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JP6174456B2 - 光蓄電池及び光蓄電池システム - Google Patents
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Description

本発明は、太陽電池と蓄電池とを一体に含む光蓄電池及びそれを用いた光蓄電池システムに関する。
太陽電池と蓄電池とを一体化した光蓄電池では、省スペース化を図りつつ、太陽電池によって発電を行うと同時に蓄電池に充電を行うことが可能である。すなわち、光蓄電池では、受光が可能な場所で発電、充電、放電を行うことができ、且つ充電後には、受光が困難な場所であっても放電を行うことができる。
例えば、特許文献1には、太陽電池として色素増感太陽電池を含み、蓄電池として導電性高分子膜からなる電荷蓄積電極を含む光蓄電池が提案されている。この光蓄電池は、カチオン交換膜によって互いの間が仕切られた第1電解液及び第2電解液と、第1電解液中に配置される太陽電池負極及び対極と、第2電解液中に配置される電荷蓄積電極とを有する3極式である。また、外部回路によって、太陽電池負極と電荷蓄積電極とが電気的に接続され、且つ負荷を介在して電荷蓄積電極と対極とが電気的に接続されている。
このような光蓄電池に太陽光等の光が照射されると、太陽電池負極上の色素が励起されて電子が生じる。このため、外部回路によって太陽電池負極と電荷蓄積電極とを電気的に接続すると、太陽電池負極から電荷蓄積電極に電子が流れる。その結果、電荷蓄積電極をなす導電性高分子膜(ポリピロール膜)でアニオンの脱ドープが生じ、電荷蓄積電極の充電を行うことが可能になる。
この際、第2電解液中のアニオンが増大するため、第1電解液及び第2電解液の電荷の均衡を維持するべく、カチオン交換膜を介して、第1電解液中から第2電解液中へとカチオンが移動する。これによって、太陽電池負極と電荷蓄積電極との電位差が維持され、上記の充電反応が促進される。
一方、上記の光が遮断され、太陽電池負極からの電子の流れが停止した電荷蓄積電極と対極とを外部回路によって電気的に接続すると、該電荷蓄積電極をなす導電性高分子膜でアニオンのドープが生じる。これによって、電荷蓄積電極から対極に電子が流れるため、蓄電した電荷蓄積電極の放電を行うことが可能になる。この際、第2電解液中のアニオンが減少することに伴い、カチオン交換膜を介して、第2電解液中から第1電解液中へとカチオンが移動する。これによって、電荷蓄積電極と対極との電位差が維持され、上記の放電反応が促進される。
特許第4757433号公報
特許文献1記載の光蓄電池において、第1電解液と第2電解液との電荷の均衡を維持して充放電を促進するためには、上記の通り、両電解液に存在する共通のカチオンを移動体として、両電解液間を移動させる必要がある。しかしながら、カチオンは電子等に比してサイズが大きいため、第1電解液及び第2電解液中での移動速度が小さく、また、カチオン交換膜を通過する際の移動抵抗も大きい。従って、カチオンの移動に要する時間が長くなり、ひいては、充放電に要する時間が長くなってしまう。このため、カチオンを移動体とする上記の光蓄電池では、充放電の効率を十分に向上させることが困難である。
本発明はこの種の問題を解決するものであり、充放電を高効率で行うことが可能な光蓄電池及びそれを用いた光蓄電池システムを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、太陽電池と蓄電池とを一体に含む光蓄電池であって、
前記太陽電池は、太陽電池負極と、金属からなる太陽電池正極と、前記太陽電池負極及び前記太陽電池正極の各々に接触する太陽電池電解液とを有し、
前記蓄電池は、蓄電池負極と、半導体からなる蓄電池正極と、前記蓄電池負極及び前記蓄電池正極の各々に接触する蓄電池電解液とを有し、
前記太陽電池正極前記蓄電池正極と、互いの間にショットキー障壁を形成するように接合されることで、前記蓄電池正極から前記太陽電池正極に向かう方向にのみ電流を流すことが可能であり、
前記太陽電池の放電時には、前記太陽電池負極と前記太陽電池正極とを電気的に接続可能であり、
前記蓄電池の充電時には、前記太陽電池負極と前記蓄電池負極とを電気的に接続可能であることを特徴とする。
