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JP6167966B2 - はんだボールの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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本発明は、はんだボールの製造方法及び製造装置に関し、特に、電子部品の接合や封止に主に使用されるはんだボールを粒径のばらつきを抑えて高収率で製造することが可能なはんだボールの製造方法及び製造装置に関する。
従来からはんだボールの製造方法として、アトマイズ法、油中滴下法、水中滴下法、機械的加工法など各種の製造法が知られており、中でも電子産業に使用されるはんだボールや亜鉛粒などの製造では水中滴下法や油中滴下法が多用されている。例えば特許文献1には、水中滴下法として溶融金属をノズルなどから冷却水中に滴下して冷却凝固させることにより粒状の金属を得る方法が開示されており、金属の溶融温度、ノズル入口径及び出口径、ノズルの先端と冷却水面との距離、冷水温度などの条件を選定することにより、所望の形状や寸法を有する金属粒を形成できると記載されている。
また、特許文献2には形状の良いはんだボールを作製するため、溶融金属の融点近くまで加熱された耐酸化性に優れた油の中に溶融金属を吐出する油中滴下法が開示されている。この油中滴下法で使用する装置は、高周波コイルを備えた溶融はんだ供給部と、その下方に位置する油で満たされたカラムとで基本的に構成されている。溶融はんだ供給部に設けられたノズルは、先端部が油面よりも下側に位置しており、このノズルからガスで加圧された溶融金属を連続的に吐出することで溶融はんだは油中で分断されると共に自身の表面張力で球形となり、カラム中を落下している間に凝固する。
特開1993−214412項報 特開1999−229004号公報
しかし、特許文献1に示す水中滴下法は、ノズルの先端部が水面よりも上方に離間して設けられているため溶融金属の酸化を抑えることが困難であるという問題を有している。また、溶融金属が水中に入る際、水面と衝突して水面張力を破りながら水中に入る必要があり、かつ冷水であるため一瞬にして凝固されるため、偏平粒子が多く生成されたり、粒径のばらつきが大きくなったりして、収率が低いという問題を有している。
一方、特許文献2の油中滴下法は、水中滴下法に比べて真円度の高いはんだボールを製作することができるものの、カラム中では油が局所的に加熱されるため油の温度分布が不均一となり、これによって発生する対流の影響を受けてノズルから吐出された溶融金属の分断が不安定となり、はんだボールの粒度分布が広くなって所望の粒径を有するはんだボールの収率が低くなるという問題を抱えていた。
本発明は上記した従来の油中滴下法が抱える問題点に鑑みてなされたものであり、加熱された油の対流による不安定なはんだボールの生成を抑えて粒径のばらつきの少ないはんだボールを安定的に製造可能なはんだボールの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のはんだボールの製造方法は、不活性ガスで加圧された溶融状態のはんだ原料を油中で滴下してはんだボールを製造する方法であって、該油の液面から深さ40mmまでの範囲内であって且つ熱による対流が実質的に生じない油中の位置で該はんだ原料を吐出することを特徴としている。
また、本発明に係る油中滴下装置は、不活性ガスで加圧された溶融状態のはんだ原料を吐出するノズルと、該吐出したはんだ原料の油中滴下が行われるカラムとからなる油中滴下装置であって、該ノズルの先端部は該カラム内の油の液面から深さ40mmまでの油中に配されており、且つ下方に向けて縮径して部分的に油中に浸漬する切頭円錐部とその下端部から下方に延在する円筒部とからなる対流抑制部材によって囲まれていることを特徴としている。
本発明によれば、従来の油中滴下法に比べて粒径のばらつきが少ないはんだボールを極めて高い収率で製造することが可能になる。
本発明に係る油中滴下装置の一具体例を示す縦断面図である。
以下、図1を参照しながら本発明の油中滴下装置の一具体例について説明する。この本発明の一具体例の油中滴下装置は、窒素ガスなどの不活性ガスで加圧された溶融状態のはんだ原料を下方に向けて吐出する好適には石英で形成されるノズル10と、このノズル10から吐出したはんだ原料を油中で滴下させてはんだボールの形成を行うカラム20とから主に構成される。
