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JP6214135B2 - 人体用害虫忌避エアゾール剤、及びこれを用いた害虫忌避並びに冷感の付与方法。 - Google Patents
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人体用害虫忌避エアゾール剤、及びこれを用いた害虫忌避並びに冷感の付与方法。 Download PDF

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本発明は、蚊、ブヨ、サシバエ、イエダニ、ナンキンムシ等の害虫から人体を守るための人体用害虫忌避エアゾール剤、及びこれを用いた害虫忌避並びに冷感の付与方法に関する。更に詳しくは、害虫忌避効果や人体への安全性にすぐれることはもちろん、さらさら感だけでなく、冷感をも付与させた人体用害虫忌避エアゾール剤に関するものである。
人体用害虫忌避剤について、従来より、刺激性の軽減、使用感の改善を目的とした様々な特許が出願されている。人体用害虫忌避剤は基本的に腕、足、首筋等、人体の露出した肌、即ち、外的な刺激を受けやすい部分に塗布するものであり、近年、アレルギー性物質や刺激性物質に対し過敏な反応を起こす人が増加している社会的状況を鑑み、従来一般的に配合していた紫外線吸収剤や紫外線散乱剤、タール色素等の刺激やアレルギーの原因となりやすい原料の配合を減らしたり、皮膚の乾燥を防ぐ保湿剤等を配合したりして、刺激性軽減に重点を置いた処方を指向する動きが活発になっている。
また、組成物中に皮膚に優しい水を配合した水性害虫忌避剤の特許も出願され、例えば、特開2003−192503号公報(特許文献1)は、害虫忌避成分、水溶性溶剤及び水を配合し、水溶性溶剤と水の配合比率を規定することにより、皮膚感触と臭気を改善する試みを開示している。
ところで、使用感を改善する方向性としては、(1)さらさら感の付与、(2)清涼感(冷感)の付与があげられる。(1)さらさら感を付与するための一般的な方法として、無機又は有機粉体の配合が有効で、例えば、特開平9−157107号公報(特許文献2)は吸油量が250ミリリットル/100g以下である無水ケイ酸の配合を開示し、また、本発明者らも特開2006−199654号公報(特許文献3)の水性害虫忌避エアゾール組成物において、水ベースであれば相応の(1)さらさら感を有するものの、平均粒子径が0.5〜20μmの無機又は有機粉末を添加することによって、さっぱりした使用感を一層向上させ得ることを述べている。
一方、液化石油ガスのような液化噴射ガスやイソペンタン等は、特開昭62−33115号公報(特許文献4)や特開平3−209315号公報(特許文献5)に記載されているように、皮膚に付着すると蒸発に際して皮膚から多量の潜熱を奪うので、その強度を調節することにより(2)清涼感(冷感)を付与できるとされる。しかしながら、液化噴射ガスは瞬間的に蒸発するため、この冷感効果は到底持続しない。
本発明者らは、先に、(2)清涼感(冷感)を持続して付与させるには、液化噴射ガスの蒸発作用よりも水の気化熱を利用するのが効果的であると考え、検討を重ねた。その結果、特開2006−199654号公報(特許文献3)の水性害虫忌避エアゾール組成物で配合した無機又は有機粉末は、(1)さらさら感をより改善させるには有効であるものの、(2)清涼感(冷感)の付与にはむしろ逆効果であることを見出し、この知見に基づいて、冷感付与に効果的な水性害虫忌避エアゾール組成物に係る特許を出願した(特願2011−173491)。
その後、本発明者らは更に試験を繰り返した結果、水の気化熱を利用しなくても、エアゾール原液と液化石油ガスを主体とする噴射ガスの配合比率や、液化石油ガスの20℃における蒸気圧を特定し、好ましくは、更にバルブステム口の断面積とボタン噴射口先端の断面積の比率を特定することによって実用的に十分な冷感が付与されうることを知見し、本発明を完成するに至ったものである。
特開2003−192503号公報 特開平9−157107号公報 特開2006−199654号公報 特開昭62−33115号公報 特開平3−209315号公報
本発明は、害虫忌避効果や人体への安全性にすぐれることはもちろん、水の気化熱を利用しなくても持続した冷感を付与させた人体用害虫忌避エアゾール剤を提供しようとするものである。
本発明は、上記目的を達成するため、以下の構成が上記目的を達成するために優れた効果を奏することを見出したものである。