この光蓄電池では、太陽電池電解液と蓄電池電解液との間に、互いにショットキー接合された太陽電池正極及び蓄電池正極が介在する。このように互いの間にショットキー障壁が形成された太陽電池正極と蓄電池正極との接合体(接合電極)は、整流作用を示す。すなわち、金属からなる太陽電池正極と、半導体からなる蓄電池正極とをショットキー接合した接合電極では、太陽電池正極から蓄電池正極に向かう方向には電流が流れず、蓄電池正極から太陽電池正極に向かう方向にのみ電流を流すことが可能である。つまり、太陽電池負極に光が照射されることで生じた電子が、外部回路を通って、負荷で仕事を終えた後、太陽電池正極に移動しても、該電子は蓄電池正極へは流れない。このため、太陽電池負極と太陽電池正極との間で閉回路が形成され、太陽電池正極に移動した電子は、太陽電池電解液内での還元反応に寄与することになる。
一方、太陽電池負極で生じた電子を外部回路によって蓄電池負極に移動させることで該蓄電池負極の充電を行う場合、蓄電池正極で生じる電子は、太陽電池正極に流れることが可能であり、太陽電池電解液内での還元反応に寄与することになる。すなわち、蓄電池正極で生じる電子が、蓄電池電解液と太陽電池電解液との間の電荷の均衡を維持するための移動体として機能するため、太陽電池負極と蓄電池負極との間に閉回路が形成される。
このように電子を移動体とする場合、電子は、蓄電池電解液側から太陽電池電解液側へ移動する際に、カチオンやアニオンを移動体とする場合のように、電解膜を通過する必要がない。また、電子は、カチオンやアニオン等に比してサイズが小さいため、移動抵抗を低減することができる。
以上のような理由により、この光蓄電池では、イオン電解膜を介してカチオンやアニオンを移動させる一般的な光蓄電池に比して、移動体の移動速度を増大させて、発電及び充放電の効率を効果的に向上させることができる。
この光蓄電池を構成する太陽電池としては、光エネルギを、化学エネルギを仲介して電気エネルギに変換する形態が好ましい。一層好ましくは、太陽電池負極として、光を吸収して励起電子と正孔を発生させる酸化物半導体と、その光の吸収波長を可視光領域まで拡張する増感色素とを含む色素増感太陽電池である。この場合、太陽電池の発電効率を向上させることができる。その結果、光蓄電池の発電及び充放電の効率を向上させることが可能になる。
この光蓄電池を構成する蓄電池としては、リチウムイオン電池が好ましい。この場合、蓄電池正極を半導体から構成して、金属からなる太陽電池正極との間に整流作用を示すショットキー障壁を容易に形成することが可能になる。
また、本発明は、上記の光蓄電池を含む光蓄電池システムであって、
前記太陽電池負極と前記蓄電池負極とを電気的に接続する第1の配線と、
前記第1の配線に設けられ、前記太陽電池負極と前記蓄電池負極との接続及び非接続を切換可能な第1スイッチと、
前記太陽電池負極と前記第1スイッチとの間の前記第1の配線から分岐し、前記太陽電池負極と前記太陽電池正極とを電気的に接続するため、又は、前記蓄電池負極と前記蓄電池正極とを電気的に接続するための第2の配線と、
前記第2の配線に設けられた負荷と、
前記第2の配線に設けられ、前記第1の配線と、前記負荷との接続又は非接続を切換可能な第2スイッチと、
前記第2の配線に設けられ、前記太陽電池正極及び前記蓄電池正極から選択された一方と、前記負荷との接続又は非接続を切換可能な第3スイッチと、
を有することを特徴とする。
例えば、第1スイッチを開いて、太陽電池負極と蓄電池負極とを非接続とし、第2スイッチを閉じて、太陽電池負極と負荷とを接続し、さらに、第3スイッチによって負荷と太陽電池正極とを接続することで、太陽電池によって発電した電力を負荷に供給することができる。この際、互いに接合された太陽電池正極と蓄電池正極との間にショットキー障壁が形成されているため、太陽電池正極と太陽電池負極との間に閉回路を形成して、発電反応を良好に促進することができる。
また、例えば、第1スイッチを閉じて、太陽電池負極と蓄電池負極とを接続するとともに、第2スイッチ及び第3スイッチを開いて、太陽電池負極及び第1スイッチと、負荷とを非接続とすることで、太陽電池負極で生じた電子を蓄電池負極に移動させることができる。すなわち、太陽電池によって発電した電力を蓄電池に充電することができる。この際、蓄電池正極から太陽電池正極へ電子を移動させることができるため、太陽電池負極と蓄電池負極との間に閉回路を形成することができる。これによって、太陽電池電解液中での酸化還元反応を促進して、太陽電池の発電を促進することができる。
