以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明のその要旨を超えない限りこれらの内容に特定はされない。
[1.混合層]
本発明に係る混合層は、少なくとも1種類の金属オキソ錯体と、少なくとも1種類の、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素とを含有する層(以下、本発明に係る混合層とも言う)である。
[1.1.金属オキソ錯体]
本発明に係る混合層に含まれる金属オキソ錯体の金属元素としては、特段の制限はないが、金属オキソ錯体(MOxAy:M:金属、O:酸素、A:配位子、x,y:任意の整数)が安定に存在する点で、周期表第4〜6周期の遷移金属から選ばれる3価以上の金属元素が好ましい。なかでも、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、又はイリジウムが好ましい。また、なかでも、周期表第4〜6族金属元素から選ばれる、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、及びタングステンは、3価以上の価数でより安定であるので、さらに好ましく、チタンが特に好ましい。チタンが特に好ましい理由としては、4価のチタンとβ―ジケトナート配位子との相性が良く、チタンオキソ錯体が特に安定であるからである。金属オキソ錯体の金属元素としては1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本明細書において、周期表とは、IUPAC2005年度推奨版(Recommendations of IUPAC 2005)のことを指す。
金属オキソ錯体の金属元素は、1以上の酸素、及び1以上の配位子と結合している必要があるので、通常3価以上である。金属オキソ錯体の均一膜の作製が容易であるために、金属オキソ錯体の分子構造は対称構造であることが好ましく、そのため、金属元素は4価
又は6価であることが好ましい。4価の場合、金属元素に、1つの酸素と2つの配位子とが結合していることが好ましい。また、6価の場合、金属元素に、2つの酸素と2つの配位子とが結合していることが好ましい。
金属オキソ錯体の配位子は、特段の制限はないが、金属オキソ錯体が安定に存在する点で、β―ジケトナート配位子がよい。β−ジケトナート配位子としては、アセチルアセトナート(acac)配位子(別名2,4-ペンタンジオナート配位子)、ヘキサフルオロアセチルアセトナート(hfa)配位子(別名1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオナート配位子)、t-ブチルジピバロイルメタナート配位子、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタ
ンジオナート配位子、ジベンゾイルメタナート配位子(別名1,3-ジフェニル-1,3-プロパ
ンジオナート配位子)、トリフルオロアセチルアセトナート(tfa)配位子、6,6,7,7,8,8,8-ヘプタフルオロ-2,2-ジメチル-3,5-オクタンジオナート(fod)配位子等が挙げられ、なかでも、アセチルアセトナート(acac)配位子が好ましい。アセチルアセトナート(acac)配位子が好ましい理由としては、金属オキソ錯体が形成しやすい上に、特に安定に存在するからである。金属オキソ錯体の配位子としては1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
[1.2.金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素]
本発明に係る混合層に含まれる、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素としては、特段の制限はないが、金属オキソ錯体へのドーピング効果が期待される点で、周期表第1族元素、第2族元素、及び第13族元素から選ばれる金属元素が好ましい。なかでも、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ガリウム、又はインジウムが好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、アルミニウム、ガリウム、又はインジウムが特に好ましい。リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、アルミニウム、ガリウム、又はインジウムが好ましい理由としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムでは、各々のs1軌道の電子が、またアルミニウム、ガリウム、インジウムでは、各々のp1軌道の電子が、金属オキソ錯体へのドーピング効果に有効であるからである。金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素としては1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本明細書において、ドーピング効果とは、少量のドーパントの添加により、半導体の電荷(電子及び正孔)のキャリア密度を調整したり、エネルギー準位等の物性を制御したりする効果のことを指す。ドーピングされた半導体を用いた光電変換素子では、キャリア密度の変化により電荷輸送能力が向上し、短絡電流やFFの向上に繋がったり、エネルギー準位の変化により開放電圧に向上に繋がったりすることで、結果として光電変換効率が向上する。
本発明に係る混合層に含まれる金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素は、任意の形態で混合層中に存在しうる。一例としての混合層は、周期表第1族元素、第2族元素、及び第13族元素からなる群から選択された1以上の金属元素を、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素として含んだ化合物を含有している。化合物の種類に特段の制限はなく、化合物には、酸化物、水酸化物、過酸化物、炭酸塩、酢酸塩等のカルボン酸塩、リン酸塩、硝酸塩及び硫酸塩等が含まれる。
本発明に係る混合層に含まれる金属オキサイド錯体の金属元素とは異なる金属元素は、1種の化合物であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。例えばナトリウム化合物は、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び酢酸ナトリウム等の混合物でありうる。このようなナトリウム化合物の混合物は、例えば、酢酸ナトリウムを原料として加熱処理を行うことで得られうる。
本発明に係る混合層中の金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素の金属オキソ錯体の金属元素に対する組成比率は、金属オキソ錯体を構成する金属元素の原子数を100原子%とした場合、通常0.1原子%以上、好ましくは0.3原子%以上、より好ましくは0.5原子%以上、さらに好ましくは1.0原子%以上であり、一方、通常50原子%未満、好ましくは40原子%以下、より好ましくは30原子%以下であり、さらに好ましくは20原子%以下である。元素の組成比が上記範囲にあることは、金属オキソ錯体と、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素が混合されやすく、混合層の均一な成膜が容易になりうる点で好ましい。
混合層中の金属オキソ錯体を構成する金属元素と、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素との組成比を決定する方法としては、XPS(X線光電子分光法)が挙げられる。具体的には、活性層と混合層とが接しているような層構成の光電変換素子において、XPS測定を行う場合には、活性層と混合層との界面から、混合層の膜厚の1/4だけ離れた部分の組成比を調べる。なお、電子取り出し層が混合層を含む複数層で構成されている場合、活性層と混合層との間に、電子取り出し層を構成する別の層が形成され、活性層と混合層との界面が存在しない場合がある。この場合は、混合層と活性層との間に形成された電子取り出し層を構成する別の層の中で、混合層に直接接する層と、混合層との界面から、混合層の膜厚の1/4だけ離れた部分の組成比を調べればよい。この方法は、測定が隣接する層の影響を受けにくく、かつ電子取り出し性能への影響が大きい活性層との界面近傍における組成を測定できる点で好ましい。
[1.3.混合層の形成方法]
本発明に係る混合層の形成方法は、特段の制限はない。具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法等の乾式成膜法、ゾルゲル法、塗布法等の湿式成膜法が挙げられる。特に、混合層を形成する場合、プロセスを簡略化しうる点、及び短時間で成膜しうる点で塗布法を用いることがより好ましい。
塗布法とは、化合物を含有するインクを塗布することにより、この化合物を含有する層を形成する方法のことを指す。例えば、本発明に係る金属オキソ錯体と金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素とを含有するインク(塗布液)を塗布することにより、本発明に係る金属オキソ錯体と金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素とを含有する混合層を形成することができる。
塗布法に用いるインクは、本発明に係る金属オキソ錯体、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素、及び溶媒を含有するのであれば特段の制限はない。溶媒としては、例えば、水;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン又はデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコール又はプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン又はN−メチルピロリドン(NMP)等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル又は乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)又はN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド類;エタノールアミン、ジエチルアミン又はトリエチルアミン等のアミン類等;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類が挙げられる。なかでも好ましくは、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコール又はプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等のアルコール類;アセトン、メチルエ
チルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン又はN−メチルピロリドン(NMP)等のケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)又はN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類である。さらに好ましくは、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコール又はプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等のアルコール類である。溶媒としては、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、本発明に係る混合層が得られるのであれば、溶媒の沸点に特に制限はない。
塗布法に用いるインク中の、金属オキソ錯体の濃度は、特段の制限はないが、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、一方、通常70質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。インク中の金属オキソ錯体の濃度が上記範囲内にあることは、混合層を均一に塗布しうる点で好ましい。
塗布法に用いるインク中の、金属オキソ錯体の金属元素と異なる金属元素で構成される化合物の濃度は、特段の制限はないが、通常1×10−4質量%以上、好ましくは5×10−4質量%以上、より好ましくは1×10−3質量%以上であり、一方、通常35質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。インク中の金属オキソ錯体の金属元素と異なる金属元素で構成される化合物の濃度が上記範囲内にあることは、混合層を均一に塗布しうる点で好ましい
塗布法に用いるインク中の、金属オキソ錯体の金属元素と異なる金属元素の組成比率は、金属オキソ錯体を構成する金属元素の原子数を100原子%とした場合、通常0.1原子%以上、好ましくは0.3原子%以上、より好ましくは0.5原子%以上、さらに好ましくは1.0原子%以上であり、一方、通常50原子%未満、好ましくは40原子%以下、より好ましくは30原子%以下であり、さらに好ましくは20原子%以下である。元素の組成比率が上記範囲にあることは、得られる電子デバイスの電気特性が向上しうる点で好ましい。インク中の金属オキソ錯体を構成する金属元素と、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素の組成比を決定する方法としては、ICP(誘導結合プラズマ)測定が挙げられる。
インクの塗布は任意の方法で行うことができる。例えば、スピンコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法等が挙げられる。また、これらの方法のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。
混合層の膜厚は特に限定はないが、通常0.2nm以上、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1nm以上、さらに好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。一方、通常1μm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは400nm以下、特に好ましくは200nm以下である。光電変換素子においては、混合層の膜厚が0.2nm以上であることで、電子取り出し層としての機能が良好に発揮され、混合層の膜厚が1μm以下であることで、高抵抗化による絶縁を招くことなく電子が取り出し易くなり、光電変換効率が向上する。
混合物層の電荷移動度(電子及び正孔移動度)は、特段の制限はないが、通常1.0×10−6cm2/Vs以上であり、1.0×10−5cm2/Vs以上が好ましく、5.
