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JP6201676B2 - 転炉吹錬用上吹きランス - Google Patents
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JP6201676B2 - 転炉吹錬用上吹きランス - Google Patents

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本発明は、製鋼用転炉において精錬用ガスおよび粉体を溶銑浴面に吹き付けて吹錬する際に用いる上吹きランスに関する。
高炉を用いない製鉄方法として溶融還元製鉄法がある。この溶融還元製鉄法の一類型として、上底吹き型転炉容器を用いる方法がある。この方法の中には、製造した溶銑を次のチャージの湯種として一部を残し、そこに鉄鉱石と石炭等の熱源とを装入し、上吹きランスから酸素を溶銑に吹きつけて熱の付与を行う方法がある。
上吹きランスとしては、通常の転炉で用いられるランスを使用することも可能であるが、上吹きの主目的は溶銑の脱炭反応ではなく、石炭等の熱源から供給されるCとHとを酸化させ、かつ、二次燃焼を活発に起こして熱付与を行うことであり、二次燃焼を促進できる特徴を有することが求められる。
例えば、特許文献1(特開平5−239525号公報)、特許文献2(特開平11−21610号公報)等にて二次燃焼・熱付与効率を向上できるノズルが提案されている。これらのランスは、通常の転炉で用いられているランスとノズル形状が異なっている。特許文献1で提案されているランスノズルは非円形であり、また、特許文献2で提案されているノズルは旋回流をジェットに与えるための特殊構造を有している。そのため、これらの特許文献で提案されているランスは通常の転炉で使用されるランスに比べて非常に高価になってしまう。
また、二次燃焼を利用して高速吹錬時の操業の安定化を図るため、ノズルから吹き付けられるジェットの減衰を抑制する検討がなされている。例えば特許文献3(特開2006−328432号公報)には、メインノズルの周囲に副ノズルを配置させたランスが提案されている。特許文献3によれば、副ノズルから噴出されるジェットが二次燃焼により高温帯を形成するため、メインノズルから噴出されるジェット周囲の雰囲気ガスの密度が低下し、メインノズルから噴出されるジェットへ巻き込まれる雰囲気ガス量が低減してジェットの減衰が抑制され、ジェットの動圧を増加させるというものである。
特開平5−239525号公報 特開平11−21610号公報 特開2006−328432号公報
しかし、特許文献3で開示されているランスでは二次燃焼帯が副ノズル直下に形成されて、浴への着熱効率が低く、耐火物溶損が悪化する場合もあった。副ノズルを設けることは、ジェットの側面積が増加することになるため、二次燃焼の増加には効果がある場合があるが、副ノズルから噴出されるジェットが非常に二次燃焼を起こしやすいことが前述のような着火効率の低下や耐火物溶損の悪化という問題の原因である。また、特許文献3に記載の発明では、メインノズルから噴出されるジェットへの雰囲気ガスの巻き込みを低減するため、ノズル直下でのみ二次燃焼を増加させているのであり、転炉全体での二次燃焼率の増加はあまり見込めないものと考えられる。
本発明の課題は、通常の転炉用上吹きランスと比べた場合に製作コストの大幅増加を抑制でき、二次燃焼の促進が可能な転炉吹錬用上吹きランスを提供することである。
本発明では、特許文献3に開示されているランスのような二次燃焼促進用の副ノズルを設けずに、二次燃焼効率を上げる検討を行った。その結果、ジェット同士の干渉を2つのノズルから噴出されるジェットによって起こす知見を得た。
このようにすることによって、副ノズルのようにノズル直下での二次燃焼が抑制される一方、ノズル直下よりも下流(スラグ近傍)にてジェットが干渉して二次燃焼を活発化させることができる。従来の多孔ランスでは、全てのノズルから噴出されるジェットが干渉する場合、ジェットが一つに縮合してしまうため、ジェットの側面積が小さくなってしまい、その効果で二次燃焼率の増加が抑制されてしまう。
そこで、本発明を完成するために、隣り合う2つのジェットをペアにして干渉させつつ、全てのジェットが一つに縮合しないことで側面積の低下を抑えて、二次燃焼率を高める形状を検討した。
その結果、ノズルの総数は、2孔の場合には炉内のガスの流れの対称性が無くなって耐火物溶損速度を増してしまうことがあるため、少なくとも4孔以上である知見を得た。
