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JP6210568B2 - 高精度な免疫学的測定法 - Google Patents
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Description

本発明は、検体中の小分子を精度良く測定するための免疫学的測定法に関する。
検体中の小分子は、検体中に存在する蛋白質、脂質などの高分子量物質と特異的又は非特異的に結合していたり、あるいは一定の平衡状態であったりするため、小分子の濃度を正確に精度良く測定するためには、一工夫が必要であった。
そのような工夫の1つとして、特異的結合阻害剤を用いて小分子を前記蛋白質等から遊離する方法があり、たとえば、ステロイドホルモンの特異的結合阻害剤として、グルタミン酸溶液(特許文献1)、8‐アニリノ‐1‐ナフタレンスルホン酸又はその塩(特許文献2)、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、2−アミノナフタレンスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、3−アミノ−2,7−ナフタレンジスルホン酸(特許文献3)が報告されている。また、ビタミンD代謝産物の特異的結合阻害剤としては、8‐アニリノ‐1‐ナフタレンスルホン酸アンモニウム塩、3‐(アセトニルベンジル)‐4‐ヒドロキシクマリン(特許文献4)、シクロデキストリン、サリチル酸ナトリウム、NaOH(特許文献5)が報告されている。
特開昭53−101521号公報 特公昭61−12547号公報 特許第5343825号公報 特許第3787121号公報 特許第4130958号公報
しかしながら、本発明者の検討では、アルドステロンの測定において、特異的阻害剤である8‐アニリノ‐1‐ナフタレンスルホン酸を用いて測定を試みたが、実施例に示すように、良好な結果は得られていない。
したがって、発明者は、検体中の小分子を精度良く測定するための免疫学的測定法を開発すべく、鋭意検討を重ねた結果、まったく意外なことに、間接的な標識法である高分子物質に結合した標識と高分子物質に特異的に結合する因子が結合した小分子を用いて検体中の小分子を測定する際、予めこれらを混合し、この混合したものと抗小分子抗体を用いて検体中の小分子を測定することで、検体中の小分子を精度良く測定できることを見出した。本発明はかかる新規の知見に基づくものである。従って、本発明は以下の発明を提供するものである。
(1)
検体中の小分子を精度良く測定するための免疫学的測定法であって、高分子物質に結合した標識と高分子物質に特異的に結合する因子が結合した小分子とを予め混合し、この混合したものと抗小分子抗体を用いて検体中の小分子を測定することを特徴とする小分子の免疫学的測定法。
(2)
測定対象の小分子が、ホルモンまたはビタミンである、上記(1)記載の方法。
(3)
測定対象の小分子が、アルドステロン、エストラジオール、テストステロン、プロゲステロン、コルチゾール、アンドロステンジオンなどのステロイドホルモンである、上記(1)記載の方法。
(4)
高分子物質と高分子物質に特異的に結合する因子の組み合わせが、アビジン−ビオチン、中性アビジン‐ビオチン、ストレプトアビジン‐ビオチン、IgG‐プロテインA、IgG‐プロテインG、IgG‐プロテインL、ヒスチジンタグ配列‐ニッケル、糖鎖−レクチン、またはアプタマー‐アプタマー認識分子のいずれかの組み合わせである、上記(1)記載の方法。
(5)
抗小分子抗体を担体に直接的または間接的に結合したものを使用する、上記(1)記載の方法。
(6)
高分子物質に結合させる標識が、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β‐ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼなどの酵素である上記(1)記載の方法。
本発明の免疫学的測定で使用する試薬は、高分子物質に結合した標識、高分子物質に特異的に結合する因子が結合した小分子及び固相に結合した抗小分子抗体であり、従来の方法と使用する試薬類はまったく同じである。しかしながら、その操作手順が今まで報告されていない手順、すなわち、高分子物質に結合した標識と高分子物質に特異的に結合する因子が結合した小分子とを予め混合し、この混合したものと抗小分子抗体を用いて検体中の小分子を測定するという手順に変更するだけ検体中の小分子を精度良く測定できる。
