材用組成物中の制振材用樹脂の固形分濃度が上述した範囲となるように適宜設定すればよい。
上記水系架橋剤としては、例えば、エポクロスWS−500、WS−700、K−2010、2020、2030(いずれも商品名、日本触媒社製)等のオキサゾリン化合物;アデカレジンEMN−26−60、EM−101−50(いずれも商品名、ADEKA社製)等のエポキシ化合物;サイメルC−325(商品名、三井サイテック社製)等のメラミン化合物;ブロックイソシアネート化合物;AZO−50(商品名、50質量%酸化亜鉛水分散体、日本触媒社製)等の酸化亜鉛化合物等が好適である。水系架橋剤の配合量としては、例えば、制振材用樹脂の固形分100質量部に対し、固形分で0.01〜20質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.15〜15質量部、更に好ましくは0.5〜15質量部である。
水系架橋剤は、制振材用樹脂に添加してよいし、制振材用組成物として他の成分を配合するときに同時に添加してもよい。上記制振材用樹脂又は制振材用組成物に架橋剤を混合することにより、樹脂の強靱性が向上し、その結果、高温領域で充分な高制振性が発現する。中でもオキサゾリン化合物を用いることが好ましい。
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、タルク、硫酸バリウム、アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、ガラストーク、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルク、珪藻土、クレー等の無機質充填剤;ガラスフレーク、マイカ等の鱗片状無機質充填剤;金属酸化物ウィスカー、ガラス繊維等の繊維状無機質充填剤等が挙げられる。充填剤の配合量としては、制振材用樹脂の固形分100質量部に対し、50〜700質量部とすることが好ましく、より好ましくは100〜550質量部である。
上記分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の無機質分散剤、及び、ポリカルボン酸系分散剤等の有機質分散剤が挙げられる。
上記消泡剤としては、例えば、シリコン系消泡剤等が挙げられる。
上記着色剤としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、ハンザイエロー、ベンジンイエロー、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド等の有機又は無機の着色剤が挙げられる。
上記防錆顔料としては、例えば、リン酸金属塩、モリブデン酸金属塩、硼酸金属塩等が挙げられる。
上記他の成分としては更に、多価金属化合物を用いてもよい。この場合、多価金属化合物により、制振材用組成物の安定性、分散性、加熱乾燥性や、制振材用組成物から形成される制振材の制振性が向上することとなる。多価金属化合物としては特に限定されず、例えば、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記多価金属化合物の形態としては、例えば、粉体、水分散体や乳化分散体等であってよい。中でも、制振材用組成物中への分散性が向上することから、水分散体又は乳化分散体の形態で使用することが好ましく、より好ましくは乳化分散体の形態で使用することである。
また、多価金属化合物の使用量は、制振材用組成物中の固形分100質量部に対して、0.05〜5.0質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜3.5質量部である。
また、上記制振材用組成物を塗布、乾燥して得られる塗膜も、本発明の1つである。当該塗膜の膜厚は1〜5mmであることが好ましい。また、当該塗膜は、制振材等として用いることができる。
上記制振材用組成物は、例えば、基材に塗布して乾燥することにより制振材となる塗膜を形成することができる。制振材用組成物を基材に塗布する方法としては、例えば、刷毛、へら、エアスプレー、エアレススプレー、モルタルガン、リシンガン等を用いて塗布することができる。
上記制振材用組成物の塗布量は、用途や所望する性能等により適宜設定すればよいが、例えば、充分な制振性等の機能性を発揮させるため、乾燥後の塗膜の膜厚が1mm以上となるようにすることが好ましく、より好ましくは1.5mm以上である。また、塗膜の乾燥性の点から、乾燥後の塗膜の膜厚が5mm以下となるようにすることが好ましく、より好ましくは4.5mm以下である。
また、乾燥後の塗膜の面密度が1.0〜7.0kg/mとなるように塗布することも好ましく、より好ましくは2.0〜6.0kg/mである。なお、本発明の制振材用組成物を使用することにより、乾燥時及び乾燥後に膨張やクラックが生じにくく、しかも傾斜面の塗料のずり落ちも発生しにくい塗膜を得ることが可能となる。
このように、乾燥後の塗膜の膜厚が1〜5mmとなるように塗工して乾燥する制振材用組成物の塗工方法、及び、乾燥後の塗膜の面密度が1.0〜7.0kg/mとなるように塗工して乾燥する制振材用組成物の塗工方法もまた、本発明の好ましい実施形態のひとつである。
上記制振材用組成物を塗布した後、乾燥して塗膜を形成させる条件としては、加熱乾燥してもよく、常温乾燥してもよいが、本発明における制振材用組成物は、加熱乾燥性に優れることから、効率性の点で加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥の温度の下限としては、110℃以上とすることが好ましく、より好ましくは120℃以上である。また、加熱乾燥の温度の上限としては、210℃以下とすることが好ましく、より好ましくは170℃以下である。
上記制振材用組成物を制振材用途に適用する場合、その制振性は、制振材用組成物から形成される膜の損失係数を測定することにより評価することができる。