ランスから噴出するジェットの対称性を高めるため、各ノズルはランスの中心軸を中心とする同一円周上に配置されていることが望ましい。
また、ランスの冷却水路断面積確保の観点から、また、ランス製作難易度が増大することを回避するために、同一円周上にあるノズルの総数は16孔以下、xy平面への該ノズルの中心軸の投影直線とx軸のなす角度をねじれ角α(deg)としたとき、ねじれ角αは60°以下であることが望ましい。
さらに、同様に上記の両観点から、各ノズルにおいて、該ノズルの中心軸と該ノズルの出口の中心を通るz軸と平行な直線とのなす角度を傾斜角β(deg)としたとき、傾斜角βは30°以下であることが望ましい。
ノズル径、傾斜角βについては、2種類のノズルで同一であることが、ランス製作が平易であることから望ましく、あえて差異を設ける必要はない。
上吹きランスには、ランス中心部への地金付着を防止するため、中心孔を設ける場合がある。中心孔のスロート断面積を大きくした場合には、周囲孔との干渉を引き起こしてジェットを一つに合体させてしまう。このため、全ノズルのスロート総断面積に占める中心孔のスロート断面積の割合は5.0%以下であることが望ましい。
本発明は、上記の着想から考案された。
すなわち、本発明は、(1)複数のノズルを有するノズル部を備える転炉吹錬用上吹きランスにおいて、前記複数のノズルのうちから選んだ任意の一つのノズルにおいて、前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸がz軸となるようにし、該z軸の正の方向が前記任意の一つのノズルの出口から噴出する上吹きガスの上流側になるようにし、該任意の一つのノズルの出口をx軸上にあってその正側に位置するようにして定めた右手系のxyz直交座標系において、xy平面への該任意の一つのノズルの中心軸の投影直線とx軸のなす角をαと定めた場合に、
該任意の一つのノズルの隣のノズルにおいて、前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸がz軸となるようにし、該z軸の正の方向が該隣のノズルの出口から噴出する上吹きガスの上流側になるようにし、該隣のノズルの出口をx軸上にあってその正側に位置するようにして定めた右手系のxyz直交座標系において、xy平面への該隣のノズルの中心軸の投影直線とx軸のなす角が−αとなるように、αの角度を有するノズルと−αの角度を有するノズルの2種類のノズルが、交互に各々2個以上配置されたことを特徴とする、転炉吹錬用上吹きランスである。
なお、本発明において、αは0°を含まない。
本発明の好ましい態様としては、(2)前記αは0°超60°以下であることを特徴とする、上記(1)に記載の、転炉吹錬用上吹きランスである。
(3)前記各ノズルにおいて、該ノズルの出口の中心を通るz軸と平行な直線と該ノズルの中心軸のなす角度を傾斜角β(deg)としたとき、傾斜角βは30°以下であることを特徴とする、上記(1)または上記(2)に記載の、転炉吹錬用上吹きランスである。
(4)前記各ノズルの傾斜角βは同一であることを特徴とする、上記(3)に記載の、転炉吹錬用上吹きランスである。
(5)前記各ノズルのノズル形状は同一であることを特徴とする、上記(1)から上記(4)に記載のいずれか1つである、転炉吹錬用上吹きランスである。
(6)前記各ノズルは前記転炉吹連用上吹きランスの中心軸を中心とする同一円周上に配置されていることを特徴とする、上記(1)から上記(5)に記載のいずれか1つである、転炉吹錬用上吹きランスである。
(7)前記転炉吹錬用上吹きランスは中心孔を備え、前記中心孔は中心軸が前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸と重なるように前記ノズル部に配置されていることを特徴とする、上記(1)から上記(6)に記載のいずれか1つである、転炉吹錬用上吹きランスである。
(8)前記中心孔のスロート断面積は、全ノズルのスロート総断面積に対して5.0%以下であることを特徴とする、上記(7)に記載の、転炉吹錬用上吹きランスである。
本発明に係る転炉吹錬用上吹きランスを使用することにより、隣り合う2つのジェットの間に干渉を生じさせつつ、全てのジェットが一つに縮合しないことでジェットの側面積の低下を抑えて、二次燃焼率を飛躍的に高められる。
図1は、本発明に係る転炉吹錬用上吹きランスの先端部分の断面概略図であり、図1(a)は本発明に係る転炉吹錬用上吹きランスの平面図、図1(b)は図1(a)のb−b’断面図、図1(c)は図1(a)のc−c’断面図、図1(d)は図1(a)のd−d’断面図である。