さらに、例えば、第1スイッチ及び第2スイッチを閉じて、蓄電池負極と負荷とを接続し、且つ第3スイッチによって負荷と蓄電池正極とを接続することで、蓄電池に充電した電力を負荷に供給することができる。
従って、上記の通り、第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチをそれぞれ切換えることによって、光蓄電池の発電及び充放電を効率的に行うことが可能になる。
本発明によれば、太陽電池正極と蓄電池正極とをショットキー接合して、太陽電池と蓄電池とを一体化することで、カチオン及びアニオンよりもサイズが小さい電子を移動体とすることができる。すなわち、この移動体を、イオン交換膜を介さずに蓄電池電解液側から太陽電池電解液側へ移動させて、太陽電池負極と蓄電池負極との間に閉回路を形成することができる。その結果、移動体の移動抵抗を低減して、光蓄電池の発電及び充放電の効率を効果的に向上させることができる。
本発明の実施形態に係る光蓄電池システムによって発電を行う様子を説明する概略構成図である。 図1の光蓄電池システムによって充電を行う様子を説明する概略構成図である。 図1の光蓄電池システムによって放電を行う様子を説明する概略構成図である。
以下、本発明に係る光蓄電池及び該光蓄電池を含んで構成される光蓄電池システムにつき好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態に係る光蓄電池システムは、光蓄電池と、外部回路とを有している。また、光蓄電池は、太陽電池と蓄電池とを一体に含むものである。本実施形態では、太陽電池として色素増感太陽電池を備え、蓄電池としてリチウムイオン電池を備える光蓄電池を例に挙げて説明する。
図1〜図3に示すように、本実施形態に係る光蓄電池システム10は、光蓄電池12と、外部回路14とを有する。光蓄電池12は、太陽電池16と蓄電池18とを後述するように一体化して構成される。
太陽電池16は、太陽電池負極20と、太陽電池正極22と、太陽電池電解液24とを有する。太陽電池負極20と太陽電池正極22は、互いの距離が約50〜200μmとなるように対向して配置され、その間に形成された空間に太陽電池電解液24が封入されている。太陽電池電解液24を封入するためのシールには、紫外線硬化シール材や熱溶着ガスケット等を用いればよい。
太陽電池負極20は、透明基材34上に、透明導電膜36、酸化物半導体膜38がこの順に積層され、該酸化物半導体膜38に増感色素40が吸着されて構成されている。また、透明導電膜36の表面には、集電材41が設けられ、該集電材41が太陽電池負極20から電流を取り出すための電極端子として機能する。なお、太陽電池負極20は、受光に伴って励起電子と正孔を生成するものであればよく、上記の構成に限定されるものではない。
透明基材34は、例えば、ガラスや樹脂等、光を透過し得る材料から形成することができる。透明導電膜36は、例えば、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)や、スズドープ酸化インジウム(ITO)等、光を透過し得、且つ導電性を示す材料から形成することができる。酸化物半導体膜38は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ニオブ等の薄膜から形成することができる。
増感色素40は、太陽光により励起されて酸化物半導体膜38に電子注入できるものであればよく、例えば、ルテニウム等の金属錯体系色素(N719dye等)や、クマリン系、フタロシアニン系等の有機系色素を使用することができる。酸化物半導体膜38が増感色素40を担持することによって、太陽電池負極20の光吸収波長を可視光領域まで拡張することができる。集電材41は、銀、インジウム、スズ合金等から形成することができる。
太陽電池正極22は、太陽電池電解液24中の電解質を還元することが可能な金属から構成されればよく、具体的な好適例としては、白金や銀の薄膜等が挙げられる。さらに、太陽電池正極22の材料として白金を用いた場合、光の照射によって酸化された太陽電池電解液24中の電解質に電子を供与する触媒機能を営むため、一層好ましい。また、太陽電池正極22には、電極材からなり、集電材としての機能も有する電極端子42が設けられている。