具体的に説明すると、ノズル10はその周囲に高周波コイル11が巻き付けられており、ノズル10から吐出させるはんだ原料が溶融状態になるように加熱している。ノズル10の上部には圧力調整手段12を備えたガス供給配管13が接続しており、このガス供給配管13を介して図示しないガス供給源から窒素ガスなどの不活性ガスが所定圧で供給される。これにより一定の吐出圧で溶融状態のはんだ原料をノズル10の孔から吐出させることができる。
上記ノズル10の下側に位置するカラム20は、ノズル10から吐出したはんだ原料が油中で球状になって沈降する間に凝固してはんだボールが形成されるように、例えば高さ1300〜1800mm、内径100〜300mm程度の縦長の円筒形状を有している。このカラム20内の油をはんだ原料の融点近くまで加熱するため、カラム20の上部にはヒーター21が巻き付けられている。カラム20の下部はヒーター21が巻き付けられておらず、低温部となっている。ヒーター21が巻きついている部分の更に上部は、上記したノズル10が収納できるように拡径部20aを介して例えば高さ150〜200mm、内径300〜400mm程度の大径部20bが設けられている。
このカラム10内の大径部20bの高さの約1/3程度まで油が満たされており、ノズル10の先端部が油中に浸漬している。ノズル10は、上下方向に移動自在な高さ調整手段14に取り付けられており、ノズル10の先端部の位置を上下方向に調節して所望の高さに設定できるようになっており、ノズル10の先端部が、カラム10内の油の液面から深さ40mmまでの油中に位置するように調整されている。この高さ調整手段14の具体的な機構については特に限定するものではなく、例えば軸方向を垂直して回動自在に設置したネジ部に把持部材を螺合させ、この把持部材にノズル10を把持させる機構を挙げることができる。
ノズル10の先端部は、更に油中において、熱によって生じる油の対流を抑制する対流抑制部材22によって全周囲を囲まれている。この対流抑制部材22は、下方に向けて縮径して部分的に油中に浸漬する切頭円錐部22aと、その下端部から油中において下方に延在する円筒部22bとからなる。切頭円錐部22aの上端部は、カラム10内の油の液面よりも約50mm上方で大径部20bの内径に取り付けられており、ここから鉛直方向に対して好適には20〜60°の角度で傾斜している。切頭円錐部22aの下端部に接続している円筒部22bの内径は10〜50mmが好ましい。
このようなロート状の対流抑制部材22によってノズル10の先端部を囲むことによって、ノズル10の先端部の位置を熱による対流が実質的に生じない液面から深さ40mmまでの油中に配することとの相乗効果によって、溶融金属をノズル10から吐出する際、油の対流による振動などの悪影響を最小限に抑えることができ、ノズル10から糸状に吐出される溶融金属が分断されるときの安定性を向上させることができる。これによりカラム20内を沈降するはんだボールBの粒径のばらつきを抑えることができ、所望の粒径のはんだボールの収率が格段に向上する。更に、外観・形状の不良率の発生が低くなる。
次に、上記した油中滴下装置を用いて油中滴下法ではんだボールを製造する方法について説明する。最初に、油中滴下装置に装入する合金インゴットの作製について説明する。先ず、所定のはんだ原料の組成となるように各原料金属を秤量する。この際、原料金属のサイズが不均一で大きな塊がないことを確認してグラファイト坩堝に投入する。原料金属のサイズが不均一で大きな塊がある場合、融点の高い金属が融解しづらく、溶け残りが発生する恐れがあるからである。なお、酸化しづらい主としてAu固溶体とGe固溶体、またはAu固溶体とSn固溶体からなるはんだ原料を用いるのがより好ましい。これにより、従来に比べてより高収率かつ高品質のはんだボールを作製することができる。
原料金属の入った坩堝を高周波炉にセットし、上方から溶融金属の酸化を防止するため不活性ガスを流す。次に合金投入量や各金属の融点を考慮し、その融点よりも200℃程度高い温度になるようにコイルに電流を流して加熱する。その際、ガラス棒で適宜溶融金属を撹拌しながら金属の溶融状態を確認し、均一に溶融したら高周波の電源を切り、速やかにグラファイト坩堝から取り出し、ノズルの形状に合った鋳型に流し込む。十分に冷却した後、金属が固まったことを確認して鋳型から取り出す。これにより、油中滴下装置用の合金インゴットが得られる。
