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JP6171702B2 - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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JP6171702B2 - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、所謂シリーズ式のハイブリッド車両の制御装置に関する技術分野に属する。
従来より、ハイブリッド車両において、エンジンと、該エンジンにより駆動されて発電するモータジェネレータと、該モータジェネレータによる発電電力が充電されるバッテリと、該バッテリの放電電力及び上記モータジェネレータによる発電電力のうちの少なくとも一方の電力で駆動される走行用モータとを備えたものが知られている。このようなハイブリッド車両では、モータジェネレータによる発電の要求があった場合に、エンジンが始動されて、該エンジンによりモータジェネレータが駆動されることで、モータジェネレータによる発電が行われ、この発電電力がバッテリに充電されたり走行用モータに供給されたりすることになる。
上記バッテリは、その残存容量(SOC)及び温度によって、該バッテリに充電することが可能な電力である充電可能電力が変化し、バッテリの残存容量が多い場合や、バッテリの温度が所定範囲外にある場合(低温や高温である場合)には、充電可能電力が低くなる。このように充電可能電力が低下した状態でバッテリに充電すると、充電可能電力を超えた電力がバッテリに充電される可能性があり、このようになると、バッテリの早期劣化を招いてしまう。このバッテリの早期劣化を抑制するためには、充電可能電力を超えた電力がバッテリに充電されないようにする必要がある。
そこで、例えば特許文献1では、バッテリが満充電状態のときや低温時等のように充電可能電力が低いとき(ここでは、基本的に0であるとき)に、内燃機関をモータリングすることで電力消費を行うことが提案されている。また、特許文献2では、バッテリへの充電が規制されているときに、走行用モータによる回生制動が必要になったとき、回生制動による発電電力を用いてモータジェネレータを作動させてエンジンを駆動するようにすることが提案されている。
特開2004−312962号公報 特開2012−6525号公報
ところで、例えば上記バッテリの温度が低いときには、上記充電可能電力が低くなることに加えて、放電可能電力も低くなる。このような場合において、SOCの回復要求や車両のドライバの加速要求があったときには、通常、モータジェネレータによる発電電力を、走行用モータに供給し、その余った電力をバッテリに対し上記充電可能電力の範囲内で供給する必要がある。このとき、モータジェネレータによる発電電力の目標値を、上記走行用モータに必要な電力であるモータ必要電力と上記充電可能電力とを足した値又は該値よりも或る程度小さい値にして、実際に検出される発電電力が上記目標値になるようにエンジンの出力を制御するようにすれば、実際に検出される発電電力が上記目標値に達した段階では、上記充電可能電力を超えた電力がバッテリに供給されることはない。
しかし、例えば上記目標値が急激に変化した場合には、モータジェネレータによる発電電力が上記目標値に収束するまでの過程で、上記目標値をオーバーシュートし、その後に上記目標値に収束することがある。このことを考慮して、上記目標値を、上記モータ必要電力と上記充電可能電力とを足した値よりも多少小さくしたとしても、モータジェネレータによる発電電力は、その目標値をオーバーシュートするだけでなく、上記モータ必要電力と上記充電可能電力とを足した値に対してもオーバーシュートする可能性が高くなる。特に上記充電可能電力及び上記放電可能電力の両方が低いと、モータ出力が低い場面でも発電電力を必要としてしまうため、その際のモータジェネレータによる発電電力が、上記モータ必要電力と上記充電可能電力とを足した値をより一層オーバーシュートし易くなる。このため、バッテリの充電可能電力を超えた電力をバッテリに充電する可能性が高くなる。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、モータジェネレータによる発電電力を、走行用モータ及びバッテリの両方に供給するような車両走行時に、バッテリの充電可能電力を超えた電力をバッテリに充電するのを抑制して、バッテリの早期劣化を抑制しようとすることにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、エンジンと、該エンジンの出力軸に連結されていて、該エンジンにより駆動されて発電するモータジェネレータと、該モータジェネレータによる発電電力が充電されるバッテリと、該バッテリの放電電力及び上記モータジェネレータによる発電電力のうちの少なくとも一方の電力で駆動される走行用モータとを備えたハイブリッド車両の制御装置を対象として、上記バッテリの充電可能電力を検出する充電可能電力検出手段と、上記モータジェネレータによる発電電力を検出する発電電力検出手段と、上記エンジン、上記モータジェネレータ及び上記走行用モータの作動を制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、上記充電可能電力検出手段により検出された充電可能電力が所定値以下であることを含む所定の条件が成立した車両走行時に、上記モータジェネレータによる発電電力を、上記走行用モータ及び上記バッテリの両方、又は上記走行用モータに供給し、当該供給時における上記発電電力の目標値を、上記走行用モータに必要な電力であるモータ必要電力と上記充電可能電力とを足した値から第1所定電力を引いた値に設定して、上記発電電力検出手段により検出される発電電力が上記目標値になるように上記エンジン及び上記モータジェネレータを制御するよう構成されており、更に上記制御手段は、上記車両走行時に、上記発電電力検出手段により検出される発電電力の変化を用いて、現時点以降の上記発電電力が、上記モータ必要電力と上記充電可能電力とを足した値を超えないように、上記エンジンの出力に関する制御指令値を決定するオーバーシュート抑制制御(例えば目標トルク値)を実行するよう構成され、更に上記制御手段は、上記発電電力検出手段により検出される発電電力が上記目標値になるようにするとともに、上記オーバーシュート抑制制御としてPD制御を実行するものであって、現時点以降の上記発電電力が、上記モータ必要電力と上記充電可能電力とを足した値を超えないように上記PD制御の比例ゲイン及び微分ゲインを決定することで、上記制御指令値を決定するよう構成されている、という構成とした。