太陽電池電解液24は、電解質を溶媒に溶解して構成される。電解質は、酸化体としての機能と還元体としての機能との両方を有するものであり、例えばヨウ素を挙げることができる。なお、ヨウ素は、溶媒中(太陽電池電解液24中)で還元体として作用するときにはI-として存在し、酸化体として作用するときにはI3 -として存在する。
溶媒は、電解質を溶解し、且つ増感色素40を溶解しない低粘度の物質であり、熱化学的に安定していれば特に限定されるものではない。溶媒の具体的な好適例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等を挙げることができる。
なお、太陽電池16の開放電圧は、太陽電池負極20の構成材料のフラットバンドポテンシャルと、太陽電池電解液24中の電解質の酸化還元電位とによって決定される。
蓄電池18は、蓄電池負極26と、蓄電池正極28と、蓄電池電解液30と、セパレータ32とを有する。なお、セパレータ32は、蓄電池負極26と蓄電池正極28とを隔離して、内部短絡を効果的に防止するために設けられるものであり、内部短絡の懸念がない場合には、特に用いる必要はない。すなわち、セパレータ32は、蓄電池18の必須の構成要素ではない。
蓄電池負極26と蓄電池正極28は、互いの距離が約10〜200μmとなるようにセパレータ32を介して対向するように配置され、その間に形成された空間に蓄電池電解液30が封入されている。上記の太陽電池16と同様に、蓄電池電解液30を封入するためのシールも、紫外線硬化シール材や熱溶着ガスケット等を用いて行うことが可能である。
蓄電池負極26は、リチウムイオンを吸蔵放出可能であり、太陽電池負極20のフラットバンドポテンシャルよりも低い酸化還元電位を有する材料から構成される。蓄電池負極26の好適な材料は、例えば、チタン酸リチウムである。この場合、蓄電池18の充放電を繰り返しても、該蓄電池負極26の表面に蓄電池正極28の構成材料が析出して電池容量が低下すること等を抑制できる。
また、蓄電池負極26の酸化還元電位を太陽電池負極20のフラットバンドポテンシャルよりも低くする観点からは、蓄電池負極26の組成を、例えば、バナジウム酸リチウムや、リン酸鉄リチウム、鉄マンガン酸リチウム等とすることが好ましい。上記の材料は、それぞれ単独で又は複数種を組み合わせて用いることも可能である。
蓄電池正極28は、リチウムイオンを吸蔵放出可能であり、太陽電池正極22と接合した際に、互いの間にショットキー障壁を形成する半導体、換言すると、接合前のフェルミ準位が太陽電池正極22よりも高い半導体からなる。具体的な好適例としては、マンガン酸リチウムやマンガンニッケル酸リチウム等のスピネル系や、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム等の層状酸化物系のn型半導体材料が挙げられる。
なお、蓄電池負極26及び蓄電池正極28を形成する際には、それぞれの構成材料にカーボン等の導電材や、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の形状維持補助材料を添加してもよい。
また、蓄電池負極26及び蓄電池正極28には、それぞれ、電極端子として機能する集電材43、44が設けられている。蓄電池負極26の集電材43は、太陽電池負極20の集電材41と同様に、銀、インジウム、スズ合金等から形成することができる。蓄電池正極28の集電材44は、銀、銅、アルミニウム、黄銅等から形成することができる。
蓄電池電解液30としては、特に限定されないが、電解質を溶媒に溶解したものを用いることができる。電解質としては、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)等のリチウム塩を用いることができる。溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)等の環状カーボネートと、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の鎖状カーボネートとの混合溶媒を用いることができる。
