JP6231282B2 - ベーカリー食品用油脂組成物 - Google Patents
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Description
また、上記のような高融点油脂を使用すると、ペストリー食品に限らず、ベーカリー食品の甘味の発現性が低下、すなわちベーカリー食品の甘味が感じられにくいという問題もあった。この問題は、ロールイン用油脂が糖類や甘味料を含有する場合は特に問題となっていた。
一方、バターを使用したベーカリー食品、特にバターをロールインしたペストリー食品は濃厚なバター風味とともに、噛んだときに口中に広がるジューシー感を得ることができる。このジューシー感が油脂本来のおいしさとして注目されてきている。
上記のジューシー感とは、ベーカリー食品を口に入れた瞬間に油性感は無いが、歯で噛むことにより、ベーカリー食品より油脂がにじみ出てくる食感である。
ベーカリー食品、特にペストリー食品のジューシー感に関する先行技術としては、特定の油脂を用いてジューシー感を得る方法や、乳化剤を用いてジューシー感を得る方法があげられる。
特許文献1には、乳由来の脂肪、20℃で液状の油脂及びパーム硬化油をそれぞれ特定量含有するロールイン用油中水型乳化組成物が記載されている。しかし特許文献1のロールイン用油中水型乳化組成物では20℃で液状の油脂を多く配合する必要があるため、ペストリー食品は口に入れる前からべとついた状態にあり、さらにこれを食してもべとついた食感となってしまうという欠点があり、上記のジューシー感を得ることはできなかった。
特許文献3には、ラウリン系ハードバター、パーム油起源の非選択的エステル交換油脂及び乳脂肪をそれぞれ特定量含有し、SFCが特定値であるロールイン用可塑性油中水型乳化物が記載されている。特許文献3のロールイン用可塑性油中水型乳化物もSFCを特定の範囲とするために液状油を多く配合する必要があり、ペストリー食品は口に入れる前からべとついた状態にあり、さらにこれを食してもべとついた食感となってしまうという欠点があり、上記のジューシー感を得ることはできなかった。
特許文献2には、シュガーエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた1種以上の結晶調整剤を用いたロールイン用油中水型乳化組成物によりジューシー感を有するペストリー食品を提供できることが記載されている。しかし、特許文献2のロールイン用油中水型乳化組成物は乳化剤を用いるため、ペストリー食品の風味が悪くなるという欠点があった。また特許文献2のロールイン用油中水型乳化組成物は、特定の範囲のSFCとするために液状油を多く配合する必要があり、ペストリー食品は口に入れる前からべとついた状態にあり、さらにこれを食してもべとついた食感となってしまうという欠点があり、上記のジューシー感を得ることはできなかった。
一方、ペストリー食品の甘味の発現性に関する先行技術としては、特許文献4を挙げることができる。
特許文献4には糖アルコールと特定の乳化剤を含有する加糖ロールイン油脂組成物が記載されている。しかし特許文献4の加糖ロールイン油脂組成物は融点が高い油脂を用いており、この加糖ロールイン油脂組成物を用いたペストリー食品は口溶けが悪く、油脂本来のおいしさを味わうことができないという問題があった。
さらに口溶けがよく、ジューシー感を有し、べとつきや不快な油性感がなく、甘味の発現性に優れたベーカリー食品を製造するには、ベーカリー食品用油脂組成物の油相のS3の含有量とs2Uの含有量がそれぞれ特定量であり、s2Uを構成するPとStの質量比率であるP/Stが特定の比率であり、sD2の含有量とU3の含有量の合計量を特定量とする必要があることを見出した。
1)S3の含有量が0.1〜8質量%
2)s2Uの含有量が28質量%以上
3)s2Uを構成するPとStの質量比率であるP/Stが2より大きいこと
4)sD2の含有量とU3の含有量の合計量が20〜40質量%
上記1)〜4)中のS、s、U、P、St及びDは、それぞれ以下の脂肪酸残基を示す。
S :飽和脂肪酸残基
s :炭素数16〜18の飽和脂肪酸残基
U :炭素数16〜18の不飽和脂肪酸残基
P :パルミチン酸残基
St:ステアリン酸残基