0×10−5cm2/Vs以上がより好ましく、1.0×10−4cm2/Vs以上がさらに好ましい。一方、通常1.0×104cm2/Vs以下であり、1.0×103cm2/Vs以下が好ましく、5.0×102cm2/Vs以下がより好ましい。混合物層の電荷移動度が1.0×10−6cm2/Vs以上であることは、電荷取り出し性能が向上し、変換効率が向上しうる点で好ましい。
[1.4.本発明に係る混合層の特徴]
本発明における金属オキソ錯体と、該金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素とを含有する混合層は、電子デバイスに用いることができる。具体的には、光電変換素子におけるバッファ層(電子取り出し層、又は正孔取り出し層)、電界発光素子における電荷輸送層(電子輸送層、又は正孔輸送層)及び電荷注入層(電子注入層、又は正孔注入層)、又はタンデム構造の電子デバイスにおける中間層等に用いることができる。
後述するように、電界発光素子における電荷輸送層及び電荷注入層では、光電変換素子におけるバッファ層に用いる層が使用可能であること、また中間層は、電子及び正孔の電荷再結合を防ぐために、通常は、電子取り出し層(電子輸送層)と正孔取り出し層(正孔輸送層)とを含んだ多層で構成されることから、以下、本発明に係る混合層の特徴を、チタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体と、チタンとは異なる金属元素とを含有する混合層を、光電変換素子における電子取り出し層として用いた場合で、説明する。
公知文献Adv.Funct.Mater.2009,19,1241−1246にも記載されているように、チタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体は、有機化合物由来の炭素及び酸素でチタニア(酸化チタン)がコーティングされた状態となっている。そのため、金属オキソ錯体、特にチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体では、チタニア(酸化チタン)に相当する無機化合物部が、アセチルアセトナート配位子を形成する、炭素及び酸素に覆われており、ドーピング効果が期待されないと従来思われてきた。しかしながら、本願発明者等の検討によると、ドーピングされたチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体を含有する電子取り出し層は、ドーピングされていないチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体を含有する電子取り出し層より、高い電子取り出し性能を示した。これは、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はセシウム等の周期表第1族元素、又はアルミニウム、ガリウム、又はインジウム等の周期表第13族元素から選ばれる原子のs1軌道の電子、又はp1軌道の電子の影響で、チタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体へのドーピング効果が発現したからと考えられる。
金属オキソ錯体に対するドーピング効果が発現された詳細な理由は明らかではないが、以下のことが考えられる。金属オキソ錯体の無機化合物部は、膜になった状態においては、無機化合物同士で、金属酸化物のように、−M−O−M−O−(M:金属オキソ錯体の金属元素、O:酸素)といったネットワークを構築する傾向がある。金属オキソ錯体では、炭素及び酸素のコーティングによりM−Oネットワークの鋳型ができるので、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素による金属オキソ錯体の金属元素(M)との置換や、M−O結合への局所的な双極子誘起が、M−Oネットワークの鋳型が無い金属酸化物よりも、起こり易いのではないかと考えられる。
このことは、金属酸化物と、金属酸化物の金属元素とは異なる金属元素とを含有する混合層における課題の解決にも繋がる。具体的には、本発明者らの検討によると、金属元素と酸素により構成された金属酸化物では、異なる金属元素が、結晶の格子欠陥以外に入り込みにくく、金属酸化物前駆体を用いたゾルゲル法、金属酸化物分散液を用いた塗布法、スパッタ源を用いたスパッタリング法のいずれでも、原料の組成比(仕込み比)と混合層中の組成との差が比較的大きいという課題や、ドーパントが異物としても働くために、混合層を用いた電子デバイスの耐久性が低いという課題が存在することが明らかになった。
一方、金属オキソ錯体と、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素とを含有する混合層の場合では、上述の理由により、原料の組成比(仕込み比)と混合層中の組成比との差が小さいことや、混合層を用いた電子デバイスの耐久性の向上が期待される。
[2.電子デバイス]
本明細書において電子デバイスとは、2個以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、電気、光、磁気又は化学物質等により制御するデバイス、あるいは、印加した電圧や電流により、光や電場、磁場を発生させる装置である。例えば、電圧や電流の印加により電流や電圧を制御する素子、磁場の印加による電圧や電流を制御する素子、化学物質を作用させて電圧や電流を制御する素子が挙げられる。この制御としては、整流、スイッチング、増幅、又は発振等が挙げられる。
電子デバイスの例としては、抵抗器、整流器(ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子、若しくは化学センサー等、又はこれらの素子を組み合わせ若しくは集積化したデバイスが挙げられる。また、光電流を生じるフォトダイオード若しくはフォトトランジスタ、電界を印加することにより発光する電界発光素子、及び光により起電力を生じる光電変換素子若しくは太陽電池等の光素子も挙げることができる。
電子デバイスのより具体的な例は、S.M.Sze著、Physics of Semiconductor Devices、2nd Edition(Wiley Interscience 1981)に記載されているものを挙げることができる。
なかでも、本発明に係る電子デバイスとしては、電界発光素子、光電変換素子が、より高い電気特性を産み出す例として好ましい。これらは、本発明に係る混合層の電荷取り出し性能を発揮し得る電子デバイスであるからである。具体的には、光電変換素子出れば、変換効率を向上させることができる。
また、本発明に係る混合層は、タンデム構造を有する中間層に使用することもできる。タンデム構造を有する電子デバイスとは、数個の同じ、又は異なる材料で作ったpn接合を光の進行方向に重ねて配列する構造方式(積み重ね式、タンデム構造)を備えた電子デバイスである。そして、該タンデム構造における、pn接合間の接合層が中間層である。中間層は、1種の金属層で形成していてもよいが、電子及び正孔の電荷再結合を防ぐために、通常は、電子取り出し層(電子輸送層)と正孔取り出し層(正孔輸送層)とを含んだ多層が好ましい。電子取り出し層と正孔取り出し層の間に、金属層を加えた層構成でもよいが、層構成が増えると製造コストが高くなるので、性能がよく、かつ製造コストの安い層構成としては、2層又は3層からなる中間層が好ましく、2層からなる中間層が特に好ましい。電子取り出し層(電子輸送層)及び正孔取り出し層(正孔輸送層)の2層で形成される中間層は、製造コストも安い上に高い電気特性が期待される。
なお、本発明に係る混合層は、中間層が有する電子取り出し層(電子輸送層)又は正孔取り出し層(正孔輸送層)に用いることができる。例えば、電子取り出し層(電子輸送層)に本発明に係る混合層を使用し、正孔取り出し層(正孔輸送層)には、後述するような材料を使用して中間層とすることができる。一方で、電子取り出し層(電子輸送層)に本発明に係る混合層を使用し、正孔取り出し層(正孔輸送層)には、後述するような材料を使用して中間層としてもよい。
以下、本発明に係る電子デバイスの好適な例として、電界発光(エレクトロルミネッセンス)素子(LED)、光電変換素子、及び光電変換素子を有する太陽電池について説明する。
[3.電界発光素子(LED)]
電界発光素子は、電界を印加することにより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子との再結合エネルギーによって蛍光性物質が発光する原理を利用した自発光素子である。
以下に、本発明に係る電界発光素子について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る電界発光素子の一実施形態を模式的に示す断面図である。これらの図において、符号31は基材、32は陽極、33は正孔注入層、34は正孔輸送層、35は発光層、36は電子輸送層、37は電子注入層、38は陰極、39は電界発光素子を示している。なお、本発明に係る電界発光素子は、図1の構成に限定されるわけではない。例えば、電界発光素子を構成する各構成部材は、図1に限定されるわけではなく、例えば、基材31上に、陰極38、電子注入層37、電子輸送層36、発光層35、正孔輸送層34、正孔注入層33、陽極32を、この順に有していてもよい。また、正孔注入層33、正孔輸送層34、電子輸送層36、電子注入層37は必ずしも設ける必要はない。
[3.1.基材(31)]
基材31は、電界発光素子の支持体となるものであり、その材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材31の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料、及びフレキシブル基材等が挙げられる。本発明において、フレキシブル基材とは曲率半径が通常、0.1mm以上であり、10000mm以下の基材である。なお、フレキシブルな電子デバイスを製造する場合は、屈曲性と支持体としての特性を両立するために、曲率半径が0.3mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがさらに好ましく、一方で、3000mm以下であることが好ましく、1000mm以下であることがさらに好ましい。なお、曲率半径は、ひずみや割れ等の破壊が現れないところまで曲げた基材を、共焦点顕微鏡(例えば、キーエンス社製形状測定レーザマイクロスコープVK−X200)で求めることができる。フレキシブル基材の具体例としては、限定されるわけではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル又はポリエチレン等のポリオレフィン;セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料(樹脂基材);紙又は合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料が挙げられる。
上述の基材の中でも、ロールツゥーロール方式による製造が可能となるフレキシブル基材が好ましい。
樹脂基材を使用する場合には、ガスバリア性に留意する必要がある。すなわち、基材のガスバリア性が低過ぎると、基材を通過する外気により電界発光素子が劣化することがあるので望ましくない。このため、樹脂基材を使用する場合には、少なくとも一方の板面に緻密なシリコン酸化膜等を設ける等の方法により、ガスバリア性を確保するのが望ましい。
ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
基材31の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状又はシート状等のものを用いることができる。
また、基材31の膜厚に制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。基材の膜厚が5μm以上であることは、電界発光素子の強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。基材の膜厚が20mm以下であることは、コストが抑えられ、かつ質量が重くならないために好ましい。基材31の材料がガラスである場合の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、通常1cm以下、好ましくは0.5cm以下である。ガラス基材31の膜厚が0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。また、ガラス基材31の膜厚が0.5cm以下であることは、質量が重くならないために好ましい。
[3.2.陽極(32)]
基材31上には、陽極32が設けられる。陽極32は正孔注入層33への正孔注入の役割を果たすものである。陽極32の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。陽極32の材料の好適な例としては、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、酸化インジウム、酸化スズ等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等が挙げられる。
陽極32の形成する方法に制限はないが、通常、スパッタリング法、真空蒸着法等の乾式成膜法により行われる。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を適当なバインダー樹脂溶液に分散し、基材31上に塗布することにより陽極32を形成することもできる。さらに、陽極32として導電性高分子を用いる場合には、電解重合により直接基材31上に薄膜を形成したり、基材31上に導電性高分子を塗布して陽極32を形成したりすることもできる。陽極32は、異なる物質の積層構造とすることも可能である。
陽極32の膜厚は、必要とする透明性により異なる。陽極32に透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とし、この場合、陽極32の膜厚は、通常5〜1000nm、好ましくは10〜500nm程度である。不透明でよい場合には、陽極32は基材31と同一でもよい。また、上記の陽極32の上に、異なる導電材料を積層することも可能である。可視光の透過率は、通常の分光光度計で測定できる。
[3.3.正孔注入層(33)]
陽極32の上には正孔注入層33が設けられる。正孔注入層33の材料に要求される条件としては、陽極からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送し,さらには正孔輸送層との正孔注入障壁が小さい材料であることである。そのためには、正孔注入材料のイオン化ポテンシャルと陽極の仕事関数との差が小さいことが要求される。また、可視光の光に対して透明性が高いことも必要である。さらに、正孔注入層33の材料には、陽極32とのコンタクトがよく均一な薄膜が形成でき、熱的に安定であること、すなわち、融点及びガラス転移温度(Tg)が高く、融点としては200℃以上、ガラス転移温度としては75℃以上が要求される。
このような要求を考慮した正孔注入層33の材料としては、例えば、ポルフィリン誘導体やフタロシアニン化合物(特開昭63−295695号公報)、スターバースト型芳香族トリアミン(特開平4−308688号公報)等の有機化合物、スパッタ・カーボン膜(特開平8−31573号公報)、酸化バナジウム、酸化ルテニウム、酸化モリブデン等の金属酸化物(第43回応用物理学関係連合講演会、27a−SY−9、1996年)等が挙げられる。また、本発明に係る混合層(少なくとも1種類の金属オキソ錯体と、少な
くとも1種類の金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素とを含有する層)を用いることができる。
正孔注入層33の材料の代表的なものとしては、ポルフィリン化合物及びフタロシアニン化合物が挙げられるが、これらの化合物は中心金属を有していてもよいし、無金属のものであってもよい。フタロシアニン化合物の具体例としては、29H,31H−フタロシ
アニン、銅(II)フタロシアニン、亜鉛(II)フタロシアニン、チタンフタロシアニンオキシド、銅(II)−4,4',4'',4'''−テトラアザ−29H,31H-フタロシアニン等が挙げられる。
この他、正孔注入層33の好ましいものとして、正孔輸送性高分子に電子受容性化合物を混合した系が挙げられる。このような正孔輸送性高分子としては、ポリチオフェン(特開平10−92584号公報)、ポリアニリン、芳香族アミン含有ポリエーテル(特開2000−36390号公報)等が挙げられる。
電子受容性化合物としては、下記化合物群から選ばれる化合物の少なくとも1種であることが好ましい。
正孔注入層33の薄膜を形成する方法としては、昇華性を有する化合物の場合には真空蒸着法、溶媒に可溶な化合物の場合にはスピンコート法やインクジェット法等の湿式成膜法、無機物の場合にはさらにスパッタリング法、電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法等を用いることができる。
正孔注入層33の膜厚に制限はないが、通常、3〜300nm、好ましくは、10〜100nmである。上記範囲内の膜厚であれば、正孔注入層33に要求される条件を満たすことができる。
[3.4.正孔輸送層(34)]
正孔注入層33の上には正孔輸送層34が設けられる。正孔輸送層34の材料に要求される条件としては、正孔注入層からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく発光層に輸送することができる材料であることである。そのためには、正孔注入材料のイオン化ポテンシャルと正孔輸送材料のイオン化ポテンシャルの差が小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、さらに酸化に対する安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。上記の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子には更に耐熱性が要求される。従って、ガラス転移温度(Tg)として75℃以上の値を有する材料が望ましい。
このような正孔輸送材料としては、例えば、4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フ
ェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4',
4”-トリス(1-ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を
有する芳香族アミン化合物(J. Lumin. 1997,72−74,985.)、トリフェニルアミンの四量体からなる芳香族アミン化合物(Chem.Commun. 1
996,2175.)、2,2',7,7'-テトラキス-(ジフェニルアミノ)-9,9'-スピロ
ビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.Metals 1997,91,209.)等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、必要に応じて、各々、混合して用いてもよい。また、本発明に係る混合層を用いることができる。
正孔輸送層34は、前記芳香族アミン化合物等を、湿式成膜法、又は真空蒸着法により、前記正孔注入層33上に積層することにより形成される。
湿式成膜法の場合は、前記芳香族アミン化合物の1種又は2種以上と、必要により正孔のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤等の添加剤とを添加し、溶解してインクを調製し、スピンコート法等により正孔注入層33上に塗布し、乾燥して正孔輸送層34を形成する。
バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は、その添加量が多いと正孔移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常、50質量%以下が好ましい。
真空蒸着法の場合には、前記芳香族アミン化合物を真空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、ルツボを加熱して蒸発させ、ルツボと向き合って置かれた、基材上の正孔注入層33上に、正孔輸送層34を形成させる。
正孔輸送層34の膜厚に制限はないが、通常3〜300nm、好ましくは10〜100nmである。上記範囲内の膜厚であれば、正孔輸送層34に要求される条件を満たすことができる。このような薄膜を一様に形成するためには、真空蒸着法が好ましい。
[3.5.発光層(35)]
正孔輸送層34の上には発光層35が設けられる。発光層は、電界を与えられた電極間において陰極からの電子を効率よく正孔輸送層34の方向に輸送することができる化合物より形成される。
このような条件を満たす材料としては、8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体等
の金属錯体(特開昭63−295695号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平4−308688号公報)、アントラセン誘導体(特開平8−12600号公報、特開平11−312588号公報)等が挙げられる。
発光層35の形成する方法に制限はないが、通常は、真空蒸着法により正孔輸送層34上に積層される。
素子の発光効率を向上させるとともに発光色を変える目的で、例えば、8-ヒドロキシ
キノリンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレーザ用蛍光色素をドープすることが行われている(J.Appl.Phys. 1989,65,3610.)。この方法の利点は、
(1)高効率の蛍光色素により発光効率が向上、
(2)蛍光色素の選択により発光波長が可変、
(3)濃度消光を起こす蛍光色素も使用可能、
(4)薄膜性のわるい蛍光色素も使用可能、
等が挙げられる。
素子の駆動寿命を改善する目的においても、前記発光層材料をホスト材料として、蛍光色素をドープすることは有効である。例えば、8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯
体等の金属錯体をホスト材料として、ルブレンに代表されるナフタセン誘導体を、ホスト材料に対して0.1〜10質量%ドープすることにより、素子の発光特性、特に駆動安定性を大きく向上させることができる。
蛍光色素以外には、燐光性金属錯体を上記発光層ホスト材料に対して1〜30質量%ドープすることにより、素子の発光効率を大きく改善することも行われる。この場合、燐光性金属錯体としては、中心金属としてイリジウムや白金等を有し配位子としてフェニルピリジン、フェニルイソキノリン等を有するものが使用できる。
上記発光層中に正孔輸送材料を混合させることも、特に素子の駆動安定性向上目的のためには有効である。混合比率としては、5〜50質量%が好ましい範囲である。
発光層35の膜厚に制限はないが、通常3〜300nm、好ましくは10〜100nmである。上記範囲内の膜厚であれば、発光層35に要求される条件を満たすことができる。
本発明では、発光層35の上に中間層を積層し、中間層の上に、更に活性層を積層することで、タンデム構造の電界発光素子とすることも可能である。中間層は、上述した本発明に係る中間層を用いることが好ましい。更なる発光層は、通常、上述した発光層35の材料から選ばれる材料を用いる。なお、発光層35を構成する材料と更なる発光層を構成する材料とは、同一の材料であっても、違う材料であってもよい。
[3.6.電子輸送層(36)]
電界発光素子の発光効率をさらに向上させるために、発光層35の上に電子輸送層36を積層することが有効である。この電子輸送層36に用いられる材料には、陰極37からの電子注入が容易で、電子の輸送能力が大きいことが要求される。
このような電子輸送材料としては、従来、既に発光層材料として挙げた8-ヒドロキシ
キノリンのアルミ錯体、オキサジアゾール誘導体(Appl.Phys.Lett. 1
989,55,1489.)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、スターバースト型ベンズイミダゾール化合物(特開平10−106749号公報),シロール化合物(Appl.Phys.Lett. 2002,80,189.)等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、必要に応じて、各々、混合して用いてもよい。また、本発明に係る混合層を用いることができる。
さらに、電子輸送層36に周期表第1族元素から選ばれる金属元素を混合させることにより、導電性を大きく改善させることが可能で、このことは電子輸送性材料が周期表第1族元素から選ばれる金属元素との反応により還元され、電荷キャリアとなるアニオンラジカルを効率よく生成することが可能なことによる(特開平10−270171号公報)。周期表第1族元素から選ばれる金属元素としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が用いられ、周期表第1族元素から選ばれる金属元素の電子輸送層における含有率は、1〜50質量%が好ましい範囲である。この周期表第1族元素から選ばれる金属元素を混合させる方法としては、電子輸送材料と、周期表第1族元素から選ばれる金属元素から構成される化合物との共蒸着が通常は用いられる。
電子輸送層36の膜厚に制限はないが、通常3〜300nm、好ましくは10〜100nmである。上記範囲内の膜厚であれば、電子輸送層36に要求される条件を満たすことができる。
電子輸送層36の形成手法としては、塗布法等の湿式成膜法、又は真空蒸着法等の乾式成膜法が挙げられる。
[3.7.電子注入層(37)]
電子輸送層36の上にさらに、陰極からの電子注入を容易にするために、電子注入層37を設けることも効果的である。
電子注入層37に用いられる材料としては,電子親和力が大きい化合物が好ましく、例えば、8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体やフラーレン誘導体等を用いることが
できる。また、本発明に係る混合層を用いることができる。
電子注入層37の膜厚に制限はないが、通常3〜300nm、好ましくは10〜100nmである。上記範囲内の膜厚であれば、電子注入層37に要求される条件を満たすことができる。
電子注入層37の形成手法としては、塗布法等の湿式成膜法、又は真空蒸着法等の乾式成膜法が挙げられる。
[3.8.陰極(38)]
陰極38は、発光層35に電子を注入する役割を果たす。陰極38の材料としては、陽極32に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体的としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
さらに、陰極38と、電子輸送層36又は電子注入層37との界面に、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化リチウム(Li2O)、炭酸セシウム(Cs2CO3)、8-ヒドロキシキノリンのリチウム錯体等の極薄絶縁膜(膜厚0.
1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl.
Phys.Lett. 1997,70,152.、IEEE Trans.Electron.Devices,1997,44,1245.、SID 04 Digest,2004,154.、特開平11−233262号公報)。
陰極38の膜厚は、通常は陽極2と同様である。低仕事関数金属からなる陰極38を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは、素子の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が用いられる。
なお、図1は本発明の電界発光素子39の一実施形態を示すものであって、本発明は何ら図示した構成に限定されるものではない。たとえば、図1とは逆の積層構造とすること、すなわち、基板31上に陰極38、電子注入層37、電子輸送層36、発光層35、正孔輸送層34、正孔注入層33、陽極32をこの順に積層することも可能である。
本発明の電界発光素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造の素子のいずれにおいても適用することができる。
[4.光電変換素子]
本発明に係る光電変換素子は、少なくとも、一対の電極と、該電極間にある活性層と、該活性層と前記電極の一方との間にあるバッファ層とを備える。本発明の一実施形態に係る光電変換素子を図2に示す。図2は一般的な有機薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子を表すが、本発明に係る光電変換素子が図2の構成に限られるわけではない。
[4.1.バッファ層(102,104)]
光電変換素子107は、カソード101と活性層103との間に電子取り出し層102を有する。また光電変換素子107は、活性層103とアノード105との間に正孔取り出し層104を有する。もっとも、本発明に係る光電変換素子が、電子取り出し層102、正孔取り出し層104の両方を有する必要はない。
電子取り出し層102と正孔取り出し層104とは、一対の電極(101,105)間に、活性層103を挟むように配置されることが好ましい。すなわち、光電変換素子107が電子取り出し層102と正孔取り出し層104の両者を含む場合、電極(アノード)105、正孔取り出し層104、活性層103、電子取り出し層102、及び電極(カソード)101をこの順に配置することができる。光電変換素子107が電子取り出し層102を含み正孔取り出し層104を含まない場合は、電極(アノード)105、活性層103、電子取り出し層102、及び電極(カソード)101をこの順に配置することができる。電子取り出し層102と正孔取り出し層104とは積層順序が逆であってもよいし、また電子取り出し層102と正孔取り出し層104の少なくとも一方が異なる複数の膜により構成されていてもよい。
[4.1.1.電子取り出し層(102)]
電子取り出し層102の材料は、特に限定は無く、活性層103から電極(カソード)101へ電子の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、無機化合物、有機化合物、及び本発明に係る金属オキソ錯体と、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素とを含有する混合層が挙げられる。
無機化合物の材料としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びセシウム等の周期表第1族元素から選ばれる金属元素の塩;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化インジウム等のn型半導体特性金属酸化物が挙げられる。n型半導体特性金属酸化物と
して好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン又は酸化インジウムが良く、特に好ましくは、酸化亜鉛である。有機化合物の材料としては、具体的には、バソキュプロイン(BCP)、バソフェナントレン(Bphen)、(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)、ホウ素化合物、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)、ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)、又はホスフィンオキシド化合物若しくはホスフィンスルフィド化合物等の周期表第16族元素と二重結合を有するホスフィン化合物が挙げられる。
なかでも、本発明に係る金属オキソ錯体と、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素とを含有する混合層は、本発明に係る光電変換素子の光電変換効率を向上させうる点で、電子取り出し層102として、好ましく用いられる。これは、本発明に係る混合層は、良好な電荷(特に電子)輸送機能を発揮できるからと考えられる。電子取り出し層102が複数の層で構成される場合は、少なくとも1つの層が、本発明に係る混合層であればよい。
電子取り出し層102の形成方法としては、形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等の乾式成膜法により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコート法やインクジェット法等の湿式成膜法により形成することができる。なかでも、本発明に係る金属オキソ錯体と、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素とを含有する混合層の製造方法に従って電子取り出し層102を形成する場合には、金属オキソ錯体と、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素とを含有するインクを用いる塗布法が好ましい。金属オキソ錯体と、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素とを含有するインクを基材上に塗布成膜し、その後に熱処理することにより、電子取り出し層102を形成することができる。
インクの塗布方法としては、任意の方法を用いることができる。例えば、スピンコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法等が挙げられる。また、塗布方法として1種の方法のみを用いてもよいし、2種以上の方法を組み合わせて用いることもできる。
電子取り出し層102は1層で構成されていてもよいし、2層以上の積層構造を有していてもよい。電子取り出し層102の全体の膜厚は特に限定はないが、通常0.2nm以上、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1nm以上、さらに好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。一方、通常1μm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは400nm以下、特に好ましくは200nm以下である。電子取り出し層102の膜厚が0.2nm以上であることで電子取り出し層としての機能が良好に発揮され、電子取り出し層102の膜厚が1μm以下であることで、高抵抗化による絶縁を招くことなく電子が取り出し易くなり、光電変換効率が向上しうる。
[4.1.2.正孔取り出し層(104)]
正孔取り出し層104の材料は、特に限定は無く、活性層103から電極(アノード)105への正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及びヨウ素等のうち少なくとも一方がドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、ナフィオン、後述のp型半導体化合物、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物等が挙げられる。また、本発明に係る混合層を用いることができる。
その中でも好ましくは、スルホン酸をドーピングした導電性ポリマーであり、より好ましくは、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングした、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)である。また、金、インジウム、銀又はパラジウム等の金属等の薄膜も使用することができる。金属等の薄膜は、単独で形成してもよいし、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
正孔取り出し層104の形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等の乾式成膜法により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコート法やインクジェット法等の湿式成膜法により形成することができる。正孔取り出し層104に半導体材料を用いる場合は、後述の有機活性層の低分子有機半導体化合物と同様に、前駆体を用いて層を形成した後に前駆体を半導体化合物に変換してもよい。
なかでも、正孔取り出し層104の材料としてPEDOT:PSSを用いる場合、分散液を塗布する方法によって正孔取り出し層104を形成することが好ましい。PEDOT:PSSの分散液としては、ヘレウス社製のCLEVIOS(登録商標)シリーズや、アグファ社製のORGACON(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
塗布法により正孔取り出し層104を形成する場合は、塗布液にさらに界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤の使用により、微小な泡若しくは異物等の付着による凹み及び乾燥工程での塗布むらのうち少なくとも一方等の発生が抑制される。界面活性剤としては、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。なかでも、ケイ素系界面活性剤、アセチレンジオール系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。なお、界面活性剤としては1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正孔取り出し層104は1層で構成されていてもよいし、2層以上の積層構造を有していてもよい。正孔取り出し層104の全体の膜厚は特に限定はないが、通常0.2nm以上、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1nm以上、さらに好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。一方、通常1μm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは400nm以下、特に好ましくは200nm以下である。正孔取り出し層104の膜厚が0.2nm以上であることで電子取り出し層としての機能が良好に発揮され、正孔取り出し層104の膜厚が1μm以下であることで、高抵抗化による絶縁を招くことなく正孔が取り出し易くなり、光電変換効率が向上しうる。
[4.2.活性層(103)]
活性層103は光電変換が行われる層を指し、通常、p型半導体化合物とn型半導体化合物を含む。p型半導体化合物とはp型半導体材料として働く化合物のことを指し、n型半導体化合物とはn型半導体材料として働く化合物のことを指す。光電変換素子107が光を受けると、光が活性層103に吸収され、p型半導体化合物とn型半導体化合物との界面で電気が発生し、発生した電気が電極(カソード)101及び電極(アノード)105から取り出される。
活性層103の材料としては無機化合物と有機化合物とのいずれを用いてもよい。活性層103は簡易な塗布プロセスにより形成しうることが好ましい。この観点からは、活性層103の材料として有機化合物を用いることが好ましく、この場合、活性層103は有機化合物を含有する有機活性層である。以下では、活性層103が有機活性層であるものとして説明する。
