JP6198619B2 - バックパッド及びバックパッド用裏面材 - Google Patents
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Description
ところで、バックパッド本体の上部にはヘッドレストステー挿着用の縦孔が設けられるが、該縦孔をつくるパッド本体の孔壁にまで前記裏面材をあてがうのは困難であった。裏面材は、平物のシート材を裁断カットした後、縫合してパッド本体裏面に沿う形状にしたものであり、従来の裏面材は該縦孔に重なる部分に円孔等の孔を単にくり抜いているにすぎなかった(特開2005-238675号公報,特開2006-7418号公報,特開2011-143746号公報等)。バックレストへのヘッドレストの装着で、縦孔をつくるパッド本体の孔壁へ、ステーホルダー、若しくはステーホルダー支持フレームが接触し、車両走行や乗員の動きで擦れ音が発生する不具合を招いた。
こうした不具合に対し、改善を図る発明が提案されている(例えば特許文献1,2)。
特許文献1は、その段落0010で「さらに、ヘッドレストなどの付加部材6取付位置では裏面から表面に通じる貫通孔部3が形成され、該貫通孔部3にも補強層が形成される必要がある。」とし、請求項1に記載の「成形性を有する不織布を発泡体形状に適合する形状に成形したクッション材用成形補強布」を発明するが、高コスト製品になっている。バックパッドのごとく、複雑な起伏もなく、比較的単純形状の製品を造る場合は、成形フェルト等の成形補強布の熱成形に頼らず、特開2005-238675号公報等のごとく、裁断,縫合で立体形状にする方が断然安いのである。
特許文献2は、その段落0021で「裏面布14には、ヘッドレストのための装着孔38が、パッド本体2の装着孔22に対応する位置に設けられている。」の技術内容にとどまる。装着孔38は裏面布にコ字形に切り抜いただけで、そのコ字形内の舌片部分を装着孔22内の孔壁にあてがっても、該孔壁の四方あるうちの一側壁のみにとどまる。残り三方のパッド本体がむきだしの孔壁になっていることから、擦れ音を防ぐのは依然として困難な状況にある。
特に、擦れ音は乗員の耳元近くで発することから気になり易く、且つ最近の静かなハイブリッド車等の登場で一層気になる場合が増えている。
請求項4に記載の発明の要旨は、パッド本体上部(22)に二以上のステー挿着用縦孔(20)を備える車両座席シートのバックパッドにおいて、布製シート材の裁断加工により、前記縦孔(20)をつくる箇所で分割して、車両前方側と車両後方側とに切り離され、且つその縦孔(20)に対応する部位に本体主部(41)の外周縁(42)から張り出す突片部(45)が夫々延在した二つの裁断片(4A,4B)を具備し、両裁断片(4A,4B)を含めて縫い合わせ部分(55)を縫合すると共に、重ね合わせた二つの前記突片部(45,45)の両側縁沿いを縫合することにより、該突片部の先端縁(46)で縦孔(20)内の筒口(52a)を形成して、パッド本体(2)の縦孔(20)をつくる孔壁(201)にあてがう筒部(52)が設けられた裏面材(3)と、該筒部(52)を前記孔壁(201)に被着させ、且つ該裏面材の車両前方側の前記裁断片(4A)がつくる前面部(3A)と車両後方側の前記裁断片(4B)がつくる後面部(3B)を裏面(2b)に被着させて一体発泡成形されるパッド本体(2)と、を具備することを特徴とするバックパッドにある。
請求項2の発明のごとく、二つの裁断片(4A,4B)が性状の異なる異種材料で構成されると、裏面材が配されるそれぞれの部位の要求仕様に個別対応でき、低コスト化を目指しながら品質向上を図ることができる。
請求項3の発明のごとく、突片部(45)の幅を、本体主部(41)につながる基端側から突片部(45)の先端側へ向けて先細りにし、且つ前記筒口(52a)の内径(d)を、バックパッド用発泡型(6)に係る縦孔形成用突出部(631)の対応位置における外径(D)よりも小さくすると、発泡成形時に裏面材への縦孔形成用突出部(631)の挿着セットが容易になる。また、突片部を先端側へ向けて先細りにすると、先端で筒口を縦孔形成用突出部(631)に密着させることが可能となり、発泡成形時に発泡原料の筒部内への漏れを抑えることができる。
バックパッド用裏面材3は、パッド本体上部22に二以上のステー挿着用縦孔20を備える車両座席シートのバックパッドで、パッド本体2の裏面2bに被着一体化される縫製裏面材である。裏面材3は、不織布等の布状シート材から裁断,縫合された縫製品とする。平物の布製シート材から裁断,縫製加工されるバックパッド用裏面材3は、パッド本体2の縦孔20をつくる箇所で縦割り二分割して、車両前方側と車両後方側とに切り離された裁断片4A,4Bを具備する(図1,図7)。車両前方側の裁断片4Aと車両後方側の裁断片4Bには、縦孔20に対応する部位に,本体主部41の外周縁42から張り出す突片部45が夫々延在する。