なお、標準電極電位は、水素イオン指数や、溶媒による影響を受けて変化する。このため、蓄電池負極26の酸化還元電位を太陽電池負極20のフラットバンドポテンシャルよりも低くするべく、蓄電池電解液30の溶媒を適宜変更することも可能である。
セパレータ32は、例えば、微多孔性ポリオレフィンフィルム等から形成することができる。
以上のように構成される太陽電池16及び蓄電池18は、太陽電池正極22と蓄電池正極28とが接合されることで一体化され、光蓄電池12を構成している。そして、互いに接合された太陽電池正極22と蓄電池正極28との間にはショットキー障壁が形成されている。
すなわち、本実施形態では、上記の通り、金属からなる太陽電池正極22と、n型半導体からなり、且つ接合前のフェルミ準位が太陽電池正極22よりも高い蓄電池正極28とが接合される。これによって、蓄電池正極28の電子が太陽電池正極22に流れ込んでフェルミ準位が一致する。その結果、蓄電池正極28の接合界面に、正にイオン化したドナーが残る。これによって、空間電荷が形成されるため、電位障壁として、いわゆるショットキー障壁が形成される。
このショットキー障壁によって、太陽電池正極22側に負の電圧を印加しても、つまり、太陽電池正極22側の電子が増加しても、太陽電池正極22の電子は、蓄電池正極28には流れない。一方、太陽電池正極22側に正の電圧を印加すると、つまり、蓄電池正極28側の電子が増加すると、ショットキー障壁の高さが低くなるため、蓄電池正極28から太陽電池正極22へと電子が流れる。
なお、太陽電池正極22と蓄電池正極28との接合体(接合電極)は、化学気相成長法(CVD;Chemical Vapor Deposition)、スパッタリングや蒸着等の物理気相成長法(PVD;Physical Vapor Deposition)等の公知の膜形成技術を利用して作製することが可能である。具体的には、n型半導体である蓄電池正極28を基材とし、該基材の表面に上記の膜形成技術により、金属である太陽電池正極22の膜を形成することで接合電極を得ることができる。また、太陽電池正極22を基材として、該基材の表面に蓄電池正極28の膜を形成してもよい。
上記の通り、太陽電池負極20、蓄電池負極26、蓄電池正極28のそれぞれには、集電材41、43、44が電極端子として設けられている。また、太陽電池正極22には、電流を取り出すための電極端子42が設けられている。これらの集電材41、43、44及び電極端子42に外部回路14が電気的に接続されることで、光蓄電池12の発電及び充放電について制御することができる。
外部回路14は、第1スイッチ45を介して、太陽電池負極20の集電材41と、蓄電池負極26の集電材43とを接続する配線46(第1の配線)を有する。すなわち、第1スイッチ45の開閉によって、太陽電池負極20と蓄電池負極26との接続及び非接続を切り換えることが可能である。
また、外部回路14は、太陽電池負極20と第1スイッチ45の間において、配線46から分岐する配線48(第2の配線)を有する。この配線48には、第2スイッチ50、負荷52、第3スイッチ54が直列に設けられている。このうち、第3スイッチ54は、負荷52を太陽電池正極22の電極端子42に電気的に接続するための第1接点54aと、負荷52を蓄電池正極28の集電材44に電気的に接続するための第2接点54bとを含む。
すなわち、第2スイッチ50は、配線48を介して配線46と、負荷52との接続及び非接続を切り換えることが可能である。また、第3スイッチ54は、太陽電池正極22及び蓄電池正極28から選択された一方と、負荷52との接続及び非接続を切り換えることが可能である。
本実施形態に係る光蓄電池システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果につき説明する。なお、ここでは、太陽電池16及び蓄電池18の各々の構成として、以下に示す材料を採用した場合を例に挙げて説明する。
すなわち、太陽電池負極20を構成する酸化物半導体膜38は、酸化チタン薄膜である。また、増感色素40として、一般にN719dyeと称されるビス(4−カルボキシ−4’−テトラブチルアンモニウムカルボキシ−2,2’−ビピリジン)ジイソチオシアネートルテニウム錯体が採用されている。太陽電池正極22は、白金薄膜である。太陽電池電解液24は、電解質であるトリヨード化合物を、溶媒であるアセトニトリルに溶解したものである。
