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JP6220175B2 - 密封装置 - Google Patents
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本発明は、例えば、自動車用ステアリングコラムホール等にダストシール手段として使用される密封装置に関する。
図3は、自動車のステアリング装置の一例を示すものであり、参照符号101はステアリングホイール、102はステアリングホイール101により回転され、不図示のタイロッドをラック・ピニオン式のギアを介して往復移動させるステアリングシャフトである。そして、ステアリングシャフト102がフロントダッシュパネル103のコラムホールを貫通した部分(図3におけるX部)には、ダストシール手段として、従来、図4に示すような密封装置(ステアリングダストシール)が装着されている。
すなわち図4に示す従来の密封装置は、図3のフロントダッシュパネル103のコラムホールに固定される金属製の固定環201と、図3のステアリングシャフト102の外周面に密接されるシールリップ202と、その根元に形成されたバンパー部203と、外周の基部204aが前記固定環201に一体的に接合されると共に内径部が前記バンパー部203に連続したベロー部204と、バンパー部203の内周に保持され、低摩擦の合成樹脂材料からなる摺動リング205を備える。シールリップ202、バンパー部203及びベロー部204は、ゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)で固定環201と一体に成形され、摺動リング205は、低摩擦で耐摩耗性に優れた合成樹脂材料で成形されている。
そしてこの種の密封装置は、フロントダッシュパネル103のコラムホールとステアリングシャフト102との間を密封することによって、エンジンルームS1側から車室S2への雨水やダストの流入及びエンジンルームS1内の熱を伴う外気の流入を防止すると共に、エンジン音や走行音を遮断するものである(例えば下記の先行技術文献参照)。
また、バンパー部203の内周に保持された摺動リング205は、コラムホールに対してステアリングシャフト102が大きく偏心してこのステアリングシャフト102の外周面と圧接状態で摺動した場合に、スティック−スリップ現象による「鳴き」と呼ばれる異音の発生を防止すると共に、摩擦トルクの増大を抑制するものである。
特開2010−091077号公報 特開2008−032208号公報
しかしながら、この種の密封装置では、コラムホールに対してステアリングシャフト102が大きく偏心した場合でもシールリップ202によるシール性を維持するために、偏心に対する追随性をベロー部204の変形によって確保し、摺動リング205とステアリングシャフト102の間のクリアランスを極力小さくする必要がある。このため、摺動リング205とステアリングシャフト102の間に十分な量のグリースを保持することが困難であり、シールリップ202へのグリースの供給量が少なくなるおそれがあった。
また、近年はステアリングシャフト102がますます高偏心動作の要求があり、加えて密封装置の装着スペースの拡大も困難な状況にあるため、ステアリングシャフト102の偏心に対するシールリップ202追随性をベロー部204のみに依存することが困難になってきている問題がある。
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、軸の偏心への優れた追随性を確保した密封装置を提供することにあり、他の技術的課題は、追随性の確保に加え、シールリップへのグリースの十分な供給量を確保した密封装置を提供することにある。
求項1の発明に係る密封装置は、第一部材と、この第一部材を貫通した軸との間を密封する密封装置であって、前記第一部材に固定される固定部と、前記軸の外周面に密接されるシールリップと、このシールリップの根元と前記固定部との間を延びて自在に変形可能なベロー部と、前記シールリップの根元の内周に保持された摺動リングと、を備え、この摺動リングに、軸方向へ延びると共に円周方向へ連続した形状を有することによって前記摺動リングに径方向へのばね性を与える筒状凹部を形成したものである。
上記構成において、シールリップの根元の内周に保持された低摩擦の合成樹脂材料からなる摺動リングは、第一部材に対して軸が大きく偏心することによって、この軸の外周面と圧接状態で摺動した場合でも、低摩擦で摺動することにより、スティック−スリップ現象による異音の発生を防止すると共に摩擦トルクの増大を抑制するものである。そしてこの摺動リングが筒状凹部を有することによって径方向へのばね性を与えられているので、ベロー部の変形による偏心追随性に加え、摺動リング自体が偏心を吸収する機能を有するものとなる。