上記の構成により、モータジェネレータによる発電電力の目標値を、モータ必要電力と充電可能電力とを足した値から第1所定電力を引いた値に設定して、発電電力検出手段により検出される発電電力がその目標値になるようにエンジンの出力を制御するとともに、その発電電力の変化を用いて、現時点以降の発電電力が、モータ必要電力と充電可能電力とを足した値を超えないように、エンジンの出力に関する制御指令値を決定するので、モータジェネレータから走行用モータには、該走行用モータによる車両走行に必要な電力を供給することができて、車両の走行性能を確保することができるとともに、モータジェネレータによる発電電力が、モータ必要電力と充電可能電力とを足した値を超えるのを防止して、モータジェネレータからバッテリに供給される電力(モータジェネレータによる発電電力からモータ必要電力を引いた値の電力)を、充電可能電力よりも低くすることができる。したがって、バッテリの早期劣化を抑制することができる。また、特にD制御によって、モータジェネレータによる発電電力が、モータ必要電力と充電可能電力とを足した値を超えるのを容易に防止することができる。
上記ハイブリッド車両の制御装置において、上記第1所定電力は、上記充電可能電力が小さいほど、又は上記エンジンへ供給される空気温度が低いほど、大きい値に設定されている、ことが好ましい。
このことにより、充電可能電力がより小さくなっても、モータジェネレータによる発電電力が、モータ必要電力と充電可能電力とを足した値を超え難くすることができる。また、上記空気温度が低い場合に常温時と同じ制御指令値でエンジンを制御すると、常温時よりも発電電力が大きくなる傾向があるため、上記空気温度が低いほど上記第1所定電力を大きくすることで、上記空気温度が低い場合でも、モータジェネレータによる発電電力が、モータ必要電力と充電可能電力とを足した値を超え難くすることができる
上記ハイブリッド車両の制御装置において、上記制御手段は、上記発電電力検出手段により検出される発電電力が、上記目標値から第2所定電力を引いた値に達した時点で、上記PD制御を実行するよう構成されている、ことが好ましい。
すなわち、モータジェネレータによる発電電力が、モータ必要電力と充電可能電力とを足した値を超えてしまうのは、該発電電力が目標値に達した以降であるので、その目標値の手前でオーバーシュート抑制制御(PD制御)を実行し始めれば、モータジェネレータによる発電電力が、モータ必要電力と充電可能電力とを足した値をオーバーシュートするのを効果的にかつ十分に防止することができる。
このとき、上記制御手段は、上記発電電力の目標値に、上記PD制御のP制御成分とD制御成分とを掛け合わた値を加えて得られる値を上記制御指令値として、現時点以降の上記発電電力が、上記モータ必要電力と上記充電可能電力とを足した値を超えないように上記PD制御の比例ゲイン及び微分ゲインを決定することで、上記制御指令値を決定するよう構成されていてもよい。
また、上記制御手段は、上記PD制御の実行に際して、上記発電電力の目標値を、上記モータ必要電力と上記充電可能電力とを足した値から上記第2所定電力を引いた値に設定変更するよう構成されていてもよい。
さらに、上記制御手段は、上記発電電力検出手段により検出される発電電力が、上記目標値から上記第2所定電力を引いた値に達するまでは、レートリミッタ処理を実行し、該レートリミッタ処理により、上記検出される発電電力の時間に対する変化率が、予め設定した設定値以下になるように、上記制御指令値を決定するよう構成されている、ことが好ましい。
このことにより、モータジェネレータによる発電電力が、モータ必要電力と充電可能電力とを足した値を超え難くなるとともに、エンジン出力の急激な上昇によるNOxの生成を抑制することができる。
上記のレートリミッタ処理を実行する場合、上記制御手段は、上記発電電力検出手段により検出される発電電力が、上記目標値から上記第2所定電力を引いた値に達したときの制御指令値を保存し、その後、上記オーバーシュート抑制制御が作動している最中に、上記モータ必要電力がドライバ操作により上昇し、該上昇に伴って上記目標値から上記第2所定電力を引いた値が上昇して上記発電電力検出手段により検出される発電電力を超えた場合には、上記オーバーシュート抑制制御を停止すると同時に、その時の制御指令値又は上記保存しておいた制御指令値から再びレートリミッタ処理を実行しながら制御指令値を上昇させるよう構成されている、ことが好ましい。
このことにより、モータ必要電力がドライバ操作により上昇したときにおいて、モータジェネレータによる発電電力が、モータ必要電力と充電可能電力とを足した値を超え難くなるとともに、エンジン出力の急激な上昇によるNOxの生成を抑制することができる。
上記ハイブリッド車両のアクセルペダルの踏み込み量を検出する踏み込み量検出手段を更に備え、上記制御手段は、上記車両走行中において、上記踏み込み量検出手段により検出されるアクセルペダルの踏み込み量の減少速度が所定速度以上であるときに、上記エンジンを停止して、上記バッテリの放電電力を上記走行用モータに供給するよう構成されている、ことが好ましい。
すなわち、アクセルペダルの踏み込み量が急激に減少すると、モータ必要電力は一気に減少し、これに対応してエンジン出力も一気に減少させる必要があるが、エンジン出力は、その低下の応答遅れによって緩やかに減少する。このため、アクセルペダルの踏み込み量が急激に減少した直後は、モータジェネレータによる発電電力が、モータ必要電力と充電可能電力とを足した値よりも多くなって、バッテリの充電可能電力を超えた電力をバッテリに充電する可能性が高くなる。しかし、本構成では、アクセルペダルの踏み込み量の減少速度が所定速度以上であるときには、エンジンを停止して、バッテリの放電電力を走行用モータに供給するので、アクセルペダルの踏み込み量が急激に減少した直後に、バッテリの充電可能電力を超えた電力をバッテリに充電するのを防止することができる。