損失係数は、通常ηで表され、制振材に対して与えた振動がどの程度減衰したかを示すものである。上記損失係数は、数値が高いほど制振性能に優れていることを示す。
上記損失係数の測定方法としては、共振周波数付近で測定する共振法が一般的であり、半値幅法、減衰率法、機械インピーダンス法がある。本発明の制振材用組成物において、制振材用組成物から形成される膜の損失係数としては、片持ち梁法を用いた共振法(3dB法)により測定することが好適である。片持ち梁法を用いる測定は、例えば、小野測機社製のCF−5200型FFTアナライザー等を用いて行うことができる。
具体的には、上記損失係数は、後述の実施例に記載の方法にて測定することができる。
本発明の制振材用樹脂及びこれを含有する制振材用組成物は、上述の高極性の構成よりなるので、本発明の制振材用組成物を用いて得られる塗膜は、屈曲性に優れ、強靱性及び加熱乾燥性にも優れ、制振性が向上し、制振材用途に好適に適用することができる。
立体面加熱時の塗膜形成性試験方法を示した、真横から見た概念図である。 立体面加熱時の塗膜形成性試験方法を示した、真上から見た概念図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
なお、以下の実施例において、各種物性等は以下のように評価した。
<ガラス転移温度(Tg)>
各段で用いた単量体組成から、下記計算式(1)を用いて算出した。なお、Tg′、W′、W′、・・・W′、T、T、・・・Tは、それぞれ、上述したのと同様である。
Figure 0006164833
なお、全ての段で用いた単量体組成から算出したTgを「トータルTg」として記載した。
上記計算式(1)により重合性単量体成分のガラス転移温度(Tg)を算出するのに使用したそれぞれのホモポリマーのTg値を下記に示した。
スチレン(St):100℃
メチルメタクリレート(MMA):105℃
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
ブチルアクリレート(BA):−56℃
アクリル酸(AA):95℃
メタクリル酸(MAA):130℃
アクリロニトリル(AN):96℃
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA):55℃
<不揮発分(N.V.)>
得られたエマルション約1gを秤量、熱風乾燥機で110℃×1時間後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を質量%で表示した。
<pH>
pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)により25℃での値を測定した。
<粘度>
B型回転粘度計(東機産業社製「VISCOMETER TUB−10」)を用いて、25℃、20rpmの条件下で測定した。
<平均粒子径>
動的光散乱法による粒度分布測定器(Particle Sizing Systems社製「NICOMP Model 380」)を用い、体積平均粒子径を測定した。
<重量平均分子量>
以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)PStQuick Kit−M
流量 1.0ml/min
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルター(0.45μm)にてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定した。
また、下記実施例及び比較例で用いた単量体及び乳化剤(市販品)の詳細は、次のとおりである。
*単量体
サイポマーβ−CEA:カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華社製)
サイポマーPAM−100:リン酸エステル誘導体モノマー(モノ(2−アクリロイルポリオキシエチル)アシッドホスフェート)(ローディア日華社製)
ライトエステルHO−MS:2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸(共栄社製)
アロニクスM−5300:ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート(東亜合成社製)
4HBA:ヒドロキシブチルアクリレート(三菱化学社製)
V♯192:フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製)
*乳化剤
レベノールWZ:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(花王社製)
実施例1
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水1100部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇湿した。一方、上記滴下ロートに、スチレン604部、2−エチルヘキシルアクリレート225部、ブチルアクリレート121部、サイポマーβ−CEA50部、n−ドデシルメルカプタン4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90部及び脱イオン水97部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの8部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を120分間にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を、120分間かけて均一に滴下し、滴下終了後60分間、同温度を維持した。