蓄電池負極26は、チタン酸リチウムに、導電材としてのカーボンと、形状維持補助材料としてのPTFEとを添加したものである。蓄電池正極28は、n型半導体であるマンガン酸リチウムに、導電材としてのカーボンと、形状維持補助材料としてのPTFEとを添加したものである。蓄電池電解液30は、電解質である六フッ化リン酸リチウムを、ECとDECの混合溶媒に溶解したものである。セパレータ32は、微多孔性ポリオレフィンフィルムである。
先ず、図1を参照しつつ、太陽電池16によって発電を行う場合の動作について説明する。この場合、第1スイッチ45を開き、太陽電池負極20と蓄電池負極26とを非接続とする。また、第2スイッチ50を閉じて、太陽電池負極20と負荷52とを接続し、且つ第3スイッチ54の第1接点54aを介して、負荷52と太陽電池正極22とを接続する。
この状態で、太陽電池負極20に光が照射されると、酸化物半導体膜38及び増感色素40において、正孔(h+)と励起電子(e-)とが生成する。この励起電子は、外部回路14を通って負荷52に供給され、該負荷52で仕事をした後、太陽電池正極22へと移動する。
この際、互いに接合された太陽電池正極22と蓄電池正極28との間には、ショットキー障壁が形成されている。このため、太陽電池正極22に電子が増加しても、該電子はショットキー障壁を越えることができないので、太陽電池正極22から蓄電池正極28へ励起電子が流れることはない。
従って、太陽電池電解液24中では、励起電子によって、酸化体I3 -を還元して還元体I-とする還元反応が進行する。この還元体I-は、太陽電池電解液24を介して太陽電池負極20へ移動し、上記の正孔を還元して、すなわち正孔に酸化されて酸化体I3 -となる。
つまり、上記の通り、太陽電池正極22に移動した励起電子は、ショットキー障壁に基づく整流作用によって、蓄電池正極28への移動が防止されることに加え、正孔によって酸化された酸化体I3 -を還元して電荷の均衡を維持するべく太陽電池電解液24との界面に偏在する。その結果、太陽電池負極20と太陽電池正極22との間に閉回路を形成して、発電反応を良好に促進することができる。
次に、図2を参照しつつ、光蓄電池12によって充電(蓄電)を行う場合の動作について説明する。この場合、第1スイッチ45を閉じて、太陽電池負極20と蓄電池負極26を接続する。また、第2スイッチ50を開き、太陽電池負極20と負荷52とを非接続とする。併せて、第3スイッチ54を開くようにしてもよい。
これによって、上記の通り太陽電池負極20に光を照射することで発生した励起電子を、第1スイッチ45を経由して蓄電池負極26に移動させることができる。励起電子を受け取った蓄電池負極26は、さらに、蓄電池電解液30からリチウムイオン(Li+)を受け取る。その結果、次式(1)に示す反応が生じ、充電がなされる。
Li[Li1/3Ti5/3]O4+Li++e-→Li2[Li1/3Ti5/3]O4…(1)
一方、蓄電池正極28では、次式(2)に示す反応が生じ、リチウムイオン(Li+)と、電子(e-)とを生成する。
LiMn24→Li(1-x)Mn24+xLi++xe-…(2)
これによって、蓄電池正極28に生成した電子が増加すると、ショットキー障壁を越えて太陽電池正極22へと電子が移動可能になる。つまり、蓄電池正極28で生成した電子は、太陽電池正極22を介して、太陽電池電解液24中に移動することができる。
このように、太陽電池電解液24に移動した電子は、上記の通り、酸化体I3 -を還元して還元体I-とする。この還元体I-は、太陽電池電解液24を介して太陽電池負極20で正孔を還元して酸化体I3 -となる。
すなわち、蓄電池負極26に電子を供給することにより、蓄電池正極28に生じる電子を移動体として、蓄電池電解液30と太陽電池電解液24との電荷の均衡を維持することができる。これによって、太陽電池負極20と蓄電池負極26との間に閉回路を形成して、太陽電池電解液24中での酸化還元反応を促進することができる。その結果、蓄電池18の充電を良好に促進することができる。
次に、図3を参照しつつ、光蓄電池12によって放電を行う場合の動作について説明する。この場合、第1スイッチ45及び第2スイッチ50を閉じ、第3スイッチ54を第2接点54bに切り換えることによって、負荷52を介して、蓄電池負極26と蓄電池正極28とを接続する。これによって、蓄電池負極26では、次式(3)に示す反応が生じ、電子(e-)とリチウムイオン(Li+)とを生成する。