このように、手順の変更という簡単な手段で、従来精度良く測定できなかった検体中の小分子を精度良く測定できるため、本発明の方法は産業上きわめて有用な方法である。
図1は、事前混合なしの2ステップ法における測定結果と阻害剤の効果を示したものである。 図2は、アルドステロンを直接標識した試薬を用いる1ステップ法による測定結果を示したものである。 図3は、事前混合した試薬を用いる本発明法による測定結果を示したものである。
本発明の特徴は、上述したように、高分子物質に結合した標識と高分子物質に特異的に結合する因子が結合した小分子とを予め混合し、この混合したものと抗小分子抗体を用いて検体中の小分子を測定することを特徴とする小分子の免疫学的測定法に関するものである。
本発明で測定対象の検体としては、血液、血清、血漿等の血液検体、あるいは尿検体である。
測定対象の小分子としては、ホルモンまたはビタミンが挙げられ、ホルモンとしては、アルドステロン、エストラジオール、テストステロン、プロゲステロン、コルチゾール、アンドロステンジオンなどのステロイドホルモン、ACTH、アルギニンパソプレッシン、PTH、インスリン、オキシトシンなどのペプチドホルモンなどが挙げられる。
また、ビタミンとしては、ビタミンD、ビタミンB12などが挙げられる。
測定に使用する標識としては、酵素、蛍光色素、化学発色色素、化学発光基質などを例示できる。酵素をより具体的に例示すれば、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ルシフェラーゼなどを挙げることができる。

このような標識の標識法は間接標識法を用いる。間接標識法は、既に公知であり、具体的な組み合わせとしては、アビジン−ビオチン、中性アビジン‐ビオチン、ストレプトアビジン‐ビオチン、IgG‐プロテインA、IgG‐プロテインG、IgG‐プロテインL、ヒスチジンタグ配列‐ニッケル、糖鎖−レクチン、アプタマー‐アプタマー認識分子のいずれかの組み合わせを利用すればよい。
次に、測定に使用する抗体は、測定対象の小分子に対する抗体であればよく、モノクローナル抗体でもポリクローナル抗体(抗血清)であっても、その断片((Fab’)2、Fabなど)であってもかまわない。
このような抗体は、BF分離のため、好ましくは抗体を担体に直接的または間接的に結合させたものを使用する。
担体としては、チューブ状、ウェル状、粒子状(ビーズ、ラテックス粒子、磁性粒子など)などいずれの形態も使用可能で、材質も測定に応じて適宜選択して使用すればよい。
抗体と担体との結合法は公知であり、常法(物理的結合法、化学的結合法、リンカーな等を用いた完結的結合法など)から適宜選択して実施すればよい。さらに、抗イムノグロブイリン抗体などを用いた間接的な結合法も使用することができる。
本発明は、このような従来公知の試薬を用いて、(1)初めに、高分子物質に結合した標識と高分子物質に特異的に結合する因子が結合した小分子とを混合し、(2)次にこの混合したものと抗小分子抗体を用いて検体中の小分子を測定する2段階の方法からなる。
第1段階の高分子物質に結合した標識と高分子物質に特異的に結合する因子が結合した小分子とを混合する反応は、0〜50℃、好ましくは5〜30℃で、混ぜ合わせれば良く、特に一定時間インキュベーションする必要はない。
第2段階の、混合物と抗小分子抗体を用いた検体中の小分子の測定は、対象の小分子で行われている反応条件をそのまま利用すれば良く、細かな条件設定は、小規模試験にて決定することができる。
小分子の定量は、使用した標識で通常利用されている方法(例えば、酵素であれば、吸光度法など)で行うことが可能である。
以下、アルドステロンの実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明がこれに限定されないのは明らかである。
試薬の調製
〔各構成試薬の希釈液の調製〕
1% ウシ血清アルブミン(ギブコ社製)、0.2% スキムミルク(ベクトン・ディッキンソン社製)、0.02% Tween20(ナカライテスク社製)、0.1% ProClin 950(シグマ社製)を含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5)を用いた。