本発明に係る転炉吹錬用上吹きランスは、主に酸素含有ガスであるジェットを転炉に装入した溶銑に吹き付けて吹錬する際に用いる。以下、本発明の上吹きランスを図1を用いて詳述する。
図1は、本発明の上吹きランス1の先端部分の断面概略図であり、図1(a)は本発明の上吹きランス1の平面図、図1(b)は図1(a)のb−b’断面図、図1(c)は図1(a)のc−c’断面図、図1(d)は図1(a)のd−d’断面図である。なお、図1(b)、図1(c)および図1(d)では、6孔の上吹きランス1について、説明しやすいように1つのノズルAが図示されている。
図1(a)に示すように、上吹きランス1は複数のノズルA、A’を有するノズル部1aを備え、具体的にはノズル部1aに2種類のノズルA、ノズルA’を3組有する。また、図1(b)、図1(c)および図1(d)に示すように、上吹きランス1はノズル部1aの他にランス内管1bを有する。ランス内管1bは転炉型精錬容器に収容された溶銑に吹き付ける酸素含有ガス等の流路を有する。流路は、ノズル部1aに至るまで、ほぼ均一の内径を有する管状となっており、ガス及び粉体の進行方向に対して、流路の断面積が急激に変化しないような形状に、一般的に製作されている。ノズル部1aのノズルAは、ノズル内管1bの流路と連通するように延設されている。流路を通過した酸素含有ガスはノズルAの入口2から進入して出口3から溶鋼へ向けて噴出される。
上吹きランス1は、図1(a)〜図1(d)に示すように、ノズルAにおいて、上吹きランス1の中心軸がz軸となるようにし、z軸の正の方向がノズルAの出口3から噴出する上吹きガスの上流側となるようにし、ノズルAの出口3がx軸上の正側に位置するようにして定めた右手系のxyz直交座標系において、xy平面へのノズルAの中心軸の投影直線とx軸のなす角をαと定めた場合に、αの角度を有するノズルAと−αの角度を有するノズルA’の2種類のノズルが、交互に各々2個以上配置されている。
上吹きランス1は、図1(a)および図1(d)に示すように、α(以下、適宜、「ねじれ角α」という。)および傾斜角βを有する3つのノズルAと、ねじれ角−αおよび傾斜角βを有する3つのノズルA’が、交互に同一円周上に配置されている。そして、ねじれ角がαであるノズルAとねじれ角が−αであるノズルA’が隣り合う位置に配置されている。ノズルAとノズルA’の中心軸は交差するため、各ノズルから噴射されるジェット同士も干渉して揺動が大きくなる。これとともに、上吹きランス1はこのようなノズルAおよびA’の組を3組有する。したがって、ジェット同士が干渉するとともにジェットの側面積の減少が最小限に留められることから、二次燃焼率は飛躍的に向上する。
ねじれ角αは、ノズルから噴射するジェット同士を干渉させるため、0°より大きい。また、ジェット同士が干渉する位置は、ノズル直下よりも下流側であるスラグ近傍であることが、二次燃焼を活発化させる点で望ましい。このため、ねじれ角αは10°以上であることが望ましい。また、ランスの外筒に配管されている冷却水路の断面積を確保し、ランス製作難易度が増大することを回避するため、ねじれ角αは60°以下であることが望ましい。
また、各ノズルは、ノズルの出口の中心を通るz軸と平行な直線とノズルの中心軸のなす角度を傾斜角β(deg)としたとき、傾斜角βは30°以下であることが望ましい。この角度を設けることによって、ランスの冷却水路の断面積を確保し、また、ランス製作難易度が増大することを回避することが可能となる。各ノズルの傾斜角βは、ランス製作難易度を低減するために同一であることが望ましい。
上吹きランス1が有するノズルの総数は4以上である必要がある。本発明の上吹きランス1を用いると、隣り合う2つのジェットの間に干渉を生じさせつつ、全てのジェットが一つに縮合しないことで側面積の低下を抑えて二次燃焼率を高めることができる。また、同一円周上にあるノズルの総数は、2孔の場合には炉内のガスの流れの対称性が無くなって耐火物溶損速度を増してしまうため、干渉する一組のジェットを2組以上有する必要がある。したがって、上吹きランス1は、ジェットを干渉させるための2種類のノズルが各々2個以上、つまりノズルの総数は4個以上であることを要する。また、ランスの外筒に配管されている冷却水路の断面積を確保し、ランス製作難易度が増大することを回避するため、ノズル総数は16孔以下であることが望ましい。
