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JP6197020B2 - 光硬化性樹脂組成物、表示素子シール剤、液晶シール剤及び液晶表示パネルとその製造方法 - Google Patents
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JP6197020B2 - 光硬化性樹脂組成物、表示素子シール剤、液晶シール剤及び液晶表示パネルとその製造方法 - Google Patents

光硬化性樹脂組成物、表示素子シール剤、液晶シール剤及び液晶表示パネルとその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光硬化性樹脂組成物、表示素子シール剤、液晶シール剤及び液晶表示パネルとその製造方法に関する。
近年、携帯電話やパーソナルコンピュータをはじめとする各種電子機器の画像表示パネルとして、液晶や有機EL等の表示パネルが広く使用されている。例えば、液晶表示パネルは、表面に電極が設けられた2枚の透明基板と、それらの間に挟持された枠状のシール部材と、該シール部材で囲まれた領域内に封入された液晶材料とを有する。
液晶表示パネルは、例えば液晶滴下工法で製造されうる。液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造は、(1)透明な基板の内縁に液晶シール剤を塗布して液晶を充填するための枠を形成し、(2)該枠内に液晶を滴下し、(3)液晶シール剤が未硬化状態のままで2枚の基板を高真空下で重ね合わせた後、(4)液晶シール剤を硬化させて行う。
このように、液晶滴下工法では、未硬化の液晶シール剤と液晶材料とが接触した状態で光硬化又は熱硬化を行う。そのため、液晶シール剤は、高い硬化性を有するだけでなく、液晶材料の汚染を低減できることが求められる。
液晶滴下工法に用いられる液晶シール剤として、光重合性オリゴマーと、ジメチルアミノ安息香酸と分子中に2以上のエポキシ基を含有する化合物とを反応させて得られる化合物A(光開始性化合物)と、ヒドロキシチオキサントンと分子内に2以上のエポキシ基を有する化合物とを反応させて得られる化合物B(可視光増感性化合物)とを含む光硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献1)。また、硬化性樹脂と、チオキサントン系重合開始剤と、アミノベンゾイル骨格を有するアミン系増感剤とを含む液晶表示素子用シール剤が提案されている(例えば特許文献2)。さらに、硬化性樹脂と、オキシムエステルと多官能イソシアネートとを反応させて得られる化合物(光重合開始剤)とを含む液晶表示素子用シール剤が提案されている(例えば特許文献3)。
国際公開第2012/077720号 特許第5759638号公報 特開2014−98763号公報
しかしながら、特許文献3に示される組成物は、可視光領域の光の吸収性が低い光重合開始剤を含むため、可視光領域の光に対する硬化性が低かった。特許文献1及び2に示される組成物は、光重合開始剤又は増感剤としてアミノベンゾイル骨格を有する化合物を含むため、可視光領域の光に対する硬化性は良好であるが、当該アミノベンゾイル骨格を有する化合物の液晶材料への溶出を十分には抑制できなかった。このように、可視光領域の光に対する硬化性が高く、且つ液晶汚染を高度に抑制できる光硬化性樹脂組成物を提供できることが望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、例えば表示素子シール剤、特に液晶シール剤として用いた際に、可視光に対する硬化性が高く、且つ液晶汚染を高度に抑制できる光硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
[1] 分子内にエチレン性不飽和二重結合を有する硬化性化合物(A)と、分子内にアミノベンゾイル骨格とNHCO基とを有し、式(I)で表されるNHCO基当量が300g/eq以下である増感剤(B)と、重合開始剤(C)とを含む、光硬化性樹脂組成物。
式(I):NHCO基当量(g/eq)=分子量/1分子に含まれるNHCO基の数
[2] 前記増感剤(B)が、分子内に3以上のNHCO基を有する、[1]に記載の光硬化性樹脂組成物。
[3] 前記増感剤(B)が、分子内にビューレット骨格又はアロファネート骨格を有する、[1]又は[2]に記載の光硬化性樹脂組成物。
[4] 前記増感剤(B)は、下記式(4)で表される化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
Figure 0006197020
(式(4)において、
Xは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンオキシ基、炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数6〜10のアリーレンオキシ基又は炭素数6〜10のアリーレンチオ基を表し、
及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、
Yは、分子内に少なくともm個のイソシアネート基を有する化合物から誘導される有機基を表し、
mは、1〜5の整数を表す)
[5] 前記増感剤(B)の含有量が、前記硬化性化合物(A)に対して0.01〜10質量%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[6] 前記重合開始剤(C)が、チオキサントン骨格を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[7] 前記硬化性化合物(A)が、分子内にエポキシ基をさらに有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物からなる、表示素子シール剤。
[9] [1]〜[7]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物からなる、液晶シール剤
10] []に記載の液晶シール剤を用いて、一方の基板にシールパターンを形成する工程と、前記シールパターンが未硬化の状態において、前記シールパターンの領域内、又は前記一方の基板と対になる他方の基板に液晶を滴下する工程と、前記一方の基板と前記他方の基板とを、前記シールパターンを介して重ね合わせる工程と、前記シールパターンを硬化させる工程とを含む、液晶表示パネルの製造方法。
11] 前記シールパターンを硬化させる工程は、前記シールパターンに光を照射して前記シールパターンを硬化させる工程を含む、[10]に記載の液晶表示パネルの製造方法。
12] 前記シールパターンに照射する光は、可視光領域の光を含む、[11]に記載の液晶表示パネルの製造方法。
13] 一対の基板と、前記一対の基板の間に配置された枠状のシール部材と、前記一対の基板の間の前記シール部材で囲まれた空間に充填された液晶層とを含み、前記シール部材が、[]に記載の液晶シール剤の硬化物である、液晶表示パネル。
本発明によれば、例えば表示素子シール剤、特に液晶シール剤として用いた際に、可視光に対する硬化性が高く、且つ液晶汚染を高度に抑制できる光硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
1.光硬化性樹脂組成物
本発明の光硬化性樹脂組成物は、硬化性化合物(A)と、増感剤(B)と、重合開始剤(C)とを含み、必要に応じて熱硬化性化合物(D)、熱硬化剤(E)、及びその他の成分(F)の少なくとも一つをさらに含み得る。
1−1.硬化性化合物(A)
本発明の光硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性化合物(A)は、分子内にエチレン性不飽和二重結合を有する化合物である。分子内にエチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。1分子あたりの(メタ)アクリロイル基の数は、1又は2以上である。分子内に(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、モノマー、オリゴマー又はポリマーのいずれであってもよい。(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
1分子内に1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2―ヒドロキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが含まれる。