以上説明したように、本発明のハイブリッド車両の制御装置によると、モータジェネレータによる発電電力の目標値を、モータ必要電力とバッテリの充電可能電力とを足した値から第1所定電力を引いた値に設定して、発電電力検出手段により検出される発電電力がその目標値になるようにエンジンの出力を制御するとともに、その発電電力の変化を用いて、現時点以降の上記発電電力が、モータ必要電力と充電可能電力とを足した値を超えないように、エンジンの出力に関する制御指令値を決定するオーバーシュート抑制制御を実行し、さらに、上記発電電力検出手段により検出される発電電力が上記目標値になるようにするとともに、上記オーバーシュート抑制制御としてPD制御を実行し、現時点以降の上記発電電力が、上記モータ必要電力と上記充電可能電力とを足した値を超えないように上記PD制御の比例ゲイン及び微分ゲインを決定することで、上記制御指令値を決定するようにしたことにより、モータジェネレータによる発電電力が、モータ必要電力と充電可能電力とを足した値を超えるのを防止して、モータジェネレータからバッテリに供給される電力を充電可能電力よりも低くすることができ、よって、バッテリの早期劣化を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る制御装置が搭載されたハイブリッド車両を示す概略構成図である。 図1に示すハイブリッド車両のエンジン及び制御システムを示す図である。 バッテリの残存容量及び温度と該バッテリの充電可能電力との関係を表す充電可能電力マップを示す図である。 所定の条件が成立した車両走行中におけるコントロールユニットの処理動作を示すフローチャートである。 モータジェネレータによる発電電力、エンジンの出力に関する制御指令値、PT0及びPT1の関係を示すグラフであって、(a)はオーバーシュート抑制制御を実行する場合を示し、(b)はオーバーシュート抑制制御を実行しない場合を示し、(c)はモータ出力が変化するときにオーバーシュート抑制制御を実行する場合を示す。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る制御装置が搭載されたハイブリッド車両1(以下、単に車両1という)を示す。この車両1は、所謂シリーズ式のハイブリッド車両であって、エンジン10と、回転軸が該エンジン10の出力軸(後述のエキセントリックシャフト13)に連結されていて、エンジン10を駆動して始動させかつ該始動後のエンジン10により駆動されて発電するモータジェネレータ20と、このモータジェネレータ20によって発電された電力が蓄電(充電)される高電圧・大容量のバッテリ30と、エンジン10に駆動されることによるモータジェネレータ20の発電電力及びバッテリ30の蓄電電力(放電電力)のうちの少なくとも一方の電力で駆動される走行用モータ40とを備えている。
モータジェネレータ20、バッテリ30及び走行用モータ40の間には、インバータ50が設けられている。このインバータ50を介して、モータジェネレータ20の発電電力が、バッテリ30及び/又は走行用モータ40に供給されるとともに、バッテリ30からの放電電力が、モータジェネレータ20及び/又は走行用モータ40に供給される。
走行用モータ40は、モータジェネレータ20の発電電力及びバッテリ30からの放電電力の少なくとも一方が供給されることにより駆動される。この走行用モータ40の駆動力が、デファレンシャル装置60を介して、駆動輪としての左右の前輪61に伝達され、これにより、車両1が走行する。尚、走行用モータ40は、回生発電電力を発生可能なものであって、車両1の減速時にジェネレータとして作動して、その発電した電力(回生発電電力)がバッテリ30に充電される。また、バッテリ30は、車両1の外部の電源による外部充電が可能である。
エンジン10は、モータジェネレータ20による発電用にのみ使用される。エンジン10は、本実施形態では、水素タンク70に貯留されている水素ガスが、燃料として供給される水素エンジンである。
図2に示すように、エンジン10は、ツインロータ式(2気筒)のロータリピストンエンジンであって、2つの繭状のロータハウジング11内(気筒内)に形成されるロータ収容室11aに、概略三角形状のロータ12がそれぞれ収容されて構成されている。2つのロータハウジング11は、3つのサイドハウジング(図示せず)の間に挟み込むようにして該サイドハウジングと一体化されてなり、各ロータハウジング11とその両側のサイドハウジングとで各ロータ収容室11aが形成される。尚、図2では、2つのロータハウジング11(2つの気筒)を展開した状態で図示しており、2つのロータハウジング11内の中央部にそれぞれ描いているエキセントリックシャフト13は、同じものである。
上記各ロータ12は、その三角形の各頂部に図示しないアペックスシールを有し、これらアペックスシールがロータハウジング11のトロコイド内周面に摺接しており、このことで、各ロータ12により各ロータ収容室11a(各気筒内)に3つの作動室(燃焼室に相当)が画成される。そして、各ロータ12は、該ロータ12の3つのアペックスシールが各々ロータハウジング11のトロコイド内周面に当接した状態でエキセントリックシャフト13の周りを自転しながら、該エキセントリックシャフト13の軸心の周りに公転するようになっている。ロータ12が1回転する間に、該ロータ12の各頂部間にそれぞれ形成された作動室が周方向に移動しながら、吸気、圧縮、膨張(燃焼)及び排気の各行程を行い、これにより発生する回転力がロータ12を介して出力軸としてのエキセントリックシャフト13から出力される。
上記各ロータ収容室11aには、吸気行程にある作動室に連通するように吸気通路14が連通しているとともに、排気行程にある作動室に連通するように排気通路15が連通している。吸気通路14は、上流側では1つであるが、下流側では、2つの分岐路に分岐してそれぞれ上記各ロータ収容室11aに連通している。吸気通路14の上記分岐部よりも上流側には、ステッピングモータ等のスロットル弁アクチュエータ90により駆動されて吸気通路14の断面積(弁開度)を調節するスロットル弁16が配設されている。吸気通路14の上記分岐部よりも下流側の各分岐路には、上記水素タンク70から供給された水素(燃料)を吸気通路14内に噴射する予混合用インジェクタ17が配設されている。この予混合用インジェクタ17により噴射された水素は空気と混合された状態(予混合状態)で、吸気行程にある作動室に供給される。
上記排気通路15は、上流側では、各ロータ収容室11にそれぞれ連通するように2つ設けられているが、下流側では、1つに合流されている。この排気通路15の該合流部よりも下流側には、排気ガスを浄化するための排気ガス浄化触媒80が配設されている。この排気ガス浄化触媒80は、本実施形態では、NOx吸蔵還元触媒とされている。尚、図2において吸気通路14及び排気通路15に図示した矢印は、吸気及び排気の流れを示している。