次に、油中滴下法について説明する。石英製のノズルに上記にて作製した合金インゴットを装入し、該ノズルを高周波コイルの中心に取り付け、更にノズルの上部に圧縮ガス供給用の治具を取り付ける。油を加熱するヒーターの電源を入れ、20〜100℃/分の昇温速度で油を加熱し、はんだ原料の融点近辺になった時点で昇温を停止し、該温度をはんだボールの作製が終了するまで維持する。その後、ノズルの先端を加熱された油の液面から深さ40mmまでの位置に沈める。特に、カラム中の油の温度分布が異なることによって発生する激しい対流を避けるため、ノズルの先端部の油中の深さは液面から2〜25mmの範囲内がより好ましい。なおノズルの先端部の位置が液面から40mmを超えると、高周波コイルとインゴットの距離が遠くなり、固相ができたりして好ましくない。
次に、高周波コイルの電源を入れ、150〜300℃/分の昇温速度で加熱し、合金インゴットを溶融させる。合金融点より100〜300℃より高い温度、より好ましくは合金融点より200〜300℃高い温度に達した時点で不活性ガスのバルブを開き、0.01MPaG以上0.50MPaG以下に加圧し、溶融した金属を吐出させる。吐出圧力は金属の密度によって調整するのが好ましく、例えばAuが主成分の場合0.08MPaG以上0.25MPaG以下が好ましい。ノズルにおいて、合金融点より好適には100℃高い温度の溶融状態で0秒以上1800秒以下の時間加熱保持するのが好ましい。これにより、組成をより均一化することができ、溶け残りや偏析の発生を最小限に抑制して吐出することができる。なお、Auを主成分とするはんだ合金の場合はこの加熱保持時間は100秒程度がより好ましい。
溶融金属を吐出する際、従来の油中滴下法では吐出された溶融金属の分断が油の対流による振動の影響を受けて、常に同じ体積の溶融金属片に分断できずに不安定となる。その結果、はんだボールの粒度分布がブロードになり、所望の粒度のはんだボールの収率が悪くなっていた。これに対して、上記した方法で油中滴下することによりはんだボールの粒径のばらつきが抑えられ、収率が格段に向上する。特に、吐出圧力を制御すると共に高周波による加熱時の保持時間を最適化することにより、ノズル系内の圧力が安定化するため、はんだボールの形状や粒度分布がばらつくことなく安定し、過加圧によって生じやすい二個玉、変形ボール、瘤付ボールなど形状・外観不良のはんだボールがほとんど形成されなくなり、極めて高い収率が可能となる。この効果は、はんだ合金がAu系はんだの場合に特に顕著になる。
はんだボールの原料となる溶融金属の吐出が完了した後、カラム下部の低温部で十分冷却してから、該カラム下部のバルブを開けてはんだボールを回収する。回収したはんだボールは油が付着しているため有機溶媒で洗浄するのが好ましい。この際、高揮発性で且つはんだボールを酸化させないものがよい。例えば、エタノールは揮発性が高く、洗浄時間を短くできるので好ましい。
図1に示すような油中滴下装置を用いて、融点356℃付近の共晶組成である、Ge含有率12質量%及びAu含有率88質量%のAuGeはんだボールを作製した。具体的には、先ず、原料として純度99.9質量%以上のAuとGeとを準備した。これらを上記した組成となるようにそれぞれの原料を電子天秤で秤量し、高周波溶解炉用のグラファイト製坩堝に入れた。
この原料の入った坩堝を高周波溶解炉に入れ、溶解炉の電源をいれて原料を加熱溶融させた。加熱する際、酸化を抑制するために窒素ガスを原料1Kgあたり0.6リットル/分以上の流量で流した。金属が溶融しはじめたら偏析が起こらないようにガラス棒で均一に混ぜた。十分溶融したことを確認した後、速やかに坩堝を取り出し、坩堝内の溶湯をノズルの形状に合った鋳型に流し込んだ。このようにして合計28本のインゴットを作製した。
上記のようにして作製した28本のインゴットからそれぞれ試料1〜28のはんだボールを製造した。各試料のはんだボールの作製では、図1に示すような油中滴下装置を使用した。その際、下記表1に示すように、ノズル先端部の液面からの深さ(mm)、ノズルからの吐出圧力(MPaG)、融点よりも200〜300℃高い温度での保持時間(秒)、及び対流抑制部材の有無の4つのパラメータを様々に変化させた。すなわち、各インゴットを石英製ノズルに入れ、ノズルの先端部を油の液面から0.1〜70mmのうちのいずれかの深さとなるように沈め、高周波コイルで金属インゴットを800℃まで加熱し、目視で完全に溶解したことを確認後、高周波の温度を下げ、556℃で0〜1800秒のうちのいずれかの時間保持してから、窒素ガスで溶融金属を0.05〜0.9MPaGで加圧して吐出させ、AuGeボールを製作した。なお、ボール直径の設定値は0.025mmとなるように、予めノズル先端の孔径を調整した。また、油中滴下装置のカラム内の油には、はんだボールの酸化抑制効果が大きい油を用いた。
