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JP6209005B2 - 建築用断熱材及びこれを用いた断熱施工方法 - Google Patents
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Description

本発明は、木造住宅などの建築物に用いる断熱材、及びこれを用いた床や壁、屋根などの断熱施工方法に関する。
木造住宅などの建築物用の板状断熱材として、高密度のグラスウール板や硬質発泡プラスチック板が用いられており、従来、これらの板状断熱材に種々の加工を施したものが提案されている。
特許文献1には、板状断熱材の幅方向中央において、裏面に溝を、表面に該溝に平行するスリットを設け、表面を凸にして幅方向に折り曲げて根太間に挿入し、次いで、折り曲げた板状断熱材を平坦に戻すことによって、断熱施工する断熱材が開示されている。係る断熱材は、折り曲げ時に裏面の溝が開口部を閉じ、表面のスリットが口を開くことにより、溝とスリットとの開閉幅に応じた角度で折り曲げることができ、溝とスリットに大きな応力がかかることがなく、折り曲げ箇所における破断が防止される。
また、特許文献2には、発泡樹脂製ボードの表裏両面に、互い違いに長手方向に延びる溝が形成された弾力性付与部を設けた断熱材が開示されている。係る断熱材は、一方の側端部に溝を形成していない支持基盤部を設け、該支持基盤部に続く弾力性付与部中に溝を形成していない曲がり防止部を設けることによって、断熱材全体を曲がり難くして短時間での断熱施工と、断熱施工後の垂れ下がり等を防止している。
特開2001−132128号公報 特開2001−49758号公報
特許文献1に開示された断熱材は、表裏で異なる形状、大きさのスリットと溝とを形成していることから、断熱施工後に根太に対して均等に圧縮応力が作用せず、十分な保持力が発揮されなかったり、断熱材の表面が平坦にならない恐れがあった。また、特許文献1,2のいずれの断熱材においても、断熱施工後の溝の幅が広い場合には断熱欠損を生じ、断熱性能が低下するとともに、根太等の支持部材に対する圧縮応力も低下し、十分な保持力が得られない場合があった。
本発明の課題は、断熱施工時に容易に折り曲げて支持部材間に挿入できると同時に、断熱施工後に支持部材に対して十分な圧縮応力によって良好な保持力を発揮し、且つ、断熱性能に優れた建築用断熱材とその断熱施工方法を提供することにある。
本発明の第1は、板状断熱材の表面及び裏面のそれぞれの幅方向の中央領域に、前記板状断熱材の厚さ方向に複数本の溝が、前記幅方向に15mm以上30mm以下の一定の間隔で且つ長手方向に平行に形成されており、前記溝が開口部から底部に向かって幅が一定で1mm以上2mm以下であり、表面に形成された溝と裏面に形成された溝とが前記幅方向において互い違いで且つ前記厚さ方向において前記溝の深さの50%以上75%以下が互いに重なるように形成されており、前記板状断熱材の幅方向断面が長方形であり、前記板状断熱材の幅は、該板状断熱材を挿入する支持部材間の間隔より大きく、断熱施工後の表面及び裏面のそれぞれの溝空間の合計が断熱施工前の50%以下となるように前記板状断熱材に前記溝が形成されており、
前記板状断熱材の幅方向断面において、前記溝の底部の形状が、前記溝の開口部の幅よりも直径が大きい略円形であり、前記底部の内面が、熱溶融による樹脂膜を有することを特徴とする建築用断熱材である。
本発明の建築用断熱材においては、前記板状断熱材が、厚さが40mm以上であり、密度が28kg/m3以上で平均気泡径が0.4mm以下の押出発泡ポリスチレン板からなること、を好ましい形態として含む。
本発明の第2は、上記本発明第1の建築用断熱材を幅方向で折り曲げながら、前記建築用断熱材の幅よりも狭い間隙を置いて平行に配置した一対の支持部材間に挿入し、次に折り曲げた前記建築用断熱材を平坦に戻すことを特徴とする断熱施工方法である。
本発明の建築用断熱材は、板状断熱材の幅方向中央領域にのみ、所定の幅、長さの溝を表裏両面に均等に形成したことにより、断熱施工に適した柔軟性と曲げ剛性、及び断熱施工後の保持力が得られ、断熱施工作業が容易で、断熱施工後には表面が平坦で垂れ下がりや表面凹凸の発生などの施工不良が防止される。また、断熱施工後には溝に起因する断熱欠損が抑制され、高い断熱性能が得られる。
