JP6182085B2 - 立面材用接着剤 - Google Patents
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Description
具体的には、立面材は、起立下地面に、所要量の接着剤を付ける接着剤付着工程、櫛目ゴテのような塗布具を用いて前記接着剤を下地面に沿って伸ばすようにして拡げる伸展工程、その上に立面材を押し付けて接着させる敷設工程、を順に経て起立下地面に施工される。
従来、立面材を接着させるために適切な接着剤が知られていないので、立面材の接着剤として、床材用接着剤が転用されている。
例えば、特許文献1には、粘度9,000〜11,000mPa・sで且つチキソ係数(TI値)3.6〜3.9の床材用接着剤が開示されている。このように床材用接着剤は、一般に、11,000mPa・s以下のような比較的低い粘度にすることによって、拡げ易くなる一方、チキソ係数(TI値)を比較的高くすることによって、拡げたときに生じる接着剤の凹凸状を維持できるようにしている。
しかしながら、立面材の施工面である起立下地面は、水平面に対して略直交状に立ち上がっている。かかる起立下地面に、所要量の接着剤を付ける際、その接着剤の塊の一部が床面上に垂れることがある。さらに、接着剤を拡げる際、所要量の接着剤がより広い範囲に拡がり難いという問題点もある。
式:TI=η1/η2
ただし、前記η1は、BH型粘度計を用い且つ23℃、回転数2rpmの条件下で測定される粘度(mPa・s)で、前記η2は、BH型粘度計を用い且つ23℃、回転数20rpmで測定される粘度(mPa・s)である。
前記立面材用接着剤は、高分子材料と、増粘剤と、を含み、必要に応じて、粘着付与剤、充填剤、その他の添加剤を含む。
なお、本明細書において「A〜B」という記載は、A以上B以下を意味する。
高分子材料としては、特に限定されないが、接着強度に優れ、前記粘度及びTI値の範囲に調整し易いことから、高分子エマルションが好ましく、樹脂エマルション又はゴムラテックスがより好ましい。
前記樹脂エマルションとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル樹脂、(メタ)アクリル酸エチル樹脂、(メタ)アクリル酸メチル樹脂、(メタ)アクリル酸エチル樹脂、(メタ)アクリル酸ブチル樹脂、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル樹脂、アクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂などのアクリル樹脂;酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサティック酸ビニルなどのビニル樹脂;ポリエステル樹脂;フッ素樹脂;エポキシ樹脂;ウレタン樹脂;ポリエーテル樹脂;シリコーン樹脂などの合成樹脂を水に分散させたもの又は2種類以上の合成樹脂を共重合したものを水に分散させたものなどが挙げられる。前記ゴムラテックスとしては、例えば、SBR(スチレンブタジエンゴム)ラテックス、NBR(ニトリルゴム)ラテックス、MBR(アクリルゴム)ラテックス、BR(ポリブタジエンゴム)ラテックス、IIR(ブチルゴム)ラテックス、CRラテックス、IRラテックス、多硫化ゴムラテックスなどが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、特に、アクリル樹脂系エマルションが好ましい。
増粘剤としては、接着剤を前記粘度及びTI値の範囲にできるものであれば特に制限なく使用できる。
好ましくは、増粘剤として、会合型樹脂を用いることが好ましく、さらに、ニュートニアン性のものを用いることがより好ましい。会合型樹脂は、その樹脂中に疎水性基と親水性基を有し、疎水性基が分散媒中の疎水性基と会合し、親水性基が相互に会合しつつ、分散媒全体に広がって弱い網目構造を形成し、分散媒を増粘させる。ニュートニアン性の増粘剤は、分散媒に溶解して、流動に際して応力に比例したひずみ速度を示す粘性を分散媒に与える増粘剤である。
前記会合型樹脂としては、例えば、ウレタン会合型などを用いることができ、好ましくは、ニュートニアン性のウレタン会合型である。
増粘剤の配合量は、前記粘度及びTI値の範囲の接着剤を構成するために、前記高分子エマルションの固形分100質量部に対し、10〜80質量部が好ましく、20〜60質量部がさらに好ましい。
粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、石油系樹脂、テルペン系樹脂などが挙げられる。
ロジン系樹脂としては、トールロジン、ガムロジン、ウッドロジンなどの天然ロジン;天然ロジンに水素添加した水添ロジン;不均一化ロジン;天然ロジンを多価アルコールでエステル化したロジンエステル化物;ロジンフェノール変性物;天然ロジンを不飽和酸で変性したロジン不飽和酸変性物などが挙げられる。
テルペン系樹脂としては、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、芳香族変性のテルペン系樹脂、及びこれらの水素化物などが挙げられる。
これらの粘着付与剤は、1種単独で又は2種以上を併用できる。
上記粘着付与剤の中では、好ましくはロジン系樹脂が用いられ、更に好ましくはロジンエステル化物が用いられる。
充填剤としては、無機充填剤、有機充填剤が挙げられ、好ましくは、無機充填剤である。無機充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、タルク、クレーなどが挙げられる。充填剤は、1種単独で又は2種以上を併用できる。充填剤の配合量は、高分子エマルションの固形分100質量部に対し、100質量部〜500質量部が好ましく、200質量部〜400質量部がより好ましい。
本発明の立面材用接着剤には、これらの成分以外に、他の成分が配合されていてもよい。
他の成分としては、造膜助剤、分散剤、増粘剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、凍結防止剤、界面活性剤、消泡剤、可塑剤、顔料などが挙げられる。
本発明の立面材用接着剤は、23℃での粘度が40,000〜60,000mPa・sで且つTI値が1.0を超え3.5未満である。前記粘度は、好ましくは、42,000mPa・s以上であり、より好ましくは43,000mPa・s以上である。さらに、前記粘度は、好ましくは、59,000mPa・s以下であり、より好ましくは56,000mPa・s以下である。また、前記TI値は、好ましくは、1.1以上であり、より好ましくは、1.3以上である。さらに、前記TI値は、好ましくは、3.2以下であり、より好ましくは3.0以下であり、特に好ましくは、2.5以下である。なお、TI値はチキソ指数のことであって、2種類の異なるせん断速度(回転速度)における見掛け粘度の比である。
ここで、前記粘度(mPa・s)は、23℃で、BH型粘度計を用いて、回転数10rpmの条件下で測定される。前記TIは、式:TI=η1/η2によって求められる。前記η1は、23℃で、BH型粘度計を用いて、回転数2rpmの条件下で測定される粘度(mPa・s)であり、前記η2は、23℃で、BH型粘度計を用いて、回転数20rpmで測定される粘度(mPa・s)である。
本発明の立面材用接着剤は、上記高分子材料に、増粘剤、粘着付与剤、充填剤及びその他の添加剤を所定量配合することによって得ることができる。特に、増粘剤の種類及び量を適宜調整することにより、23℃での粘度が40,000〜60,000mPa・sで且つTI値が1.0を超え3.0以下の立面材用接着剤を得ることができる。
本発明の立面材用接着剤は、立面材を起立下地面に貼り付ける際に主として使用される。
起立下地面1は、図1に示すように、例えば、建築物の床面2(水平面)に対して略直交する方向に立ち上がった壁下地面である。
立面材は、特に限定されず、腰壁材、化粧樹脂シートなどが挙げられる。前記樹脂シートは、ロール状に巻くことができる柔軟な樹脂シートである。前記腰壁材の市販品としては、例えば、東リ(株)製のウッドデコ(商品名)、デコパネル(商品名)などが挙げられる。前記化粧樹脂シートの市販品としては、東リ(株)製の東リ防汚消臭腰壁シート(商品名)などが挙げられる。
図1に示すように、櫛目ゴテ5などの塗布具を用いて、起立下地面1に所望量の立面材用接着剤3を付ける。起立下地面1から盛り上がった接着剤3の塊を、図2に示すように、櫛目ゴテ5などの塗布具を用いて、起立下地面1に沿って伸ばすように、塗布具を起立下地面1に平行に動かして接着剤3を拡げる(図2の矢印方向)。起立下地面1に接着剤3を拡げた後、立面材を押し当てることにより、接着剤3を介して起立下地面1に立面材を貼り付けることができる。