請求項2の発明に係る密封装置は、請求項1に記載された構成において、前記摺動リングの筒状凹部が前記シールリップ側へ開口しているものである。
上記構成において、摺動リングの筒状凹部にグリースを充填しておけば、軸の偏心動作によって摺動リングが軸の外周面と圧接して径方向へ変形を受けたときに、筒状凹部内のグリースの一部がシールリップ側へ押し出されるので、シールリップへのグリースの供給機能を有するものとなる。
本発明に係る密封装置によれば、ベロー部の変形による偏心追随性に加え、摺動リング自体が筒状凹部の形成によって偏心を吸収する機能を有するため、高い偏心追随性を確保することができ、大きく偏心した状態でもシールリップによる優れたシール性が維持される。
また、摺動リングの筒状凹部に、グリースの保持機能及びこのグリースをシールリップに供給する機能を与えることができるため、シールリップの良好な潤滑性を確保することができる。
本発明に係る密封装置の第一の実施の形態を、軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。 本発明に係る密封装置の第二の実施の形態を、軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。 自動車のステアリング装置の一例を概略的に示す説明図である。 従来の密封装置を、軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。
以下、本発明に係る密封装置の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず図1は、第一の実施の形態を示すものである。
この実施の形態の密封装置は、自動車における不図示のフロントダッシュパネルのコラムホールに圧入固定される固定環1と、前記コラムホールを貫通したステアリングシャフト10の外周面に密接されるシールリップ2と、このシールリップ2の根元に形成されシールリップ2より大径かつ厚肉のバンパー部3と、外周部4aが固定環1の内周面に一体的に加硫接着されると共に内周部4bが前記バンパー部3に連続したベロー部4と、前記バンパー部3に埋設された補強環5と、前記バンパー部3の内周に一体的に保持された摺動リング6を備える。なお、フロントダッシュパネルは請求項1に記載された第一部材に相当し、ステアリングシャフト10は請求項1に記載された軸に相当するものである。
固定環1は金属で円筒状に形成され、フロントダッシュパネルのコラムホールの内周面に圧入固定されるものであって、請求項1に記載された固定部に相当する。
シールリップ2、バンパー部3及びベロー部4は、ゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)で固定環1と一体に成形されている。このうちシールリップ2は、装着状態においてエンジンルームS1側を向き、ステアリングシャフト10の外周面に適当な締め代をもって摺動可能に密接されるものである。
また、バンパー部3は、フロントダッシュパネルのコラムホールに対してステアリングシャフト10が大きく偏心した場合に、このステアリングシャフト10からの偏心力を摺動リング6を介して受け、これをベロー部4に伝達することによって、シールリップ2に大きな径方向荷重が作用するのを防止するもので、シールリップ2と反対側へ向けて漸次大径になる略円錐筒状をなしており、その内周面には、摺動リング6の外周面と凹凸嵌合させるための、円周方向へ連続した凹凸条が形成されている。
また、ベロー部4はステアリングシャフト10の偏心に対して自在に変形することによってシールリップ2、バンパー部3及び摺動リング6の追随性を確保するためのもので、環状シート状に形成され、軸心を通る平面で切断した形状(図示の断面形状)が軸方向へ波状に蛇行した形状となっている。
補強環5は、金属で円環状に形成されており、バンパー部3の真円性を保持するためにこのバンパー部3に一体的に設けられたものである。
摺動リング6は、低摩擦で耐摩耗性に優れた合成樹脂材料で成形されたものであって、外周面が、バンパー部3の内周面に円周方向へ連続して形成された凹凸条と凹凸嵌合することによって抜け止め状態で保持されている。この摺動リング6の内周面は、ステアリングシャフト10の外径より僅かに大径であって、軸方向に延びる多数の潤滑溝61が円周方向等間隔で形成され、また、摺動リング6の厚さ方向中間部には、軸方向へ延びると共に円周方向へ連続した筒状凹部62が形成され、シールリップ2と反対側(車室S2側)の端部に開口している。すなわちこの摺動リング6は、筒状凹部62によって略V字形又は略U字形の断面形状に形成されている。