本発明において、板状断熱材の素材を特定することによって、上記効果がより高いレベルで得られる。また、溝の底部の形状を略円形とすることで、板状断熱材を折り曲げた際の溝に起因する破損が防止される。
本発明の建築用断熱材の構成を模式的に示す全体斜視図、幅方向断面図及びその部分拡大図である。 本発明の建築用断熱材を用いた断熱施工工程を示す断面図である。 本発明の建築用断熱材の溝の形状を示す断面図である。 本発明の建築用断熱材を床用断熱材として用いた例を示す斜視図である。 本発明の建築用断熱材を壁用断熱材として用いた例を示す斜視図である。
本発明の板状断熱材としては、断熱性能に優れ、圧縮強さ、曲げ強さ等の機械的強度に優れ、さらに、加工が容易なものが好ましい。具体的には、グラスウール、ロックウールなどの繊維系断熱材のうち高密度で板状に形成されたもの、或いはプラスチック発泡体からなるものである。
プラスチック発泡体としては、ポリスチレン系発泡体、ポリエチレン系発泡体、硬質ポリウレタン系発泡体、フェノール系発泡体などの各種合成樹脂からなる硬質発泡体を用いることができる。そのうち、高い断熱性能を有し、耐水性、圧縮強度、加工性に優れる押出発泡ポリスチレン板が好ましく、より具体的には、厚さが40mm以上、密度が28kg/m3以上、平均気泡径が0.4mm以下の押出発泡ポリスチレン板が好ましく用いられる。係る押出発泡ポリスチレン板としては、ダウ化工(株)製の「スタイロエース(登録商標)」が市販されている。
以下、図面を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。
図1は本発明の建築用断熱材1の基本的な一構成例を示しており、(a)は全体斜視図、(b)は幅方向断面図、(c)は(b)の部分拡大図である。
本発明においては、板状断熱材10の表面、裏面の両面に同じサイズ、同じ形状の溝11a、11bが複数本ずつ、好ましくは5〜10本ずつ板状断熱材10の厚さ方向に形成されている。係る溝11a,11bは板状断熱材10の幅方向中央領域に、板状断熱材10の長手方向に平行に形成されており、幅方向に一定の間隔で配置されている。
本発明において、溝11a、11bは板状断熱材10の幅方向断面において幅Wが一定であり、2mm以下、好ましくは1mm以上である。係る幅Wが2mmを超えると断熱施工後の溝空間が大きくなって断熱性能が低下する恐れがある。係る溝11a,11bの形成方法としては、丸鋸を用いた切削加工や加熱した金属線による溶融加工が挙げられ、いずれも1.5mmを目標値として加工すると、加工精度にもよるが、1mm〜2mmの範囲に形成することができる。
また、溝11a、11bは板状断熱材10の幅方向において重なる部分の長さCが溝11a、11bの深さDの50%以上となるように、溝11a、11bの深さDを設定する。係る長さCがDの50%未満となる場合には、折り曲げ時の反発力が高く、折り曲げにくくなったり、板状断熱材10が破損しやすくなるため好ましくない。また、長さCが長くなりすぎても、溝11a、11bの底部から反対側の板状断熱材10の面までの距離が短く、折り曲げ時に破損しやすくなるため、長さCは深さDの75%以下が好ましい。
さらに、溝11a、11bの間隔Pは30mm以下である。間隔Pが30mmを超えると、折り曲げ時の反発力が高く、折り曲げにくくなったり、板状断熱材10が破損しやすくなるため好ましくない。また、間隔Pが短くなりすぎると、溝11aと溝11bとの間の断熱材が薄くなり、板状断熱材10が破損しやすくなるため、間隔Pは15mm以上が好ましい。
さらに、本発明において、板状断熱材10としては、厚さTが40mm以上、密度が28kg/m3以上、平均気泡径が0.4mm以下の押出発泡ポリスチレン板が好ましく用いられるが、係るポリスチレン板において好ましくは厚さTは100mm以下である。
尚、発泡体の密度は、JIS A 9511:2006の規定に則って発泡体の質量(kg)を発泡体の体積(m3)で除することで算出できる。
また、発泡体の平均気泡径は、ASTM D 3567に準拠する方法で測定することができる。