活性層103の層構成は、p型半導体化合物層とn型半導体化合物層とが積層された薄膜積層型、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層を有するバルクヘテロ接合型、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層(i層)を薄膜積層型の中間層として有する構造等が挙げられる。なかでも、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層を有するバルクヘテロ接合型の活性層が好ましい。
活性層103の膜厚は特に限定されないが、通常10nm以上、好ましくは50nm以上であり、一方通常1000nm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm以下である。活性層103の膜厚が10nm以上であることは、膜の均一性が保たれ、短絡を起こしにくくなるために好ましい。また、活性層103の厚さが1000nm以下であることは、内部抵抗が小さくなり、かつ電極間の距離が離れず電荷の拡散が良好となるために好ましい。
活性層103の作成方法としては、特段に制限はなく、例えば湿式成膜法又は乾式成膜法を用いることができる。なかでも、半導体化合物を含有する塗布液を塗布することにより層を形成する湿式成膜法を用いることが好ましい。より具体的には、p型半導体化合物層はp型半導体化合物を含有する塗布液を塗布することにより形成することができ、n型半導体化合物層はn型半導体化合物を含有する塗布液を塗布することにより形成することができ、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層はp型半導体化合物とn型半導体化合物とを含有する塗布液を塗布することにより形成することができる。
また、p型半導体化合物前駆体を含む塗布液を塗布した後にp型半導体化合物前駆体をp型半導体化合物へと変換してもよいし、n型半導体化合物前駆体を含む塗布液を塗布した後にn型半導体化合物前駆体をn型半導体化合物へと変換してもよい。ここで、半導体化合物前駆体とは、熱又は光等の外部刺激を加えることにより、半導体化合物へと変換される化合物のことを指す。
具体的な湿式成膜法の方法は任意であり、例えば、スピンコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法等が挙げられる。
p型半導体化合物とn型半導体化合物としては、それぞれ、1種の化合物を用いてもよいし、2種以上の化合物を任意の比率で併用してもよい。
[4.2.1.p型半導体化合物]
活性層103が含有するp型半導体化合物に、特に限定はないが、低分子有機半導体化合物と高分子有機半導体化合物とが挙げられる。
[4.2.1.1.低分子有機半導体化合物]
低分子有機半導体化合物の分子量は、上限、下限ともに特に制限されないが、通常5000以下、好ましくは2000以下であり、一方、通常100以上、好ましくは200以上である。
また、低分子有機半導体化合物は結晶性を有することが好ましい。結晶性を有するp型半導体化合物は強い分子間相互作用を有し、活性層103においてp型半導体化合物とn型半導体化合物の混合物層界面で生成した正孔(ホール)を効率よくアノード105へ輸送できることが期待されるためである。
本明細書において結晶性とは、分子間相互作用等によって配向の揃った3次元周期配列
をとる化合物の性質のことを指す。結晶性の測定方法としては、X線回折法(XRD)又は電界効果移動度測定等が挙げられる。特に電界効果移動度測定において、正孔移動度が1.0×10−5cm2/Vs以上である結晶性化合物が好ましく、1.0×10−4cm2/Vs以上である結晶性化合物がより好ましい。一方、正孔移動度が通常1.0×104cm2/Vs以下である結晶性化合物が好ましく、1.0×103cm2/Vs以下である結晶性化合物がより好ましく、5.0×102cm2/Vs以下である結晶性化合物がさらに好ましい。
低分子有機半導体化合物は、上記の特性を満たせば特段の制限はないが、具体的には、ナフタセン、ペンタセン又はピレン等の縮合芳香族炭化水素;α−セキシチオフェン等のチオフェン環を4個以上含むオリゴチオフェン類;チオフェン環、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、チアゾール環、チアジアゾール環及びベンゾチアゾール環のうち少なくとも一つ以上を含み、かつ合計4個以上連結したもの;フタロシアニン化合物及びその金属錯体、又はテトラベンゾポルフィリン等のポルフィリン化合物及びその金属錯体、等の大環状化合物等が挙げられる。好ましくは、フタロシアニン化合物及びその金属錯体又はポルフィリン化合物及びその金属錯体である。
p型半導体化合物として用いられるポルフィリン化合物及びその金属錯体(下記式中のZ1がCH)、フタロシアニン化合物及びその金属錯体(下記式中のZ1がN)としては、例えば、以下のような構造の化合物が挙げられる。
ここで、Mは金属あるいは2個の水素原子を表し、金属としては、Cu、Zn、Pb、Mg、Co又はNi等の2価の金属のほか
、軸配位子を有する3価以上の金属、例えば、TiO、VO、SnCl2、AlCl、InCl又はSi(OH)2等も挙げられる。
R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上24以下のアルキル基である。炭素数1以上24以下のアルキル基とは、炭素数が1以上24以下の飽和若しくは不飽和の鎖状炭化水素基又は炭素数が3以上24以下の飽和若しくは不飽和の環式炭化水素である。その中でも好ましくは炭素数1以上12以下の飽和若しくは不飽和の鎖状炭化水素基又は炭素数が3以上12以下の飽和若しくは不飽和の環式炭化水素である。
フタロシアニン化合物及びその金属錯体の中でも、好ましくは、29H,31H−フタ
ロシアニン、銅フタロシアニン錯体、亜鉛フタロシアニン錯体、チタンフタロシアニンオキシド錯体、マグネシウムフタロシアニン錯体、鉛フタロシアニン錯体又は銅4,4’,4’’,4’’’−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン錯体であり、より好ましくは、29H,31H−フタロシアニン又は銅フタロシアニン錯体である。
ポルフィリン化合物及びその金属錯体の中でも、好ましくは、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンコバルト(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン銅(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンニッケル(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンバナジウム(IV)オキシド、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィン、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンコバルト(II)、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィン銅(II)、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィン亜鉛(II)、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンニッケル(II)又は29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンバナジウム(IV)オキシドであり、好ましくは、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン又は29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンである。
上述のように、低分子半導体化合物を含む層は、湿式成膜法により形成することが好ましい。なかでも、低分子半導体化合物前駆体を含む塗布液を塗布し、後に低分子半導体化合物前駆体を低分子半導体化合物に変換することのより、低分子半導体化合物を含む層を形成することが、成膜が容易である点で好ましい。具体的な方法としては、特に制限はないが、特開2007−324587号公報及び特開2011−119648号公報に記載の方法が挙げられる。
[4.2.1.2.高分子有機半導体化合物]
高分子有機半導体化合物として、特に限定はなく、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリアセチレン又はポリアニリン等の共役ポリマー半導体;アルキル基やその他の置換基で置換されたオリゴチオフェン等のポリマー半導体;等が挙げられる。また、二種以上のモノマー単位を共重合させた半導体ポリマーも挙げられる。共役ポリマーとしては、例えば、Handbook of Conducting Polymers,3rd Ed.(全2巻,2007)、Materials Science and Engineering,2001,32,1−40、Pure Appl.Chem.2002,74,2031−3044、Handbook of THIOPHENE−BASED MATERIALS(全2巻,2009)等の文献に記載されたポリマーやその誘導体、及び記載されているモノマーの組み合わせによって合成し得るポリマーを用いることができる。
ポリマーのモノマー骨格やモノマーの置換基は、溶解性、結晶性、成膜性、HOMO(最高被占分子軌道)エネルギー準位及びLUMO(最低空分子軌道)エネルギー準位等を制御するために選択することができる。また、高分子有機半導体化合物が有機溶媒に可溶なものであることは、湿式成膜法により高分子有機半導体化合物を含む層を形成しうる点で好ましい。高分子有機半導体化合物の具体例としては以下のものが挙げられるが、以下のものに限定されるわけではない。
p型半導体化合物として、その中でも好ましくは、低分子有機半導体化合物としては、ナフタセン、ペンタセン、ピレン等の縮合芳香族炭化水素、フタロシアニン化合物及びその金属錯体、又はテトラベンゾポルフィリン(BP)等のポルフィリン化合物及びその金属錯体であり、高分子有機半導体化合物としては、ポリチオフェン等の共役ポリマー半導体である。
低分子有機半導体化合物及び高分子有機半導体化合物のうち少なくとも一方は、成膜された状態において、何らかの自己組織化した構造を有していてよいし、アモルファス状態であってもよい。
p型半導体化合物のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、後述のn型半導体化合物の種類によって選択することができるが、特にフラーレン化合物をn型半導体化合物として用いる場合、p型半導体化合物のHOMOエネルギー準位は、通常−5.7eV以上、より好ましくは−5.5eV以上であり、一方、通常−4.6eV以下、より好ま
しくは−4.8eV以下である。p型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が−5.7eV以上であることによりp型半導体としての特性が向上し、p型半導体のHOMOエネルギー準位が−4.6eV以下であることによりp型半導体化合物の安定性が向上するとともに、開放電圧(Voc)が向上しうる。
また、p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、後述のn型半導体化合物の種類によって選択することができる。特にフラーレン化合物をn型半導体化合物として用いる場合、p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位は、通常−3.7eV以上、好ましくは−3.6eV以上であり、一方、通常−2.5eV以下、好ましくは−2.7eV以下である。p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位が−2.5eV以下であることにより、バンドギャップが調整されて長波長の光エネルギーを有効に吸収することができ、短絡電流密度(Jsc)が向上しうる。p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位が−3.7eV以上であることにより、n型半導体化合物への電子移動が起こりやすくなり、短絡電流密度(Jsc)が向上しうる。
HOMOエネルギー準位及びLUMOエネルギー準位の算出方法としては、理論的に計算値で求める方法と実際に測定する方法とが挙げられる。理論的に計算値で求める方法としては、半経験的分子軌道法及び非経験的分子軌道法があげられる。実際に測定する方法としては、紫外可視吸収スペクトル測定法及びサイクリックボルタモグラム測定法等があげられる。その中でも好ましくは、サイクリックボルタモグラム測定法である。本明細書においてHOMOエネルギー準位及びLUMOエネルギー準位は、サイクリックボルタモグラム測定法により算出される真空準位に対する値を指す。
[4.2.2.n型半導体化合物]
n型半導体化合物としては、特段の制限はないが、具体的にはフラーレン化合物;8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体;ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類;ペリレンジイミド誘導体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、ボラン誘導体、アントラセン、ピレン、ナフタセン又はペンタセン等の縮合多環芳香族炭化水素の全フッ化物;単層カーボンナノチューブ等が挙げられる。
その中でも、フラーレン化合物、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はN−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体が好ましく、フラーレン化合物、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体又はN−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミドがより好ましい。
また、n型半導体化合物としては、n型高分子半導体化合物も挙げられる。具体的には、特段の制限は無いが、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド若しくはペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、ペリレンジイミド誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ビピリジン誘導体及びボラン誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするn型高分子半導体化合物が挙げられる。その中でも、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベ
ンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド及びN−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするポリマーが好ましく、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体及びN−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミドを構成ユニットとするn型高分子半導体化合物のうち少なくとも一つを構成ユニットとするn型高分子半導体化合物がより好ましい。
n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位は、特に限定はされないが、通常−3.85eV以上、好ましくは−3.80eV以上である。p型半導体からn型半導体へと効率良く電子を移動させるためには、p型半導体化合物とn型半導体化合物とのLUMOエネルギー準位の相対関係が重要である。具体的には、p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位が、n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位より所定のエネルギーだけ上にあること、言い換えると、n型半導体化合物の電子親和力がp型半導体化合物の電子親和力より所定のエネルギーだけ大きいことが好ましい。開放電圧(Voc)はp型半導体化合物のHOMOエネルギー準位とn型半導体化合物のLUMOエネルギー準位との差に依存するため、n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位を高くすると、開放電圧(Voc)が高くなる傾向がある。
一方、n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位は、通常−1.0eV以下、好ましくは−2.0eV以下、より好ましくは−3.0eV以下、さらに好ましくは−3.3eV以下である。n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位を低くすることにより、電子の移動が起こりやすくなり、短絡電流(Jsc)が高くなる傾向がある。
n型半導体化合物のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−5.0eV以下、好ましくは−5.5eV以下である。一方、通常−7.0eV以上、好ましくは−6.6eV以上である。n型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が−7.0eV以上であることは、n型半導体化合物による光吸収も発電に利用しうる点で好ましい。n型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が−5.0eV以下であることには、正孔の逆移動を阻止しうる点で好ましい。
n型半導体化合物の電子移動度は、特段の制限はないが、通常1.0×10−6cm2/Vs以上であり、1.0×10−5cm2/Vs以上が好ましく、5.0×10−5cm2/Vs以上がより好ましく、1.0×10−4cm2/Vs以上がさらに好ましい。一方、通常1.0×104cm2/Vs以下であり、1.0×103cm2/Vs以下が好ましく、5.0×102cm2/Vs以下がより好ましい。n型半導体化合物の電子移動度が1.0×10−6cm2/Vs以上であることは、光電変換素子の電子拡散速度向上、短絡電流向上、変換効率向上等の効果が大きくなる傾向にある傾向にあるため、好ましい。
電子移動度の測定方法としては電界効果トランジスタ(FET)測定が挙げられ、具体的には公知文献(特開2010−045186号公報)に記載の方法により実施することができる。
n型半導体化合物の25℃でのトルエンに対する溶解度は、通常0.5質量%以上であり、0.6質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましい。一方、通常90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。n型半導体化合物の溶解度が0.5質量%以上であることは、n型半導体化合物を含有する溶液において、n型半導体材料の分散安定性が向上し、凝集、沈降、分離等を起こしにくくなるため、湿式成膜法による成膜が容易となる点で好ましい。
以下、これらの好ましいn型半導体化合物についてさらに説明する。
[4.2.2.1.フラーレン化合物]
フラーレン化合物としては、一般式(n1)、(n2)、(n3)及び(n4)で表される部分構造を有するものが好ましい。
