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JP6206024B2 - ガス調理器用ガラストッププレート - Google Patents
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JP6206024B2 - ガス調理器用ガラストッププレート - Google Patents

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Description

本発明は、ガス調理器に用いられるガラストッププレートに関する。
電磁調理器やガス調理器などの上部には、調理器用トッププレートが設置されている。調理器用トッププレートの調理面側には、鍋などの被加熱物が載置され、被加熱物は調理器内部の加熱装置により加熱される。電磁調理器用のトッププレートとしては、ガラス製のトッププレート(ガラストッププレート)が広く使用されている。一方、ガス調理器用のトッププレートとしては、ホーロー天板が使用されてきたが、優れた意匠性や清掃のし易さという観点から、近年、ガラストッププレートが注目されている。
調理器用ガラストッププレートとしては、基板ガラスの裏面側にパール調の光沢感及び金属調の光沢感のある装飾層を施す技術(特許文献1〜3)が開発されている。このような光沢感のある装飾層を施すことにより、調理器用ガラストッププレートは、優れた意匠性を発揮することができる。
特開2001−213642号公報 特開2001−233636号公報 特開2001−233637号公報
しかしながら、従来の調理器用ガラストッププレートをガス調理器に適用すると、装飾層があるガラストッププレートの裏面側に調理煮汁等のふきこぼれ汁が付着し、付着物が加熱されることにより、調理シミが発生するという問題があった。具体的には、ガス調理器用のトッププレートには、トッププレートを厚み方向に貫通する熱源用開口部を形成する必要があるが、ふきこぼれ汁が調理面側から熱源用開口部を通って裏面側に付着すると、ふきこぼれ汁がガス化し、装飾層中に染み込んで調理シミを形成してしまう。この調理シミは、調理面側から視認されてしまうため、ガラストッププレートの意匠性を損ねてしまうという問題がある。
特に、ガス調理器用のガラストッププレートにおいては、バーナーの炎を調理面側に露出させるための熱源用開口部が存在するため、この熱源開口部を通って裏面側に付着するふきこぼれ汁と熱源との位置が近くなる。そのため、ふきこぼれ汁が高温に加熱されやすく、調理シミが形成されるという上述の問題が起こりやすい。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、意匠性に優れると共に、調理シミの発生を抑制することができるガス調理器用ガラストッププレートを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、ガラス板と、該ガラス板の裏面側に積層された厚み0.2〜5μmの装飾層と、該装飾層上に積層された遮光層とを有するガス調理器用ガラストッププレートにおいて、
該ガス調理器用ガラストッププレートを厚み方向に貫通する熱源用開口部を有し、
上記装飾層は、シリカを主成分とし、酸化マンガン、酸化コバルト、及びMnとCoとの複合酸化物から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含有するシリカ膜と、該シリカ膜中に分散された無機顔料とを有し、
上記装飾層において、上記シリカ膜中に含まれる上記金属酸化物におけるMn量及び/又はCo量は、シリカ100質量部に対して0.5〜50質量部であることを特徴とするガス調理器用ガラストッププレートにある。