本発明において、溝11a、11bは断熱施工時に板状断熱材10を折り曲げやすくなるように形成されるが、断熱施工後には、係る溝11a、11bで形成される空間は断熱欠損となる。従って、断熱施工においては、板状断熱材10の幅を、係る板状断熱材10を挿入する支持部材間の間隔よりも大きく形成しておき、断熱施工によって溝11a、11bを圧縮する。この断熱施工前後での、表面の溝11a、裏面の溝11bのそれぞれが形成する溝空間の合計の残存率、即ち、断熱施工前の表面の溝11a、裏面の溝11bのそれぞれが形成する溝空間の合計に対する、断熱施工後のそれぞれの溝空間の合計が50%以下となるように、溝11a、11bの幅や本数を設定する。
尚、断熱施工前後での溝空間の合計の残存率は断熱性能の観点からは0%が理想である。従って、板状断熱材10の幅は、断熱施工する支持部材間の間隙に、表面の溝11aの幅の合計又は裏面の溝11bの幅の合計の50%以上100%以下を加えたものとする。
図2は、本発明の建築用断熱材1を用いた断熱施工の工程を示す断面模式図である。図2(a)に示すように、本発明の建築用断熱材1は、表面の溝11aの開口部が開き、裏面の溝11bの開口部が閉じることで表面が凸となるように折り曲げることができる。このように本発明の建築用断熱材1を折り曲げて、裏面側から一対の支持部材20,20間に挿入する。その後、凸となった表面の中央部を押さえ込むことで図2(b)に示すように表面を平坦にする。上記したように、支持部材20,20の間隙よりも建築用断熱材1の幅が大きくなるように板状断熱材10が構成されているため、断熱施工後は、板状断熱材10に形成されていた溝11a,11bが圧縮されて溝空間が断熱施工前よりも狭くなり、溝空間での空気の対流も防止され、断熱欠損による断熱性能の低下が防止される。
また、本発明の建築用断熱材1においては、同じ形状、サイズの溝11a、11bが板状断熱材10の表面、裏面に均等に形成されていることから、断熱施工後には支持部材20,20に対して複数本の溝11a,11bによる圧縮応力が均等に働く。よって、溝11a,11bの十分な圧縮による圧縮応力と相俟って、支持部材20,20に対して良好な保持力が得られ、断熱施工後に表面が盛り上がって表面の平坦性が損なわれるなどの問題が防止される。
さらに、本発明の建築用断熱材1は、板状断熱材10の幅方向の中央領域にのみ溝11a、11bが形成されており、両端部近傍には溝11a,11bが形成されていないため、板状断熱材10の剛性及び支持部材20,20間での保持力を確保することができる。
本発明において、溝11a,11bは板状断熱材10の幅方向断面において幅が一定であるが、図3に示すように、底部11cの形状を幅よりも直径の大きい略円形とすることが好ましい。このような形状の溝11a、11bは、プラスチック発泡体からなる板状断熱材10の表面及び裏面に加熱した金属線を押し当てて、プラスチック発泡体を溶融させて加工することにより得られる。そして、係る加工によって底部11cの内面には、熱溶融によって周囲よりも引き裂き強度の高い樹脂膜が形成され、断熱施工時の折り曲げよって溝11aが開かれた際の板状断熱材10の破損が防止される。
本発明の建築用断熱材は床や壁、屋根の断熱材として用いることができる。
本発明の建築用断熱材を床用断熱材として用いる場合には、例えば図4に示すように、その長手方向の両端部を土台もしくは大引101で支持する。支持部材は根太102である。また、根太102,102間に嵌合させた本発明の建築用断熱材の上には床材103が載置される。
根太102の高さに対して板状断熱材10の厚さが薄い場合には、大引101の上に支持材(不図示)を設置し、その上に本発明の断熱材を載置することによって調整ができる。支持材としては、プラスチック発泡体やフェルト、繊維板などの適宜の厚さの板材を用いることができる。
また、本発明の建築用断熱材を壁用断熱材として用いる場合には、例えば図5に示すように、本発明の建築用断熱材の長手方向が垂直方向となるように立て、支持部材として柱111と間柱112、及び間柱112と間柱112との間に嵌め込む。板状断熱材10の裏面は外壁113によって支持され、下端は床材114に支持される。
また、本発明の建築用断熱材を屋根用断熱材として用いる場合には、支持部材としての垂木間に嵌め込んだ状態で、その長手方向の両端部を母屋上で支持する。
(実施例1、比較例1〜3)
ダウ化工(株)製のスタイロエース(登録商標)を用いて図1の建築用断熱材1を作製した。密度は30kg/m3、平均気泡径は0.3mmである。板状断熱材10の厚さTは65mm、幅が436mm、溝11a、11bの幅Wは最適値を1.5mmとし、出来上がりが1〜2mmの範囲に入るように丸鋸で加工した。溝11a、11bのそれぞれの幅Wの合計は表面、裏面でそれぞれ10〜15mmの範囲で、それぞれ8本ずつ形成した。