(1)エアゾール原液全体量に対して害虫忌避成分を5〜10質量%とエタノールを90質量%以上含有し、水を含まず、かつ無機又は有機粉末、及び昇華性物質を含まないエアゾール原液と、噴射ガスとしての液化石油ガスを10/90〜40/60の配合比率でエアゾール容器に充填してなる人体用害虫忌避エアゾール剤であって、
前記液化石油ガスの20℃における蒸気圧が0.3MPa以下であり、
平均噴霧粒子径が46〜85μmであり、
人体の皮膚表面に15cm離れた距離から3秒間噴霧塗布したときに、皮膚表面温度を処理前、最低温度記録時、及び1分後に測定した際の、処理前の皮膚表面温度に対する温度低下率が20.7〜58.9%の範囲であって、水の気化熱を利用せずに、前記エタノールと液化石油ガスの蒸発作用に基づき、持続した冷感を付与するものである人体用害虫忌避エアゾール剤。
(2)前記害虫忌避成分が、ディートまたは3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステルである(1)に記載の人体用害虫忌避エアゾール剤。
本発明の人体用害虫忌避エアゾール剤は、害虫忌避効果や人体への安全性にすぐれることはもちろん、水の気化熱を利用しなくても持続した冷感を付与させたのでその実用性は極めて高い。
本発明で用いる害虫忌避成分としては、害虫に対して忌避作用あるいは吸血阻害作用を有する合成あるいは天然の各種化合物が挙げられる。例えば、ディート、フェノトリン、3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、p−メンタン−3,8−ジオール、シトロネラール、シトロネロール、シトラール、リナロール、テルピネオール、メントール、α―ピネン、カンファー、ゲラニオール、カランー3,4−ジオールなどを例示できる。更に天然物としては、桂皮、シトロネラ、レモングラス、クローバ、ベルガモット、月桂樹、ユーカリなどから採れる精油、抽出液などを例示でき、これらの1種または2種以上を選択して用いることができる。上記化合物及び天然物のなかでは、ディート、フェノトリン、3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、ならびにp−メンタン−3,8−ジオールが好ましい。ディートは長年にわたる使用実績があり、一方、3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステルは、ディートとほぼ同等の忌避効果を有し、本発明で用いる内容組成物に適した害虫忌避成分といえる。
害虫忌避成分はその忌避効力等にもよるが、本発明で用いるエアゾール原液全体量に対して1〜20質量%、好ましくは3〜12質量%配合される。
本発明では、持続した冷感を付与させるため、エアゾール原液中にエタノールを50質量%以上含有するとともに、エアゾール原液と液化石油ガスを主体とする噴射ガスの配合比率、ならびに液化石油ガスの20℃における蒸気圧を特定することを必須とする。
即ち、液化石油ガスのような液化噴射ガスは、皮膚に付着すると蒸発に際して皮膚から多量の潜熱を奪うことが知られているが、これを含む油性の人体用害虫忌避エアゾール剤においては、液化噴射ガスが瞬間的に蒸発するため冷感効果はほとんど持続しないものと考えられてきた。
しかるに、本発明者らは、エアゾール原液中にエタノールを50質量%以上含有するとともに、エアゾール原液と液化石油ガスを主体とする噴射ガスの配合比率、ならびに液化石油ガスの20℃における蒸気圧を特定することによって、エタノールと液化石油ガスの作用が協働し、水による気化熱を利用しなくても冷感を持続して付与させ得ることを認め、本発明を完成するに至ったものである。
ここで、持続した冷感とは、人体の皮膚表面に15cm離れた距離から3秒間噴霧塗布したときに、その施用面の皮膚表面温度を1分間以上にわたり15〜90%低下させる性能を言う。
この発明において、皮膚表面温度を低下させる性能とは、使用前の体温と0℃との差を100%とした場合の使用後における温度低下の比率の数値を表わす。
本発明では、冷感付与、ならびに害虫忌避成分の溶解とエアゾール原液の安定性向上のためにエタノールを含有するが、その目的に支障を来たさない量である限り、炭素数が2〜5の低級アルコール(エタノールを除く)及び/又はグリコールを配合してもよい。かかる低級アルコールとしてはイソプロパノール、また、グリコールとしてはジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられ、これらを単独、又は混合して使用することができる。