上記構成を備える密封装置は、フロントダッシュパネルに開設されたコラムホールと、これに挿通されたステアリングシャフト10との間を、シールリップ2及びベロー部4で密封することによって、エンジンルームS1側からの雨水やダスト、あるいはエンジンルームS1内の熱気や外気が車室S2へ流入するのを防止し、更にはエンジン音や走行音を遮断するものである。
そして、フロントダッシュパネルのコラムホールに対してステアリングシャフト10が大きく偏心した場合は、ベロー部4が径方向へ大きく屈伸変形すると共に、円周方向の一部でステアリングシャフト10が摺動リング6の内周面に圧接することになるが、この摺動リング6は低摩擦の合成樹脂材料からなるため、ステアリングシャフト10の外周面との摺動に伴ってスティック−スリップ現象は発生せず、このため「鳴き」と呼ばれる異音の発生が有効に防止される。
また、摺動リング6の内周面に形成された潤滑溝61には、グリースなどの潤滑剤を塗布して保持することができるので、これによっても良好な潤滑性が維持され、スティック−スリップ現象による異音の発生が有効に防止される。
また、フロントダッシュパネルのコラムホールに対してステアリングシャフト10が大きく偏心することによって、円周方向の一部でステアリングシャフト10が摺動リング6の内周面に圧接しても、この摺動リング6は筒状凹部62により略V字形又は略U字形の断面形状となっていることによって径方向へのばね性を与えられているので、ベロー部4による偏心追随性に加え、摺動リング6自体が偏心を吸収する機能を有する。このため、高い偏心追随性を確保することができ、ステアリングシャフト10が大きく偏心した状態でも優れたシール性及び潤滑性が維持される。
次に図2は、本発明に係る密封装置の好ましい第二の実施の形態を示すものである。
この実施の形態において、上述した第一の実施の形態と異なるところは、摺動リング6の筒状凹部62が、シールリップ2側の端部に開口している点にある。その他の部分は第一の実施の形態と同様に構成することができる。
第二の実施の形態によれば、摺動リング6の筒状凹部62にグリースを充填しておけば、ステアリングシャフト10の偏心動作によって摺動リング6がステアリングシャフト10の外周面と圧接して径方向へ変形を受けたときに、筒状凹部62内のグリースの一部がシールリップ2側へ押し出されるので、シールリップ2へのグリースの供給機能を有する。
したがって、第一の実施の形態による効果に加え、摺動リング6とステアリングシャフト10の間のクリアランスを極力小さくすることによってこのクリアランスでのグリースの保持量が少ないものであっても、筒状凹部62からのグリースの供給によるシールリップ2の安定した潤滑状態の維持が期待できる。
なお、上述した第一及び第二の実施の形態では、シールリップ2、バンパー部3、ベロー部4、及び摺動リング6を一組のみ有するものについて説明したが、本発明は、例えば特許文献1あるいは特許文献2のように、シールリップ2、バンパー部3、ベロー部4、及び摺動リング6を軸方向へ複数組配置したものについても適用することができる。
1 固定環(固定部)
2 シールリップ
3 バンパー部(シールリップの根元)
4 ベロー部
5 補強環
6 摺動リング
61 潤滑溝
62 筒状凹部
10 ステアリングシャフト(軸)

Claims (2)

  1. 第一部材と、この第一部材を貫通した軸との間を密封する密封装置であって、
    前記第一部材に固定される固定部と、
    前記軸の外周面に密接されるシールリップと、
    このシールリップの根元と前記固定部との間を延びて自在に変形可能なベロー部と、
    前記シールリップの根元の内周に保持された摺動リングと、
    を備え、
    この摺動リングに、軸方向へ延びると共に円周方向へ連続した形状を有することによって前記摺動リングに径方向へのばね性を与える筒状凹部を形成した
    ことを特徴とする密封装置。
  2. 前記摺動リングの筒状凹部が前記シールリップ側へ開口していることを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
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