式(n1)〜(n4)中、FLNとは、閉殻構造を有する炭素クラスターであるフラーレンを表わす。フラーレンの炭素数は、通常60〜130の偶数であれば何でもよい。フラーレンとしては、例えば、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びこれらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスター等が挙げられる。その中でも、C60又はC70が好ましい。フラーレンとしては、一部のフラーレン環上の炭素−炭素結合が切れていてもよい。又、一部の炭素原子が、他の原子に置き換えられていてもよい。さらに、金属原子、非金属原子あるいはこれらから構成される原子団が、フラーレンケージ内に内包されていてもよい。
a、b、c及びdは整数であり、a、b、c及びdの合計は通常1以上であり、一方、通常5以下であり、好ましくは3以下である。(n1)、(n2)、(n3)及び(n4)で表される部分構造は、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環に付加される。一般式(n1)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−R21と−(CH2)Lとがそれぞれ付加している。一般式(n2)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−C(R25)(R26)−N(R27)−C(R28)(R29)−が付加して5員環を形成している。一般式(n3)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−C(R30)(R31)−C−C−C(R32)(R33)−が付加して6員環を形成している。一般式(n4)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して−C(R34)(R35)−が付加して3員環を形成している。Lは1以上8以下の整数である。Lとして好ましくは1以上4以下の整数であり、さらに好ましくは1以上2以下の整数である。
一般式(n1)において、R21は、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルコキシ基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基又はイソブチル基がより好ましく、メチル基又はエチル基がさらに好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、炭素数1以上6以下のものがより好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。
アルキル基、アルコキシ基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子又はシリル基が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。シリル基としては、ジアリールアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、トリアリールシリル基又はトリアルキルシリル基が好ましく、ジアルキルアリールシリル基がより好ましく、ジメチルアリールシリル基がさらに好ましい。
一般式(n1)において、R22〜R24は各々独立して置換基を表し、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基又はn−ヘキシル基が好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基としてはハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロオクチル基、パーフルオロヘキシル基又はパーフルオロブチル基が好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のフッ化アルキル基、炭素数1以上14以下のアルコキシ基又は炭素数2以上10以下の芳香族基が好ましく、フッ素原子又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、n−ブトキシ基又は2−エチルヘキシルオキシ基がさらに好ましい。芳香族基が置換基を有する場合、その数に限定は無いが、1以上3以下が好ましく、1がより好ましい。芳香族基が置換基を複数有する場合、その置換基の種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n2)において、R25〜R29は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基として好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基又はオクチル基であり、より好ましくは
メチル基である。アルキル基が有していてもよい置換基としてはハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロオクチル基、パーフルオロヘキシル基又はパーフルオロブチル基が好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、特に限定は無いが、好ましくはフッ素原子、炭素数1以上14以下のアルキル基、又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基である。アルキル基にはフッ素原子が置換されていてもよい。さらに好ましくは炭素数1以上14以下のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基である。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。置換基の種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n3)において、Ar1は、置換基を有していてもよい炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基であり、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基又はキノキサリル基であり、さらに好ましくはフェニル基、チエニル基又はフリル基である。
有していてもよい置換基として特に限定は無いが、フッ素原子、塩素原子、水酸基、シアノ基、シリル基、ボリル基、アルキル基で置換されていてもよいアミノ基、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のアルコキシ基、炭素数1以上14以下のアルキルカルボニル基、炭素数1以上14以下のアルキルチオ基、炭素数2以上14以下のアルケニル基、炭素数2以上14以下のアルキニル基、炭素数2以上14以下のエステル基、炭素数3以上20以下のアリールカルボニル基、炭素数2以上20以下のアリールチオ基、炭素数2以上20以下のアリールオキシ基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の複素環基が好ましく、フッ素原子、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のアルコキシ基、炭素数2以上14以下のエステル基、炭素数2以上14以下のアルキルカルボニル基又は炭素数3以上20以下のアリールカルボニル基がより好ましい。炭素数1以上14以下のアルキル基は1以上のフッ素原子で置換されていてもよい。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましい。置換基が複数の場合、その種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
炭素数1以上14以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基又はプロピル基が好ましい。炭素数1以上14以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシル基が好ましい。炭素数1以上14以下のアルキルカルボニル基としては、アセチル基が好ましい。炭素数2以上14以下のエステル基としては、メチルエステル基又はn−ブチルエステル基が好ましい。炭素数3以上20以下のアリールカルボニル基としては、ベンゾイル基が好ましい。
一般式(n3)において、R30〜R33は各々独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアルキルチオ基である。R30又はR31は、R32又はR33と結合して環を形成していてもよい。R30又はR31は、R32又はR33と結合して環を形成している場合の一例として、芳香族基が縮合したビシクロ構造である一般式(n5)の構造が挙げられる。
一般式(n5)においてfはcと同様の整数であり、Z2は、酸素原子、硫黄原子、アミノ基、アルキレン基又はアリーレン基である。
アルキレン基としては炭素数1以上2以下のものが好ましく、メチレン基又はエチレン器が挙げられる。アリーレン基としては炭素数5以上12以下のものが好ましく、例えばフェニレン基が挙げられる。アミノ基は、メチル基又はエチル基等の炭素数1以上6以下のアルキル基で置換されていてもよい。アルキレン基は、メトキシ基等の炭素数1以上6以下のアルコキシ基、炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基で置換されていてもよい。アリーレン基は、メトキシ基等の炭素数1以上6以下のアルコキシ基、炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基で置換されていてもよい。
式(n5)に表される構造は、下記式(n6)又は式(n7)で表される構造であることが特に好ましい。
一般式(n4)において、R34〜R35は各々独立して、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1である。置換基の種類は異なっていても同一でもよく、好ましくは同一である。
アルコキシカルボニル基を構成するアルコキシ基としては、炭素数1以上12以下のアルコキシ基又は炭素数1以上12以下のフッ化アルコキシ基が好ましく、炭素数1以上12以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ヘキソキシ基、オクトキシ基、2−プロピルペントキシ基、2−エチルヘキソキシ基、シクロヘキシルメトキシ基又はベンジルオキシ基がさらに好ましく、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブ
トキシ基、イソブトキシ基又はn−ヘキソキシ基が特に好ましい。
アルキル基としては、炭素数1以上8以下の直鎖アルキル基が好ましく、n−プロピル基がより好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基には特に限定は無いが、好ましくはアルコキシカルボニル基である。アルコキシカルボニル基を構成するアルコキシ基としては、炭素数1以上14以下のアルコキシ基又はフッ化アルコキシ基が好ましく、炭素数1以上14以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ヘキソキシ基、オクトキシ基、2−プロピルペントキシ基、2−エチルヘキソキシ基、シクロヘキシルメトキシ基又はベンジルオキシ基がさらに好ましく、メトキシ基又はn−ブトキシ基が特に好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基が好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のフッ化アルキル基又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数1以上14以下のアルコキシ基がさらに好ましく、メトキシ基又は2−エチルヘキシルオキシ基が特に好ましい。
一般式(n4)で表される構造の好ましい例としては、R34及びR35が共にアルコキシカルボニル基であるもの、R34及びR35が共に芳香族基であるもの並びにR34が芳香族基でありかつR35が3−(アルコキシカルボニル)プロピル基であるものが挙げられる。
湿式成膜法を用いてフラーレン化合物を含む層を形成するためには、フラーレン化合物自体が液状で塗布可能であるか、又はフラーレン化合物が何らかの溶媒に対して溶解性が高く溶液として塗布可能であることが好ましい。用いられるフラーレン化合物の、25℃でのトルエンに対する溶解度は、通常0.1質量%以上、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上である。フラーレン化合物の溶解度が0.1質量%以上であることは、フラーレン化合物を含有する溶液におけるフラーレン化合物の分散安定性が増加し、凝集、沈降、分離等が起こりにくくなるために、湿式成膜法による成膜が容易となる点で好ましい。
湿式成膜法を用いてフラーレン化合物を含む層を形成する場合における、フラーレン化合物を含有する溶液の溶媒は、非極性有機溶媒であれば特段に制限はないが、非ハロゲン系溶媒が好ましい。ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒を用いることも可能であるが、環境負荷の面等から代替が求められている。非ハロゲン系溶媒としては、例えば、非ハロゲン系芳香族炭化水素類が挙げられる。その中でも好ましくはトルエン、キシレン又はシクロヘキシルベンゼン等である。
(フラーレン化合物の製造方法)
フラーレン化合物の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、部分構造(n1)を有するフラーレンの合成は、国際公開第2008/059771号又はJ.Am.Chem.Soc.,2008,130(46),15429−15436のような公知文献の記載に従って、実施可能である。
部分構造(n2)を有するフラーレンの合成は、J.Am.Chem.Soc.1993,115,9798−9799、Chem.Mater.2007,19,5363−5372又はChem.Mater.2007,19,5194−5199のような公知
文献の記載に従って、実施可能である。
部分構造(n3)を有するフラーレンの合成は、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1993,32,78−80、Tetrahedron Lett.1997,38,285−288、国際公開第2008/018931号又は国際公開第2009/086210号のような公知文献の記載に従って、実施可能である。
部分構造(n4)を有するフラーレンの合成は、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,1997,1595、Thin Solid Films 489(2005)251−256、Adv.Funct.Mater.2005,15,1979−1987又はJ.Org.Chem.1995,60,532−538のような公知文献の記載に従って、実施可能である。
[4.2.2.2.N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体]
N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体としては、特段の制限はないが、具体的には国際公開第2008/063609号、国際公開第2009/115553号、国際公開第2009/098250号、国際公開第2009/000756号及び国際公開第2009/091670号に記載されている化合物が挙げられる。これらの化合物は、電子移動度が高く、可視領域の光を吸収するため、電荷輸送と発電との両方に寄与しうる点から好ましい。
[4.2.2.3.ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド]
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドとしては、特段の制限はないが、具体的には国際公開第2008/063609号、国際公開第2007/146250号及び国際公開第2009/000756号に記載されている化合物が挙げられる。これらの化合物は、電子移動度が高く、溶解性が高く塗布性に優れている点から好ましい。
[4.2.2.4.n型高分子半導体化合物]
n型高分子半導体化合物としては、特段の制限はないが、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド若しくはペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、ペリレンジイミド誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ビピリジン誘導体及びボラン誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするn型高分子半導体化合物等が挙げられる。
その中でも、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体及びN−アルキル置換されたペリレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするポリマーが好ましく、N−アルキル置換されたペリレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体及びN−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするn型高分子半導体化合物がより好ましい。
n型高分子半導体化合物の具体例としては、国際公開第2009/098253号、国際公開第2009/098250号、国際公開第2010/012710号及び国際公開第2009/098250号に記載されている化合物が挙げられる。これらの化合物は、可視領域の光を吸収するために発電に寄与しうる点、及び粘度が高く塗布性に優れている点から好ましい。
本発明では、活性層103の上に中間層を積層し、中間層の上に、更に活性層を積層することで、タンデム構造の光電変換素子とすることも可能である。中間層は、上述した本発明に係る中間層を用いることが好ましい。更なる活性層は、通常、上述した活性層103の材料から選ばれる材料を用いる。なお、活性層103を構成する材料と更なる活性層を構成する材料とは、同一の材料であっても、違う材料であってもよい。
[4.3.基材(106)]
光電変換素子107は、通常は支持体となる基材106を有する。すなわち、基材106上に、電極(カソード)101と、電子取り出し層102と、活性層103と、正孔取り出し層104と、電極(アノード)105とが形成される。
基材106の材料(基材材料)は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。基材材料の好適な例を挙げると、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料又はフレキシブル基材が挙げられる。フレキシブル基材の具体例としては、限定されるわけではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル又はポリエチレン等のポリオレフィン;セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料(樹脂基材);紙又は合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料等が挙げられる。
上述の基材の中でも、ロールツゥーロール方式による製造が可能となるフレキシブル基材が好ましい。
ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