また、本発明で用いるエアゾール原液には、上記成分以外に内容組成物の安定性を一層高めるために界面活性剤を配合することができる。界面活性剤としては、特にHLBが11〜16のノニオン系界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレン(10モル)オレイルエーテル{HLB=12.4}、ポリオキシエチレン(20モル)オレイルエーテル{HLB=15.1}、ポリオキシエチレン(9モル)ラウリルエーテル{HLB=13.6}、ポリオキシエチレン(10モル)セチルエーテル{HLB=12.9}、ポリオキシエチレン(15モル)ステアリルエーテル{HLB=14.2}、ポリオキシエチレン(15モル)イソステアリルエーテル{HLB=14.2}等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノオレエート{HLB=15.7}、ポリオキシエチレン(10モル)ソルビタンモノラウレート{HLB=14.9}、ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノステアレート{HLB=15.7}等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン(14モル)モノオレエート{HLB=13.7}、ポリオキシエチレン(9モル)モノラウレート{HLB=13.3}、ポリオキシエチレン(14モル)ミリステート{HLB=14.6}等のポリオキシエチレンアルキルエステル類等が挙げられ、これらを単独、又は混合して使用することができる。界面活性剤は肌への刺激性を考えると極力低減するのが好ましいが、HLBが11〜16のノニオン系界面活性剤は少量の配合で内容組成物の安定化に効果がある。
市販されている油性の人体用害虫忌避エアゾール剤には、さらさら感を付与するために無機又は有機粉末を配合しているものが多いが、本発明では配合しない。これは、試験の結果、無機又は有機粉末を配合することによって冷感作用が低減する傾向が見出されたためである。
更に、本発明のエアゾール原液には、グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、酢酸トコフェロール、カンフル等の消炎剤、パラアミノ安息香酸、アミルサリシネート、オクチルシンナメート、メトキシ桂皮酸オクチル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤や紫外線散乱剤、あるいは硫酸アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、フェノールスルホン酸亜鉛等の制汗剤、安定剤、香料等を内容組成物の安定性に影響のない範囲で配合することも可能である。
本発明は、かかるエアゾール原液と液化石油ガス(LPG)を主体とする噴射ガスをエアゾール容器に充填して人体用害虫忌避エアゾール剤を製する。ここで、LPGは、冷感付与の観点から、20℃における蒸気圧が0.3MPa以下のものを用いる必要がある。
LPG以外の噴射ガスとしては、ジメチルエーテル(DME)や圧縮ガス(窒素ガス、炭酸ガス等)があげられ、必要に応じてその若干量を加えてもよいことはもちろんである。
本発明の人体用害虫忌避エアゾール剤は、その平均噴霧粒子径が30〜100μmであることが好ましく、噴霧粒子が過度に飛散しないというメリットを有する。
また、エアゾール容器に充填されるエアゾール原液と噴射ガスの配合比率は、10/90〜50/50(容量)が適当であり、その内圧はLPGの蒸気圧と同じく、20℃において0.3MPa以下に調整される。
エアゾール容器に装填される各パーツの仕様も適宜決定すればよいが、所定の性能を奏するために、例えば、バルブステム口の断面積とボタン噴射口先端の断面積の比率を1/1〜1/10の範囲とし、噴霧液の舞い散りを低減させ、皮膚への付着量を高めるように設計するのが好ましい。なお、1/10を超えると噴射時にボタンからの液だれを生じる恐れがあり好ましくない。
こうして得られた本発明の人体用害虫忌避エアゾール剤は、人に対する安全性が高く、人体への刺激性をほとんど有さない。しかも、持続した冷感を奏するので、蚊、ブヨ、サシバエ、イエダニ、ナンキンムシ等の刺咬被害防除に対して極めて有用なものである。
次に具体的な実施例ならびに試験例に基づき、本発明の人体用害虫忌避エアゾール剤について更に詳細に説明する。
害虫忌避成分としてディート3.0g、微量のメントール、及び95%エタノール21.6g(27mL)を加え、全量を24.6g(30mL)として本発明で用いるエアゾール原液を調製した。
このエアゾール原液をエアゾール容器に封入後、その上部にバルブ部分(ステム口断面積/ボタン噴射口先端の断面積:1/6)を取り付け、該バルブ部分を通じてLPG70mLを加圧充填(内圧:0.28MPa;20℃に調整)して本発明の人体用害虫忌避エアゾール剤を得た。