1分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ若しくはトリ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又はそのオリゴマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート又はそのオリゴマー;ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート;トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート;カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート;カプロラクトン変性トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート;アルキル変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレート又はポリメタクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレート又はポリメタクリレート;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート又はジメタクリレート;カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;エチレンオキサイド変性リン酸アクリレート又はジメタクリレート;エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート;ネオペンチルグコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのオリゴ(メタ)アクリレート等が含まれる。
硬化性化合物(A)は、分子内にエポキシ基をさらに有してもよい。1分子あたりのエポキシ基の数は1又は2以上である。硬化性化合物(A)が分子内に(メタ)アクリロイル基だけでなくエポキシ基を有していれば、それを含む光硬化性樹脂組成物に光硬化性と熱硬化性とを付与しうる。それにより、硬化物の硬化性を高めることができる。
分子内に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物は、例えばエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを塩基性触媒の存在下で反応させて得られる(メタ)アクリル酸グリシジルエステルでありうる。
反応させるエポキシ化合物は、分子内に2以上のエポキシ基を有する多官能のエポキシ化合物であればよく、架橋密度が高まりすぎて光硬化性樹脂組成物の硬化物の接着性が低下するのを抑制する観点では、2官能のエポキシ化合物が好ましい。2官能のエポキシ化合物の例には、ビスフェノール型エポキシ化合物(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、2,2’−ジアリルビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、及び水添ビスフェノール型等)、ビフェニル型エポキシ化合物、及びナフタレン型エポキシ化合物が含まれる。中でも、塗布性が良好である観点から、ビスフェノールA型及びビスフェノールF型のビスフェノール型エポキシ化合物が好ましい。ビスフェノール型エポキシ化合物は、ビフェニルエーテル型エポキシ化合物と比べて塗布性に優れる等の利点がある。
分子内に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物は、一種類であってもよいし、二種類以上の組み合わせであってもよい。
分子内に(メタ)アクリロイル基を有し、エポキシ基を有しない化合物(A1)と、分子内に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物(A2)とを組み合わせてもよい。それにより、光硬化性樹脂組成物が、熱硬化性化合物(D)としてエポキシ化合物をさらに含む場合に、当該エポキシ化合物と、分子内に(メタ)アクリロイル基を有し、エポキシ基を有しない化合物(A1)との相溶性を高め得る。また、光硬化性樹脂組成物が、適度な親水性を有する増感剤(B)を含むので、化合物(A2)よりも疎水性を示す化合物(A1)を含んでいても、光硬化性樹脂組成物の、表示素子、特に液晶への溶出を抑制し得る。化合物(A2)と化合物(A1)との含有質量比は、例えば(A2)/(A1)=1/0.4〜1/0.6とし得る。
分子内に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物(A2)の含有量は、特に制限されないが、例えば硬化性化合物(A)の合計に対して30質量%以上でありうる。
硬化性化合物(A)の重量平均分子量は、310〜1000程度であることが好ましい。硬化性化合物(A)の重量平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算にて測定することができる。
硬化性化合物(A)の含有量は、光硬化性樹脂組成物に対して40〜80質量%であることが好ましく、50〜75質量%であることがより好ましい。
1−2.増感剤(B)
本発明の光硬化性樹脂組成物に含まれる増感剤(B)は、分子内にアミノベンゾイル骨格と、NHCO基とを有する。
増感剤(B)に含まれるアミノベンゾイル骨格は、下記式(1)で表される。
Figure 0006197020
式(1)のR及びRは、それぞれ水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。中でも、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
1分子あたりのアミノベンゾイル骨格の数は、1又は2以上である。増感剤(B)の含有量が少なくても、可視光領域の光に対する十分な感度が得られる点から、1分子あたりのアミノベンゾイル骨格の数は、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。
増感剤(B)に含まれるNHCO基は、適度な親水性を示すことから、増感剤(B)の液晶材料への溶出を好ましく抑制できる。
1分子あたりのNHCO基の数は、1又は2以上である。増感剤(B)の液晶材料への溶出を高度に抑制する観点では、1分子あたりのNHCO基の数は、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。増感剤(B)は、1分子あたりのNHCO基の数を多くしやすい点から、ビューレット骨格(−NHCO(N−)CONH−)又はアロファネート骨格(−NHCO(N−)COO−)を有することが好ましい。
増感剤(B)は、分子内にエチレン性不飽和二重結合をさらに有してもよい。分子内にエチレン性不飽和二重結合をさらに有する増感剤(B)は、例えば硬化時に当該増感剤(B)と硬化性化合物(A)とが重合反応し得ることから、増感剤(B)の液晶材料への溶出が抑制されやすい。
増感剤(B)は、「分子内にヒドロキシ基を有するアミノベンゾイル化合物(b1)」と「分子内にイソシアネート基を有する化合物(b2)」との付加反応物であり得る。
「分子内にヒドロキシ基を有するアミノベンゾイル化合物(b1)」は、下記式(2)で表される。
Figure 0006197020
式(2)のXは、独立して単結合、炭素数1〜10のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基等)、炭素数1〜10のアルキレンオキシ基(例えばメチレンオキシ基、エチレンオキシ基等)、炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数6〜10のアリーレンオキシ基(例えばフェニレンオキシ基)又は炭素数6〜10のアリーレンチオ基(例えばフェニレンチオ基)である。中でも、Xの構造に起因する吸収波長のシフトが起こりにくく、アミノベンゾイル骨格を有することによる増感性の効果が十分に得られやすいことから、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましい。
式(2)のaは、1以上の整数であり、好ましくは1である。−(CO−X−OH)で表される基の置換位置は、限定されないが、アミノ基に対してパラ位であることが好ましい。
式(2)のR及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。中でも、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
式(2)で表される化合物は、下記式(2’)で表されることが好ましい。
Figure 0006197020
「分子内にイソシアネート基を有する化合物(b2)」は、分子内に1又は2以上のイソシアネート基を有する化合物である。得られる増感剤(B)のNHCO基当量を一定以下に調整しやすい点では、分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましい。1分子あたりのイソシアネート基の数は、特に制限されないが、増感剤(B)のNHCO基当量を一定以下にしやすい点から、2〜4であることが好ましく、2〜3であることがより好ましい。
分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物は、分子内にNHCO基をさらに有することが好ましく、ビューレット骨格(−NHCO(N−)CONH−)、アロファネート骨格(−NHCO(N−)COO−)又はウレタン骨格を有することがより好ましく、ビューレット骨格又はアロファネート骨格を有することが更に好ましい。即ち、分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物は、例えば下記式(3a)又は(3b)で表され得る。
Figure 0006197020