上記各ロータハウジング11(各気筒)には、上記水素タンク70から供給された水素(燃料)をロータ収容室11内(気筒内)に直接噴射する直噴用インジェクタ18と、上記予混合用インジェクタ17又は直噴用インジェクタ18より噴射された水素の点火を行う点火プラグ19とが設けられている。
予混合用インジェクタ17は、後述のエンジン水温センサ106により検出されたエンジン冷却水の温度(エンジン水温)が、予め設定された設定温度よりも低いときに作動する。一方、直噴用インジェクタ18は、上記エンジン水温が上記設定温度以上であるときに作動する。これは、上記エンジン水温が上記設定温度よりも低いときには、燃料(水素)が燃焼した際に生じる水蒸気が直噴用インジェクタ18の噴口において氷結して該噴口が塞がれる場合があるからである。また、ロータハウジング11のトロコイド内周面に付着した氷が、ロータ12のアペックスシールによって直噴用インジェクタ18の噴口内に掻き込まれ、このことによっても直噴用インジェクタ18の噴口が塞がれる場合がある。このように直噴用インジェクタ18の噴口が塞がれると、ロータ収容室11内に供給される燃料量が不足する。そこで、上記氷結によるロータ収容室11内への供給燃料量の不足を防止するべく、上記エンジン水温が、直噴用インジェクタ18の噴口で氷結が生じるような温度にあるときには、予混合用インジェクタ17により燃料の噴射を行う。上記エンジン水温が上記設定温度以上になれば、直噴用インジェクタ18の噴口内の氷が溶けるとともに、燃料(水素)が燃焼した際に生じる水蒸気が氷結することもないので、空気の充填率を高めて高トルクが得られるように直噴用インジェクタ18から水素を噴射する。
ここで、エンジン10の始動時においては、その前のエンジン停止直前のエンジン水温が、通常は、上記設定温度以上であり、そのエンジン停止直前に発生した水蒸気は蒸発しているので、始動時における上記エンジン水温が上記設定温度よりも低くても、直噴用インジェクタ18の噴口内に氷が存在する可能性は低い。そこで、エンジン10の始動性を高めるべく、直噴用インジェクタ18から燃料を噴射する。そして、エンジン10の始動後においても、上記エンジン水温が上記設定温度よりも低い場合には、直噴用インジェクタ18から予混合用インジェクタ17に切り換えることになる。
尚、本実施形態では、予混合用インジェクタ17は各分岐路において1つしか設けられていないが、直噴用インジェクタ18は、各ロータハウジング11において、エキセントリックシャフト13の軸方向(図2の紙面に垂直な方向)に2つ並んで配設されている(図2では、1つしか見えていない)。
車両1には、バッテリ30に出入りする電流及びバッテリ30の電圧を検出するバッテリ電流・電圧センサ101と、車両1のドライバによるアクセルペダルの踏み込み量(ドライバの操作によるアクセル開度)を検出するアクセル開度センサ102(踏み込み量検出手段)と、車両1の車速を検出する車速センサ103と、エキセントリックシャフト13に設けられ、エキセントリックシャフト13の回転角度位置を検出する回転角センサ104(エンジン10の回転数を検出するエンジン回転数センサを兼ねる)と、エンジン10の排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ105と、ロータハウジング11の内部に形成されたウォータジャケット(図示せず)に臨んで該ウォータジャケット内を流れるエンジン冷却水の温度(エンジン水温)を検出するエンジン水温センサ10と、水素タンク70内の圧力(つまり水素タンク70内の水素残量)を検出するタンク圧力センサ107と、吸気通路14内に吸入される吸気流量を検出するエアフローセンサ108と、バッテリ30の温度を検出するバッテリ温度センサ109と、エンジン10の作動制御や、インバータ50の作動制御(つまりモータジェネレータ20及び走行用モータ40の作動制御)等を行うコントロールユニット100(制御手段)とが設けられている。
コントロールユニット100は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスと、を備えている。コントロールユニット100には、バッテリ電流・電圧センサ101、アクセル開度センサ102、車速センサ103、回転角センサ104、空燃比センサ105、エンジン水温センサ106、タンク圧力センサ107、エアフローセンサ108、バッテリ温度センサ109等からの各種信号が入力されるようになっている。
そして、コントロールユニット100は、上記入力信号に基づいて、スロットル弁アクチュエータ90、ポート噴射用インジェクタ17、直噴用インジェクタ18、点火プラグ19に対して制御信号を出力してエンジン10を制御するとともに、インバータ50に対して制御信号を出力してモータジェネレータ20及び走行用モータ40を制御する。
インバータ50は、モータジェネレータ20の作動状態を、バッテリ30からの電力供給によりエンジン10を駆動する駆動状態と、エンジン10による駆動により発電して該発電電力をバッテリ30や走行用モータ40に供給する発電状態とに切り換える機能を持っている。そして、コントロールユニット100は、エンジン10の始動時には、モータジェネレータ20の作動状態を上記駆動状態としてエンジン10を始動し、エンジン10の始動後には、上記発電状態に切り換える。尚、モータジェネレータ20を、エンジン10を駆動もせずかつ発電もしない空回り状態にすることも可能である。
また、コントロールユニット100は、バッテリ電流・電圧センサ101により検出された、バッテリ30に出入りする電流及びバッテリ30の電圧に基づいて、バッテリ30の残存容量(SOC)を検出し、このバッテリ30の残存容量と、バッテリ温度センサ109により検出されたバッテリ30の温度とに基づいて、例えば図3に示すような、コントロールユニット100の上記メモリに記憶されている充電可能電力マップ(図3の充電可能電力マップに記載されている温度は、バッテリ30の温度である)から、バッテリ30に充電することが可能な電力である充電可能電力Pinを検出する。このことで、バッテリ電流・電圧センサ101、バッテリ温度センサ109及びコントロールユニット100は、バッテリ30の充電可能電力Pinを検出する充電可能電力検出手段を構成することになる。図3から分かるように、バッテリ30の充電可能電力Pinは、バッテリ30の残存容量が多い場合に低くなるとともに、バッテリ30の温度が第1所定範囲外にある場合(−10℃以下の低温や60℃以上の高温である場合)には、0ないしそれに近い値になる。