基材106の形状に制限はなく、例えば、板、フィルム、シート等の形状でありうる。基材106の膜厚に制限はない。基材106の膜厚は、好ましくは5μm以上、より好ましくは20μm以上であり、一方、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下である。基材106の膜厚が5μm以上であることは、半導体デバイスの強度が向上する点で好ましい。基材106の膜厚が20mm以下であることは、製造コストが抑えられ、かつ光電変換素子107が軽くなるために好ましい。また、基材106の材料がガラスである場合の基材106の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、通常1cm以下、好ましくは0.5cm以下で・BR> る。ガラス基材の膜厚が0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために好ましい。また、ガラス基材の膜厚が0.5cm以下であることは、光電変換素子107が軽くなるために好ましい。
[4.4.電極(101,105)]
一対の電極(101,105)は、光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。したがって、一対の電極には、正孔の捕集に適したアノード105と、電子の捕集に適したカソード101とを用いることが好ましい。
一対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光が40%以上透過することを指す。また、透明電極の太陽光線透過率は70%以上であることが、透明電極を透過させて活性層103に光を到達させるために好ましい。光の透過率は、通常の分光光度計で測定できる。
さらに、アノード105及びカソード101は、2層以上の層が積層された構造を有していてもよい。また、表面処理によりアノード105及びカソード101の特性(電気特性やぬれ特性等)を改良してもよい。
[4.4.1.アノード(105)]
アノード105は、正孔の捕集に適した材料で構成される電極であることが好ましい。アノード105の材料は、一般にはカソード101の材料よりも仕事関数が大きい導電性材料であり、活性層103で発生した正孔をスムーズに取り出す機能を有する。
アノード105の材料としては、例えば、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化インジウム、酸化スズインジウム(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、酸化チタン、又は酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;金、白金、銀、クロム又はコバルト等の金属若しくはその合金等が挙げられる。これらの物質は大きい仕事関数を有するために好ましく、また、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSで代表されるような導電性高分子材料を積層することができるために好ましい。このような導電性高分子材料を積層する場合には、導電性高分子材料の仕事関数が大きいことから、上記のような大きい仕事関数を有する材料の代わりに、アルミニウム又はマグネシウム等の、カソードの材料に適した金属を用いることも可能である。
また、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSS、又はポリピロール若しくはポリアニリン等にヨウ素等をドーピングした導電性高分子材料等を、アノード105の材料として使用することもできる。
アノード105が透明電極である場合には、ITO、酸化亜鉛又は酸化スズ等の透光性がある導電性金属酸化物を用いることが好ましく、特にITOを用いることが好ましい。
アノード105の膜厚は特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下である。アノード105の膜厚が10nm以上であることは、シート抵抗が抑えられる点で好ましく、アノード105の膜厚が10μm以下であることは、光透過率が向上するために光電変換素子107が効率よく光を電気に変換しうる点で好ましい。アノード105が透明電極である場合には、光透過率とシート抵抗を両立する膜厚を選ぶことが望ましい。
アノード105のシート抵抗に、特段の制限はないが、通常1Ω/□以上であり、一方、通常1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。シート抵抗がより低いことは、光電変換効率が向上しうる点で好ましい。
アノード105の形成方法としては、真空蒸着法若しくはスパッタ法等の乾式成膜法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式成膜法が挙げられる。
[4.4.2.カソード(101)]
カソード101は、電子の捕集に適した材料で構成される電極であることが好ましい。カソード101の材料は、一般にはアノード105の材料よりも小さい仕事関数を有する導電性材料であり、活性層103で発生した電子をスムーズに取り出す機能を有する。電子をよりスムーズに取り出すために、カソード101は電子取り出し層102と隣接することが好ましい。
カソード101の材料の例としては、白金、金、銀、銅、鉄、スズ、亜鉛、アルミニウ
ム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム又はマグネシウム等の金属及びその合金;フッ化リチウム又はフッ化セシウム等の無機塩;酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化リチウム又は酸化セシウム等の金属酸化物等が挙げられる。これらの材料は小さい仕事関数を有するために好ましい。もっとも、電子取り出し層102が活性層103で発生した電子をスムーズに取り出す機能を有することから、カソード101の材料として、アノード105の材料に適した大きい仕事関数を有する材料を用いることもできる。電極保護の観点から、カソード101の材料として好ましくは、白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウム、カルシウム又はインジウム等の金属及びこれらの金属を用いた合金である。
カソード101の膜厚には特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下である。カソード101の膜厚が10nm以上であることは、シート抵抗が抑えられるために好ましい。またカソード101の膜厚が10μm以下であることは、光透過率が向上するために効率よく光を電気に変換しうる点で好ましい。カソード101が透明電極である場合には、光透過率とシート抵抗を両立する膜厚を選ぶことが望ましい。
カソード101のシート抵抗に特に制限は無いが、通常1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。下限に制限は無いが、通常は1Ω/□以上である。シート抵抗がより低いことは、光電変換効率が向上しうる点で好ましい。
カソード101の形成方法としては、真空蒸着法若しくはスパッタ法等の乾式成膜法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式成膜法が挙げられる。
[4.5.光電変換素子の製造方法]
光電変換素子107は、上述した方法に従い、基材106、カソード101、電子取り出し層102、活性層103、正孔取り出し層104、及びアノード105を順次積層することにより作製することができる。異なる構成を有する光電変換素子、例えば基材106と正孔取り出し層104との少なくとも一方を有さない光電変換素子も、同様の方法により作製することができる。
アノード105及びカソード101を積層した後に、光電変換素子107を通常50℃以上、好ましくは80℃以上、一方、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下の温度範囲において、加熱することが好ましい。この工程をアニーリング処理工程と称する場合がある。
アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことは、電子取り出し層102と電極101、及び電子取り出し層102と活性層103のうち少なくとも一方の密着性が向上しうる点で好ましい。アニーリング処理工程を300℃以下の温度で行うことは、活性層103中の有機化合物が熱分解することを抑えられるために好ましい。アニーリング処理工程においては、上記の範囲内の異なる温度で段階的に加熱を行ってもよい。
加熱時間としては、通常1分間以上、好ましくは3分間以上であり、一方、通常180分間以下、好ましくは60分間以下である。加熱は、光電変換素子の性能を示すパラメーターである、開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値となった際に終了することが好ましい。また、アニーリング処理工程は、常圧下かつ不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
加熱方法としては特に限定されないが、ホットプレート等の熱源に光電変換素子107を載せる方法、及びオーブン等の加熱雰囲気下に光電変換素子107を入れる方法等が挙げられる。加熱は、バッチ方式で行っても、連続方式で行ってもよい。
[4.6.光電変換特性]
光電変換素子の光電変換特性は次のようにして求めることができる。すなわち、光電変換素子にソーラシミュレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cm2で照射して、電流−電圧特性を測定する。測定により得られた電流−電圧曲線から、光電変換効率(PCE)、短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、FF(フィルファクター)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。
本発明に係る光電変換素子の光電変換効率は、特段の制限はないが、通常1%以上、好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上である。一方、上限に特段の制限はないが、高ければ高いほどよい。
光電変換素子の耐久性を測定する方法としては、光電変換素子を大気に暴露する前後での、光電変換効率の維持率を求める方法が挙げられる。具体的には、維持率は以下のようにして求められる。
(維持率)=(N時間の大気暴露後の光電変換効率)/(大気暴露直前の光電変換効率)
光電変換素子を実用化するためには、製造が容易かつ安価であること以外に、光電変換素子が高い光電変換効率及び高い耐久性を有することも重要である。本発明に係る光電変換素子の光電変換効率の維持率は、3日間の大気暴露後で70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、高ければ高いほど好ましい。
[5.本発明に係る太陽電池]
本発明に係る光電変換素子107は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましい。
図3は本発明の一実施形態としての薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。図3に示すように、本実施形態の薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10とをこの順に備える。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及びガスバリアフィルム9のうち少なくとも一方を用いなくてもよい。
[5.1.耐候性保護フィルム(1)]
耐候性保護フィルム1は天候変化から太陽電池素子6を保護するフィルムである。耐候性保護フィルム1で太陽電池素子6を覆うことにより、太陽電池素子6等を天候変化等から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。耐候性保護フィルム1は、薄膜太陽電池14の最表層に位置するため、耐候性、耐熱性、透明性、撥水性、耐汚染性及び機械強度のうち少なくとも一方等の、薄膜太陽電池14の表面被覆材として好適な性能を備え、しかもそれを屋外暴露において長期間維持する性質を有することが好ましい。
また、耐候性保護フィルム1は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率が80%以上であることが好ましく、上限に制限はない。さらに、薄膜太陽電池14は光を受け
て熱せられることが多いため、耐候性保護フィルム1も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、耐候性保護フィルム1の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
耐候性保護フィルム1を構成する材料は、天候変化から太陽電池素子6を保護することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタラート若しくはポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、シリコン系樹脂又はポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
なお、耐候性保護フィルム1は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、耐候性保護フィルム1は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
耐候性保護フィルム1の厚みは特に規定されないが、通常10μm以上200μm以下である。
また耐候性保護フィルム1には、他のフィルムとの接着性の改良のために、コロナ処理及びプラズマ処理のうち少なくとも一方等の表面処理を行なってもよい。
耐候性保護フィルム1は、薄膜太陽電池14においてできるだけ外側に設けることが好ましい。薄膜太陽電池14の構成部材のうちより多くのものを保護できるようにするためである。
[5.2.紫外線カットフィルム(2)]
紫外線カットフィルム2は紫外線の透過を防止するフィルムである。紫外線カットフィルム2を薄膜太陽電池14の受光部分に設け、紫外線カットフィルム2で太陽電池素子6の受光面6aを覆うことにより、太陽電池素子6及び必要に応じてガスバリアフィルム3、9等を紫外線から保護し、発電能力を高く維持することができるようになっている。
紫外線カットフィルム2に要求される紫外線の透過抑制能力の程度は、紫外線(例えば、波長300nm)の透過率が50%以下であることが好ましく、下限に制限はない。また、紫外線カットフィルム2は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率が80%以上であることが好ましく、上限に制限はない。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、紫外線カットフィルム2も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、紫外線カットフィルム2の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
また、紫外線カットフィルム2は、柔軟性が高く、隣接するフィルムとの接着性が良好であり、水蒸気や酸素をカットしうることが好ましい。
紫外線カットフィルム2を構成する材料は、紫外線の強度を弱めることができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系又はエステル系の樹脂に紫外線吸収剤を配合して成膜したフィルム等が挙げられる。また、紫外線吸収剤を樹脂中に分散あるいは溶解させたものの層(以下、適宜「紫外線吸収層」と
いう)を基材フィルム上に形成したフィルムを用いてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系又はシアノアクリレート系のものを用いることができる。なお、1種の紫外線吸収剤を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。上記のように、紫外線吸収フィルムとしては紫外線吸収層を基材フィルム上に形成したフィルムを用いることもできる。このようなフィルムは、例えば、紫外線吸収剤を含む塗布液を基材フィルム上に塗布し、乾燥させることで作製できる。
基材フィルムの材質は特に限定されないが、耐熱性、柔軟性のバランスが良好なフィルムが得られる点で、例えばポリエステルが挙げられる。
紫外線カットフィルム2の具体的な商品の例を挙げると、カットエース(MKVプラスティック株式会社)等が挙げられる。なお、紫外線カットフィルム2は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。
また、紫外線カットフィルム2は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。紫外線カットフィルム2の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上200μm以下である。
紫外線カットフィルム2は、太陽電池素子6の受光面6aの少なくとも一部を覆う位置に設ければよいが、好ましくは太陽電池素子6の受光面6aの全てを覆う位置に設ける。ただし、太陽電池素子6の受光面6aを覆う位置以外の位置にも紫外線カットフィルム2が設けられていてもよい。
[5.3.ガスバリアフィルム(3)]
ガスバリアフィルム3は水及び酸素の透過を防止するフィルムである。ガスバリアフィルム3で太陽電池素子6を被覆することにより、太陽電池素子6を水及び酸素から保護し、発電能力を高く維持することができる。
ガスバリアフィルム3に要求される防湿能力の程度は、太陽電池素子6の種類等に応じて様々であるが、例えば、単位面積(1m2)の1日あたりの水蒸気透過率が、通常1×10−1g/m2/day以下であることが好ましく、下限に制限はない。
ガスバリアフィルム3に要求される酸素透過性の程度は、太陽電池素子6の種類等に応じて様々であるが、例えば、単位面積(1m2)の1日あたりの酸素透過率が、通常1×10−1cc/m2/day/atm以下であることが好ましく、下限に制限はない。
また、ガスバリアフィルム3は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率は、通常60%以上であり、上限に制限はない。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、ガスバリアフィルム3も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ガスバリアフィルム3の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
ガスバリアフィルム3の具体的な構成は、太陽電池素子6を水から保護できる限り任意である。ただし、ガスバリアフィルム3を透過しうる水蒸気や酸素の量を少なくできるフィルムほど製造コストが高くなるため、これらの点を総合的に勘案して適切なものを使用することが好ましい。
なかでも好適なガスバリアフィルム3としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)或いはポリエチレンナフタレート(PEN)等の基材フィルムにSiOxを真空蒸着したフィルム等が挙げられる。
なお、ガスバリアフィルム3は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、ガスバリアフィルム3は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ガスバリアフィルム3の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上200μm以下である。