次いで、滴下ロートにスチレン337部、2−エチルヘキシルアクリレート292部、ブチルアクリレート321部、サイポマーβ−CEA50部、n−ドデシルメルカプタン4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90.0部及び脱イオン水97部からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、120分間にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を、120分間かけて均一に滴下し、滴下終了後90分間、同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水31部を添加し、不揮発分54.8%、pH7.1、粘度900mPa・s、平均粒子径300nm、重量平均分子量70500、1段目のTg20℃、2段目のTg−20℃、トータルTg0℃の制振材用樹脂を得た。
実施例2
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水1100部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇湿した。一方、上記滴下ロートに、スチレン620部、2−エチルヘキシルアクリレート225部、ブチルアクリレート125部、サイポマーPAM−100を30部、n−ドデシルメルカプタン4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90部及び脱イオン水97部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの8部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を120分間にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を、120分間かけて均一に滴下し、滴下終了後60分間、同温度を維持した。
次いで、滴下ロートにスチレン353部、2−エチルヘキシルアクリレート292部、ブチルアクリレート325部、サイポマーPAM−100を30部、n−ドデシルメルカプタン4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90.0部及び脱イオン水97部からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、120分間にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を、120分間かけて均一に滴下し、滴下終了後90分間、同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水32部を添加し、不揮発分54.9%、pH7.2、粘度1300mPa・s、平均粒子径320nm、重量平均分子量70200、1段目のTg20℃、2段目のTg−20℃、トータルTg0℃の制振材用樹脂を得た。
実施例3
第1段目及び第2段目の単量体乳化物としてサイポマーβ−CEA50部の代わりに、ライトエステルHO−MS50部を用いた以外は、実施例1と同様にして制振材用樹脂を得た。この制振材用樹脂は、不揮発分55.0%、pH7.2、粘度930mPa・s、平均粒子径319nm、重量平均分子量65000、1段目のTg20℃、2段目のTg−20℃、トータルTg0℃であった。
実施例4
第1段目及び第2段目の単量体乳化物としてサイポマーβ−CEA50部の代わりに、アロニクスM−5300を50部用いた以外は、実施例1と同様にして制振材用樹脂を得た。この制振材用樹脂は、不揮発分54.9%、pH7.2、粘度950mPa・s、平均粒子径280nm、重量平均分子量69000、1段目のTg20℃、2段目のTg−20℃、トータルTg0℃であった。
実施例5
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水1100部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇湿した。一方、上記滴下ロートに、スチレン941部、2−エチルヘキシルアクリレート517部、ブチルアクリレート442部、サイポマーβ−CEA100部、n−ドデシルメルカプタン4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90部及び脱イオン水97部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの8部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を120分間にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を、120分間かけて均一に滴下し、滴下終了後60分間、同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水31部を添加し、不揮発分54.8%、pH7.2、粘度900mPa・s、平均粒子径290nm、重量平均分子量68000、Tg0℃の制振材用樹脂を得た。
実施例6
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水1100部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇湿した。一方、上記滴下ロートに、メチルメタクリレート973部、2−エチルヘキシルアクリレート517部、ブチルアクリレート450部、サイポマーPAM−100を60部、n−ドデシルメルカプタン4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90部及び脱イオン水97部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの8部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を120分間にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を、120分間かけて均一に滴下し、滴下終了後60分間、同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水32部を添加し、不揮発分54.8%、pH7.2、粘度1500mPa・s、平均粒子径300nm、重量平均分子量88700、Tg0℃の制振材用樹脂を得た。