ノズルAおよびA’の形状は、円筒形(ストレートノズル)であってもよく、いわゆるラバール形(ラバールノズル)であってもよい。円筒形の場合、横断面の面積は図1(b)〜図1(d)の入口2から出口3までのいずれかの位置での横断面の面積である。上吹きランスにおいて慣用されているラバール形の場合、ノズルスロート部の断面積をノズルAの横断面の面積とする。各ノズルのノズル形状は、ランス製作難易度を低減するために同一であることが望ましい。また各ノズルは、ランスから噴出するジェットの対称性を高めて生産性を向上させるため、上吹きランス1の中心軸を中心とする同一円周上に配置されていることが望ましい。
本発明の上吹きランス1は、図1(a)に示すように、ランス中心部への地金付着を防止するため、中心孔4を設ける場合がある。中心孔4は、ノズルA、A’と同様に、ランス内管1bの流路と連通して延設されている。中心孔4は、ランス製作難易度の増大を回避するため、ノズルAと同様に円筒形やラバール形であってもよい。横断面の面積はノズルAおよびA’と同様である。また、中心孔4は、中心軸が上吹きランス1の中心軸と重なるようにノズル部1aに配置されている。中心孔の断面積が大きい場合には、周囲孔との干渉を引き起こしてジェットを一つに合体させてしまう。このため、中心孔4の断面積は、全ノズルAの総断面積に対して5.0%以下であることが望ましい。
2.5t試験転炉に、種湯となる1400℃の溶銑2.0t、副原料として塊生石灰10kg、塊硅石6kgを装入し、この溶銑に対して上吹きランスから酸素を吹付けながら、溶銑温度が1400℃〜1450℃の範囲に留まるように、吹錬前半に炉上から塊コークスと塊鉄鉱石を都度添加した。
種湯とした溶銑の成分は、[C]=4.3mass%、[Si]<0.01mass%、[Mn]=0.03mass%、[P]=0.03mass%である。また、底吹き羽口から、溶銑の攪拌のためにArガスを0.5Nm/minで吹きこんだ。上吹きランスには、通常のランスを用いた場合(比較例)と本発明に係るランスを用いた場合(実施例)について、本吹錬を別個に行った。比較例、および実施例で用いたランスの形状、および吹錬中のランス先端と浴面間の距離(ランス高さ)を表1に示す。
酸素流量は4.0Nm/minとし、上吹き攪拌強度の指標としてのジェットによる浴の凹み深さLと浴深Lの比L/Lが0.16になるよう、ランス高さはランスによって各々の高さに調整した。なお、凹み深さLは(1)式で求めた。
vd=0.73(L+h)L1/2 (1)
ここで、v:ノズル先端での見掛け噴射速度の鉛直成分(m/s)、d:ノズル直径(mm)、L:凹み深さ(mm)、h:ランス高さ(mm)である。
各比較例、および実施例において、吹錬は15分間実施し、吹錬後は添加した塊鉄鉱石と塊コークスが未反応で残存していないことを確認し、吹錬中に供給した酸素ガス量、および吹錬前と吹錬後の溶銑、スラグ組成でマスバランスをとって吹錬中の平均の二次燃焼率を計算した。表1に平均の二次燃焼率を示す。
Figure 0006201676
比較例1〜6では、ねじれ角αがいずれも0°であるために二次燃焼率が30%台であったのに対し、本発明に係る上吹きランスを用いた実施例ではねじれ角αが10〜60°であるために二次燃焼率を40%台まで高めることができた。また、比較例と実施例で耐火物の溶損速度に差異は見られなかった。
1 上吹きランス
2 ノズルの入口
3 ノズルの出口
4 中心孔
5 ノズル中心軸
6 ノズルの出口の中心を通るz軸と平行な直線

Claims (1)

  1. 複数のノズルを有するノズル部を備える転炉吹錬用上吹きランスにおいて、
    前記複数のノズルのうちから選んだ任意の一つのノズルにおいて、前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸がz軸となるようにし、該z軸の正の方向が前記任意の一つのノズルの出口から噴出する上吹きガスの上流側になるようにし、該任意の一つのノズルの出口をx軸上にあってその正側に位置するようにして定めた右手系のxyz直交座標系において、xy平面への該任意の一つのノズルの中心軸の投影直線とx軸のなす角をαと定めた場合に、
    該任意の一つのノズルの隣のノズルにおいて、前記転炉吹錬用上吹きランスの中心軸がz軸となるようにし、該z軸の正の方向が該隣のノズルの出口から噴出する上吹きガスの上流側になるようにし、該隣のノズルの出口をx軸上にあってその正側に位置するようにして定めた右手系のxyz直交座標系において、xy平面への該隣のノズルの中心軸の投影直線とx軸のなす角が−αとなるように、
    αの角度を有するノズルと−αの角度を有するノズルの2種類のノズルが、交互に各々2個以上配置されたことを特徴とする、転炉吹錬用上吹きランス。
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