〔ビオチン化アルドステロンの調製〕
アルドステロン(シグマ社製)とBiotin−(AC5)2−hydrazide(同仁化学社製)を、0.5M酢酸水溶液とエタノールの混合溶媒中で一晩室温にて撹拌した。薄層クロマトグラフィーで反応の進行を追跡し、原料であるアルドステロンの消失を確認した後溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、ビオチン化アルドステロンを得た。
〔アルドステロンを直接標識した西洋ワサビペルオキシダーゼの調製〕
アルドステロン(シグマ社製)とカルボキシメトキシルアミンヘミ塩酸塩(ナカライテスク社製)を無水酢酸ナトリウムの存在下エタノール中室温にて4日間撹拌した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、アルドステロンの3位にカルボキシル基が導入された誘導体を得た。この3位誘導体と、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(同仁化学社製)、N−ヒドロキシコハク酸イミド(同仁化学社製)、及び西洋ワサビペルオキシダーゼ(東洋紡社製)を、0.1M 2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)‐NaOH緩衝液(pH 5.5)中で混合し、4℃にて一晩反応させた。反応液をPBSに対して透析し、アルドステロンを直接標識した西洋ワサビペルオキシダーゼを得た。
〔ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体〕
ストレプトアビジン(和光純薬社製)を、5mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む0.1M リン酸ナトリウム緩衝液(pH 8.0)に溶解し、ここに2−イミノチオラン塩酸塩を添加し、30℃にて2時間反応させた。さらにトリ(カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩の水溶液を添加し、37℃にて1時間反応させた後、限外ろ過デバイスAmicon(メルクミリポア社製)により緩衝液を、5mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.0)に交換すると同時に試薬の残骸を取り除き、メルカプト(SH)基を導入したストレプトアビジンを得た。一方、西洋ワサビペルオキシダーゼ(東洋紡社製)を、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.5)に溶解し、ここにN,N−ジメチルホルムアミドに溶解したN−(6−マレイミドカプロイルオキシ)コハク酸イミド(EMCS)を添加し、30℃にて30分間反応させた後、限外ろ過デバイスAmicon(メルクミリポア社製)により緩衝液を、5mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.0)に交換すると同時に試薬の残骸を取り除き、マレイミド基を導入した西洋ワサビペルオキシダーゼを得た。以上により調製したメルカプト基導入ストレプトアビジンとマレイミド基導入西洋ワサビペルオキシダーゼを、モル比が1:5となるように混合し、4℃にて24時間反応させた。反応液をゲルろ過カラムクロマトグラフィー(Sephacryl S200HR、GEヘルスケア社製)にて精製し、ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体を得た。
〔アルドステロン標準液の調製〕
1.2mgのアルドステロン(シグマ社製)に対して1mLのエタノール(ナカライテスク社製)で溶解しアルドステロンのエタノール溶液を調製した。これをさらに適宜エタノールで希釈し、240nmにおける吸光度を測定した。アルドステロンの分子量360.44及び240nmにおけるモル吸光係数15,000を用いて正確な濃度を算出した。このエタノール溶液を上述の希釈液で希釈し、2,000pg/mLの溶液を調製した。さらに、2,000pg/mLアルドステロン溶液を適宜希釈し、1,000、500、250、100、50、25pg/mLのアルドステロン溶液を調製した。これら7種類のアルドステロン溶液と、アルドステロンを含まない希釈液を0pg/mLとした計8種類の溶液をアルドステロン標準液とした。
