JP6209986B2 - Cu−Fe合金 - Google Patents
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そこで、特許文献2には、上述の二液相分離を抑制したCu−Fe合金として、Feを5〜95重量%、Oを50重量ppm以下含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなるCu−Fe合金が開示されている。
本発明は、上記の知見に基づき完成させたものであって、その要旨は以下の通りである。
さらに、本発明のCu−Fe合金は、Cの含有量が15massppm以下とされているので、溶融状態におけるCu相とFe相との二液相分離を抑制し、晶出したFe相を微細に分散させることができる。したがって、Fe相が偏在しておらず、十分な電磁遮蔽効果を確保することができる。また、鋳造後のCu−Fe合金の加工性をより向上させることができ、例えばCu−Fe合金を細線化する際に、伸線加工時に断線の発生を抑制可能となる。
本実施形態に係るCu−Fe合金は、Feを2.0mass%以上10.0mass%以下、Cを15massppm以下含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成を有している。
以下に、上述のようにCu−Fe合金の組成を規定している理由、及び金属組織を規定している理由を説明する。
Feは、Cu母相中に、Fe相として晶出又は析出し、これにより透磁率が上昇し、電磁遮蔽効果が向上する作用効果を有する元素である。また、Cu−Fe合金において、鋳造後にCu母相中に固溶しているFeを、時効処理で析出させることにより、母相の純度があがり、導電率が上昇する。導電率の上昇は、電磁遮蔽効果の向上につながる。
Feが2.0mass%未満の場合、Fe相が十分に晶出又は析出しないため、透磁率が上昇せず、電磁遮蔽効果が不足してしまう。また、Feが10.0mass%超の場合、Fe相の晶出量が過剰に多くなり、鋳造後の加工性が低下するおそれがある。
このような理由により、Feの含有量は、2.0mass%以上10.0mass%以下の範囲内とされている。
Cは、溶融状態におけるCu相とFe相の二液相分離現象に影響を及ぼす元素であり、Cの含有量が少ないほど、二液相分離を抑制することができる。
Cの含有量が15massppm超の場合、Cu相とFe相の二液相分離が促進され、Fe相が粗大化し、偏在することになり、十分な電磁遮蔽効果が確保されない。また、鋳造後の加工性が低下してしまう。したがって、Cの含有量は、15massppm以下とされている。ここで、Cの含有量の好ましい範囲は、10massppm以下とされている。
鋳造時に晶出することによって形成されるFe相は、本実施形態において、デンドライト状に形成されている。すなわち、本実施形態においては、晶出するFe相は、溶融状態におけるCu相とFe相との二液相分離によって形成されているのではなく、デンドライトとして形成されているのである。
このデンドライト状に晶出したFe相の短軸径が50μm以下の場合、Fe相が十分に微細に分散しており、十分な電磁遮蔽効果を確保することができる。また、鋳造後の加工性を良好にすることができる。したがって、本実施形態において、デンドライト状に晶出したFe相の短軸径は、50μm以下とされている。
連続鋳造装置10は、図1に示すように、溶解炉11と、移送樋12と、タンディッシュ13と、鋳型14と、この鋳型14から製出されるビレットBを引き抜くピンチロール15とを備えている。
溶解炉11は、誘導加熱式とされており、溶解炉11内は、Cu、Feの酸化を防止するために、不活性ガス雰囲気とされている。
タンディッシュ13は、溶解炉11から移送された銅合金溶湯を貯留するものである。タンディッシュ13には溶湯温度制御のために、加熱手段(ヒータなど)を有してもよい。このタンディッシュ13には、蓋が設置されており、その内部には不活性ガスが流されて不活性雰囲気とされている。
鋳型14の材質は、特に限定されるものではないが、本実施形態においては、Cuによって構成されている。
このCu−Fe合金の製造方法は、銅原料を溶解して得られた銅溶湯にFe元素を添加して、所定の組成の銅合金溶湯を生成する銅合金溶湯生成工程S01と、溶解炉11からタンディッシュ13へ銅合金溶湯を移送する溶湯移送工程S02と、銅合金溶湯をタンディッシュ13内に保持する溶湯保持工程S03と、このタンディッシュ13に接続された鋳型14によってビレットBを連続的に製出する鋳造工程S04と、得られたビレットBに対して熱間加工(熱間押出、熱間圧延など)を行う熱間加工工程S05と、熱間加工材に対して伸線加工を行う伸線加工工程S06を有している。
まず、銅原料として、純度が99.99mass%以上の純銅を準備する。この純銅を、溶解炉11内に投入し、溶解炉11で加熱溶解して銅溶湯を製出する。次いで、この銅溶湯中に、Fe元素を添加し、銅溶湯の成分を調製し、銅合金溶湯を生成する。なお、Fe元素は、Cu−Fe合金を投入することによって添加されても良い。このとき、溶解炉11内は不活性ガス雰囲気とされており、Cu、Feの元素の酸化が抑制されている。
溶解炉11において生成された銅合金溶湯は、移送樋12を介してタンディッシュ13へと供給される。この移送樋12の内部は、前述のように、不活性ガス雰囲気とされており、銅合金溶湯及びCu、Fe元素の酸化が防止されている。