D :炭素数16〜18の多価不飽和脂肪酸残基
本発明のベーカリー食品用油脂組成物は、全油脂中のトリグリセリド組成が上記の1)〜4)の条件を全て満たすことが必要である。
本発明のベーカリー食品用油脂組成物は、S3の含有量が0.1〜8質量%、好ましくは1〜7質量%、さらに好ましくは2〜6質量%、最も好ましくは3〜5質量%である。上記のSは飽和脂肪酸残基を示し、具体的には飽和脂肪酸残基の炭素数は8〜22であり、具体的にはカプリル酸残基、カプリン酸残基、ラウリン酸残基、ミリスチン酸残基、パルミチン酸残基、ステアリン酸残基、アラキジン酸残基及びベヘン酸残基の中から選ばれた1種又は2種以上である。上記のS3は、トリグリセリドを構成する3つの脂肪酸残基がいずれも上記のSであるトリグリセリドを示す。
上記のS3の含有量が0.1質量%よりも少ないと本発明のベーカリー用油脂組成物をロールイン用油脂組成物として用いたペストリー食品において、内層不良となるので好ましくなく、本発明のベーカリー食品用油脂組成物を練り込み用油脂組成物として用いたベーカリー食品の内相において、気泡膜が厚くなったり、目が詰まるため好ましくない。上記のS3の含有量が8質量%よりも多いと口溶けが悪く、ジューシー感を有し、甘味の発現性が良好なベーカリー食品が得られないので好ましくない。
本発明のベーカリー食品用油脂組成物は、s2Uの含有量が28質量%以上、好ましくは31質量%以上、さらに好ましくは34質量%以上、最も好ましくは37〜60質量%である。上記のs2Uの含有量が28質量%よりも少ないとジューシー感を有し、甘味の発現性が良好なベーカリー食品が得られない。
上記sは炭素数が16〜18の飽和脂肪酸残基を示し、具体的にはパルミチン酸残基(P)及び/又はステアリン酸残基(St)である。
上記Uは炭素数16〜18の不飽和脂肪酸残基を示し、具体的にはオレイン酸残基、リノール酸残基及びリノレン酸残基の中から選ばれた1種又は2種以上である。上記のs2Uは、トリグリセリドを構成する3つの脂肪酸残基のうち、2つが上記のsであり1つが上記のUであるトリグリセリドを示す。
本発明のベーカリー食品用油脂組成物は、s2Uを構成するPとStの質量比率であるP/Stが2より大きく、好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜5、最も好ましくは2〜4である。
上記のs2Uを構成するPとStの質量比率であるP/St(質量基準)が2以下であるとs2Uの融点が高くなりやすいため、口溶けが悪く、ジューシー感を有し、甘味の発現性が良好なベーカリー食品が得られない。
本発明のベーカリー食品用油脂組成物は、sD2の含有量とU3の含有量の合計量が20〜40質量%、好ましくは20〜35質量%、さらに好ましくは20〜30質量%、最も好ましくは20〜25質量%である。
上記のsD2の含有量とU3の含有量の合計量が20質量%よりも少ないと、ベーカリー食品用油脂組成物をロールイン用油脂組成物として用いた場合は伸展性が不足し、練り込み用油脂組成物として用いた場合は分散性が不足するなど作業性が悪くなるので好ましくなく、40質量%よりも多いと口溶けが良く甘味の発現性は良いものの、ベとついた食感を有するベーカリー食品となるので好ましくない。上記のDは、炭素数16〜18の多価不飽和脂肪酸残基を示し、具体的にはリノール酸残基及び/又はリノレン酸残基である。上記のsD2は、トリグリセリドを構成する3つの脂肪酸残基のうち、1つが上記のsであり2つが上記のDであるトリグリセリドを示す。上記のU3は、トリグリセリドを構成する3つの脂肪酸残基がいずれも上記のUであるトリグリセリドを示す。
本発明の全油脂中のトリグリセリド組成が特定範囲であるベーカリー食品用油脂組成物が焼成により一度溶解し、焼成後、冷却されることにより、ベーカリー食品用油脂組成物は液状成分である油脂のまわりを固体脂で取り囲んだ状態でベーカリー食品中に存在する。この状態のベーカリー食品を食すると、口に入れた瞬間は油性感がないが、口中の温度と歯で噛むことにより、固体脂部分から液状成分である油脂がにじみ出てくるために、ジューシー感が得られると考えられる。