式(3a)のR及び式(3b)のRは、それぞれNHCO基を有してもよい、直鎖状、分岐状又は環状の飽和脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基である。R及びRに含まれるNHCO基の数は、0又は1以上であり、2以上であることが好ましい。R及びRは、下記式(α)、(β)又は(γ)で表される構造を含むことが好ましく;下記式(α)又は式(β)で表される構造を有することがより好ましい。
Figure 0006197020
(式(γ)のRは、後述するポリオールに由来する飽和脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を示し、nは1以上の整数である)
分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物は、例えばジイソシアネートのビューレット体又はアロファネート体、或いはポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られ、且つ分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーでありうる。
ビューレット体又はアロファネート体の原料となるジイソシアネートの例には、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の炭素数1〜10の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキシレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の炭素数6〜15の脂環族ジイソシアネート;及びトリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の炭素数6〜15の芳香族ジイソシアネートが含まれる。
ウレタンプレポリマーの原料となるポリイソシアネートは、多官能の脂肪族、脂環族又は芳香族のイソシアネートであり、その例には、前述のジイソシアネートが含まれる。ウレタンプレポリマーの原料となるポリオールの例には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等の脂環族ポリオール;フェノールA、ビスフェノールF等の芳香族ポリオール等が含まれる。
「分子内にヒドロキシ基を有するアミノベンゾイル化合物(b1)」と「分子内にイソシアネート基を有する化合物(b2)」との付加反応に加えて、「ヒドロキシ基含有化合物(b3)」をさらに反応させてもよい。
「ヒドロキシ基含有化合物(b3)」は、分子内にヒドロキシ基を有する化合物である。ヒドロキシ基含有化合物(b3)のヒドロキシ基は、「分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物」のイソシアネート基と反応して、―O―CONH―をさらに形成しうる。ヒドロキシ基含有化合物(b3)の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、1-オクタデカノール等の炭素数1〜20のモノアルコールが含まれる。
ヒドロキシ基含有化合物(b3)は、エチレン性不飽和二重結合をさらに有してもよい。それにより、増感剤(B)にエチレン性不飽和二重結合をさらに導入することができる。分子内にエチレン性不飽和二重結合を有するヒドロキシ基含有化合物(b3)の例には、4-ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシ基で置換された(メタ)アクリレートが含まれる。
増感剤(B)は、「式(2’)で表される化合物」と「分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物」との付加反応物であることが好ましく;「式(2’)で表される化合物」と「式(3a)又は(3b)で表される化合物」との付加反応物であることがより好ましい。
即ち、増感剤(B)は、下記式(4)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006197020
式(4)のX、R及びRは、式(2)のX、R及びRとそれぞれ同義である。
式(4)のYは、分子内に少なくともm個のイソシアネート基を有する化合物から誘導される基を表す。分子内に少なくともm個のイソシアネート基を有する化合物から誘導される基は、前述の分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物から誘導される基であり、式(3a)で表される化合物から誘導される2価の基又は式(3b)で表される化合物から誘導される3価の基であることが好ましい。
式(4)のmは、1〜5の整数を表し、好ましくは2又は3である。
増感剤(B)の例には、3−ヒドロキシプロピル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートとヘキサメチレンジイソシアネートビウレット変性体との付加反応物、3−ヒドロキシプロピル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートとヘキサメチレンジイソシアネートアロファネート変性体との付加反応物、及びこれらの化合物にオクタデカノール又は4−ヒドロキシブチルアクリレートをさらに反応させた化合物が含まれる。
増感剤(B)による液晶材料の汚染を抑制するためには、増感剤(B)の分子量を大きくすることも考えられる。しかしながら、増感剤(B)の分子量を単に大きくするだけでは、光吸収に寄与するアミノベンゾイル骨格の1分子あたりの含有割合が相対的に少なくなる場合がある。その結果、一定以上の光吸収性を得るためには、増感剤(B)の含有量を多くすることが必要となり、かえって液晶材料の汚染を生じる場合がある。従って、本発明では、1分子あたりに含まれるNHCO基の割合を一定以上にすること(NHCO基当量を一定以下とすること)が重要である。
即ち、増感剤(B)のNHCO基当量は、300g/eq以下であることが好ましい。増感剤(B)のNHCO基当量が300g/eq以下であると、増感剤(B)に含まれるNHCO基の数が比較的多いため、親水性が適度に高められ、光硬化性樹脂組成物を液晶シール剤として用いた際に、増感剤(B)の液晶材料への溶出を抑制できる。増感剤(B)のNHCO基当量は、200〜290g/eqであることがより好ましく、200〜250g/eqであることがさらに好ましい。増感剤(B)のNHCO基当量が200g/eq以上であると、光硬化性樹脂組成物の硬化物の耐湿性が損なわれにくい。増感剤(B)のNHCO基当量は、下記式(I)で定義される。
式(I):NHCO基当量(g/eq)=分子量/1分子に含まれるNHCO基の数
増感剤(B)のNHCO基当量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC:High performance liquid chromatography)及び液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS:Liquid Chromatography Mass Spectrometry)と、NMR測定又はIR測定とを組み合わせることで確認することができる。具体的には、以下の手順で測定することができる。
1)高速液体クロマトグラィー(HPLC)測定
光硬化性樹脂組成物をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた溶液を、遠心分離機により遠心分離し、シリカ粒子や熱可塑性樹脂粒子等の粒子成分を沈降させる。得られた溶液をフィルターで濾過して粒子成分を除去し、試料液を得る。得られた試料液について、下記測定条件で高速液体クロマトグラィー(HPLC)測定を行う。
(HPLC測定条件)
装置:waters製 Acquity TM UPLC H-Class system
カラム:Acquity UPLC BEH C18、2.1mmID×100mm 粒子径:1.7μm
移動相:A:アセトニトリル
B:5mM酢酸アンモニウム水溶液
A/B = 60/40(0〜4分)
95/5(4〜9分)
95/5(9〜10分)
流速:0.4mL/分
PDA検出器:測定波長:190〜500nm、抽出波長:305nm
2)液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)測定
前述の1)の測定において、アミノベンゾイル骨格に特徴的な波長305nmの検出器で検出されたメインピークの、ピーク頂点に対応する相対分子質量と組成式を、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)により測定する。「メインピーク」とは、検出波長305nmで検出された全ピークのうち、最も強度が大きいピーク(ピークの高さが最も高いピーク)をいう。
(LC/MS測定条件)
装置:waters製 Acquity TM H-Class system / SQ Detector
カラム:Acquity UPLC BEH C18、2.1mmID×100mm 粒子径:1.7μm
移動相:A:アセトニトリル
B:5mM酢酸アンモニウム水溶液
A/B = 60/40(0〜4分)
95/5(4〜9分)
95/5(9〜10分)
流速:0.4mL/分
イオン化:ESI(エレクトロスプレーイオン化)、正・負イオン測定
PDA検出器:測定波長:190〜500nm、抽出波長:305nm
3)NMR測定又はIR測定