櫛目ゴテ5は、図3に示すように、平板状のヘラ本体51と、ヘラ本体51の基端側に設けられた把持部52と、を有する。ヘラ本体51は、平面視略台形状に形成されており、その先端側は、凹凸状に形成されている。例えば、図示のように、ヘラ本体51の先端側には、複数の切欠き部53(図示例では8カ所)が所定間隔を開けて凹設されている。この切欠き部53は、例えば、内側凹み頂部である先端が尖っている。また、前記把持部52は、例えば、厚手の樹脂成形品からなり、ヘラ本体51の基端側に取り付けられている。もっとも、立面材用接着剤の塗布具は、前記櫛目ゴテに限られず、他の形状の櫛目ゴテ、切欠き部を有さず且つ先端側が直線状のヘラなどを用いることもできる。
(1)高分子材料
高分子材料としてアクリル樹脂系エマルション(高圧ガス工業株式会社製の商品名「ペガール」)を使用した。
このアクリル樹脂系エマルションは、固形分50質量部と、水50質量部とからなる。
このアクリル樹脂系エマルションの23℃での粘度は、2400mPa・sで、pHは7.0であった。
充填剤として炭酸カルシウム(清水工業株式会社製の商品名「LW350」)を使用した。この炭酸カルシウムの平均粒子径は6.0μm、真比重は2.72、比表面積は10,480cm2/gであった。
(3)粘着付与剤
粘着付与剤としてロジンエステル(荒川化学工業株式会社製、商品名「スーパーエステルA75」)を使用した。これは、軟化点70〜80℃、酸価10以下であった。
(4)溶剤
溶剤としてアルキルベンゼン及びグリコールエーテル類を使用した。
(5)増粘剤
(A)ウレタン会合型増粘剤A
ニュートニアン性のウレタン会合型増粘剤。(株)ADEKA製、商品名「アデカノール UH−420」。
(B)ウレタン会合型増粘剤B
ニュートニアン性のウレタン会合型増粘剤。(株)ADEKA製、商品名「アデカノール UH−450VF」。
(C)ウレタン会合型増粘剤C
ニュートニアン性のウレタン会合型増粘剤。サンノプコ(株)製、商品名「SNシックナー602」。
(D)ウレタン会合型増粘剤D
ニュートニアン性のウレタン会合型増粘剤。サンノプコ(株)製、商品名「SNシックナー603」。
(E)ウレタン会合型増粘剤E
チキソ性のウレタン会合型増粘剤。(株)ADEKA製、商品名「アデカノール UH−756VF」。
(F)ウレタン会合型増粘剤F
チキソ性のウレタン会合型増粘剤。(株)ADEKA製、商品名「アデカノール UH−752」。
(G)ウレタン会合型増粘剤G
ニュートニアン性のウレタン会合型増粘剤。サンノプコ(株)製、商品名「SNシックナー612」。
(H)ウレタン会合型増粘剤H
ニュートニアン性のウレタン会合型増粘剤。サンノプコ(株)製、商品名「SNシックナー601」。
(I)アクリル酸系増粘剤
高圧ガス工業(株)製、商品名「Y1000」。
(J)セルロース系増粘剤
三昌(株)製、商品名「SANHEC」。
(6)その他の添加剤
凍結防止剤、乳化剤。
表1乃至表3に示す配合割合で、上記(1)乃至(6)の材料を所定量の水に混合し、実施例1乃至5及び比較例1乃至8の立面材用接着剤をそれぞれ調製した。
なお、表1乃至表3において、実施例及び比較例の組成における各材料は、質量部で表している。
比較例9は、市販の床材用接着剤(株式会社タジマ製、商品名「セメントKG」)をそのまま使用した。
比較例10は、市販の床材用接着剤(株式会社サンゲツ製、商品名「ベンリダインAR」)をそのまま使用した。
比較例11は、市販の床材用接着剤(株式会社サンゲツ製、商品名「ベンリダインPC−1」)をそのまま使用した。
比較例12は、市販の床材用接着剤(ロンシール工業株式会社製、商品名「ロンセメントエコスーパー」)をそのまま使用した。
比較例13は、市販の巾木用接着剤(ロンシール工業株式会社製、商品名「ロンセメント巾木用」)をそのまま使用した。
実施例及び比較例の接着剤の粘度を、JIS K 6833−1に準じて、BH型粘度計及びローターNo.6を用い、23℃、10rpmの条件下で測定した。
実施例及び比較例の接着剤のTI値を、JIS K 5400に準じて測定し、その値を下記式に代入し、有効数字2桁になるように四捨五入した。
式:TI=η1/η2