また、コントロールユニット100の上記メモリには、上記充電可能電力マップと同様の放電可能電力マップが記憶されており、バッテリ30の残存容量とバッテリ30の温度とに基づいて、その放電可能電力マップから、バッテリ30から放電することが可能な電力である放電可能電力Poutを検出する。放電可能電力Poutは、充電可能電力Pinとは逆に、バッテリ30の残存容量が少ない場合に低くなる。また、バッテリ30の温度に対しての放電可能電力Poutは、充電可能電力Pinと同様の傾向にあり、バッテリ30の温度が第2所定範囲外にある場合に、0ないしそれに近い値になる。
さらに、インバータ50は、モータジェネレータ20による発電電力等に応じて、走行用モータ40の駆動を、バッテリ30からの放電電力のみでもって行う態様1と、モータジェネレータ20からの発電電力のみでもって行う態様2と、バッテリ30及びモータジェネレータ20の両方からの電力でもって行う態様3とに切換えることができる機能を持っている。この機能により、コントロールユニット100は、バッテリ30のSOCが高い場面では様態1を優先的に使用してSOCを低下させ、SOCが低い場面では様態2を優先的に使用してSOCを維持させることが可能になる。ここでの様態2とは、発電電力が全て走行用モータ40で消費される場合と、発電電力が走行用モータ40での消費とバッテリ30の充電との両方に使われる場合とがある。SOCを維持しながら走行する場合には、低車速域では様態1で走行し、高車速域では様態2を選択し走行用モータ40の出力よりも多くの電力を発電しながら走行するような発電始動停止制御を用いることも可能である。また、様態3の場面としては、アクセル開度センサ102等からの入力情報に基づくドライバの加速要求が大きい場面や、バッテリ30の放電可能電力が低い場合等が挙げられる。尚、タンク圧力センサ107による水素タンク70内の水素残量が所定値以下になった場合やエンジン10がオーバーヒートした場合などでは態様1を選択する。
走行用モータ40の駆動が、バッテリ30からの放電電力のみでもって行う態様(上記態様1)にあるとき(エンジン10が停止しているとき)において、コントロールユニット100は、アクセル開度センサ102等からの入力情報に基づき、ドライバの加速要求があると判定した場合には、走行用モータ40の駆動を、バッテリ30及びモータジェネレータ20の両方からの電力でもって行う態様(上記態様3)に切り換える。その後、ドライバの加速要求がなくなると、エンジン10を停止させてバッテリ30からの放電電力のみでもって行う態様に戻す。
本実施形態では、バッテリ30の残存容量が少ない場合や、バッテリ30の放電可能電力Poutが低い場合において、ドライバの加速要求があったときには、モータジェネレータ20による発電電力を、走行用モータ40に必要な電力であるモータ必要電力よりも多くする(モータ必要電力を超える分はバッテリ30に供給される)。
ここで、モータジェネレータ20による発電電力を走行用モータ40及びバッテリ30に供給する場合に、ドライバの加速要求やバッテリ30の残存容量等に応じて発電する必要があったときには、モータジェネレータ20による発電電力の目標値を、走行用モータ40に必要な電力であるモータ必要電力と、このモータ必要電力と上記充電可能電力Pinとを足した値との間に設定して、実際に検出される発電電力が上記目標値になるようにエンジン10の出力を制御するようにすれば、実際に検出される発電電力が上記目標値に収束した後に、充電可能電力Pinを超えた電力がバッテリ20に供給されることはない。
しかし、上記目標値が急激に変化した場合や、上記モータ必要電力と上記充電可能電力Pinとを足した値に余裕を設けないでモータジェネレータ20による発電電力の目標値を設定した場合には、モータジェネレータ20による発電電力が上記目標値に収束するまでの過程で、上記目標値をオーバーシュートするだけでなく、上記モータ必要電力と上記充電可能電力Pinとを足した値をオーバーシュートし、その後に上記目標値に収束することがある。特に充電可能電力Pinが小さいと、上記余裕量を大きく設定できないため、モータジェネレータ20による発電電力が、上記モータ必要電力と充電可能電力Pinとを足した値をより一層オーバーシュートし易くなる。このため、バッテリ30の充電可能電力Pinを超えた電力をバッテリ30に充電してバッテリ30の早期劣化を招く可能性が高くなる。
そこで、コントロールユニット100は、上記充電可能電力Pinが第1所定値以下であることを含む所定の条件が成立した車両走行時、すなわち、本実施形態では、上記充電可能電力Pinが第1所定値以下で、かつ、バッテリ30の残存容量が所定容量以下であるか又はバッテリ30の放電可能電力Poutが第2所定値以下であって、ドライバの加速要求やバッテリ30の残存容量等に応じて発電する必要があるような条件が成立した車両走行時に、モータジェネレータ20による発電電力を、走行用モータ40及びバッテリ30の両方、又は走行用モータ40に供給し、当該供給時におけるモータジェネレータ20による上記発電電力の目標値を、上記モータ必要電力と上記充電可能電力Pinとを足した値PT0から第1所定電力Δp1を引いた値PT1に設定して、後述の如く検出される発電電力Epが上記目標値PT1(目標発電電力)になるようにエンジン10及びモータジェネレータ20を制御する。尚、モータジェネレータ20による発電電力を走行用モータ40のみに供給する場合、オーバーシュート等によって上記モータ必要電力を超えた発電電力がバッテリ30に充電されることになるので、上記発電電力を走行用モータ40及びバッテリ30の両方に供給する場合と同様に、バッテリ30の充電可能電力Pinを超えた電力をバッテリ30に充電しないようにする必要がある。
そして、コントロールユニット100は、上記車両走行中に、上記検出される発電電力Epの変化を用いて、現時点以降の上記発電電力が、上記モータ必要電力と上記充電可能電力Pinとを足した値PT0を超えないように、エンジン10の出力に関する制御指令値u(ここでは、目標トルク値)を決定するオーバーシュート抑制制御を実行する。
上記第1所定電力Δp1は、充電可能電力Pinが小さいほど、又はエンジン10へ供給される空気温度(例えば、吸気通路14に設けた温度センサにより検出する)が低いほど、大きい値に設定され、モータジェネレータ20による発電電力が、上記モータ必要電力と充電可能電力Pinとを足した値PT0を超え難くする。