条件5)としては、ラウリン酸の含有量を、好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下、一層好ましくは6質量%以下、最も好ましくは2質量%以下とする。
上記のラウリン酸の含有量が8質量%よりも多いと口溶けは良好なものの、ジューシー感と甘味の発現性を有するベーカリー食品が得られにくい。上記のラウリン酸の含有量は、少なければ少ないほど、好ましい。
本発明のベーカリー食品用油脂組成物の全油脂中、上記油脂Bの含有量が5質量%よりも少ないとs2Uの含有量が少なくなるため優れたジューシー感と甘味の発現性を有するベーカリー食品を得難い場合が有り、55質量%よりも多いとsD2の含有量とU3の含有量の合計量が不足し、ロールイン用油脂組成物として用いた場合は伸展性が不足しやすく、練り込み用油脂組成物として用いた場合は分散性が不足しやすい。
上記の液状油脂とは常温(30℃)で液状の油脂を指し、好ましくは融点20℃未満である油脂、最も好ましくは融点10℃未満である油脂である。
上記の油脂Dとして、例えば大豆油、菜種油、米油、綿実油、とうもろこし油、サフラワー油、ひまわり油、落花生油、ゴマ油、キャノーラ油、ハイオレイックキャノーラ油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックひまわり油、オリーブ油等の常温で液状の油脂や、常温で固形である油脂、例えばパーム油、パーム核油、ヤシ油、落花生油、カポック油、胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂、サル脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油等の分別軟部油であってもよく、本発明ではこれらの液状油脂の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂を用いることができる。特に本発明では、菜種油、米油、ゴマ油、キャノーラ油、ハイオレイックキャノーラ油、ハイオレイックサフラワー油及びハイオレイックひまわり油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂を用いることが好ましい。
上記のその他の油脂としては、パーム核油、ヤシ油、落花生油、カポック油、胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記その他の油脂の含有量は、本発明のベーカリー用油脂組成物の全油脂中、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、最も好ましくは19質量%以下である。
上記の硬化油を含有しないとは、硬化油には通常、構成脂肪酸中にトランス酸が10〜50質量%程度含まれているためであり、トランス酸に起因する健康阻害回避のため本発明では含有しないことが好ましい。
ただし、極度硬化油脂は完全に水素添加されており、トランス酸を含まないため、本発明では極度硬化油を含有することは構わない。
本発明のベーカリー食品用油脂組成物の全油脂中の脂肪酸組成において、トランス酸を好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%以下、最も好ましくは2質量%以下の含有量とすることが望ましい。
本発明のベーカリー食品用油脂組成物は、糖類及び/又は甘味料を含有させることにより、さらに甘味の発現性に優れたベーカリー食品を製造することができる。
上記の糖類としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、はちみつ、オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、還元乳糖、ソルビトール、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、トレハロース等が挙げられる。本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記の甘味料としては、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、ソーマチン、サッカリン、ネオテーム、アセスルファムカリウム、甘草、羅漢果等があげられる。本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明のベーカリー食品用油脂組成物において、上記の糖類の含有量及び上記の甘味料の含有量の合計は、甘味度を考慮したショ糖換算で好ましくは1〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%である。