〔抗体固相プレートの調製〕
96ウェルマイクロプレート(サーモサイエンティフィック社製)に、PBSで5μg/mLの濃度に希釈調整したヤギ抗ウサギIgG Fcポリクローナル抗体(サーモサイエンティフィック社製)を100μL/ウェル分注し、室温にて一晩放置した。ウェル内の液を吸引除去した後、0.05%Tween 20含有PBSを300μL/ウェル分注し吸引除去する操作を計3回行い、ウェルを洗浄した。この後、0.5%スキムミルク、5%スクロース、0.1%ProClin300を含有するPBSを300μL/ウェル分注し、2時間ブロッキングを行った。最後にブロッキング液を抜き取り、使用時まで4℃にて保存した。
〔管理検体の調製〕
EDTA−2Naプール血漿に、アルドステロンを約800、400、200、100pg/mLとなるように添加したものを管理検体とし、分注し使用時まで−80℃にて凍結保存した。
事前混合なしの2ステップ法における測定(従来法)および阻害剤の効果
(1)目的
アルドステロン及びビオチン化アルドステロンが血漿中の蛋白質と結合し、測定系が影響を受けるかどうか、また特異的結合阻害剤を用いて血漿中の蛋白質からこれらの分子を遊離させ、測定が可能になるかどうかを確認する。このことを、血漿中にアルドステロンを添加したものを用い、これらの測定値が、添加したアルドステロンの量を回収出来ているかを求めるいわゆる添加回収試験により評価する。
(2)方法
標準液を添加した個人血漿検体は、アルドステロン標準液1(0pg/mL)、6(500pg/mL)、7(1,000pg/mL)、8(2,000pg/mL)と個人血漿検体を1:9の比で混合し調製した。
抗体固相プレートに、アルドステロン標準液または標準液を添加した個人血漿検体を25μL/ウェル、10fmol/mLに希釈調製したビオチン化アルドステロンを100μL/ウェル、40,000倍に希釈調製したウサギ抗アルドステロンポリクローナル抗体(Applied Biological Materials社製)を50μL/ウェル順次添加し、プレートシェーカーにて撹拌しながら2時間室温にて反応させた。この際、ビオチン化アルドステロン溶液に1mg/mLの8‐アニリノ‐1‐ナフタレンスルホン酸(以下ANSと表記)を含むものと含まないものを用意した。ウェル内の反応液を吸引除去した後、0.05%Tween 20含有PBSを300μL/ウェル分注し吸引除去する操作を計3回行い、ウェルを洗浄した。ウェルの洗浄後、0.5μg/mLに希釈調製したストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体を全てのウェルに100μL/ウェル分注し、30分間反応させた。ウェル内の反応液を吸引除去した後、0.05%Tween 20含有PBSを300μL/ウェル分注し吸引除去する操作を計3回行い、ウェルを洗浄した。3,3,5,5‐テトラメチルベンジジンを含む発色液を100μL/ウェル分注し、室温にて20分間発色させた後、0.5N硫酸を100μL/ウェル分注して発色反応を停止させ、各ウェルの450nmにおける吸光度をプレートリーダー(Tecan社製)で測定した。
(3)結果
結果を下記表1、2および図1に示す。
Figure 0006210568
Figure 0006210568
考察
まず、標準液の測定における吸光度を見ると、ANSの有無に関わらず標準液1では十分な吸光度が見られていることから、固相抗体(ヤギ抗ウサギIgG Fcポリクローナル抗体):ウサギ抗アルドステロンポリクローナル抗体:ビオチン化アルドステロンの3成分よりなる免疫複合体が適切に形成されていることが分かる。またアルドステロン濃度の増大に伴って吸光度が低下していることから、系内に添加されたアルドステロンにより免疫複合体の形成阻害が起こっているものと考えられる。このことは、競合法における抗原の測定そのものであり、標準液の組成においてはアルドステロンの測定が可能であることを意味している(表1および図1)。