ここで、モータジェネレータ20による発電電力Epは、エンジン10の出力と対応しており、モータジェネレータ20の回転軸に作用するトルク(モータジェネレータトルク)と、回転角センサ104によるエンジン10の回転数とに基づいて、コントロールユニット100が算出して検出する。上記モータジェネレータトルクは、インバータ50からコントロールユニット100に送信された、モータジェネレータ20に流れる電流(駆動電流又は発電電流)及びモータジェネレータ20にかかる電圧の情報に基づいて、コントロールユニット100が算出する。したがって、回転角センサ104、インバータ50及びコントロールユニット100は、モータジェネレータ20による発電電力を検出する発電電力検出手段を構成することになる。
本実施形態では、コントロールユニット100は、上記検出される発電電力Epが上記目標発電電力PT1になるように制御するとともに、上記オーバーシュート抑制制御としてPD制御を実行するものであって、上記検出される発電電力の変化を用いて、現時点以降の上記発電電力が、上記モータ必要電力と上記充電可能電力Pinとを足した値PT0を超えないように、上記PD制御の比例ゲインKp及び微分ゲインKdを決定することで、上記制御指令値を決定する。すなわち、
u=[PT1+Kp×ν+Kd×(dν/dt)]/(2π・Ne/60)…(1)
となる。
ここで、上記式(1)において、Neは、目標発電電力PT1に基づいて決定される、モータジェネレータ20の制御に用いる目標エンジン回転数(単位:rpm)、νは、上記目標発電電力PT1と上記検出される発電電力Epとの偏差であり、ν=PT1−Epとなる。dν/dtは、その偏差の時間による微分値である。
コントロールユニット100は、上記目標発電電力PT1及び上記エンジン水温に基づいて、上記目標エンジン回転数Neを決定し、この決定した目標エンジン回転数Neに従ってモータジェネレータ20の回転数を制御する。
尚、上記微分演算時では、ノイズが発生し易いため、ノイズ低減にローパスフィルタや移動平均などの機能を追加してもよい。なぜなら、エンジン出力の応答性はノイズの周波数よりも低いため、エンジン出力のD成分はフィルタを追加しても消えずに残るためである。
また、上記(1)式では、目標発電電力PT1に、PD制御のP制御成分(Kp×ν)とD制御成分(Kd×(dν/dt))とを足して得られる値を上記制御指令値としているが、これに代えて、目標発電電力PT1に、PD制御のP制御成分とD制御成分とを掛け合わた値(Kp×ν×Kd×(dν/dt))を加えて得られる値を上記制御指令値として、現時点以降の上記発電電力が、上記モータ必要電力と上記充電可能電力Pinとを足した値PT0を超えないようにPD制御の比例ゲイン及び微分ゲインを決定することで、上記制御指令値を決定するようにしてもよい。この場合、制御指令値uは、
u=[PT1+Kp×ν×Kd×(dν/dt)]/(2π・Ne/60)…(2)
となる。
さらに、上記のようなPD制御に代えて、上記発電電力(エンジン10の出力)及びエンジン回転数に関する二次元モデル(微分方程式)を構築することで、現時点以降の発電電力を予測して、この現時点以降の発電電力が、上記モータ必要電力と上記充電可能電力Pinとを足した値PT0を超えないように、エンジン10の出力に関する制御指令値を決定するようにしてもよい。
また、本実施形態では、コントロールユニット100は、上記検出される発電電力Epが、上記目標発電電力PT1から第2所定電力Δp2を引いた値PT2に達した時点で、上記オーバーシュート抑制制御(上記PD制御)を実行し、上記値PT2に達するまでは、レートリミッタ処理を実行し、該レートリミッタ処理により、上記検出される発電電力Epの時間に対する変化率が、予め設定した設定値以下になるように、上記制御指令値uを決定する。上記第2所定電力Δp2は、予め定められた一定値であり、上記値PT2でPD制御を実行し始めれば、モータジェネレータ20による発電電力が、上記モータ必要電力と充電可能電力Pinとを足した値PT0をオーバーシュートするのを効果的にかつ十分に防止することができるような値である。
尚、上記レートリミッタ処理後における上記PD制御の実行に際して、上記目標発電電力を、上記値PT1から上記値PT2(上記モータ必要電力と上記充電可能電力Pinとを足した値PT0から上記第2所定電力Δp2を引いた値)に設定変更するようにしてもよい(これに伴い、ν=PT2−Epとなる)。なぜなら、PD制御実行中のνが常に0以下となるためオーバーシュートをより抑える効果を奏するからである。上記のようなレートリミッタ処理を実行しない場合であっても、上記PD制御の実行に際して、上記目標発電電力を上記のように設定変更するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、コントロールユニット100は、上記車両走行中において、アクセル開度センサ102により検出されるアクセルペダルの踏み込み量の減少速度が所定速度以上であるときに、エンジン10を停止して、バッテリ30の放電電力を走行用モータ40に供給するようにする。
すなわち、アクセルペダルの踏み込み量が急激に減少すると、上記モータ必要電力は一気に減少し、これに対応してエンジン10の出力も一気に減少させる必要があるが、エンジン10の出力は、その低下の応答遅れによって緩やかに減少する。このため、アクセルペダルの踏み込み量が急激に減少した直後は、モータジェネレータ20による発電電力が、上記モータ必要電力と充電可能電力Pinとを足した値PT0よりも多くなって、バッテリ30の充電可能電力Pinを超えた電力をバッテリ30に充電する可能性が高くなる。しかし、本実施形態では、アクセルペダルの踏み込み量の減少速度が所定速度以上であるときには、エンジン10を停止して、バッテリ30の放電電力を走行用モータ40に供給することで、アクセルペダルの踏み込み量が急激に減少した直後に、バッテリ30の充電可能電力Pinを超えた電力をバッテリ30に充電するのを防止する。
上記所定の条件が成立した車両走行中におけるコントロールユニット100の処理動作について、図4のフローチャートに基づいて説明する。
最初のステップS1で、各種データを入力し、次のステップS2で、車速センサ103による車速vと、アクセル開度センサ102によるアクセル開度Apと、インバータ50から入力されて検出される走行用モータ40の回転数Mnとから、目標モータ出力Mp0を算出する。
次のステップS3では、インバータ50から入力されて検出される走行用モータ40の出力Mpが、上記の如く検出される発電電力Ep以上でかつ発電電力Ep+放電可能電力Pout未満になるように、目標モータ出力Mp0を補正して新たな目標モータ出力Mp1を算出する。