上記ガス調理器用ガラストッププレートは、シリカを主成分とし、酸化マンガン、酸化コバルト、及びMnとCoとの複合酸化物から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含有するシリカ膜と、該シリカ膜中に分散された無機顔料とを有する上記装飾層を有している。そのため、上記装飾層は緻密性に優れる。そのため、例えばふきこぼれ汁などが上記熱源用開口部を通ってガス調理器用ガラストッププレートの裏面や熱源用開口部の端面等に付着しても、液体状のふきこぼれ汁などが装飾層へ浸透して調理シミが形成されてしまうことを防止することができる。また、ガス調理器用ガラストッププレートの裏面や熱源用開口部の端面に付着したふきこぼれ汁が加熱されてガス化したとしても、装飾層への浸透を抑制でき、調理シミが形成されてしまうことを抑制することができる。
即ち、上記ガス調理器用ガラストッププレートは、上記装飾層が有する優れた意匠性を示すと共に、調理シミの発生を抑制することができる。また、上記遮光層は、ガス調理器の内部構造を隠蔽する役割を果たすと共に、上述の調理シミを目立たなくする役割を果たすことができる。
したがって、上記ガス調理器用ガラストッププレートは、長期間にわたって、装飾層の優れた意匠性を維持することができる。
実施例におけるガス調理器用ガラストッププレートの部分上面図。 実施例におけるガス調理器用ガラストッププレートの部分断面図(図1におけるII−II線矢視断面図)。 実施例におけるガス調理器用ガラストッププレートの部分拡大断面図。 実験例における装飾層における金属の種類及び添加量と、色差ΔEとの関係を示す説明図。 実験例における調理シミ試験後のガス調理器用ガラストッププレート(試料E1〜E3及び試料E6〜E8)の調理面側のデジタルカメラ写真。 実験例における調理シミ試験後のガス調理器用ガラストッププレート(試料C1〜試料C3)の調理面側のデジタルカメラ写真。
次に、上記ガス調理器用ガラストッププレートの好ましい実施形態について説明する。
板状のガス調理器用ガラストッププレートにおいては、鍋などを配置し、使用者が視認する側の面が調理面であり、調理面の反対面が裏面である。裏面は、トッププレートをガス調理器上に配置したときに、ガス管や点火装置等のガス調理器の内部装置と対向する面である。
上記ガス調理器用ガラストッププレートは、上記のように、ガラス板と、該ガラス板の裏面側に積層された装飾層と、該装飾層上に積層された遮光層とを有する。
ガラス板は、透明の低膨張ガラスセラミックスからなることが好ましい。透明の低膨張ガラスセラミックスは、透光性で膨張率が低いものがよい。例えば、主結晶相にβ−石英固溶体を析出したものがある。β−石英固溶体を析出した低膨張ガラスセラミックスの体積結晶化度は、約70%であり、結晶の大きさは0.1μm以下である。β−石英固溶体は負の膨張特性を示し、残存ガラス相の正の膨張特性と打ち消し合って熱膨張率がほぼゼロになる。屈折率(nD)は1.541であり、β−石英固溶体の析出結晶の大きさは0.1μm以下で可視光の波長より小さく、結晶相と残存ガラス相の屈折率もほぼ同程度であるため、光の散乱がなく、外観的には透明であり、可視光域から赤外域の光をよく透過する。
ガラス板は、リチウムアルミノシリケートガラスからなることが好ましい。
この場合には、ガス調理器用ガラストッププレートとして要求される機械的強度及び耐熱性を十分に確保することができる。また、ガラス板の厚みは、例えば2〜6mmにすることができる。
上記装飾層は、シリカ膜と、このシリカ膜中に分散された無機顔料とを有する。シリカ膜は、シリカを主成分とし、酸化マンガン、酸化コバルト、及びMnとCoとの複合酸化物から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含有する。この特定の金属酸化物を含有するシリカ膜が緻密性に優れることが、上述の装飾層の優れた緻密性に寄与していると考えられる。