なお、甘味度とは、甘味の強さを示す尺度のことであり、通常、基準にショ糖溶液を用い、ショ糖の甘味を1として、ショ糖以外の甘味料の甘さの強さをショ糖の甘さの強さに対する倍率で示したものである。
なお、下に述べるその他の成分が、上記糖類や甘味料を含有する場合は、その純含有量についても、上記の糖類の含有量及び上記の甘味料の含有量の合計に含めることとする。
本発明のベーカリー食品用油脂組成物において、上記の乳化剤の含有量は好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、最も好ましくは3質量%以下である。
本発明のベーカリー食品用油脂組成物において、上記の乳製品の含有量は固形物換算で好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、最も好ましくは3質量%以下である。
なお、本発明のベーカリー食品用油脂組成物は、ベーカリー生地にロールインする際や練り込む際の作業性の点から可塑性油脂組成物であることが好ましい。
本発明のベーカリー食品用油脂組成物は、その製造方法が特に制限されるものではなく、上記1)〜4)の条件を満たす油相を溶解し、冷却することにより得ることができる。
具体的には、まず上記油相を溶解し、必要により水相を混合乳化する。
上記の水相を用いる場合、油相と水相との質量比率(前者:後者)は、好ましくは20〜95:5〜80、さらに好ましくは50〜90:10〜50、最も好ましくは70〜90:10〜30である。本発明において油相が20質量%よりも少なく水相が80質量%よりも多いと乳化が不安定となりやすい。また、油相が95質量%よりも多く、水相が5質量%よりも少ないと、良好な可塑性が得られにくい。
この急冷可塑化は、コンビネーター、ボテーター、パーフェクター、ケムテーターなどの密閉型連続式掻き取りチューブチラー冷却機(Aユニット)、プレート型熱交換機等が挙げられ、また開放型冷却機のダイヤクーラーとコンプレクターの組み合わせが挙げられる。この急冷可塑化を行なうことにより、可塑性を有する油脂組成物となる。
急冷可塑化の際に、ピンマシン等の捏和装置(Bユニット)やレスティングチューブ、ホールディングチューブを使用してもよい。
上記のベーカリー食品用油脂組成物の製造工程において、窒素、空気等を含気させても、含気させなくても構わない。
このようにして得られた本発明のベーカリー食品用油脂組成物は、ベーカリー食品のロールイン用、練り込み用、サンド・フィリング用、スプレッド用、スプレー・コーティング用、フライ用として使用することができるが、本発明のベーカリー食品用油脂組成物は一度溶解し、冷却され、固化する工程を経ることにより効果を発揮するため、ロールイン用や練り込み用で用いることが好ましく、ベーカリー生地への使用量が多く、焼成前のベーカリー生地中に局在化して存在するため本発明の高い効果が得られる点で、ロールイン用であることが特に好ましい。
本発明のベーカリー食品用油脂組成物を練り込み用油脂組成物として用いる場合は、急冷可塑化後にケースやカップなどの容器に流し込む。
本発明のベーカリー生地は、上述した本発明のベーカリー食品用油脂組成物をロールインしたベーカリー生地である。また本発明のベーカリー生地は、上述した本発明のベーカリー食品用油脂組成物を練り込んだベーカリー生地である。なお、本発明のベーカリー食品用油脂組成物をロールイン用と練り込み用の両方に用いたベーカリー生地でも構わない。
上記のベーカリー生地としては、食パン生地、菓子パン生地、フランスパン生地、クロワッサン生地、デニッシュ・ペストリー生地(ペストリー生地)、スイートロール生地、イーストドーナツ生地、ピザ生地、クッキー生地、パイ生地、シュー生地、サブレ生地、ワッフル生地、スコーン生地、クラッカー生地、スポンジケーキ生地、バターケーキ生地及びケーキドーナツ生地等が挙げられる。