また、上記試料液を用いて、NMR測定又はIR測定を行う。それにより、NHCO基やアミノベンゾイル骨格に特徴的なスペクトルの有無を確認し、化学構造を特定する。
4)前記1)及び2)で得られた分子量と、前記3)で得られたNHCO基の数とを、前述の式(I)に当てはめてNHCO基当量(g/eq)を求める。
増感剤(B)のNHCO基当量を上記範囲とするためには、増感剤(B)が、「式(2’)で表される化合物」と「分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物」との付加反応物であることが好ましく;「式(2’)で表される化合物」と「式(3a)又は(3b)で表される化合物」との付加反応物であることがより好ましい。
増感剤(B)の分子量は、例えば500以上5000以下であることが好ましい。増感剤(B)の分子量が500以上であると、液晶に溶出し難いことから、液晶汚染を低減しやすい。増感剤(B)の分子量が5000以下であると、硬化性化合物(A)との相溶性が損なわれ難い。増感剤(B)の分子量は、500以上3000以下であることがより好ましく、700以上1500以下であることがさらに好ましい。
増感剤(B)の分子量は、前述のNHCO基当量の測定における1)と2)の方法で測定することができる。
増感剤(B)は、一種類であってもよいし、二種類以上の組み合わせであってもよい。
増感剤(B)の含有量は、硬化性化合物(A)の合計に対して0.01〜10質量%であることが好ましい。増感剤(B)の含有量が0.01質量%以上であると、重合開始剤(C)を十分に活性化させ得るので、十分な硬化性が得られやすい。増感剤(B)の含有量が10質量%以下であると、硬化性を損なうことなく、液晶材料への溶出を生じにくい。増感剤(B)の含有量は、硬化性化合物(A)の合計に対して0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.1〜3質量%であることがさらに好ましく、0.1質量%以上2質量%未満であることが特に好ましい。
1−3.重合開始剤(C)
重合開始剤(C)は、硬化性化合物(A)を硬化反応させるための光重合開始剤である。但し、重合開始剤(C)は、前述のアミノベンゾイル骨格を含まないものとする。
光重合開始剤は、特に制限されないが、自己開裂型の光重合開始剤であってもよいし、水素引き抜き型の光重合開始剤であってもよい。
自己開裂型の光重合開始剤の例には、アルキルフェノン系化合物(例えば2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(IRGACURE 651)等のベンジルジメチルケタール;2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(IIRGACURE 907)等のα−アミノアルキルフェノン;1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IRGACURE 184)等のα−ヒドロキシアルキルフェノン等)、アシルホスフィンオキサイド系化合物(例えば2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等)、チタノセン系化合物(例えばビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等)、アセトフェノン系化合物(例えばジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等)、フェニルグリオキシレート系化合物(例えばメチルフェニルグリオキシエステル等)、及びベンゾインエーテル系化合物(例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等)が含まれる。
水素引き抜き型の光重合開始剤の例には、ベンゾフェノン系化合物(例えばベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等)、チオキサトン系化合物(例えば2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−カルボキシメトキシチオキサントン)−(ポリテトラメチレングリコール250)ジエステル等)、アントラキノン系化合物(例えば2−エチルアントラキノン等)及びベンジル系化合物が含まれる。
中でも、重合開始剤(C)は、チオキサントン系化合物(チオキサントン骨格を有する化合物)であることが好ましい。これは、以下の理由による。可視光の吸収が強すぎる重合開始剤は、液晶等へわずかに溶出しただけで、表示不良を引き起こす可能性がある。これに対してチオキサントン系化合物は、可視光に対して適度な感度を有することから、表示不良を生じ難くし得る。一方、チオキサントン系化合物単独では、可視光吸収がやや弱い場合があるため、十分な硬化性を得る観点から、増感剤(B)を組み合わせることで、より適切な感度に調整しやすい。
チオキサントン系化合物は、液晶材料への溶出を低減しやすくする観点から、親水性官能基(NHCO基やOH基)、好ましくはNHCO基をさらに有してもよい。
NHCO基を有するチオキサントン系化合物は、「分子内にヒドロキシ基を有するチオキサントン化合物(c1)」と「分子内にイソシアネート基を有する化合物(c2)」との付加反応物であることが好ましい。
「分子内にヒドロキシ基を有するチオキサントン化合物(c1)」は、下記式(5)で表されることが好ましく、下記式(5’)で表されることがより好ましい。
Figure 0006197020
式(5)及び(5’)のLは、独立して単結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンオキシ基、炭素数1〜10のアルキレンチオ基、炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数6〜10のアリーレンオキシ基又は炭素数6〜10のアリーレンチオ基であり得る。中でも、長波長側の光を吸収しやすいことから、炭素数1〜10のアルキレンチオ基又は炭素数6〜10のアリーレンチオ基が好ましい。
式(5)のpは、1以上の整数であり、好ましくは1である。−(L−OH)は、チオキサントン骨格の1位〜8位の炭素原子のいずれと結合していてもよいが、2位又は7位の炭素原子と結合していることが好ましい。
「分子内にイソシアネート基を有する化合物(c2)」は、分子内に1又は2以上のイソシアネート基を有する化合物であり、前述の「分子内にイソシアネート基を有する化合物(b2)」と同義である。
「分子内にヒドロキシ基を有するチオキサントン化合物(c1)」と「分子内にイソシアネート基を有する化合物(c2)」との付加反応に加えて、「ヒドロキシ基含有化合物(c3)」をさらに反応させてもよい。「ヒドロキシ基含有化合物(c3)」は、前述の「ヒドロキシ基含有化合物(b3)」と同義である。
NHCO基を有するチオキサントン系化合物は、「式(5’)で表される化合物」と「分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物」との付加反応物であることが好ましい。
即ち、NHCO基を有するチオキサントン系化合物は、下記式(6)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006197020
式(6)のLは、式(5)のLと同義である。
式(6)のZは、分子内に少なくともn個のイソシアネート基を有する化合物から誘導される基を表す。分子内に少なくともn個のイソシアネート基を有する化合物から誘導される基は、前述の分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物から誘導される基であり、前述の式(3a)で表される化合物から誘導される2価の基又は式(3b)で表される化合物から誘導される3価の基であることが好ましい。
式(6)のnは、2以上の整数を表し、好ましくは2又は3である。
NHCO基を有するチオキサントン系化合物の具体例には、2-ヒドロキシチオキサントンとヘキサメチレンジイソシアネートビウレット変性体との付加反応物、2-ヒドロキシチオキサントンとヘキサメチレンジイソシアネートアロファネート変性体との付加反応物、及びこれらの化合物にオクタデカノール又は4−ヒドロキシブチルアクリレートをさらに反応させた化合物等が含まれる。
NHCO基を有するチオキサントン系化合物のNHCO基当量は、液晶材料の汚染を抑制する観点から、350g/eq以下であることが好ましく、200〜350g/eqであることがより好ましく、230〜330g/eqであることがさらに好ましい。チオキサントン系化合物のNHCO基当量は、前述の式(I)で定義される。
重合開始剤(C)の分子量は、例えば500以上5000以下であることが好ましい。重合開始剤(C)の分子量が500以上であると、液晶に溶解しにくいことから、液晶汚染を低減しやすい。重合開始剤(C)の分子量が5000以下であると、硬化性化合物(A)との相溶性が良くなる。重合開始剤(C)の分子量は、500以上3000以下であることがより好ましく、700以上1500以下であることがさらに好ましい。
重合開始剤(C)の分子量は、前述の増感剤(B)の分子量と同様に定義される。重合開始剤(C)の分子量は、増感剤(B)の分子量と同様にして測定することができる。