上記シリカ膜中に含まれる上記金属酸化物におけるMn量及び/又はCo量は、シリカ100質量部に対して0.5〜50質量部であることが好ましい。この下限を下回る場合には、金属酸化物による緻密性の向上効果が不十分になるおそれがある。一方、この上限を超える場合には、装飾層が濃い黄色味を帯びてしまうおそれがある。さらに、この上限を超えても、添加量に見合った添加効果が得られなくなる。緻密性をより向上させるという観点から、Mn量及び/又はCo量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましく、12質量部以上であることがさらにより好ましい。また、装飾層における黄色味をより抑制するという観点から、Mn量及び/又はCo量は、シリカ100質量部に対して、30質量部以下であることがより好ましく、15質量部以下であることがさらに好ましい。なお、上述のMn量、Co量は、酸化物としての量ではなく、金属元素の量であるが、シリカ膜中におけるMn、Coは、実際には、酸化マンガン、酸化コバルト、MnとCoとの複合酸化物として存在している。また、上述のMn量及び/又はCo量は、金属酸化物として酸化マンガン又は酸化コバルトのいずれか一方のみを含有する場合には、Mn量あるいはCo量であり、酸化マンガン、酸化コバルト、及びMnとCoとの複合酸化物のうち2種以上を含有する場合には、全てのMn量とCo量との合計量である。より低コストであるという観点からは、金属酸化物は、酸化コバルトであることが好ましい。
なお、シリカ膜は、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化マンガン、酸化コバルト、MnとCoとの複合酸化物以外の金属酸化物を含有することができる。
無機顔料は、白系顔料又はシルバー系顔料であることが好ましい。
この場合には、上記ガス調理器用ガラストッププレートは、白系、シルバー系、又はゴールド系の高級感のある意匠性を示すことができる。また、白系、シルバー系、又はゴールド系の装飾層を有するトッププレートにおいては、上述の調理シミが目立ち易い傾向があるが、上記ガス調理器用ガラストッププレートは、上述のごとく緻密性に優れた装飾層を有しているため、例え調理シミの目立ち易い白系又はシルバー系であっても、調理シミの形成を抑制することができる。即ち、この場合には、調理シミの発生を抑制できるという上述の作用効果が顕著になる。無機顔料としては、所望の色に応じて市販品等を利用することができる。
無機顔料は、パール調顔料であることが好ましい。
この場合には、ガス調理器用ガラストッププレートは、光沢感のあるパール調の色調を示し、より優れた意匠性を発揮することができる。装飾層は、上述の金属酸化物を含有するため、無機顔料として上述のようにパール調顔料を選択することにより、シルバーからゴールド系の色調の光沢感のある装飾層を形成することができる。シルバーからゴールド系の色調は、パール調顔料や金属酸化物の量を調整により調整することができる。また、パール調の装飾層を有するトッププレートにおいては、調理シミが目立ち易い傾向があるが、上記ガス調理器用ガラストッププレートにおいては、上述のように緻密な装飾層を有するため、調理シミが目立ち易い色調の装飾層を有していても調理シミの形成を抑制することができる。
パール調顔料としては、例えば酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化鉄から選ばれる少なくとも1種により無機顔料を被覆してなるものを用いることができる。即ち、パール調顔料は、例えば無機顔料と、該無機顔料を被覆するパール調皮膜とからなるものを用いることができる。被覆対象の無機顔料としては、例えばカオリン、タルク、セリサイト、ピロフェライト、天然雲母、合成雲母、酸化アルミニウム等がある。パール調顔料としては、市販品を利用することもできる。
上記装飾層は、シリコーンレジン及び/又はシリカゾルからなるシリカ形成材料と、無機顔料と、Mnレジネート及び/又はCoレジネートからなる金属レジネートとを少なくとも含有する装飾層形成用塗料を焼き付けることにより作製することができる。この焼き付けにより、シリカ形成材料からシリカ膜が形成され、金属レジネートから金属酸化物が生成される。そして、無機顔料は、シリカ膜中に粒子として分散される。
シリコーンレジンは、シロキサン結合を主骨格とする有機珪素化合物の重合体をいう。
シリコーンレジンとしては、例えばストレートシリコーンワニスKR282(信越化学工業(株)製)、ストレートシリコーンワニスKR271(同社製)、ストレートシリコーンワニスKR311(同社製)、変性シリコーンワニスKR211(同社製)、シリコーンアルキッドワニス(同社製)、シリコーンエポキシワニスES100N(同社製)等の市販品を利用することができる。