筒部52に関しては、真空成形等による成形フェルトを採用すると、素材の伸びに限界があり、筒部高さTを十分確保できない場合が多い。本発明の裏面材3は、複数パーツに分けた裁断片4A,4Bで構成されることから、突片部45の高さZを自由に設定できるので、縦孔20の高さh20に適合させた高さのある筒部52を簡単に造ることができる。
袖部41bは、メイン部41aの両上端から外方へ斜め下降した後、メイン部41aの下半部を過ぎた地点まで、メイン部41aから横外方へ一定幅で張り出した図示ごとくの台形形状になっている。車両後方側裁断片4Bは、図1(ロ)のごとく上縁42から張り出す突片部45を有する横長の略逆台形の裁断片である。略逆台形の下底にあたる車両後方側裁断片4Bに係る上辺側の横長さは、車両前方側裁断片4Aに係るメイン部41aの上辺の長さに略等しく、パッド本体2の車幅方向長さに対応する。符号441は略台形の上底に設けた切欠を示す。裏面材3の立体形状に付形し易くするためである。符号431bは右側袖部41bに設けた屈曲点を示す。
二つの裁断片4A,4Bは、当初、車両前方側と車両後方側とに切り離された別体構成である。したがって、同じ材料でも構わないが、各部の要求仕様に応じ、目付けを変えたり不織布の種類や積層仕様を変えたりして、性状の異なる異種材料で造ることができる。例えば、パッド本体2の発泡成形で、裏面材3は図9の型構造から車両前方側主部21が含浸し易い傾向にある。車両後方側裁断片4Bを二層構造としながら、車両前方側裁断片4Aに三井化学社製タフネル(登録商標)等の三層構造不織布を採用して、斯かる含浸不具合を解消する。パイプフレームが当たるパッド本体上部22の裏面2b側に、丈夫な東洋紡社製ボランス(登録商標)等を使った裁断片4を用いたりすることもできる。
尚、本実施形態は、二分割された車両前方側裁断片4Aと車両後方側裁断片4Bで裏面材3を形成したが、必要に応じ、車両前方側裁断片4Aをさらに分割できる。両袖部41bを切り離して、四分割された裁断片4で裏面材3を形成する場合は、四つの裁断片の縫い合わせ部分55を縫合し、重ね合わせた二つの前記突片部45,45の両側縁沿いを縫合することにより、バックパッド用裏面材3が縫製されることになる。
他の構成は、図1〜図10の裏面材3と同様で、その説明を省く。図1〜図10と同一符号は同一又は相当部分を示す。
バックパッド1は、パッド本体上部22に二以上のステー挿着用縦孔20を備える車両座席シートのバックパッドである。本バックパッド1は、図2〜図7に示した前記裏面材3と、該裏面材3の筒部52を前記孔壁201に被着させ、且つ裁断片4A,4Bがつくる前面部3A,後面部3Bを裏面2bに被着させて一体発泡成形されるパッド本体2と、を具備する。
ここでの縦孔20は図10のような四角孔であり、これに合わせて、裏面材3の筒部52も四角筒になる。図10(ハ)のごとく、同図上側に位置する車両前方側裁断片4Aの筒部用突片部45をコ字形に曲げると共に、同図下側に位置する車両後方側裁断片4Bの筒部用突片部45をコ字形に曲げることで、図7(ロ)のようにパッド本体上部22の裏面2bに被着された車両前方側裁断片4A(詳しくはメイン部41a)の突片部寄り部分4A1,車両後方側裁断片4Bの突片部寄り部分4B1上に、筒部52を立設させることができる。
バックパッド1の製造に先立ち、図2,図3のような筒部52付き裏面材3を準備する。バックパッド1の製造に用いる発泡型6は、図8,図9ごとくの発泡型で、下型61と上型62と中型63とを備える。ヒンジ69を支点にして図8から図9のごとく型閉じすると、全体的に凹み度合いが大きな下型61の型面610と、中型63の型面630と,上型62との型面620とで、パッド本体2に裏面材3が一体化するバックパッド1のキャビティCをつくる。本製法では、下型61の型面610,上型62の型面620でバックパッド1の表面2a側が成形され、中型63の型面630でバックパッド1の裏面2b側が成形される。