しかしながら、標準液を添加した個人血漿検体における吸光度を見ると、アルドステロン添加量の増大に伴う吸光度の低下は見られているものの、標準液と比較して圧倒的に吸光度が低くなっている。標準液8(2,000pg/mL)の測定における吸光度が0.5程度であることから、今回測定された血漿検体はいずれも測定値は2,000pg/mL以上となり、現実的にありえない数値となっている(表2)。
また、反応系内へのANS添加の有無に関わらず血漿検体における吸光度は低いことから、ANSは当初期待していたアルドステロン若しくはビオチン化アルドステロンと血漿中の蛋白質との結合阻害に寄与していないものと考えられる。血漿試料において吸光度が著しく低下していることから、ビオチン化アルドステロンが血漿中の蛋白質と結合し、系内に添加されたウサギ抗アルドステロンポリクローナル抗体と反応出来ていないことが推察される(表2)。
3)アルドステロンを直接標識した試薬を用いる1ステップ法による測定
目的
ビオチン化アルドステロンのような極めて分子量の小さいものが血漿中の蛋白質と結合しウサギ抗アルドステロン抗体が反応しなくなるのであれば、トレーサー分子をより分子量の大きなものに改変すれば抗体との反応性が改善するはずである。そこで、アルドステロンを標識酵素である西洋ワサビペルオキシダーゼと直接化学的に結合したものをトレーサーとした条件において、測定が可能であるかを調べた。
方法
抗体固相プレートに、アルドステロン標準液または管理検体を25μL/ウェル、1pmol/mLに希釈調製した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識アルドステロンを100μL/ウェル、40,000倍に希釈調製したウサギ抗アルドステロンポリクローナル抗体(Applied Biological Materials社製)を50μL/ウェル順次添加し、プレートシェーカーにて撹拌しながら2時間室温にて反応させた。ウェル内の反応液を吸引除去した後、0.05%Tween 20含有PBSを300μL/ウェル分注し吸引除去する操作を計3回行い、ウェルを洗浄した。ウェルの洗浄後、3,3,5,5‐テトラメチルベンジジンを含む発色液を100μL/ウェル分注し、室温にて20分間発色させた後、0.5N硫酸を100μL/ウェル分注して発色反応を停止させ、各ウェルの450nmにおける吸光度をプレートリーダー(Tecan社製)で測定した。
結果
結果を下記表3、4および図2に示す。
Figure 0006210568
Figure 0006210568
(4)考察
標準液1の測定における吸光度が2程度あることから、固相抗体(ヤギ抗ウサギIgG Fcポリクローナル抗体):ウサギ抗アルドステロンポリクローナル抗体:西洋ワサビペルオキシダーゼ標識アルドステロンの3成分よりなる免疫複合体が適切に形成されていることが分かる。しかしながら、遊離アルドステロン濃度の増大に伴う吸光度の低下傾向がかなり小さく、標準液に含まれるアルドステロンによる競合阻害が起こりにくくなっていることが分かる。すなわち、前述の測定と同じ抗体を同じ希釈倍率で使用しているにも関わらず感度が低下している(表3、図2)。また、管理検体の測定においては、管理検体1及び2については測定値が算出されているものの、想定した値とはかなり乖離がみられる。管理検体3及び4については、得られた吸光度の値が標準液1よりも大きいため、測定値が算出されていない(表4)。これらの原因としては、使用したウサギ抗アルドステロンポリクローナル抗体の性質において、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識アルドステロンに対しての反応性とアルドステロンに対しての反応性がかなり違っていて、前者に対する反応性が相対的に高いために、アルドステロンによる競合阻害が起こりにくくなっており、アルドステロン濃度の増大に伴う吸光度の低下傾向が小さくなっているものと推察される。一般に、アルドステロンのような低分子物質に対する抗体の作製においては、それ自身の免疫原性が低いために、低分子を蛋白質のような高分子、例えばウシ血清アルブミンやウシサイログロブリンなどに科学的に結合したものを動物に免疫することで得られている。すなわち低分子そのものに対してよりも、高分子に結合した形をとる抗原物質の方が、抗体の反応性はより高くなる傾向がある。それだけでなく、適切な吸光度を得るために本系では比較的多量の西洋ワサビペルオキシダーゼ標識アルドステロンを系内に添加しており、従って遊離アルドステロンによる西洋ワサビペルオキシダーゼ標識アルドステロンとウサギ抗アルドステロンポリクローナル抗体の結合阻害が起こりにくくなっていることも予想される。