シリカゾルとしては、例えばエチルシリケートなどを加水分解して得られるシリカゾル、コロイド状シリカゾルなどを用いることができる。
上記装飾層形成用塗料中のシリカ形成材料及び金属レジネートの量は、焼き付け後のシリカ膜におけるシリカ量に対する上述のMn量及び/又はCo量に応じて適宜調整することができる。装飾層形成用塗料は、本発明の効果を阻害しない範囲で、Mnレジネート、Coレジネート以外の金属レジネートを含有することができる。
また、装飾層形成用塗料中の無機顔料の量は、形成しようとする装飾層の色調に応じて適宜調整することができる。具体的には、無機顔料の量はシリカ形成材料(固形分量)100質量部に対して、例えば150〜400質量部の範囲にすることができる。
また、装飾層形成用塗料は、さらに有機バインダ(増粘用樹脂)を含有することが好ましい。この場合には、装飾層形成用塗料の粘度を調整することが可能になり、焼き付け時に装飾層形成用塗料をガラス板に塗布し易くなる。有機バインダとしては、シリカ形成材料よりも燃焼し易く、シリカ形成材料と相溶性がある樹脂を用いることができる。また、装飾層形成用塗料は、さらに有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、シリカ形成材料が溶解しうる溶剤を用いることができる。有機バインダ及び有機溶剤の添加量は装飾層形成用塗料の粘度などを考慮して適宜調整することができる。
なお、有機バインダ、有機溶剤、シリカ形成材料中のレジン成分、ゾル成分、金属レジネートの樹脂成分などの装飾層形成用塗料中の有機成分は、装飾層形成用塗料の焼き付け時に消失させることができる。
装飾層形成用塗料の焼き付け温度が低すぎる場合には、有機成分が残存し、焼き付け後に生成する装飾層の強度が低下するおそれがある。また、焼き付け温度が高すぎる場合には、装飾層形成用塗料中の無機顔料とシリカ形成材料とが反応し、両者の膨張率の違いから装飾層の強度が低下してしまうおそれがある。したがって、装飾層は、装飾層形成用塗料を温度500〜900℃で焼き付けてなることが好ましい。焼き付け時間は、生産性などの観点から2〜60分にすることが好ましい。また、装飾層の厚みは、例えば0.2〜5μmにすることができる。
上記遮光層は、光を透過させない黒色系の膜により構成することができる。
遮光層は、黒色系の耐熱性の膜であれば様々なものを用いることができ、2層以上の積層体であってもよい。
遮光層としては、例えば黒色系の金属光沢膜を形成することができる。金属光沢膜は、貴金属及び/又は金属酸化物によって構成することができる。貴金属、及び金属酸化物の金属成分としては、例えばAu、Pt、Pd、Rh、Ru、Bi、Sn、Ni、Fe、Cr、Ti、Ca、Si、Ba、Sr、Mg、Ag、Zr、In、Mn等がある。金属光沢膜は、これらの貴金属、金属、金属酸化物のいずれか又はこれらの組み合わせから構成することができる。金属光沢膜を形成する場合には、コストの増大を防止するために、その厚みは2μm以下であることが好ましい。また、遮光性を得ることができれば、金属光沢膜の厚みは可能な限り小さくすることが好ましい。
金属光沢膜は、上述のAu、Pt、Pd、Rh、Ru、Bi、Sn、Ni、Fe、Cr、Ti、Ca、Si、Ba、Sr、Mg、Ag、Zr、In、Mn等の金属の有機金属化合物の希釈溶液を焼き付けることにより形成することができる。これらの有機金属化合物の希釈溶液は、単体で用いても良いし、任意の割合で複数混合することもできる。有機金属化合物の希釈溶液の焼き付け温度は、例えば600〜900℃にすることができる。
また、低コストで作製できると共に、耐熱性及び遮光性に優れるという観点から、遮光層は、黒色系無機顔料が分散されたシリカ膜又は耐熱樹脂膜からなることが好ましい。