ガスバリアフィルム3は、太陽電池素子6を被覆して湿気及び酸素から保護できればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子6の正面(受光面側の面。図2では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図2では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池14においてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いためである。本実施形態ではガスバリアフィルム3が太陽電池素子6の正面を覆い、後述するガスバリアフィルム9が太陽電池素子6の背面を覆うようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及びガスバリアフィルム9のうち少なくとも一方を用いなくてもよい。
[5.4.ゲッター材フィルム(4)]
ゲッター材フィルム4は水分及び酸素のうち少なくとも一方を吸収するフィルムである。ゲッター材フィルム4で太陽電池素子6を覆うことにより、太陽電池素子6等を水分及び酸素のうち少なくとも一方から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。ここで、ゲッター材フィルム4はガスバリアフィルム3とは異なり、水分の透過を妨げるものではなく、水分を吸収するものである。水分を吸収するフィルムを用いることにより、ガスバリアフィルム3及び9等で太陽電池素子6を被覆した場合に、ガスバリアフィルム3及び9で形成される空間に僅かに浸入する水分をゲッター材フィルム4が捕捉して水分による太陽電池素子6への影響を排除できる。
ゲッター材フィルム4の水分吸収能力の程度は、通常0.1mg/cm2以上であり、上限に制限は無いが、通常10mg/cm2以下である。また、ゲッター材フィルム4が酸素を吸収することは、ガスバリアフィルム3及び9等で太陽電池素子6を被覆した場合に、ガスバリアフィルム3及び9で形成される空間に僅かに浸入する酸素をゲッター材フィルム4が捕捉して酸素による太陽電池素子6への影響を排除できるために、好ましい。
さらに、ゲッター材フィルム4は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率は、通常60%以上であり、上限に制限はない。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せされることが多いため、ゲッター材フィルム4も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ゲッター材フィルム4の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
ゲッター材フィルム4を構成する材料は、水分及び酸素のうち少なくとも一方を吸収することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、水分を吸収する物質としてアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアルカリ土類金属の酸化物;アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;シリカゲル、ゼオライト系化合物、硫酸マグネシウム、
硫酸ナトリウム又は硫酸ニッケル等の硫酸塩;アルミニウム金属錯体又はアルミニウムオキサイドオクチレート等の有機金属化合物等が挙げられる。具体的には、アルカリ土類金属としては、カルシウム、ストロンチウム、又はバリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属の酸化物としては、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、又は酸化バリウム(BaO)等が挙げられる。その他にZr−Al−BaOやアルミニウム金属錯体等も挙げられる。具体的な商品名を挙げると、例えば、OleDry(双葉電子社製)等が挙げられる。
酸素を吸収する物質としては、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、酸化マグネシウム又は酸化鉄等が挙げられる。また鉄、マンガン、若しくは亜鉛、又はこれら金属の硫酸塩、塩化物塩若しくは硝酸塩等の無機塩も挙げられる。
なお、ゲッター材フィルム4は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、ゲッター材フィルム4は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ゲッター材フィルム4の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上200μm以下である。
ゲッター材フィルム4は、ガスバリアフィルム3及び9で形成される空間内であればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子6の正面(受光面側の面。図2では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図2では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池14においてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いため、これらの面を介して水分及び酸素が浸入する傾向があるからである。この観点から、ゲッター材フィルム4はガスバリアフィルム3と太陽電池素子6との間に設けることが好ましい。本実施形態ではゲッター材フィルム4が太陽電池素子6の正面を覆い、後述するゲッター材フィルム8が太陽電池素子6の背面を覆い、ゲッター材フィルム4、8がそれぞれ太陽電池素子6とガスバリアフィルム3、9との間に位置するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及びガスバリアフィルム9のうち少なくとも一方を用いなくてもよい。
[5.5.封止材(5)]
封止材5は、太陽電池素子6を補強するフィルムである。太陽電池素子6は薄いため通常は強度が弱く、ひいては薄膜太陽電池の強度が弱くなる傾向があるが、封止材5により強度を高く維持することが可能である。
また、封止材5は、薄膜太陽電池14の強度保持の観点から強度が高いことが好ましい。具体的強度については、封止材5以外の耐候性保護フィルム1やバックシート10の強度とも関係することになり一概には規定しにくいが、薄膜太陽電池14全体が良好な曲げ加工性を有し、折り曲げ部分の剥離を生じないような強度を有するのが望ましい。
また、封止材5は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率は、通常60%以上であり、上限に制限はない。
封止材5の厚みは特に規定されないが、通常2μm以上通常700μm以下である。
封止材5の基板に対するT型剥離接着強さは通常1N/インチ以上通常2000N/インチ以下である。T型剥離接着強さが1N/インチ以上であることは、モジュールの長期
耐久性を確保できる点で好ましい。T型剥離接着強さが2000N/インチ以下であることは、太陽電池モジュールを廃棄する際に、基材やバリアフィルムと接着材を分別して廃棄できる点で好ましい。T型剥離接着強さはJIS K6854−3(1999年)に準拠する方法により測定する。
封止材5の構成材料としては、上記特性を有する限り特段の制限はないが、有機・無機の太陽電池の封止、有機・無機のLED素子の封止、又は電子回路基板の封止等に一般的に用いられている封止用材料を用いる事ができる。
具体的には、熱硬化性樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物、又は活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が挙げられる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とは例えば、紫外線、可視光又は電子線等で硬化する樹脂のことである。より具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂組成物、炭化水素系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、又はシリコン系樹脂組成物等が挙げられ、それぞれの高分子の主鎖、分岐鎖、末端の化学修飾、分子量の調整、又は添加剤等によって、熱硬化性、熱可塑性及び活性エネルギー線硬化性等の特性が発現する。
また、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、封止材5も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、封止材5の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
封止材5中の封止材用構成材料の密度は、0.80g/cm3以上が好ましく、上限に制限はない。なお、密度の測定と評価は、JIS K7112(1999年)に準拠する方法によって実施することができる。
封止材5を設ける位置に制限は無いが、通常は太陽電池素子6を挟み込むように設ける。太陽電池素子6を確実に保護するためである。本実施形態では、太陽電池素子6の正面及び背面にそれぞれ封止材5及び封止材7を設けるようにしている。
[5.6.太陽電池素子(6)]
太陽電池素子6は、前述の光電変換素子107と同様である。
太陽電池素子6は、薄膜太陽電池14一個につき一個だけを設けてもよいが、通常は2個以上の太陽電池素子6を設ける。具体的な太陽電池素子6の個数は任意に設定すればよい。太陽電池素子6を複数設ける場合、太陽電池素子6はアレイ状に並べて設けられていることが多い。
太陽電池素子6を複数設ける場合、通常は、太陽電池素子6同士は電気的に接続され、接続された一群の太陽電池素子6から生じた電気を端子(図示せず)から取り出すようになっていて、この際、電圧を高めるため通常は、太陽電池素子は直列に接続される。
このように太陽電池素子6同士を接続する場合には、太陽電池素子6間の距離は小さいことが好ましく、ひいては、太陽電池素子6と太陽電池素子6との間の隙間は狭いことが好ましい。太陽電池素子6の受光面積を広くして受光量を増加させ、薄膜太陽電池14の発電量を増加させるためである。
[5.7.封止材(7)]
封止材7は、上述した封止材5と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は封止材7と同様のものを同様に用いることができる。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成
部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[5.8.ゲッター材フィルム(8)]
ゲッター材フィルム8は、上述したゲッター材フィルム4と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他はゲッター材フィルム4と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[5.9.ガスバリアフィルム(9)]
ガスバリアフィルム9は、上述したガスバリアフィルム3と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他はガスバリアフィルム9と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[5.10.バックシート(10)]
バックシート10は、上述した耐候性保護フィルム1と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は耐候性保護フィルム1と同様のものを同様に用いることができる。また、このバックシート10が水及び酸素を透過させ難いものであれば、バックシート10をガスバリア層として機能させることも可能である。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[5.11.寸法等]
本実施形態の薄膜太陽電池14は、通常、膜状の薄い部材である。このように膜状の部材として薄膜太陽電池14を形成することにより、薄膜太陽電池14を建材、自動車又はインテリア等に容易に設置できるようになっている。薄膜太陽電池14は、軽く、割れにくく、従って安全性の高い太陽電池が得られ、また曲面にも適用可能であるためさらに多くの用途に使用しうる。さらに、薄膜太陽電池14は薄くて軽いため、輸送や保管等流通面でも好ましい。さらに、薄膜太陽電池14は膜状であるため、ロールトゥロール式の製造が可能であり製造における大幅なコストカットが可能である。
薄膜太陽電池14の具体的な寸法に制限は無いが、その厚みは、通常300μm以上3000μm以下である。
[5.12.製造方法]
本発明に係る太陽電池の製造方法に制限は無く、例えば、図3に示す薄膜太陽電池14の製造方法としては、図3に示される積層体を作成した後に、ラミネート封止工程を行う方法が挙げられる。本実施形態の太陽電池素子は、耐熱性に優れるため、ラミネート封止工程による劣化が低減されうる点で好ましい。
図3に示される積層体作成は周知の技術を用いて行うことができる。ラミネート封止工程の方法は、本発明の効果を損なわなければ特に制限はないが、例えば、ウェットラミネート、ドライラミネート、ホットメルトラミネート、押出しラミネート、共押出成型ラミネート、押出コーティング、光硬化接着剤によるラミネート又はサーマルラミネート等が挙げられる。なかでも有機ELデバイス封止で実績のある光硬化接着剤によるラミネート法、太陽電池で実績のあるホットメルトラミネート法若しくはサーマルラミネート法が好ましく、ホットメルトラミネート法又はサーマルラミネート法がシート状の封止材を使用できる点でより好ましい。
ラミネート封止工程の加熱温度は通常130℃以上、好ましくは140℃以上であり、通常180℃以下、好ましくは170℃以下である。ラミネート封止工程の加熱時間は通常10分以上、好ましくは20分以上であり、通常100分以下、好ましくは90分以下である。ラミネート封止工程の圧力は通常0.001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上であり、通常0.2MPa以下、好ましくは0.1MPa以下である。圧力をこの範囲とすることで封止を確実に行うことができ、かつ、端部からの封止材5、7のはみ出しと過加圧による膜厚低減とを抑えることで寸法安定性を確保しうる。なお、2個以上の太陽電池素子6を直列又は並列接続したものも、上記の方法と同様にして製造することができる。
[5.13.用途]
本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。本発明に係る太陽電池を利用しうる分野の例としては、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池等が挙げられる。
本発明に係る太陽電池、特には、薄膜太陽電池は、そのまま用いても、基材上に1以上の太陽電池を設置して太陽電池モジュールとして用いてもよい。例えば、図4に模式的に示すように、基材12上に薄膜太陽電池14を備えた太陽電池モジュール13を用意し、これを使用場所に設置して用いることができる。具体例を挙げると、基材12として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けることにより、太陽電池モジュール13として太陽電池パネルを作製することができる。
基材12は薄膜太陽電池14を支持する支持部材である。基材12を形成する材料としては特に制限されず、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料又はフレキシブル基材が挙げられる。フレキシブル基材の具体例としては、限定されるわけではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル又はポリエチレン等のポリオレフィン;セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料(樹脂基材);紙又は合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料等が挙げられる。
なお、基材12の材料としては、1種の材料を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、これらの有機材料あるいは紙材料に炭素繊維を含ませ、機械的強度を補強させてもよい。基材12の例を挙げると、アルポリック(登録商標;三菱樹脂製)等が挙げられる。
基材12の形状に制限はないが、通常は板材を使用する。また、基材12の材料、寸法等は、その使用環境に応じて任意に設定すればよい。この太陽電池パネルは、建物の外壁等に設置することができる。
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
<チタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体の分解温度(Td)>
エスアイアイ・ナノテクノロジー社製TG−DTA6300を用いた、示差熱質量同時分析により、東京化成工業社製品(白色粉末)の分解温度を測定した。測定条件は以下の通りである。
試料容器: アルミニウム製試料容器
雰囲気: 大気 200mL/分
昇温速度: 10℃/分
温度範囲: 25℃〜600℃
測定された分解温度は、233℃であった。
<X線光電子分光法(XPS)測定>
[実施例1−1]
チタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体(東京化成工業社製,524mg,2.0mmol)及び酢酸ナトリウム(和光純薬工業社製,8.2mg,0.10mmol)を、イソプロパノール(純正化学社製,10mL)に溶解させ、60℃で1時間攪拌した後に、5.0μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することで、ナトリウム化合物を含有するチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体溶液を調製した。
次に、ボロンがドーピングされた厚み250μmの2インチΦシリコンウェハー(エレクトロニクスエンドマテリアルズコーポレーション社製)を、アセトンを用いた超音波洗浄、イソプロパノールを用いた超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
洗浄後の基板上に、上述のように調製した溶液を、大気中、スピンコーターACT−300DII(アクティブ社製)でスピンコートした後に、大気中、150℃で10分間加熱乾燥することで、ナトリウム化合物とチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体とを含む混合層(膜厚30nm)を形成した。
作製したナトリウム化合物とチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体とを含む混合層のX線光電子分光法(XPS)測定を行った。測定条件及び測定結果は以下の通りである。
(測定条件)
測定装置:PHI社製Quantum2000
X線源:単色化Al−Kα、出力16kV−34W
帯電中和:電子銃(5μA)、イオン銃(2V)併用
分光系:パスエネルギー
187.85eV(ワイドスペクトル)
93.90eV(デプスプロファイルSi(2p))
58.70eV(デプスプロファイルC(1s)、O(1s)、Na(2p)、Ti(2p))
