JP6204417B2 - えん麦のふすま由来の組成物による、高脂肪食または高カロリー食摂取時の血圧上昇抑制または血圧降下 - Google Patents
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Description
高脂肪食または高カロリー食を摂取する対象に経口で摂取させて、当該対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させるために用いられることを特徴とするものである。
β−グルカンを10質量%以上、食物繊維を30質量%以上、タンパク質を18質量%以上、脂肪を8質量%以上、糖質を40質量%以下含んでなる、えん麦のふすまから得られる組成物を経口的に摂取させることを特徴とする、当該対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させる方法(但し、医療行為を除く)である。
本発明による組成物は、後記するえん麦のふすまから得られる組成物(以下、「えん麦ふすま由来の組成物」という)を主成分とし、高脂肪食または高カロリー食を摂取する対象に経口で摂取させ、当該対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させるために用いられる。したがって言い換えれば、本発明の一つの態様によれば、高脂肪食または高カロリー食を摂取する対象における、血圧上昇抑制剤または血圧降下剤が提供される。
本発明において用いられる、えん麦ふすま由来組成物は、上記特許文献1(特開2015−84687号公報)に記載されるものである。すなわち、本発明において用いられる、えん麦ふすま由来組成物は、えん麦のふすま、特に好ましくはハダカエンバクのふすまから得られる組成物であって、β−グルカンに加えて、食物繊維、タンパク質、脂質、ミネラルなど、有用な栄養素、栄養成分を豊富に含んでなる。具体的には、
β−グルカンを10質量%以上、
食物繊維を30質量%以上、
タンパク質を18質量%以上、好ましくは18〜22質量%、
脂肪を8質量%以上、好ましくは8〜12質量%、
糖質を40質量%以下
含んでなることを特徴とする。
本発明によるえん麦ふすま由来の組成物は、上記特許文献1(特開2015−84687号公報)に記載の方法により好ましく製造することができる。当該製造方法を詳述すれば下記の通りである。
本発明において、えん麦には、欧米皮付えん麦(Covered Oat)および中国裸えん麦(Naked Oat)が含まれ、具体的には普通種(Avena sativa)、東方種(Avena orientalis Schreb)、地中海種(Avena byzantine Koch)、中国裸(Avena nuda)が含まれる。また、ふすまとは、えん麦の外皮を意味する。本明細書において、ふすまと外皮とは同義に用いることとする。
本発明において、えん麦のふすまは、まず、粉砕工程に付され、この工程では、その細胞壁を物理的に破壊してβ−グルカンを破砕物中に遊離させることを主たる目的とする。粉砕は、物理的な圧力を加えることにより行われ、この加圧粉砕は、加熱下に行われることが好ましい。加えられる圧力は、通常、40〜150Kg/cm2程度が好ましい。また、粉砕工程中、その摩擦により発熱するが、積極的に加熱するか、あるいは過剰な加熱を防ぐために、温度制御されることが好ましい。本発明の好ましい態様によれば、この粉砕工程中、ふすまは、75℃〜150℃の温度範囲に置かれることが好ましく、より好ましくは80〜150℃である。さらに本発明の好ましい態様によれば、温度は段階的に制御されることが好ましく、例えば、80〜90℃の段階、次に110〜120℃の段階、そしては130〜140℃の段階と温度を上げながら粉砕工程を行うことが好ましい。粉砕処理の時間もβ−グルカンを破砕物中に遊離させることができる範囲で適宜決定されてよいが、本発明の好ましい態様によれば、20秒〜3分間程度が好ましい。さらに、上記のように温度を段階的に上げる態様にあっては、各温度において10秒〜1分以内の時間で行うことが好ましい。