重合開始剤(C)の含有量は、硬化性化合物(A)の合計に対して0.01〜10質量%であることが好ましい。重合開始剤(C)の含有量が0.01質量%以上であると、十分な光硬化性が得られやすい。重合開始剤(C)の含有量が10質量%以下であると、液晶材料への溶出が生じにくく、十分な光硬化性が得られやすい。重合開始剤(C)の含有量は、硬化性化合物(A)の合計に対して0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.1〜3質量%であることがさらに好ましく、0.1質量%以上2質量%未満であることが特に好ましい。
重合開始剤(C)と増感剤(B)の含有質量比は、重合開始剤(C):増感剤(B)=1:0.05〜1:5であることが好ましい。重合開始剤(C)と増感剤(B)の含有質量比が上記範囲内であると、長波長の光でも十分な硬化性が得られやすい。重合開始剤(C)と増感剤(B)の含有質量比は、重合開始剤(C):増感剤(B)=1:0.1〜1:2であることがより好ましい。
1−4.熱硬化性化合物(D)
熱硬化性化合物(D)は、分子内にエポキシ基を有するエポキシ化合物であることが好ましい。但し、熱硬化性化合物(D)は、硬化性化合物(A)とは異なるものとする。熱硬化性化合物(D)は、分子内に(メタ)アクリロイル基を有さないエポキシ化合物であることがより好ましい。エポキシ化合物は、モノマー、オリゴマー又はポリマーのいずれであってもよい。エポキシ化合物は、例えば光硬化性樹脂組成物を液晶シール剤として用いた際に、液晶に対する溶解性や拡散性が低く、得られる液晶パネルの表示特性を良好とするだけでなく、硬化物の耐湿性を高め得る。
エポキシ化合物は、重量平均分子量が500〜10000、好ましくは1000〜5000の芳香族エポキシ化合物であり得る。エポキシ化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算にて測定することができる。
芳香族エポキシ化合物の例には、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等で代表される芳香族ジオール類及びそれらをエチレングリコール、プロピレングリコール、アルキレングリコール変性したジオール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族多価グリシジルエーテル化合物;フェノール又はクレゾールとホルムアルデヒドとから誘導されたノボラック樹脂、ポリアルケニルフェノールやそのコポリマー等で代表されるポリフェノール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られたノボラック型多価グリシジルエーテル化合物;キシリレンフェノール樹脂のグリシジルエーテル化合物類等が含まれる。 中でも、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、トリフェノールメタン型エポキシ化合物、トリフェノールエタン型エポキシ化合物、トリスフェノール型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ジフェニルエーテル型エポキシ化合物及びビフェニル型エポキシ化合物が好ましい。エポキシ化合物は、一種類であってもよいし、二種類以上の組み合わせであってもよい。
エポキシ化合物は、液状であってもよいし、固形であってもよい。硬化物の耐湿性を高めやすい点では、固形のエポキシ化合物が好ましい。固形のエポキシ化合物の軟化点は、40℃以上150℃以下であることが好ましい。
熱硬化性化合物(D)の含有量は、光硬化性樹脂組成物に対して3〜20質量%であることが好ましい。熱硬化性化合物(D)の含有量が3質量%以上であると、光硬化性樹脂組成物の硬化物の耐湿性を良好に高めやすい。熱硬化性化合物(D)の含有量が20質量%以下であると、光硬化性樹脂組成物の粘度の過剰な上昇を抑制しうる。熱硬化性化合物(D)の含有量は、光硬化性樹脂組成物に対して3〜15質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。
1−5.熱硬化剤(E)
熱硬化剤(E)は、通常の保存条件下(室温、可視光線下等)では熱硬化性化合物(D)を硬化させないが、熱を与えられると当該化合物を硬化させる化合物である。熱硬化剤(E)を含有する光硬化性樹脂組成物は、保存安定性に優れ、且つ熱硬化性に優れる。熱硬化剤(E)は、エポキシ硬化剤であることが好ましい。
エポキシ硬化剤は、光硬化性樹脂組成物の粘度安定性を高め、且つ硬化物の耐湿性を損なわない観点から、熱硬化温度にもよるが、融点が50℃以上250℃以下であるエポキシ硬化剤であることが好ましく、融点が100℃以上200℃以下であるエポキシ硬化剤であることがより好ましく、融点が150℃以上200℃以下であるエポキシ硬化剤であることがさらに好ましい。
エポキシ硬化剤の例には、有機酸ジヒドラジド系熱潜在性硬化剤、イミダゾール系熱潜在性硬化剤、アミンアダクト系熱潜在性硬化剤、及びポリアミン系熱潜在性硬化剤が含まれる。
有機酸ジヒドラジド系熱潜在性硬化剤の例には、アジピン酸ジヒドラジド(融点181℃)、1,3-ビス(ヒドラジノカルボエチル)-5-イソプロピルヒダントイン(融点120℃)、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド(融点160℃)、ドデカン二酸ジヒドラジド(融点190℃)、及びセバシン酸ジヒドラジド(融点189℃)等が含まれる。イミダゾール系熱潜在性硬化剤の例には、2,4-ジアミノ-6-[2'-エチルイミダゾリル-(1')]-エチルトリアジン(融点215〜225℃)、及び2-フェニルイミダゾール(融点137〜147℃)等が含まれる。アミンアダクト系熱潜在性硬化剤は、触媒活性を有するアミン系化合物と任意の化合物とを反応させて得られる付加化合物からなる熱潜在性硬化剤であり、その例には、味の素ファインテクノ(株)製アミキュアPN−40(融点110℃)、味の素ファインテクノ(株)製アミキュアPN−23(融点100℃)、味の素ファインテクノ(株)製アミキュアPN−31(融点115℃)、味の素ファインテクノ(株)製アミキュアPN−H(融点115℃)、味の素ファインテクノ(株)製アミキュアMY−24(融点120℃)、及び味の素ファインテクノ(株)製アミキュアMY−H(融点131℃)等が含まれる。ポリアミン系熱潜在性硬化剤は、アミンとエポキシとを反応させて得られるポリマー構造を有する熱潜在性硬化剤であり、その例には、(株)ADEKA製アデカハードナーEH4339S(軟化点120〜130℃)、及び(株)ADEKA製アデカハードナーEH4357S(軟化点73〜83℃)等が含まれる。中でも、ジヒドラジド系熱潜在性硬化剤、イミダゾール系熱潜在性硬化剤、アミンアダクト系熱潜在性硬化剤及びポリアミン系熱潜在性硬化剤が好ましい。エポキシ硬化剤は一種類のみであってもよいし二種以上の組み合わせであってもよい。
熱硬化剤(E)の含有量は、光硬化性樹脂組成物に対して3〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。熱硬化剤(E)を含む光硬化性樹脂組成物は、一液硬化性樹脂組成物となりうる。一液硬化性樹脂組成物は、使用に際して主剤と硬化剤を混合する必要がないことから、作業性に優れる。
熱硬化性化合物(D)と熱硬化剤(E)の合計含有量は、光硬化性樹脂組成物に対して5〜50質量%であることが好ましく、5〜35質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることがさらに好ましい。
1−6.その他の成分(F)
1−6−1.熱可塑性樹脂粒子
本発明の光硬化性樹脂組成物は、必要に応じて熱可塑性樹脂粒子をさらに含んでいてもよい。熱可塑性樹脂粒子は、環球法により測定される軟化点温度が50〜120℃、好ましくは70〜100℃の熱可塑性樹脂を含み、且つ数平均粒子径が0.05〜5μm、好ましくは0.1〜3μmでありうる。そのような熱可塑性樹脂粒子を含む光硬化性樹脂組成物は、硬化物に発生する収縮応力を緩和できる。また、数平均粒子径を上限値以下とすることにより、線幅の細いシール部材を形成する際に、熱可塑性樹脂粒子によって、塗工安定性が低下することを防ぐことができる。数平均粒子径は、乾式粒度分布計で測定されうる。
熱可塑性樹脂粒子の例には、エポキシ基と二重結合基とを含む樹脂を、ラジカル重合可能なモノマーと懸濁重合して得られる微粒子が含まれる。エポキシ基と二重結合基とを含む樹脂の例には、ビスフェノールF型エポキシ樹脂とメタアクリル酸を三級アミン存在下で反応させた樹脂が含まれる。ラジカル重合可能なモノマーの例には、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、及びジビニルベンゼンが含まれる。
熱可塑性樹脂粒子の含有量は、光硬化性樹脂組成物に対して5〜40質量%であることが好ましく、7〜30質量%であることがより好ましい。熱可塑性樹脂粒子の含有量が上記範囲であると、熱可塑性樹脂粒子が光硬化性樹脂組成物の加熱硬化の際の収縮応力を好ましく緩和でき、目的とする線幅でシール部材を形成しやすい。
1−6−2.充填剤
本発明の光硬化性樹脂組成物は、必要に応じて充填剤をさらに含んでいてもよい。充填剤を含む光硬化性樹脂組成物は、粘度や硬化物の強度、及び線膨張性等が良好でありうる。