29.35eV(ナロープスペクトルC(1s)、O(1s)、Na(1s)、Na(2p)、Ti(2p))
測定領域:300μm
取り出し角:45°(表面より)
(測定結果)
Na(2p):Ti(2p)
表面から7.0nm 5.0 : 100
[比較例1−1]
酢酸亜鉛二水和物(和光純薬工業社製,1760mg,8.0mmol)及び酢酸ナトリウム(和光純薬工業社製,13mg,0.16mmol)を、エタノールアミン(アルドリッチ社製,0.50mL)及び2−メトキシエタノール(アルドリッチ社製,10mL)に溶解させ、60℃で1時間攪拌後に、5.0μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することで、ナトリウム化合物を含有する酸化亜鉛の前駆溶液を調製した。
次に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜(155nm厚)を堆積したガラス基板を、界面活性剤を加えた超純水による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
洗浄後の基板上に、上述のように調製した酸化亜鉛の前駆溶液を、大気中、スピンコーターACT−300DII(アクティブ社製)でスピンコートした後に、大気中、150℃で60分間加熱乾燥することで、ナトリウム化合物と酸化亜鉛とを含む混合層(膜厚約40nm)を形成した。
作製したナトリウム化合物と酸化亜鉛とを含む混合層のX線光電子分光法(XPS)測定を行った。測定条件及び測定結果は以下の通りである。
(測定条件)
測定装置:PHI社製Quantum2000
X線源:単色化Al−Kα、出力16kV−34W
帯電中和:電子銃(5μA)、イオン銃(2V)併用
分光系:パスエネルギー
187.85eV(ワイドスペクトル)
58.70eV(デプスプロファイルC(1s)、O(1s)、Na(1s)、Zn(2p))
測定領域:300μm
取り出し角:45°(表面より)
Na(1s):Zn(2p)
表面から10.04nm 1.13 : 100
チタン原子数に対して5%のナトリウム原子を含有するチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体の溶液を用いて作製した混合層の内部には、チタン原子数に対してほぼ同数の5%のナトリウム原子が存在している。また、亜鉛原子数に対して2原子%のナトリウム原子を含有する酸化亜鉛の前駆溶液を用いて作製した混合層の内部には、亜鉛原子数に対して1.13原子%のナトリウム原子が存在している。
以上の結果より、金属オキソ錯体と、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素とを含有する混合層の場合では、金属酸化物と、金属酸化物の金属元素とは異なる金属元素とを含有する混合層の場合と比べて、原料の組成比(仕込み比)と混合層内部の組成比との差が小さいことがわかる。
<光電変換素子の作製及び評価>
[実施例2−1]
チタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体(東京化成工業社製,524mg,2.0mmol)及び酢酸ナトリウム(和光純薬工業社製,1.6mg,0.02mmol)を
、イソプロパノール(純正化学社製,10mL)に溶解させ、60℃で1時間攪拌した後に、5.0μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することで、ナトリウム化合物を含有するチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体溶液を調製した。
次に、レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT,Rieke Metals社製)と、C60(Ind)2(フロンティアカーボン社製)とを、質量比1:0.95で、合計濃度が3.5質量%となるように、o−キシレン(和光純薬工業社製)に溶解した。得られた溶液を、窒素雰囲気下、80℃で1時間、スターラーを用いて攪拌混合した。攪拌後の溶液を0.45μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することにより、有機活性層塗布液を作製した。
厚さ155nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜をパターン堆積したガラス基板を、アセトンを用いた超音波洗浄、イソプロパノールを用いた超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
洗浄後の基板上に、上述のように調製したナトリウム化合物を含有するチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体溶液を、大気中、スピンコーターACT−300DII(アクティブ社製)でスピンコートした後に、大気中、150℃で10分間加熱乾燥することで、ナトリウム化合物を含有するチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体を含有する電子取り出し層(膜厚31nm)を形成した。
次に、電子取り出し層上に、上述のように調製した有機活性層塗布液を、窒素雰囲気下、スピンコーターMS−A100(ミカサ社製)でスピンコートすることにより、有機活性層(膜厚約200nm)を形成した。
その後、界面活性剤(日信化学工業製、オルフィンEXP4036)を1質量%含有させた、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)水性分散液(ヘレウス社製 商品名「CLEVIOSTM PVP AI4083」)を、0.45μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルターで濾過してから、大気中、スピンコーターACT−300DII(アクティブ社製)で有機活性層上にスピンコートした後、窒素中、150℃で10分間加熱乾燥することで、有機活性層上に正孔取り出し層(膜厚約100nm)を形成した。
さらに、正孔取り出し層の上に真空蒸着法により銀電極(厚さ100nm)を設けた後に、ホットプレートで120℃5分間加熱することによって、5mm角のバルクヘテロ接合型光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子に、ITO電極側からソーラシミュレーター(AM1.5G)で100mW/cm2の強度の光を照射し、ソースメーター2400型(ケースレーインス
ツルメンツ社製)にて、ITO電極と銀電極との間における電流−電圧特性を測定した。測定された電流−電圧特性により、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm2)、形状因子FF、及び光電変換効率PCE(%)を算出した。測定結果を表1に示す。
ここで、開放電圧Vocとは電流値=0(mA/cm2)の際の電圧値(V)であり、短絡電流密度Jscとは電圧値=0(V)の際の電流密度(mA/cm2)である。形状因子(FF)とは内部抵抗を表すファクターであり、最大出力点をPmaxとすると次式で表される。
FF = Pmax/(Voc×Jsc)
また、光電変換効率PCE(%)は、入射エネルギーをPinとすると次式で与えられる。
PCE = Pmax/Pin = Voc×Jsc×FF/Pin×100
[実施例2−2]
実施例2−1において、酢酸ナトリウムを8.2mg(0.10mmol)用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例2−3]
実施例2−1において、酢酸ナトリウムを16mg(0.20mmol)用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例2−4]
実施例2−1において、酢酸ナトリウムを33mg(0.40mmol)用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例2−5]
実施例2−1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸リチウム二水和物(和光純薬工業社製,2.1mg,0.02mmol)を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例2−6]
実施例2−1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸リチウム二水和物(和光純薬工業社製,10mg,0.10mmol)を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例2−7]
実施例2−1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸リチウム二水和物(和光純薬工業社製,20mg,0.20mmol)を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例2−8]
実施例2−1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸カリウム(和光純薬工業社製,9.8mg,0.10mmol)を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして、5m
m角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例2−9]
実施例2−1において、酢酸ナトリウムの代わりに炭酸セシウム(Cs2CO3,高純度化学研究所社製,16mg,0.05mmol)を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例2−10]
実施例2−1において、酢酸ナトリウムの代わりにアルミニウム(トリスアセチルアセトナート)錯体(キシダ化学社製,32mg,0.10mmol)を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例2−11]
実施例2−1において、酢酸ナトリウムの代わりにガリウム(トリスアセチルアセトナート)錯体(アルドリッチ社製,37mg,0.10mmol)を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例2−12]
実施例2−1において、酢酸ナトリウムの代わりにインジウム(トリスアセチルアセトナート)(アルドリッチ社製,41mg,0.10mmol)を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例2−1]
実施例2−1において、酢酸ナトリウムを加えなかったこと以外は、実施例2−1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例2−2]
チタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業社製,0.2mL,0.68mmol)と炭酸セシウム(高純度化学研究所社製,6.5mg,0.02mmol)とを、イソプロパノール(和光純薬工業社製,14mL)に溶解させ、60℃で1時間攪拌することで、セシウム化合物を含有する酸化チタンのゾルゲル法用前駆溶液を調製した。セシウム化合物を含有する酸化チタンのゾルゲル法用前駆溶液を、ナトリウム化合物を含有するチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体溶液の代わりに用い、大気中、150℃で60分間加熱乾燥して電子取り出し層を形成したこと以外は、実施例2−1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例2−3]
実施例2−1において、電子取り出し層を形成しなかったこと以外は、実施例2−1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例2−13]
<合成例1:コポリマーAの合成>
モノマーとして、公知文献(J.Am.Chem.Soc.2011,133,10062.)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−オクチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E1,86mg,0.204mmol)、公知文献(J.Am.Chem.Soc.2011,133,10062.)に記載の方法を参考にして得られた4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−ビス(トリメチルスズ)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E2,80mg,0.108mmol)、及び公知文献(Chem.Commun.,2011,47,4920.)に記載の方法を参考にして得られた4,4−ジ−n−オクチル−2,6−ビス(トリメチルスズ)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E3,80mg,0.108mmol)を用いて、公知文献(J.Am.Chem.Soc.2011,133,10062.)に記載の方法を参考にしてコポリマーAを合成した。
コポリマーAの重量平均分子量Mw及びPDIを下記の方法で測定したところ、それぞれ、3.69×105及び9.4であった。
なお、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた。分子量分布(PDI)は、Mw/Mnを表す。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定は以下の条件で行った。
カラム:PolymerLaboratories GPC用カラム(PLgel MIXED−B 10μm,内径7.5mm,長さ30cm)を2本直列に接続して使用
ポンプ:LC−10AT(島津製作所社製)
オーブン:CTO−10A(島津製作所社製)
検出器:示差屈折率検出器(島津製作所社製,RID−10A)及びUV−vis検出器(島津製作所社製,SPD−10A)
サンプル:試料1mgをクロロホルム(200mg)に溶解させた液1μL
移動相:クロロホルム
流速:1.0mL/min
解析:LC−Solution(島津製作所社製)
<有機活性層塗布液の作製>
p型半導体化合物として合成例1で得られたコポリマーA、及びn型半導体化合物としてC70PCBM(フロンティアカーボン社製 NanomSpectra−E112)を、質量比が1:2となるように混合し、混合物が2質量%の濃度となるように窒素雰囲気中でオルトキシレンとテトラリンとの混合溶媒(体積比4:1)に溶解させた。この溶液をホットスターラー上で80℃の温度にて1時間攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することにより、有機活性層塗布液を得た。
(光電変換素子の作製)
実施例2−1と同様にして、厚さ155nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を堆積したガラス基板を、アセトンを用いた超音波洗浄、イソプロパノールを用いた超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
洗浄後の基板上に、実施例2−6のように調製したリチウム化合物を含有するチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体溶液を、大気中、スピンコーターACT−300DII(アクティブ社製)でスピンコートした後に、大気中、150℃で10分間加熱乾燥することで、リチウム化合物を含有するチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体を含有する電子取り出し層(膜厚33nm)を形成した。
電子取り出し層に対して、上述のように調製した有機活性層塗布液を、窒素雰囲気下、スピンコーターMS−A100(ミカサ社製)でスピンコートすることにより、有機活性層(膜厚約250nm)を形成した。
さらに有機活性層上に、正孔取り出し層として厚さ1.5nmの三酸化モリブデン(MoO3)膜を、次いで銀電極(厚さ100nm)を、順次抵抗加熱型真空蒸着法により成膜し、5mm角の光電変換素子を作製した。
このように作製した光電変換素子を実施例2−1と同様にして電流−電圧特性を測定した。結果を表1に示す。
[比較例2−4]
実施例2−13において、リチウム化合物を含有しないチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体溶液を用いたこと以外は、実施例2−13と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
実施例2−1〜2−12及び比較例2−1からわかるように、電子取り出し層中の金属オキソ錯体としてチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体を用いる光電変換素子において、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はセシウムのような周期表第1族元素から選ばれる原子、アルミニウム、ガリウム、又はインジウムのような周期表第13族元素から選ばれる原子を特定量含有する場合の方が、チタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体のみを含有する場合よりも、高い開放電圧及び光電変換効率が実現された。
また、実施例2−9及び比較例2−2からわかるように、セシウムとチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体とを含有する素子の方が、セシウムとチタニア(酸化チタン)とを含有する素子よりも、開放電圧、FF、及び光電変換効率が高かった。
実施例2−13及び比較例2−4は、実施例2−1〜2−12及び比較例2−1〜2−3で得られる光電変換素子に使用される活性層とは異なる活性層を用いているが、この場合も、電子取り出し層に特定量のリチウムが含有されている光電変換素子が、電子取り出し層にリチウムを含有しない素子よりも、高い光電変換効率を示した。
<光電変換素子の耐久性試験(大気暴露試験)>
[実施例3−1]
実施例2−2において作製した5mm角の光電変換素子を用いて、以下に説明するような、大気暴露試験を行った。
実施例3−1で作製した光電変換素子を、大気中(温度23−25℃、湿度54−72%)に3日間静置した。大気暴露直前を初期値として、3日間の大気暴露後の変換効率との比を維持率(%)として次式で求めた。結果を表2に示す。
(維持率)=(3日間の大気暴露後の光電変換効率)/(大気暴露直前の光電変換効率)
[比較例3−1]
実施例2−1において、比較例1−1で用いたナトリウム化合物と酸化亜鉛とを含有した混合層を、ナトリウム化合物とチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体とを含有した混合層の代わりに、電子取り出し層として用いた以外は、実施例2−1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製した。
実施例3−1に示すように、ナトリウム化合物とチタニア(ビスアセチルアセトナート)錯体とを含有する混合層を電子取り出し層に用いた光電変換素子の維持率が99.6%であるのに対して、比較例3−1に示すように、ナトリウム化合物と酸化亜鉛とを含有する混合層を電子取り出し層に用いた光電変換素子の維持率は68.4%であった。
以上の結果より、金属オキソ錯体と、金属オキソ錯体の金属元素とは異なる金属元素とを含有する混合層の場合では、金属酸化物と、金属酸化物の金属元素とは異なる金属元素とを含有する混合層の場合と比べて、混合層を含有する電子デバイスの耐久性が高いことがわかる。