参考
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水1100部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇湿した。一方、上記滴下ロートに、スチレン594部、2−エチルヘキシルアクリレート225部、ブチルアクリレート121部、アクリル酸10部、4HBA50部、n−ドデシルメルカプタン4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90部及び脱イオン水97部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの8部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を120分間にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を、120分間かけて均一に滴下し、滴下終了後60分間、同温度を維持した。
次いで、滴下ロートにスチレン327部、2−エチルヘキシルアクリレート292部、ブチルアクリレート321部、アクリル酸10部、4HBA50部、n−ドデシルメルカプタン4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90.0部及び脱イオン水97部からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、120分間にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を、120分間かけて均一に滴下し、滴下終了後90分間、同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水26部を添加し、不揮発分54.8%、pH7.5、粘度500mPa・s、平均粒子径310nm、重量平均分子量66000、1段目のTg20℃、2段目のTg−20℃、トータルTg0℃の制振材用樹脂を得た。
参考
第1段目及び第2段目の単量体乳化物として4HBA50部の代わりに、V♯192を50部用いた以外は、参考と同様にして制振材用樹脂を得た。この制振材用樹脂は、不揮発分54.8%、pH7.6、粘度350mPa・s、平均粒子径330nm、重量平均分子量64000、1段目のTg20℃、2段目のTg−20℃、トータルTg0℃であった。
比較例1
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水1100部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇湿した。一方、上記滴下ロートに、スチレン643部、2−エチルヘキシルアクリレート225部、ブチルアクリレート122部、アクリル酸10部、n−ドデシルメルカプタン4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90部及び脱イオン水97部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの8部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を120分間にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を、120分間かけて均一に滴下し、滴下終了後60分間、同温度を維持した。
次いで、滴下ロートにスチレン375部、2−エチルヘキシルアクリレート292部、ブチルアクリレート323部、アクリル酸10部、n−ドデシルメルカプタン4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90.0部及び脱イオン水97部からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、120分間にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を、120分間かけて均一に滴下し、滴下終了後90分間、同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水26部を添加し、不揮発分55.1%、pH7.6、粘度900mPa・s、平均粒子径320nm、重量平均分子量70100、1段目のTg20℃、2段目のTg−20℃、トータルTg0℃の制振材用樹脂を得た。
比較例2
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水1100部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇湿した。一方、上記滴下ロートに、スチレン620部、2−エチルヘキシルアクリレート225部、ブチルアクリレート125部、メタクリル酸30部、n−ドデシルメルカプタン4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90部及び脱イオン水97部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの8部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を120分間にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を、120分間かけて均一に滴下し、滴下終了後60分間、同温度を維持した。