充填剤の例には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタン、窒化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、チタン酸カリウム、カオリン、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の無機充填剤が含まれる。中でも、二酸化ケイ素及びタルクが好ましい。
充填剤の形状は、球状、板状、針状等の定形状であってもよいし、非定形状であってもよい。充填剤が球状である場合、充填剤の平均一次粒子径は、1.5μm以下であることが好ましく、且つ比表面積が0.5〜20m/gであることが好ましい。充填剤の平均一次粒子径は、JIS Z8825−1に記載のレーザー回折法により測定することができる。充填剤の比表面積は、JIS Z8830に記載のBET法により測定することができる。
充填剤の含有量は、光硬化性樹脂組成物に対して1〜50質量%であることが好ましい。充填剤の含有量が50質量%以下であると、光硬化性樹脂組成物の塗工安定性が損なわれにくい。充填剤の含有量は、光硬化性樹脂組成物に対して10〜30質量%であることがより好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、必要に応じて熱ラジカル重合開始剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、イオントラップ剤、イオン交換剤、レベリング剤、顔料、染料、可塑剤及び消泡剤等の添加剤をさらに含んでいてもよい。
シランカップリング剤の例には、ビニルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が含まれる。シランカップリング剤の含有量は、光硬化性樹脂組成物に対して0.01〜5質量%でありうる。シランカップリング剤の含有量が0.01質量%以上であると、光硬化性樹脂組成物の硬化物が十分な接着性を有しやすい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、液晶表示パネルのギャップを調整するためのスペーサー等をさらに含んでいてもよい。
1−7.光硬化性樹脂組成物の物性
本発明の光硬化性樹脂組成物の、E型粘度計の25℃、2.5rpmにおける粘度は、200〜450Pa・sであることが好ましく、300〜400Pa・sであることがより好ましい。粘度が上記範囲にあると、光硬化性樹脂組成物のディスペンサ−による塗布性が良好となる。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、例えばシール剤として用いることができる。シール剤は、液晶表示素子、有機EL素子、LED素子等の表示素子の封止に用いられる表示素子シール剤であることが好ましい。表示素子シール剤は、特に液晶シール剤であることが好ましく、液晶滴下工法用の液晶シール剤であることがより好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物に含まれる増感剤(B)は、重合開始剤(C)を活性化させやすいので、良好な硬化性が得られやすい。それにより、液晶層等の表示素子への光によるダメージを少なくしつつ、短時間での硬化が可能となる。また、増感剤(B)は、分子内に親水性を有するNHCO基を一定以上含むので、疎水性を有する液晶への溶出を高度に抑制し得る。
2.表示素子パネル及びその製造方法
表示素子パネルは、一対の基板と、該一対の基板の間に配置される表示素子と、該表示素子を封止するシール部材とを含む。シール部材を、本発明の表示素子シール剤の硬化物としうる。本発明の表示素子シール剤は、本発明の光硬化性樹脂組成物からなる。
表示素子の例には、液晶表示素子、有機EL素子及びLED素子等が含まれる。中でも、本発明の光硬化性樹脂組成物が液晶汚染を良好に抑制し得る点から、液晶表示素子が好ましい。
即ち、本発明の液晶表示パネルは、一対の基板と、該一対の基板の間に配置される枠状のシール部材と、該一対の基板の間の枠状のシール部材で囲まれた空間に充填された液晶層(液晶表示素子)とを含む。シール部材を、本発明の液晶シール剤の硬化物としうる。本発明の液晶シール剤は、本発明の光硬化性樹脂組成物からなる。
一対の基板は、いずれも透明基板である。透明基板の材質は、ガラス、又はポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン及びPMMA等のプラスチックでありうる。
一対の基板のうち一方の基板の表面には、マトリックス状のTFT、カラーフィルタ、ブラックマトリクス等が配置され得る。該一方の基板の表面には、さらに配向膜が配置されうる。配向膜には、公知の有機配向剤や無機配向剤が含まれる。
液晶表示パネルは、本発明の液晶シール剤を用いて製造される。液晶表示パネルの製造方法には、一般に、液晶滴下工法と、液晶注入工法とがあるが、本発明の液晶表示パネルは、液晶滴下工法で製造されることが好ましい。
液晶滴下工法による液晶表示パネルの製造方法は、
1)一方の基板に、本発明の液晶シール剤のシールパターンを形成する工程と、
2)シールパターンが未硬化の状態において、基板のシールパターンで囲まれた領域内、又はシールパターンで囲まれた領域に対向する他方の基板の領域に、液晶を滴下する工程と、
3)一方の基板と他方の基板とをシールパターンを介して重ね合わせる工程と、
4)シールパターンを硬化させる工程と
を含む。
2)の工程において、シールパターンが未硬化の状態とは、液晶シール剤の硬化反応がゲル化点までは進行していない状態を意味する。このため、2)の工程では、液晶シール剤の液晶への溶解を抑制するために、シールパターンを光照射又は加熱して半硬化させてもよい。
4)の工程では、光照射による硬化のみを行ってもよいが、光照射による硬化を行った後、加熱による硬化を行ってもよい。即ち、4)の工程は、シールパターンに光を照射してシールパターンを硬化させる工程を含み;液晶シール剤が前述の熱硬化剤(E)をさらに含む場合は、光が照射されたシールパターンを加熱して硬化させる工程をさらに含んでもよい。光照射による硬化を行うことで、液晶シール剤を短時間で硬化させることができるので、液晶への溶解を抑制できる。光照射による硬化と加熱による硬化とを組み合わせることで、光照射による硬化のみの場合と比べて光による液晶層へのダメージを少なくすることができる。
照射する光は、波長370〜450nmの光であることが好ましい。上記波長の光は、液晶材料や駆動電極に与えるダメージが比較的少ないからである。光の照射は、紫外線や可視光を発する公知の光源を使用できる。可視光を照射する場合、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、蛍光灯等を使用できる。
光照射エネルギーは、硬化性化合物(A)を硬化させうる程度のエネルギーであればよい。光硬化時間は、液晶シール剤の組成にもよるが、例えば10分程度である。
熱硬化温度は、液晶シール剤の組成にもよるが、例えば120℃であり、熱硬化時間は2時間程度である。
本発明の液晶シール剤は、液晶への溶解が低減されている。従って、本発明の液晶シール剤の硬化物を有する液晶表示パネルは、液晶による汚染が少なく、高品質の表示性能を有しうる。
以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.増感剤(B)及び比較化合物の合成と評価
(合成例1)
攪拌機、窒素ガス導入管、還流冷却管、温度計を備えた4つ口フラスコ中へ、3-ヒドロキシプロピル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート 4.00g(1.79×10−2モル)と、トルエン30gとを投入し、80℃で撹拌した後、ジブチル錫を触媒として1滴添加した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネートビウレット変性体(三井化学社製、タケネートD−165N、イソシアネート当量179.5g/eq)3.86gをトルエン10gに溶解させた溶液を15分かけて滴下した後、そのまま窒素雰囲気下80℃で4時間撹拌した。反応終了後、4つ口フラスコを室温にて放冷して沈降した液状成分を分離した。回収した液状成分を、オーブンで十分に乾燥させて、化合物B−1を得た。
(合成例2)
攪拌機、窒素ガス導入管、還流冷却管、温度計を備えた4つ口フラスコ中へ、3-ヒドロキシプロピル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート 4.00g(1.79×10−2モル)とトルエン30gとを投入し、80℃で撹拌した後、ジブチル錫を触媒として1滴添加した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネートアロファネート変性体(三井化学社製、タケネートD−178NL、イソシアネート当量216.1g/eq)4.64gをトルエン10gに溶解させた溶液を20分かけて滴下した後、そのまま窒素雰囲気下80℃で3時間撹拌した。反応終了後、4つ口フラスコを室温にて放冷することで沈降した液状成分を分離した。回収した液状成分をオーブンで十分に乾燥し、化合物B−2を得た。
(合成例3)