黒色系無機顔料が分散されたシリカ膜を形成する場合には、上記シリカ形成材料と、黒色系無機顔料とを含有する遮光層用塗料を焼き付けることができる。シリカ形成材料としては、上述の装飾層と同様に、シリコーンレジン及び/又はシリカゾルを用いることができる。また、黒色系無機顔料としては、例えば、Cr−Fe系酸化物、Cu−Cr−Mn系酸化物、Co−Mn−Cr−Fe系酸化物、Co−Ni−Cr−Fe系酸化物、Co−Ni−Cr−Fe−Mn系酸化物等を用いることができる。黒色無機顔料としては、具体的には市販品を用いることができ、その配合割合は遮光層の遮光性等に応じて適宜調整することができる。また、これらの黒色系無機顔料は、一般に球形又は球形に近い形状の粒子からなるため、黒色系無機顔料を含む遮光層は装飾層に対する密着性が低くなるおそれがある。そこで、遮光層には、黒色系顔料と共に、マイカ等の鱗片状の粒子からなる添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、マイカ等の鉱物の他、例えば上述のパール調顔料を用いることもできる。遮光層用塗料には、その他に、有機溶剤や有機バインダ等を添加することができる。
また、遮光層として、黒色系無機顔料が分散された耐熱樹脂膜を形成する場合には、焼き付け時の加熱により硬化して耐熱樹脂を生成する耐熱樹脂原料と、黒色系無機顔料とを少なくとも含有する遮光用塗料を焼き付けることができる。耐熱樹脂としては、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、又はこれらの複合体を用いることができる。黒色系無機顔料は、上述のものを用いることができ、その配合割合は、遮光層の遮光性等に応じて適宜調整することができる。
遮光層として、上述の黒色系無機顔料が分散されたシリカ膜又は耐熱樹脂膜を形成する場合には、遮光層の厚みを例えば1〜50μmにすることができる。厚みが大きすぎる場合にはコストが増大し、厚みが小さすぎる場合には遮光効果が不十分になるおそれがある。また、遮光層として、シリカ膜と耐熱樹脂膜とを積層形成することも可能である。さらに、シリカ膜又は耐熱樹脂膜と装飾層との間に上述の金属光沢膜を形成することもできる。
また、上記ガス調理器用ガラストッププレートは、板状のガス調理器用ガラストッププレートを厚み方向に貫通する熱源用開口部を有する。熱原用開口部を予めガラス板に形成し、熱源用開口部を有するガラス板に、叙述の装飾層及び遮光層を形成することができる。また、ガラス板に装飾層及び遮光層を形成した後に、熱源用開口部を形成することもできる。
(実施例1)
次に、ガス調理器用ガラストッププレートの実施例について図1〜図3を用いて説明する。図1〜図3に示すごとく、本例のガス調理器用ガラストッププレート1は、透明の低膨張ガラスセラミックスからなるガラス板2と、その裏面22側に積層された装飾層3と、その上に積層された遮光層4とを有する。ガラス板2は、リチウムアルミノシリケートガラスからなり、主結晶相がβ−石英固溶体を析出してなる。具体的には、ガラス基板2としては、熱膨張係数が−1×10-7/℃(30〜380℃)の日本電気硝子(株)製の商品名「ネオセラムN−0」(以下、「N−0」という。)を用いた。
図2及び図3に示すごとく、装飾層3は、シリカ膜31と、このシリカ膜31中に分散された多数のパール調顔料32とを有する。シリカ膜31は、シリカを主成分とし、酸化コバルトを含有する。また、パール調顔料32は、マイカよりなる鱗片状の無機顔料321と、これを被覆する酸化チタンからなるパール調皮膜322とからなる。シリカ膜31中に存在するシリカの少なくとも一部は、ガラス板2の表面に存在するシラノール基の少なくとも一部とSi−O−Si結合(図示略)を形成している。また、シリカ膜31中に存在するシリカの少なくとも一部は、パール調顔料32のパール調皮膜322中に存在する少なくとも一部のTiと、Si−O−Ti結合(図示略)を形成している。装飾層3は、シリコーンレジンと、パール調顔料と、Coレジネートとを含有する装飾層形成用塗料を焼き付けてなる。
また、図2及び図3に示すごとく、遮光層4は、シリカ膜41と、このシリカ膜41中に分散された多数の黒色系無機顔料42及びパール調顔料43とからなる。遮光層4は、シリコーンレジンと、市販の黒色系無機顔料と、パール調顔料と、有機溶剤とを含有する遮光層用塗料を焼き付けてなる。
また、図1及び図2に示すごとく、板状のガス調理器用ガラストッププレート1は、これを厚み方向に貫通する熱源用開口部11を有する。この熱源用開口部11は、ガス調理器内部に配置されたバーナーの炎を調理面側に露出させるための開口部であり、熱源用開口部11の周囲には鍋等の被加熱物を配置するための五徳(図示略)が設置される。