なかでも、甘味の発現性の効果が高いことから、菓子パン生地、デニッシュ・ペストリー生地(ペストリー生地)、スイートロール生地、イーストドーナツ生地、クッキー生地、サブレ生地、ワッフル生地、スコーン生地、スポンジケーキ生地、バターケーキ生地及びケーキドーナツ生地であることが好ましく、ロールイン油脂を使用する生地である、デニッシュ・ペストリー生地(ペストリー生地)であることが特に好ましい。
また、デニッシュ・ペストリー生地の層数は、目的とする製品により異なるものであり、特に限定されるものではないが、好ましくは9〜144層、より好ましくは16〜64層である。
上記のベーカリー生地を、適宜、成形し、必要に応じホイロ、リタード、レストをとった後、加熱してベーカリー食品とする。
上記成形においては、どのような形状に成形してもよく、型詰めを行っても構わない。これらの成形は、手作業で行っても、連続ラインを用いて全自動で行っても構わない。
上記加熱としては、例えば、焼成、フライ、蒸し、蒸し焼きが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上の処理を行うことができる。
油脂Aとして豚脂(S3:3.7質量%、s2U:30.9質量%、s2U中のP/St:1.8、sD2+U3:26.6質量%)、油脂Bとしてパームの分別中部油(S3:1.5質量%、s2U:64.5質量%、s2U中のP/St:11.1、sD2+U3:10.4質量%)、油脂Cとしてパームの極度硬化油(S3:100質量%)、油脂Dとして菜種油(S3:0質量%、s2U:0.8質量%、s2U中のP/St:3.7、sD2+U3:83質量%)を選定し、これらのうち、油脂Aと油脂Bと油脂Cとを用い、必要により油脂Dを用いて、表1に示す組成の配合油を調製した。
本配合油82質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合し、油相を調製した。この油相83質量部に、水相として水17質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し5℃2週間保管し、本発明の実施例1〜5のロールイン用油脂組成物を得た。
油脂Aとして豚脂(S3:3.7質量%、s2U:30.9質量%、s2U中のP/St:1.8、sD2+U3:26.6質量%)、油脂Bとしてパームの分別中部油(S3:1.5質量%、s2U:64.5質量%、s2U中のP/St:11.1、sD2+U3:10.4質量%)、油脂Cとしてパームの極度硬化油(S3:100質量%)、油脂Dとして菜種油(S3:0質量%、s2U:0.8質量%、s2U中のP/St:3.7、sD2+U3:83質量%)を選定し、これらのうち、1種又は2種以上の油脂を用いて、表1に示す組成の配合油を調製した。
本配合油82質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合し、油相を調製した。この油相83質量部に、水相として水17質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し5℃2週間保管し、比較例1〜4のロールイン用油脂組成物を得た。
油脂Bとしてシアステアリン(S3:1.4質量%、s2U:80.3質量%、S2U中のP/St=0.1、sD2+U3:2.1質量%)を使用したほかは比較例1〜4と同様の方法でロールイン用油脂組成物を作成した。
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られたロールイン用油脂組成物を用いて、下記配合と製法によりデニッシュ・ペストリーをそれぞれ製造し、焼成1日後のデニッシュ・ペストリーを食したときのジューシー感とべとつき、焼成1日後の内層及び浮きを下記評価基準により評価し、ロールイン時のロールイン用油脂組成物の伸展性を下記評価基準により評価した。その結果を下記の表1に示す。
強力粉 80質量部
薄力粉 20質量部
イースト 4質量部
イーストフード 0.2質量部
上白糖 15質量部
全卵 10質量部
練り込み用マーガリン 5質量部
水 45質量部
ロールイン用油脂組成物 45質量部