攪拌機、窒素ガス導入管、還流冷却管、温度計を備えた4つ口フラスコ中へ、3−ヒドロキシプロピル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート 4.00g(1.79×10−2モル)とトルエン30gとを投入して、80℃で撹拌した後、ジブチル錫を触媒として1滴添加した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネートビウレット変性体(三井化学社製、タケネートD−165N、イソシアネート当量179.5g/eq)2.14gをトルエン10gに溶解させた溶液を15分かけて滴下した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)にて3−ヒドロキシプロピル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートの消失を確認した後、1−オクタデカノール(東京化成社製)1.94g(7.16×10−3モル)をトルエン10gに溶解させた溶液をさらに滴下して加え、窒素雰囲気下80℃で2時間撹拌した。反応終了後、4つ口フラスコを氷浴で冷却して沈降した液状成分を分離した。回収した液状成分をオーブンで十分に乾燥させて、化合物B−3を得た。
(合成例4)
攪拌機、窒素ガス導入管、還流冷却管、温度計を備えた4つ口フラスコ中に、3−ヒドロキシプロピル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート 2.00g(8.95×10−3モル)と酢酸エチル30gを加えて70℃で撹拌した後、ジブチル錫を触媒として1滴添加した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネート(東京化成工業社製)1.81gを酢酸エチル10gに溶解させた溶液を10分かけて滴下した後、そのまま窒素雰囲気下70℃で3時間撹拌した。反応終了後、4つ口フラスコを室温にて放冷して沈降した液状成分を分離した。回収した液状成分をオーブンで十分に乾燥させて、化合物R−1を得た。
(合成例5)
攪拌機、窒素ガス導入管、還流冷却管、温度計を備えた4つ口フラスコ中へ、3−ヒドロキシプロピル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート 2.00g(8.95×10−3モル)とメチルイソブチルケトン30gを加えて80℃で撹拌した後、ジブチル錫を触媒として1滴添加した。次いで、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアナート(東京化成工業社製)2.35gをメチルイソブチルケトン10gに溶解させた溶液を10分かけて滴下した後、そのまま窒素雰囲気下80℃で3時間撹拌した。反応終了後、4つ口フラスコを室温にて放冷して沈降した液状成分を分離した。回収した液状成分をオーブンで十分に乾燥させて、化合物R−2を得た。
(合成例6)
攪拌機、窒素ガス導入管、還流冷却管、温度計を備えた4つ口フラスコ中へ、4−(ジメチルアミノ)ベンジルアルコール(東京化成工業社製) 2.00g(1.32×10−2モル)とトルエン50gを加えて90℃で撹拌した後、ジブチル錫を触媒として1滴添加した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネートビウレット変性体(三井化学社製、タケネートD−165N、イソシアネート当量179.5g/eq)2.84gをトルエン15gに溶解させた溶液を10分かけて滴下した後、そのまま窒素雰囲気下90℃で3時間撹拌した。反応終了後4つ口フラスコを室温にて放冷した後、ろ過を実施した。回収したろ液を、エバポレーターを用いて溶媒留去することで、液状の化合物R−3を得た。
(合成例7)
攪拌機、窒素ガス導入管、還流冷却管、温度計を備えた4つ口フラスコ中へ、4−(ジメチルアミノ)ベンジルアルコール(東京化成工業社製) 2.00g(1.32×10−2モル)とトルエン30gを加えて90℃で撹拌した後、ジブチル錫を触媒として1滴添加した。次いで、ヘキサメチレンジイソシアネートアロファネート変性体(三井化学社製、タケネートD−178NL、イソシアネート当量216.1g/eq)3.42gをトルエン15gに溶解させた溶液を10分かけて滴下した後、そのまま窒素雰囲気下90℃で3時間撹拌した。反応終了後、4つ口フラスコを室温にて放冷した後、ろ過を実施した。回収したろ液を、エバポレーターを用いて溶媒留去することで、液状の化合物R−4を得た。
化合物R−5:3−ヒドロキシプロピル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート
Figure 0006197020
化合物R−6:4−(ジメチルアミノ)ベンジルアルコール(東京化成工業社製、下記化合物)
Figure 0006197020
化合物R−7:Omnipol−ASA(IGM Resins社製、下記化合物)
Figure 0006197020
合成例1〜3で得られた化合物B−1〜B−3の構成を表1に示し、合成例4〜7で得られた化合物R−1〜R−4の構成を表2に示す。
Figure 0006197020
Figure 0006197020
(実験例1〜3、比較実験例1〜7)
準備した化合物B−1〜B−3及び比較化合物R−1〜R−7の1)分子量、2)液晶の電圧保持率、及び3)液晶のN-I点降下を、以下の方法で評価した。
1)分子量
準備した化合物を、テトラヒドロフラン(THF)に溶解した試料液を調製し、下記測定条件で高速液体クロマトグラフフィー(HPLC)測定を行った。そして、検出波長305nmで検出された全ピークのうち、最も強度が大きいピーク(高さが最も高いピーク)をメインピークとした。
(HPLC測定条件)
装置:waters製 Acquity TM UPLC H-Class system
カラム:Acquity UPLC BEH C18、2.1mmID×100mm 粒子径:1.7μm
移動相:A:アセトニトリル
B:5mM酢酸アンモニウム水溶液
A/B = 60/40(0〜4分)
95/5(4〜9分)
95/5(9〜10分)
流速:0.4mL/分
PDA検出器:測定波長:190〜500nm、抽出波長:305nm
メインピークが検出された化合物について、検出されたメインピークのピーク頂点に対応する相対分子質量を、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)により測定した。
(LC/MS測定条件)
装置:waters製 Acquity TM H-Class system / SQ Detector
カラム:Acquity UPLC BEH C18、2.1mmID×100mm 粒子径:1.7μm
移動相:A:アセトニトリル
B:5mM酢酸アンモニウム水溶液
A/B = 60/40(0〜4分)
95/5(4〜9分)
95/5(9〜10分)
流速:0.4mL/分
イオン化:ESI(エレクトロスプレーイオン化)、正・負イオン測定
PDA検出器:測定波長:190〜500nm、抽出波長:305nm
2)液晶の電圧保持率
準備した化合物を0.1gと、液晶(MLC−7021−000、メルク社製)を1gとをバイアル瓶に投入し、120℃で1時間加熱して、液晶混合物を得た。次いで、この液晶混合物を取り出して、透明電極が予め形成されたガラスセル(KSSZ-10/B111M1NSS05、EHC社製)に注入し、電圧1Vを印加し、60Hzでの電圧保持率を6254型測定装置(東陽テクニカ製)により測定した。
電圧保持率が95%以上である場合を◎、90%以上95%未満である場合を○、90%未満である場合を×とした。
3)液晶のN−I点降下
準備した化合物を0.1gと、液晶(MLC−7021−000、メルク社製)を1gとをバイアル瓶に投入し、120℃で1時間加熱して液晶混合物を得た。次いで、この液晶混合物を取り出して、アルミ製オープンパン(エポリードサービス社製)に10mg入れ、DTA-TG装置(セイコーインスツルメンツ社製)によりN−I点を測定した。
液晶のN−I点に対する変化量が3℃未満である場合を◎、3℃以上5℃未満の場合を○、5℃以上の場合を×とした。
得られた測定結果を、表3に示す。
Figure 0006197020
表3に示されるように、NHCO基当量が300g/eq以下であり、且つアミノベンゾイル骨格を有する実験例1〜3の化合物B−1〜B−3は、NHCO基当量が300g/eqを超える比較実験例1及び2の化合物R−1及びR−2、アミノベンゾイル骨格を有しない比較実験例4の化合物R−4、NHCO基を有しない比較実験例5〜7の化合物R−5〜R−7よりも、液晶の電圧保持率が高く、且つN−I点降下が少なく、液晶への溶出が低減されたことがわかる。
2.光硬化性樹脂組成物の調製と評価
(硬化性化合物(A))
硬化性化合物A−1:下記合成例8で得られたメタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂(95%部分メタアクリル化物)
(合成例8)
160gの液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(YDF-8170C、新日鉄住金化学社製、エポキシ当量160g/eq)、重合禁止剤として0.1gのp-メトキシフェノール、触媒として0.2gのトリエタノールアミン、及び81.7gのメタアクリル酸をフラスコ内に仕込み、乾燥空気を送り込んで90℃で還流攪拌しながら5時間反応させた。得られた化合物を、超純水にて20回洗浄し、メタアクリル酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂を得た。
共栄社化学製ライトアクリレート14EG-A:
下記式で表されるポリエチレングリコールジアクリレート(分子量600)