次に、本例のガス調理器用ガラストッププレート1の製造方法について説明する。
具体的には、まず、希薄なチタン酸水溶液中にマイカ粉体を懸濁させて懸濁液を得た。この懸濁液を温度70〜100℃に加温し、チタン塩を加水分解させてマイカ粉体の表面に水和酸化チタンを析出させた。その後、マイカ粉体を温度700℃〜1000℃で焼成した。これにより、酸化チタンからなるパール調皮膜322をマイカからなる無機顔料321に被覆してなるパール調顔料32を得た(図3参照)。
次に、パール調顔料17.5質量部と、シリコーンレジン(信越化学工業(株)製のストレートシリコーンワニス「KR282」)17.5質量部と、有機バインダ(エチルセルロース)60質量部と、Co含有量が12質量%のCoレジネート5質量部とを混練して、ペースト状の装飾層形成用塗料を作製した。次いで、ステンレス製の250メッシュのスクリーンを使用したスクリーン印刷により、透光性低膨張ガラスセラミックス(N−0)からなる厚み4mmのガラス板2の片面22の全面にペースト状の装飾層形成用塗料を塗布した(図2及び図3参照)。ガラス板2には、これを厚み方向に貫通する熱源用開口部11を予め設けておく。なお、熱源用開口部11は、後述の装飾層及び遮光層の形成後に形成することもできる。
次に、装飾層形成用塗料を塗布したガラス板2を温度800℃で焼成することにより、装飾層形成用塗料を焼結させてガラス板2に焼き付けた。このようにして、ガラス基板2の裏面22側に装飾層3を形成した(図2及び図3参照)。装飾層3の厚みを膜厚計で測定したところ、その厚みは1.2μmであった。
次に、シリコーンレジン(信越化学工業(株)製のストレートシリコーンワニス「KR311」)60質量部と、黒色系無機顔料25質量部と、パール調顔料5質量部と、有機溶剤10質量部とを混合し、遮光層4を形成するための塗料を作製した。パール調顔料としては、上述の装飾層3の形成に用いたものと同様のものを用いた。黒色系無機顔料としては、市販品を採用した。ステンレス250メッシュのスクリーンを使用したスクリーン印刷により、ペースト状の塗料を装飾層3上に塗布し、温度400℃で焼成した。これにより、装飾層3上に遮光層4を形成した(図2及び図3参照)。このようにして、ガラス板2と、その裏面側に積層された装飾層3と、その上に積層された遮光層4とを有するガス調理器用ガラストッププレート1を作製した。
図1〜図3に示すごとく、本例のガス調理器用ガラストッププレート1は、シリカを主成分とし、酸化マンガン、酸化コバルト、及びMnとCoとの複合酸化物から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含有するシリカ膜31と、このシリカ膜31中に分散された無機顔料32とを有する緻密性に優れた装飾層3を有している。そのため、例えばふきこぼれ汁などが調理面21側から熱源用開口部11を通ってガス調理器用ガラストッププレートの裏面22や熱源用開口部11の端面110等に付着しても、液体状のふきこぼれ汁などが装飾層3へ浸透して調理シミが形成されてしまうことを防止することができる。また、ガス調理器用ガラストッププレート1の裏面22や熱源用開口部11の端面110に付着したふきこぼれ汁が加熱されてガス化したとしても、装飾層3へ浸透してしまうことを抑制することができ、調理シミが形成されてしまうことを抑制することができる。
即ち、ガス調理器用ガラストッププレート1は、装飾層3が有する優れた意匠性を示すと共に、調理シミの発生を抑制することができる。また、遮光層4は、ガス調理器の内部構造を隠蔽する役割を果たすと共に、上述の調理シミを目立たなくする役割を果たすことができる。
したがって、本例のガス調理器用ガラストッププレート1は、長期間にわたって、装飾層3の優れた意匠性を維持することができる。
本例においては、装飾層3における無機顔料としてパール調顔料32を用いている。この場合には、ガス調理器用ガラストッププレート1は、光沢感のあるパール調の色調を示し、より優れた意匠性を発揮することができる。また、パール調の装飾層3は、調理シミが目立ち易い傾向があるが、本例のガス調理器用ガラストッププレート1においては、上述のように緻密な装飾層3を有するため、調理シミが目立ち易いパール調の装飾層3を有していても調理シミの形成を十分に抑制することができる。