練り込み用マーガリンとロールイン用油脂組成物以外の原料をミキサーボールに入れ、フックを用い、縦型ミキサーにてL3、M3にてミキシングを行い、練り込み用マーガリンを入れ、さらにL3、M3にてミキシングを行い、生地を調製する。この生地をフロアタイム20分、−5℃の冷凍庫で24時間リタードさせた。この生地にロールイン用油脂組成物をのせ、常法により、ロールイン(3つ折り3回)し、成型(縦10センチ、横10センチ、厚さ3ミリ)した。そしてホイロ(32℃ 50分)をとり、200℃15分にて焼成した。
○○○:ジューシー感を十分に感じ、極めて良好
○○:ジューシー感を感じることができ、良好
○:ややジューシー感を感じるものの、十分ではない
×:全くジューシー感が感じられない
○○○:ベとつきがなく極めて良好。
○○:口に入れた際に、口中でややベとつく
○:口に入れた際に、唇に油脂が付着しベとつく
×:デニッシュを持った時点で、手がベとつく
○○○:きれいな層状で且つ膜がとても薄く、浮きが良好
○○:きれいな層状で且つ膜が薄いが、やや浮きが不十分
○:きれいな層状であるがやや膜が厚く、浮きが不十分
×:層状の部分とパン目の部分があり、浮きも不十分
○○○:良好な伸展性を有し、生地の端から端まで均一にロールイン用油脂組成物が折り込まれている
○○:伸展性を有するが、生地の端までロールイン用油脂組成物が折り込まれていない
○:やや伸展性が乏しく、生地中のロールイン用油脂組成物に若干の割れがみられる
×:伸展性が乏しく、生地中のロールイン用油脂組成物に割れがみられる
実施例1の配合油78質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合し、油相を調製した。この油相79質量部に、水相として砂糖混合ブドウ糖果糖液糖(甘味度0.75、固形分:75質量%、果糖:19質量%、ブドウ糖:23.3質量%、ショ糖:30質量%、オリゴ糖:2.7質量%)7.5質量部、及び、水13.5質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し5℃2週間保管し、本発明の実施例6のロールイン用油脂組成物を得た。
実施例1の配合油78質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合し、油相を調製した。この油相79質量部に、水相として砂糖混合果糖ブドウ糖液糖(甘味度0.90、固形分:75質量%、果糖:71.3質量%、その他糖類:3.7質量%)7.5質量部、及び水13.5質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し5℃2週間保管し、本発明の実施例7のロールイン用油脂組成物を得た。
実施例1の配合油78質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合し、油相を調製した。この油相79質量部に、水相としてスクラロース(甘味度600)0.015質量部、アセスルファムカリウム(甘味度200)0.0098質量部、及び水20.9752質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し5℃2週間保管し、本発明の実施例8のロールイン用油脂組成物を得た。
実施例1の配合油78質量部にグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部、及びレシチン0.5質量部を配合し、油相を調製した。この油相79質量部に、水相として砂糖混合ブドウ糖果糖液糖(甘味度0.75)3.75質量部、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖(甘味度0.90、固形分:75質量%、果糖:71.3質量%、その他糖類:3.7質量%)3.75質量部、スクラロース(甘味度600)0.0098質量部、アセスルファムカリウム(甘味度200)0.0062質量部、及び、水13.484質量部を加えて、油中水型に乳化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。次に予備冷却した油脂組成物を6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し5℃2週間保管し、本発明の実施例9のロールイン用油脂組成物を得た。