次のステップS4では、第1所定電力Δp1を設定する。その際、第1所定電力Δp1を、充電可能電力Pinが小さいほど、又はエンジン10へ供給される空気温度が低いほど、大きい値に設定する。
次のステップS5では、モータジェネレータ20による目標発電電力PT1を、
PT1=Mp1+Pin−Δp1
より算出する。
次のステップS6では、目標発電電力PT1及び上記エンジン水温に基づいて目標エンジン回転数Neを決定する。
次のステップS7では、PD制御実行のための判定閾値である、目標発電電力PT1から第2所定電力Δp2を引いた値PT2を、
PT2=PT1−Δp2
より算出する。
次のステップS8で、上記検出される発電電力Epが、PT2以上であるか否かを判定し、このステップS8の判定がNOであるときには、ステップS9に進んで、レートリミッタ処理を実行して、上記検出される発電電力Epの時間に対する変化率が上記設定値以下になるように、エンジン10の出力に関する制御指令値uを決定する。この後、ステップS12に進む。
上記ステップS8の判定がYESであるときには、ステップS10に進んで、上記検出される発電電力Epと目標発電電力PT1との偏差Δep(上記式(1)のνに相当)を、
Δep=Ep−PT1
より算出する。
次のステップS11で、上記偏差ΔepをPD制御に適用し、現時点以降の発電電力が、上記目標モータ出力Mp1(モータ必要電力)と充電可能電力Pinとを足した値PT0を超えないように、上記PD制御の比例ゲインKp及び微分ゲインKdを決定することで、上記制御指令値uを決定する。
上記ステップS11の後、又は、上記ステップS9の後は、ステップS12に進んで、上記目標モータ出力Mp1に従って走行用モータ40を制御するとともに、上記制御指令値uに従ってエンジン10を制御し、また、上記目標エンジン回転数Neに従ってモータジェネレータ20の回転数を制御し、しかる後にリターンする。
上記コントロールユニット100の処理動作により、モータジェネレータ20による発電電力は、例えば図5(a)に実線で示すように変化する。すなわち、時刻t1で、目標発電電力が、或る値からPT1にステップ状に変化したとして(図5(a)の破線を参照)、時刻t1からモータジェネレータ20による発電電力がPT2に達する(時刻t2)までは、レートリミッタ処理によって、制御指令値u(図5(a)の一点鎖線を参照)が、検出される発電電力Epの時間に対する変化率が上記設定値以下になるような制御指令値とされる。図5(a)の例では、単位時間当たりの制御指令値の変化量(グラフの傾き)が一定の状態で、制御指令値が上昇する。尚、図5(a)の制御指令値は、エンジン10の目標トルク値を電力に換算したものである(図5(b)及び(c)も同様)。
そして、モータジェネレータ20による発電電力がPT2に達した以降に、上記レートリミッタ処理を継続したとすると、図5(b)に示すように、モータジェネレータ20による発電電力が、目標発電電力PT1をオーバーシュートするだけでなく、目標モータ出力Mp1(モータ必要電力)と充電可能電力Pinとを足した値PT0を超えてしまう。
これに対し、本実施形態のように、モータジェネレータ20による発電電力がPT2に達した時点で、オーバーシュート抑制制御(PD制御)を実行することで、図5(a)に示すように、制御指令値uが低下し、これにより、モータジェネレータ20による発電電力が、目標モータ出力Mp1(モータ必要電力)と充電可能電力Pinとを足した値PT0を超えなくなる。
尚、上記検出される発電電力Epが、上記目標発電電力PT1から上記第2所定電力Δp2を引いた値PT2に達したときの制御指令値を保存し、その後、上記オーバーシュート抑制制御が作動している最中に、上記モータ必要電力がドライバ操作により上昇し、該上昇に伴って上記目標発電電力PT1から上記第2所定電力Δp2を引いた値PT2が上昇して上記検出される発電電力Epを超えた場合には、上記オーバーシュート抑制制御を停止すると同時に、その時の制御指令値又は上記保存しておいた制御指令値から再びレートリミッタ処理を実行しながら制御指令値を上昇させるようにしてもよい。
例えば図5(c)のようにPD制御実行中の途中でモータ出力Mpが上昇した場合(これに伴って、PT0、PT1及びPT2が上昇する)、時刻t2からt3直前まではPD制御が働くものの、時刻t3においてPD制御が停止されて再びレートリミッタが働く状態になり、時刻t4において再びPD制御が働く挙動になる。この場合、時刻t2における制御指令値を保存しておき、時刻t3において該保存しておいた値又は時刻t3における制御指令値から再びレートリミッタを実行して制御指令値を上昇させるように制御する。こうすることにより、様々な加減速に対してオーバーシュートを抑えながら発電電力を上昇させることが可能になる。
したがって、本実施形態では、上記所定の条件が成立した車両走行時に、モータジェネレータ20による目標発電電力を、目標モータ出力Mp1と充電可能電力Pinとを足した値PT0から第1所定電力Δp1を引いた値PT1に設定して、検出される発電電力Epがその目標発電電力になるようにエンジン10及びモータジェネレータ20を制御するとともに、その際、上記オーバーシュート抑制制御(PD制御)を実行するので、モータジェネレータ20から走行用モータ40には、該走行用モータ40による車両走行に必要な電力を供給することができて、車両1の走行性能を確保することができるとともに、モータジェネレータ20による発電電力が、目標モータ出力Mp1と充電可能電力Pinとを足した値PT0をオーバーシュートするのを防止して、モータジェネレータ20からバッテリ30に供給される電力(モータジェネレータ20による発電電力からモータ必要電力を引いた値の電力)を、充電可能電力Pinよりも低くすることができる。よって、バッテリ30の早期劣化を抑制することができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、エンジンと、該エンジンの出力軸に連結されていて、該エンジンにより駆動されて発電するモータジェネレータと、該モータジェネレータによる発電電力が充電されるバッテリと、該バッテリの放電電力及び上記モータジェネレータによる発電電力のうちの少なくとも一方の電力で駆動される走行用モータとを備えたハイブリッド車両の制御装置に有用である。
1 ハイブリッド車両
10 エンジン
20 モータジェネレータ
30 バッテリ
40 走行用モータ
50 インバータ(発電電力検出手段)
100 コントロールユニット(制御手段)(充電可能電力検出手段)