また、本例の遮蔽層4には、黒色系無機顔料42だけでなく、鱗片状の粒子(パール調顔料43)を分散させている。そのため、遮蔽層4の密着性が向上している。
なお、本例においては、Coレジネートを用いることにより、酸化コバルトを含有するシリカ膜31と、このシリカ膜31に分散されたパール調顔料32とを有する装飾層3を形成した(図3参照)。Coレジネートの代わりにMnレジネートを用いることにより、酸化マンガンを含有するシリカ膜と、このシリカ膜に分散されたパール調顔料とを有する装飾層を形成することができる。この場合にも、上述のCoレジネートを用いた場合と同様の作用効果を得ることができる。
(実験例)
本例においては、金属レジネートの種類や配合量を変えてガラス板上に装飾層を形成し、その調理シミの形成の評価を行う例である。
具体的には、まず、実施例1と同様のガラス板(「N−0」)を準備した。次に、パール調顔料と、シリコーンレジンと、有機バインダと、金属レジネートとを混練して、ペースト状の装飾層形成用塗料を作製した。パール調顔料、シリコーンレジン、有機バインダとしては、実施例1と同様のものを用いた。また、金属レジネートとしては、実施例1と同様のCoレジネートの他、Mn含有量が8質量%のMnレジネート、Ti含有量が15質量%のTiレジネート、又はAg含有量が28.5質量%のAgレジネートを用いた。本例においては、後述の表1に示す配合割合で、パール調顔料、シリコーンレジン、有機バインダ、金属レジネートを混合して13種類の塗料を作製した。これらのうち1種類は、金属レジネートを含有していない塗料である(表1参照)。
次に、上述の装飾層形成用の各塗料を用いた点を除いては、実施例1と同様にして、ガラス板上に、装飾層と遮光層を形成した。このようにして、13種類のガス調理器用ガラストッププレート用の試験板(試料E1〜E10及び試料C1〜C3)を得た。
試料E1〜試料E5は、装飾層として、シリカを主成分とし、酸化コバルトを含有するシリカ膜と、このシリカ膜中に分散されたパール調顔料を有するガラストッププレート用の試験板である。試料E6〜試料E10は、装飾層として、シリカを主成分とし、酸化マンガンを含有するシリカ膜と、このシリカ膜中に分散されたパール調顔料を有するガラストッププレート用の試験板である。
また、試料C1は、装飾層として、シリカからなるシリカ膜と、このシリカ膜中に分散されたパール調顔料を有するガラストッププレート用の試験板である。試料C2は、装飾層として、シリカを主成分とし、酸化チタンを含有するシリカ膜と、このシリカ膜中に分散されたパール調顔料を有するガラストッププレート用の試験板である。試料C3は、装飾層として、シリカを主成分とし、銀を含有するシリカ膜と、このシリカ膜中に分散されたパール調顔料を有するガラストッププレート用の試験板である。
各試料の試験板について、X線光電子分光分析(XPS)により、シリカ膜におけるシリカ100質量部に対する金属レジネート由来の金属元素(Co、Mn、Ti、Ag)量(質量部)を測定した。XPSにおいては、アルバック・ファイ(株)製の「PHI5000」を用いた。その結果を表1に示す。
次に、各試料E1〜E10及び試料C1〜C3について、下記の調理シミ試験を実施した。
「調理シミ試験」
酒:醤油:みりん:油=1:1:1:1(温度25℃における体積比)でこれらを混合して調理汁の試験液を作製した。スポイトを用いて各試料(試料E1〜E10及び試料C1〜C3)の裏面(装飾層及び遮光層の形成面)側に試験液をそれぞれ垂らし、直径1cm程度の液溜まりを形成した。次いで、温度250℃の窯中で、試験液を塗布した各試料を1時間加熱した。
そして、調理シミ試験後における試験液を塗布した部分と塗布していない部分の色差ΔEを調理面(装飾層及び遮光層の形成面とは反対側の面)側から測定した。色差ΔEは下記の式(1)によって求めた。
ΔE=√(L1−L0)2+(a1−a0)2+(b1−b0)2 ・・・式(1)