中型63には縦孔20の形をした軸状突出部631が主部から突出するように設けられている。セータを着る時、手をセータの腕の部分に通すように、該突出部631を図5(イ)のように筒部52に通して、図5(ロ)のごとく中型63に裏面材3をセットする。突出部631は四角柱状にして、その根元部分が筒部52に合わせて広がる。図8の型開状態下、図3の状態から図4の状態にし、裏面材3を中型63にセットする。縫製筒部52であっても、突片部45の幅を、本体主部41につながる基端側から突片部45の先端側へ向けて先細りにし、該筒部52は根元部位に向けて八の字状に広がる筒口になるので、根元部位側の大きな口へ突出部631が難なく入り込む。筒部52は突出部631を覆って取巻く四角筒状になる。図4の円内拡大図のごとく、突出部631が筒部52の上方側開口縁521よりも僅かに突き出る。
尚、図示を省略するが、裏面材3の適宜箇所にフェライト製テープ片を貼着すると共に、該テープ片に対応する中型63の型面630に永久磁石を露出させて、その磁力吸着で、裏面材3を中型63の型面630に確実にセットする。
該バックパッド1に図示しない表皮を被せると、車両用座席シートの背もたれ用バックレストになる。
このように構成したバックパッド及びバックパッド用裏面材3は、特許文献1のような成形フェルト等の成形補強布の熱成形に頼らずに、裁断片4を縫製して造るので、特に、立体形状が比較的単純なバックパッド1において、低コスト生産でき、極めて有益である。
特許文献2のコ字状に切り抜いた舌片部分が孔壁の四方あるうちの一壁面しか当てがわなかったり、図11の裏面材3のごとく孔壁の四方あるうちの二壁面しかあてがわなかったりするケースと違って、本裏面材3は筒部52で孔壁201の四方あるうちの四方の周壁面全てをあてがい、覆い尽くすので、異音対策が磐石となる。車両走行や乗員の動きに伴って縦孔20周りで発生していた擦れ音を防止できる。
加えて、裏面材3が複数の裁断片を用いた縫製品であるので、各部の要求品質に適合させた異種裁断片の複合裏面材3とすることも容易であり、さらなる品質向上,低コスト化等に向け、優れた効果を発揮する。
20 縦孔
201 孔壁
4A,4B 裁断片
41 本体主部
45 突片部
52 筒部
52a 筒口
55 縫い合わせ部分
6 発泡型
631 突出部
d 筒口の内径(内径)
D 突出部の外径(外径)
Claims (4)
- 車両用座席シートで、パッド本体(2)に二以上のステー挿着用縦孔(20)を有するバックレストのバックパッド用裏面材において、
布製シート材の裁断加工により、パッド本体(2)の前記縦孔(20)をつくる箇所で分割して、車両前方側と車両後方側とに切り離され、且つその縦孔(20)に対応する部位に本体主部(41)から張り出す突片部(45)が夫々延在した二つの裁断片(4A,4B)を具備し、
両裁断片(4A,4B)を含めて縫い合わせ部分(55)を縫合すると共に、重ね合わせた二つの前記突片部(45,45)の両側縁沿いを縫合することにより、該突片部の先端縁(46)で縦孔(20)内の筒口(52a)を形成して、パッド本体(2)の縦孔(20)をつくる孔壁(201)にあてがう筒部(52)が設けられたことを特徴とするバックパッド用裏面材。 - 二つの前記裁断片(4A,4B)が性状の異なる異種材料で構成された請求項1記載のバックパッド用裏面材。
- 前記突片部(45)の幅を、本体主部(41)につながる基端側から突片部(45)の先端側へ向けて先細りにし、且つ前記筒口(52a)の内径(d)を、バックパッド用発泡型(6)に係る縦孔形成用突出部(631)の対応位置における外径(D)よりも小さくした請求項1又は2に記載のバックパッド用裏面材。
- パッド本体上部(22)に二以上のステー挿着用縦孔(20)を備える車両座席シートのバックパッドにおいて、
布製シート材の裁断加工により、前記縦孔(20)をつくる箇所で分割して、車両前方側と車両後方側とに切り離され、且つその縦孔(20)に対応する部位に本体主部(41)の外周縁(42)から張り出す突片部(45)が夫々延在した二つの裁断片(4A,4B)を具備し、両裁断片(4A,4B)を含めて縫い合わせ部分(55)を縫合すると共に、重ね合わせた二つの前記突片部(45,45)の両側縁沿いを縫合することにより、該突片部の先端縁(46)で縦孔(20)内の筒口(52a)を形成して、パッド本体(2)の縦孔(20)をつくる孔壁(201)にあてがう筒部(52)が設けられた裏面材(3)と、
該筒部(52)を前記孔壁(201)に被着させ、且つ該裏面材の車両前方側の前記裁断片(4A)がつくる前面部(3A)と車両後方側の前記裁断片(4B)がつくる後面部(3B)を裏面(2b)に被着させて一体発泡成形されるパッド本体(2)と、を具備することを特徴とするバックパッド。
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