Figure 0006197020
(増感剤(B))
合成例1〜3の化合物B−1〜B−3
(比較化合物)
合成例4〜7の化合物R−1〜R−4、及び化合物R−5〜R−7
(重合開始剤(C))
Omnipol−TX:IGM Resins社製、2−カルボキシメトキシチオキサントン)−(ポリテトラメチレングリコール250)ジエステル
(熱硬化性化合物(D))
エポキシ樹脂:三菱化学社製、jER1004、軟化点97℃
(熱硬化剤(E))
アジピン酸ジヒドラジド:日本化成社製、ADH、融点177〜184℃
(その他成分(F))
シリカ粒子:(株)日本触媒製、S-100
熱可塑性樹脂粒子(アイカ工業社製、F351、軟化点120℃、平均粒子径0.3μm)
γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-403)
(実施例1)
硬化性化合物(A)として合成例8で得られた硬化性化合物A−1を420質量部と、ポリエチレングリコールジアクリレート(共栄社化学製、ライトアクリレート14EG−A)を200質量部と、増感剤(B)として合成例1で得られた化合物B−1を10質量部と、重合開始剤(C)としてOmnipol−TX(IGM Resins社製)を10質量部と、熱硬化性化合物(D)としてエポキシ樹脂(三菱化学社製、jER1004)を50質量部と、熱硬化剤(E)としてアジピン酸ジヒドラジド(日本化成社製ADH)を90質量部と、その他成分(F)としてシリカ粒子(日本触媒化学社製、S-100)を130質量部と、熱可塑性樹脂粒子としてアイカ工業社製F351を70質量部と、シランカップリング剤としてγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−403)を20質量部とを、三本ロールを用いて均一な液となるように十分に混合して、光硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例2〜6、比較例1〜7)
増感剤(B)の種類又は含有量を、表4又は5に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして光硬化性樹脂組成物を得た。
得られた光硬化性樹脂組成物の表示特性を、以下の方法で評価した。
(非通電時の液晶表示パネル表示特性テスト)
得られた光硬化性樹脂組成物を、ディスペンサー(ショットマスター:武蔵エンジニアリング製)を用いて、透明電極と配向膜が予め形成された40mm×45mmガラス基板(RT-DM88−PIN、EHC社製)上に、35mm×40mmの四角形のシールパターン(断面積3500μm)(メインシール)と、その外周に同様のシールパターン(38mm×43mmの四角形のシールパターン)とを形成した。
次いで、貼り合せ後のパネル内容量に相当する液晶材料(MLC−7021−000、メルク社製)を、メインシールの枠内にディスペンサーを用いて精密に滴下した。次いで、対になるガラス基板を減圧下で貼り合せた後、大気開放して貼り合わせた。そして、貼り合わせた2枚のガラス基板を3分間遮光ボックス内で保持した後、メインシールを36mm×41mmの四角形のブラックマトリックスを塗布した基板でマスクした状態で、波長370〜450nmの光を3000mJ/cm照射し、さらに120℃で1時間加熱した後、両面に偏光フィルムを貼り付けた。
その液晶パネルのメインシール際まで液晶が配向されて色ムラが全くない場合を○、メインシール際の近傍に1mm未満の範囲にわたり色ムラが発生している場合を△、メインシール際近傍から1mm以上の範囲にわたり色ムラが発生している場合を×として評価した。
(通電時の液晶表示パネル表示特性テスト)
前述の液晶表示パネル表示特性テストと同様にして液晶表示パネルを作製した。この液晶表示パネルを、直流電源を用いて5Vの印加電圧で駆動させた際に、メインシール近傍の液晶表示機能が発揮できている場合を○、メインシール近傍に1mm未満の範囲にわたり白ムラが発生している場合を△、メインシール近傍から1mm以上の範囲にわたり白ムラが発生し正常に駆動しない場合を×とした。
非通電時の表示特性テストの評価結果が○であり、且つ通電時の表示特性テストの評価結果が△以上であるものを本発明とした。実施例1〜6の評価結果を表4に示し、比較例1〜7の評価結果を表5に示す。
Figure 0006197020
Figure 0006197020
表4に示されるように、アミノベンゾイル骨格を有し、且つNHCO基当量が300g/eq以下である増感剤(B)を含む実施例1〜6の光硬化性樹脂組成物は、通電時と無通電時のいずれにおいても良好な表示特性を示すことがわかる。
これに対して、表5に示されるように、NHCO基当量が300g/eq超である比較化合物を含む比較例1及び2の光硬化性樹脂組成物や、NHCO基を有しない比較化合物を含む比較例5及び6の光硬化性樹脂組成物は、いずれも表示特性が劣ることがわかる。これは、比較化合物が有する親水性のNHCO基が少ないか、又は有しないことから、液晶汚染を十分には抑制できなかったためと考えられる。また、アミノベンゾイル骨格を有する化合物B−1〜B−3を含む実施例1〜3と比べて、アミノベンゾイル骨格を有しない比較化合物R−3及びR−4を含む比較例3及び4の光硬化性樹脂組成物は、いずれも表示特性が劣ることがわかる。これは、比較化合物の増感能が低いため、十分なシール材硬化がなされず、シール材成分の液晶溶出を十分には抑制できなかったためと考えられる。
本発明は、例えば液晶シール剤として用いた際に、可視光に対する硬化性が高く、且つ液晶汚染を高度に抑制できる光硬化性樹脂組成物を提供できる。

Claims (13)

  1. 分子内にエチレン性不飽和二重結合を有する硬化性化合物(A)と、
    分子内にアミノベンゾイル骨格とNHCO基とを有し、式(I)で表されるNHCO基当量が300g/eq以下である増感剤(B)と、
    重合開始剤(C)(但し、分子内にアミノベンゾイル骨格を有する重合開始剤を除く)とを含む、光硬化性樹脂組成物。
    式(I):NHCO基当量(g/eq)=分子量/1分子に含まれるNHCO基の数
  2. 前記増感剤(B)が、分子内に3以上のNHCO基を有する、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. 前記増感剤(B)が、分子内にビューレット骨格又はアロファネート骨格を有する、請求項1又は2に記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. 前記増感剤(B)は、下記式(4)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
    Figure 0006197020
    (式(4)において、
    Xは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンオキシ基、炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数6〜10のアリーレンオキシ基又は炭素数6〜10のアリーレンチオ基を表し、
    及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、
    Yは、分子内に少なくともm個のイソシアネート基を有する化合物から誘導される有機基を表し、
    mは、1〜5の整数を表す)
  5. 前記増感剤(B)の含有量が、前記硬化性化合物(A)に対して0.01〜10質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. 前記重合開始剤(C)が、チオキサントン骨格を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  7. 前記硬化性化合物(A)が、分子内にエポキシ基をさらに有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物からなる、表示素子シール剤。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物からなる、液晶シール剤
  10. 請求項に記載の液晶シール剤を用いて、一方の基板にシールパターンを形成する工程と、
    前記シールパターンが未硬化の状態において、前記シールパターンの領域内、又は前記一方の基板と対になる他方の基板に液晶を滴下する工程と、
    前記一方の基板と前記他方の基板とを、前記シールパターンを介して重ね合わせる工程と、
    前記シールパターンを硬化させる工程と、
    を含む、液晶表示パネルの製造方法。
  11. 前記シールパターンを硬化させる工程は、前記シールパターンに光を照射して前記シールパターンを硬化させる工程を含む、請求項10に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  12. 前記シールパターンに照射する光は、可視光領域の光を含む、請求項11に記載の液晶表示パネルの製造方法。
  13. 一対の基板と、
    前記一対の基板の間に配置された枠状のシール部材と、
    前記一対の基板の間の前記シール部材で囲まれた空間に充填された液晶層とを含み、
    前記シール部材が、請求項に記載の液晶シール剤の硬化物である、液晶表示パネル。
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