ここで、各変数は分光測色計(エックスライト(株)製の「SP60」)によって測定した値であり、L0、a0、b0は、いずれも試験液を塗布していない部分にて測定した値であり、L1、a1、b1は、いずれも試験液を塗布した部分にて測定した値である。各試料の色差ΔEを表1及び図4に示す。なお、図4における横軸は、装飾層(シリカ膜)におけるシリカ100質量部に対する金属レジネート由来の金属量(質量部)であり、縦軸は、色差ΔEである。
また、調理シミ試験後の調理面(装飾層及び遮光層が形成されていない面)側からのデジタルカメラ写真を図5(試料E1〜E3及び試料E6〜E8)、及び図6(試料C1〜C3)に示す。
表1及び図4より知られるごとく、試料E1〜E10は、試料C1〜C3に比べて、色差ΔEが小さく、調理シミの形成が抑制されていることがわかる。また、試料E1〜E10は、パール調の装飾層を有し、優れた意匠性を示した。即ち、金属レジネートとしてCoレジネート、Mnレジネートを用いることにより、酸化コバルト、酸化マンガンを含有するシリカ膜を有する装飾層が形成され、その結果、装飾層の優れた意匠性を維持しつつ、調理シミの形成を抑制できることがわかる。図5及び図6の写真からも、Coレジネート、Mnレジネートを用いること(試料E1〜E10)により、金属レジネートを用いていない場合(試料C1)や他の金属レジネートを用いた場合(試料C2及び試料C3)に比べて、調理シミが目立たないことがわかる。装飾層において、シリカ膜中に含まれるシリカ100質量部に対するMn量、Co量は、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましく、12質量部以上がさらに好ましい。Mn量、Co量を増やすことにより、AA級許容差、即ち、色の隣接比較で、わずかに色差が感じられるレベルであって、一般の測色器械間の器差を含む許容色差の範囲まで調理シミを目立たなくすることができる。
1 ガス調理器用ガラストッププレート
11 熱源用開口部
2 ガラス板
22 裏面
3 装飾層
4 遮光層

Claims (6)

  1. ガラス板と、該ガラス板の裏面側に積層された厚み0.2〜5μmの装飾層と、該装飾層上に積層された遮光層とを有するガス調理器用ガラストッププレートにおいて、
    該ガス調理器用ガラストッププレートを厚み方向に貫通する熱源用開口部を有し、
    上記装飾層は、シリカを主成分とし、酸化マンガン、酸化コバルト、及びMnとCoとの複合酸化物から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含有するシリカ膜と、該シリカ膜中に分散された無機顔料とを有し、
    上記装飾層において、上記シリカ膜中に含まれる上記金属酸化物におけるMn量及び/又はCo量は、シリカ100質量部に対して0.5〜50質量部であることを特徴とするガス調理器用ガラストッププレート。
  2. 上記無機顔料は、白系顔料又はシルバー系顔料であることを特徴とする請求項1に記載のガス調理器用ガラストッププレート。
  3. 上記無機顔料は、パール調顔料であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス調理器用ガラストッププレート。
  4. 上記装飾層は、シリコーンレジン及び/又はシリカゾルからなるシリカ形成材料と、無機顔料と、Mnレジネート及び/又はCoレジネートからなる金属レジネートとを少なくとも含有する装飾層形成用塗料を焼き付けてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス調理器用ガラストッププレート。
  5. 上記装飾層は、上記装飾層形成用塗料を温度500〜900℃で焼き付けてなることを特徴とする請求項4に記載のガス調理器用ガラストッププレート。
  6. 上記遮光層は、黒色系無機顔料が分散されたシリカ膜又は耐熱樹脂膜からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス調理器用ガラストッププレート。
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