また、管理検体の測定値が想定したものと比較してかなり低値となった原因としては、血漿中の蛋白質とアルドステロンが一部結合し、系内に添加されたウサギ抗アルドステロンポリクローナル抗体と反応出来なくなるためと推察される。
事前混合した試薬を用いる本発明法による測定
目的
ストレプトアビジン‐ビオチンによる結合をアルドステロンと標識酵素の結合に利用してトレーサー分子を調製し、このトレーサーを用いる系について標準液及び血漿試料の測定が可能か調べる。血漿試料については前項2)と同様、血漿中にアルドステロンを添加したものを用い、これらの測定値が、添加したアルドステロンの量を回収出来ているかを求めるいわゆる添加回収試験により評価する。
方法
標準液を添加した個人血漿検体は、アルドステロン標準液1(0pg/mL)、6(500pg/mL)、7(1,000pg/mL)、8(2,000pg/mL)と個人血漿検体を1:9の比で混合し調製した。
抗体固相プレートに、アルドステロン標準液または標準液を添加した個人血漿検体を25μL/ウェル、予め混合しておいたトレーサー溶液(0.3pmol/mLのビオチン化アルドステロン及び0.5μg/mLのストレプトアビジン‐西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体)を100μL/ウェル、40,000倍に希釈調製したウサギ抗アルドステロンポリクローナル抗体(Applied Biological Materials社製)を50μL/ウェル順次添加し、プレートシェーカーにて撹拌しながら2時間室温にて反応させた。ウェル内の反応液を吸引除去した後、0.05%Tween 20含有PBSを300μL/ウェル分注し吸引除去する操作を計3回行い、ウェルを洗浄した。ウェルの洗浄後、3,3,5,5‐テトラメチルベンジジンを含む発色液を100μL/ウェル分注し、室温にて20分間発色させた後、0.5N硫酸を100μL/ウェル分注して発色反応を停止させ、各ウェルの450nmにおける吸光度をプレートリーダー(Tecan社製)で測定した。
結果
結果を下記表5、6および図3に示す。
Figure 0006210568
Figure 0006210568
考察
標準液の測定における吸光度の値より、固相抗体(ヤギ抗ウサギIgG Fcポリクローナル抗体):ウサギ抗アルドステロンポリクローナル抗体:ビオチン化アルドステロン:ストレプトアビジン‐西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体の4成分よりなる免疫複合体が適切に形成されており、さらに遊離のアルドステロンによる免疫反応の競合的阻害が起こっていることが分かる(表5、図3)。さらに血漿試料の吸光度測定値を見ると、これまでのように吸光度の異常な低値もしくは高値傾向は見られず、また血漿試料においてもアルドステロンの添加に伴う吸光度の低下が見られている。標準液における吸光度から標準曲線を作製し、標準液を添加した血漿試料の測定値を算出し、添加したアルドステロン量に対する回収率を計算すると、いずれの添加試料においても回収率は100%付近となっており、血漿に添加したアルドステロンが標準液と同様に測定出来ていることを示している(図6)。

Claims (2)

  1. 検体中のアルドステロンを精度良く測定するための免疫学的測定法であって、アビジン、 中性アビジンおよびストレプトアビジンから選ばれる高分子物質に結合した標識と、ビオ チンが結合したアルドステロンとを予め混合し、この混合したものと、担体に間接的に結 合した抗アルドステロン抗体を用いて検体中のアルドステロンを測定することを特徴とするアルドステロンの免疫学的測定法。
  2. 高分子物質に結合させる標識が、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β‐ガラ クトシダーゼ、ルシフェラーゼなどの酵素である、請求項1記載の方法
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