実施例1として、溝11a,11bの間隔Pを20mm、深さDを45mm、溝11aと11bの重なり部分の長さCを25mmとした。CはDの56%である。
比較例1として、溝11a,11bの間隔Pを20mm、深さDを40mm、溝11aと11bの重なり部分の長さCを15mmとした。CはDの38%である。
比較例2として、溝11a,11bの間隔Pを40mm、深さDを45mm、溝11aと11bの重なり部分の長さCを25mmとした。CはDの56%である。
比較例3として、溝11a,11bの間隔Pを40mm、深さDを40mm、溝11aと11bの重なり部分の長さCを15mmとした。CはDの38%である。
上記実施例、比較例の建築用断熱材を、間隙を板状断熱材10の幅よりも8mm狭い428mmとした外壁の柱と間柱との間に挿入し、表面の中央部を押さえて平坦にした。溝11a,11bのそれぞれの幅Wの合計は、表面、裏面のそれぞれで最大でも15mmであり、断熱施工後に8mm圧縮されることから、溝空間の残存率は(15−8)/15=47%で50%以下であった。
上記断熱施工において、実施例1は板状断熱材10が容易に折れ曲がり、断熱施工後も表面が盛り上がることなく、柱と間柱との間に良好に支持されていた。これに対して比較例1,2は実施例1よりも板状断熱材10が折れ曲がりにくく、比較例3はさらに折れ曲がりにくく、いずれも実施例1よりも作業性が悪かった。
(実施例2,3)
実施例1と同じスタイロエース(登録商標)で厚さ40mm、幅75mm、長さ300mmの板状断熱材を作製し、幅Wの最適値を1.5mmとし、出来上がり幅Wが1〜2mmの範囲に入るようにして、深さ20mm、30mmの2種類の溝を板状断熱材1枚につき1本、加工方法を変えて作製した。溝の形状としては、実施例2として図3に示した底部11cが略円形の溝11a、実施例3として図1に示した均一幅の直線状の溝11aの2種類を形成した。実施例2は加熱した金属線による溶融加工、実施例3は丸鋸による切削加工で形成した。
各例の断熱材について、JIS A 9511の曲げ試験により、幅方向のみについて、曲げ破断荷重(N)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006209005
表1に示したように、溝の底部を略円形とすることで、板状断熱材を折り曲げた際の破損防止効果が高いことがわかる。
1:建築用断熱材、10:板状断熱材、11,11a,11b:溝、11c:溝の底部、20:支持部材、101:大引、102:根太、103:床材、111:柱、112:間柱、113:外壁、114:床材

Claims (3)

  1. 板状断熱材の表面及び裏面のそれぞれの幅方向の中央領域に、前記板状断熱材の厚さ方向に複数本の溝が、前記幅方向に15mm以上30mm以下の一定の間隔で且つ長手方向に平行に形成されており、前記溝が開口部から底部に向かって幅が一定で1mm以上2mm以下であり、表面に形成された溝と裏面に形成された溝とが前記幅方向において互い違いで且つ前記厚さ方向において前記溝の深さの50%以上75%以下が互いに重なるように形成されており、前記板状断熱材の幅方向断面が長方形であり、前記板状断熱材の幅は、該板状断熱材を挿入する支持部材間の間隔より大きく、断熱施工後の表面及び裏面のそれぞれの溝空間の合計が断熱施工前の50%以下となるように前記板状断熱材に前記溝が形成されており、
    前記板状断熱材の幅方向断面において、前記溝の底部の形状が、前記溝の開口部の幅よりも直径が大きい略円形であり、前記底部の内面が、熱溶融による樹脂膜を有することを特徴とする建築用断熱材。
  2. 前記板状断熱材が、厚さが40mm以上であり、密度が28kg/m3以上で平均気泡径が0.4mm以下の押出発泡ポリスチレン板からなることを特徴とする請求項1に記載の建築用断熱材。
  3. 請求項1又は2に記載の建築用断熱材を幅方向で折り曲げながら、前記建築用断熱材の幅よりも狭い間隙を置いて平行に配置した一対の支持部材間に挿入し、次に折り曲げた前記建築用断熱材を平坦に戻すことを特徴とする断熱施工方法。
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