次いで、滴下ロートにスチレン353部、2−エチルヘキシルアクリレート292部、ブチルアクリレート325部、メタクリル酸30部、n−ドデシルメルカプタン4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90.0部及び脱イオン水97部からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、120分間にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を、120分間かけて均一に滴下し、滴下終了後90分間、同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水17部を添加し、不揮発分55.2%、pH7.8、粘度900mPa・s、平均粒子径350nm、重量平均分子量65000、1段目のTg20℃、2段目のTg−20℃、トータルTg0℃の制振材用樹脂を得た。
比較例3
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水1100部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇湿した。一方、上記滴下ロートに、スチレン594部、2−エチルヘキシルアクリレート225部、ブチルアクリレート121部、アクリル酸10部、アクリロニトリル50部、n−ドデシルメルカプタン4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90部及び脱イオン水97部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの8部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を120分間にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を、120分間かけて均一に滴下し、滴下終了後60分間、同温度を維持した。
次いで、滴下ロートにスチレン327部、2−エチルヘキシルアクリレート292部、ブチルアクリレート321部、アクリル酸10部、アクリロニトリル50部、n−ドデシルメルカプタン4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90.0部及び脱イオン水97部からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、120分間にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を、120分間かけて均一に滴下し、滴下終了後90分間、同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水26部を添加し、不揮発分54.9%、pH7.5、粘度450mPa・s、平均粒子径300nm、重量平均分子量59000、1段目のTg20℃、2段目のTg−20℃、トータルTg0℃の制振材用樹脂を得た。
比較例4
第1段目及び第2段目の単量体乳化物としてスチレン643部の代わりに、メチルメタクリレート643部を用い、かつ、更にN,N−ジシクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド1000部を添加した以外は、比較例1と同様にして制振材用樹脂を得た。この制振材用樹脂は、不揮発分54.8%、pH7.7、粘度1410mPa・s、平均粒子径320nm、重量平均分子量87000、1段目のTg20℃、2段目のTg−20℃、トータルTg0℃であった。
比較例5
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水1100部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇湿した。一方、上記滴下ロートに、スチレン1018部、2−エチルヘキシルアクリレート517部、ブチルアクリレート445部、アクリル酸20部、n−ドデシルメルカプタン4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90部及び脱イオン水97部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの8部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を120分間にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を、120分間かけて均一に滴下し、滴下終了後60分間、同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水26部を添加し、不揮発分54.8%、pH7.6、粘度900mPa・s、平均粒子径300nm、重量平均分子量60200、Tg0℃の制振材用樹脂を得た。
比較例6
第1段目及び第2段目の単量体乳化物としてアクリロニトリル50部の代わりに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート50部を用いた以外は、比較例3と同様にして制振材用樹脂を得た。この制振材用樹脂は、不揮発分54.8%、pH7.7、粘度1230mPa・s、平均粒子径300nm、重量平均分子量56000、1段目のTg20℃、2段目のTg−20℃、トータルTg0℃であった。
<制振材用組成物の調製>
上記実施例、比較例で得られた制振材用樹脂(エマルション)を用い、下記のとおり配合し、制振材用組成物とした。
制振材用樹脂 359部
炭酸カルシウム(NN#200※1) 620部
分散剤(アクアリックDL−40S※2) 6部