このエアゾール剤を15cm離れた距離から腕の皮膚表面に3秒間噴霧したところ、平均噴霧粒子径は40μmであり、また、皮膚表面温度の推移をみると、処理前の35.1℃が数十秒後に最低温度の17.4℃(低下率:50.4%)となり、1分後においても27.8℃(低下率:20.8%)で冷感が持続した。このさっぱりとした冷感に加え、屋外での実使用では蚊に対して8時間以上にわたり忌避効果を奏し、極めて有用な人体用害虫忌避エアゾール剤であることが認められた。
実施例1に準じ、害虫忌避成分として3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル3.8g、及び95%エタノール37g(46.2mL)を加え、全量を40.8g(50mL)として本発明で用いるエアゾール原液を調製した。
このエアゾール原液をエアゾール容器に封入後、その上部にバルブ部分(ステム口断面積/ボタン噴射口先端の断面積:1/4)を取り付け、該バルブ部分を通じて混合噴射ガス(LPG/DME=9/1)50mLを加圧充填(内圧:0.26MPaに調整)して本発明の人体用害虫忌避エアゾール剤を得た。
本エアゾール剤の平均噴霧粒子径は63μmで、実施例1の場合と同様、火気に対する安全性や忌避効果はもちろん、冷感の持続性[処理前:34.9℃、数十秒後の最低温度:15.7℃(低下率:55.8%)、1分後:26.5℃(低下率:24.1%)]にすぐれ実用性の高いものであった。
実施例1に準じて表1に示す各種人体用害虫忌避エアゾール剤を調製し、下記に示す試験を行った。結果を表2に示す。なお実施例4,5,8,9については、参考例として示す。
(1) 平均噴霧粒子径
レーザー光を利用する噴霧粒子測定装置を用いて測定した。
(2)冷感の持続性
人体用害虫忌避エアゾール剤を15cm離れた距離から腕の皮膚表面に3秒間噴霧し、皮膚表面温度を経時的[処理前、最低温度記録時、及び1分後]に測定し、処理前の皮膚表面温度に対する温度低下率も求めた。また、冷感を下記基準により併せて評価した。
◎:心地よい冷感あり、 ○:やや冷感あり、 △:殆ど冷感なし、 ×:冷感なし。



本発明の人体用害虫忌避エアゾール剤は、べたつきが無くさっぱりとした冷感が持続し、人体用害虫忌避エアゾール剤として高い実用性が認められた。なお、バルブステム口の断面積とボタン噴射口先端の断面積の比率としては、1/1〜1/10の範囲がより好適であった。
これに対し、比較例1のように、20℃における蒸気圧が0.3MPaを超えるLPGを用いたり、エアゾール原液と噴射ガスの配合比率が10/90〜50/50(容量)の範囲を外れる場合(比較例2)、エアゾール剤による冷感は長続きしなかった。また、比較例3の如く、無機粉体を配合することによって冷感作用が低減され、所定量のエタノールを含有しない比較例4も冷感作用が劣った。更に、液化噴射ガスでなく圧縮ガスを用いた比較例5は十分な冷感作用を奏せず、非エアゾールでスプレータイプの比較例6についても冷感作用が幾分劣ったことから、LPGがエタノールと協働して冷感作用に寄与することが明らかとなった。
本発明の人体用害虫忌避エアゾール剤は、人体用の害虫忌避用途だけでなく、殺虫・殺ダニ用や殺菌・抗菌用、あるいは消臭・防臭用途等にも利用できる可能性がある。

Claims (2)

  1. エアゾール原液全体量に対して害虫忌避成分を5〜10質量%とエタノールを90質量%以上含有し、水を含まず、かつ無機又は有機粉末、及び昇華性物質を含まないエアゾール原液と、噴射ガスとしての液化石油ガスを10/90〜40/60の配合比率でエアゾール容器に充填してなる人体用害虫忌避エアゾール剤であって、
    前記液化石油ガスの20℃における蒸気圧が0.3MPa以下であり、
    平均噴霧粒子径が46〜85μmであり、
    人体の皮膚表面に15cm離れた距離から3秒間噴霧塗布したときに、皮膚表面温度を処理前、最低温度記録時、及び1分後に測定した際の、処理前の皮膚表面温度に対する温度低下率が20.7〜58.9%の範囲であって、水の気化熱を利用せずに、前記エタノールと液化石油ガスの蒸発作用に基づき、持続した冷感を付与するものであることを特徴とする人体用害虫忌避エアゾール剤。
  2. 前記害虫忌避成分が、ディートまたは3−(N−n−ブチル−N−アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステルから選ばれる1種であることを特徴とする請求項1に記載の人体用害虫忌避エアゾール剤。」
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