比較例1の配合油を使用した以外は、実施例6に記載の配合・製法により、比較例6のロールイン用油脂組成物を得た。
比較例2の配合油を使用した以外は、実施例6に記載の配合・製法により、比較例7のロールイン用油脂組成物を得た。
比較例3の配合油を使用した以外は、実施例6に記載の配合・製法により、比較例8のロールイン用油脂組成物を得た。
比較例4の配合油を使用した以外は、実施例6に記載の配合・製法により、比較例9のロールイン用油脂組成物を得た。
比較例5の配合油を使用した以外は、実施例6に記載の配合・製法により、比較例10のロールイン用油脂組成物を得た。
実施例6〜9及び比較例6〜10で得られたロールイン用油脂組成物を用いて、下記配合と製法によりデニッシュ・ペストリーをそれぞれ製造し、焼成1日後のデニッシュ・ペストリーを食したときのジューシー感、べとつき及び甘味の発現性、焼成1日後の内層及び浮きを下記評価基準により評価し、ロールイン時のロールイン用油脂組成物の伸展性を下記評価基準により評価した。その結果を下記の表2に示す。
強力粉 80質量部
薄力粉 20質量部
イースト 4質量部
イーストフード 0.2質量部
上白糖 15質量部
全卵 10質量部
練り込み用マーガリン 5質量部
水 45質量部
ロールイン用油脂組成物 45質量部
練り込み用マーガリンとロールイン用油脂組成物以外の原料をミキサーボールに入れ、フックを用い、縦型ミキサーにてL3、M3にてミキシングを行い、練り込み用マーガリンを入れ、さらにL3、M3にてミキシングを行い、生地を調製する。この生地をフロアタイム20分、−5℃の冷凍庫で24時間リタードさせた。この生地にロールイン用油脂組成物をのせ、常法により、ロールイン(3つ折り3回)し、成型(縦10センチ、横10センチ、厚さ3ミリ)した。そしてホイロ(32℃ 50分)をとり、200℃15分にて焼成した。
○○○:ジューシー感を十分に感じ、極めて良好
○○:ジューシー感を感じることができ、良好
○:ややジューシー感を感じるものの、十分ではない
×:全くジューシー感が感じられない
○○○:ベとつきがなく極めて良好。
○○:口に入れた際に、口中でややベとつく
○:口に入れた際に、唇に油脂が付着しベとつく
×:デニッシュを持った時点で、手がベとつく
○○○:甘味の発現性が極めて良好で、良好な甘味を感じる
○○:甘味の発現性が良好で、良好な甘味を感じる
○:甘味を感じるが甘味の発現性がやや劣る
×:甘味を感じるが甘味の発現性が悪い
○○○:きれいな層状で且つ膜がとても薄く、浮きが良好
○○:きれいな層状で且つ膜が薄いが、やや浮きが不十分
○:きれいな層状であるがやや膜が厚く、浮きが不十分
×:層状の部分とパン目の部分があり、浮きも不十分
○○○:良好な伸展性を有し、生地の端から端まで均一にロールイン用油脂組成物が折り込まれている
○○:伸展性を有するが、生地の端までロールイン用油脂組成物が折り込まれていない
○:やや伸展性が乏しく、生地中のロールイン用油脂組成物に若干の割れがみられる
×:伸展性が乏しく、生地中のロールイン用油脂組成物に割れがみられる
実施例6と同じ配合を用い、製造方法は急冷可塑化までは実施例6と同様の方法にて製造した。その後、ケースに流し込み、5℃で2週間保管し、本発明の実施例10の練り込み用油脂組成物を得た。
比較例6と同じ配合を用い、製造方法は急冷可塑化までは比較例6と同様の方法にて製造した。その後、ケースに流し込み、5℃で2週間保管し、比較例11の練り込み用油脂組成物を得た。
比較例7と同じ配合を用い、製造方法は急冷可塑化までは比較例7と同様の方法にて製造した。その後、ケースに流し込み、5℃で2週間保管し、比較例12の練り込み用油脂組成物を得た。
実施例10、比較例11及び12で得られた練り込み用油脂組成物を用いて、下記配合と製法により食パンをそれぞれ製造し、焼成1日後の食パンを食したときのジューシー感及び甘味の発現性を下記評価基準により評価した。その結果を下記の表3に示す。
中種配合
強力粉 70質量部
イースト 2.3質量部
イーストフード 0.1質量部
水 40質量部
本捏配合
強力粉 30質量部