Figure 0006167966
得られた各試料のボールに対して、下記の方法により所定の粒径に分級してボール径の標準偏差、不良率と良品収率を調べ、下記の評価方法で評価した。すなわち、凝固したボールをカラムの下端から回収し、エタノール液で洗浄し、乾燥機を用いて85℃で乾燥した。乾燥したボールをランダムに200粒を抽出し、レーザー顕微鏡でボールの直径を測定し、ボール径の標準偏差を算出した。次にプレティング機を用いて形状・外観不良と良品ボールとを選別し、ボールの不良率を算出した。一方、残りのはんだボールに対しては、二軸分級器を用いて直径0.025±0.002mmの範囲で分級し、この分級によって得られたボールの収率を下記の式1により算出した。上記の評価結果を下記表2に示す。
[式1]
ボール収率(%)=直径0.025±0.002mmのボール質量÷分級投入ボール質量×100
Figure 0006167966
上記表2から分かるように、本発明の方法に基づいて作製した試料1〜20の各AuGeボールはボール径の標準偏差と不良率が小さく、高い収率を示している。特にノズルと液面の深さが20mm、吐出圧力が0.1MPaG、556℃での保持時間が500秒、対流抑制部材を装着した試料14において、68.3%という極めて高い収率を示しており、それ以外の試料においても比較例である試料21〜28と比べて収率と品質が飛躍的に向上していることが分かる。すなわち、ノズル先端部の液面からの深さ、吐出圧力、融点より200〜300℃高い温度での保持時間及び対流抑制部材という四つのパラメータを適切に制御することで、製品の収率と品質を格段の向上させる効果が得られることが分かる。
一方、本発明の要件のいずれかを満たさない方法で作製した試料21〜28のAuGeボールはいずれも好ましくない結果となった。即ち、ボールの収率は高くても14%と試料1〜20のいずれよりも低く、ボール径の標準偏差、不良率も本発明の全試料よりも明らかに悪かった。特に、吐出圧力が0.6MPaG以上になると、溶融金属がノズルから勢いよく吐出されるためその分断が難しくなり、ボール状に分断される前に凝固され、外観・形状不良のボールの割合が格段に増えた。また、対流抑制部材を装着しない場合、ボールの収率は半分以上低くなった。更にノズル先端部の油面からの深さが40mmを超えるように沈めた場合、上部の高周波コイルとインゴットの位置とがずれたので、インゴットが良好に溶解されなくなり、ノズルの先端部で詰まりが発生して溶融金属が吐出されなくなる場合があった。
10 ノズル
11 高周波コイル
12 圧力調整手段
13 ガス供給配管
14 高さ調整手段
20 カラム
21 ヒーター
22 対流抑制部材
B はんだボール

Claims (7)

  1. 不活性ガスで加圧された溶融状態のはんだ原料を油中で滴下してはんだボールを製造する方法であって、該油の液面から深さ40mmまでの範囲内であって且つ熱による対流が実質的に生じない油中の位置で該はんだ原料を吐出することを特徴とするはんだボールの製造方法。
  2. 前記はんだ原料がAuを主成分とする合金であることを特徴とする、請求項1に記載のはんだボールの製造方法。
  3. 前記不活性ガスの圧力がゲージ圧基準で0.01MPaG以上0.50MPaG以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のはんだボール製造方法。
  4. 前記はんだ原料が前記吐出される前に前記溶融状態で0秒を超え1800秒以下保持されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のはんだボール製造方法。
  5. 不活性ガスで加圧された溶融状態のはんだ原料を吐出するノズルと、該吐出したはんだ原料の油中滴下が行われるカラムとからなる油中滴下装置であって、
    該ノズルの先端部は該カラム内の油の液面から深さ40mmまでの油中に配されており、且つ下方に向けて縮径して部分的に油中に浸漬する切頭円錐部とその下端部から下方に延在する円筒部とからなる対流抑制部材によって囲まれていることを特徴とする油中滴下装置。
  6. 前記ノズルは上下方向に移動自在であることを特徴とする、請求項5に記載の油中滴下装置。
  7. 前記切頭円錐部はその斜面が鉛直方向に対して20〜60°傾斜しており、前記円筒部の内径は10〜50mmであることを特徴とする、請求項5又は6に記載の油中滴下装置。
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