増粘剤(アクリセットWR−650※3) 4部
消泡剤(ノプコ8034L※4) 1部
発泡剤(F−30※5) 6部
※1:日東粉化工業社製 充填剤
※2:日本触媒社製 ポリカルボン酸型分散剤(有効成分44%)
※3:日本触媒社製 アルカリ可溶性のアクリル系増粘剤(有効成分30%)
※4:サンノプコ社製 消泡剤(主成分:疎水性シリコーン+鉱物油)
※5:松本油脂社製 発泡剤
上記実施例、比較例で得られた制振材用組成物について、各試験を下記方法にて実施した。結果を表1に示す。
<制振性試験>
得られた制振材用組成物を、冷間圧延鋼板(SPCC・幅15mm×長さ250mm×厚み1.5mm)上に3mmの厚みで塗布して、150℃で30分間乾燥し、冷間圧延鋼板上に面密度4.0Kg/mの制振材被膜を形成した。制振性は、片持ち梁法(CF−5200型FFTアナライザー、小野測機社製)を用いて、それぞれの温度(20℃、40℃、60℃)における損失係数を共振法(3dB法)により測定した。また、制振性の評価は、総損失係数(20℃、40℃、60℃での損失係数の和)により行い、総損失係数の値が大きいほど制振性に優れるものとした。
<ベース増加率>
ベース増加率は、以下の式により求めた。
ベース増加率(%)={各実施例・比較例での損失係数の値(和)−比較例1の損失係数の値(和)}/{比較例1の損失係数の値(和)}×100
なお、ベース増加率は、比較例1と比べて、各実施例・比較例の損失係数の和がどれだけ大きいかを示すものであると言える。ここで、「ベース」は、比較例1の損失係数の値(和)を示すものである。
<立体面加熱時の塗膜形成性試験>
得られた制振材用組成物を、鋼板(商品名「SPCC−SD」、幅75mm×長さ150mm×厚み0.8mm:日本テストパネル社製)上に、その塗布厚みが5mmとなるように塗布した。その後、塗布した面を下向きにして、150℃に設定した熱風乾燥機に入れて30分間加熱した(図1、2参照)。加熱後に塗膜を取り出して、得られた乾燥塗膜の表面状態を観察し、以下の基準で評価した。なお、○、△であれば実用上問題はない。
○:異常なし
△:表面や界面に小さい亀裂や小さな凸凹あり
▲:表面や界面に大きい亀裂や、凸凹あり
×:塗膜形状を維持できない
<屈曲性試験>
得られた制振材用組成物を、アルミ板(幅50mm×長さ150mm×厚み0.3mm)上に1mmの厚みで塗布して、40℃で1日乾燥後、130℃で30分間加熱乾燥した。この塗膜板を試験に使用した。試験条件は以下のとおり。
マンドレル(芯棒)直径:32mm、試験温度:23℃、試験機器:屈曲試験機(円筒マンドレル法、TP技研社製)
また、試験後の塗膜状態(塗膜の割れ、素地からの剥がれ)を観察し、以下の基準で評価した。なお、○、△であれば実用上問題はない。
○:特に異常なし
△:塗膜に亀裂(ひび)発生
▲:塗膜に大きな亀裂発生
×:塗膜が完全に素地から剥離
Figure 0006164833
表1の結果から、上記単量体(1)を重合してなる重合体(A)を含有する制振材用樹脂を用いた実施例1〜6、参考例1、2の制振材用組成物は、上記単量体(1)を用いていない重合体を含有する制振材用樹脂を用いた比較例1〜6の組成物に比べて、得られる塗膜の制振性、加熱乾燥性及び屈曲性が総合的には顕著に優れるといえる。なお、比較例4は、N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミドを制振性の向上を目的として添加しているため、制振性は良好であるが、加熱乾燥性及び屈曲性は悪い結果となった。
上記実施例において、上記単量体(1)を重合してなる重合体(A)を含有する制振材用樹脂を用いることによって、上述した屈曲性、強靱性、加熱乾燥性及び制振性に優れるという効果が発現する作用機序はすべて同様であるものと考えられる。
したがって、上記製造例及び実施例の結果から、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができるといえる。
1:鋼板
2:制振材塗膜
3:支持台
4:熱風

Claims (5)

  1. 単量体成分を重合してなる重合体を含有する制振材用樹脂であって、
    該制振材用樹脂は、該単量体成分として、下記一般式(1):
    C=C(R)COO−X−Y (1)
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を表し;Xは2価の有機基を表し;Yは−COOH又は−PO(OH)を表す。)
    で表される(メタ)アクリル系化合物を含み、
    該重合体は、エマルションであることを特徴とする制振材用樹脂。
  2. 前記(メタ)アクリル系化合物は、一般式(1)中、Xは−R−、−(R−COO)−R−、−R−OCO−R−、又は、−(R−O)−R−を表し;Rは炭素数2〜10のアルキレン基を表し;R、R、R、Rはそれぞれ独立して炭素数2〜8のアルキレン基を表し;Rは炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Rは直接結合又は炭素数2〜6のアルキレン基を表し;mは1〜10の数を表し;nは1〜10の数を表し;Rが複数個ある場合は同一でも異なっていてもよく、Rが複数個ある場合は同一でも異なっていてもよいものであることを特徴とする請求項1に記載の制振材用樹脂。
  3. 前記(メタ)アクリル系化合物は、全単量体成分100質量部中、1〜15質量部含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の制振材用樹脂。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の制振材用樹脂、顔料、発泡剤及び増粘剤を含有してなることを特徴とする制振材用組成物。
  5. 請求項に記載の制振材用組成物を塗布、乾燥して得られることを特徴とする塗膜。
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