上白糖 6質量部
練り込み用油脂組成物 6質量部
脱脂粉乳 2質量部
食塩 2質量部
水 25質量部
上記の中種配合の全原料を、縦型ミキサーに入れ、低速2分、中速2分ミキシングし、中種生地(捏ね上げ温度=24℃)を得た。この中種生地を28℃、相対湿度80%にて4時間発酵させた。
上記の本捏配合に記載の練り込み用油脂組成物以外の材料と上記の発酵を行った中種生地を、縦型ミキサーに入れ、低速3分、中速3分ミキシングした後、本捏配合の練り込み用油脂組成物を添加して、低速3分、中速4分ミキシングし、本捏生地(捏ね上げ温度=28℃)を得た。得られた本捏生地は、20分フロアタイムをとり、分割(380g)、丸めし、25分ベンチタイムを取った後、モルダーを使用してワンローフ成形し、ワンローフ型にいれ、38℃、相対湿度80%、60分のホイロを取った後、210℃のオーブンで30分焼成してワンローフ型食パンを得た。
○:ジューシー感を感じることができ、良好
×:全くジューシー感が感じられない
○:甘味の発現性が良好で、良好な甘味を感じる
×:甘味を感じるが甘味の発現性が悪い
実施例10及び比較例11で得られた練り込み用油脂組成物を用いて、下記配合と製法によりクッキー(ガレット)をそれぞれ製造し、焼成1日後のクッキーを食したときのジューシー感及び甘味の発現性を下記評価基準により評価した。その結果を下記の表4に示す。
薄力粉 100質量部
食塩 1質量部
粉糖 60質量部
卵黄 10質量部
ベーキングパウダー 1質量部
練り込み用油脂組成物 100質量部
練り込み用油脂組成物と粉糖を縦型ミキサーに入れ、低速2分、中速3分、高速3分ミキシングした後、卵黄と食塩を添加して更に低速2分、中速2分ミキシングした。ここに予め混合して篩っておいた薄力粉とベーキングパウダーを添加し、低速2分、中速2分ミキシングし、クッキー生地を得た。このクッキー生地を5℃の冷蔵庫内で一晩リタードした。このクッキー生地を厚さ10mmに圧延後、打ちぬき成型(直径40mm×厚さ10mm)し、フォークで表面に筋をつけた後、180℃のオーブンで15分焼成してクッキーを得た。
○:ジューシー感を感じることができ、良好
×:全くジューシー感が感じられない
<甘味の発現性の評価基準>
○:甘味の発現性が良好で、良好な甘味を感じる
×:甘味を感じるが甘味の発現性が悪い
Claims (7)
- 全油脂中のトリグリセリド組成が、下記条件1)〜4)を全て満たし、液状油脂の含有量が全油脂中5質量%以下であり、且つ融点が50℃以上の油脂を、全油脂中0.1〜8質量%含有することを特徴とするロールイン用であるベーカリー食品用油脂組成物。
1)S3の含有量が0.1〜8質量%
2)s2Uの含有量が28質量%以上
3)s2Uを構成するPとStの質量比率であるP/Stが2より大きいこと
4)sD2の含有量とU3の含有量の合計量が20〜40質量%
上記1)〜4)中のS、s、U、P、St及びDは、それぞれ以下の脂肪酸残基を示す。
S :飽和脂肪酸残基
s :炭素数16〜18の飽和脂肪酸残基
U :炭素数16〜18の不飽和脂肪酸残基
P :パルミチン酸残基
St:ステアリン酸残基
D :炭素数16〜18の多価不飽和脂肪酸残基 - さらに全油脂中の脂肪酸組成が、下記条件5)を満たす請求項1に記載のベーカリー食品用油脂組成物。
5)ラウリン酸の含有量が8質量%以下 - 全油脂中のトリグリセリド組成が、下記1’)又は2’)の条件を満たす、請求項1又は2に記載のベーカリー食品用油脂組成物。
1’)S3の含有量が3〜5質量%
2’)s2Uの含有量が38.8〜60質量% - 油中水型乳化油脂組成物である請求項1〜3のいずれか1項に記載のベーカリー食品用油脂組成物。
- 糖類及び/又は甘味料を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のベーカリー食品用油脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のベーカリー食品用油脂組成物をロールインしたベーカリー生地。
- 請求項6に記載のベーカリー生地を加熱したベーカリー食品。
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