前記η1は、JIS K 6833−1に準じてBH型粘度計及びローターNo.6を用いて23℃測定された、2rpmのときの粘度(mPa・s)であり、前記η2は、20rpmのときの粘度(mPa・s)である。
実施例及び比較例の接着剤の粘度及びTI値を表4に示す。
水平面に対して略垂直に立ち上げたフレキシブル板(JIS A 5430に規定される、厚み5mm、900mm×900mmのフレキシブル板)に、実施例1の接着剤を、23℃±2℃、湿度50±10%下にて約30g塊状にして付着させた。その略垂直なフレキシブル板(以下、垂直面という)に付着させた時、及び、付着後、その接着剤の塊を塗布具を用いて拡げた時の状態を目視で観察し、接着剤の垂れ性を評価した。その他の実施例及び比較例の接着剤についても同様にして垂れ性を評価した。その結果を表4に示す。
○:接着剤が垂れなかった。
△:垂直面に付着させた時には接着剤の落下は観察されなかったが、拡げていく段階で接着剤のタレや落下があった。
×:垂直面に付着させた時に、接着剤の一部が落下した。
前記垂れ性の評価を行った直後に、櫛目ゴテを用いて、接着剤の塊を垂直面に沿って押し拡げた。櫛目ゴテは、図3に示すようなものを用いた。この櫛目ゴテは、切欠き部の深さaが2.0±0.2mm、切欠き部の基部の幅bが2.0±0.2mm、切欠き部の形成間隔cが5.0±0.5mmであり、8カ所の切欠き部が均等な間隔で凹設されているものである。
接着剤の拡がり程度により、伸び性を評価し、接着剤を伸ばす際に手に加わる感じにより、接着剤を伸ばす際の負荷を評価した。それらの結果を表4に示す。
○:接着剤の塊が、45cm以上90cm以下の範囲に拡がった。
△:接着剤の塊が、20cm以上45cm未満の範囲に拡がった。
×:接着剤の塊が、5cm以上20cm未満の範囲に拡がった。
○:特に違和感なく比較的小さな力で接着剤を伸ばすことができた。
△:接着剤を伸ばす際、少し重たく感じられた。
×:重たく、接着剤を伸ばし難かった。
また、実施例のようにTI値が1.2以上3.0以下の接着剤は、比較的小さな力で良好に伸び、塗布性が良好であった。このことから、TI値が1を超え3.5未満の接着剤は、良好な塗布性を有していると考えられる。
他方、比較例のうちTI値が3.8以上の接着剤は、伸び性が悪かった。一般に、TI値が高いほど、高せん断力下における粘度が低くなり、接着剤の塗布性は良くなると考えられているところ、比較例の結果は、驚くべきものであった。実施例のようにTI値が3.5未満の接着剤が、TI値が3.8以上の接着剤に比して伸び性に優れている理由は、明確には判らないが、本発明者らは次のように推測する。起立下地面に付着させた接着剤塊を伸ばす際、櫛目ゴテのヘラ本体が起立下地面に略直交又は直交に近い鋭角を成すようにして、櫛目ゴテを起立下地面に沿って動かして接着剤を伸ばしていく。この起立下地面は水平面に対して略直交状に立ち上がっているので、図2に示すように、ヘラ本体の一方面(図2において、ヘラ本体の2つの平面のうち、上向きの面)に、多くの接着剤が載り上がる。櫛目ゴテを動かした際には、櫛目ゴテの先端側と起立下地面の間の接着剤に大きなせん断力が加わるが、ヘラ本体の一方面に載り上がった接着剤には、小さなせん断力が加わるか又は殆どせん断力が加わらない。比較例の接着剤は、TI値が比較的高いため、ヘラ本体に載り上がった接着剤塊が余り流動せず、接着剤の伸ばし工程を行った後も櫛目ゴテに残ったままになった量が多いと推定される。他方、実施例の接着剤は、TI値が比較的低いため、粘度が比較的高くてもヘラ本体に載り上がった接着剤塊も流動し易く、ヘラ本体に残る量が相対的に少なくなった結果、伸び性が良好となったと推定される。
2 床面
3 立面材用接着剤
5 櫛目ゴテ
Claims (1)
- 建築物の起立下地面に立面材を取り付ける際に用いられる接着剤であって、
アクリル樹脂系エマルションと、増粘剤としてニュートニアン性のウレタン会合型樹脂と、を含み、
BH型粘度計を用い且つ23℃、回転数10rpmの条件下で測定される粘度が、40,000〜60,000mPa・sで、下記式に従って求められるTI値が、1.0を超え3.5未満である、立面材用接着剤。
式:TI=η1/η2
前記η1は、BH型粘度計を用い且つ23℃、回転数2rpmの条件下で測定される粘度で、前記η2は、同回転数20rpmで測定される粘度である。
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