(発電電力検出手段)
101 バッテリ電流・電圧センサ(充電可能電力検出手段)
102 アクセル開度センサ(踏み込み量検出手段)
104 回転角センサ(発電電力検出手段)
109 バッテリ温度センサ(充電可能電力検出手段)

Claims (8)

  1. エンジンと、該エンジンの出力軸に連結されていて、該エンジンにより駆動されて発電するモータジェネレータと、該モータジェネレータによる発電電力が充電されるバッテリと、該バッテリの放電電力及び上記モータジェネレータによる発電電力のうちの少なくとも一方の電力で駆動される走行用モータとを備えたハイブリッド車両の制御装置であって、
    上記バッテリの充電可能電力を検出する充電可能電力検出手段と、
    上記モータジェネレータによる発電電力を検出する発電電力検出手段と、
    上記エンジン、上記モータジェネレータ及び上記走行用モータの作動を制御する制御手段とを備え、
    上記制御手段は、上記充電可能電力検出手段により検出された充電可能電力が所定値以下であることを含む所定の条件が成立した車両走行時に、上記モータジェネレータによる発電電力を、上記走行用モータ及び上記バッテリの両方、又は上記走行用モータに供給し、当該供給時における上記発電電力の目標値を、上記走行用モータに必要な電力であるモータ必要電力と上記充電可能電力とを足した値から第1所定電力を引いた値に設定して、上記発電電力検出手段により検出される発電電力が上記目標値になるように上記エンジン及び上記モータジェネレータを制御するよう構成されており、
    更に上記制御手段は、上記車両走行時に、上記発電電力検出手段により検出される発電電力の変化を用いて、現時点以降の上記発電電力が、上記モータ必要電力と上記充電可能電力とを足した値を超えないように、上記エンジンの出力に関する制御指令値を決定するオーバーシュート抑制制御を実行するよう構成され
    更に上記制御手段は、上記発電電力検出手段により検出される発電電力が上記目標値になるようにするとともに、上記オーバーシュート抑制制御としてPD制御を実行するものであって、現時点以降の上記発電電力が、上記モータ必要電力と上記充電可能電力とを足した値を超えないように上記PD制御の比例ゲイン及び微分ゲインを決定することで、上記制御指令値を決定するよう構成されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    上記第1所定電力は、上記充電可能電力が小さいほど、又は上記エンジンへ供給される空気温度が低いほど、大きい値に設定されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  3. 請求項1又は2記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    上記制御手段は、上記発電電力検出手段により検出される発電電力が、上記目標値から第2所定電力を引いた値に達した時点で、上記PD制御を実行するよう構成されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  4. 請求項記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    上記制御手段は、上記発電電力の目標値に、上記PD制御のP制御成分とD制御成分とを掛け合わた値を加えて得られる値を上記制御指令値として、現時点以降の上記発電電力が、上記モータ必要電力と上記充電可能電力とを足した値を超えないように上記PD制御の比例ゲイン及び微分ゲインを決定することで、上記制御指令値を決定するよう構成されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  5. 請求項又は記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    上記制御手段は、上記PD制御の実行に際して、上記発電電力の目標値を、上記モータ必要電力と上記充電可能電力とを足した値から上記第2所定電力を引いた値に設定変更するよう構成されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  6. 請求項のいずれか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    上記制御手段は、上記発電電力検出手段により検出される発電電力が、上記目標値から上記第2所定電力を引いた値に達するまでは、レートリミッタ処理を実行し、該レートリミッタ処理により、上記検出される発電電力の時間に対する変化率が、予め設定した設定値以下になるように、上記制御指令値を決定するよう構成されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  7. 請求項記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    上記制御手段は、上記発電電力検出手段により検出される発電電力が、上記目標値から上記第2所定電力を引いた値に達したときの制御指令値を保存し、その後、上記オーバーシュート抑制制御が作動している最中に、上記モータ必要電力がドライバ操作により上昇し、該上昇に伴って上記目標値から上記第2所定電力を引いた値が上昇して上記発電電力検出手段により検出される発電電力を超えた場合には、上記オーバーシュート抑制制御を停止すると同時に、その時の制御指令値又は上記保存しておいた制御指令値から再びレートリミッタ処理を実行しながら制御指令値を上昇させるよう構成されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  8. 請求項1〜のいずれか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    上記ハイブリッド車両のアクセルペダルの踏み込み量を検出する踏み込み量検出手段を更に備え、
    上記制御手段は、上記車両走行中において、上記踏み込み量検出手段により検出されるアクセルペダルの踏み込み量の減少速度が所定速度以上であるときに、上記エンジンを停止して、上記バッテリの放電電力を上記走行用モータに供給するよう構成されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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