Li2[Li1/3Ti5/3]O4→Li[Li1/3Ti5/3]O4+Li++e-…(3)
この電子は、第1スイッチ45及び第2スイッチ50を経由して、負荷52に供給され、該負荷52で仕事をした後、第3スイッチ54を経由して蓄電池正極28へと移動する。一方、リチウムイオンは、蓄電池電解液30を経由して蓄電池正極28へと移動する。これによって、蓄電池正極28では、次式に示す反応が生じ、蓄電池18の放電を行うことができる。
Li(1-x)Mn24+xLi++xe-→LiMn24…(4)
以上のように、本実施形態に係る光蓄電池12では、太陽電池正極22と蓄電池正極28とをショットキー接合して、太陽電池16と蓄電池18とを一体化することで、カチオン及びアニオンよりもサイズが小さい電子を移動体とすることができる。すなわち、この移動体は、イオン交換膜等を介さずに、蓄電池電解液30側から太陽電池電解液24側へと移動することができる。これによって、移動体の移動抵抗を低減して、光蓄電池12の発電及び充放電の効率を効果的に向上させることができる。
本発明は、上記した実施形態に特に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、上記の実施形態では、太陽電池16を色素増感太陽電池として、太陽電池負極20が増感色素40を備えることとしたが、太陽電池負極20は、増感色素40を備えていなくてもよい。
10…光蓄電池システム 12…光蓄電池
14…外部回路 16…太陽電池
18…蓄電池 20…太陽電池負極
22…太陽電池正極 24…太陽電池電解液
26…蓄電池負極 28…蓄電池正極
30…蓄電池電解液 32…セパレータ
34…透明基材 36…透明導電膜
38…酸化物半導体膜 40…増感色素
41、43、44…集電材 42…電極端子
45…第1スイッチ 46、48…配線
50…第2スイッチ 52…負荷
54…第3スイッチ 54a…第1接点
54b…第2接点

Claims (4)

  1. 太陽電池と蓄電池とを一体に含む光蓄電池であって、
    前記太陽電池は、太陽電池負極と、金属からなる太陽電池正極と、前記太陽電池負極及び前記太陽電池正極の各々に接触する太陽電池電解液とを有し、
    前記蓄電池は、蓄電池負極と、半導体からなる蓄電池正極と、前記蓄電池負極及び前記蓄電池正極の各々に接触する蓄電池電解液とを有し、
    前記太陽電池正極前記蓄電池正極と、互いの間にショットキー障壁を形成するように接合されることで、前記蓄電池正極から前記太陽電池正極に向かう方向にのみ電流を流すことが可能であり、
    前記太陽電池の放電時には、前記太陽電池負極と前記太陽電池正極とを電気的に接続可能であり、
    前記蓄電池の充電時には、前記太陽電池負極と前記蓄電池負極とを電気的に接続可能であることを特徴とする光蓄電池。
  2. 請求項1記載の光蓄電池において、
    前記太陽電池が色素増感太陽電池であることを特徴とする光蓄電池。
  3. 請求項1又は2記載の光蓄電池において、
    前記蓄電池がリチウムイオン電池であることを特徴とする光蓄電池。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光蓄電池を含む光蓄電池システムであって、
    前記太陽電池負極と前記蓄電池負極とを電気的に接続する第1の配線と、
    前記第1の配線に設けられ、前記太陽電池負極と前記蓄電池負極との接続及び非接続を切換可能な第1スイッチと、
    前記太陽電池負極と前記第1スイッチとの間の前記第1の配線から分岐し、前記太陽電池負極と前記太陽電池正極とを電気的に接続するため、又は、前記蓄電池負極と前記蓄電池正極とを電気的に接続するための第2の配線と、
    前記第2の配線に設けられた負荷と、
    前記第2の配線に設けられ、前記第1の配線と、前記負荷との接続又は非接続を切換可能な第2スイッチと、
    前記第2の配線に設けられ、前記太陽電池正極及び前記蓄電池正極から選択された一方と、前記負荷との接続又は非接続を切換可能な第3スイッチと、
    を有することを特徴とする光蓄電池システム。
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