本発明において、上記の粉砕工程により得られた破砕物に、次に、フィターゼ、セルラーゼ、リゾチーム、およびキシラーゼからなる群から選択される少なくとも一つの酵素を作用させる。本発明の好ましい態様によれば、これら全ての酵素を作用させる。ここで、フィターゼは、フィチン酸(フィチンリン)から無機態のリン酸を切り離す酵素を意味する。この酵素により、フェチン酸にキレート化されていたイオンが遊離され、ヒトが吸収、利用できる形態となる。また、セルラーゼは、β−グルカンのグリコシド結合を加水分解する酵素を意味する。リゾチームは、真正細菌の細胞壁を構成する多糖類を加水分解する酵素を意味する。キシラーゼとは、キシランのβ1−4結合を切断し、キシロースに分解する酵素を意味する。これら酵素により、β−グルカンを低質量化し、また水不溶性の食物繊維の一部は水溶性となるなど、ふすまに含まれる成分を、ヒトが吸収、利用可能な形態に変化させることができる。
えん麦ふすま由来の組成物は、以上の粉砕工程および酵素を作用させる工程を得て得られたものであるが、本発明の好ましい態様によれば、得られた組成物に対して以下のいずれかまたは全ての処理工程をさらに行う事が好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、得られた組成物に含まれるデンプンをβ化して、ヒトが消化し難いものとすることが好ましい。また、β化したデンプンは、食物繊維としても機能することから好ましい。具体的には、組成物を2〜4℃の温度下に約24時間おいて、含まれるデンプンをβ化する。これによって、糖質制限にあるヒトにも提供可能なものとすることができる。
本発明の好ましい態様によれば、得られた組成物を以下の様な乾燥・微粉化工程に付すことにより、均質な組成物が得られ、かつ口当たりの滑らかな組成物が得られる。まず、得られた組成物を湿式粉砕に付して、組成物の均質化と微細化を行い、スラリー状物を得る。得られたスラリー状物を次に乾燥工程に付す。乾燥は、例えば、ドライスプレー法、冷凍乾燥法、熱空気による乾燥等の方法があるが、一般に、高粘度のスラリー状物を乾燥させることには困難が伴う。本発明にあっては、ドラムドライヤーの利用が好ましい。好ましくは、ドラムの表面温度を120〜180℃とし、30秒〜2分程度でフレーク状のものまで乾燥することができる。このフレーク状物を粉砕機(例えば、機械ジェット式)で粉末化し、必要であればメッシュにかけて粒径を調整し、粉体状の本発明による食品組成物を得る。
本発明の好ましい態様によれば、得られた本発明による食品組成物は、殺菌工程および金属除去工程に付され、その安全性を担保することが好ましい。殺菌は、例えばマイクロウェーブ殺菌機にて行うことができ、また金属除去はマグネット機により行なうことができる。
ハダカエンバクのふすま40Kgを、撹拌機付き200Lタンクに仕込み、水4Lを加えて45〜50℃で30分間、攪拌速度80−100rpmで撹拌した。この混合物を二軸押出機(Delun社製、型番DL56)に仕込み、スクリューの回転速度100rpmとしながら、まず80℃で10秒間、次に110℃で10秒間、続いて130℃で10秒間、加熱しながら混合処理した。処理後、湿粉末を放置し、室温まで冷却した。
実施例1において、二軸押出機による処理を、80℃で30秒間、110℃で30秒間、130℃で30秒間行った以外は、実施例1と同様にして組成物を得た。得られた組成物のβ−グルカンの質量分布を分析したところ、図1に示されるとおりであった。
1.実験方法
(1)実験飼料
実験飼料はAIN−93G組成を基本とし、脂肪エネルギー比が60%となるようラードを添加し、総食物繊維が5.0%となるようセルロースまたは上記の実施例1に準じて得られたえん麦ふすま由来の組成物を添加した。コントロール群およびえん麦ふすま由来の組成物を与える群の飼料組成は下記の表に示される通りであった。なお、総食物繊維量は、AOAC Method911.43(Proksy法)に準じて測定した。総脂質量は酸分解法により、たんぱく質はケルダール法により測定した。その結果、総食物繊維34.9%、たんぱく質17.3%、脂質9.5%であった。
5週齢のC57BL/6J雄マウスに、8週間上記コントロール群の高脂肪食を摂取させて肥満を誘発し、当該マウスを1群8匹の2群に群分けした。続いて、当該マウスに上記コントロール群の実験飼料またはえん麦ふすま群の実験飼料と水を65日間自由摂取させ、体重と飼料摂取量を測定した。なお、飼育環境は、室温22±1℃、湿度50±5%、12時間明暗サイクル(12:00〜24:00)とした。
体重を測定後、イソフルラン/CO2吸引下で安楽死させ、後大動脈より採血を行った。肝臓、盲腸、腹腔内脂肪(後腹壁脂肪、副睾丸周辺脂肪、および腸間膜脂肪)を摘出し、重量を測定した。