タンディッシュ13では、銅合金溶湯を保持し、加熱手段によって、銅合金溶湯の温度を1100〜1400℃、好ましくは1200〜1300℃に制御する。なお、このタンディッシュ13に貯留された銅合金溶湯の湯面位置が一定となるように、溶解炉11からの銅合金溶湯の移送量が調整される。なお、タンディッシュ13には蓋が設置されており、その内部は不活性ガス雰囲気とされている。
そして、タンディッシュ13内に貯留された銅合金溶湯は、注湯孔を介して鋳型14の鋳造孔内へと供給される。鋳型14内に供給された銅合金溶湯は、鋳型14内で冷却されて凝固し、鋳造孔の下端側からビレットBとして製出されることになる。なお、ビレットBの引抜速度は、ピンチロール15によって制御されている。
ここで、鋳造工程S04において得られるビレットBは、断面円形とされており、その直径dが30mm以上450mm以下とされ、本実施形態では、ビレットBの直径dが100mmとされている。
そして、常温まで冷却されたビレットBは、熱間加工(熱間押出、熱間圧延など)によって、直径8mm以上15mm以下の線材に加工される。
そして、常温まで冷却された線材は、伸線加工と熱処理を繰り返しながら、0.05mm以上3mm以下まで細線化される。
このようにして、本実施形態に係るCu−Fe合金の線材が製造される。
また、従来のCu−Fe合金の製造方法では、タンディッシュ13にはCを主成分とする溶湯被覆材が使用されていたが、本実施形態に係るCu−Fe合金の製造方法においては、前述の溶湯被覆材を使用せず、タンディッシュ13に蓋を設置して内部に不活性ガスを流通させる構成とされているので、銅合金溶湯に含まれるCの含有量を低減することが可能である。
このようにして、銅合金溶湯に含まれるC量を低減することによって、Cu−Fe合金に含有されるC量を15massppm以下に低減することができる。
まず、銅原料として、純度が99.99mass%以上の純銅を準備する。この純銅を、溶解炉のアルミナ製の坩堝内に投入し、アルミナ製の坩堝内で加熱溶解して銅溶湯を製出した。次いで、この銅溶湯中に、Feを添加し、所定の銅溶湯の成分に調製し、銅合金溶湯を生成した。このとき、溶解炉内は不活性ガス雰囲気とされている。
次いで、溶解炉において生成された銅合金溶湯を、鋳型内へと供給し、冷却速度1℃/sで冷却し、表1に示す成分を有する本発明例1〜13のビレット(直径100mm)を製出した。なお、鋳型はCu製とした。
まず、銅原料として、純度が99.99mass%以上の純銅を準備する。この純銅を、溶解炉のカーボン製の坩堝内に投入し、カーボン製の坩堝内で加熱溶解して銅溶湯を製出した。次いで、この銅溶湯中に、Feを添加し、所定の銅溶湯の成分に調製し、銅合金溶湯を生成した。このとき、溶解炉内は不活性ガス雰囲気とされている。
次いで、溶解炉において生成された銅合金溶湯を、鋳型内へと供給し、冷却速度1℃/sで冷却し、表1に示す成分を有する比較例1〜7のビレット(直径100mm)を製出した。なお、鋳型はCu製とした。
まず、銅原料として、純度が99.99mass%以上の純銅を準備する。この純銅を、溶解炉のアルミナ製の坩堝内に投入し、アルミナ製の坩堝内で加熱溶解して銅溶湯を製出した。次いで、この銅溶湯中に、Feを添加し、所定の銅溶湯の成分に調製し、銅合金溶湯を生成した。このとき、溶解炉内は不活性ガス雰囲気とされている。
次いで、溶解炉において生成された銅合金溶湯を、鋳型内へと供給し、冷却速度0.01℃/sで冷却し、表1に示す成分を有する比較例8のビレット(直径100mm)を製出した。なお、鋳型は冷却速度制御のためのヒータを有するカーボン製とした。
以下に、ミクロ組織観察方法と加工性の評価方法について説明する。
図3に示すように、ビレットの表層21、中心22、表層と中心との中間23の、三箇所から10mm×10mmのサンプリングを行い、光学顕微鏡を用いてFe相のミクロ組織観察を行った。図4(a)に示すようにデンドライト状に晶出した場合、Fe相30の形状を円又は楕円の集合体とした時に、この円又は楕円内において最も長い線分である長軸径Lに対して直交する最長の線分の長さ(短軸径D)、及び図4(b),(c)に示すように粒状若しくは塊状に晶出した場合には最も長い線分である長軸径Lに対して直交する最長の線分の長さ(短軸径D)が、観察されたすべてのFe相30において、50μm以下の場合、Fe相30が十分に微細であるとして「A」とした。一方、Fe相30の長軸径Lに対して直交する最長の線分の長さ(短軸径D)が50μm超の場合、Fe相30が粗大であるとして「B」とした。
得られたビレットに対して、適宜焼鈍を施しながら直径0.26mmまで伸線加工を行い、伸線量(kg)を断線回数で除した値が10以上の場合、加工性が良好として「○」とした。また、上述の伸線量(kg)を断線回数で除した値が10未満、7以上の場合、加工性評価を「△」、7未満の場合、加工性が悪いとして「×」とした。
以上の評価の結果を表1に示す。
30 Fe相
Claims (1)
- Feを2.0mass%以上10.0mass%以下、Cを15massppm以下含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなり、
Cu相とFe相の2相からなる金属組織を有し、前記Fe相はデンドライト状に晶出しており、このデンドライト状に晶出したFe相の短軸径が50μm以下とされていることを特徴とするCu−Fe合金。
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