採取した血液は血清を分離し、トリグリセリド、遊離脂肪酸、総コレステロール、グルコース濃度を酵素法にて分析した。トリグリセリドの定量には「トリグリセライドE-テストワコー」、遊離脂肪酸の定量には「NEFA-Cテストワコー」、総コレステロールの定量には「コレステロールE-テストワコー」、そしてグルコースの定量には「グルコースCII-テストワコー」(すべて和光純薬工業株式会社)を用いた。
肝臓は凍結乾燥、粉砕し、クロロホルム:メタノール(2:1)溶液を用いてFolch法にて総脂質を抽出し、水洗後、トリグリセリド、総コレステロール濃度を酵素法にて分析した。血清脂質と同様、トリグリセリドの定量には「トリグリセライドE-テストワコー」、総コレステロールの定量には「コレステロールE-テストワコー」(いずれも和光純薬工業株式会社)を用いた。
糞を凍結乾燥後、粉砕し、約0.5g精秤した。これに4%酢酸含有Folch溶液を加え、糞中脂質を抽出後、Folchの水洗法によって塩類除去を行い、105℃で恒量を求めたアルミカップに入れて溶媒をホットプレートで蒸発させた。その後、105℃で1時間以上加熱、デシケーター内に30分放置させた後、重量を測定し、恒量から総脂質を算出した。
血圧測定はマウス非観血圧測定装置(BP-98A、(株)ソフトロン)を用いて行った。測定は38℃に加温して行った。
(1)マウスの成長結果
マウスの成長結果は下記の表に示される通りであった。終体重、体重増加量は各群において有意差は見られなかった。飼料摂取量はコントロール群に比べ、えん麦ふすま由来の組成物を与えた群で有意に高かった(p<0.05)。一方、有意差はなかったが、飼料効率はえん麦ふすま由来の組成物を与えた群が低く、摂食量が増えても体重増加が抑制される傾向が見られた。
血圧測定の結果は、下記の表に示される通りであった。収縮期血圧はコントロール群に比べ、えん麦ふすま由来の組成物を与えた群で有意に低かった(p<0.05)。
*コントロール群と比較して有意差あり(p<0.05)。
血圧は、収縮期血圧においてコントロール群に比べ、えん麦ふすま由来の組成物を与えた群において有意に低かった(p<0.05)。この結果より、えん麦ふすま由来の組成物を摂取することで高血圧予防が期待できると考えられる。本実験は食塩誘導性の高血圧ではないため、ナトリウム排泄促進効果とは別のメカニズムと考えられる。血圧を低下させる理由としては、アンギオテンシン変換酵素の阻害ではなく、アンギオテンシノーゲン産生との関連によるものと考えられる。アンジオテンシノーゲンは主に肝臓でつくられる他、脂肪細胞でもつくられており、内臓脂肪の増加に伴ってその産生・分泌が高まる。えん麦ふすま由来の組成物は、肝臓および脂肪細胞でのアンギオテンシノーゲン生成を抑える働きを有する可能性があると思われる。
Claims (8)
- β−グルカンを10質量%以上、食物繊維を30質量%以上、タンパク質を18質量%以上、脂肪を8質量%以上、糖質を40質量%以下含んでなる、えん麦のふすまから得られる組成物であって、
高脂肪食または高カロリー食を摂取する対象に経口で摂取させて、当該対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させるために用いられることを特徴とする、組成物。 - 前記高脂肪食の脂肪エネルギー比が50%以上である、請求項1に記載の組成物。
- 対象がヒトである、請求項1または2に記載の組成物。
- 前記組成物が、医薬、食品、または食品添加物である、請求項1に記載の組成物。
- 請求項1〜4のいずれ一項記載の組成物を含んでなる、高脂肪食を摂取する対象に経口で摂取させ、当該対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させるために用いられる医薬、食品、または食品添加物。
- 高脂肪食または高カロリー食を摂取する対象に対し、
β−グルカンを10質量%以上、食物繊維を30質量%以上、タンパク質を18質量%以上、脂肪を8質量%以上、糖質を40質量%以下含んでなる、えん麦のふすまから得られる組成物を経口的に摂取させることを特徴とする、
当該対象において血圧上昇を抑制し、または血圧を降下させる方法(但し、医療行為を除く)。 - 前記高脂肪食の脂肪エネルギー比が50%以上である、請求項6に記載の方法。
- 対象がヒトである、請求項6または7に記載の方法。
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